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字幕書き起こし NHKスペシャル「あなたもなれる“健康長寿” 徹底解明 100歳の世界」 2016.10.29

自転車でさっそうと現れた男性。
皆さんいくつに見えますか?なんと…一日10km走るのが日課です。
こちらは105歳の現役理容師。
老眼鏡なんて要りません。
見事な手さばきです。
そして世界最高齢の水泳選手。
健康長寿を実現したセンテナリアンと呼ばれる100歳高齢者たち。
今世界中の研究者がセンテナリアンに潜む健康長寿の秘密を解き明かそうとしています。
明らかになってきたのは体内でひそかに進む老化がさまざまな方法で抑えられている事実でした。
センテナリアンが摂取していた老化を食い止める食事とは。
更にある精神状態が遺伝子に働きかけ老化を抑えているという発見も!・「ハッピーバースデートゥユー」あなたも実現できる可能性が見えてきた健康長寿。
今日は今月105歳を迎えたこの方と共に徹底解明します!わ〜日野原さんいらっしゃいました。
こんにちは〜。
よろしくお願い致しま〜す。
よろしく。
お願い致します。
お願いします。
よろしくお願いします。
真ん中の席へ。
お願い致します。
今日は体調いかがですか?非常にいいです。
非常にいいですか?よかった〜。
よかった〜。
日本を代表するセンテナリアン日野原重明さん。
今月105歳になられました。
105歳。
105歳。
おめでとうございます。
おめでとうございます。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
今の目標が東京オリンピックでいらっしゃるんですか。
109歳。
そうですね4年後ですからね。
ええ。
それを目標にしていますよ。
ああ〜。
すばらしい。
いいですね。
この日野原さんのように100歳を超えた人たち1世紀…センチュリーを生き抜いた人としてセンテナリアンと呼ばれています。
その数日本で急増していまして先月発表された最新の統計では6万5,692人と過去最高を記録しています。
世界全体では45万人に上るんですよね。
長生きが当たり前の時代になる中で今誰もが願うのが元気で長生きしたいという事だと思います。
「そんなの無理。
もともと長生きの家系じゃないから」と言う方もいらっしゃるでしょう。
ところがですね今世界中で100歳を超えても健康で長生きしている人たちの研究が進んでいまして誰でも条件次第で健康長寿を実現できる可能性がある事が分かってきたんです。
誰でもある。
誰でもありますか?そうですよ。
とおっしゃってます。
はい力強いお言葉。
この番組を見ればあなたも元気なセンテナリアンになれるかもしれません。
という事でどうすれば元気で長生きできるのか早速その秘密を徹底究明していきます。
ここに健康長寿の鑑ともいえるセンテナリアンがいます。
それがこの方!私田谷きみです。
生まれが大正4年の2月14日バレンタインの日です。
家族5人で和菓子屋を営む田谷さん。
地域でも評判の看板娘です。
営業は朝8時から夕方6時まで一日10時間。
接客からレジ打ちまでほとんど全てを田谷さんが担っています。
7,000と400と10円になります。
そうですか。
調べて下さい。
そうなんですか!?101歳!?すご〜い!おばあちゃんごはん出来ました〜。
は〜い。
食事は一日3回。
いつも決まった時間に食べる事にしています。
野菜を使った料理を中心に何でも好き嫌いなく完食します。
初めまして〜。
田谷さんの健康長寿の秘密はどこにあるのか。
その解明に挑んでいるのが慶応大学の広瀬信義さんです。
これまでに800人を超えるセンテナリアンを調査してきましたいや〜若くないですよ。
血液検査や認知機能の測定などあらゆる角度から探っていきます。
おっすごい!何が田谷さんの若さにつながっているのか。
慶応大学では測定したデータを詳細に解析。
その結果一般高齢者とは異なるある特徴が見つかりました。
体の中で起きている炎症の度合いです。
これは血液検査で分かる体内の炎症レベルを示すグラフです。
一般の人の基準値と比べて田谷さんの炎症レベルは。
極めて低い数値である事が分かったのです。
でも炎症のレベルが低いって一体どういう事なんでしょうか。
