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書き起こし クローズアップ現代+「“変質”するPKO 自衛隊新任務の行方は」 2016.11.30

PKO活動のため南スーダンに出発した自衛隊。
NHKが現地で撮影した最新の映像です。
戦闘服を着た兵士の姿や略奪された店が至る所で見られました。
(銃撃音)今、国連のPKO活動は大きく変化しています。
武力衝突が続く南スーダンでは民間人が戦闘に巻き込まれる事態に。
PKOは避難民などを保護するため実力の行使も辞さない対応を求められているのです。
そうした中、新たな任務を付与された自衛隊はどんな事態に直面するのか。
検証します。
きょうの夕方、新たな任務を付与された自衛隊の主力部隊120人が、南スーダンに向けて出発しました。
すでに5年間、南スーダンでの活動を続けている自衛隊ですが、今回新たに駆け付け警護という任務が付与されました。
これは襲撃された国連スタッフなどを武器を使って救出するという任務です。
自衛隊のPKO活動はこれまで一発も撃つことなく、そして一人の犠牲者も出すことなく、続けられてきましたが、今、大きな転換点を迎えているのです。
一方、自衛隊が参加する国連のPKO活動も、大きな変化に直面しています。
PKOはもともと停戦の監視が主な任務でしたが、平和の維持が困難な地域で活動することが増える中、避難民や国連のスタッフなどを守る文民の保護も重要性を増しています。
南スーダンでも、7月に起きた武力衝突で民間人が巻き込まれる事態が起きました。
ことし7月南スーダンの首都ジュバで政府軍と反政府勢力による激しい戦闘が起きました。
民間人を含め死者は270人以上。
戦闘は国連の施設付近でも発生し中国の隊員2人が死亡しました。
先週、現地に入った取材班は政府軍の広報官に反政府勢力の拠点だった場所を案内されました。
双方の小競り合いをきっかけに始まった戦闘は瞬く間に市内全域に広がりました。
衝突の背景にあるのは南スーダンで5年前の独立以降もくすぶってきた民族間の対立です。
キール大統領が率いる政府軍は最大の民族、ディンカ族が中心。
これに対しマシャール前副大統領率いる反政府勢力は2番目に多いヌエル族です。
3年前、2つの勢力による武力衝突が勃発。
いったん和平合意が結ばれましたが、ことし7月突如、戦闘が再燃しました。
ジュバ市内の2つの宿営地にいた国連PKO部隊。
戦闘のさなか、PKO部隊に文民の保護が求められる事態が起きました。
襲撃を受けたとNGOから救出要請が届いたのです。
外国のNGOなどが事務所を構えていた施設です。
当時、スタッフなどおよそ70人がいました。
押し入ったのは大勢の武装した集団でした。
居合わせた地元ジャーナリストが殺害され、複数の女性スタッフが性的暴行を受けました。
当時、現場にいたジャン・リボットさんです。
最悪の事態を覚悟したリボットさん。
身を隠したベッドの下から写真を撮っていました。
写っているのは部屋を物色する男の足。
軍服を着た政府軍の兵士でした。
ディンカ族である政府軍の兵士たちは対立するヌエル族を捜し出し殺そうとしていたのです。
リボットさんたちは何度も国連PKO部隊に助けを求めました。
しかし、PKO部隊が救出に来ることはありませんでした。
PKO部隊は難しい判断を迫られていました。
宿営地のすぐ外では政府軍が戦車などを投入し反政府勢力との間で大規模な戦闘を続けていました。
こうした中文民保護に当たるよう要請された現場の部隊が出動を拒否したのです。
部隊の判断は正しかったのか。
国連は厳しい状況下でも任務を遂行すべきだったと批判。
安全保障理事会も、PKO部隊はできるかぎり文民保護に当たるという原則を確認しました。

 

 

 


