(光子)おいしいものを作るのに手間がかかるのは当たり前。
6時じゃなくて5時スタート。
(荒木)俺たちはルールにのっとって給食作ってんだ。
やりたきゃ1人でやれ。
(晴子)あなたに子供の給食なんて作れるわけがない。
何であなたみたいながきに私が言われなきゃいけないの?
(早紀)彼女フレンチ業界に復帰するかもしれないんです。
(篠田)どういうことですか?
(金沢)実はこのレストランのシェフをあなたにお願いできないかと思っております。
星野シェフが作る給食を子供たちがおいしいと言う姿がテレビで放送されれば社長を説得できると思うのですが。
今日の下ごしらえは全部1人でやりました。
(児童)いつものさんまじゃない!
(一同)おいしい!
(光子)やっとあなたたちも本当の味が…。
(浩太)ねえ今日さコンビニでウマチキ食って帰ろうぜ。
(児童)最高にうまいよな!何かが足りないと思ってたのよね。
(金沢)足りない?レストランに行くのを見合わせます。
私の料理はおいしいんじゃない。
最高においしいのよ!最高が足りない!私の作った給食を最高においしいと言わせるまでここを辞めるわけにはいかないのよ!
(早紀)星野光子。
想像を超える最高の素材ね。
ウマチキって何よ。
(児童)駅前のリックスに売ってるよ。
ふーん…。
(小松)どこ行くんだ?おかえりなさい。
じゃあこちら…シェフ?
(秘書)星野シェフ?
(男性)ホントうまいな。
(男性たち)うまいな。
アハハ!ウマチキ1つ。
ああ…今売り切れちゃいました。
えっ!?ちょっと…。
・
(浩太)うーんウマチキ最高!
(児童)これうまいな。
(児童)ウマチキはやっぱりおいしい!
(浩太)こりゃ侮れませんな!
(一同)・「ウマチキウマチキ最高においしい!」イエーイ!俺さ今日の給食ウマチキ食いたいから残しちゃったんだよ〜。
(一同)分かる〜!まったく分からない。
ねえ。
それそんなにおいしいの?
(浩太)おいしいよ。
給食より?
(一同)うん。
お幾ら?
(浩太)240円だけど。
ちょっと給食と同じじゃないよ。
ねえそれ1個300円で売ってくれない?やだよ。
う〜ん…じゃあ600円。
あげないよ。
分かった。
じゃあ900円で。
食べさせて?
(一同)あ〜ん。
おいしい!
(浩太)だって僕たちのだも〜ん!
(児童)・「テテテテー」
(一同)・「ウマチキウマチキ」・「ウマチキおいしい!ウマチキウマチキ…」ちょっと片付けなさい。
お行儀悪い。
ホントにもう…。
・「ウマチキウマチキ」
(小松)あっいる。
(日高)光子さんホントよかったの?
(日高)レストランのオファー断って。
(小松)そうだよ。
ウマチキに負けたままここを去るわけにはいかないの。
(敏子)そこ勝負しなくていいんじゃない?
(馬場)みんな給食はおいしくなったって言ってますよ。
そう。
ただの「おいしい」ね。
(敏子)どういうこと?
(小松)おいしい依存症。
はい!?
(日高)いやいやいやいや…。
光子さんが作ってきたメニューってささんまの生姜煮野菜の酢味噌あえ青菜ソテーねえ?基本的に子供に不人気なメニューなんだよ。
(小松)それがまずいからおいしいに変わったんだからじゅうぶんじゃないか。
ウマチキは「最高においしい」なのよ。
(馬場)思考回路がまったくもって理解できない。
最高においしいって言わせたらとっとと出ていくわよ。
(晴子)結局子供たちのためなんじゃなくて自己満足なんですね。
そうよ?私の言葉でいえばプライドってやつだけどね。
(荒木)お前のプライドのために給食作ってるわけじゃないんだぞ。
作ってるのよ。
私のプライドで。
(敏子)入れまーす。
これぞ本物の味。
打倒ウマチキ!
(聡美)それではいただきます!
(一同)いただきまーす!
(あゆみ)あっナスが…ナスがトロッとしてる。
全然まずくない!意外といける!