まず炎症には2つの種類があります。
一つは急性炎症。
ケガをした時に腫れ上がるなど病原菌などから体を守るために起こる一時的な炎症です。
もう一つは慢性炎症。
誰でも加齢とともに徐々に進む炎症で急性炎症と異なり自覚症状はほとんどありません。
田谷さんはこの慢性炎症が極めて低く抑えられていたのです。
慢性炎症は体にどのような影響を及ぼすものなのか。
高齢者の病理学研究からその実態が明らかになってきています。
これは炎症のレベルの違う2人の高齢者の動脈です。
こちらは慢性炎症が進んだ人の血管です。
動脈硬化によって変色。
80代で亡くなりました。
一方こちらは炎症がほとんどない人の動脈。
柔軟性がありきれいな状態で保たれていました。
実はこれ108歳まで生きたある有名なセンテナリアンの血管です。
日本に100歳ブームを巻き起こした双子姉妹の蟹江ぎんさんです。
100歳を超えても健康長寿を保っていたぎんさん。
その背景には慢性炎症の低さが関わっていたのです。
慢性炎症は全ての人の健康長寿に関係があるのか。
慶応大学では1,500人の高齢者を最大10年間追跡調査。
最新のデータがその謎に光を当てる事になりました。
調査では臓器の状態や代謝など体のどの機能が寿命の長さに関係しているかを分析。
その結果唯一寿命との明確な関わりが見られたのが慢性炎症だったのです。
これは慢性炎症と生存率の関係を示したグラフです。
赤い線は慢性炎症のレベルが高い人。
年を追うごとに生存率は低下していきます。
炎症のレベルが低い人ほど生存率は上昇。
最も炎症が低い青のグループは生存率が高くより寿命が長い事が明らかになったのです。
この傾向は調査した全ての年齢層で一致。
慢性炎症があらゆる人にとって重要である事が示されました。
という事はやはりこの慢性炎症を抑えるという事が健康長寿の達成には重要ではないかという事が言えます。
健康長寿の秘密慢性炎症と深く関わってるという事が見えてきたんですね。
慢性のね一番多いのは糖尿病を持ってるとかなんか。
インシュリン
こういうものがねありますとやっぱり今言った長生きが非常に難しいと思いますがそれ以外にですねいろんな意味の慢性炎症を持ってるとそれがマイナスになってくる。
はあ〜。
ここからはもう一方加わって頂きます。
どうすれば体も心も健やかに長生きできるのか。
その最先端の研究に取り組んでいらっしゃいます京都大学名誉教授の鍋島陽一さんです。
よろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
私も歯とかですねいろんな所が炎症が起きるんですが慢性炎症ってどういうものの事なんでしょうか。
例えばばい菌が入ったとか傷をつけたとか何か組織にダメージがあったというのは基本的には急性炎症で一定の間に治癒するようになってるんですが慢性炎症は今のように細胞の老化あるいは免疫応答の低下による非常に弱い炎症が全身に起こる事で。
全身に起きるんですね。
(鍋島)ええ。
私たちはそれは気付けるんですか?なかなか気付かない。
年を取るとともに慢性炎症っていうのは?ある意味では必然的に起こってくる。
必然的に起こる訳ですね。
慢性炎症が起きる仕組みの一つです。
体の中の細胞が老化するとその細胞からサイトカインと呼ばれる炎症を引き起こす物質が分泌されます。
それが周囲の細胞を老化させ炎症が広がります。
更に死んだ細胞からは細胞の断片や老廃物が出され更なる炎症の引き金になるのです。
本来我々はこういう時には免疫応答で素早くこれらのものを取り除く機能を持っているんですが年とともにだんだん免疫機能も落ちてくるものですから。
あれを取り除くという機能も悪くなるんですね。
結果としては全身にだんだん広がっていってしまうと。
そういう事があると糖尿病動脈硬化それから…拘束性の肺疾患とか心筋梗塞心不全とかさまざまな重大な病気になる事に関わってる事はもう明確です。
その慢性炎症が。
はい。
それからそういう疾患に関わるとまた慢性炎症を悪くする。
そういう意味で慢性炎症が起こってるという事はさまざまな加齢の疾患になりやすい事は間違いありません。
…となってくると今自分がどれぐらい炎症が進んでいるのか気になってくると思うんですね。
それ知りたいね。
老化度チェックをしたい。
そうも言えるかもしれないですね。
