全文書き起こしサイト

地上波テレビの字幕を全文書き起こします

スポンサードリンク

字幕書き起こし 忠臣蔵の恋〜四十八人目の忠臣(5)男たちは命をかけ、女たちは愛をかけ誓う。 2016.10.22

(十郎左衛門)何もかも無になった。
元禄14年3月14日。
浅野内匠頭江戸城松の廊下で吉良上野介に斬りかかった。
浅野家はお家断絶。
浅野内匠頭は即日切腹を申し渡される

(きよ)十郎左様…お願いです。
死なないで下さい。
死んでは…なりませぬ。
(阿久利)貸せ。
よいから貸すのじゃ!
(つま)おきよ殿!滝岡様よりお達しがあるそうでございます。

(滝岡)本日夕刻田村右京大夫様お屋敷にてお殿様ご切腹となられましたにより奥方様はご落飾あそばされました。
奥方様は今宵のうちにお里方赤坂今井のお屋敷にお移りとなります。
奥方様がお屋敷を出られた後は皆々勝手次第。
おのおの荷物をまとめておいとまするように。
ほんに長きにわたりお勤めご苦労であった。
(さわ)滝岡様。
私どもは何時までにお屋敷を出ればよいのでございましょうか。
(しま)滝岡様。
奥方様は?
(すめ)せめて一目奥方様に…。
(せつ)滝岡様…。
奥方様はお居間におられる。
おのおの支度を済ませた後おいとま乞いを申し上げるがよい。
おきよ殿。
(滝岡)きよとつまはこちらへ。
奥方様がお呼びじゃ。

(滝岡)失礼つかまつります。
きよとつまを連れてまいりました。
(阿久利)入れ。
面を上げよ。
滝岡。
既に聞き及びと思うがお殿様のお亡骸は泉岳寺へ移されご埋葬の儀となった。
奥方様のお参りははばかられるゆえ成瀬が代参致す。
ついてはきよそなたに成瀬の供をしてもらいたい。
かしこまりました。
奥方様に成り代わり心してご供養致しまする。
いまひとつそなたらに頼みがある。
つまにはこの先もわらわのそばにいてもらいたい。
はっ。
そしてきよには…きよにはわらわの耳になってもらいたい。
耳…?このままでは…終わらせぬ。
奥方様の胸の中に何かが燃えたぎっているようでした
かしこまりました。
ありがたきお言葉謹んでお受け致しまする。
その日の深夜落飾した阿久利はひっそりと人目を忍ぶように浅野家上屋敷を出実家である赤坂今井の三次浅野家へ帰った。
その後俗名を捨て瑶泉院と改めたのである

(成瀬)たった一日のうちに何もかもが変わってしまった。
まるで遠い日の出来事のようじゃ。
心の声十郎左様?仙桂尼様。
きよ。
仙桂尼様…。
児小姓が明け方門外で追い腹を切ったのじゃ。
まだ年端も行かぬ子どもだというのに痛ましいこと。
(仙桂尼)浅野のご家臣はご墓前においでじゃ。
既にお殿様のご葬儀は済まされた。
え?さ早うそなたらも。
昨夜半ここに着くとご近習が追い腹を切ろうとされていた。
(成瀬)追い腹を…。
(仙桂尼)殉死はご法度。
お殿様の汚名の上塗りをするおつもりかと申し上げた。
ようやく思いとどまりされど殿に殉ずる意を込めあのように髻を…。
(足音)おじ様。
きよ。

