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字幕書き起こし レディ・ダ・ヴィンチの診断 #06【医療ミス!?度重なる心不全】 2016.11.15

(橘志帆)あっあっあぁ!・
(真央)おはよう。
おはよう。

(回想雪野)娘がいない。
何で?まるで隣に誰かいるみたい。

(北畠)あぁ〜あ台なしだね。
せっかくの美人がそんな暗い顔してちゃ。
北畠院長。
そこ座ってもいいですか?
(雪野)いいって言ってませんけど。
えぇ〜!だめなんですか?ふふっ。
つきあってるみたいに見えるか?
(雪野)何かご用ですか?いやいやご用ってほどのもんでも。
ちょっと見かけたもんでね。
橘先生のことまだ調べてるんですか?私が調べてたら何か気になるんですか?そうですね〜気になりますね〜。
どうしてそんなに執着するんですか?べつに執着なんかしてませんよ。
(北畠)あら?もう行っちゃうんですか?
(雪野)誰かに見られてつきあってると思われたら困るんで。
年上はお嫌い?それでは。
そっとしといてあげませんか?
(北畠)誰にでもあるでしょ。
ふれられたくない過去の1つや2つ。
私にも新田先生にもね。
ふぅ〜。

 

 

 


(雪野)私のミスだっていうんですか!?オペは完璧です。
あなたも見てたでしょ?
(紀藤)現に容体は悪化してるんだよ。
それでも完璧だったと言えるのか?結果が全てだ。
新田先生君には失望したよ。
(着信音)はい新田です。
えっ?ピーポーピーポー…・降ろすよ。
・容体は?
(高杉)佐々木事務長!
(佐々木)高杉先生大変なことになりましたよ。
来た!先に準備します。
(高杉)搬送中の変化は?酸素10リットルに上げてリザーバーマスクに変えました。
(高杉)急いで!
(杏奈)お母さん!お母さん!・すいません。
(杏奈)お母さん!
(佐々木)中には入れません。
これから処置ですので。
事務長の佐々木です。
ご家族の方はこちらで。
・123!
(詩織)はぁはぁはぁ…。
・胸にモニターつけますね。
(高杉)ライン確保して。
・はい。
12誘導準備して。
・はい。
(高杉)血ガスチェックして!・モニターつきました。
ライン準備できてます。
・血圧測ります。
・カート準備します。
バルーン入れます。
・消毒。
検査へ。
・はい。
・10リットル続行します。
バックバルブ用意して。
・OKです。
(高杉)フロセミドを1筒静注して!・はい。
ピピピッピピピッ…
(心電図の音)・血圧低下してます。
・脈がふれません。
(高杉)頭下げて。
はい。
心マを開始する!ノルアドを0.3ガンマドブタミンを5ガンマ投与準備!それからDCも準備して!・はいもうできます。
高杉先生!
(高杉)新田先生!状況は?
(高杉)急性心不全だ血圧が出ない。
もう後がない!
(雪野)何でこんなことに…。
ありえないわよそんな何度も何度も!
(高杉)わかってる!でも起こってるんだ!このまま死なすわけにはいかない。
絶対に助ける。
準備して!CE急いで呼んで!・はい。
(佐々木)大丈夫ですお母さんは必ず助かります。
だ…大丈夫ですか?杏奈さん。
誰か!誰か来て!橘先生。
大丈夫?よいしょ。
私の声聞こえる?はい。
左手握ってみて。
大丈夫ね。
はい。
軽い脳貧血のようです。
そこのベンチに。
(佐々木)はい。
起こすね。
(佐々木)さあ。
よいしょ。
(北村)杏奈!
(佐々木)北村議員!
(杏奈)お父さん。
(北村)妻は?詩織は?今は処置中です。
佐々木事務長これはどういうことなんだ?あっ…。
再手術してまだ1年もたってないんだぞ。
もう大丈夫だと言ってたじゃないか。
いやあの…。
(北村)まさかまた医療ミスなんじゃないだろうな。
いや…。
あっ奥様は?
(高杉)予断は許しませんが今は落ち着いて眠っておられます。
(佐々木)そうか良かった…。
(北村)何でお前たちがここにいるんだ?何で失敗したやつがここにいる?私は失敗したと思っていません。
失敗だったから再手術したんだろ!
(高杉)落ち着いてください。
(北村)お前の再手術も失敗じゃないか!
(高杉)まだ原因がわかりません。
これからの検査で。
(北村)原因ならもうわかってる。
あのときと同じだ。
(佐々木)北村議員とにかく一旦落ち着きましょう。
触るな!お前らにわかるか?あのときから妻はずっと苦しんでる。
何度も倒れて何度も手術して。
最初の手術に失敗したときからずっとだ。
あれさえなければあれさえ成功していれば。