こちらはですね人間ドックの血液検査で調べる事ができます。
CRPという炎症を測る指標の一つなんですね。
数値があります。
0.30以下ですと基準範囲
そのあと数字が上がっていくに従って炎症の程度が大きくなっていきます。
ちなみにVTRでご覧頂きました田谷さん。
こちらです。
0.03!これは基準値を大幅に下回っていますよね。
でも皆さん慢性炎症が低くて長生きな人は長寿の家系に生まれたりした特別な人だと思っていませんか?いえいえ!とても興味深い研究結果があるんです。
それはデンマークで行われた同じ遺伝子を持つ双子の研究です。
10万組の双子の寿命を生涯にわたって追跡調査しました。
これは双子の死亡年齢を表すグラフです。
双子のAとB共に80歳で亡くなった場合はこのように示されます。
2人の死亡年齢が近いほど赤い線に近づきます。
調査の結果同じ遺伝子であるにもかかわらず寿命には大きな差が生じる事が分かりました。
ハ〜イ!寿命を決めるのは遺伝的要因が25%環境要因が75%である事が明らかになったのです。
先ほど出てたように遺伝子ではほとんど決まってないとまあ25%でしたからやはり遺伝子よりは環境要因の方が強いという事でしたので炎症を抑えるための取り組みはあるいは何かの試みはできるという事はほぼ間違いないと思います。
そこのところがだから長寿のポイント。
そうだと思います。
その慢性炎症をどう防ぐかという事が。
そうですよね。
ポイントですよね。
そこで研究者が今注目しているのがこちらなんです。
センテナリアンが局地的に多い長寿のホットスポットと呼ばれる場所青く示した部分ですね。
アメリカ西海岸の一部ですとかコスタリカの半島そして日本の沖縄もそれに含まれます。
更にヨーロッパ行きましてイタリアなどなどアメリカヨーロッパの研究チームが世界中を回って見つけ出したんです。
どうすれば慢性炎症を抑える事ができるのか。
長寿地域のライフスタイルにその手がかりを探りに行きました。
長寿地域の一つイタリア南部のアッチャローリです。
今年人口2,000人のうち300人がセンテナリアンだと報じられ世界の研究者から注目されています。
なぜセンテナリアンが多いのか。
研究が進められているのがこの地域特有の食事です。
オリーブやナッツなど温暖な気候で育まれた食材を使った地中海食。
この地域が発祥の地だとされています。
炎症研究の世界的権威…地中海食と長寿の関係を調べるため大規模な研究を続けています。
栄養士の指導の下でヨーロッパ5か国およそ600人の高齢者に地中海食を食べ続けてもらい体に起きる変化を調査しました。
1年後血液を採取し炎症のレベルがどう変わるのかデータを集めました。
今年出された最新の結果です。
縦軸は炎症のレベル。
横軸は地中海食をどれだけ指導どおりに食べたかを示しています。
地中海食を適切に食べた人ほど炎症の数値が低くなる事が確かめられました。
地中海食に特徴的な…これらに含まれる脂肪酸ポリフェノールリコピンなどの炎症を抑える成分が影響を与えたのではないかと専門家は見ています。
ところが解析を進めた結果意外な事実が浮かび上がってきました。
慢性炎症のレベルを国別に分析したデータです。
明らかに炎症の数値が下がっていた国がある一方であまり効果が見られない国があったのです。
特にイギリスでは炎症のレベルは変わらず地中海食が全ての国の人に効果がある訳ではない事が示されたのです。
なぜ食事の効果が国によって異なるのか。
食と健康長寿の関係を調べている…調査を続けているのは中国屈指の長寿率を誇る村。
ここには95人のセンテナリアンが暮らしているといいます。
李教授は土地ならではの食材を食べ続けているセンテナリアンたちの体からある特徴を見つけました。
それは…どの地域の人とも異なるものである事が分かったのです。
腸内細菌は長年摂取した食べ物によって違ってきます。
同じものを食べても国によって効果が異なるのはこうした腸内細菌が関係しているのではないかと考えられるのです。
ここでもう一人ゲストをご紹介します。
食と健康長寿について研究をしていらっしゃいます…よろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
