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字幕書き起こし 地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子 第3話 2016.10.19

(河野悦子)どうか私河野悦子を『Lassy』の編集者として雇ってください!お願いいたします!
(茸原渚音)ようこそ校閲部へ。
コウエツ…?リニアモーター牛って何だよ!
(りおん)バカも休み休みに言いなさいよ!あっ!あっ!痛った…。
(折原幸人)すいません大丈夫ですか?ごめんなさい。
(悦子の声)どストライク。
これどうしたらいい?ぜえいぜえの小説。
貝塚)お前アホか「これながこれゆき」だぞ。
分かってるよ。
(登代子)家来る?
(折原の声)何か『鶴の恩返し』みたいっすね。
(登代子)立場上そっちが鶴だよね?恩返ししま〜す。
キャッ!あっ!ヤバっ!名前折原幸人っていいます。
あっ河野です河野悦子です。
「景凡社クリスマスコレクション」。
うち主催のコレクションですか?ちょっと訳あってちょこっと出ることになったんでもしよかったら見に来てください。
そうなんですねはい。
は〜…。
は〜…。
えっ!何でいんの?こっちのセリフだ。
ファッションに興味あるの?ねえよ。
是永是之にチケット渡されて仕方なく顔出しただけだ。
是永是之ってあのリニアモーター牛の?お前の大好きなぜえいぜえだよ。
何でリニアモーター牛がチケットくれたのよ?普通に名前呼べないのか?お前は。
あっ森尾。
お疲れ。
うわっ!先輩何で?お疲れさま。
(登代子)あっどうもお疲れさまです。
こんな所で会うなんて奇遇だよね。
あっそうですね…。
『Lassy』編集長の亀井さんですよね?
(さやか)ええ…。
私あの近いうちに必ず『Lassy』編集部に異動になります校閲部の河野悦子と申します。
どうぞ以後お見知りおきを。
あぁ…。
あっ!ではそろそろ編集長こちらに。
失礼します。
(さやか)じゃあ。
何?今の。
すみません。
気にしないでください。
あからさまなんだよ。
あんたもね。
俺の何が?はいはいもう始まるよ。
♪〜♪〜
(拍手と歓声)
(さやか)ん〜。
♪〜
(拍手と歓声)♪〜
(拍手と歓声)
(さやか)ちょっと写真とイメージ違うわね。
はい。
♪〜♪〜
(拍手と歓声)ん〜ちょっと肩パット入れて胸板厚くしてほしいわ。
♪〜♪〜
(拍手と歓声)♪〜
(さやか)あのコね。
はい。
いいんじゃない?♪〜いやいや向いてねえだろ。
えっ?まさか知り合いじゃないよね?えっ?いやだからぜえいぜえだっつうの。
えっ?ん?だから彼が作家の是永是之だよ。
ちなみにどんな本を校閲してるんですか?リニアモーター牛が出て来る意味不明な小説とかブッ!もうホント笑えるんですよ!『犬っぽいっすね』ってタイトルなんですけど全然意味が分かんない小説なんですけどえ〜!!何だ知り合いか?私の王子…。
王子?う〜わ〜…。
お疲れさまでした。
お疲れさまです。
お疲れさま。
お疲れさまで〜す。
あんた本出してる作家さんだったんだね。
うん。
しかも先輩と知り合いだなんて。
先輩?校閲部の河野悦子さん。
うん!河野さん!そうそう。
あ〜やっぱ森尾さんも知り合いだったか。
世間って狭いね。
狭過ぎてうんざりだよ。
ん?ねぇ家に間借りしてるってもう話した?話してないけど。
じゃあ当分内緒にしといてほしいんだよね。
うん。
モデルと同居してるって社内的にまずいんだよね。
少なくとも専属決まるまでは誰にもバレたくない。
そっか分かった。
お疲れさま〜。
お疲れさまです。
あっ河野さん!ごめんなさいだますつもりはなかったんです。
それに一応覆面作家で通してるしあの流れで名乗ったらそれはそれで気まずいかな〜って。
いやあのこちらこそです。
是永是之さんご本人だって知らずにホントに失礼なこと言ってホントにすいませんでした。
よく言うよ陰でぜえいぜえって呼んでるくせに。
あ〜!!ん?ごめんなさいすいません…すいません。
でも偶然とはいえ2度もぶつかった上に俺の小説校閲してくれてるって聞いた時は何か運命感じちゃって。
運命ですか?冷静になれ彼はお前の王子ぜえいぜえだ。
あ〜!!な〜!ん〜。
すいません。
先輩そろそろ打ち上げに行く流れなんで。
どうぞどうぞ。
今日は見に来てくれてありがとうございました。
あの…。
また会いたいんでもしよかったら連絡先…。
喜んで!また俺も会いたいんで連絡先を…。
あっスタッフさ〜ん!
