女性が母になる。
その時脳に驚くべき変化が起きる事がアメリカの最新研究で明らかになりました。
出産後脳の30か所以上もの場所が肥大し子育ての能力が高まっている事が突き止められたのです。
その能力を確かめる実験です。
泣き声を聞いただけで我が子を当てられるか。
10人のママたちに挑戦してもらいます。
(泣き声)どの子の泣き声も同じように聞こえますが…。
1番の泣き声が我が子だと判断したこちらのお母さん。
結果は?大正解。
なんと10人全員が泣き声だけで我が子を当てました。
それもそのはず。
我が子の泣き声を聞いた時母親の脳は複数の場所が活発に働いています。
他人の子の泣き声を聞いた時と比べるとその差は歴然です。
子育てのために脳まで大変化させる母親たち。
ところが今日本でその母親たちに非常事態が起きています。
出産をきっかけとしたうつの発症率は一般的なうつの5倍以上。
ある調査によれば日本の母親の実に7割が子育てで孤立を感じているといいます。
(泣き声)ママたちが抱える苦悩。
それはなぜかわき上がる不安や孤独感。
子育てがうまくいかないのは自分のせいではないかという苦しみ。
更に助け合いたいはずの夫に対してなぜがイライラが止まらない。
育児中の母親のストレスを測定してみるとなんとストレスのかかる状態がほぼ一日中続いていました。
救いを求めて母親たちが次々とつながり合うママ友。
実はこれも世界で日本だけの特殊な社会現象だといいます。
今日本の母親たちに何が起きているのか。
今日は最新の科学で母親たちの苦しみの謎に迫ります。
鍵を握るのは人間の脳や体に秘められた不思議な仕組みの数々。
お母さん子育てがつらいのはあなたのせいではありません。
へえ〜!すごいね!すごい共感しましたよね。
「何の地獄かと思った」って。
私も最初本当にこれ地獄だなと思いました。
自分だけじゃないんだって思って安心しました。
ねえねえ教えて下さいよ。
具体的に何が地獄なんですか?恐怖でしたやっぱり…。
私の場合はもう本当にしっちゃかめっちゃかすぎて何かそれこそ…生まれてきてさ幸せだったりさかわいかったりいとおしかったり…。
するんですよ。
するんですけどそれがあるんだけどそこを上回って大変さが…。
何でそんなになるんだろうか?そうなんですよ。
皆さん。
今日はその疑問に最新の科学で迫っていきます。
最新科学?まず何より今日本のママたちを苦しめているのがものすごい不安と孤独です。
実はそこには人類700万年の進化に遡る深〜い訳があったんです。
え〜!会場を埋め尽くす母親たち。
乳幼児を持つママが1万人も集まる交流イベントです。
その一角をのぞいてみると…。
母親たちはこの日が初対面。
ママ友をつくりたいと電車を乗り継いでやって来ました。
よかったら…今やママ友は近所のお母さん同士の交流にとどまりません。
インターネットを通じた見知らぬ人たちとのつながりもどんどん広がっています。
そんなママ友たちとの交流を楽しんでいるまいこさん。
1歳の女の子のお母さんです。
この日は母と子で楽しむゴスペル教室。
スケジュールは連日ママたちとの予定でいっぱいです。
都心のマンションで暮らすまいこさん。
ただいま〜。
夫は仕事が忙しく毎日夜遅くまで帰ってきません。
(泣き声)あれほどママ友たちと楽しそうにしていたまいこさんですが家では様子が一変します。
(泣き声)じゃあ頂きます。
娘の食事の時間です。
おいしそうに食べていますが…。
一人きりでいると心に浮かぶのはなぜか不安ばかり。
やだじゃない何が嫌なの?あ〜!もっとごはん食べんの?あ〜!まいこさんは不安と孤独に耐えられず医師に相談。
薬にも頼るようになりました。
調査によればまいこさんのように子育てで孤立を感じているママたちは実に7割。
なぜこれほど不安と孤独にさいなまれるのでしょうか。
その原因が最新の科学で明らかになってきました。
鍵を握るのは女性の卵巣の中で分泌されるある物質。
胎児を育むエストロゲンというホルモンです。
エストロゲンは妊娠中分泌量がどんどん増えていきますが子どもを産むと急激に減少します。
すると母親の脳では神経細胞の働き方が変わり強い不安や孤独を感じやすくなるのです。
そんな迷惑な仕組み何のために備わっているのでしょうか。
(チンパンジーの鳴き声のモノマネ)ママたちを襲う孤独感の謎に意外な視点から切り込む研究者がいます。
松沢哲郎さん。
世界的なチンパンジーの研究者です。
人間に最も近い類人猿チンパンジーは子育ても人間そっくり。
子どもが独り立ちするまでの5年間母親は我が子につきっきりで世話をします。
それでも人間とは違って孤独感に苦しんだりはしません。
進化の歴史を遡ると人間とチンパンジーが共通の祖先から分かれたのはおよそ700万年前。
