・「『雨上がりの空に七色の虹が架かる』」・「ってそんなに単純じゃない」・「この夢想家でもそれくらい理解ってる」
（すみれ）喜代さん喜代さん！
（紀夫）帰ってまいりました。
（五十八）生還祝いの会盛大にやらなな。
新しい方のお店でやったらどうかな？
（ゆり）ええねぇ！あの…店って？お友達とね赤ちゃんのための手作りの品を扱うお店をやってるの。
すみれが？まさかお商売をする事になるなんて思いもしなかったんやけど…。
僕が帰ってきたんやからもう大丈夫や。
ありがとう。
（紀夫）お義父さん。
坂東営業部は今どないなっていますか？統合されてのうなってしもたんや。
そうでしたか…。
僕が坂東営業部を復活させます。
紀夫君うれしいよ！今は潔君とゆりが復活に向けて動いてくれてる。
（潔）紀夫君の帰りを待つ間にやってた事もう少しで何らかの形になる思う。
ええ土台を渡して紀夫君の力になれたらと思うてる。
（ゆり）すみれ。
私近江に行くわ。
お姉ちゃんが？お母様と同じように近江の麻を潔さんに送るの。
それずっと大事にしてたのよ。
これからまた使ってね。
（紀夫）すみれとさくらが元気でいてるか心配で心配で生きた心地がしなかった。
紀夫さん…。
この国は変わったなぁ…。
そやね…。
ほんまに…ありがとうございます。
すみれたちの新しい店で紀夫の生還祝いが行われました
（昭一）驚かれたんやないですか？長い事留守にしとる間にまさか女房たちがね…。
ほんまは心配ですよね。
女ばかりでこないな所を借りて本格的な商売をやるなんて…。
それを男が笑って見てるなんて…。
僕にはよう理解できません。
あんなええ場所家賃かて高いのやろうし失敗したらどないするつもりや。
家賃は相場よりだいぶ安いのよ。
何でや？商店街の皆さんが大家さんに交渉してくれたの。
簡単に人を信用したらあかん。
僕が働く。
何か仕事を探さんとな。
仕事を探すってどういう事？坂東営業部は潔さんに任せた方がええと思うてるのや。
紀夫さんが坂東の家の後継者やないの。
潔さんとゆりさんかて立派な後継者や。
僕の出る幕はない。
（麻田）はい。
ありがとう。
寂しくなりますなぁ。
ほんまにありがとうございました。
（良子）お世話になりました。
（君枝）ありがとうございました。
うう…。
いよいよやね。
いよいよですな。
（明美）おっちゃん…。
さっきの涙は何やったんや？隣の隣やからな。
（紀夫）さくら。
近江で暮らし始めたゆりは…
（節子）ええか。
今日のお客はうちが昔からお世話になっとる生地の製造と卸の業者たちや。
大事な大事なお客様や。
粗相のないようにな。
はい。
失礼します。
（石鍋）何や！何ややないです。
触りましたよね？帰るわ！言いがかりつけられて気分悪いわ！
（長太郎）石鍋さん…。
言いがかりって何ですか！？ゆり！あっ石鍋さんすんまへん！
（石鍋）気ぃ悪いわほんま〜！石鍋さん！
（トク子）ゆり。
おばあ様。
何やの？あの人…。
何を言うてんのや。
毒みたいなやつはぎょうさんおるねん。
泥水すすらんならん事もある。
けど泥水は自分次第で湧き水に変える事もできんのや。
すみれが働いてると聞いた時はほんまに驚いた。
つらい思いをさせたな。
悪い事ばっかりやなかったのよ。
助けてくれる人もいたもの。
他人を信じるな。
そんなさみしい事言わないでよ。
人というのは状況一つでなぁころりと変わるもんや。
疑う事を知らんお前たちは誰にとってもええカモや。
そんな…。
紀夫さん前はそんな人やなかったやない。
収容所であんな思いをして変わらん人間がいてたら知りたいぐらいや。
寒い所にいると洋服の一枚が命のように大事で仲間がいなくて風呂に入ると服が盗まれる。
盗まれた者は凍え死ぬんや。
自分の命が助かるためには他人なんかどうでもええ。
そういうもんやで人間て。
（はな）
ついにキアリス開店の日を迎えました
紀夫さんも喜代さんも来てね。
（喜代）もちろんです。
（紀夫）僕は分からん。
仕事の紹介をしてくれる知り合いに会うんや。
場合によってはそのまま仕事をするかもしれん。
表に飾ってある洋服もこの型紙で作れますよ。
こちらで生地も選べますよ。
うちの子よだれが多いような気がするんです。