(スタッフ)はい。
(登代子)すいませんタクシー呼んでもらっていいですか?じゃあごめんなさい振る…。
ぶつかっちゃった…すいません。
幸人行くよ。
じゃあまた。
また。
貝塚さんもまた。
うん。
でね〜連絡先交換しちゃったの〜。
(セシル)え〜!よかったじゃないですか。
えっそれでそれで?で…うぇっ…。
通行の邪魔です。
すいません。
藤岩さんおはようございます!テツパン怖〜い。
ケツパン?
(セシル)いやテツパンです。
陰でみんなそう呼んでますよ。
鉄のパンツはいてそうっていう意味らしいです。
鉄のパンツね〜。
で私のことは陰で何て呼んでんの?オシャかわです。
オシャかわ?どういう意味?
(百合)えっあっ…オシャレでかわいいって意味ですよ!えっ?何それやだもう〜!ホントのことばっかり〜。
じゃあ今日もいい一日にしようね〜。
じゃあね〜。
何言ってんの?ごめんなさい。
えっ何?何で泣いてんの!?えっちょっとえっ何で…?
(米岡)シッ!シ〜!どうした?大丈夫?大丈夫?どうした?米岡君。
あなたまさか四条真理恵先生のファンだったんですか?はい…。
あぁ!そういうことは事前に申告してもらわないと困りますね。
誰かとゲラ取り換えてもらえますか?そんなぁ…。
どういうことですか?好きな作家さんや好きな分野の作品を担当すると作品に入り込み過ぎたり感情的になってミスをしてしまいがちなのでうちでは担当しない決まりなんです。
へぇ〜はぁ…。
藤岩さんお願いできますか?メディチ家の複雑な家系図を調べているところですので今は代わらないほうがよいかと。
じゃあ河野さんお願いします。
は〜い。
(米岡)大丈夫です僕できます。
本当ですか?感情移入すると冷静に校閲できませんよ?大丈夫です!
(りおん)大丈夫とは言い難いですね。
「つかむ」が所々俗字のままになっていますしルビが中付きと肩付き混じっています。
いつもの米岡さんならまずしないミスです。
米岡君やはり河野さんと取り換えてもらえますか?はい…。
はい。
はい。
えっ。
えっ…えっな…な…私が別に…。
何よ何なのよ!もう。
そんな…。
ちょっと…。
(さやか)じゃあ最終候補はこの3人で決定ね。
みんなルックスはいいんだけどその他の売りは?
(望)吉田虎太郎君は大学時代にミスターコンテストで準優勝。
現在はジムのインストラクターをしながら役者を目指しています。
なるほど。
(琴音)菊池舜君は17歳にしてBMXプロライダーの世界ランキング4位。
実家は吉祥寺にある老舗の和菓子屋です。
へぇ〜森尾のコは?折原幸人君は…現役大学生です。
えっそれだけ?セールスポイントゼロ?いえ実は作家をしてるんですが過去に文芸賞を受賞していて…。
ですが本人の希望で覆面作家なんです。
覆面?どうして?理由は聞いてません。
どうせもったいぶってるか売れなくなった時の保険とかそんな理由でしょ?読者投票までに説得して公表させなさい。
以上。
(望)編集長吉田君もう一回会ってみません?そうねちょっと筋肉見てみたい。
(望)すっごいいい体してんですよ。
いただきま〜す。
はぁ…ひどいよ。
四条先生がうちから本出すの3年ぶりなんだよ?人気シリーズの最新作だし楽しみにしてたのに。
何で私が責められるのよ。
決定打打ったの藤岩さんでしょ?ってか四条先生って誰だよ。
はぁ?知らないの?四条真理恵先生はねOL時代に書いたデビュー作がいきなり五十六賞にノミネートされてその後も大きな賞に5回もノミネートされながらもまだ一度も受賞したことがない文学界では有名な無冠の女王なんだよ。
それ褒めてんの?けなしてんの?とにかく失礼のないように校閲してよ?四条先生には是永是之に入れた余計なツッコミとかいらないから。
誤字脱字のチェックと事実確認に専念して。
はいはい。
でもさ好きな作家担当しちゃダメって何か納得いかないルールじゃない?だってあれでしょ?米岡さん本が好きで出版社に入ったクチでしょ?まぁね。
なのに好きな作家担当しちゃダメって拷問じゃない?
