(貴行)副社長であります息子の高田隆一をよろしくお願い申し上げます。
(貴行)優。
私や隆一の足を引っ張るようなことは慎め。
(優)俺がプロジェクトチームに?兄貴だろ?俺のこと推したの。
(隆一)優がプロジェクトに必要だと思うから推薦するんだ。
(宗一郎)おお孫よ。
(役員)会長。
(宗一郎)私はもう引退した身だ。
気にするな。
この仕事俺なんか足手まといに決まってんだよな。
(梓)最後まで頑張らないの?私なら絶対に諦めない。
(梓)私はこの仕事に人生を懸けてるの。
矢作さんっていうんだけどとにかく諦めないんだよね。
(梓)彼結構見どころあると思うな。
(梓)不思議な魅力持ってる気がする。
・
(ノック)はい。
・
(ドアの開く音)社長。
(貴行)バンコクの件大丈夫か?向こうで組むゼネコンの経営不振が発覚したそうじゃないか。
(隆一)はい。
早急に資金繰りが必要な状態です。
うん…。
撤退してもいいんだぞ。
えっ?今なら最小限の損失で済む。
無理して突っ込んで取り返しがつかなくなることもあるんだ。
撤退はしません。
続けさせていただけませんか?簡単な話じゃないぞ。
分かってるのか?はい。
この難局を乗り切る見込みはあります。
それは冷静に分析した上での判断なんだろうな?もちろんです。
フッ。
そこまで言うなら隆一任せたぞ。
はい。
(団)いやもう高田君がカムバックしてくれてよかったよ助かる。
(団)猫の手も借りたいぐらいなんだよ。
(優)猫っすか…。
あっいやよろしくお願いします。
(団)よしじゃあ今後の暫定的なスケジュールを説明しておくな。
白河湖アウトレットモールの業務はこのプロジェクトチームで施工前まで続行する。
周辺住民との説明会。
建築家との設計の打ち合わせ。
テナントの勧誘。
ゼネコンの選定。
中でも最優先事項は設計だ。
設計?いやだってもうデザインしてあるじゃないっすか。
(梓)あれはあくまでコンペに出すためのイメージ図。
(梓)これから建築家にお願いして本格的な設計が始まる。
なるほど。
(団)設計部からこのイメージ図を描いた長谷川さんって方が加わる。
でうちが設計を依頼するのは何とあの神谷仁だ。
あ〜!聞いたことあるかも。
いやいや大御所中の大御所だよ。
すいません。
(神谷)お前のとこから話があった。
(宗一郎)アウトレットモールか。
(神谷)うん。
(宗一郎)神谷に設計を頼むなんてずいぶんだなうちも。
(神谷)担当者の一人に高田優っていう男がいるんだ。
(宗一郎)あっそうなのか。
(神谷)俺はいつものやり方でやらせてもらうが構わんな?もちろんだ。
ただ1つ頼みたいことがある。
この仕事が終わったら高田優という男の印象を教えてくれないか?
(神谷)うん。
長谷川さん今下りてくるみたいです。
兄貴。
外出か?はい。
今から設計の打ち合わせに行ってきます。
神谷仁先生の所に。
それはなかなか手ごわい相手だな。
頑張ります。
簡単な話じゃないぞ。
分かってるのか?はい。
よろしく頼むぞ。
(梓)長谷川さんも神谷先生にお会いするの初めてですか?
(長谷川)ええ。
さすがに緊張しますね。
・
(ドアの開く音)
(秘書)失礼いたします。
(秘書)お茶どうぞ。
んっ…あっつ!