(児童)おばちゃん!今日の給食もわりといけるよ!あらあらあらわりとなのね。
そう…。
おなかいっぱいになったらウマチキ食えねえぞ!
(児童)学校終わったらコンビニ行こうぜ!
(児童)うん!
(児童)行こう行こう行こう!
(一同)・「テッテテー。
ウマチキウマチキウマチキおいしい!」・「ウマチキウマチキ最高においしい!」
彼女の名前は星野光子
元三ツ星の天才シェフは子供たちに最高においしいと言わせることができるのでしょうか
さてさてこよいは腕の見せどころ
(児童たち)・「ウマチキウマチキ最高においしい!」イエーイ!イエーイ!何で最高においしいじゃないかな!?
(秘書)星野シェフ。
オファーはお断りしたはずですけど。
(金沢)ミッシェル・ブランショのレストランにあなた以外のシェフは考えられない。
えっ?
(秘書)うちの社長からの伝言です。
(金沢)社長自らフランスの本社にオープンの延期を掛け合いました。
(金沢)3カ月の猶予です。
その期間だけでもあなたを待ちます。
そうですか。
さすが本物の味が分かるお方は賢明な判断をなさいます。
社長にお伝えください。
そんなに長くお待たせするつもりはございません。
やり残したことを片付けてとっととそちらに参ります。
(金沢・光子)ダッコー。
意外といける!
(長沼)いくら星野シェフでも子供に最高においしいって言わせるのは至難の業だ。
(長沼)大人と子供の味覚が違う。
(小林)でも星野シェフのことだから絶対認めないだろうな。
(エリック)ホント毎日大変でしたね。
(一同のため息)《気に入らない》《えっ?》
(小林)僕なんて和牛のさしの入り方が気に入らないからってその日使う肉を返品させられましたよ。
《使いたくない》《ホワット?》
(エリック)いやいや俺なんて4kg以上の別格のマダイじゃないと使いたくないって賄いに回されたんだぞ。
《3mmじゃない。
やり直し》《えっ?》
(コミ)いやいや僕なんて野菜を3mm角に切れって言われて定規でチェックされましたよ。
(コミ)今は食材の変更もなし。
決められたルーティンで楽ですよね。
でもあの人がいると毎日予想外のことばかりで面白かったよな。
・
(篠田)星野光子はもういない。
彼女が私たちの業界に戻ってくることはないんですよ。
二度とね。
(早紀)そう簡単に星野シェフをフレンチの世界に戻すわけにはいかない。
(須藤)何でなんすか?
(早紀)星野シェフは今まで名だたる食通から最高の評価を得てきた。
その彼女が悪戦苦闘する姿を視聴者はもっともっと見たいわけ。
ちょっと何やってんの。
あんたも何やってんのそれ。
お尻が軽く見られるよ。
(須藤)いやでも最近星野シェフの給食は子供たちにおいしいって評判っすけどね。
そうね。
でも子供たちのおいしいが大人たちのおいしいとは限らない。
親子給食会?
(早紀)親子で一緒に給食を食べる学校行事です。
(荒木)それもう半年前にやった。
(早紀)星野シェフの給食作りが話題で親御さんたちも興味を持ってるんです。
校長先生もぜひお願いしたいと。
(日高)前回好評でしたよね。
荒木さんの作ったキムチチャーハンうまかったな。
ふーんその人が作って?
(馬場)絶品でした!
(敏子)大人たちも大喜びだったよね。
ホントに?
(日高)また食べたいなぁ。
(荒木)バカ野郎お前たち。
あんなの大したことない。
でいつやんだ?
(早紀)来週の木曜日です。
(晴子)えーっと…その日はコールスローサラダ白桃フルーツポンチにナポリタンです。
(小松)ちょうどいいじゃないですか。
子供が大好きなナポリタンだし。
要は同じ料理同じ味付けで子供だけじゃなく大人にも最高においしいって言わせればいいってことね。
面白そうじゃない。
(日高)あっ大人はね大人バージョンでいいから。
どういう意味?
(敏子)最後にこっそり大人の方の味付けを変えるの。
基本子供向けに作ってあるから大人には合わない。
(小松)そこで元居酒屋店主の荒木さんの本領発揮だよ。
味を大人向けに合わせんだよ。
今何て言った?だから…荒木さんが…大人向けに味を調える…。
味を調える?