(りおん)好きだからこそ担当すべきではないんです。
(せき込み)いつからそこに?冷静さを欠いてミスをすれば結果好きな作家に迷惑を掛けることになるんですから。
藤岩さんはいないんですか?好きな作家さん。
私は校閲に私情を挟みたくありませんので好きだの嫌いだのといった感情は普段から封印するようにしております。
さすが藤岩さん以後気を付けます。
でも好きだからできることってあると思うけどなぁ。
(米岡)ホントそうだよね〜。
ん〜。
(米岡)あら何それ手作り?うん。
(米岡)おいしそう1個ちょうだい。
ダメやめて。
(米岡)いいじゃん。

(正宗)おはようございます!おはようございます。
ただもう少しお静かにお願いできませんか?以後気を付けます。
米岡さんちょっと。
何?あのこれありがとうございました。
あ〜。
すっごくためになったんでよかったら今度飯でも…。
(米岡)あああ〜…!何です?
(米岡)あぁ…すいません。
分かったまた今度ね。
(正宗)じゃあ失礼します。
何?別に。
コーエツ!うっせぇな…。
貝塚)お前また何かやったろ?やってません!
貝塚)いいややったはずだじゃなきゃ売れっ子なのに性格がいいことで有名な四条真理恵先生が校閲した人に会わせてほしいなんてことを言うわけがないんだよ!
(米岡)えっ!?
(女性)どうぞ。
う〜わ広っ。
見てワインセラーヤバいんだけどあれ。
貝塚)静かにしろ。
何本入んの?落ち着け。
ヤバっ…ヤバっ。
(真理恵)お待たせ〜。
貝塚)先生どうもこんにちは。
こちらが校閲を担当してくれた方?はじめまして河野悦子と申します。
はじめまして四条です。
実は今日お呼びしたのはね初校のゲラに貼られていたこの付箋に感激したからなの。
はぁ…。
拝見します。
「18年前本シリーズの前身となる『君は青い春の真ん中にいる』の3作目で『恵梨香はカナヅチで1メートルすら泳げない』…という記述がありました。
当時中学生だった恵梨香が18年の時を経て泳げるようになったという設定なら問題ないのですが念のため」。
(真理恵)自分で書いたことなのにカナヅチという設定にしてたことをすっかり忘れてたのよ。
私もいよいよ年ねぇ。
貝塚)何をおっしゃいます。
先生まだまだお若いじゃないですか。
責任は現在の担当である私にあります。
申し訳ありませんでした。
でもお前よく気が付いたな。
アハハ…たまたまっていうか…。
作者の私ですら忘れてた設定の矛盾を指摘してくれるなんてまさに校閲のプロね。
とんでもないです。
ねぇ河野さん。
はい。
もしかしてなんだけど私にファンレターを書いてくれたことある?えっ?
(真理恵)デビュー当時からよくファンレターをくれてた熱心なファンの方がいたの。
良かったとこだけじゃなくてストーリーやキャラクターの矛盾を指摘してくれたり疑問を投げ掛けたりしてくれてとっても読み応えがあったの。
住所はなくて名前もペンネームだったから返事のしようがなかったんだけど最後に来た手紙に出版社に就職したって書かれてて。
その付箋を見た時もしかしてって思ったんだけど河野さんじゃないわよね?残念ですが…。
あぁ…そうよね。
そんな偶然あるわけないわよね。
すいません。
でもその指摘にはホントに感謝してます。
ありがとう。
いえ…。
そうそう河野さんワインは好き?「酒」と名の付く物は漏れなく大好きです。
アハハ明日青山のレストランでトークイベントがあるの。
ワイン飲み放題だからもしよかったらお友達といらしてはい。
ありがとうございます。