お殿様は冷光院となられこの土の下に…。
そして奥方様はその墓参さえ許されず…
(不破)殿〜!殿〜!
(堀内)不破お前は一体どこに!殿〜!
(田中)不破!今更何を。
(中村)浅野家を出て浪人となったお前が近づくな!殿のお墓の前であるぞ!
(條右衛門)不破殿!やめろ善左衛門!やめぬか数右衛門!今更家臣も何もあるか!殿は亡くなられお家はお取り潰し。
お前たちは皆俺と同じ浪々の身。
浅野のお家はもうないのだ!拙者とて殿に仕えた身は同じ。
墓参りぐらい許せ。
殿〜!
(泣き声)ご一同様本堂へ。
昨夜から寝もやらずご遺骸と過ごしさぞお疲れの事でございましょう。
少しお休み下さいませ。
食事も用意致しましたゆえ。
(堀内)不破。
行くぞ。
ここはお任せあれ。
ここはお任せあれ!数右衛門。
何故…何故殿だけがこのような目に…。
吉良はどうなっておるのだ。
いまだ切腹のうわささえ聞かぬ。
殿だけがこのようなお沙汰を受け吉良はおとがめなしか。
おかしいではないか!吉良は生きているのではないのか。
吉良様の生死はいまだ誰にも分からぬ。
ご公儀が騒ぎを恐れ事を伏せてるかのようだ。
ご公儀が。
おとがめなしとは理不尽至極。
けんか両成敗のおきてに背く。
その事はお前に言われずとも承知しておる!数右衛門。
我らは赤穂へ行く。
(不破)え?数日すれば早駕籠も赤穂へ着くはず。
その時赤穂はどう出るか。
我らはご家老大石内蔵助様に無念をぶちまけ方策を練るつもりだ。
方策?吉良様が生きているならば仇討ちも辞さぬ。
仇討ち…。
今はただ…殿の汚名をすすぐ事。
それだけが我らにできる事。
故に髻を切り殿のご墓前で誓ったのだ。
必ず殿のご無念晴らすと。
十郎左。
それは…まことでございますか?
(條右衛門)きよ殿。
私もお力になりとうございます。
きよ!
(善左衛門)お前何を。
私は奥方様の耳となります。
耳?謹慎の身となられた奥方様に皆様のご様子をお知らせするお役目に。
ですから礒貝様方のお力に。
きよ殿それはならぬ。
そなたが奥方様を思う心は分からぬではない。
だが我らには関わるな。
私はもはやこの命ないものと思うておる。
きよ殿が関わるような事ではない。
されど十郎左様…。
今の話聞かぬ事にする。
よいから去れ!
(仙桂尼)きよ。
何をしているのじゃ。
仙桂尼様。
その日内匠頭の弟であり養嫡子でもある浅野大学長広へ閉門の処分が下った。
大学は木挽町の屋敷で謹慎の身となった
夜になりにわかに泉岳寺に慌ただしさが増した。
浅野家上屋敷の後始末を済ませた家臣たちが次々と墓参に押しかけたのだ
ど…どういう事じゃ。
わしは殿が幼少のみぎりよりお仕えしてきた身。
いや殿ばかりではない。
先代先々代と浅野家3代にわたりお仕えしてきたのじゃ。
それを…。
殿に一目お会いする事もかなわずご埋葬など…。
片岡殿!そなたらだけが格別と考えるのであればそれは傲慢にすぎるぞ!
(安兵衛)義父上おやめ下され。
お前は黙っておれ。
(前原)そうだ勝手がすぎますぞ!
(家臣たち)そうだそうだ!
(片岡)お言葉ながら拙者は勝手をしたとは思っておりませぬ。
何を〜!ご隠居様!ご隠居様は昨夜の殿のお姿をご存じないからそのような事が言えるのだ。
だからといって勝手にご埋葬などしてよいというのか!そなたらだけ髻を切って殿に忠義を尽くしたつもりか!
(田中)お言葉がすぎますぞ!いいがかりでござる。
ご隠居殿これは和尚殿のご配慮でもあったのです。
どうかお分かり下さいませ。
は…半日も待てぬのか。
わしらがどのような思いで屋敷の後始末をしてきたかお主らには分からぬのか!殿の…殿のご葬儀であるぞ。
仮にも赤穂5万石の大名であるぞ。
(前原)俺も納得がいかぬ。
何もかも納得がいかぬ!堀部殿どこへ行くのだ。
安兵衛。
いま一度殿にお別れを。
義父上。
今ここで我らがいさかいを起こして何になります。
殿を…浅野家を思う気持ちは同じはず。
無念とて皆…。
ふん!新参者が分かったような口を。
誰だ今声を上げたのは。
誰だ!條右衛門。
言いたい者には言わせておけばいい。
全てはやっかみだ。
堀部家へ婿に入り殿に重用されたそなたへの。
分かっておる。
條右衛門…。
浅野家は私の初めての仕官先だ。
新発田からそなたを頼り江戸に出長きにわたり浪人を続けてきた私を初めて迎え入れてくれたのが殿。
いや殿のためなら骨をうずめてもよいと思ったのだ。
それゆえ浅野家家臣となった。
ああ。
殿への思いは誰にも負けぬ。
ああそうだ。
浅野家3代につかえてきた義父上にも報いねばならぬ。
そうだ。
そのとおりだ。
條右衛門。
俺は必ず殿のご無念を晴らす。
殿の…無念を。
晴らせその思い。
俺には晴らしたくてもつかえる殿がおらぬ。
その夜堀部様は夜を徹しおじ様と共に墓守をしたのです。
そして私は仙桂尼様と共に宿坊へ泊まる事となりました
耳となれ。
そうおっしゃったのか奥方様は。
はい。
そなたはこの後も奥方様におつかえするつもりなのじゃな。
そう思うております。
阿久利様は武家に生まれ武家に育ったお方。
その奥方様がお殿様の恥辱をこのまま済ますとは思えませぬ。
4歳から過ごしたお屋敷を一夜にして奪われ最愛の殿は理不尽にもご切腹
奥方様のお気持ちを思うと胸が締めつけられる。
きよ。
はい。
奥方様が望まれそなたもそうありたいと願うのであればこれより奥方様の耳となるがよい。
仙桂尼様。
だがきよ。
そなたが踏み入ろうとしている世界はこれまでとは全く違う所。
耳となるという事は奥方様に一生をかけて忠義を尽くすという事。
なまはんかな事ではありませぬぞ。
承知しております。
きよ。
男たちは皆事の大きさに我を失い怒りに任せて何をしでかすか分からぬ。
されど一時の情に流され命を落とす事ほど愚かな事はない。
一番の大事は浅野家を守り抜く事。
我ら女にも必ずできる事はあるはず。
その事だけは忘れるでない。
しかと承りました。
月が…。
この世の戯れ事とは無縁の…美しい光じゃ。
お殿様はもうあちらの世界にいってしまわれたのか。

