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書き起こし 地球ドラマチック「クレオパトラの墓を見つけ出せ!」 2016.11.28

多くの謎と宝物を秘めた国古代エジプト。
その長い歴史の中でも特に秘密のベールに包まれているのが女王クレオパトラです。
ユリウス・カエサルとマルクス・アントニウスに愛された古代エジプト最後の王。
しかしその実像を語る痕跡はほとんど残っていません。
今その状況が変わろうとしています。
一人の型破りな研究者が古代の神殿で新たな発見をしたためです。
(マルティネス)クレオパトラのために命を懸ける覚悟はないの?すでにさまざまなものが発掘されています。
蛇はいないでしょうね…。
謎めいた通路。
死者のための町。
(イクラム)すばらしい墓地ですね。
これを見てすごいわ。
クレオパトラに関する従来のイメージが次々と覆されていきます。
彼女は母親妻女王女神その全てでした。
更に長い間隠されてきた地下の部屋が発見されます。
あれは誰かが意図的に隠したものです。
古代エジプトの大いなる謎。
女王クレオパトラが眠る場所をついに発見したのかもしれません。
岩盤が大きく切り出されています。
見たかぎりでは墓に通じる縦穴だと考えられます。
・女神クレオパトラよあなたには全てが許されている。
死後2,000年を経てなお人々を魅了する伝説の女王。
クレオパトラはエジプトの歴史における重要人物ですが専ら波乱万丈のメロドラマを演じた女王として語り継がれています。
私たちが思い描くクレオパトラのイメージはハリウッド映画などによって形づくられたものです。
(ノーントン)実際の歴史とは違う虚像です。
しかしクレオパトラの実像を知るための手がかりはほとんど残されていません。
中でも最大の謎は埋葬された場所です。
(ノーントン)死んだ時期や遺体がどうなったのかなど彼女の最期については分からない事だらけです。
しかし今クレオパトラの物語に予想もしなかったところから光が当てられようとしています。
キャサリン・マルティネスはドミニカ共和国の刑事弁護士ですがこの20年間クレオパトラの謎解きに情熱を傾けてきました。
私は弁護士として経験を積んできました。
ですからクレオパトラの謎も一つの事件のように捉えています。
クレオパトラへの情熱が抑えきれなくなったマルティネスはエジプトのアレクサンドリアに向かいます。
アレクサンドリアはかつてクレオパトラの都でしたが当時の町は1,000年以上前に海に沈みました。
1996年海中からクレオパトラの宮殿が発見されたため多くの考古学者は彼女の墓も海の底にあるはずだと考えています。
しかしマルティネスの考えは全く違いました。
紀元前31年。
クレオパトラと夫のマルクス・アントニウスの率いる軍勢はアクティウムでローマ軍に敗北。
エジプトに逃げた2人は自殺します。
クレオパトラの自殺は自らの遺体が敵であるローマ軍に渡らないようにするためだったとマルティネスは考えています。
クレオパトラの最期について研究するうちにこれは遺体を神殿に埋葬する宗教的行為だったかもしれない。
だとすれば彼女の墓も神殿の中で見つかるはずだ。
そう思いました。
戦略家だったクレオパトラはローマ人の目の届かない神殿の地下に自らの遺体を埋葬させたのだとマルティネスは考えています。
古文書の研究をした後彼女は墓の候補地として21か所の遺跡を調べました。
その中の一つがタップオシリス・マグナでした。
アレクサンドリアの西40キロの場所にある複数の神殿が集まった遺跡です。
タップオシリス・マグナがクレオパトラの時代にまで遡るものなのかマルティネスにも確証はありませんでした。
(ノーントン)考古学者の興味を引くような場所ではありません。
あの遺跡とクレオパトラが結び付くなんて想像した事もありませんでした。
20世紀にいくつかの研究チームが発掘調査をしましたが興味深いものはほとんど見つかりませんでした。
しかしマルティネスにとっては違いました。
足を踏み入れた途端笑いだしてしまいました。
正しい場所だと分かったからです。
敷地を囲む壁には碑文がなくいかなる王朝につながるものも見当たりませんでした。
そのためこれまでに調査した考古学者はタップオシリス・マグナを未完成に終わった神殿で取るに足らない遺跡だと見限っていました。
そうではない事をマルティネスは証明しようとしていました。