(神谷)お待たせしたね。
(長谷川)設計担当の長谷川でございます。
プロジェクトチームの矢作です。
同じくプロジェクトチームの高田です。
ああ君が。
どうぞ。
(長谷川)本日はアウトレットモールの概要を説明に伺わせていただきました。
こちらがクライアントの要望で弊社で製作したイメージ図になります。
(長谷川)今回のコンセプトはイタリアのトスカーナサンジミニャーノの町をイメージした…。
(神谷)好きなようにやらせてもらうよ。
えっ?私に設計を依頼したからには分かってると思うが私は私のやり方でやる。
それが無理ならこの話はなかったことにしてもらおう。
あの…。
(神谷)1週間後にまた来てくれ。
スケッチをお見せしよう。
じゃあ。
あっマジか…。
(長谷川)いや〜参ったな。
私が用意した資料何一つ受け取ってもらえませんでした。
しかたがないですよ。
あんな状況じゃ。
確かに。
でも好きなようにやるって大丈夫なんですかね。
お任せするしかないですかね。
神谷先生なら間違いのないものを提出してくださると思いますし。
あのこの後どうします?えっ?よかったら飲み行きませんか?何か真っすぐ帰るって気分でもなくないっすよね。
賛成。
行きましょう。
だったらうちに寄りませんか?
(梓・優)えっ?
(葵)こんばんは!
(優・梓)こんばんは。
(翔太)父がいつもお世話になってます。
おっこちらこそ。
すっごいしっかりしてますね。
6年生なんですがねサッカー部のキャプテンやってんですよ。
え〜すごい!
(葵)ごゆっくり。
ありがとう。
(梓)ありがとう。
(葉子)こんなものしかなくてすみません。
おいしそう!
(長谷川)さあどうぞ。
いただきます。
いただきます。
ん〜!うまっ!
(梓)長谷川さんはずっと設計部なんですよね?ええそうです。
もう30年になりますかね。
好きなんですよ現場にいて設計することが。
0から1を生み出す喜びもあるし好きなことをやって給料までもらえる環境でもある。
(長谷川)こんな素晴らしいことはないです。
私はずっと設計を続けていきたいんです。
あれ神谷先生の作品ですよね?
(長谷川)はい。
神谷仁は私にとって神様みたいな人です。
え〜あんなわがままな人がですか?それは関係ないんじゃないですかね。
建築家は作品で評価されるべきです。
今回神谷先生とご一緒できて本当に光栄です。
お邪魔しました。
(梓)ごちそうさまでした。
(葵・翔太)さようなら。
(梓・優)さようなら。
バイバイ。
(長谷川)おやすみなさい。
(梓・優)おやすみなさい。
(長谷川)またあした。
またあした!
(梓)いいご家族だったね。
そうっすね。
みんな仲良くてあったかくて。
(梓)いいな〜ああいうの。
(梓)優君は?将来のイメージとかあるの?結婚とか。
いや〜ないっすねそんなの。
俺は当分自由気ままに暮らしたいかな。
梓さんは?私はイメージあるよ。
えっ!どんな?
(梓)内緒!えっケチ。
いや教えてくださいよ。
(梓)教えてあげないよ〜。
いや教えてくださいってそれは。
ふみさん。
俺今日朝飯いらないから。
いってきます。
いってきます。
驚いたな。
優が隆一より先に会社に向かったぞ。
初めてじゃないのか?そうかもしれませんね。
あ〜隆一。
来週橋本代議士のお嬢さんとゴルフの席を設けたからそのつもりでな。
はい分かりました。
(貴行)うん。
(ひかり)優!ねえどうしたの?珍しく寝癖ないじゃん。
やめろよ触んなでか女!お前やめろ!でかくないもん!
(三沢)高田!?元気かよ?お前。
さみしかったよ。
(安藤)お前デザインに関わってんだって?
(三沢)神谷仁って超大変らしいじゃん。
ヤッバいっすからね。
・
(佐々木)高田!
(佐々木)うちの課はプロジェクトチームと組んでテナントの勧誘をすることになった。
はい。
よろしくお願いします。
今決まっているテナントは目玉になるレストランだけなんだって?ええ。
だからアパレルや生活雑貨の店も勧誘しなきゃいけないんです。
(三沢)お前何か変わったな。
そうっすか?