非常に面白いと思ったのは地域人種あるいは生活習慣によって効果のある人といない人がいるというのはとても面白いと思いましたね。
そこちょっと気になりますよね。
都築さんどう受け止めたらいいんですか?やはり人種の違い遺伝子の違いによってやはりある成分の効果が変わる事もいろいろ分かっていますし最近注目されている腸内細菌の関係でもやはり住んでる地域によって変わりますのでそういったところからも同じものを食べたとしても人種地域によって得られる効果が変わってくるという事が考えられます。
という事は日本人には日本人にふさわしいようなああいうものがあると組み合わせがあると考えたらよろしいんですか?そうですね。
やはり地中海の沿岸の人たちにとって地中海食がベストであると同時に日本人にとっては地中海食よりはもしかしたら日本食の方がベストかもしれないという事ですね。
こちら日本食の典型例をご用意致しました。
都築さんに詳しく解説して頂きたいと思うんですけれどもどれがどう重要なんでしょうか。
(都築)まずお魚。
オメガ3脂肪酸であるEPADHAがたくさん含まれていて慢性炎症が非常に抑えられる事が知られています。
都築先生の調査では魚の油を摂取するとほかの油よりも炎症の数値が40%近く下がるという結果も出ています。
同じようにその横のひじきの煮物ですね。
それで大豆による良質なタンパクや体にいいといわれるポリフェノールなども炎症を抑える事に重要です。
にんじんなり海藻にもそのような効果があっておみそ汁の中のおみそにもそういったような抗炎症成分が入っている事が知られています。
日本食と地中海食。
違って見える食事ですが共通しているのは炎症を抑える成分が豊富に含まれている事。
長い年月をかけて体に合ってきた食事の方がより慢性炎症を抑制する効果があるという事が分かってきました。
ここで日野原さんのふだんの食事をこちらにちょっとまとめてみました。
まず朝です。
毎朝です!ジュースにオリーブオイルを加える。
そして大豆の粉をまぶしたバナナを食べる。
更に動物性脂肪は控えて魚を中心にとると。
そしてカロリーコントロールもしっかりされています。
1日あたり1,300キロカロリーという事なんですね?日野原さん。
そうです。
これは私が毎日実践をしております。
これいつぐらいからずっと続けてらっしゃるんですか?もうこれは長いですね〜。
もう…20年ぐらい。
20年。
長い間やっています。
一見日本食とは異なる日野原さんの食生活。
でも体になじんでいないものを急激にとるのではなく時間をかけて食習慣にしていけば食品の効果を得られるようになっていくといいます。
あの〜それだけやっぱり健康への関心が高まり食への関心も高いんですが何て言うんでしょうかとてもこの事に関心を持ちある意味健康のオタクみたいな感じの状況もありますよね。
それはどういうふうに都築さん思っていらっしゃいますか?例えば大豆というのは非常にいいですよというふうに特集をすると大豆ばっかり次の日からひたすら大豆を食べるといったような事が日本では起こりやすいんですけども…やはりいろんなものを少しずついろんなもののバランスというのも非常に大切で日野原先生も恐らく自分の体に自分自身で聞いて最も自分の体の体調がいいものを食べているというようなニュアンスです。
センテナリアンの人たちに聞かなければならない事がまだまだあるという感じですね。
はい。
もう一つセンテナリアンの研究から食事とは別の健康長寿の要因も注目されています。
それは…世界的な長寿地域の一つ…この地域の最大の特徴は世界一男性の長寿率が高い事です。
1対9と圧倒的に女性が多い日本に比べると驚異的な比率です。
なぜ男性の長寿率が高いのか。
この島の調査を続けているミシェル・プーラン名誉教授です。
プーラン教授はこの地域の男性には共通したライフスタイルがある事を見つけました。
100歳に到達するまでの身体活動量の多さです。
ぶどう農園を営んでいる93歳の男性です。
自ら切り開いた広大な土地を毎日1人で耕し続けています。
調査の結果この地域の男性が一日に歩く距離はおよそ8kmに上る事が分かりました。
更に彼らの肉体に大きな影響を与えているのが島独特の急こう配な地形です。
一日に何度も斜面を上り下りする生活。
豊富な活動量に加えて暮らしの中に織り込まれた負荷の強い動きが健康長寿につながっているとプーラン教授は考えています。