まだ上手に飲み込む事ができない時期なのでこまめにぬれたよだれ掛けは替えてあげて下さい。
おお〜大盛況やなぁ。
（栄輔）来たで来たで〜。
一方…
ホワットアジャーク！
紀夫は当てにしていた仕事を断られてしまいました
みんなよう頑張った！ありがとう。
型紙が大人気でしたね。
型紙のええところはね楽しい時間までついてくるところやと思うんです。
ものを作る時誰かの事を考える。
この型紙はお母さんが子どものためを思う時間。
それもついてくるんです。
少しでもみんなが希望を持ってくれたらええなぁ。
高い高〜い。
えいえいえい！
（さくら）好き〜。
さくらはほんまに栄輔さんが好きやねぇ。
（喜代）紀夫さん来られませんでしたねぇ。
・ありがとう。
よいしょ。
紀夫さん…。
（喜代）ああ…！紀夫さん！紀夫さん！紀夫さん…。
（紀夫）お帰り。
そして大阪では…
（３人）潔さん！
（長谷川）また潔さんと働きたいんですわ。
（秋山）潔さんがまた動き出したって聞いて…。
（笹井）居ても立ってもおられんで…。
うれしい話やけどまだ資金も準備も足らんのや。
潔君。
看板っちゅうのは掲げたもん勝ちとちゃうやろか？小さい商いからで構へん。
こいつらが働ける場所作ったってくれ。
潔は大阪に小さな事務所を借り坂東営業部復活に向け動き出しました
わしはこれからは婦人服や思うてるんや。
婦人服…。
ああ女たちはもっと気軽におしゃれしたい思うてる。
いずれ需要は高まる。
ゆりがおる近江の麻を使えへんやろうか思うてるんや。
（長太郎）麻…？サマードレスを作りたい思うてます。
サマードレスて…。
（ゆり）お二人にぴったりのドレスの試作品をあつらえて差し上げたい思うてるんです。
（静子）すてき！あっ…。
洋服に使える薄い麻を作ってもらうと思たらやっぱり石鍋さんやなぁ…。
いやいやでも…。
伯父様私に任せてもらえませんか？今日は私の主人からお話があります。
主人はほんまに情にあつくてこうと思ったらどんな障害があってもやり遂げる人なんです。
裏を返せば…。
敵に回したら怖いな。
そないな事…。
あっ。
あだ名は確か…狂犬の潔やったかしら。
何や！？うちの会社は婦人服で復活させたいと思うてます。
思うてますねん！ご苦労やった。
おばあ様のおかげよ。
泥水も私次第で湧き水に変わる。
そう教えてくれたから。
ハハハ…。
変わらなね私も。
（ゆり）近江の人たちにも評判がええの。
みんなモダンな洋服に憧れがあるのね。
何かしらの方法で注目を集めんとなぁ。
ファッションショーよ！外国では商品のお披露目をするのに当たり前のようにファッションショーするって聞いたわ。
それや！今から縫製工場に発注するのやけど出来上がる前にファッションショーやりたいのよ。
それでショー用のドレスだけ縫製をお願いできないかな？やってみたいわぁ！私もとっても勉強になると思う。
ありがとう。
（喜代）近江にお帰りに？兄ちゃんのお手伝いしようかなと思うとる。
（五十八）紀夫君。
はい。
（五十八）ゆりと潔に力貸したってくれんか？紀夫君がおったら…。
やめて下さい。
何を勘違いしとる！？わしは君に坂東家の当主の座を託したんや。
家督を譲るんや。
わしが近江に引っ込むっちゅう事は君にほんまに坂東家を託すという意味やねんぞ！はい。
家族のためにもこんな毎日を続けてる訳にはいきません。
一刻も早う働きたいです。
坂東紀夫君が我が社に戻ってきてくれました。
少しでもお役に立てるように…頑張ります。
謙虚すぎるやろ！
（笑い声）どうなんや？店の売り上げは。
なかなか難しいよね。
もう働かなくてええ。
商売は甘いもんやない。
ファッションショーが終わったら仕事を辞めて家に戻ってくれ。
いらっしゃい。
あっ…すみれさんどないしました？紀夫さんにファッションショーが終わったら仕事を辞めてほしいって言われたの。
それはなこの仕事がすみれさんにとってどんだけのもんなんかを紀夫さんが知らんからや思うで。
自分の言葉で伝える努力をせなあかんで。
栄輔さん…。
どうやったら伝わるんかよ〜く考えるんや。
（長谷川）モデルはどないします？戦争が終わって苦労してきた女たちをきらびやかに輝かせるんや。