この分かれ目の頃人類の育児に何かが起きたと松沢さんは考えています。
人類誕生の頃に一体何が起きたのか。
松沢さんたちは調査に向かいました。
アフリカ・カメルーン。
ここに人類学者たちが注目するユニークな部族が暮らしています。
ジャングルをかき分けて進む事2時間。
小さな集落が現れました。
いました!森を移動する人という意味の名を持つバカ族です。
9家族およそ55人。
ジャングルで狩りをしたり木の実を採取したり太古の人類の生活スタイルを今も受け継いでいます。
見慣れぬ日本人の訪問を警戒しています。
とここで…。
(チンパンジーの鳴き声のモノマネ)松沢さんお得意のチンパンジーの鳴き声です。
(チンパンジーの鳴き声のモノマネ)うわ〜。
すげえ松沢先生!
(眞鍋)受けた!たちまち打ち解けました。
バカ族は年齢を覚える習慣がありません。
そこで松沢さんたちは…。
歯の生え方で年齢を確かめ家族構成を調査します。
例えばこのお母さん子どもはなんと11人。
しかも7歳6歳3歳2歳と年齢が非常に近い事が分かりました。
すごいね!ほぼずっと妊娠してる状態ですね。
たくさんの子どもを次々と産む。
実はこれチンパンジーとは違う人間の大きな特徴です。
チンパンジーは我が子の育児に掛かりきりの5年間次の子どもを妊娠する事ができません。
一方人間は進化の過程で毎年でも子どもを産める体へと変化を遂げました。
そのおかげで人間は多くの子孫を残し繁栄する事ができたのです。
しかしそれには…そのために太古の人類が編み出した育児スタイルが今なおバカ族に残っています。
このお母さんたちまだ生後3か月ほどの赤ちゃんを仲間に預けて森に出かけていきました。
(子守歌と赤ちゃんの泣き声)赤ちゃんが泣いています。
ところがこの女性妊娠中でお乳が出ません。
するとすかさず育児中の女性が赤ちゃんを取り上げました。
当たり前のようにお乳をあげています。
生まれて間もない我が子を他人に任せるのは動物の中でも人間だけ。
共同で養育するという独自の子育て術を編み出した事で人間は次々と子どもを産み育てられるようになったのです。
思い出して下さい。
出産直後にエストロゲンが激減し不安や孤独を感じさせるあの仕組み。
実はもともと母親に共同養育を促すためのものだったとも考えられています。
出産後に母親が不安や孤独を感じればおのずと仲間と一緒に子育てをしたい気持ちが強まるからです。
今もなお母親たちの体には共同養育の本能が刷り込まれています。
ところが核家族率が8割にも上る現代の日本は共同養育とは程遠い育児環境にあります。
唯一の共同養育仲間は夫ですが育児や家事に参加する時間は欧米に比べてこの短さ。
またベビーシッターなど共同養育の現代版といえるサービスも日本ではほとんど利用されていません。
本能的な共同養育の欲求とそれがかなわない日本の育児環境。
その大きな溝がママ友とつながりたい衝動や孤独感にママたちを駆り立てていると考えられるのです。
はあ〜。
(虻川)すご〜い。
ちゃんと理由があったんですね。
でも核家族なのにやっぱり体は太古の昔からそのままな訳ですよね。
何でなんですか?急なんだ。
(虻川)そうなんですか?それは…参っちゃいますねそれ。
あらピンチ!どうしたらいいんだろう?でも。
ママ友とかいくつかある逆に言うと今の社会だから生まれてきたものを有効に活用していくというか。
でも…単純にね。
もう最悪…私何かここに袋ついててほしいと思いましたもん。
私も…。
(2人)カンガルーになりたい。
あ〜一緒!さて皆さんそんな孤立した中でこんなふうに思うママたちが多いそうです。
「私って母親失格!?」。
あ〜分かります。
確かに何か自分だけ…そういう事ばっか思っちゃいますよね。
出産後のママたちをまず苦しめるのが激しい夜泣き。
(赤ちゃんの泣き声)泣く度に授乳してみますが全く寝てくれません。
(赤ちゃんの泣き声)夜通し泣き続ける我が子にこれほど夜泣きがひどいのは自分のせいではと思う母親も少なくありません。
しかし最新科学は赤ちゃんの激しい夜泣きにも理由がある事を突き止めました。
実はその理由まだ赤ちゃんが母親のおなかの中にいる胎児の頃にまで遡ります。
これは…指をしゃぶっています。
この子はあくび。
かわいい〜!すご〜い!こうした映像を解析する事で胎児の睡眠の様子が詳しく分かってきました。
胎児は昼も夜も浅い眠りと深い眠りを繰り返します。
そして浅い眠りの最中赤線の所で目を覚ましています。
興味深い事になぜか昼より夜の方が頻繁に目を覚ましている事が分かります。
なぜでしょうか?目覚めている間の胎児は活動量が多く母親の血液から多くの酸素を奪います。
そこで母体に負担をかけないよう母親が寝ている夜間に目を覚ます睡眠リズムになっているのです。
気遣ってるの!
