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書き起こし 趣味どきっ! 姫旅(新番組)<全8回>第1回「女城主 家を守り抜く!〜井伊直虎〜」 2016.12.06

戦国時代華やかに咲き散っていった姫君たち。
いざ伝説のヒロインたちの人生をたどる旅へ。
絶世の美女信仰にささげた姫から敏腕政治家まで。
乱世をたくましく生き抜いた女性たちを8回シリーズで紹介します。
案内人は東京大学史料編纂所教授で大河ドラマの時代考証なども務める…戦国のヒロインをはじめ数々の力強い女性たちを演じてきた鈴木砂羽さんと恋をテーマにした作品で幅広い世代に人気の川柳作家やすみりえさんが等身大の姫の姿に迫ります。
わたくしは井伊直虎。
直虎という勇ましい名ですがおなごでございます。
わたくしの生涯それはふるさと井伊谷そして井伊家にささげたものでした。
静岡県西部に位置する浜名湖。
かつてこの辺りは「遠江」と言われ交通の要衝として発展してきました。
(本郷)さあ始まりました。
「姫旅」スタートです!
(拍手)女性の目線に沿って戦国時代の姫たちの生涯を追っていくというのがこの「姫旅」ですけれども今日は第1回の井伊直虎です。
出ましたね〜。
でこの絶景の浜名湖から始まるんですけどお二人は浜名湖おいでになった事ありますか?
(やすみ)実は私は初浜名湖でございます。
初めてなんですか?そうなんです。
ここまで来たのほんと初めて。
きれいですね。
ようこそ浜名湖へ。
という事は砂羽さんは?私は地元でございます。
うれしいです地元が第1回目で。
そうか…その地元がまさに来年の大河ドラマ井伊直虎の舞台になるわけですね。
そうなんですよ〜。
で今浜松すごくにぎわってるんですけど井伊直虎が活躍した場所それがあの辺りになるんですね。
「あの辺り」ってどの辺りですか?山の?山の向こう?
(鈴木)あの辺りですか?ええ。
なんか谷になってる所。
(やすみ)ちょっとなってますね。
(鈴木)山あいのね。
だから「井伊谷」って書いて「いいのや」って読むそうです。
その井伊直虎…やっぱりね女性だったんですけれども「井伊」という家を守り抜いた女城主だったんですね。
女城主か。
いろんな物語がありそうですね。
今日はその井伊直虎の生涯を読み解いてまいります。
おお〜楽しみです。
楽しみ。
わたくしは遠江・井伊谷を治める小領主井伊家の一人娘として生まれました。
当時の遠江は戦国大名である今川家がおさえておりわたくしどももその支配下に置かれていたのでございます。
そんなわたくしのもとに縁談話が持ち上がりました。
相手は同じ井伊家の直親。
「いずれは2人で家をもり立てるのだ」。
幼いながらもそう誓っておりました。
数年後…失意のわたくしがとった行動とは…。
周囲を丘陵に取り囲まれた井伊谷。
豊かな水に恵まれ神聖な地として古くから栄えてきたといいます。
井伊家はこの地で生まれ数百年にわたって治めてきました。
まず3人が向かったのは井伊谷中心部にある歴史のある観光地。
(鈴木)立派なお寺。
(やすみ)雰囲気ありますねえ。
奥浜名湖を代表する寺院の一つ…あっキュッキュいってますね。
いってますね歩く度に。
うぐいす張りだ。
なるほど。
うわ〜…お庭が立派ですね。
(鈴木)ほんとだすてきなお庭。
およそ1万坪の広い境内では県指定文化財の貴重な建物や四季折々の風景が楽しめます。
この龍潭寺実は井伊家代々の菩提寺で直虎とも大変関わりが深いんです。
井伊直虎は婚約者がいたわけですね。
でその人が井伊家を継いで自分はその人の妻になるんだと子どもの時から思ってたわけです。
ところがその婚約者が命の危険にさらされて国外へ逃げたわけでね。
直虎にしてみれば置き去りにされちゃった形。
で彼女はそれでここ龍潭寺に入って出家する…尼になるわけです。
え?でも結構若くないですか?いくつですか?10歳ぐらい。
えっ!?それで尼さんなれるんですか?それは全然大丈夫なんです。
それは構わない。
髪の毛をそってそれで尼になるという事になったわけですけれどもだけどやっぱり髪の毛を落としてっていう事になると…まだ少女の頃に出家した直虎。
彼女はなぜこのような決断を下したのでしょうか。
誰のアドバイスでそんな事を…。
ねえ。
だって10歳の子どもが剃髪して出家するっていう発想に至るのかな?とか…。
龍潭寺の和尚さんっていうのが何にあたるのかな…井伊家の人なんですよ。
だからその人が…大おじさんぐらいになるのかな。
その人なんかがアドバイスをした可能性はある。
それにしてもなぜ出家という道を…。
全然今の感覚では分からないけど昔だと当然自分はもうそういう嫁になるとか何ていうの…心づもりでいるわけですよね。
それがいなくなっちゃったんですね。
そこで人生終わりっていう必要は全然ないわけですよね。
やっぱり尼になるっていう事はもう終わりなんですか?基本的にもう社会的な生活はしませんって事ですよね。
社会的なその…やっぱりそういう事を考えるといいなずけがいなくなったっていう前に自分の井伊家の親戚の…お父さんだったりおじさんだったりそういう人たちがどんな苦労をしてるかって見てるわけですね。
その辺でもう嫌になっちゃったのかも…。
早い。
(やすみ)フフフフッ10歳で。
いや〜よっぽどもう…10歳にして非業というかそういう業をしょって自分は生きているんだってなんか思ってるんじゃないですか?井伊家を襲った不幸そしていいなずけとの別れ。
世をはかなんだ直虎は俗世から離れ悟りの境地を目指したのかもしれません。
しかし直虎は静かな暮らしを送る事を許されませんでした。
龍潭寺に伝わる井伊家の伝記。
井伊家の歴史がまとめられたこの伝記には直虎の事も書かれています。
女性だけれども井伊家の跡継ぎであったと。
果たして女城主・直虎が誕生した経緯とは?出家からおよそ10年後思いがけない事が起こりました。
あの直親が逃亡先から帰ってきたのです。
しかしわたくしではない別の女性と結婚。
更に7年後。
今川家の家臣によって殺害されてしまったのです。
既にこの20年ほどの間に井伊家の男子は次々と亡くなっていました。
生き残ったのは直親の幼い息子虎松のみ。
出した結論。
それはわたくしが一時的に井伊家の当主になる事でした。
城主となった直虎は武将のような名を名乗り始めました。
名前の下には「花押」といわれる当時のサインが。
これは主に男性が用いたものでした。
当時井伊谷の周りを取り巻いていたのは今川武田徳川など名だたる戦国武将たち。
直虎は侮られないよう自らを男性と思わせたのでしょう。
奮闘ぶりがうかがえます。
そんな直虎が城主を務めた城が残されています。
標高115メートルの小高い山に築かれた…城跡は現在公園として整備されています。
うわ結構大変ですね〜。
(鈴木)結構どころか…。
まあ中世の山城っていうのはこんなもんなんですけど。
あっそうなんですか?ええ。