お前が最初の手術に失敗しなければこんなことにはならなかったんだ!全部お前のせいだ!
(田丸綾香)患者は北村詩織さん44歳。
拡張型心筋症による心不全で搬送されてきました。
北村さんの心臓です。
拡張型心筋症心筋の細胞が何らかの理由で変性特に左心室の壁が薄く伸びて心臓内部の空間が大きくなる病気。
心臓の収縮力が悪くなり全身に血液が送れなくなる。
死に至ることも。
(藍)重症の場合治療法は心臓移植のみです。
北村さんの心臓も以前からかなり重症で心臓移植が必要な状態だったようです。
ドナーが現れるまでの対処として1年前にうちの病院で2度セーブ手術を受けています。
(夏海)えっ2度も?はい。
1度目は新田先生が2度目は高杉先生の執刀で。
2度もセーブ手術するなんて聞いたことがないわ。
(夏海)セーブ手術は拡張した左心室にパッチを縫い付けて内部空間を小さくする。
手術後はそんな大きくなるはずはないんだけど。
そう起こらないことが起こってるの。
だからこの患者さんを解析診断部で診ることにした。
(藍)えっそんなことして大丈夫なんですか。
心臓血管外科が黙ってないんじゃ?佐々木事務長のお墨付きをもらってる。
患者は地元選出の国会議員北村英一郎氏の奥様です。
与党の幹部で影響力も大きい。
万が一のことがあればただじゃ済みません。
(岩倉葉子)現在の患者さんの状態は?小康状態を保っていますがこのままだともってあと1週間ほどだと。
(結衣)1週間!?時間がないわね。
何とかしてください。
北村議員は1年前のセーブ手術の失敗がそもそもの原因だと思い込んでいます。
もし医療ミスだと大々的にマスコミに訴えられでもしたらただでさえ経営難のうちの病院は…。
はいもしもし。
えっ!北村議員が!?わかったすぐに行く。
東光大学病院の存続は皆さんに懸かってます!頼みますよ!
(結衣)拡張型心筋症以外の病気ってことですか。
(夏海)そんな病気あったら誰かが見つけてるわよ。
2度もオペしてるのよ。
(結衣)そうですよね。
(夏海)やっぱりオペが悪かったとしか。
新田先生の見解は?
(夏海)心臓血管外科はオペのミスと判断したんですよね。
そういえばさ新田先生はオペの天才っていわれてるけど実は大したことないって田丸先生言ってたわよね。
えっ!?えっ!?言ってたじゃない。
新田先生のセーブ手術は失敗だったって。
な…何言ってんですか橘先生。
何言ってんですかってこないだ田丸先生が…。
完璧でしたよオペは。
失敗なんてしていません。
ほら〜田丸先生完璧だったって。
オペが下手くそなんて言い過ぎよ謝って。
橘先生が言ってるだけじゃないですか!いいから謝って早く。
うぅ〜!すみません。
はい!皆さん聞きましたよね?オペに問題はなかった。
これが新田先生の見解です。
確かにね。
新田先生と高杉先生高いオペ技術を持つ2人がそろって手術ミスなんて考えられないわね。
そうじゃない?村上先生。
岩倉先生のおっしゃるとおりです。
私はただ一般的な意見を言っただけですから。
では改めて拡張型心筋症以外の病気を考えてみましょうか。
セーブ手術をしたにもかかわらず心臓の拡張を引き起こす病気何がある?
(藍)そうですね例えば…サルコイドーシス真菌アスペルギルス。
脚気心アルコール性心筋症。
他にはアミロイドーシスシャーガス病ミトコンドリア病。
無数にあるわ。
絞り込むのが難しいですね。
ヘモクロマトーシス。
ヘモクロマトーシス…鉄代謝異常による疾患ね。
(藍)体内に取り込んだ鉄量のコントロールができなくなって肝臓心臓関節などの細胞に沈着。
細胞障害や臓器機能不全を引き起こす。
北村さんは以前手足の痛みを訴えていました。
それに何より血清フェリチンが増加してる。
(結衣)でも病理所見では異常なかったって聞いてるわよ。
見落としてるってことも。
(結衣)病理を信用してないの?100%じゃないと思ってます。
病理に対する侮辱じゃないの?植松先生落ち着いて。
私はヘモクロマトーシスを疑って治療するべきだと思います。
うんそれは確かに可能性はあるけど…ちょっとどこ行くの?時間がありません。
すぐに治療に取りかからないと。
待ちなさい。
もうちょっと協議してからじゃないと…。
(雪野)それは皆さんにお任せします。
私は治療を始めますから。
(夏海)うそでしょあいつ。
何なのあの態度は。
岩倉先生いいんですか?あんな勝手を許して。
今は他に当てもないわ。
時間もないから新田先生の治療を先行させつつ他の候補も探りましょう。
(夏海・結衣)はい。