(真理恵)そういうわけだから貝塚さん。
初校チェックと合わせてこの部分少し書き換えさせてもらうわね。
かしこまりましたいや先生何かお叱りを受けるんじゃないかなと思ってひやひやしましたよもう。
(真理恵)何言ってんのそんなことないわよ。
貝塚)アハハ…。
いや〜お前でも人の役に立つことがあるとは驚いた。
うん今回は素直に褒めてやる。
けどお前本郷先生と飯食った時ファッション誌以外読まないって言ってなかったか?読まないよ。
だったら何だよさっきの。
私じゃないんだよね付箋付けたの。
はぁ?何だよ…。
何でそれすぐに言わなかったんだよ。
先生の前で私じゃないなんて言ったら校閲部の信用なくなるでしょ?私が校閲し終えた後に校閲部の誰かがこっそり付箋付けたんだよ。
あ〜あ一瞬でも褒めて損したもったいねえ。
ん?だったら一体誰が…。
私に心当たりがある。
米岡さんでしょ?えっ?僕じゃないよ。
えっ違うの?だって18年前でしょ?僕が四条先生のファンになったのそんな前じゃないもん。
何だ〜。
すんごいファンかと思ったらにわかファンじゃん。
違うよ!今はれっきとしたマリエンヌだよ!マリエンヌ?四条真理恵様の信者のこと。
引くわ〜!あっじゃあこれ行く?何かワイン飲み放題だって。
キャ〜!行く〜!!引くわ〜!うわ〜…。
じゃこれ誰だ?げっ!どうした?やっちった…。
あ〜あ。
あ〜あトマトソース…。
(登代子)どこだっけな…あぁ。
も〜…あ〜クソっ。
ねぇこれ使えば?あっ!スパチュラ持ってたんだ!うん。
あとこれ。
はい。
何から何まですいません。
いいって。
ふぁ〜。
もしかして今起きた?うん10時間寝た。
ハハハすげぇ。
サンキュー。
今パスタ作ってんだけどさ食べる?いいの?もちろん出来たら呼ぶね。
あっ河野っち〜!わっオッシャレ〜!何?これ本革?うんってか米岡っちもオシャレ〜ってか派手だね。
オンとオフはきっちり分けたい派だから。
ってか米岡っちはやめてくれない?そっちが先に「ち」付けたんでしょうが。
いただきま〜す。
いただきま〜す。
女性ばっかりだね。
そりゃそうだよ。
四条先生は女性の心情を描くのがホントに上手だからね。
う〜。
ん〜。
あの人また来てる。
ん?あの窓際の人。
何?知り合い?四条先生のイベントに行くと必ずいるんだよ。
ってかすんごい服だな。
そうなの。
あれどこで買ったんだろ。
それ重要?ちょっと見て来るわ。
ちょっと!藤岩さん?
(米岡)えっ?うわちょっと〜!ちょっと待って!ちょっとどこ行くの?四条先生のトークは〜!?ちょっとちょっとちょっと!
(米岡)ちょっと!あっ!ご同行願えますか?証拠は挙がってるんだよこれはあんたの仕業だね?そうです。
吐きましたよ先輩。
(尾田)何刑事みたいなことやってんだよ。
そんなのいいから。
でいつから四条先生のファンだったんですか?デビュー作の『ふたりの花園』からです。
あれが受賞できなかったなんて絶対おかしいと五十六賞を主催していた出版社に抗議の手紙を書きました。
そんなことまで?
(りおん)私の青春は四条先生と共にあったと言っても過言ではありません。
東大を出たのに景凡社なんかに入ったのも四条先生の担当になれるかもというかすかな希望を抱いたからですし。
今景凡社ディスったね。
でもすぐに校閲に異動になりその夢はあっさり断たれてしまいましたけど。
それじゃあファッション誌に行きたかったのに校閲部に配属された河野っちと同じじゃないですか。
一緒にしないでいただけます?はぁ?こっちこそ一緒にしないでもらえます〜?
