忠臣蔵の恋
(きよ)いえそれは…。 戯れに買い求めたものです。 決して夫婦になどとは…。 (十郎左衛門)何もかも覚悟の上。 なれど…。 今宵だけは…。 お帰りなさいませ。 今日は冷えております。 温まり下さい。 きよ殿。 はい。 そなたの手も冷えておるのではないのか…
(瑶泉院)きよにはわらわの耳になってもらいたい。 (きよ)耳? 浅野内匠頭は刃傷事件を起こしたその日のうちに切腹となり遺体は泉岳寺へ運ばれ埋葬された。 泉岳寺に集まった家臣はおのおのの立場から対立 (弥兵衛)だからといって勝手にご埋葬などして…
(十郎左衛門)殿に我らが夫婦になる事を願い出る。 浅野内匠頭寵臣礒貝十郎左衛門と恋に落ちたきよ。 一方浅野内匠頭はご公儀より勅使饗応役を拝命した (内蔵助)指南役は吉良様。 (笑い声) (きよ) 3月12日。 江戸城では勅使饗応の儀が始まりました…
(十郎左衛門)何もかも無になった。 元禄14年3月14日。 浅野内匠頭は江戸城松の廊下で吉良上野介に斬りかかった。 浅野家はお家断絶。 浅野内匠頭は即日切腹を申し渡される (きよ)十郎左様…お願いです。 死なないで下さい。 死んでは…なりませぬ。 …