(小松)何か俺まずいこと言ってる?親子給食会は親と子供が同じ給食を食べるんでしょ?何で大人だけ味を調えるのよ。
ルールルールルールルールルールルール!給食にはルールがあるって散々言ってたのはあなたたちじゃないんですか?
(荒木)子供たちの給食のルールは守ってる。
大人に対して大人用の味付けするだけだ。
あらあらら。
ずいぶんと都合のいいルールだこと。
(荒木)そもそも親子給食会っつってもこれ大人のためにやるもんなんだ。
大人のため?給食に信頼を置いてもらって大人たちに給食は素晴らしいって思ってもらうためのイベントなんだ。
主役は大人。
大人においしいと思ってもらうことが何より大事なんだ。
親子給食会だけ特例ってことですよね。
私に特例は必要ないわ。
いいかお前。
なっ。
これナポリタンなら子供向けに作ったらなっ?大人は酸味がなくて甘過ぎんだよこれ。
で今度大人向けに作ったら酸味が壁となって子供の口に合わねえんだよ。
分かんだろ?だから大人と子供の味を2つに分けるんだ。
普通の料理人ならね。
きたきた。
今まで私は同じ料理を違う味付けにしたことはないわ。
星野光子のオニオングラタンスープは星野光子のオニオングラタンスープ。
星野光子の舌ビラメのムニエルは星野光子の舌ビラメのムニエル。
私の料理は誰が食べても最高においしいのよ。
(晴子)私は荒木さんが言ってること間違ってないと思います。
はい?
(晴子)ナポリタンのソースは子供向けにケチャップで味付けして甘さを際立てる。
大人にはそれにトマトピューレで酸味を加える。
荒木さんはあなたの大好きな手間暇をかけて親子給食会を盛り上げようとしてるんです。
フッ。
私ならまったく同じ味付けで大人からも子供からも最高においしいって言わせてみせるわ。
そんなことできるわけない。
だからそれをやるって…。
あなたの身勝手なプライドで親子給食会を楽しみにしている子供たちの気持ちを踏みにじるのはやめてください。
・
(子供)ウマチキ最高!
(子供たち)最高!うめー!おいしい!ウマチキ1つ。
ああ…たった今売り切れました。
え〜!?また?
(男性)ウマチキ最高!
(男性)これホントにうまいよな。
(男性)最高だよな。
(男性)何杯でもいけちゃうもんな。
(男性)飲み過ぎだって。
(男性)うんめぇ!
(男性)こりゃ侮れませんな。
(一同)アハハハ!
(男性)何だよおばさん。
いやいやあなたもたいがいだけどさ。
それってそんなにおいしいの?
(男性)最高だよこれ!大人も最高においしいの?
(男性)めちゃくちゃうまいよな。
大人もむちゃくちゃうまいの?ふーん。
何だよ。
うん?あー!
(男性)何なんだよもう。
えっ?あー。
あ〜。
あー…。
いいよ1個やるよ!やだ何か…あらごめんなさいね。
はいいただきます。
ふーん…。
おいしい。
しょうゆ1。
みりん2。
酢1。
ニンニクショウガリンゴ…。
食べただけで分かんのかよ!酸味と甘味のバランスが絶妙。
やるじゃない。
ウマチキ。
(男性)だろ?甘さの中にある微妙な酸っぱさがこれまたいいんだよ。
(男性)その甘酸っぱい感じがこのビールによく合うんだよな。
(男性)あれ?あんたどっかで見たことあるな。
騒がないでよ?人が集まってきたら困るんだから。
あっ!食中毒シェフ!そっち?子供がおいしい…。
(浩太)《ウマチキ最高!》大人もおいしい。
(男性)《ウマチキ最高!》甘味と酸味。
(男性)《甘さの中にある微妙な酸っぱさがこれまたいいんだよ》
(子供)ヤバい!痛っ!
(子供たち)すいません。
あっ!またまた前のおばさん!あらあらあら。
またまた元気ね。
守れ!望むところよ。
とうっ!ああっ!