(安藤)ホント。
できる男みたいに見えるぞ。
あざっす。
(佐々木)前がひど過ぎたんだ。
優。
んっ?今日ご飯でも行かない?あ〜悪い。
今日プロジェクトの仕事で手いっぱいなんだ。
そうなんだ。
大変そうだもんね。
じゃあまたな。
(道端)どうでした?今週中に1,000万ドルのキャッシュが必要だ。
(道端)今週中?しかし現地の金融機関は当てにならない。
(道端)国内のコネクションはすでに全て当たっていますし…。
もう高田と取引のない銀行や証券会社に頼るしかないな。
(道端)しかし…。
それしかないんだ。
融資してくれそうなところをリストアップしてくれ。
(青木)かしこまりました。
その上で先方とアポを取って会う順番の優先順位もつけてほしい。
あとは全部俺がやる。
(青木)はい。
間に合いますか?やるしかない。
(桃子)いいじゃない。
庭ぐらい貸してくれたって。
別に構いませんけどホントに結婚するんですか?4度目ですよ。
今度こそ本物なの。
世間がどう言ってるか分かってますか?世間なんて桃子には関係ないわ。
相手はどんな人なんです?投資家よ。
シンガポールで出会ったの。
名前は?
(桃子)コウスケクロサワ。
聞いたことないですね。
まさかだまされてるんじゃ?ちょっとやめてよ。
冗談じゃない。
姉さん。
分かってると思いますけど高田家にとって結婚というのは単なる恋愛の延長ではないんです。
結婚はビジネスに直結するものですよ。
オーマイガー。
隆一にも縁談の話があって今度見合いすることになってるんです。
(桃子)へえ〜どんなお相手?橋本代議士のお嬢さんです。
先生も隆一のことを気に入ってくれてます。
ふ〜ん。
(貴行)うまくいくといいんですが。
桃ちゃん!来てたんだ!優久しぶり!久しぶり。
元気?元気だよ。
桃子もう行かなきゃ。
デートなの。
え〜そうなの?今度ゆっくり遊びに来るからさ。
ただいま。
おかえり。
隆一!久しぶり!元気?はい。
今度見合いするんだって?えっ…。
ええまあ。
隆一も大変ね。
この家じゃ結婚もビジネスらしいから。
それとバンコクの件大丈夫?向こうでよくない噂を聞いたんだけど。
ありがとうございます。
適切に対処してますからすぐに解決するはずです。
そう。
ならよかった。
じゃあ行くわ私。
デートなの。
シーユー。
じゃあね。
おやすみなさい。
・
(ドアの閉まる音)えっ!兄貴お見合いすんの?誰と?橋本代議士の娘さんだ。
う〜わ親父の魂胆見え見えじゃん。
よくそんなの耐えられるね。
俺には俺の立場ってもんがある。
いやでも…。
家同士の結婚なんて戦国時代じゃあるまいし。
大変ですね。
長男は。
じゃあおやすみ。
どうだ。
(長谷川)これは…。
すっげえカッコイイ…。
(神谷)だろ?この建物の壁はトスカーナの石材を輸入して使ってくれたまえ。
えっ…。
あっいや神谷先生それは…。
何か問題でも?いえ…。
大変素晴らしいデザインだと思います。
しかし弊社としましてはアウトレットということであくまでプレハブで造ったカジュアルな世界をイメージしていまして。
だからって張りぼてなんかやるつもりはないよ?これではコストが掛かり過ぎます。
おそらく建築費も数倍に膨れ上がってしまいます。
それくらい君たちで何とかしたまえ。
商業施設は目的や機能を果たすだけじゃ駄目だ。
同時に美しさも重要なんだ。
はい。
建築っていうのはね芸術なんだよ!分かりました神谷先生。
素晴らしいデザインをありがとうございます。
一度持ち帰って社内で検討させていただきます。
何ですって?それで言われるままにこれ持ち帰ってきたっていうんですか。
(長谷川)申し訳ございません。
でもあの場ではちょっと否定しづらい感じでした。
デザインを変えるなら降りるって言ってましたし。
それでも何とかするのがあなたの仕事じゃないんですか?申し訳ございません。
(団)どうするんですか?とにかくこれをどうにか実現させる方向で考えます。
どうにかって?