今までにこの遺跡に来た人は何かを探そうという明確な意図を持っていなかったんです。
ほとんどの考古学者はマルティネスの説に否定的でした。
(ノーントン)マルティネスの考え方はとても感覚的なもので科学的な視点が欠けているように思えました。
考古学の世界ではうさんくさい人物として見られていたというのが実情です。
しかし遺跡の巨大さとアレクサンドリアへの近さからマルティネスは自分の直感は正しいと確信していました。
もし墓を見つける事ができればクレオパトラの生活やその死にまつわる秘密も明らかになるはずです。
人々は映画の中のクレオパトラしか知りません。
実際の彼女は音楽を奏で薬を研究し法律にも精通していました。
女性が抑圧を受けていた時代に信じられないほど多くの事を成し遂げたんです。
ローマ人がクレオパトラを悪女として拒絶する一方でアラブの人々は彼女を哲学者科学者そして優れた政治的指導者として伝えてきました。
そうした見方は最近の学者たちの間にも広まっています。
古代史学者のドロシー・トンプソンは現存する数少ない古文書からクレオパトラが行った政治に関して新しい発見をしました。
私はエジプトの女王に関心があります。
後世の人々が作り上げた幻想の姿にではありません。
書き残された記録から分かる真の女王の姿にです。
ベルリン・エジプト博物館にある2,000年前のパピルスにはクレオパトラの政治手腕をうかがわせる記録が残されています。
(トンプソン)これは紀元前50年のもので彼女が即位してから1年半の間に書かれています。
一番上には女王を意味する言葉が書かれていてクレオパトラがこの勅令を発した事が分かります。
クレオパトラは都の人々に十分な食料が行き渡っているかどうかを心配しています。
エジプトが飢きんに襲われた時飢えのせいで騒動が起きないようクレオパトラは勅令を出したのです。
(トンプソン)彼女はこう命じています。
「穀物を買ったいかなる者もその穀物を北にも南にも運んではならない。
全て都に持ち帰る事。
この命に背いた者は誰であれ死罪に処す」。
ハリウッド映画のイメージとはかけ離れています。
(トンプソン)国が抱えている問題に向き合い有効な対策を施そうとする本物の政治家です。
(トンプソン)男を誘惑する魔性の女ではなく国のために働く女王の姿です。
タップオシリス・マグナの発掘調査のためマルティネスはエジプト当局に許可を申請しなくてはなりませんでした。
自らの説を立証するためマルティネスに与えられた発掘期間は僅か2か月でした。
発掘調査が始まって8週間。
期限が迫ってきてもめぼしいものは何も見つかりませんでした。
作業に当たっている人は皆がっかりしていました。
陶器のかけらさえ見つからなかったんです。
発掘の最終日マルティネスは最後の望みを懸けて敷地全体にメンバーを散らばらせました。
そして北門の近くで不思議なくぼみを発見しました。
発掘してみると突然小さな穴が現れました。
更に砂を払うとそれが縦穴である事が分かりました。
マルティネスは地下深くまで続く秘密の縦穴を発見したのです。

 

 

 


古代に降りていくような穴でした。
はしごは使っていなかったようです。
部屋の形も詳しく調べました。
独特な形でしたから。
縦穴は5メートル下にある2つの秘密の部屋につながっていました。
一体何のために造られた部屋なのでしょうか。
色のついている跡が見えるでしょう。
絵が描かれていたんです。
驚くべき成果でした。
これまで専門家たちが見つけられなかった地下の部屋を発見したのです。
2つの部屋は宗教的な儀式に使われていた可能性があります。
いずれにせよこの発見は発掘期間の延長を可能にするだけの説得力を持っていました。
人生で一番幸福な日でした。
この縦穴のおかげで研究が続けられたんです。
マルティネスはタップオシリス・マグナが研究する価値のある遺跡だと証明しました。
しかしここにクレオパトラの墓があるかどうかはまだ分かりません。
クレオパトラの最後の日々。
そして死は多くの謎に包まれています。
クレオパトラが死んだ時の状況は記録に残されていません。
ローマ軍との戦いに敗れた後反乱軍の将軍でクレオパトラの夫マルクス・アントニウスは自殺。
クレオパトラもその後を追ったとされています。
古くからの言い伝えでは毒蛇に自らの乳房をかませて自殺したとされています。
そのあとどうなったかは謎です。
(ノーントン)クレオパトラの遺体がどうなったか分からないし死の状況もあやふやで矛盾が多い。