(米岡)ごめんなさい。
今回のシリーズ最新作も本当に素晴らしかったんですけどこのキャラクターがブレている件だけはどうしても気になって。
だったら何で黙って付箋付けたりしたんですか?意味のある指摘出しなんだから堂々と名乗ればよかったじゃないですか。
名乗れば先生のファンであることが公になってしまいます。
校閲者としてはどの作家に対してもどの本に対しても公平な立場でいたいんです。
だからこれまでも四条先生の担当にならないよう細心の注意を払って来たんです。
(米岡)見上げたプロ根性だな〜。
僕なんか先生の初校が回って来た時はうれしくてたまらなかったのに。
正直な気持ちを言えば私だって先生の作品を校閲してみたい。
でもルールはルールですから。
ルールを破ってまで自分の欲望を押し通すのは私の主義に反します。
(米岡)どこまでもストイックなんですね。
藤岩さん…。
(りおん)はい。
そのワンピースどこで買いました?だからそれ重要!?ずっと気になってたんですどこで買いました?どの…な何駅ですか?んっ。
ん?うわありがとう。
セールスポイントゼロ?読者投票までに説得して公表させなさいねぇ。
ん?どうして覆面作家なの?新人賞もらったの15歳の時だったから学校の友達に知られたら面倒くさいなぁと思って。
何で?高校生で小説家なんてカッコいいじゃん。
カッコ良くないよ。
友達はサッカーしたりバンド組んだりしてんのに家でコツコツ小説書いてるヤツとかダサさの極致だよ。
そう?まぁでももう高校生じゃないんだし公表してもいいんじゃない?う〜ん…何のために?読者の票を集めるためにルックス以外にもアピールポイントが欲しいんだよね。
ライバルもいるし。
料理でいいじゃん。
俺喫茶店でバイトしてたからパスタとかピラフとか超得意だよ。
うん…。
それよりさどんな小説書いてるの?あぁ…読む?うん。
(チャイム)
(インターホン:真理恵)はい。
すいません景凡社校閲部の河野です。
(インターホン:真理恵)あっどうぞ。
失礼します。
うわヤバ寝てた。
あ〜うわ!あっ…。
訳分かんない…。
おぉ〜もしかしてずっと書いてたの?ううんただ座ってただけ。
あっそう。
読み終わったの?うん。
どうだった?シュールでよかったよ面白かった。
ホントに?うん。
そっかありがとう。
私お風呂入って来るね。
うん。
はい。
先生そういうことでしたらはい失礼します。
藤岩さん。
はい。
次はこれをお願いします。
はい。
四条先生の再校?そうです。
あのすみません部長私実は…。
(せき込み)体調が万全ではなく…。
(せき込み)あ〜それは困りましたね。
四条先生のご指名なんですが…。
えっ指名って…私をですか?そうです。
はっ!あなた…何かしたんですね!?私が頼んだわけじゃないですよ?例の付箋が私ではなく同僚のものだって言ったらじゃあその方に再校をお願いしたいって先生がおっしゃったんです。
私にはできません。
どうしてですか?それが校閲のルールだからです。
でもやりたいんですよね?やりたいならやるべきですよ?本に恋するメガネザルさん。
うわ〜〜!あぁ!わ〜わ〜!ど…どどうしてその名前を?やっぱり藤岩さんのペンネームだったんですね。
いや四条先生が藤岩さんの付箋を見て同一人物だって気付いたんですよ。
あの指摘は先生の作品を心底好きな人じゃないとできなかった指摘です。
藤岩さんにしかできない校閲だったんです。
なのにルールだからって他の人が担当するなんておかしいですよ。
好きだからこそできることもある。
その通りかもしれません。
いま一度校閲のルールを見直す必要がありそうですね。
藤岩さん四条先生の再校お願いできますか?体調が良ければですが。
喜んでやらせていただきます。
うん土曜ね分かった。
えっ?うん。
会いたいってば。
うんじゃあね。
うわ!!ふ〜ん彼氏いるんだ。
ふ〜ん行こっか。
うぅ…。
年上ねぇ〜。
でどんくらい付き合ってんの?ん〜1年くらいかな。
まぁお互い忙しくてあんまり会えてないけどね。
まぁ彼氏いるだけいいよ。
私なんて何年一人か…ねぇ大将!
(尾田)そうだなハハハ…!『Lassy』編集者ってだけで十分うらやましいのに彼氏もいてそんでもって幸人君と仕事もしてるなんてうらやましい通り越して何か憎たらしいわ。
幸人のこと本気なの?ん〜まだ分かんない。
ただ言えるのはあの顔をもっと頻繁に間近で見ていたいってことだけ。
(尾田)顔だけにほれてんのか?うんまぁ大して中身まだ知らないしね。
男は顔じゃねえぞ。
大事なのは…。
ここだぞ。
はい出た。
(尾田)何だよ。
顔が好きって言うとみんな口をそろえてそう言うよね。
人間外見じゃない中身だ。
分かってるよ!中身が大事じゃないなんてひと言も言ってないよ。
ただ私は外見も大事でしょって言ってるわけ。
先輩って正直だね。
いや顔が好きって言うよりもさ内面を好きになったんですって言うほうが尊いことのように扱われてるこの世間の風潮に我慢ならないだけ。
申し訳ございませんでした。
いいってことよ。
はいこれお代わり。
っした!同じものでよろしいでしょうか?よろしいでございます。
フ〜…。
ハァ〜…。
貝塚)おいおいおいおい!四条真理恵先生の本が丸川賞の候補に入ったぞ!え〜!去年の『インドシナの乙女』ですか?そうだよ。
すご〜い6回目のノミネート!確か明壇社出版でしたね。
貝塚)そうです。
えっ?うちの本じゃないのに何で喜んでんの?お前ってヤツはホントに何も分かってないんだな。
他社出版の本でも受賞すればうちで出す先生の本も売れるんだよ。
しかも受賞後第1作目ん〜おいしい!なるほど便乗商法ってやつね。
人聞きの悪いこと言うなせめてあやかり商法と言え。
同じじゃん。
貝塚)でだ何でわざわざ知らせに来てやったかというとだな四条先生が藤岩さんとコーエツをご自宅で行う待ち会に招待したいとおっしゃってるんだ。
(米岡)え〜!?ウソでしょ〜!?