(虻川)優しい!空気読んでるんだ。
そういう事だよ。
ところがやっかいな事にこの胎児ならではの睡眠リズムは生まれたあともしばらく変わりません。
それが夜泣きの原因。
胎児が母親を守ろうとする仕組みが出産後にママたちを苦しめていたのです。
実は夜泣きする動物は人間だけ。
理由は脳にあります。
動物は生まれた時から脳が発達していて睡眠リズムなども大人と変わりません。
ところが人間の場合生まれた時の脳の重さは大人の1/3程度。
なぜそんなに未熟な状態で生まれてくるのでしょうか。
その理由は人類が二足歩行を始めたおよそ700万年前にまで遡ります。
2本の足でまっすぐ立った事で骨盤の形が変わり赤ちゃんの通り道産道が狭くなりました。
胎児はこの穴を通り抜けられるよう脳が未熟で小さいうちに生まれてこなければならなくなったのです。
その後人間の脳は10年以上もかけてゆっくりと成長していきます。
その過程で夜泣きなど不可解な行動がさまざま引き起こされるのです。
中でも最もママたちを苦しめるのが…。
ごはん食べて下さい。
い〜や〜だ!どうして?い〜や〜だ!2歳ごろから始まるイヤイヤ期です。
自分の欲求を我慢できず激しいかんしゃくを起こしたり大泣きしたり…。
(泣き声)電車片づけてないし全然。
イヤイヤ期がもう1年近く続いています。
弟と遊んでいる時も…。
あ〜っ弟がおもちゃを取りました。
すると翔君は…。
(泣き声)駄目だよ翔君。
こら!すぐ乱暴な行動に出てしまいます。
いろいろ考えたりはしますね。
この激しいイヤイヤ行動にもちゃんと訳があります。
それを解き明かすためにまずは子どもの我慢する力を調べる実験をしてみました。
こちらは既にイヤイヤ期が終わった6歳の男の子。
今からここにクッキー1枚置いてね今すぐこのクッキーを食べてもいいんだけど先生5分間ぐらい外にちょっと行っちゃうんだけどね5分間待ってたらクッキーが2枚。
2つのクッキーがもらえるから我慢できるかな?おにいちゃんだからできるかな?できる。
楽勝。
待てたら倍になるんだ。
クッキーを2枚もらうために目の前のクッキーを食べずに我慢できるでしょうか?え〜っ?厳しいって。
大人だって厳しいよ。
大人…でも2枚だったら大人は待ちますよ。
お見事!5分間クッキーには手も触れず我慢できました。
ではイヤイヤ期真っ盛りの3歳の男の子ではどうでしょう?そうですね。
でもやっぱり気になるみたい。
(虻川)気になるよ〜。
こっちの方が子どもらしいよね。
(笑い声)そして4分後。
頑張ったのにあ〜!あ〜食べちゃう。
頑張ったのにな〜。
しょうがないよ。
(眞鍋)あとの1枚が…。
残念。
このようにイヤイヤ期の子どもはそもそも目先の欲求を我慢する事が難しいのです。
我慢ができない理由は脳の働きにあります。
イヤイヤ期が終わった子どもの脳は我慢をしている間額の内側にある赤く示した部分が活発に働いています。