埋葬された場所が明確に分かる情報は残っていません。
(ノーントン)もしマルティネスがクレオパトラの墓を発見したらかつてカーターがツタンカーメンの墓を発見したのに匹敵する偉業です。
2シーズン目の調査でマルティネスは前回の発掘で見つかった建物の跡に目を向けました。
死後の世界をつかさどる神オシリスを祭った神殿だと考えられるものです。
しかし誰がそれを建てたのかは分かりませんでした。
建物自体はほとんど残っていませんが調べていくうちに大きな手がかりが発見されました。
数枚の壊れかけた石板です。
魔法のような時間です。
慎重に扱わないと。
この石板にはラピスラズリやトルコ石など貴重な石やガラスも使われています。
建物の下に埋めた神へのささげ物ではないかと考えられました。
本当に神へのささげ物だとすれば極めて重要な発見です。
神殿が建てられた時代を知る手がかりになるからです。
記された文字は消えかけていましたが判読可能でした。
鮮明ではありませんが何とか読む事ができました。
ギリシャ語でこう書かれています。
「バシリオス・プトロメイ」。
プトレマイオス王という意味です。
この石板は神殿の落成を記念しおよそ2,200年前にプトレマイオス4世によって埋められたものだとマルティネスは考えました。
クレオパトラの5代前の王です。
この発見は考古学界に衝撃を与えました。
タップオシリス・マグナがクレオパトラの家系とつながりがある事が証明されたからです。
クレオパトラの埋葬場所である可能性も高まりました。
私たちが発見した証拠によってこの神殿に関する定説は完全に覆されました。
しかしこれは始まりにすぎませんでした。
数週間後発掘の範囲を北に広げたマルティネスはもう一つ別の神殿を発見したのです。
こちらの方向に発掘していってこの石を見つけました。
辺りを探ると壁の遺跡が見えてきたので北の方を発掘すると建物の大きさが分かりました。
出入り口があったんです。
2つ目の神殿は女神イシスを祭ったものだと考えられました。
イシス神殿には3つの空間がありそのうちの一つが本殿として使われていたようです。
実はイシスとクレオパトラには深い関係がありました。
イシスはエジプトの人々にとって特別な存在でした。
(ティルズリー)古代エジプトの非常に大切な女神です。
民衆からあつい信仰を受けていました。
そしてクレオパトラは自らを地上におけるイシスの化身だと言っていたのです。
(トンプソン)抜け目のない政治的な戦略だと思います。
自らをイシスの化身だと名乗る事で民衆の心をつかもうとしたんです。
イシスの化身クレオパトラの墓はイシス神殿の下にあるのでしょうか。
イシス神殿の壁の内側を発掘するうちにマルティネスは礼拝堂のようなものを発見しました。
礼拝堂の内側を掘り返すとコインが200枚ほど出てきました。
そのうちのいくつかはとても状態が良く表面にクレオパトラの顔が確認できました。
イシス神殿の真ん中でクレオパトラの顔が描かれたコインが見つかったんですから舞い上がるほどの喜びでした。
美しいクレオパトラです。
クレオパトラの顔が描かれた青銅のコインはこの神殿がクレオパトラの時代にまだ使われていた事を示していました。
コインは女神イシスへのささげ物だと思います。
この青銅のコインはクレオパトラが自らの肖像を統治に利用した事を物語っています。
クレオパトラの祖先たちは金持ちだけが使える銀貨にのみ肖像を用いました。
一方クレオパトラはあらゆる人が自分の顔を見て崇拝する事を望んだのです。
価値の低い青銅のコインに自らの顔をのせるのは斬新な試みでした。
これによってクレオパトラの肖像は大衆に広く知れ渡ったはずです。
このコインを日常的に使っている人たちは毎日彼女の肖像を見たわけです。
クレオパトラは貧富にかかわらず国じゅうの人に自分の顔を覚えてもらう事を望みました。
また彼女はエジプトの内政だけではなく外交においてもさまざまな政治手腕を発揮していました。
ベルリン・エジプト博物館には貴重な資料が保管されています。
クレオパトラがローマを味方につけようとしていた事を示す古文書です。
これは女王の同意書ですが興味深い記述を見る事ができます。
「ローマ人は税金の大幅な軽減を受ける」と書かれているんです。
文書の一番下に書かれている言葉も注目に値します。
ひと言「ギネスト」とあります。
翻訳すると「それでよい」という意味です。
(トンプソン)上に書かれた勅令に対するクレオパトラの承認のサインです。