貝塚)茸原さんいいですよね?どうぞどうぞ。
行くって返事していいよな?もちろん!ねっ藤岩さん。
私はご辞退申し上げます。
何でよ。
私のような者が待ち会になど恐れ多くて。
出たよ藤岩…そんなこと言って〜。
行きましょうよ待ち会。
そうだよ藤岩さん。
四条先生の待ち会に参加する機会なんてこれ逃したらもう二度とないかもしれないよ?そうですよねっ行きましょ待ち会。
行きますよ待ち会!ねっ?分かりました。
ん!ところで待ち会って何?知らんのか!待ち会とは文学賞の発表当日関係者を一堂に集め食事などをしながら受賞もしくは落選の連絡を待つ会のことです。
じゃあもし落選したらどうするんですか?縁起でもないこと言わないでください!『インドシナの乙女』は後世に残る名作です。
今度こそ四条先生は取ります。
必ず取ります!
(米岡)ですよね!ねっ!いい待ち会になりそうですね。
へぇ〜。
ん〜…ハァ。
今日の待ち会何時から?4時〜。
いよいよだね〜何着てくの?あのねフェザー付きの黒のセットアップ。
ここだけフワフワってフワフワでかわいいんだから。
(米岡)いいじゃない藤岩さんは?このままですが?えっ?えっこのままって…このまま?スーツはいかなる場所においても正装です。
いやこれはもはやスーツではないから。
毎日仕事場に着て来たらそれはただの作業着。
作業着を着て憧れの作家先生のお宅に行くことにためらい感じないんですか?私外見を飾らなければならないほど中身空っぽではありませんので。
いやそれじゃまるで河野っちの中身が空っぽみたいじゃない。
ぶっ飛ばそうか?小さい頃から父と母に言われて来たんです。
オシャレをするとバカになるって。
何じゃそりゃ〜!!許さんぞ!ちょっと来い!何?
(米岡)ちょ…どこ行くの?痛い!離して!失礼します失礼しますすいません。
森尾森尾森尾…!
(登代子)先輩!忙しいとこ悪いんだけどさこの人に服貸してやってほしいの何かない?撮影で使ったものならあるけど…。
いいね!それ見せて。
この中から好きなのどうぞ。
さっすがファッション編集者頼りになる〜!靴のサイズいくつですか?26cmです。
おぉデカっ。
じゃあ…。
これどうぞ。
何これめちゃくちゃかわいい。
それ買い取ったやつだから持ってっていいよ。
えっいいの?1回試し履きしたら満足しちゃった。
さっすがファッション編集者〜!嫌な感じ。
ねぇねぇ甘えついでに聞くけどさメークや着替えできる場所どっかないかな?あ〜打ち合わせ室なら空いてたから使っていいよ。
いいの?ありがとう。
私撮影だから適当に片付けて帰ってください。
うんごめんねありがとう。
かわいい!赤ね靴それだから…。
黄色…。
カジュアルになるか。
フォーマルで…。
(メッセージの受信音)肌の手入れとかちゃんとしてます〜?スキンケアだけはちゃ〜んとしといたほうがいいですよ。
この肌であと50年60年は持たせなきゃならないですし。
おばあちゃんになってから後悔しても遅いですからね〜。
はい。
セシルってさ受付よりBAのほうが向いてるんじゃないの?あ〜それ彼氏にも言われました。
しゃべり方がデパートの1階で化粧品売ってる人みたいだって。
セシル彼氏いんの?いますよ。
えっ?じゃあ何で毎週さ合コンやってんの?いやだってまだ若いのに一人に決めちゃうとかつまんなくないですか?なるほどね〜。
もうあんまり若くない人の前で言うセリフではないよね。
もう若くない人から言わせてもらえば「あんまり」が付くだけましですけどね。
ハハハテツパンさん面白〜い!ハハハ…。
あ〜…あっで〜きた!あっじゃあコーエツ先輩休憩終わっちゃうんであとよろしくお願いしま〜す。
ありがとね。
まぁあんまり気にしないほうがいいっすよ。
今更気にしません。
テツパンと呼ばれていることは以前から知っていましたから。
鉄のパンツをはいてそうな女。
そういうイメージ分からなくないですし。
あっう〜わ指輪…。
ちょっとすいません手洗って来ます。
あ〜もう最悪!