(子供たち)やった!本番はゴラッソ決めてみせようぞ。
鍵は甘味と酸味のバランスね。
わぁ…プレミアムルビー。
アメーラルビンズ。
天然水トマト。
フルーツトマト。
こんにちは。
いらっしゃい。
あった。
レッドマリ。
フルティカトマト。
カンパリトマト。
チェリートマト。
こんばんは。
いらっしゃいませ。
カクテルトマト。
ぴゅあトマト。
南郷トマト。
金太郎トマト。
うう…。
ただいま…。
うう…。
よっと。
ハァ…。
ハァ…。
よしっ。
うん。
やっぱり甘い。
う〜ん酸っぱい。
んっこれも酸っぱい。
うわぁおいしい。
ってことは大人の味ね。
まだまだ酸っぱいな…。
これじゃないな…。
これはソースにいいけど…パスタじゃないなぁ。
これキープだな。
うーん!惜しい。
頼む!いけるかも。
これよこれ!金太郎トマト。
完熟の金太郎トマトがどうしても欲しいの300個ぐらい。
お幾ら?
(男性)1個300円。
300個で9万ぐらいだな。
ルールがあってね1個100円ぐらいにならないかしら?
(男性)無理だよ。
どこの農家でもその値段じゃ卸してくれないよ。
こっちはその値段に見合ったものを作ってるんだよ。
そうよね…。
(男性)ちょっとすいません。
ああすいません。
うん?
(荒木)3日後の親子給食会の作業分担だ。
予定どおりナポリタンは大人と子供の味2種類でいく。
(日高)はーい。
その必要はないわ。
言ったはずよ。
同じ味付けでいくから。
いくからって…いけるわけねえだろ。
引き落としするぞ…。
親子給食会はいつもの324食に合わせて子供たちの親の分そのほぼ倍の600食作んなきゃいけないんだぞ。
(荒木)失敗してやり直す時間なんかないんだぞ。
メニューを決めるのはあなた。
調理をするのは私。
これもルールのはずよ。
それじゃお先に。
(小松)同じ味付けなんて絶対無理だ。
大人と子供はまるで味覚が違うってこと分かってないんだよあの女は。
(馬場)解けない難問ミレニアム懸賞問題みたいなものです。
(日高)何それ?
(馬場)数学上いまだに証明が得られていない命題です。
解けたら100万ドルの懸賞金が支払われるので日々私はP≠NP予想に取り組んでいます。
(荒木)できたぞー。
(小松)おお!日高お前酸っぱいの苦手だろ?子供バージョンな。
(日高)ありがとうございまーす!
(荒木)はるちゃんも子供バージョン食べたいっつったな。
(晴子)ありがとうございます。
(荒木)他のみんなは大人バージョンだ。
(小松)いただきまーす。
(日高)うん!うーん…うまいなこれ。
(馬場)うん。
おいしい!
(小松)うまっ。
トマトの酸味が効いててうまいな。
(日高)甘くておいちい!ちょっと交換。
(日高)何だよもう…。
はいはい。
(日高)どれどれ…。
(小松)甘っ!駄目だ。
(日高)酸っぱ!稔ほら甘いの返して。
(敏子)やっぱり同じ味付けで大人と子供両方においしいと言わせるなんて無理よ。
(小松)駄目駄目。
(日高)あり得ないよね。
(馬場)そう簡単に難問は解けませんよ。
(篠田)今度の週末民自党の西田健太郎先生が10歳になるご子息の誕生日を祝いたいそうです。
(奥寺)10歳ですか…。
メニューはどうしましょう?
(篠田)西田先生たっての希望でご子息と同じ物を食べて祝いたいとおっしゃっています。
(奥寺)同じ物…。
(篠田)A5ランクの米沢牛ヒレステーキでいきましょう。
しかし味は大人と子供で変えてください。
では…大人の方にはポルト酒とマデラ酒を煮詰めたソースで。
お子さまには生クリームを混ぜたクリームソースでいかがでしょうか。
いいですね。
それでいきましょう。
(篠田)どうされましたか?