つまり街にいる普通の人たちって事？オリオン座はほかの星を見つける目印になる。
オライオンの洋服を着る事で自分の居場所を見つけてくれたらええんやないかって。
すてき！
（時子）モデル？
（綾子）私らが？
（千代子）いや…自信ない自信ない。
そうか…。
せっかくこんなん着られるのになぁ。
（４人）うわ〜！すてき〜！
（時子）やるやる！
（良子）麗子さんどうですか？
（麗子）自信…ある！
（麗子）何やて！
（４人）いえいえ…。
その翌週
（笹井）この音楽に合わせて入場してもらいます。
合わせてってどない合わせんの？踊りながら…とか。
（長谷川）ちゃう…ちゃうちゃうちゃう！
（笹井）ちゃうわ。
（長谷川）ちゃうよこれちゃうよ。
これは元気出るわおかしゅうて。
ほんまや。
何やねんあれ。
化粧してきたでぇ〜。
ちょっと濃い方が舞台映えするって聞いたでぇ。
「ちょっと」やない！・こんにちは。
来た〜。
うちの美人の友達！
（良子君枝）あ…。
悦子さん。
（悦子）ここがあんたらの店なの？私たちのお店キアリスです。
やるやないか。
チクチクお裁縫がご趣味の手芸倶楽部。
ええ場所見つけたね。
うん。
紀夫君。
はい。
明日のファッションショーで新聞社に配るもんや。
趣旨と詳細が書かれてる。
話聞かれたらうまい事お願いな。
えっ僕が？そらそうやろ。
いやあかん。
こんなん苦手や。
潔君なら分かるやろ。
ずっと思ってたんや。
紀夫君とわしは五十八さんとうちのおやじみたいになれるんやないかって。
わしは坂東家を誰が継いでも支えると決めとった。
そやけど戦地ですみれちゃんとあの紀夫君が結婚したって聞いてほんまにうれしかったんやで。
いよいよファッションショーの日がやって来ました
そろそろ始まります。
皆さん準備はよろしいですか？足…震えてきた。
（君枝）ほんまや。
（歓声）
（拍手）わあ〜お義母さん！アハハハッ！どうぞ。
頑張って。
（歓声）
（小声で）明美さん笑って。
そんなんできへん。
（拍手）戦争が終わって苦しい中何ができるだろうと考えて今のお店を始める事になりました。
やっと夫が帰ってきてくれました。
生活に対する不安も少なくなりました。
だからこそ気が付いた事があります。
それは…お店が私の人生の喜びになっているという事です。
世の中にはいろんな事があるけれど仲間がいれば大きな力が生まれる事。
一人ではできない事も仲間と一緒ならできる事。
女の人もそんな夢を見る事のできる世の中になればと思っております。
人を信じる事の豊かさと夢をかなえていく姿を私は…娘に見せてやりたいです。
（拍手）おう何してんねや。
アニキのおかげで生きる希望が持てた。
栄輔…。
いつかアニキのおかげで今があると言えるようになりたいわ。
どないしたんや。
何や伝えとうなってな。
栄輔君はこの時を最後に姿を消しました
すみれの気持ちよう分かった。
自分だけ浦島太郎のような気になってたけど…それではあかんのやな。
ありがとう。
やっとこれからが今始まろうとしています
2016/11/27(日) 11:00〜11:20
ＮＨＫ総合１・神戸
べっぴんさん 一週間 第８週「止まったままの時計」[字]
帰還した紀夫（永山絢斗）は、すみれ（芳根京子）が始めたベビーショップ「キアリス」をやめるよう命じてきた。困惑するすみれは参加したファッションショーの壇上で…
詳細情報
番組内容
帰還した紀夫（永山絢斗）は、戦地での過酷な経験から、人を信じられなくなってしまっていた。すみれ（芳根京子）が始めたベビーショップ「キアリス」をよく思わず、仕事をやめるよう命じてきた。困惑するすみれに栄輔（松下優也）は、紀夫にきちんと「自分にとっての店は何なのか」伝えるべきだと助言する。坂東営業部主催のファッションショー当日、登壇したすみれは紀夫に向かって自分の想いを語りかける。
出演者
【出演】芳根京子，生瀬勝久，菅野美穂，高良健吾，蓮佛美沙子，谷村美月，百田夏菜子，土村芳，市村正親，中村玉緒，永山絢斗，田中要次，平岡祐太，本田博太郎，山村紅葉，曽我廼家文童，宮田圭子，松下優也ほか
原作・脚本
【作】渡辺千穂
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