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字幕書き起こし 目撃!日本列島「きっと変われる〜“更正”をめざす少年たちへ〜」 2016.11.19

元暴走族で逮捕歴15回。
少年院に2度入った…その男性が今自らの経験を基に少年非行に向き合っています。
罪を犯した少年の更生をサポートする活動で注目を集めています。
非行に明け暮れる日々から抜け出した自らの経験を基に少年たちに向き合います。
社会に戻ったあとも続く一貫したサポート。
しかし更生までの道のりは多難です。
何度裏切られても信じて見守り続けます。
君たちはきっと変われる。
更生をめざす少年と元非行少年の日々を見つめました。
高坂さんは一人の少年を待っていました。
現れたのは16歳のケンタ。
この日少年院から出てきました。
逮捕されたのは1年前。
遊び仲間3人とひったくりをしました。
今一度罪を犯した少年のうち3人に1人が再び罪を犯しています。
この割合は年々上昇しています。
ケンタも自分自身に不安を感じていました。
ふだんは福祉施設の職員として働いている高坂さん。
非行少年をサポートする活動はその合間をぬって続けています。
2年前にNPO法人を設立。
同じ元非行少年や大学の講師など11人の仲間と活動しています。
NPOでは少年院などにいるうちから少年との関係作りを進めます。
非行を繰り返さないために重要だと考えているのが社会に戻ったあと半年間のサポート。
保護観察所や保護司と連携しながら進学や就職の支援を行い家族の相談にも乗ります。
これまでに37人をサポートし再び罪を犯したのは1人。
その実績から少年院の勉強会などにも招かれています。
必ず話すのは少年たちを信じる事の大切さです。
(チャイム)こんにちは。
今日はよろしくお願いします。
少年院を出たケンタ。
ずっと母親と2人で暮らしてきました。

 

 

 


両親はケンタが4歳の時に離婚しました。
初めて罪を犯したのは小学5年生の時。
スーパーでガムを万引きしました。
最初は軽い気持ちでしたが止まらなくなりました。
中学に入ると無免許で暴走行為をするなど非行はエスカレート。
母親が叱っても聞き入れようとはしませんでした。
そして去年逮捕。
母親が頼ったのが高坂さんのNPOでした。
新たなスタートを切ったケンタに高坂さんは意外なものを用意しました。
原付きバイクです。
このヤマハのアプリオなんだけど。
はい。
こういうシール剥がしていいけ。
分かりました。
行動範囲が広がれば目が届かなくなり再び非行につながりかねません。
しかし高坂さんはあえて自由を与えました。
少年たちをとことんまで信じる。
それは高坂さん自身の経験から生まれた信念でした。
高坂さんは広島県の出身。
勉強も運動も苦手な少年でした。
自分には何の取り柄もない。
満たされない思いから中学に入ると非行に走ります。
初めて逮捕されたのは16歳。
友達と一緒にバイクを盗みました。
非行を重ねるにつれ深まる親や教師との溝。
大人は自分を否定するだけの存在だと思っていました。
転機は24歳の時。
結婚し子どもができた事でした。
人生をやり直そうと誰も知り合いのいない愛知県に移り住みました。
働き始めたのは介護施設。
そこでお年寄りと接するうちにかつて抱いていた満たされない思いが消えていくのに気付きました。
一人の人間として信頼してくれる人たちが自分を変えてくれた。
少年たちを信じ続ける高坂さんの原点です。
ケンタは毎朝バイクで出かけるようになっていました。
従業員10人の建設会社で働き始めたのです。
最初は足場の片づけなどの下働き。
生まれて初めての仕事に戸惑うケンタ。
更に心配な事も起きていました。
体調不良を理由に何度か休みを取っていたのです。
ケンタの仕事ぶりが気になっていた高坂さん。
会社を訪ねました。
この会社はこれまでも非行少年を受け入れてきました。
その経験からケンタの様子を心配していました。
高坂さんにも思い当たる節がありました。
またよろしくお願いします。
はいこちらこそよろしくお願いします。
お気を付けて。
生活態度を改めるよう自分から言い聞かせると伝え会社を後にしました。
しかし心配な事は更に続きます。
失礼致します。
こちらのお部屋でお願い致します。
この日高坂さんは母親に頼まれてケンタと食事をしながら話す事になりました。
食事が終わりかけた時高坂さんはメモをとり始めました。
(高坂)2万4万…。
書き出したのは1か月の出資。
携帯電話などの決まった支出を除くと自由に使える金がどれだけ残るか記していきます。
実はケンタが友達から金を借りていたと母親に聞かされていたのです。
人から金を借りないというのは高坂さんとケンタの大事な約束でした。
(高坂)これ5万円なんで…金を借りると返すためにまた窃盗などに手を染める事になりかねません。
ほんまに。
(高坂)頑張る?ケンタの自由に任せてきた高坂さん。
初めて厳しく約束を交わしました。
少年たちの更生への道のりは失敗の繰り返しです。
多くは再びたばこや夜遊びを始め仕事も長続きしません。
気の遠くなるようなサポート活動をなぜ続けられるのか。
それは18歳の時のある出会いが心に刻まれているからです。
3度目の逮捕のあとの少年審判。
自暴自棄になった高坂さんは刑罰を科す少年刑務所に入りたいと訴えました。
これに強く反対したのが家庭裁判所の調査官でした。
下された処分は更生を目的とした少年院への送致でした。
あの日の調査官の言葉が現在の活動を支える指針になっています。
働き始めて1か月。
ついにケンタが仕事を辞めたいと言いだしました。
何て言われたの?辞めたい理由はそれだけではありませんでした。
分かんない。
説得を3時間続けましたがケンタの気持ちを変える事はできませんでした。
翌日ケンタは仕事を辞めました。
先週高坂さんはまた一人更生をめざす少年に会うため少年院に向かっていました。
自らの信念に従う活動に変わりはありません。
きっと変われる。
少年たちを信じ支え続けます。