一方イヤイヤ期の子どもの脳は我慢しようとしても同じ部分があまり働いていません。
この部分の名前は前頭前野。
欲求を抑える抑制機能を担っています。
本能的な欲求は脳の中心部分で生み出されます。
ところが表層にある前頭前野がまだ発達していないとそれを抑える事ができません。
これがイヤイヤの正体。
やがて脳が発達し前頭前野が活動を始めるとイヤイヤ行動は次第に収まっていくのです。
まだ衝動を抑えられない未熟な脳を抱えたイヤイヤ期の翔君。
ところが最近行動に変化が現れ始めました。
はい。
はい。
駄目!あ〜っ弟が線路を壊しちゃいました。
どうする?翔君。
一緒に遊ぼうって。
思わずまた押しのけようとしますが…。
翔君手を出しません。
目に涙をいっぱいためてぐっと我慢しています。
(泣き声)その時です。
自分から弟におもちゃを貸してあげました。
ちゃんと我慢ができた翔君をお母さんがギュッと抱き締めます。
ママを苦しめる悩ましい行動。
それは未熟な脳がゆっくりとしかし着実に育っていく過程なのです。
(眞鍋)あっ泣いちゃった。
どうしたの?
(眞鍋)感動しちゃう。
何か感動…。
成長の一過程だと思うんですけどお兄ちゃんが何か頑張ってるのが…。
それこそ…えっ?思春期まで?そういった脳の発達をゆっくり時間かけて行う事ができるっていうメリットがある訳です。
そうですね。
でも分かってるだけでちょっと楽ですよね。
イヤイヤってされた時に「あっ今前頭前野がね」って思ってたら。
さすが。
ちょっと気持ち的に。
そうなんですね。
ママたちが子育てで「母親失格!?」と感じてしまうのにはもう一つ原因があります。
実は母親なら子育てができて当然と思う事自体が間違いなのです。
冒頭で見たあのアフリカバカ族の共同養育。
幼い子どもたちも子育てを手伝うのが習わしになっています。
こうした経験がやがて母親になるための準備になっている事が最新の研究で確かめられました。
実験に参加したのは出産を経験していない女子大生たち。
3か月にわたって週に1回2時間赤ちゃんの世話を体験してもらいます。
すると泣いている赤ちゃんを見た時の脳の活動に大きな変化が現れました。
これは育児を体験する前の脳。
それが3か月間子育てを経験すると…。
育児に関わる脳の働きが活発になり子どもに親しみや愛情を感じやすくなっていました。
これは女性たちの脳にいわゆる母性を生む活動が現れた状態だといいます。
出産前に赤ちゃんと触れ合う機会がほとんどない現代のママたち。
最初は戸惑って当然なのです。
へえ〜。
そっか〜。
例えば虻川さん実際自分のお子さん産まれる前に赤ちゃんに接した経験とかおありでした?あんまり…何か泣かれちゃうのが怖くて私は赤ちゃんあんまりだっこした事なかったんですよ。
というかほとんどない。
いやない!