(長谷川)それは…。
長谷川さん。
あなた交渉の責任者なんですよ。
そんな無責任じゃ困りますから。
(長谷川)申し訳ございません。
謝られたって事態は進展しませんから。
だったら他の建築家に頼めばいいじゃないですか。
それは駄目だよ!神谷仁でいくというのはトップが下した決定事項だ。
こちらでどうこう言える問題じゃない。
それに交渉が失敗したとなると高田の痛手になるし。
われわれの査定にも響く。
長谷川さん。
本当に頼みますから何とか打開策を見つけてください。
はい。
いや〜綾乃さんもゴルフ好きでよかった。
(綾乃)はい。
ヨーロッパへ留学していたときに覚えました。
声楽をやられてたんですよね?ウィーンの国立歌劇場は行かれましたか?
(綾乃)はい。
(貴行)私も何度か足を運びましたがあそこはホントに素晴らしい。
あっ隆一も一緒に行ったよな。
あっはい。
(貴行)先生はウィーンの方は何度も?
(橋本)もちろんもちろん。
娘がね留学してたもんだから。
(梓)長谷川さん。
ちょっと休憩しませんか?私はもう少しやっちゃいます。
お二人はどうぞ。
すいません。
仕事って次から次へと問題ばっか出てきますよね。
うん確かに。
でも私はこう思ってる。
トラブルのない仕事なんてないって。
えっ?だからそれも楽しまないとね。
お〜。
さすがっすね。
諦めない女。
フフッ。
フッ。
(団)率直に申し上げまして長谷川さんには荷が重いのではないでしょうか?
(団)設計はできても交渉の担当となると。
問題があるなら早めに切る。
それもビジネスです。
(団)はい。
このプロジェクトはあなたに任せてあります。
もし問題だと考えるなら早急に対処したらどうですか?私は団部長の判断を尊重します。
(梓)ねえ優君はさ嫌じゃないの?この会社で働いて。
んっ?何すか突然。
だって家族が上司なわけでしょ。
やりづらくない?むしろ家族には感謝しかないかな。
んっ?俺大学卒業するとき就職試験全滅して。
しばらくプータローでふらふらしてたんですよ。
そしたら兄貴がそんなんじゃ駄目だって人事に掛け合ってこの会社に入れたんです。
そうだったんだ。
まあ自分でもサラリーマンなんて似合わないって分かってるんですけど。
でも入ったからには頑張ろうと思ってます。
うん。
兄貴は仕事には超厳しいけどそれも優しさだったりするんですよね。
まったく頭上がんないっすよ。
兄貴には何一つ勝てないな。
え〜何かあるでしょ。
ないな…。
あっ強いて言うなら俺の方が自由ってとこかな。
自由?うん。
いやだって結婚相手も自由に選べないなんてあり得ないでしょ。
ああ。
ああ分かった。
頭取にアポを取ってくれ。
いやそれじゃ間に合わない。
ああ。
それで頼む。
ごめん。
急ぎの電話で。
ううん。
何か大丈夫?疲れてるみたいだけど。
ああ…ここのとこトラブルの処理が続いてて。
無理しないでよね。
いや今は無理しないといけないときなんだ。
えっ?梓。
父に会ってもらう件だけど。
はい。
今処理している海外の仕事が片付いたらちゃんと話すつもりだからもう少し待ってくれないか?うん。
平気平気。
こっちも神谷先生の対応で忙しいし。
スケジュールも立て込んでるし。
(頭取)まあ高田さんのとこには個人的に長年お世話になってるし意向に沿いたいのはやまやまだがしかし…。
頭取!そこを何とかお願いできませんでしょうか?どうかよろしくお願いします!長谷川さん?すみません。
私チームを離れることになりました。
(優・梓)えっ?