(琴音)もうどこにやったのよ〜。
(小堺)ここに置いたと思ったんだけどなぁ…。
あっねぇ打ち合わせ室の中とかは?
(小堺)あっそうですね。
失礼しました〜。
(2人)フフフ…!何?今の。
テツパンですよね?化粧してませんでした?
(琴音)してた!テツパンがオシャレしてもね。
(小堺)無駄でしかない。
(琴音)それ!オシャかわと同じじゃん!
(小堺)写メ撮ってみんなに送ればよかったですね。
(琴音)しくった〜何かこの辺に大きいの着けてなかった?
(小堺)カーラー4つくらい…。
(琴音)オシャレなテツパ〜ン。
(小堺)ないないない…フフ。
(小堺)あぁマジウケる。
(登代子)おっあれ?あっお疲れさまです。
下で待っててくれてよかったのに。
ちょっと待って。
あなた達さ「テツパン」ってどういう意味か知ってて言ってんの?は?テツパン?テツパンとは鉄のパンツいわゆる貞操帯のこと。
貞操帯っていうのはパートナーの純潔を求めて性交渉不可能にするために用いられる施錠装置の付いた下着のことでかつて十字軍にいた兵士が離れて暮らす妻や恋人の貞操を守るために装着させたらしいんだけど近年ではSMプレーに用いられてるグッズなんだよ。
何でこんな詳しいんですか?SMが趣味なんだよ…。
違ぇよ!校閲で調べたからだよ。
あんた達は彼女がそういったことに無縁なお堅い女だって意味で呼んでんだろうけど真の意味は真逆だから。
貞操帯っていうのはむしろパートナーに愛され束縛したくなるほど魅力的な女性が身に着けるもんなんだよ。
意味も知らないくせに陰でこそこそあだ名付けて呼ぶんじゃねえよ!この若いだけの女が!行こう。
はい。
はぁ!
(エレベーターの到着音)あっ行くよ。
はい。
お待たせしました〜。
ありがとう。
えっいいですよ。
私髪の毛いじるの大好きなんで。
いや…。
河野さんは陰で「オシャかわ」って呼ばれてるのご存じですか?知ってますよでもオシャレでかわいいって全然陰口じゃないですよね。
それ意味違います。
えっ?オシャレでかわいいではなく校閲部のような地味な部署でオシャレなどしても無駄でかわいそうという意味だそうです。
えっ…。
はぁ?はぁ!?あの若いだけの女がマジで…。
フフっフフフ…。
もうホント…。
あ〜…。
(くしゃみ)
(登代子)寒い?何か羽織ってれば?体は寒くないけど心が寒い。
えっ何?それ。
モデルって雑誌で見るとカッコいいけど裏ではパンいち。
すぐ慣れるよ。
さっきの河野さんすごかったな。
えっ?鉄のパンツ。
あぁ。
先輩って昔からああなんだよね。
思ったことを口にせずにはいられないっていうか相手が上司でも先生でもお構いなし。
カッコいいね。
えっ?・幸人君次これ着て・はい。
わぁ…。
(りおん)はぁ…!ここが四条先生のお住まい!宮殿みたいですよね。
感激で倒れそうです!倒れるにはまだ早いよ。
先生どこだ?あっいた!先生先生!このたびはおめでとうございます!まだおめでとうじゃないのよ。
貝塚)もう決まったような…。
ちょっとあいさつ行きます?えっ?ちょっと何してんすか?先生のとこあいさつ行きましょ。
(りおん)いやあの河野さん行って来てください。
私はここで。
何言ってんですか?先生に会わなきゃ意味ないでしょ?来たことを後悔していますやっぱり私のような者が来る所ではなかった…。
またそんなこと言ってもう!
(振動音)
(編集者)先生!
(振動音)お電話鳴ってます。
(振動音)
(振動音)はい四条です。
はい。
分かりました。
はい失礼いたします。
丸川賞…頂きました。
(一同)おめでとうございます!