(笑い声)育ってないとこにいきなりポンと来るからあんだけしんどいんですね。
(明和)そうですはい。
皆さん子育てに対する気持ちが少し変わってきたみたいですね。
さあママたちの悩み次はこちら。
夫に対してすご〜くイライラ。
皆さんどうですか?私はしっ放しですよね。
何か感謝はしてるんですけれども子どもが生まれてからは何か…「もっと早くおむつ早く替えてよ!」とか「何でおむつのこの蓋のキャップ閉めないの?」とか。
おむつ協力してくれてる訳ですよね。
おむつは替えてくれます。
ほら。
俺それもしなかったんだよ。
あ〜もう奥様すごすぎますよ。
それで文句言わないんですか?言わなかったんです。
もうでき過ぎですねそれは。
一回やったんですよ。
やったらですねその…うんちがド〜っとこう背中を通じて首筋の方まで流れていきましてそれをこう拭いてるうちに全体がそういう事になってしまいまして「あっ俺には向いてない」と。
違うんですよ。
向いてないんじゃないんです。
お母さんはそれでも拭かなきゃいけない。
そうなんです。
実はちょっと驚くデータがあります。
子育て家庭の離婚件数。
離婚が多いのは子どもが0歳から2歳の産後間もない時期なんです。
このころママたちが感じやすいのが夫への強〜いイライラッ。
え〜!やだ〜。
最新科学がその原因を突き止めました!え〜。
3か月の男の子を育てる玉田ます実さん。
夫の行動にいちいちストレスを感じてしまうといいます。
夫が我が子を抱こうとしてもついきつい言葉が。
(ます実)ようちゃん…緊張してないよ。
(ます実)してるんだよ。
育児に不慣れな夫にイライラが収まりません。
子どもが生まれるまではとても気の合う2人でした。
ところが出産後は夫婦の会話もめっきり少なくなりました。
夫の修さんも妻の変化に戸惑っているといいます。
子どもを産むと一変してしまう夫への気持ち。
夫婦の距離は開くばかりです。
実はこの妻のイライラ出産後に母親の体内で放出されるあるホルモンが引き起こしている事が明らかになってきました。
出産直前のます実さんです。
そもそもそのホルモンが最初に分泌されるのは出産の時。
脳下垂体と呼ばれる場所から大量に出始めます。
そのホルモンの名はオキシトシン。
オキシトシンには筋肉を収縮させる作用があります。
子どもを産む時オキシトシンが大量に分泌され子宮を収縮させて出産を促します。
おめでとうございます。
おめでとうございま〜す。
産後授乳の際にもオキシトシンがたくさん出て乳腺を収縮させお乳を出します。
興味深いのはオキシトシンが持つ…直接脳にも働きかけ我が子やパートナーへの愛情を深める作用があるのです。
子どもと触れ合う時にもオキシトシンが出て愛情を強める事が知られています。
それなら夫にイライラなんてしないはず。
でも最近意外な事が分かりました。
こちらは子育て中のオキシトシンが大量に分泌されている母ネズミ。
我が子への愛着が強まっています。
そこへほかのネズミを近づけてみると…。
激しい攻撃!でも母ネズミのオキシトシンを働きにくい状態にすると…。
ほかのネズミを近づけても全く攻撃しません。
つまりオキシトシンには愛情を深めるだけでなく同時に攻撃性を高める作用もあったのです。
え〜困る…。
では人間の場合はどうか?母親の攻撃性を調べる実験が行われました。
参加者の母親がまず対面するのは仕掛け人の女性。
この仕掛け人わざと失礼な態度で振る舞い母親に不快な印象を植え付けます。
ここからが実験。
参加者は失礼な仕掛け人を相手にパソコンで対戦ゲームをします。
このゲーム勝てば相手に向かって嫌がらせのブザーを鳴らせるというルール。
ブザーの音量や鳴らす長さは自分で選べます。
大きな音で長く鳴らすほど攻撃性が高いと見なされます。
実験に参加するのは40人の母親。
そのうち半数にはオキシトシンの分泌を高めるため実験前に授乳をしてもらいます。
まずは授乳をせずオキシトシンが比較的少ない母親。
(ブザー)今度は直前に授乳をしてオキシトシンがたっぷり分泌された状態の母親です。
結果は?
(ブザー)でもそうなるかも。
(ブザー)もう大音量ですよ。
何それ〜?40人の母親で実験した結果オキシトシンの分泌が多い母親はブザーの長さが平均で1.3倍音量は1.5倍。
オキシトシンによって攻撃性が高まる事が確かめられたのです。
育児中の母親の感情は大きく揺れ動くてんびんに例えられるといいます。
相手から少しでも快いものが与えられるとそれがオキシトシンの働きで強められ愛情が深まる。
逆に少しでも不快なストレスが与えられると攻撃的になる。
こうしてオキシトシンの多い育児中の母親は少しの快や不快でも感情が大きく揺れ動くと考えられるのです。
いや〜。
私何でこんなトゲトゲしいんだろうと思ったらやっぱ何か出てたんですね。
出てたんです。