この言葉だけは他の部分と筆跡が違うため多くの人々の想像力を刺激しています。
誰でも思いますよねこれはクレオパトラの直筆の文字じゃないかって。
そうだったら本当にすばらしい事ですが証明する手立てがありません。
マルティネスの発掘は4年目に突入。
イシス神殿の発掘で勢いがついた彼女はクレオパトラの失われた墓を探し続けていました。
ある時神殿を囲む壁の外側を歩いていると地面におかしな凸凹がある事に気付きました。
掘ってみると地下に通じる石段が見えてきて縦穴だと分かったんです。
見つかったのは地下25メートルの場所に至る縦穴でした。
私と一緒に中に入りたい人は?クレオパトラのために命を懸ける覚悟はないの?縦穴から何トンにも及ぶがれきを取り除いたあとマルティネスは思い切って下に降りていく事にしました。
そのままそのまま!そのままね。
・しっかりロープを握って!穴の底には秘密の通路が2つありました。
最初は北に向かう通路に入ってみましょう。
あとから反対側へ。
どちらかの通路が隠された墓に通じているかもしれません。
通路の壁はのみで整えられていてかなり手がかかっている事が分かりました。
現地の人に蛇が出そうな場所を教えてもらわないと。
ライトを貸して。
その下に階段があるわね。
通路に沿って進むと地上につながる縦穴がまた見つかりました。
どうして入り口をいくつも造ったのかしら…。
こんな事をしたら見つかりやすくなるのに。
気をつけて進んで。
墓らしいものは見当たりません。
しかしがれきの中に新しい手がかりがありました。
見て…これは神殿建築の一部ね。
60メートルほど進むと通路は狭くなり行き止まりになりました。
一旦地上に戻ります。
イシスのものと思われる大理石の彫刻を見つけました。
この陶器の破片を調べれば地下通路が造られた時代が分かるはずです。
更に人骨まで回収されました。
これも見つけました。
頭蓋骨です。
しかし何者の人骨なのかここで何をしていたのかは不明です。
マルティネスの発掘によりタップオシリス・マグナの下に300メートルに及ぶ通路と縦穴がある事が分かりました。
マルティネスはこの遺跡のどこかにクレオパトラの墓があるという確信をますます深めていきました。
クレオパトラが女王として君臨した時代。
エジプトとローマは時に敵対し時に結び付きました。
紀元前48年。
ローマの将軍ユリウス・カエサルがエジプトを訪れます。
20歳の若き女王クレオパトラはカエサルと恋愛関係になります。
しかしその裏には自らを有能な政治家として誇示したいというクレオパトラのしたたかな計算もあったと考えられています。
カエサルとクレオパトラの関係については男女のラブロマンスそして政治的な駆け引きその両方があったと思います。
ローマは地中海世界で最大の強国でした。
エジプトはローマの保護を求めていたし一方ローマも大穀倉地帯であるエジプトを傘下に収めておきたかったんです。
2人の恋愛関係は4年間続き息子も1人生まれました。
カエサルはクレオパトラをローマに連れていき彼女をたたえる神殿まで造りました。
クレオパトラもカエサルに貴重な贈り物をしました。
科学の分野における豊富な知識です。
当時ローマの暦は月の満ち欠けに基づく太陰暦でした。
しかし月の満ち欠けを基準にしていると毎年暦にずれが生じるという問題点がありました。
(アーリヤ)1年の日数が固定されずうまく機能していませんでした。
一方クレオパトラの治めるエジプトでは太陽の動きを基準にした暦を使っていました。
カエサルはエジプトに倣いローマの暦を改革します。
カエサルはエジプトの天文学を取り入れ太陽の動きに基づいた暦を作り上げました。
これによってローマの暦は安定しました。
1年が365日。
4年に1回のうるう年。
つまり今我々が使っているのと基本的に同じ暦です。
しかし紀元前44年カエサルが暗殺されるという事件が起きます。
クレオパトラは故国エジプトへと戻っていきました。
2014年マルティネスの発掘調査は10シーズン目を迎えていました。
すばらしい出土品が数多く見つかっていました。
どれもクレオパトラの家系であるプトレマイオス朝に由来するものです。
これは私のお気に入り。
プトレマイオス朝時代の女王の像です。
目にメークを施すアイライナーです。
これは物売り用のはかりに使う分銅。
アレクサンドロス大王の像。
こちらはペニス。
エジプトの豊じょうの神の一部です。
出土品によって在りし日の神殿が徐々によみがえります。