 

 

 

 


昔の人は体が強いのかな…。
っていうかでも女の人にはきついですね。
ええ。
でも直虎さん結構頑丈だったのかもしれませんね。
上り下りしてるのかな毎日。
毎日ここを行ったり来たりしてたら逆に体力つきますよね。
足腰が丈夫になりそうです。
急な斜面を10分ほど上ったら井伊谷城の本丸に到着です。
ハァ…着きました。
ああ着いた。
広い!なんかぐる〜っとね。
ほんとだ広い。
広いです。
これは…あっあそこに台がちゃんと作ってありますからあそこ行ってみましょう。
(やすみ)見晴らし台ですね。
(鈴木)見晴らし台かあれは。
我々用に作ってあるんですね。
井伊谷が見渡せる本丸からの景観。
近年の研究でこの城はふだん周囲を監視する物見などで使われていたのではないかと考えられています。
井伊谷城は数百年続いてきた井伊家の居城。
直虎は先祖代々の由緒ある城を受け継いだのです。
城主となった直虎。
その決断を下した心理とは。
だから今で言えば…規模はちっちゃくても…。
こう押し上げられるのね。
結局それをやるって事はいわゆる一般的な女の幸せっていうんですか。
結婚したり家族をつくったりっていうのからも当然遠のくわけですよね。
だけどこっちを選んだって事はなんかそういう結婚したくない女だった…。
(笑い声)もともとあまり結婚願望がない。
それはいいかもしれないな。
絶対いると思うんですよこういう…そっちの時代にも。
旦那のために…それこそ昔ですから「ご飯作って」とか「帰りを待って」とかそういうのは嫌だ…「私がやる」ってそういう感じですかね。
なみなみならぬ決意があるような気がしてなりませんね。
あの…彼女だったら自分の領の全部を一つの家庭と捉えて…おうち。
それを切り盛りする人になるっていうような感覚で「じゃあやってみようかな」みたいな。
なるほどね。
ちなみに他に女領主やってた人っているんですか?その時代。
あんまりいないですね。
いないわけじゃないんですけど。
あっいないわけじゃない。
いないわけじゃないんですけどまあめったにいないですね。
じゃ誰かお手本になるような人がいたとかでもなく。
いないです。
そうなんだ。
だからそれだけパイオニアっていえばパイオニアなんですけど今と違ってほんとに情報がそんなに発達してないわけですから日本全国のどっかにいたといってもその人のマネをするみたいな事はそう簡単にできるわけじゃないですよね。
激動の時代そうそうたる武将たちに囲まれながら女城主として采配を振るった直虎。
しかし遠江を支配する今川家と通じていた家老によって城を奪われてしまいます。
井伊家は再び存亡の危機に陥ってしまうのです。
7年の月日がたちわたくしは独身を貫きながら井伊家再興の道を探っていました。
虎松は利発な少年へと成長。
いずれはしかるべき武将に仕えさせたい…。
そんな時わたくしはとある人物に目をつけました。
あの…このころ今川家に代わって遠江で権勢を振るうなどまさに上り調子の方でした。
わたくしはある策を講じます。
それは家康殿が鷹狩りに赴く道中で虎松と引き合わせる事。
この時虎松が着ていた小袖。
これはわたくしが家康殿の目に留まるよう丹精込めて縫い上げたものでした。
家康殿に気に入られた虎松は小姓として召し抱えられる事に。
念願だった井伊家再興の夢がついに開けてきたのでございます。
虎松を無事仕官させたあと直虎は龍潭寺で暮らしました。
非業の死を遂げた井伊家の人々の菩提を弔いながら静かな晩年を過ごしたと言われています。
まあ一説によると自分が子どもをつくっちゃうと後の直政…そのころ虎松っていう名前なんですけどその虎松を愛せなくなるから。
そうなるとまずいので結婚しないで自分は未婚で子どももつくらずに一生独身を貫き。
家を守るからこそ結婚もせず自分の子をなさずにとにかくいいなずけの子だけを立派に育て上げて…そうだと思うんですよね。