もうこれもひとえに…戦略?つまり…これがオキシトシンの働きなんです。
いやだってそれによってあなた攻撃の対象になってるんですよ。
一番信頼しなきゃいけないのに。
そうですよ。
味方味方。
何で夫に攻撃しちゃうんですか?みんなの味方よ。
味方ですよね?何で…おかしくないですか?夫と仲よくはしたい。
でも…。
そこを先生伺いたいんです。
ギャラ要らないんでこれだけ教えて下さい。
オキシトシンの働きを攻撃ではなく愛情に向かわせるにはどうすればいいのでしょうか。
母親の脳の働きを研究する黒田公美さんの協力で実験を行いました。
育児中の母親に一日中心拍計をつけストレスの状態を調べます。
その結果です。
グラフが水色の線より上に行くほどリラックスしていてオキシトシンが愛情を強めやすい状態。
逆に赤い線より下に行くほどストレスが強くオキシトシンが攻撃に働きやすい状態と考えられます。
グラフはほとんど赤い線より下側。
家事や育児で心も体も休まらず常にストレス状態にあるのが分かります。
しかしそんな中でも一時的にぐんとリラックスしていた時間帯が3か所ありました。
この時何をしていたのか。
授乳です。
我が子と触れ合い穏やかな時間を過ごせた事で一気にリラックス状態になっていたのです。
そのほかにもう一か所長い時間リラックス状態が続いている所がありました。
この時していた事は…。
子どものお風呂の入れ方について夫が妻と話をしているようです。
夫が妻と向き合って会話をする。
ただそれだけで妻のリラックス状態が続いています。
つまりそれは…悩めるママたちへの寄り添い。
そんなささいな事でも育児中の母親は敏感に反応し気持ちが愛情を深める方向に大きく動かされるのです。
いや〜。
何かやっぱいいんですねああやってこう…。
何か救われた気持ちになりました。
どうなんですか虻ちゃんとこ?もしかしたら言ってくれてるのかもしれないんですけど…。
キャッチしてキャッチして。
何か聞き逃してるのか…。
あなたキャッチャーじゃなかったっけ?私ピッチャーだったんですよ。
ピッチャーか。
何かだから1か月健診の時とかにすっごい一気に楽になったんですよ。
「順調ですね」って。
「何にも問題ないですよ」ってこう…。
やっぱりもう旦那さんだけじゃなくて本当にいろんな人にやっぱり認められたっていう。
もっと一般的な言葉にね…エストロゲンとかオキシトシンがなってくればいいんですかね?「大丈夫?今日オキシトシンの出具合」とか。
本当に社会の人全員がイヤイヤ期のメカニズムを知ってくれてればいい。
電車の中で子どもが騒いでてもしょうがないってね何かどっかで…。
でも「静かにしなさい。
もう今は…」っていう親も親で必死だしでもそれが本当はねみんなが何かそういうものを何て言うんですか…共感できる世の中だったら…。
そしたらねすごい寛容になれると思うんですけど。
やっぱり大事な事はこういった…ですのでこういった事をやっぱり…そこが一番今大事なのではないかと思いますね。
何かあれだね…みんなで育てる。
あとバカ族の「ちょっと持ってて」っつってそのまま仕事に出たじゃないですか。
あの軽いノリが羨ましいですよね。
そうですね。
こっちは髪の毛…美容室の白髪染めすら行くの大変なのに。
アフリカのジャングルで今なお太古の子育てを守り続けるバカ族の人々。
この日森の精霊に子孫の繁栄を願うお祭りが開かれました。
人類の誕生以来私たちはみんなで協力して子どもを育てるよう脳や体を変化させてきました。
その進化の流れに逆らうように日本の母親たちは孤独と闘いながら子育てと向き合い続けています。
その現実を私たちが知る事が子育ての苦しみを喜びに変える第一歩になる。
最新の科学はそう教えてくれています。
2016/11/19(土) 13:50〜14:40
NHK総合1・神戸
NHKスペシャル「ママたちが非常事態!?〜最新科学で迫るニッポンの子育て〜」[字][再]
孤独で不安。夜泣きイヤイヤ辛すぎる。夫にイラッ。母親たちが抱える子育ての深刻な悩み。それには深い訳が!あなたの育児が大変な「本当の理由」に最新の科学で迫ります。
詳細情報
番組内容
子育てがつらすぎる!なぜこんなに不安で孤独なの?私って、母親失格?現代ニッポンの母親たちが、子育てに深刻な悩みを抱えています。助け合いたい夫に対しても、出産後はなぜかイライラ。救いを求めて母親たちが結びつきを求める「ママ友」は、日本特有の社会現象として注目されています。なぜ母親たちは、これほど育児に苦しめられるのか? その謎に最新科学で迫ります。お母さん、育児が大変なのはあなたのせいではありません
出演者
【ゲスト】恵俊彰,眞鍋かをり,虻川美穂子,【語り】中條誠子
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〜平成28年度文化庁芸術祭参加〜