(雪野)心不全が出てるから大量の血を抜く瀉血はできない。
鉄キレート剤を投与するから尿の色には気を付けて。
(藤本)はい。
(北畠)そうか新田先生が独断で治療をね。
誰の言葉にも耳を貸さない状態で。
うん…まあ無理もないか。
因縁のある患者だからな。
1年前のオペですね?医療ミスだって騒ぎがあった。
そうだ。
新田先生執刀のオペでな。
予後不良で再手術が必要になった。
患者の夫は大物国会議員。
再手術となれば責任の所在をはっきりしなければならない。
新田先生はオペに問題はなかったと主張したが患者の状況から見て失敗だったと言わざるをえなかった。
それで新田先生は責任を取る形で心臓血管外科を追い出されたんだ。
そんなことが…。
うん。
彼女の実力は本物だ。
それは本人も自覚してる。
脳外科から心臓血管外科へと渡り歩いたのも外科手術を極めたいという思いからだ。
ただ彼女を見てるとどうも危なっかしくてな。
オペの腕を磨くことだけに集中し過ぎてるように見える。
もちろんそれは重要なんだがそれだけじゃなぁ。
そういうことですか。
彼女を解析診断部に入れた理由。
ふっ彼女は心臓血管外科に戻りたいからな。

(高杉)気を落とすなよ。
お前のオペの腕前はみんなが認めてる。
心臓血管外科を出ていくといっても体面上のことに過ぎない。
またすぐに戻してもらえるはずだよ。
(雪野)あなたも;dが
:GTしたと;Wってるんでしょ!)私は自分の力で戻るから。
・新田先生。
橘先生。
どう?北村さんは。
体内に蓄積された過剰な鉄を尿排せつで外に出す鉄キレート療法をしています。
鉄キレート療法…。
それだと長い間時間がかかるわね。
とにかく鉄を出さないと。
正しい判断だと思うよ。
ヘモクロマトーシスなら。
結果が出る頃には亡くなってるかもしれないけど。
他の方法も考えないと。
例えば…。
結構です。
1人でやれますから。
えっ?聞きたくないの?私のアイデア。
けっこういいと思うんだけどな。
患者さん助けたくないの?それかひょっとして1年前の汚名を晴らすために治療してる?だから1人で…。
だったらどうだって言うんですか。
私には私のやり方があります。
口出ししないでください。
手術失敗を疑われてる。
1年前と同じだよ。
お前を心臓血管外科に戻してやるどころか俺自身がクビになりかかってる。
あの患者さん拡張型心筋症じゃないと思う。
(高杉)えっ?ヘモクロマトーシスだと思う。
別の病気だっていうのか?
(雪野)もし拡張型心筋症じゃない他の病気の存在が確かになれば私たちのオペが失敗じゃなかったと証明できる。
(高杉)今更それを証明してどうする?セーブ手術が必要なかったかもしれないってだけだろ。
(雪野)私にはそれが重要なの。
私の執刀したオペに失敗がなかったということさえわかれば。
(雪野)私のオペに問題がなかったといえればまた心臓血管外科に戻れるかもしれない。
雪野お前…。
やっぱり大変なんですね政治家の妻も。
あぁ…自分を犠牲にして夫を支えるなんて絶対無理。
あっちなみに私バツイチです。
ふふっ。
私は私にできることを精いっぱいさせていただいてるだけです。
北村議員も奥様の支えあってこそなんですね。
(雪野)橘先生何やってるんですか。
ねえ知ってる?政治家の妻って大変なのよ。
夫に代わって地域のイベントとか支援者の集まりにいちいち顔出すんだって。
で名刺配ったり握手したりして。
本人じゃないのにね。
勝手なことしないでください。
私が診るって言いましたよね。
あぁ…。
(詩織)橘先生。
ん?先生とのおしゃべりが楽しくてちょっと喉が渇いちゃいました。
あっお水持ってきますか?温かいものがいいです。
お湯ですか?さっき看護師さんが持ってきてもらったものがそこに。
これですね。
はいどうぞ。
ありがとう。
あっあっ!ごめんなさい!あっ…。
やけどしてないですか?あっごめんなさい…。

