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書き起こし ハートネットTV「相模原殺傷事件2言葉はなくとも▽重度知的障害者の真実の姿」 2016.12.07

(由井)相模原市の障害者施設津久井やまゆり園で19人が殺害され27人が負傷した事件。
容疑者は取り調べの中でこう語ったといいます。
インターネット上では「容疑者の主張は分からなくもない」という声も上がりました。
「知的障害者は怖い」。
「何を考えているのか」。
「生きている意味が分からない」。
「同じ人間と言えるのか」。
こうした声に戸惑いを覚えた私はふと標的となった重い知的障害のある人たちを自分がほとんど知らない事に気が付きました。
事件がなぜ起きたかよりもまずこの人たちの事を知りたいと思ったのです。
相模原から車で1時間。
私はとある障害者の施設を訪れました。
主に知的障害のある18歳未満の児童が暮らしています。
ここで育ったあと事件のあった津久井やまゆり園に入る人も多く被害に遭った卒園生もいます。
94人が8人前後のグループに分かれ集団生活をしています。

 

 

 

 


その中には自分や他人を傷つけるなど激しい行動が見られるグループもあります。
こんにちは。
こんにちは。
こんにちは。
こんにちは。
アハハ…ああ取れちゃった。
ごめんなさい。
こん…こんばんは。
部屋に入る前は少し身構えていましたがこの時はどの子もご機嫌で人懐っこい印象を受けました。
ここでの生活は月曜から金曜まで同じ時間割りです。
毎日のリズムを変えない方が子どもたちは落ち着くそうです。
これは周りの環境や人に合わせるのが苦手な自閉症の傾向が9割の子にあるからです。
突然女の子が席を離れました。
(鴨井)ツトムさんおはよう。
おはよう。
フフフ。
オッケー?はいできました。
靴どうぞ。
よいしょ…よいしょ…おはよう。
(鴨井)はい自分のお椅子どうぞ。
ここでは足下ろして。
…そうそうそう。
はいどうぞ。
園長の橋さんに特別な部屋へ案内されました。
子どもが抑えきれないほどの激しい行動をとる時に入ってもらう部屋。
目に入る刺激を減らすため物を置かず外の景色も隠しています。
知的障害のある人が自分や他人を傷つけたり何かに強くこだわったりする状態は行動障害と呼ばれています。
自分の気持ちが伝わらない事や周りの状況を理解できないストレスが主な原因といわれています。
ここに来る子の半数以上に何らかの行動障害が見られます。
自分や他人を傷つけてしまう行動障害。
実は周りが適切に関わる事で改善するといいます。
食事を待っていた少年。
待ち切れず床に頭を打ちつけ始めました。
ところが職員はあえて助けようとしません。
職員は激しい行動に取り合わず静かになるのを待ち続けます。
暴れ始めてから30分後。
少年は自傷行為をやめ自分から椅子に戻ってきました。
職員はここで初めて少年に近づきます。
こうした関わりによって7割の子の行動が改善しています。
この少年も入所した頃は自傷行為のため頭が腫れ上がり食事中も職員につかみかかる状態でした。
2年たった今では落ち着いて座り食事ができるようになりました。
自傷行為も弱まっています。
(森)こんにちは。
こんにちは。
どうも。
どうもね。
ありがとう。
じゃ行ってきま〜す。
(森)行ってらっしゃいた〜くん。
(時子)発作で駆け足してってそして非常ドアのところに手を突っ込んじゃって。
手首がもうグラグラみたいな感じになって。
いつまでも立たせておくとそんな感じで合図があるんです。
言葉が出ない人の思いを知ろうと模索し続ける人たちがいる。
そんな話を聞き私は西宮市を訪ねました。
重い知的障害に加え体にも障害がある人が通う施設です。
こちら…。
はい。
活動する部屋の一つなんですけどここは…。
青葉園では重い知的障害がある人にも望んでいる生活があるはずだと考え支援者全員で探っています。
こちらの谷野千栄美さんは最重度の知的障害があり言葉や体での明確な意思表示はありません。
この日支援者が毎週開く会議に同席させてもらいました。
谷野さんが1週間どんな活動をしたいか気持ちを聞くといいます。
えっ?年賀状…。
(崎濱)でも気にはなってはったんやろね。
本当に谷野さんの気持ちが伝わっているのか。
私はもう少し確かめたくなり自宅にお邪魔しました。
既に両親が亡くなっている谷野さんは市内で部屋を借りて24時間ヘルパーと暮らしています。
手渡そうとしたその時でした。
見える。
う〜ん。
あ〜。
私はこの時初めて谷野さんが答えてくれたように感じました。
見えますか?見える。
お花好きですか?う〜ん。
う〜ん。
いいですか。
(竹田)何聴く?
(粟生)今入っているのは…。
(竹田)今入ってるやつを。
スタート。
・「愛を知ったために涙がはこばれて」・「君のひとみをこぼれたとき」谷野さんの好きなものは一度や二度のやり取りで分かった訳ではありません。
ヘルパーたちは25年にわたりふだんの様子を細かく書き留めてきました。
大好きな歌手のライブやCDを聴いた時に見せる笑顔。
病気のため僅かしか食べられない甘いものを味わう時の興奮。
ささいな日常の中で谷野さんの思いを感じる瞬間を探し積み重ねているのです。
言葉のない人たちと2週間つきあってみて私は再びあの事件の事を考えています。
なぜ多くの人にとって知的障害者は遠い存在なのでしょうか。
取材で出会った人たちに聞いてみました。
2016/12/07(水) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV「相模原殺傷事件2言葉はなくとも▽重度知的障害者の真実の姿」[解][字]

相模原市の障害者入所施設「津久井やまゆり園」での殺傷事件。容疑者が「意思疎通ができない」「不幸を作る存在」とみなした重度知的障害のある人たちの、知られざる姿。

詳細情報
番組内容
ハートネットTVは様々な「生きづらさ」を抱える人たちのための番組です。テーマは、貧困・虐待・自殺・うつ・依存症・発達障害・認知症・がん・難病・介護・リハビリ・障害・LGBTなど様々。ホームページも情報満載!