私は明け渡しとなった浅野家上屋敷を出て父の住む浅草の林昌軒へ戻りました
心の声母様。
きよは父様のもとに戻りました。
けれどもう以前のきよではありませぬ。
どうかきよを…浅野家の皆々様を奥方様を仙桂尼様を十郎左様をお守り下さい。
兄様。
きよ。
十郎左が赤穂へ出立するそうだ。
え?片岡様たちと大石様にじか談判すると。
十郎左様。
きよ殿。
赤穂へたたれると兄から。
ああ。
十郎左様。
私はこれより先も奥方様にお仕え致します。
きよ殿。
十郎左様をお慕いする心も変わりませぬ。
その事をお伝えしとうございました。
必ず帰ってきて下さい。
必ず。
そればかりは分からぬ。
ただきよ殿がこの江戸にいる事その事は胸に。
十郎左様。
この先私たちの行く末がどうなるのか。
誰も何も分からぬまま
けれど私はこの時心に誓ったのです。
何があろうとも十郎左様と運命を共にする事を
2016/10/22(土) 18:10〜18:45
NHK総合1・神戸
忠臣蔵の恋〜四十八人目の忠臣(5)男たちは命をかけ、女たちは愛をかけ誓う。[解][字]

きよ(武井咲)は落飾した阿久利(田中麗奈)から耳となって家臣の動向を知らせるよう頼まれる。敵討ちに燃える十郎左衛門(福士誠治)に、きよも同じ使命に生きると誓う。

詳細情報
番組内容
浅野家は断絶、阿久利(田中麗奈)は落飾したが、このままではすまさないと、きよ(武井咲)に「耳となって」これからも家臣たちの動向を知らせるよう頼む。泉岳寺では、十郎左衛門(福士誠治)が髻を切り、殿のあだ討ちを口走る。尋常でないその姿に、きよは自分も同じ使命のため力になりたいと申し出るが、拒まれる。殿の無念を晴らす…二度と引き返せない世界へ踏み込むことだと知りながら、きよは浅野家家臣として生きると誓う
出演者
【出演】武井咲福士誠治田中麗奈佐藤隆太皆川猿時笹野高史三田佳子大東駿介平田満
原作・脚本
【原作】諸田玲子,【脚本】吉田紀子