(雪野)余計なことをしないでください。
私がいると自分1人の手柄にならないから?本当に心臓血管外科に戻りたいのね。
それのどこが悪いんですか?私はオペができる場所にいたいんです。
医者はオペをして患者を救ってこそ一流なんです。
診断なんてオペする腕のない二流のすること。
私は二流じゃない。
解析診断部なんて私のいるべき場所じゃないんです。
そうかな〜。
オペだけが全てじゃないと思うんだけどな。
何なんですか橘先生って。
えっ私?有名な脳外科医だったのにわざわざ解析診断部にやって来てしかも手術しないのが条件って。
橘先生だってこれまで大勢の患者をオペで助けてきたんでしょ?それなのになぜ?あなたの考えてることが全然わからない。
私は医者として医療の最前線でやっていきたいんです。
だから邪魔はしないでください。

(夏海)新田先生鉄キレート療法を進めてます。
(結衣)本当に1人で北村さん診るつもりなんですかね。
自信のあったオペを失敗だと言い立てられて心臓血管外科を追い出され何とか挽回したい一心なのよ。
気持ちはわからなくはないけど勝手ですよね。
ばかなんじゃないですか?ねえまだ怒ってんの?病理のこと言われて。
怒ってませんよ。
怒ってるじゃない。
怒ってませんって。
プライドが傷つけられるってのはやっかいなことよね。
(詩織)お父さんはちゃんとご飯食べてる?忙しい人だから気にかけてあげてね。
(杏奈)お父さんの心配してる場合じゃないでしょ。
(詩織)お母さんは大丈夫。
先生たちも良くしてくれてるから。
(渡辺)新田先生血液検査の結果です。
(雪野)鉄の数値が少しだけど下がってる。
(渡辺)鉄キレート療法が効いてるんですね。
お母さんは良くなってるんですか?いい方向に向かっています。
キンコーンキンコーン…
(藤本)先生!北村さんどうしました?い…息が。
(杏奈)お母さん。
(雪野)ヘッドダウン!
(渡辺・藤本)はい!どうしたんですか?
(雪野)急性呼吸不全。
田丸先生挿管の準備して。
はい。
(雪野)藤本君人工呼吸器。
(藤本)はい!
(杏奈)お母さん!お母さんしっかりして!お母さん!お母さん。
何とか持ち直したみたいね。
ひとまず良かった。
(雪野)責めないんですか?何が?何がって…。
1人でやるから邪魔するなってさんざん言ってたのにこれですよ。
責めればいいじゃないですか。
べつに責めないわよ。
ヘモクロマトーシスの他に有力な候補は何も出なかったじゃない。
その治療で起こったことなんだからしかたないわよ。
でも…私たちの事情なんか患者さんには関係ない。
私たちは医師として目の前の患者さんを救うのが仕事。
そのために何が最善かを考える。
患者さんを救う。
それ以外に大切なことなんてないでしょ?
(結衣)キレート剤の副作用が原因で急性呼吸不全を起こしたってことですか?心臓に相当負担があったみたい。
病状はかなり悪化してる。
今村上先生と田丸先生がついてるわ。
(結衣)病理を軽んじた罰が当たったのよ。
それでご家族には?ちゃんとした説明はまだ。
娘さんがその場にいたそうなので状況は伝わってるかと。