神殿の北門で更に興味深いものが見つかりました。
石でできた奇妙な形の礎が14個並んでいたのです。
重要なのは全ての石が幾何学的に異なった形をしている事です。
これはとても珍しい事です。
これまでに14個見つけました。
エジプトを支配したプトレマイオス朝の王はクレオパトラまでに14人いるのでこの礎はそれを表現しているのかもしれません。
マルティネスはこれらの礎の上にプトレマイオス朝の歴代の王の像が立ち並び道を形づくっていたと考えています。
つまりここは非常に重要な神殿で女王の墓にふさわしい場所だという確信を更に深めました。
2015年2月。
礎の後ろのがれきを掘り返すと驚くべきものが出てきました。
文字が刻まれた大きな石灰岩の板でした。
有名なロゼッタストーンと同様碑文はヒエログリフとデモティックの両方で書かれていました。
この石の塊がタップオシリス・マグナの歴史を今に伝えてくれます。
私はこれをマグナ碑と名付けました。
マグナ碑はプトレマイオス5世が即位して7年たったころのものでした。
ロゼッタストーンよりも2年古い事になります。
碑文はこの場所が女神イシスに関係するものである事を証明していました。
プトレマイオス5世はタップオシリス・マグナの神殿がイシスとその土地をたたえるものでイシスを祭る拠点だと碑文に書き残しています。
ここは聖なる地で神殿の周りにあるものは全てイシスを崇拝するために使われていたんです。
(ノーントン)とても重要な文書です。
タップオシリス・マグナが王家の神殿だった事が分かります。
田舎の小さな神殿などではありません。
極めて重要な拠点だったのです。
マルティネスの発見した石碑は歴史を書き換えたのです。
ここがエジプト北部におけるイシス信仰の拠点である事はプトレマイオス朝の王にとって極めて重要でした。
クレオパトラが頻繁に訪れていた証拠も見つかりました。
しかしここに埋葬されているかどうかは別の話です。
マルティネスは神殿の外壁まで発掘の範囲を広げました。
そして500メートル東の砂地にある灯台のような遺跡のそばに何かが埋もれているのを見つけました。
灯台のような遺跡と神殿との間にある土地を発掘してみると地下に続く階段が見つかりました。
階段の下には岩盤を深く切り出した一連の部屋がありました。
構造から見てほぼ確実に墓です。
下に降りて調べるけどマスクと手袋を必ず着けて。
遺体が存在した場合有害物質が発生している可能性があります。
墓の存在はこの遺跡で埋葬が行われた事を示す初めての証拠となりました。
更に発掘を進めると迷路のようになった地下墓地が出てきました。
ある場所には頭蓋骨が。
別の場所にはミイラが安置されていました。
全体の規模はまだ分かりませんが現時点で800以上の頭蓋骨を発見しています。
それは数百平方メートルにも及ぶ巨大な共同墓地でした。
古代エジプトの死者の町。
ここに葬られたのはどんな人たちだったのでしょうか。
マルティネスは長い間考古学の異端児でしたが今ではあらゆる研究者が彼女の発見を見たがっています。
(イクラム)すばらしいですね。
サリーマ・イクラムは古代エジプトの埋葬の専門家です。
(イクラム)信じられないわ。
本当にすごいわね。
いくつかのミイラは頭が金で覆われていました。
(イクラム)ミイラの頭に金ぱくが付いています。
どうやって付けるかというと松やにや時には蜜ろうも混ぜて顔に塗り付けます。
その上から小さな金ぱくを貼り付けるとうまくくっつくんです。
頭に金を貼り付けたのは装飾のためだけではないと考えられています。
プトレマイオス朝の後期にはミイラ製作の技術が衰えていて昔のように遺体をうまくミイラ化できなくなっていました。
それで油や軟こうをたくさん付けたり金を貼り付けたりしていました。
ミイラとしての出来の悪さをごまかすためです。
ミイラ製作技術の低さも含め全てがクレオパトラの時代の埋葬である事を物語っていました。
(イクラム)すばらしい墓です。
まだ発見されていない遺物や遺体もたくさんある事でしょう。
神殿に近い場所なので特に神聖な墓とみなされていたはずです。
(イクラム)誰もが死んだら埋葬されたいと願うとても大切な場所だったと思います。
埋葬された人は皆永遠の世界に向かうと信じられたんでしょう。
墓の重要性が明らかになった事で自らの最終目標クレオパトラの墓に近づいている事をマルティネスは確信しました。
しかし王を神殿の地下に埋葬した実例はあるのでしょうか。