運動が健康によい事はこれまでも知られていましたが実は最近になって炎症との関係が科学的に明らかになってきました。
先月研究者が発表したセンテナリアンのある体内の機能が今注目されています。
身体活動量が多い長寿の人の体内を調べた結果見つかった特徴です。
微小循環は全身に張り巡らされた毛細血管の中で起きている目に見えないレベルの細かな血流の事です。
細胞に必要な酸素や栄養素を送り届ける微小循環。
今注目されているのがたまった老廃物を回収するという役割です。
この微小循環が慢性炎症につながる要因を取り除き老化のスピードを緩めている可能性が見えてきたのです。
今年イタリアやアメリカなどの研究グループが長寿地域の人たちを調べたところ心臓や腎臓など臓器の機能は低下していました。
ところが微小循環だけは優れた状態を保っている事が分かったのです。
運動!?はい。
これは今までも大事っていわれてきたんだけどそれがなぜかが炎症との関係で明らかになってきたという事なんですね。
仕事を皆さんされていましたけれどどうでしょう。
仕事をするっていうのはやっぱり大事な事なんでしょうか。
私はね医者として非常に毎日忙しく働いておりますがねなるべくですね階段を上がるようにステップを少しずつ上がる。
このね階段を歩かないで平たんだけを歩いてると駄目で階段を歩きますとねどうしてもね運動があります。
日野原さんは100歳を過ぎてからも軽い腕立てやストレッチなどの運動を続けてきました。
ポイントは毎日の暮らしの中に一定の負荷を与えていく事だそうです。
こうやって体を動かす事が何て言うんですか微小な循環?血の流れを起こしてそれがひょっとすると炎症を抑える事にもつながってるかもしれない。
実は筋肉の運動というのは非常に重要な要素です。
筋肉をちゃんと鍛えていきますとその中で起こるエネルギーの消費とかそういう事で肥満も抑えられますしそれから血流がよくなるっていう事は恐らく酸素をよく運ぶ。
それから同時にそこにたまった老廃物を取り除くという事につながりますので細胞の老化あるいは慢性炎症との関係なんですが老化した細胞を取り除くと実は機能が回復するという事がネズミの実験でもそういうデータが出てきていましてだからそういう意味では老化した細胞が作り出してしまう慢性炎症を起こすようなものをできる限り取り除いた方がいいんですね。
それがもしかしたら…さてどうすれば健康で元気で長生きできるのか。
慢性炎症を抑える上でもう一つ欠かせないものがあるんです。
それは心の持ちようなんです。
最新の研究によってこんな事が分かってきました。
毎朝車を運転して出勤するこの男性。
ニューヨークに暮らす…初めてハサミを握ったのは12歳の時。
以来93年間ほとんど休まず仕事場に立ち続けてきました。
お客さんの喜ぶ顔を見る事が自分の生きる力につながっているとマンシネリさんは言います。
実はこうした満足感が慢性炎症を抑える事と深いつながりがある事が最新の科学で明らかになってきているんです。
人の満足感と炎症との関係を研究しているスティーブン・コール教授です。
コール教授は男女84人の被験者を対象にある調査を実施しました。
日々の幸せや人生での充実感。
今の自分が好きかどうかや日常で得られる達成感などさまざまな満足感を聞き取ります。
その後調査した人たちの血液を採取し分析を進めた結果満足感と炎症との関わりを示す遺伝子が見つかったのです。
この遺伝子群は人が何らかのストレスを受けた時に働きを強めます。
逆に満足感を得るとその働きが弱まります。
遺伝子の働きが緩やかになった時慢性炎症が抑えられるという相関関係が明らかになったのです。
健康長寿の大敵慢性炎症をコントロールする役割が見えてきたCTRA遺伝子群。
更に研究を進めると満足感の種類によっては全く違う働きをする事も分かってきました。
調査した人の中には満足感を得ているにもかかわらずむしろ慢性炎症が進んでしまうケースがあったのです。
炎症を抑える満足感と炎症を逆に進めてしまう満足感。
その違いはどこにあるのか。
コール教授が分類した炎症を進めるタイプの満足感です。
食べたいだけ食べる。
むやみに買い物をする。
これらは快楽型と呼ばれ自分の欲求を満たす事で生じる満足感です。
一方炎症を抑えていた満足感は…。
ボランティア活動や家族を大切にするなど生きがい型と呼ばれる満足感です。