(佐々木)お待ちください!今カンファレンス中ですので。
北村議員。
(北村)どうなってるんだ。
はぁはぁ…あんたたちは私の妻を殺す気なのか?
(藍)殺す?
(北村)娘がちゃんと見てたんだよ。
いい方向に進んでるとか言ったやさきに急性呼吸不全を起こしたそうじゃないか!
(北村)どうせまたお前の仕業なんだろ。
何とか言ったらどうなんだ。
なぜこんな医療ミスを繰り返すような医者に患者を診させるんだ!病院側は何を考えてるんだ!
(佐々木)北村議員どうぞ落ち着いてください。
(北村)落ち着けるか。
今こうしてる間も妻は苦しんでるんだぞ。
お前は詩織に恨みでもあんのか?こんなのは殺人と同じだ!北村議員。
お気持ちお察しします。
奥様の度重なる入院オペご家族の心中はいかほどかと。
思うような結果が出ていない状況は我々にとってもたいへん不本意ですし責任も感じています。
ご批判から逃げるつもりもありません。
ですがこれだけは信じてください。
ここにいるどの医者も奥様を助けようと必死でやっているということを。
特に新田先生は奥様のオペも執刀しています。
助けたいという思いは誰よりも強いはずです。
だからあなたに厳しい言葉をかけられても治療に加わるんです。
そんな新田先生をまだこれ以上責めますか?
(北村)だったら何とかしてくれよ。
妻を助けてくれ。
くそ!
(佐々木)お待ちください北村議員!はぁ〜。
ご家族も患者さん同様に戦ってる。
何としても助けないとね。
そうですね。
(結衣)それで今後の治療方針は?この先は新田先生に外れてもらう。
あなたの独断専行がこの状況を招いたのは事実。
これ以上はもう認められない。
待ってください岩倉先生。
新田先生を外すことには反対です。
確かに新田先生の診断と処置は間違っていたかもしれません。
だけど新田先生が動いていた間私たちはヘモクロマトーシスに代わる候補を出せていないじゃないですか。
容体が悪化したその責任を新田先生だけに負わせるのは1年前の心臓血管外科と同じことになりませんか。
新田先生も一緒にもう1度北村さんの診断をやり直すべきです。
非難の矢面に立たされるかもしれないのよ。
セーブ手術の件もある。
次に何かあったらかばいきれないわ。
やらせてください。
新田先生。
サポートでも検体運びでもどんなことでもしますから。
患者さんを救うためなら何でもします。
お願いします。
私からもお願いします。
わかったわ。
ありがとうございます。
検査お願い。
はい。
(夏海)セッティングできたわよ。
ありがとうございます。
(夏海)SIMVの設定は変更する?
(雪野)そうですねPEEP少し上げてください。
(夏海)わかった。