2014年エジプト南部にある遺跡ラメセウムで興味深いものが発見されました。
神殿の地下に続く縦穴に王家の墓の副葬品が残されていたのです。
(ノーントン)ラメセウムの出土品はカロママ王女のものだと分かりました。
非常に身分の高い神官だった女性です。
カロママの墓はクレオパトラより900年前に遡るものです。
クレオパトラはタップオシリス・マグナに埋葬される事で古い王家の伝統を復活させようとしたのでしょうか。
クレオパトラが神殿の地下の同じような縦穴に埋葬されたという可能性は十分に考えられます。
実際神殿の中にある縦穴式の墓に身分の高い王家の人々特に女性が埋葬された例はかなりあります。
降りてみます。
西門のすぐそばの浅い地下で部屋が1つ発見されました。
そこで見つかったのは女性の遺骨でした。
頭蓋骨を見つけました。
妊娠中の女性です。
分析の結果クレオパトラにしては年齢が若すぎる事が分かりました。
この女性が何者なのかは今も謎のままです。
それでもこれは画期的な発見でした。
神殿の内部で埋葬が行われた事を示す証拠だからです。
マルティネスは一層自信を深めました。
やがて敷地の北西の隅でいくつかの階段が発見されその先に大きな空間がある事が分かりました。
空間の大きさは縦横高さとも9メートルから10メートル程度。
とても広く深い空間で王家の谷にある墓に匹敵します。
興奮しました。
これだ!って。
一番下には更に地下へと続く狭い縦穴がありました。
その縦穴を調べると地下23メートルの地点に頭蓋骨が2つありました。
一挙に興奮が高まりました。
地下35メートルの地点まで掘り進みましたが何も見つかりませんでした。
しかしこのように深くて広い空間の底に縦穴がついている以上何か意味はあるはずだとノーントンは考えています。
(ノーントン)際立った特徴はその大きさです。
岩盤が大きく切り出されていますがこんなものはめったにありません。
見たかぎりでは墓に通じる縦穴だと考えられます。
大発見ですがマルティネスには時間がありません。
今回の発掘期間は終わりに近づいていました。
マルティネスは地中を調べるレーダー探査機を持ち込みました。
縦穴の向こうに隠された部屋があるかどうかを確かめるのが目的です。
私たちの技術を応用して考古学者の人たちがクレオパトラの遺体を見つける手伝いをしています。
調査の結果2つの空間が存在する可能性が出てきました。
地中レーダー探査機は重要な空間がある事を示しています。
王が永遠の眠りにつく部屋として十分な広さです。
(ガマル)これだけは確かです。
誰かが何かを隠しています。
もしかするとクレオパトラの遺体かもしれません。
この年の作業はここで時間切れになってしまいました。
縦穴の調査は次のシーズンまで待たなくてはなりません。
しかしここに重要なものがあるというマルティネスの直感は当たっていました。
彼女はタップオシリス・マグナが重要な神殿のある遺跡だった事を証明しました。
地下深くにある秘密の墓も間もなく発見されるかもしれません。
マルティネスのおかげでクレオパトラの墓に近づいた事は確かです。
・クレオパトラの墓が見つかるのはもはや時間の問題だといわれています。
世界中がマルティネスの調査に注目しています。
・アレクサンドリア近郊の古代神殿で見つかったものです。
この旅は大きな発見で幕を閉じる事になるでしょう。
・クレオパトラのさまざまな肖像も見つかっています。
私はクレオパトラの墓を見つけるまで決して歩みを止めません。
彼女の墓はここタップオシリス・マグナにあると心が感じるんです。
2016/11/28(月) 00:00〜00:45
NHKEテレ1大阪
地球ドラマチック「クレオパトラの墓を見つけ出せ!」[二][字][再]

エジプト最後の女王クレオパトラ。その隠された墓を見つけようと一人の女性が立ち上がった。ドミニカ共和国の刑事弁護士、キャサリン・マルティネス。世紀の発見なるか!?

詳細情報
番組内容
エジプトの長い歴史の中でも特に謎に包まれているのが、クレオパトラだ。実像を知るための手掛かりはほとんど残されていない。情熱に突き動かされ、なぞの解明に挑むマルティネスは、従来考えられてきた所とはまったく異なる場所に墓があると推測。独自の説を唱え、ある荒れ果てた遺跡の発掘を始める。すると隠された竪穴が見つかった!さらに女王の顔が描かれたコインが。やがて、人骨、秘密の空間も…!(2015年イギリス)
出演者
【語り】渡辺徹