(奥寺)いや…。
こんなとき星野シェフならどうされたのかなと思って。
あなたは三ツ星シェフです。
彼女は給食の調理師。
土俵が違います。
意識する必要はありませんよ。
(奥寺)はぁ…。
実は3カ月後の東アジア首脳会議の総料理長はぜひ奥寺シェフにと西田先生が根回しをしてくれてるんです。
完璧なおもてなしで迎えましょう。
(切る音)
(自転車のベルの音)
(小松)おはようございます。
(日高)昨日ごちそうさまでした。
(荒木)お前ら走れ。
近い近い近い。
(馬場)親子給食会どうなるんですかね?
(小松)うまくいくわけないだろ。
(敏子)残せるものなら残してごらん。
全部私が食べちゃうから。
下処理終わってますから。
(荒木)そうか。
いいか。
子供用にはケチャップ。
大人用にはトマトピューレ用意するぞ。
始めよう。
そんなもの必要ないわ。
トマトソースでいくから。
(荒木)トマトソース?星野光子のナポリタンは星野光子のナポリタンなのよ。
さあ始めるわ。
(日高)はいどいてくださーい。
敏子はんお願いしまーす。
ねえ…ケチャップ使わないでトマトソース使ったら俺も含めて子供には酸っぱ過ぎるって。
普通のトマトならね。
(小松)どういうことですか?静岡県産の金太郎トマト。
その完熟した甘い物を使ってるの。
ちょっと待てお前。
そんなもん使ったら予算にはまんねえだろ!熟し過ぎてお店には出せないものなの。
《こちらのトマトは?》
(男性)《熟し過ぎて売れないものだよ》《ちょっと…頂いてもいい?》
(男性)《どうぞ》《うん!おいしい!》《うーん!甘〜い!》私の類いまれなる交渉能力をもってすれば300個ぐらいかき集めるなんて簡単なことです!《とう!》
(男性)《はい。
やるよ》《ありがとうございます。
やったー!》
(拍手)
(一同)《やったね。
ありがとう》
(荒木)だからってお前そんなたくさん…。
即日使用限定だけど前日調理が禁止されてる給食にはぴったりだと思いませんか?
(日高)おう…。
(児童)先生上手。
(聡美)ありがとう。
(教師)はいみんな。
親子給食会のために班作るよ。
(児童)はい。
(教師)はいこっちにやって。
もう少し。
(晴子)それもうじゅうぶん加熱してますよね?4時間煮込んでる。
(小松)よ…4時間?完熟トマトにも酸味はある。
それを長時間加熱することでぐっと甘味が引き立ってくる。
生のトマトの自然な甘味と酸味が絶妙なバランスで混ざり合えば大人も子供もおいしいと思うはずよ。
(須藤)星野シェフ楽しそう。
大人と子供両方からおいしいと言わせることができるかどうか。
(須藤)俺はもう普通にわくわくしますよ。
(早紀)そうね。
(日高)ホントにこれでうまくいくの?
(敏子)そう簡単にうまくいくはずがない。
(馬場)解けない難問ですから。
(日高)はい馬場さん5年1組。
(馬場)はい。
(教師)こんにちは。
低学年こちらです。
(児童)あっ!ママが来た!完成です。
(聡美)お願いします。
(玉枝)はい。
(玉枝)大人用は?
(聡美)ありません。
(玉枝)はい?
(聡美)大人も子供もおんなじ味付けだそうですよ。
(玉枝)まぁ!どうぞ。
(母親)ありがとうございます。
(荒木)《子供向けに作ったら大人には酸味がなくて甘過ぎんだこれ》
(日高)《ケチャップ使わないでトマトソース使ったら子供には酸っぱ過ぎるって》
(小松)《同じ味付けなんて絶対無理だ》
(敏子)《そう簡単にうまくいくはずがない》
(馬場)《解けない難問ですから》ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ハァ…。
残せるものなら残してごらんなさい。
私が作った最高においしいナポリタン。
(聡美)こちら星野シェフです。
それではいただきます。
(一同)いただきまーす。
召し上がれ!
(浩太)こんなナポリタン食べたことない!
(児童)うん初めて!最高においしい!
(児童)すごいおいしい!
(小松)問題は大人だ。
(あゆみ)おいしいねお母さん。
ホントこんなナポリタン食べたことない。
これすごくおいしい!