(高杉)これが1年前の手術記録です。
こっちが1回目。
新田先生が執刀したオペ。
そしてこっちが2回目。
私が執刀したオペです。
う〜んべつにおかしなところはなさそうね。
術前検査でも異常はなかった。
拡張型心筋症として診断されている。
再手術をした際に新田先生が施したセーブ手術の跡を見ました。
丁寧にパッチも縫合されていたしどこも問題ありませんでした。
新田先生の言うとおりね。
高杉先生のセーブ手術の記録映像何度もチェックしましたが問題はありませんでした。
的確なオペです。
手がかりになるようなものは見つからなかったわね。
どこかにヒントがあるはずなんだけど。
もう…だめかも。
新田先生。
北村さんに残された時間はもうありません。
ほんとの病気を発見する頃にはもう…。
はぁ〜。
ねえあれ見て。
一番苦しんでいるのは患者さんとそのご家族。
(北村)大丈夫だから。
あの姿を見ても今みたいなことがまだ言える?
(夏海)脈が弱ってる。
まずいわねこのままだと。
何かがあるはず。
きっと何かが。
橘先生ご家族に状況をお話したほうが。
ちょっと待って。
熱があるわ。
それに発疹。
腕には紅斑。
(結衣)大変です。
血液検査で白血球赤血球血小板全てが減っています。
(夏海)好酸球も増えてるし肝機能障害もある。
薬剤による全身のアレルギー反応。
でも新しい薬は何も使ってません。
アレルギー反応によってはすぐに出ないものもあるわ。
3カ月以内に始めた薬があればその可能性も。
橘先生北村さんは1カ月前に拡張した心臓に血栓が出来て一過性脳虚血発作を起こしています。
抗凝固薬に加えて抗血小板薬を服用しています。
それが原因ね。
すぐに中止させて。
それからステロイドの準備。
はい。
(雪野)ラインもう1本取ります。
はい。
お願いします。
(雪野)はい。
ステロイドです。
はい。
点滴入れます。
はい。
(結衣)調べてみると北村さんはHHV−6の活動性が異常に高いことがわかりました。
HHV−6…ヒトヘルペス6型か。
ひょっとして詩織さんは拡張型心筋症ではなくHHV−6の持続感染による心筋炎なんじゃ?心筋炎…心臓を動かしている筋肉が炎症を起こす?HHV−6といえば幼児の突発性発疹で有名ですよね?大人がかかるとまれに心不全の原因になるともいわれている。
発症期間もまちまちで疑わなければ見過ごされることも多い。
ということは…。
セーブ手術の失敗が原因じゃないわ。
じゃあ抗ウイルス薬を投与すれば治りますね。
残念だけどHHV−6の特効薬はないわ。
心不全や不整脈の対症療法するしか方法がない。
そんな…。
ここまで悪化していれば心臓移植しかないわね。
できることといえば人工心臓を装着してドナーを待つだけ。
(雪野)でも今のままじゃ心臓がもたない。
やっとたどりついたのに…。

(真央)お疲れだね。
うん…ちょっとね。
どうだったの?患者さんは。
病気はわかったんだけどね。
けど?もうなすすべがないのよ。
諦めるの?諦めてはいないよ。
でもね何にも浮かばない。
きっと何かあるはずだよ。
思い出してみて。
う〜ん…拡張型心筋症で2度のセーブ手術をしたけど心不全を発症した。
鉄代謝の異常からヘモクロマトーシスを疑ったけど違ってHHV−6による心筋炎にたどりついた。
(真央)まだ他に可能性があるんじゃない?誰もまだ気付いていないこと。
ほんとのゴールに続く小さな脇道がどこかにあるはず。
小さな脇道…。
コーヒーでも飲んでよく考えてみて。
ありがと。
あっ熱っ……くない。
コーヒーと聞いて熱いと思ったよね。
あっ。
あっあっ!
(雪野)やけどしてないですか!)あっ…ごめんなさい。
あのお湯も冷めててぬるかった。
じゃあなぜ落としたの?人は先入観で判断してしまいがち。
そういうことか。
ははっ本当のゴールにたどりつけるかも。
あっいたいた。