(拍手)
(真理恵)皆様のおかげです。
先生おめでとうございます!やりましたね!皆様のおかげです。
ありがとうございました。
(拍手)河野さん!先生おめでとうございます。
どうもありがとう。
先生あのこちらが例の付箋を付けた同僚の藤岩さんです。
本に恋するメガネザルさんね。
はい。
やっと会えた!ずっとお会いしたかったのよ20年前から。
私もです〜!本に恋する…いえ藤岩さんデビューの時から私の作品を支えてくださってありがとう。
そんな支えるなんて。
私はただ先生の作品が好きないちファンにすぎませんので。
この20年何度賞を取り逃がしても書き続けて来られたのは私の作品を好きでいてくださったファンの方々のおかげです。
ファンの方々がいなければとっくに書くのをやめてたと思います。
先生…。
(真理恵)藤岩さんがこんなにステキな方だったなんてあのペンネームからはちょっと想像つかなかったけど。
長年ファンでいてくださってホントにありがとう。
これからはお仕事の上でもよろしくお願いします。
こちらこそよろしくお願いいたします!
(真理恵)お願いします。
お願いします。
(真理恵)よかった会えて。
貝塚)もっと寄ってください寄ってください。
貝塚)先生丸川賞受賞…。
(一同)おめでとうございます!
(カメラのシャッター音)このたびは身に余る素晴らしい賞を頂きましてホントにありがとうございました。
(青木)四条先生ステキですね〜。
ホントに。
四条先生もさることながらみんなの藤岩さんもとってもステキではないですか。
どこのご令嬢かと思いましたよ。
さすが部長!これ全部私のおかげですから!自分で言うかな〜。
(目黒)ハハハ…。
事実です。
本当に河野さんのおかげです。
藤岩さん。
恥ずかしながら髪の毛を巻いたのもきちんと化粧をしたのも初めてでしたけど河野さんのおかげでオシャレは気分を高揚させるものだと知りました。
少なくとも私の両親の言っていたことは私を勉強に集中させるためのウソだったのだとようやく分かりました。
藤岩さんが四条先生や校閲の仕事が好きなように私はファッションやファッション雑誌が大好きなんです。
好きだからこそできることって絶対にあると思うんです。
だから部長。
ん?部長そろそろいいかげんホントに『Lassy』編集部に異動させてください!お願いします!こういうことを言わなければもう少し同僚としてお近づきになれたんですが…。
えっ?・ハハハ…・残念です。
な…ねっ部長。
フフフ…。
はい皆さんお片付けして帰りましょう。
(米岡)は〜いお疲れさまでした。
部長!お疲れさまでした〜。
さてさてさて…。
河野さん?あっあっ…!こんばんは。
こんばんは。
もうお仕事終わったんですか?はい!この後お時間あったりします?なくてもつくります!じゃあもしよかったら一緒に汗かきませんか?えっ?好きだからこそできることがある。
いい言葉ですね。
そうだからファッション誌に行きたいって言っちゃいました。
えっ?校閲のみんなのいる前で?はい!サァ!すげぇ〜。
河野さん一つ聞いていいですか?何でも聞いてください!俺の本面白かったですか?河野さんなら本当のこと言ってくれるって思ったから聞いてます面白かったですか?つまんなかったです!2016/10/19(水) 22:00〜23:00
読売テレビ
地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子 第3話[字][デ]

人気作家・四条の小説を校閲した悦子だったが、ゲラにはいつの間にか悦子の知らない指摘が書かれた付箋が…。そんな中、四条のイベントで悦子は藤岩の姿を目撃する。

詳細情報
番組内容
人気作家・四条真理恵(賀来千香子)の小説を校閲した悦子(石原さとみ)は、ある矛盾を指摘したことで四条から感謝される。しかし、その矛盾を指摘したのは悦子ではない。誰かがゲラに指摘の付箋を貼ったのだ。悦子は、四条のファンであるために担当を外された米岡(和田正人)の仕業だと考えるが、彼ではなかった。そんな中、米岡と一緒に四条のイベントに出席した悦子は、そこでなぜか藤岩(江口のりこ)の姿を目撃する…。
出演者
石原さとみ
菅田将暉
本田翼
和田正人
江口のりこ
田口浩正
青木崇高
岸谷五朗
【ゲスト】
賀来千香子
原作・脚本
【原作】
「校閲ガール」シリーズ 宮木あや子(KADOKAWA・角川文庫刊)
【脚本】
中谷まゆみ
監督・演出
【演出】
小室直子
音楽
大間々昂
【主題歌】
「Heaven’s Door〜陽のあたる場所〜」栞菜智世
【オープニングテーマ】
「12月の雨」chay
制作
【チーフプロデューサー】
西憲彦
【プロデューサー】
小田玲奈
森雅弘
岡田和則(光和インターナショナル)
【企画協力】
鈴木光(光和インターナショナル)