(浩太)パパどう?これめちゃくちゃうんめぇよお前。
酸味と甘味が絶妙だな!最高においしい!
(児童たち)おいしい!絶妙だね!子供も。
(日高)大人も。
(馬場)おいしい。
(敏子)最高にってね。
(2人)最高においしい!
(浩太)家でも食べたいね。
今度お母さんに頼んでみよう。
超うめぇ。
(聡美)これホント最高においしい!
(児童)本当においしい!
(児童)このナポリタン最高においしいね!
(児童)野菜も甘くてすんごいおいしい!
(児童)うちのよりおいしい!須藤ちゃん何やってんの!ここアップでしょアップ!はい!あら皆さんどうですか?おいしそうなナポリタン。
誰が作った?
(一同)星野シェフ。
あら。
どうですか?皆さんお味の方は。
(一同)最高においしい!うわぁうれしい!最高付いちゃった!どうもありがとう!さあ召し上がれ召し上がれ。
ねえねえ。
ウマチキとどっちがおいしい?
(2人)このナポリタン!勝った!
(児童)・「テッテレー!」
(一同)・「ナポリタンナポリタン」・「ナポリタンおいしい!ナポリタンナポリタン最高においしい!」よかったー!
(一同)イエーイ!これで私の給食作りは終わり〜。
心置きなく元の世界に戻れるわ。
(小松)えっ?ほら例のミッシェル・ブランショのオファー断ったじゃない?でも私の腕を見込んでどうしても待ちたいって。
(日高)ああ…。
(須藤)矢口さん。
皆さん。
短い間でしたけど…。
やっぱり全然世話になってませんけど。
アハハ。
お疲れさま。
何かムカつくけどまぁ結果オーライだ。
私たち何にも無茶してないし。
(馬場)星野さんが1人でやって1人で納得して出ていく。
これは最高の結果です。
(日高)さみしい!でも正直いつ早く来て働けって言われるか怖かったっす。
まぁ企画が終わるのは残念ですけど番組的にも最高の終わり方ができてよかったですよ。
自分のプライドが満たされたら給食作りは終わり。
やっぱり子供たちのことなんて何にも考えてなかったんですね。
それを考えるのは私の仕事じゃないわ。
皆さん。
お勉強になったんじゃないですか?これからは私のやり方を参考になさって構いませんよ。
(荒木)お前のやり方なんか参考になんかできない。
お前が作ってきた給食なんかこれから出せるもんじゃないんだよ。
どうして?お前みたいに毎日毎日朝早くから何時間もかけて仕込みなんかできるわけないだろ。
やればいいじゃない。
みんな生活があるんだぞ。
限られた条件の中でやれることやってくしかないんだ。
そうやって納得させてるのね。
(荒木)何度も言うけどなここは三ツ星レストランじゃないんだぞ。
給食作ってんだぞ。
三ツ星だろうが給食だろうが料理をお客さまに出す。
そのことは何も変わらない。
料理人なら食べたお客さまがおいしいと思うこと。
それが最高の喜びでしょ?そのためならどんなに大変なことであってもできることは全部やる。
ベストを尽くす。
それが私の料理人としてのプライド。
まぁもう会うこともないでしょうし私はいなくなる人間ですから。
今度こそホントにオヴォワー。
はいすいません。
(荒木)おっおっおっおお…。
(あゆみたち)すいません。
(あゆみ)あっ給食のおじさん。
今日ありがと。
(荒木)あっ?
(あゆみ)ナポリタン最高においしかったよ!
(児童たち)ねっ。
(あゆみ)トマト酸っぱくて嫌いだったの。
でもいっぱい使ったって聞いてびっくりした。
そっか。
(あゆみ)これからもおいしい給食を作ってね。
行こう。
(児童)うん。
ねえねえあしたの給食何かな?
(あゆみ)今日おいしかったからあした楽しみだね。
(児童たち)ねっ。
(長沼)本マグロと帆立貝のタルタルレフォール風味です。
アンコウのメダイヨンスパイス風味です。
米沢牛シャトーブリアンのステーキトリュフとセップ添えです。
(公美子)うーん。
おいしい。
(健斗)おいしい!お母さんのもちょっとちょうだい?