(宮部)田丸先生そろそろ一緒に食事行きましょうよ。
フラメンコも見れるおいしいスペイン料理の店見つけたんです。
今日は忙しいのでまた今度。
いっつもそれじゃないですか。
おいおいおいおい…おい。
あっ橘先生。
ふふっねえ夏と冬だとどっちが好き?はい?夏と冬よどっち?う〜ん夏ですかね。
俺も夏っす。
じゃあハワイは?行きたいです。
お…俺も!行きたいんだ。
えっ?まさか連れてってくれるんですか?ワイキキビーチ恋人たちにはお似合いだよね。
どこに行くんですか?いいから来て。
これから北村さんの本当の病気を突き止めるから。
HHV−6による心筋炎だってわかったじゃないですか。
それは本当のゴールじゃない。
えっ?あっつい。
田丸先生いいじゃないワイキキビーチぐらいの暑さになってるわよ。
もう勘弁してくださいよ。
あれ?宮部君は?あぁあそこで倒れてます。
ワイキキワイキキ…。
田丸先生とハワイへ行く。
ははっ純粋ね。
1度ぐらい一緒に食事行ってあげなさいよ。
田丸先生。
ふぅ〜はぁ…。
(雪野)何なんですか?これは。
常夏の国ハワイです。
(雪野)こんなことして北村さんに何かあったらどうするんですか!?まずいわよね。
(雪野)まずいどころの話じゃないですよ。
それでもハワイに来てほしかったのよ。
それにしても暑いわね。
あっという間に汗が噴き出る。
すぐに治療室に戻します。
そう焦らないで。
ここからが見せ場なんだから。
失礼します。
(雪野)何してるんですか?どう?えっ?触ってみて。
汗をかいてない。
えっこの温度の中でですか?これが北村さんの本当の病気を証明している。
そうかすぐに心筋生検します。
始めます。
・お願いします。
・お願いします。

(結衣)これを見て。
(雪野)あっ。
確認できました。
ありがとうございます。
どういたしまして。
心筋生検の結果北村さんは拡張型心筋症でも心筋炎でもないファブリー病だと判明しました。
(夏海)ファブリー病。
全身の細胞の中にある酵素の1つガラクトシダーゼが|!生まれつき少ないために起こる先天代謝異常症の1つ。
分解できない物質が体にたまりさまざまな症状が現れる。
ファブリー病で心筋障害が起こることは知られているけど発病はほぼ男性に限られる。
そしてそのほとんどが肥大型心筋症のようになる。
拡張型心筋症のようになるのはごくまれであまり知られていない。
医師でも見落とす落とし穴ね。
そのとおりです。
今回は患者が女性更に拡張型心筋症のようになるレアケースでした。
恐らく1年前の血液検査では低下しているはずのガラクトシダーゼの値も正常範囲だったんでしょう。
病理医が所見を見落としてもしかたないかと。
ファブリー病を見落としたのはヒューマンエラー。
そういうこと。
(藍)そんなレアなファブリー病に橘先生はなぜ気付いたんですか?原因不明の心臓の拡張それとぬるいお湯。
ぬるいお湯?そうぬるいお湯。
北村さんはぬるくなったお湯の入ったカップのぬくもりでさえ耐えられないほどの痛みを指に感じていた。
温かいもので電撃痛が誘発されたからよ。
それと汗をかかない無汗症。
全てファブリー病の症状です。
炎症も起こすので血清フェリチンが増えていたことも説明がつきます。
ファブリー病で間違いないわね。
はい。
(結衣)あの確定診断が出たのはいいんですがファブリー病って難病指定の病気ですよね?どうやって治療すれば?ここ最近ファブリー病治療のための酵素製剤が開発されてるわ。
新田先生すぐに投薬を始めましょう。
はい。
酵素製剤を投与したのでこれで症状が改善されれば家に帰れます。
(杏奈)お母さん家に帰れるんですか?はい。
ははっ。
ううっ…。
(杏奈)ううっ…。
君には今までさんざん失礼なことを言ってしまった。
どうか許してほしい。
すまなかった。
頭をお上げください。
私は何もしていません。
解析診断部のみんなのおかげです。
私は1年前の手術失敗の汚名を晴らすことばかり考えていました。
本当の病気を見つけだして自分が執刀したオペにミスがなかったことを証明したいと思ってました。
奥様を助けることよりも自分のプライドのために治療していたんです。
私の身勝手な行動は皆さんに迷惑をかけただけでした。
たとえ手術失敗がなかったとしてもそれ以前に私は医師として失格なんです。
そんなことないわ。
感じてましたよ新田先生が必死に私を救おうとしてくれてたのを。
何度も何度もあなたは病室に来てくれた。
いつも真剣で融通が利かなくて橘先生とけんかばっかりしてたけどでもあなたはず〜っと私と向き合ってくれてました。
この1年あなたのほうこそ大変だったわね。