なんか今まで歴史の名だたる武将さんとかみんな男の人がやっぱりすごくフィーチャーされてる事があったんですけど実はそういう陰に今までは隠れてしまったんですけど割と戦国時代においてはそういう女性も多かったんじゃないですかね。
じゃないかと思うんですよ。
今までそれを知らなかっただけですごく…そういう…ちょっとだけですけどもしかしてこうやって「姫旅」は始まっていくのかもって。
ほんとに…直虎は虎松の出仕から7年後龍潭寺で息を引き取りました。
龍潭寺境内にある直虎の墓。
結ばれる事のなかったいいなずけ直親と寄り添うようにして眠っています。
直虎さんはお墓でいいなずけの直親さんの隣で寄り添って眠ってるんですよ。
それもまた男の勝手なロマンなのかもしれないなと思うんだけど。
それはそれですてきな事じゃないですか。
だってでなきゃ…彼の息子引き取ったりしないもの。
やっぱりそういう意味では…まあいろんな愛情ってあると思うんですよね。
ただ寄り添うだけの愛情もあれば男どうしの友情みたいに戦いを誓ったかもしれない…。
そうか!それだ!絶対家を絶やす事はしないと誓ったもっと熱い友情だったかもしれないしいろんな事が想像できるんですごく面白いですね。
そうだね。
直虎の期待を背負った虎松は家康のもとで異例の出世を遂げます。
やがて井伊家は近江の国へ移り彦根30万石の大名に。
井伊直弼をはじめとする何人もの大老を輩出しました。
お家断絶の危機からトップクラスの大名へ。
栄光の陰には城主としての重責を担い井伊家に全てをささげたひたむきな姫の姿がありました。
さあ井伊直虎の人生を追っかけてまいりましたけど鈴木さん全体としてどうでしたか?直虎さんの事に思いをはせるとなんか自分とちょっと近いものもあるんじゃないの?っていうそういう気持ちもね。
こういう歴史で頑張ってる女性っていうのを初めて目の当たりにしたような感じがして今日はすごく勉強になりました。
じゃあやすみさん。
はい。
私はですね今回この「姫旅」の感想を「姫川柳」と題して毎回お姫様の雰囲気を詠んでみようと思っておりますんで。
さすがですね。
では直虎で一句。
ジャン。
「風静かつなぐ定めを貫いて」。
おお〜!…と詠ませて頂きました。
彼女の生き方って…女領主とかそれから男のような名前の女性っていうちょっとキャッチーな雰囲気で取り上げられてますけど実はもっとその……なんじゃないかと感じたんですね。
で「風静か」。
もし戦国の世じゃない時にこんな女の人がいたらまた違う頑張りを…。
…なんて思いをはせたんですよね。
うわ〜すごいですね。
これなんか…。
お見事でございます。
スーッと入ってきました。
恐れ入ります。
でもほんとに…ほんとにそんな気がいたしました。
というところで第1回は終わりでございます。
(3人)ありがとうございました。
2016/12/06(火) 21:30〜21:55
NHKEテレ1大阪
趣味どきっ! 姫旅[新]<全8回>第1回「女城主 家を守り抜く!〜井伊直虎〜」[解][字]

戦国時代の姫たちの波乱の生涯をたどり、読み解くシリーズ。今回は女城主として活躍した大河ドラマ主人公、井伊直虎。出演は本郷和人東大教授、鈴木砂羽、やすみりえ。

詳細情報
番組内容
大河ドラマの主人公、井伊直虎をはじめ戦国時代の姫たちの波乱万丈な生涯をたどり、読み解くシリーズ。今回は静岡県の浜名湖や井伊谷を訪ね井伊直虎の生涯に迫る。殺害された当主に代わり女城主となり政治手腕を発揮した直虎。井伊家を存亡の危機から守り抜いた直虎の決断の背景や心の内面を探っていく。出演は、本郷和人東京大学史料編纂(さん)所教授、女優鈴木砂羽、川柳作家やすみりえ。
出演者
【講師】東京大学史料編纂(さん)所教授…本郷和人,【出演】鈴木砂羽,やすみりえ