人のために生きるという心や社会に貢献する姿勢。
それが健康長寿に結び付いているとコール教授は指摘します。
心の持ちようが健康に直接つながっていると科学の目で明らかになってきた。
そうなんですよね。
特に健康によくない快楽っていうか満足感は炎症を広げるというのはちょっと心配になってしまいました。
それに関して言いますと仕事ですとか食事とか行動そのものが悪いといいという訳ではないんですね。
その動機によって遺伝子の状態が変わるという事なんです。
例えば同じ買い物でも自分の欲を満たすためだとその満足感はあまりよくない。
けれども人を喜ばせるために買い物をするのはよい傾向にあるという事なんですよ。
へえ〜プレゼントとか。
プレゼントとか。
心の持ちようという事になるんですけども日野原さん。
非常に心の持ちようというのはとても我々の健康に強い影響を与えますね。
私はいつもねこの年になってもっともっと人のために何かねいい影響を与える事ができないかという事をいつもいつも思い続けている。
そう思い続けているという事が健康上長寿上大切だと思いますよ。
講演活動も積極的にされていますし体力的にはかなり負荷をかけていると。
体力的には負荷ですよ。
ええ。
しかし私はねそういう事をする事で生きがいを感じる。
生きがいというのはね人間の中にいでし大切なものであって生きがいを本当に感じる人と感じない人は同じ事をやっても違ってくると思いますからね。
やはり生きがいを感じるような生活を皆さんされる事をね私は心から勧めたいと思っております。
生きがい…心の持ちようと健康の関係。
鍋島さんどういうふうに思われますか?我々の気持ちとか日常的ないろんな事を含めて精神活動を理解すべき時に来てると思います。
例えば先ほどのように喜びを感じた時にはそれにどういう働きかけをするのかとかそれから本当はしたくないけどたくさん食べちゃうとか無駄な買い物しちゃうとかっていうような事をした時の精神状態はどういうふうに働くのかとか神経回路とか働くネットワークの違いによって分別されてる事がいずれは分かるのではないかというふうに思いましたね。
考えさせられます。
そうですね。
本当に。
ここまでどうすれば私たちが健康で長生きできるのか運動食事そして心の持ちようと見てきたんですけれどもとはいっても別に長生きしたくないいい事もないと思う方もいらっしゃるかもしれません。
ところがですね最新の研究で長寿を達成するととても豊かで幸せな時間を持てる事が分かってきているんです。
こちらの女性は世界最高齢のセンテナリアン。
イタリアに住む…世界で唯一の1800年代生まれとなったモラーノさん。
昔から歌やダンスが好きで頻繁に外出する活発な女性でした。
しかし100歳を超えてから体は衰弱。
家族の介護を受けていますが実はこの14年間家から一歩も外に出る事ができない状態です。
それなのに…。
ほとんど寝て過ごすだけの今が人生で一番幸せ?ちょっと信じられませんよね。
ところが最新の研究でセンテナリアンの多くが老年的超越と呼ばれる独特の心境に達している事が分かってきたんです。
老年的超越とはどのような状態なのか。
その心理を研究している大阪大学の権藤恭之准教授です。
この日権藤准教授が調査に訪れたのは…1年前家族と離れ介護施設で独り暮らすようになっていました。
今の状況をどう受け止めているのか。
75の質問項目で心理状態を探ります。
高齢者2,200人の調査結果です。
人は70歳を過ぎると年とともに身体機能は衰えていきます。
それにもかかわらず80歳を超えた辺りから今の暮らしを肯定的に捉える感情が高まり続けていたのです。
高齢者の幸福感を脳科学の視点で解き明かそうとしているマラ・マザー教授です。
マザー教授が注目したのは年を重ね高齢となっても衰えない脳の部位。
人間の感情をつかさどる前帯状皮質です。
記憶力や判断力が衰える中この部位は機能し続け人間の感情は最後まで保たれます。
マザー教授はここで高齢者特有の変化が起きているのではないかと考えたのです。
高齢者の感情を調査するためさまざまな写真を用意しある心理実験を行いました。
よい印象の写真と悪い印象の写真を高齢者と若者に見てもらいその違いを調査したのです。
結果です。
若者はよい印象の写真も悪い印象の写真も同じように記憶。