(長谷川)こんな形で申し訳ないです。
皆さんの力になれなくて。
高田さん矢作さん。
神谷先生の件何としてでもよろしくお願いしますね。
お世話になりました。
失礼。
部長。
どうしてですか?どうして長谷川さんが外れなきゃなんないんですか?設計業務が進んでいないからでしょうか?それだって本はといえば神谷先生がむちゃくちゃなのが原因じゃないっすか。
あんなの誰が担当しても一緒ですよ。
もう決まったことだ。
このチームを離れても長谷川さんは会社を辞めるわけじゃないし戻る場所もある。
いやでも…。
(団)なあ分かってると思うがこのプロジェクトは神谷仁の名前がなければ成功しない。
設計担当はしかるべき人間を立てるからその間残ったお前たちで何とかしのいでくれ。
ハァ…。
(貴行)優。
神谷先生とはどうだ?うまくやってんのか?かなり難しいけど何とかやってます。
神谷先生は大変だ。
対応を間違って激怒を買った上に設計を降りられたゼネコンやデベロッパーがどれだけいたことか。
優。
説得しようとしたら終わりだぞ。
先生は素人の意見なんか絶対に聞かない。
いいか。
あくまでも先生の言うとおりにしながらうまく落としどころを見つけるんだ。
ビジネスでは双方が妥協できる点を見つけることが一番大事だ。
いかに着地させるかが重要なんだ。
分かりました。
(貴行)うん。
もう私たちでどうにかするしかないわね。
はい。
絶対に失敗できないです。
何だ君たちか。
予算のめどでもついたのかな?あっ…。
神谷先生。
何とか妥協点を見いだせないでしょうか?こちらとしては質を落としてでもコストダウンを図りたいと思っています。
最大の見せ場となる中央広場については壁を本場トスカーナの石材で装飾します。
ですがその他の場所はイミテーションの壁を使用することによってコストダウンさせます。
それでも中央広場は本格的なイタリア広場としてモールの象徴になるはずです。
これなら神谷先生のイメージを最大限に実現できると思います。
どうにかこれでお願いできないでしょうか?このアウトレットモールには神谷先生の名前が必要なんです!名前?今名前って言ったか?えっ…。
残念だ。
君もその程度の人間か。
私の名前が欲しいだけならこれ以上話すことはない。
帰ってくれ。
あっ…。
何か今日の優君優君らしくないよ。
どうにか着地点を見つけ出そうとはしたんですけど。
この先どうしたらいいんだよ。
本当ですか?頭取ありがとうございます!
(青木)副社長もしかして。
ああ。
よつば銀行から融資を受けることができた。
すぐにバンコクへ1,000万ドル振り込んでくれ。
かしこまりました。
ハァ…。
・はい。
えっ?足りない!?どういうことだ!とにかくプロジェクトを成立させるために妥協案を提案したつもりだったんです。
でも神谷先生まったく取り合ってくれなくて。
全員が不満を持ったままの折衷案はよくないです。
それは神谷先生への冒涜でもあります。
だけどそれだと時間切れになっちゃいますよ。
俺が先生なんか説得できるわけないし。
そうでしょうか?えっ?本当は話のできる相手を待っているかもしれませんよ。
いや〜…。
一つバカげたアイデアを聞いてもらえますか。
これ描いてみたんですけど。
お〜すっげえ。
本気でそれぶつけるつもり?はい。
どうにか先生に受け入れてもらいたいんです。
でもそのためには俺もっともっといろんなこと知らなきゃいけなくて。
(団)おっ高田君。
あれ?
(梓)あげる。
ありがとうございます。
《説得しようとしたら終わりだぞ》《先生は素人の意見なんか絶対に聞かない》・
(神谷)そんなに建築に興味があったのか?