(詩織)新田先生助けてくれてありがとう。
ううっ…。

(北畠)皆さんのおかげで北村議員の奥様も助かりました。
手術失敗の責任を負って心臓血管外科を後にしていた新田先生の無実も証明されました。
新田先生のこれまでの希望を受けて心臓血管外科に戻っていただこうと思います。
良かったわねおめでとう。
これで思いっ切りオペできるわね。
オペの天才ついに復活か。
私オペの見学行きます。
ちゃんと病理の言うこと聞きなさいよ。
(北畠)いつからでも戻れますよ。
紀藤先生も了承済みです。
私心臓血管外科には戻りません。
はい?・「ミラクル」解析診断部に残ります。
(北畠)ははっいいんですか?あんなに戻りたがってたのに。
はい。
もうしばらくはここで。
医師としてオペだけが全てじゃないことがわかったんで。
(北畠)そうですか。
わかりました。
では新田先生には引き続き解析診断部に残っていただくことにしましょう。

(高杉)そっか解析診断部に残るのか。
ええ。
戻ってきてほしかったけどな。
(雪野)ははっまたいつか。
今は自分に何が必要かわかったから。
何かお前出会った頃の雰囲気に戻った気がする。
何?それ。
(高杉)あっそうだ。
前に橘先生のこと調べさせた後輩がいたろ?
(雪野)西東京総合病院の?
(高杉)ああ。
あいつあれからも調べてたらしい。
それでこれ。

(高杉)おA08@ってたよな!)|!橘先生に娘がいるって。
実は2年前に亡くなってたんだ。
そんな。
じゃああれってまさか…。
橘先生の娘…。

(神田)楽しかったですよ。
先生と話せて。
もしかして好きになっちゃった?
(藍)へっ?血管を傷つけて血性髄液になった?依然として改善は見られません。
(夏海)死に至ってしまうことも。
(藤本)先生どうしましょう。
(藍)そんなこと絶対させません!大丈夫彼女はそんなに弱くないよ。
2016/11/15(火) 21:00〜21:54
関西テレビ1
レディ・ダ・ヴィンチの診断 #06[字][デ]【医療ミス!?度重なる心不全】

「医療ミス!?度重なる心不全」
吉田羊 相武紗季 吉岡里帆 高橋克典 伊藤蘭

詳細情報
番組内容
地元選出の国会議員・北村英一郎(飯田基祐)の妻・詩織(高橋かおり)が急性心不全で運ばれてくる。詩織は、一年前に雪野(相武紗季)が心臓血管外科を追い出されるきっかけとなった患者で、当時、雪野と高杉(小林且弥)が手術を行うも症状は改善せず、北村はその原因を雪野の手術が失敗したせいだと考えていた。執刀医の雪野は完璧な手術だったと主張するが、結局、病院側は失敗とみなし、雪野は責任を取る形で異動——。
番組内容2
そんな詩織を解析診断部で診ることになり、雪野はこの機会に汚名を返上しようと必死で、志帆(吉田羊)たちの言葉が耳に入らない。一方の志帆は、詩織がお湯の入ったカップに触れた途端、ビクッと反応したことが気になるが、その矢先、雪野の治療で詩織が急性呼吸不全を発症。北村から「こんなのは殺人と同じだ!」と怒鳴られた雪野はショックを受ける。
番組内容3
しかし、志帆の言葉に勇気づけられ、「患者さんを救うためなら何でもします」と決意を新たにして……。
出演者
吉田羊 
相武紗季 
吉岡里帆 
白鳥久美子(たんぽぽ) 
滝沢沙織 
庄野崎謙   
小林且弥 
池岡亮介 
五十嵐健人 
笛木優子 
戸次重幸 
 ・ 
高橋克典 
伊藤蘭
スタッフ
【脚本】
田中眞一(『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋』、「チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸」「GTO」他)

【演出】
星野和成(「チーム・バチスタ」シリーズ、映画「チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像」他)

【プロデューサー】
安藤和久(カンテレ) 
豊福陽子(カンテレ) 
遠田孝一(メディアミックス・ジャパン) 
布施等(メディアミックス・ジャパン)
スタッフ2