ところが高齢者はよい印象の写真をよく記憶し悪い印象の写真は記憶しないという傾向が現れました。
これが高齢者が長い人生経験を経て到達する独特の心理状況だとマザー教授は指摘します。
老年的超越の研究を続ける大阪大学の権藤准教授。
調査の終わり介護施設に暮らす宮川俊子さんに100年間の人生の幸福度をグラフにしてもらいました。
世界中で報告されている老年的超越。
独り寂しく過ごしているかに見えるお年寄りも実は豊かで幸せな時間を生きている事が明らかになってきています。
私も来年65になるんですけどやっぱり年を取ってくると本当にいろいろ心配な事が出てきてね。
だけど今の話を聞いてるとそのあとには豊かで幸せな時間が来るという事なんでしょうか。
年を取る事についてね物忘れをするとかそういう事は起こるかも分かりませんがやはり生きがいの感情が上がってくるように。
今105歳でいらっしゃいますね。
(日野原)はい。
そういういいなすてきだなっていうふうにお感じになるようになったのは何歳ぐらい?100歳を超えてから。
100歳!私たちからするとあと何年先なんでしょうか。
100歳までの人生というのは今振り返るとどうですか?相当ねつらい事が非常にあったです。
そうですか。
非常につらい事があってねどうしようかという悩みを持ったんですが…私たちの心が豊かになる。
心が豊かになって今日も明日も生きようとする大きな生きる力が与えられるっていう事を皆さんに申し上げたい訳です。
日野原さんにお話を伺ってると年を取る事ってすてきな事だなって思うんですけどもでも現実は鍋島さん年を取る事をことほげない状況もこの国にはありますよね。
そういう中でセンテナリアンの人たちの事を研究する意味をどういうふうにお考えになってますか?この国は非常に高齢化が進んでいますがこの国を救う唯一恐らく残された道はできる限り多くの人を健康で長生きしてもらうという政策あるいはそういう研究をする事だと思いますからそういう意味ではセンテナリアンの研究は非常に大きなヒントを与えてくれてるんではないかと思います。
特に今回の炎症の問題とかそれから気持ちの問題とかいろんなヒントがありましたね。
ふだん思いつかないような事をたくさん世界のセンテナリアンは我々に教えてくれたように思っています。
私は老化研究してるのですが我々にはまだたくさんやるべき事それからやらなければいけない事があるという事が分かりました。
ここで皆さんにねブーバーという人の言葉をね紹介したいと思います。
(日野原)創作の創。
そのブーバーの言葉がね私を生かしている。
プロダクティブエイジングという事。
それがゴールなんですよ。
プロダクティブエイジング。
(日野原)プロダクティブエイジング。
この言葉に尽きますよ。
それがゴールなんですよ。
ゴール。
ゴール。
目標。
その目標に向かって私たちは進み続けなくちゃならない。
歩き続けなくちゃならないという事。
殊に若い人に言いたい。
あなたたちはもっともっと歩き続けなさい。
ありがとうございました!ありがとうございました。
日野原さんお元気で。
ありがとう。
もっともっと私はキープゴーイングで。
キープゴーイング。
すばらしい。
オリンピック楽しみにしてますからね。
ああ楽しみですね。
ええええ。
頑張ります。
ありがとうございました。
2016/10/29(土) 21:00〜22:00
NHK総合1・神戸
NHKスペシャル「あなたもなれる“健康長寿” 徹底解明 100歳の世界」[字]

過去最高の6万5千人を超えた100歳以上の“センテナリアン”。最新科学で、誰でも実践できる「健康長寿」の秘密が明らかに。105歳の医師・日野原重明さんと迫る!

詳細情報
番組内容
「実は誰でも健康長寿を実現できる!」そう断言するのは、今年105歳となった医師の日野原重明さん。番組には、世界最高齢116歳の女性や、100歳を超えてもボーリングや水泳を楽しむ“スーパー高齢者”が次々と登場。最新の科学で「センテナリアン(百寿者)」たちの、健康の秘密に迫る。そこには人類が健康長寿を実現するカギが隠されていた!そして健康長寿は、遺伝だけではなく“誰もが実践できる”可能性があった!
出演者
【出演】医師…日野原重明京都大学名誉教授…鍋島陽一,東北大学准教授…都築毅,【キャスター】三宅民夫桑子真帆