(公美子)こら。
お行儀が悪いでしょ。
(健斗)何これ。
何か味が違う。
(西田)ハハハ…それは大人の味だ。
健斗のは味を変えてくれてるんだよ。
この味が分かるようになるのはもう少し大きくなってからだな。
ハハハ…。
お口に合いましたでしょうか?
(西田)いやぁおいしかったですよ。
なぁ健斗。
(健斗)うん…。
さすが西田さまのご子息ですね。
最高級のシャトーブリアンの味を分かっていらっしゃる。
まぁ息子には本物の味を教えたくてね。
幼いころから一流の店に連れていくようにしてるんですよ。
(篠田)ご子息はすでに本物の舌をお持ちなんですね。
(公美子)次来たときは何を頂こうかしらね。
(健斗)ナポリタン。
テレビでやってた給食のおばさんの作ったナポリタン。
あのナポリタンなら大人と同じ味でも最高においしいんでしょ?
(健斗)食べてみたいな…あのナポリタン。
・
(拍手)
(篠田)お見事。
テレビで見たよ。
同じ味付けで子供にも大人にも最高においしいと言わせるなんて。
(篠田)さすがだよ。
何であなたがここにいるのよ。
(篠田)ミッシェル・ブランショの服気に入ってるんだ。
このスーツどうかな?新調したんだ。
はいはい。
とてもよくお似合いよ。
ミッシェル・ブランショ独特の優雅で繊細なフォーム。
素晴らしい。
スーツが気に入ったのは分かりましたけど。
ここにオープンするフレンチレストランも優雅で繊細な味で楽しませてくれるんだろうね。
はい?オヴォワー。
契約を白紙にってどういうことですか?
(金沢)それが急に本社のCEOがですね当初の予定どおりシェフはフレディック・ショパンでいくようにと言ってまいりまして。
フレディックはパリの店に引き抜かれたっておっしゃったじゃないですか!
(金沢)そうなんです。
そのフレディック・ショパンを引き抜いた店のオーナーとうちのCEOの間に入って交渉してくださったという日本人がいたらしいです。
(金沢)そのお方にわざわざお骨折りいただいたのでシェフの変更は認められないと。
最高においしかった。
ハハハ…。
(小松)はるちゃん!おはよう。
(晴子)おはようございます。
(小松)今日の賄い俺作るから。
はるちゃんに俺の特製ちゃんこごちそうする〜。
ねっ?
(日高)はるちゃん!これね来る途中で見つけたのどうぞ。
(馬場)ダリア!日高さんらしい花です。
花言葉は「移り気」
(日高)そうそうそうそう。
これからはねはるちゃん一筋!
(馬場)勝利の女神がいれば負ける気がしない!
(敏子)あ〜思いっ切り買い物して思いっ切り食べまくりたい。
(小松)それいつもと変わらないだろ!
(敏子)そりゃそうだ。
(一同)アハハハ!
(敏子)何か広〜い!
(馬場)1人いなくなるだけでこれほどの開放感があるんですね。
(日高)あの人でかかったからね。
(小松)前みたいに楽しくやりましょう荒木さん。
(荒木)あっ?ああ。
(小松)あれ?何か音しない?
(日高がにおいを嗅ぐ音)
(日高)何かいい匂いするね。
(敏子)まさかね?
(馬場)まさかですよ!
(日高)まさかまさか。
(小松)いやいやまさかだよ…。
だって…えっ?
(日高)えっ?ちょっ…えっ?
(小松)いるよ?
(敏子)何で?
(日高)普通に仕込みやってる。
(荒木)何やってんだお前。
あらおはよう。
私の給食ね大好評なんですって。
だからどうしても残ってくれって学校からもテレビ局からも言われちゃって。
だからもう少し残ってあげるから。
(一同)え〜!?
(馬場)1人戻ってくるだけでこんなに圧迫感があるんですね!
(小松)最悪だ…。
ちゃんこ作る気もうせた…。
(日高)あっ稔もしおれてる。
(敏子)食欲も買い物欲も一気にうせた。
(馬場)今日の競艇中止!
(荒木)まぁいいじゃないか。
(一同)えっ!?
(小松)荒木さん!?
(早紀)皆さんおはようございます。
(小松)いったいどういうことだよこれ!