国連は責任はPKO部隊を率いていたケニア人の司令官にあるとして解任しました。
しかしケニア側は、司令官に落ち度はなかったと反論。
PKO部隊が、大規模な政府軍と対じすることになり大きな犠牲が出かねなかったと主張しました。
平和の維持が難しい地域での活動が増える国連PKO。
責任者は、危険を伴う任務でも役割を果たしていきたいとしています。
平和構築がご専門の東大作さんに伺います。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
東さん、見ますと、PKOの部隊が受け入れの当事者である政府と衝突しかねないのではという危惧も抱いてしまうんですが、どう見ればいいんでしょう?
国連PKOはもともと停戦監視で始まったんですが、冷戦が終わったあと、国の再建を通じて、持続的な平和を作る、いわゆる平和構築をPKOとして支援することが非常に増えてきたんですね。
その代表的な例とすれば、カンボジアとか、コソボとか東ティモールとかシエラレオネとかになるんですが、2000年代の後半から、その平和構築という任務に加えて、その文民保護というものも、任務として、国連安保理から付与されることが増えてきたんですね。
ただ、実際には南スーダンとか、コンゴ民主共和国とか非常に広大な国土を持っていて、しかも政府は非常にぜい弱で、警察も軍もあまり整備されていないという所では、一体どこまで国連のPKOが本当にその文民保護ができるかというのは、現実的にはかなり難しい面もありまして、そこに理想と現実の非常にギャップがあって、今回の7月のジュバの戦闘も、そういった国連のPKO全体抱えているある種ジレンマといいますか、構造的な問題を露呈してしまったということだと思います。
そうした中で、社会部の自衛隊を取材している宮原記者に聞きますけれども、もし、7月のような状況になった場合に、自衛隊は駆け付け警護をやることになるのかどうか。
防衛省は7月のような大規模な武力衝突では、自衛隊が対応するのは難しいとしています。
そもそも治安維持に関する活動は、他国の歩兵部隊が行います。
自衛隊はしせつぶたいとして派遣されていますので、駆け付け警護を行うのは、極めて限定的な場面だとしています。
だとすると、具体的にどのような場合に駆け付け警護をすることになるんでしょうか?
他国の部隊が周辺にいないだろう、極めて限定的な場面だとしています。
例えば、自衛隊の部隊が道路整備をしているすぐ近くで、国連のスタッフが襲撃され、緊急に救出を要請された場合などです。
しかし、PKOを経験した複数の幹部に取材しますと、限定的とはいっても、治安情勢は予断を許さない状況が続いていますので、部隊が難しい判断を迫られるおそれもあると話していました。
自衛隊が派遣される首都ジュバの状況というのをちょっとおさらいしてみますと、7月の武力衝突以降、政府軍と対立していた反政府勢力を率いるマシャール前副大統領は国外に逃れ、その部隊もジュバを追われました。
そのため、現在、首都ジュバは比較的落ち着いているとされています。
ただ、北部や南部では追い出された反政府勢力と、政府軍との衝突が続いているという状況なんですね。
こうした中で、政府は自衛隊の今後の活動について、基本的な考え方を示しています。
こちらです。
それは、隊員の安全を確保しつつ、有意義な活動を実施するという内容です。
それが困難と認められる場合は、部隊を撤収するとしています。
実は、3年前に自衛隊の撤収が具体的に検討されていたことが、取材で明らかになりました。
今回、NHKが入手した自衛隊の内部文書です。
南スーダンの独立後、初めて政府軍と反政府勢力の間で武力衝突が起きたときの詳細が記されていました。
(砲撃音)衝突が起きたのは2013年12月。
自衛隊の宿営地がある首都ジュバで、突如大規模な戦闘が始まったのです。
銃声が近くなる。
曳光弾
(えいこうだん)が視認される。
軍人、民間人の死傷者。
戦闘は、自衛隊の宿営地の数百メートル先でも発生。
銃弾が飛び交い、戦車も砲撃を繰り返していました。
宿営地にいつ弾が飛んできてもおかしくない状況だったのです。
南スーダンにはインフラ整備などを担う施設部隊として派遣された自衛隊。
隊員たちは防弾チョッキや鉄製のヘルメットを装着。
このときから、宿営地の外での活動できなくなりました。
大規模な戦闘が勃発した翌日。
自衛隊が撮影した映像です。
宿営地がある国連施設には大量の避難民が押し寄せていました。
文書には、宿営地が戦闘の現場となる懸念が記されていました。
避難民を狙った襲撃、砲撃も否定できない。
流れ弾や砲弾が、宿営地に被害をもたらす可能性は否定できない。
隊員の一人が、当時身の危険を感じていたことを初めて明かしました。
ぎりぎりの状況の中で日本の防衛省や司令部とやり取りを繰り返す部隊。
ある重要な指示を受け動きだしていたことが分かりました。
緊急撤収計画。