(一同)先生失礼します。
ありがとうございました。
俺は建築は素人なんで正直よく分かりません。
だけどこれが本物だということは分かります。
あっすいません。
偉そうなこと言って。
知ってるかね。
芸術を表す「アート」の語源だ。
「アート」の語源はラテン語の「アルス」そして「アルス」はテクニックの語源でもあるギリシャ語の「テクネ」すなわち技術に相当する。
つまり芸術と技術は決して切り離せないものなんだ。
そのどちらかだけでは成立しない。
建築も同じだ。
美しさと機能性。
クラシックとモダン。
私はその両立をず〜っと追求してきた。
神谷先生。
あした1時間だけお時間頂けませんか?これを見てください。
これは?長谷川さんがデッサンしたものです。
神谷先生の建築の特徴であるガラスを使用しています。
重厚なイタリア建築にガラスを融合させたんです。
この塔をガラスにすることでコストを大幅に抑えることができます。
でも世界観は神谷仁そのものかと。
お前は俺を説得しようとしているのか。
はい。
説得しようと思ってます。
フッ。
(梓)やった!イェーイ!神谷先生受け入れてくれたね。
はい。
俺バカでした。
妥協なんかして。
自分が信じてないことばっかして。
もっと自由にやればよかったんですね。
うん。
やった!ん〜よかった!
(メールの着信音)5,000万ドル…。
よし!社長。
バンコクの件ですが先ほど無事に融資のめどがつきました。
そうか。
よくやった隆一。
ご苦労だったな。
はい。
ありがとうございます。
うん。
ハァ…。
ハハッ。
あの…。
折り入ってお話があるんですが。
うん。
縁談を断ってください。
実はお付き合いしている女性がいます。
フッ。
分かった。
(バイブレーターの音)
(梓)ちょっとごめんね。
もしもし?父に話をした。
うん。
分かった。
楽しみにしてる。
うん。
じゃあ連絡待ってるね。
うん。
そっか。
それなら私も大丈夫そう。
うん。
どうぞ。
すいません。
これよろしくお願いします。
はい。
どういうことだよ。
神谷先生の問題は解決したのに何で長谷川さんが異動しなきゃいけないんだよ。
設計担当の交渉役として機能しなかったと聞いてる。
その間仕事が停滞したことも事実。
つまりそれは会社に損害を与えたということだ。
でも最後のアイデア出したの長谷川さんだぞ。
これは人事が決めたことだ。
これ以上話すことはない。
理不尽だろ。
ああ理不尽だ。
でもそれが仕事というものだ。
あ〜それと神谷先生の担当はお前になった。
先生からのご指名でな。
ずいぶん気に入られたな。
もしかしたらお前かもな。
長谷川さんを追い出したのは。
納得いかないっすよ。
(早希)ちょっと優君。
飲み過ぎじゃない?会社の先輩まで呼び出しちゃって。
ねえ。
私は平気ですから。
だってこれ長谷川さんのおかげで完成したんですよ。
ホントすごい迫力ね。
さすが神谷先生です。
よりよいものに昇華させていて。
長谷川さんがいたからなのに。
なのに…。
社員を何だと思ってんだよ。
ふざけんな!でもしかたがないこともあるんだよ。
んっ?誰かにとって正しいことは誰かにとって理不尽なのかもしれない。
・長谷川さん!