(早紀)それがミッシェル・ブランショのレストランのシェフ当初決まってた人にお店を任せるとかで星野シェフの契約が中止になったんです。
(晴子)つまりどこにも行く当てがないってことですよね?
(早紀)そういうこと。
ですので星野シェフの給食作りはこれからも続きます。
終わってるから。
後よろしくね〜。
(荒木)よし始めるぞ。
(一同)はい。
(日高)光子さんラジオ体操にも顔見せないね。
ご自慢のプライドがへし折られたから。
(敏子)さすがに気の毒ねぇ。
(小松)ちょっとは懲りたのかな?
(日高)いやいやあの人普通じゃないですよ。
(馬場)あの女の人に反省の文字はない。
(日高)俺さぁ朝弱いからさ早く来いとか言われても余計な手間暇絶対やんないからね!当然だよ。
星野のやつに自由なんかさせてたまるか!今度何かあったら引き落としするぞ!・しゃあ!あっ…。
お…落ち着いて。
何でも言うこと聞くから。
えっ?えっ?
(馬場)話せば分かり合えるはずです!
(日高)手伝います!手伝いますから。
これからね1時間でも2時間でも早く来るからさ!おいしょ。
絶対三ツ星取り戻してみせるから!うわっ!
(荒木)取り戻すってお前…働かせてくれるレストランどこにもねえんだろ?うーっし!自分の店出すから。
(一同)え〜!?えっ?誰にも頼れないんなら自分で自分の店を作るの。
2016/10/27(木) 22:00〜22:54
関西テレビ1
<木曜劇場>Chef 〜三ツ星の給食〜 #03[字][デ]【最高においしいナポリタン!】
三ツ星レストラン復帰への関門は…ナポリタン!?親と子供…味覚が違う両世代に最高においしいと言わせるために!光子が親子給食会で最高のナポリタン作りに挑む!
詳細情報
番組内容
自分が作った給食よりも、コンビニの唐揚げの方が「おいしい」と言われショックを受けた光子(天海祐希)は、自分が作った給食を「最高においしい」と言わせるまで学校に残ると決断。それを聞いた荒木(遠藤憲一)や晴子(川口春奈)らは、光子の料理にかけるプライドに驚きを隠せない。同じ頃、光子を訪ねてフランスのファッションブランド“ミッシェル・ブランショ”の金沢(西村和彦)がやってくる。店舗の最上階に
番組内容2
オープンするフレンチレストランのシェフへのオファーは断られたが、光子以上のシェフはいないと熱望する社長が、3カ月間待つと言っているという。光子は、そんなに待たせるつもりはないと断言する。
そうはいっても、給食作りでの苦戦は続いていた。その様子を映したテレビ番組は、相変わらず人気で、篠田(小泉孝太郎)も光子の動向を気にしていた。そんな折、親子で一緒に給食を食べる行事が行われることになり、メインが
番組内容3
ナポリタンだと発表された。親子ともに「最高においしい」と言わせるために、光子はやる気満々に。ところが、小松(荒川良々)から、子供向けに作ったものを最後に大人向けに調味するのだと聞かされ不快感を示す。今まで同じ料理で味付けを変えたことはないという光子は、自分なら全く同じ味付けのナポリタンで、大人にも子供にも「最高においしい」と言わせる自信があると胸を張る。
出演者
天海祐希
小泉孝太郎
川口春奈
荒川良々
池田成志
市川しんぺー
伊藤修子
・
豊原功補
・
友近
遠藤憲一
他
スタッフ
【脚本】
浜田秀哉(『ナオミとカナコ』、『ラストホープ』他)
【演出】
平野眞(『5→9 〜私に恋したお坊さん〜』、『HERO』他)
田中亮(『ラスト・シンデレラ』、『オトナ女子』他)
森脇智延(『HERO』、『医龍−Team Medical Dragon−』他)
【プロデュース】
長部聡介(『離婚弁護士』、『医龍−Team Medical Dragon−』他)
スタッフ2
高田雄貴(『OUR HOUSE』、『テディ・ゴー!』他)
【主題歌】
松任谷由実「Smile for me」(EMI Records/ユニバーサルミュージック)
【制作】
フジテレビ