戦闘発生から9日後事態が改善する見通しが全く立たない中で撤収の準備を始めていたのです。
隣国に陸路や空路で脱出するルートや現地の日本人の輸送方法を具体的に検討していました。
しかし、現場の隊員たちの気持ちは揺れていました。
目の前に避難民がいる状況で何もしなくていいのかジレンマ。
実際に巻き込まれて負傷者が出ないと帰れないんじゃないか。
撤収計画の検討のさなか隊員たちの緊張感が最高点に達する事態が起きていました。
(銃撃音)攻勢を強めていた反政府勢力が近く、ジュバに大規模な攻撃を仕掛けるおそれがあるという情報が国連からもたらされたのです。
その直後、1月5日、宿営地のすぐ近くで銃撃戦が発生。
自衛隊は警戒レベルを最高に引き上げすべての隊員が小銃に弾薬を詰めいつでも射撃できるようにしていたことが分かりました。
自衛隊が海外で武器を初めて使用する瀬戸際に立たされていたのです。
結局、最悪の状況には至らず自衛隊が撤収することはありませんでした。
ただ、こうした実態は公に伝えられないまま活動が続けられてきたのです。
今、ご覧いただいた3年前の状況と今の状況はもちろん異なりますけれども、宮原さん、この緊迫した経験から、学べることというのは大いにありますよね。
3年前の武力衝突について、複数の隊員に取材したんですけれども、事前の兆候はなくて、突然、衝突が始まったと、当時の衝撃を語っていました。
ことしの7月もジュバで平穏が続いていた中で、突然、衝突が起きています。
ただ、こうした事態の詳細は、これまで公には伝えられることはありませんでした。
衝突の背景にある民族間の対立が今も続く中で、派遣の要件となっている隊員の安全の確保と、意義のある活動が、両立し続けているのか、それを広く議論するためにも、政府は適切に情報を開示していく必要があると思います。
こうした情勢の中で、政府は南スーダンのPKO活動を通して、引き続き、国際貢献に取り組むことが重要だとしています。
政府は、南スーダンの治安情勢は厳しいが、首都ジュバは、現在は比較的落ち着いているとしています。
きょう、新たな任務を付与された120人の主力部隊が、南スーダンへと出発しました。
一方、取材に応じた家族の多くは、不安を募らせています。
まさにきょう夕方、主力部隊が南スーダンにたったわけですけれども、東さん、今後の南スーダンの見通し、どう考えられますか?
近未来的には、国連が地域保護軍と呼ばれる4000人ぐらいの、戦闘能力の高い部隊を首都のジュバに入れることになってまして、今は実際、最初のVTRを見ていただいたとおり、マシャール派が、マシャール派の軍隊も含めて、ジュバから出てますので、比較的ジュバの中は安定していると思うんですが、新たにその4000人の部隊が入ったときに、南スーダン政府側、もしくは政府軍の中にそれに反発している方も結構多いですので、非常に緊張が高まるリスクがあるのは事実だと思います。
そのときに、実際に被害が国連の部隊だけじゃなくて、国連のスタッフとか、邦人に及びそうになったときに自衛隊としてどう判断するかというのは、非常に難しい判断を迫られるのではないかというふうに思います。
今後、長い目で見たときに、日本はどう南スーダンへの支援に関わっていけばいいというふうにお考えですか?
私もこの夏に南スーダンの和平プロセスをアフリカで調査したんですが、日本の戦国時代の応仁の乱のような状況で。
つまりいろんな地域で群雄が割拠して、群発が割拠して、政府軍の支配の及ばない所も非常に多いと。
マシャール派と、キール派の戦闘も簡単に終わる引き出しを見せないと。
非常に長くかかりそうな、10年、20年、かかる可能性があるということもあると思うんですね。
そうすると、10年、20年ずっと自衛隊が国連のPKOの部隊としている必要があるかという議論は、やはり政府の中でも出てくるのではないかと思います。
私としては非常に重要な、3つぐらい焦点になると思うんですが、1つは長期化した場合に、ほかの国連PKOにも、自衛隊の方が出て、南スーダンから仮に撤収しなきゃいけなくなっても、ほかにもPKOが残るということもありますし、アフリカのPKO部隊への能力構築支援、これ、ケニアでずっとやってるんですが、これより大きくすることもできる。
お待たせ致しました!当ミュージアム「お宝ガレリア」の館長より今回の特別展の発表です!2016/11/30(水) 22:00〜22:25
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代+「“変質”するPKO 自衛隊新任務の行方は」[字]

南スーダンPKOに派遣される自衛隊の部隊に、安全保障関連法に基づく新たな任務が付与されることが決まった。派遣部隊はどのような事態に直面するのか、多角的に検証する

詳細情報
番組内容
【ゲスト】上智大学准教授…東大作,【キャスター】伊東敏恵
出演者
【ゲスト】上智大学准教授…東大作,【キャスター】伊東敏恵