(長谷川)高田さん。
どうしたんです?すいませんでした。
なぜ謝るんですか?力になれなくて…何もできなくて。
っていうか俺たぶん余計なことして…。
高田さんのおかげなんですよ。
私が頑張れたのは。
えっ?高田さんの発言とか自由さとか。
そばで見ていて楽しかった。
刺激にもなりました。
それにどこにいても設計はできます。
私ねちっとも後悔してないんです。
少しの間でもあの神谷仁と一緒に仕事することができた。
それに…。
アウトレットモールにはあのガラスの塔が並ぶんですよ。
いつでも見ることができます。
誰も私のことを知らないけど。
それでいいんです。
長谷川さん。
(長谷川)君のおかげです。
アウトレット必ず完成させてくださいね。
それは?神谷先生の描かれた新しいデッサンです。
(長谷川)さすが神谷先生だ。
すごい。
さよなら。
バイバイ。
元気でな。
(葵)うん。
・さよなら。
さよなら。
(宗一郎)どうだった?うちのやつ。
(神谷)ん〜。
優秀かどうかは分からんな。
お前のとこの会社にとって力になるかどうかも分からん。
ただありゃお前にそっくりだな。
んっ?そうか?学生のころのお前と似てるよ。
多くの人間が進もうとする道と真逆の道を進みたがる。
きっと誰かに言われたんだな。
俺を説得するなんてやめろって。
でもあの若造俺を説得しやがった。
それはお前が老いぼれになった証拠じゃないのか?おいおい!
(宗一郎・神谷)ハハハ…。
(バイブレーターの音)もしもし?えっ?何だろう?急に。
ご紹介します。
お付き合いしている矢作梓さんです。
初めまして。
矢作梓と申します。
(貴行)隆一が大変お世話になっています。
おっ優こっちだ。
(貴行)どうした?こっちだこっち。
2016/10/24(月) 21:00〜21:54
関西テレビ1
カインとアベル #02[字][デ]【三角関係に急展開!衝撃のラスト2分47秒を見逃すな】
「ハートを掴め!!恋も仕事も驚きの大逆転」
恋人関係にあった梓と兄の隆一。一方、2人の関係を知らない弟の優は仕事に精を出すが、公私ともに思わぬ展開が…
詳細情報
番組内容
アウトレットモールのプロジェクトチームは、次の段階へ。高田優(山田涼介)は、矢作梓(倉科カナ)と設計の担当になった。設計を依頼するのは大御所建築家、神谷仁(竜雷太)。団衛(木下ほうか)によると、神谷はわがままでクセが強いため、優と梓は苦戦を強いられそう。
一方、隆一(桐谷健太)の表情はこわばっている。バンコクの事業で組む現地ゼネコンの経営不振が発覚。貴行(高嶋政伸)は事業から手を引くことも考えて
番組内容2
いいと言うのだが、隆一は乗り切れる見込みがあると、資金繰りを進めることに。
優と梓は、同じ会社の設計部でイメージ図を描いた長谷川守(小林隆)と神谷を訪問する。優があいさつをすると、神谷は意味あり気にうなずく。実は、神谷は優の祖父、宗一郎(平幹二朗)に孫の印象を教えてほしいと頼まれていたのだ。つまり、宗一郎と神谷は旧知の仲。それでも、神谷の厳しさは変わらない。長谷川のイメージ図をいちべつした神谷は、
番組内容3
好きなように設計させてもらうと、3人を帰してしまう。
翌朝、優が隆一より早く出社する姿に貴行は驚く。そして、貴行は隆一に見合いをさせようとしている代議士の娘とゴルフに行くと告げる。隆一は梓のことをハッキリと言い出せずにいた。
数日後、優たちは再び神谷のもとへ。神谷の設計図は確かに立派だが、コストが膨大なものになってしまう。長谷川の提案で、一度チームに持ち帰るのだが、やはり受け入れられず…。
出演者
山田涼介
桐谷健太
木下ほうか
日野陽仁
山崎紘菜
西村元貴
戸塚純貴
・
高嶋政伸
・
大塚寧々
他
スタッフ
【脚本】
阿相クミコ
【音楽】
菅野祐悟
【主題歌】
Hey! Say! JUMP「Give Me Love」(ジェイ・ストーム)
【プロデュース】
羽鳥健一
西坂瑞城
池田拓也
【演出】
葉山浩樹
【制作著作】
フジテレビ