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地上波テレビの字幕を全文書き起こします

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セリフ書き起こし 相棒 season 15 #9 2016.12.07

(橘)テンモン角田急げ!
(キシン)合宿所の門限ギリだぞ!
(富永)あとぴんにまた怒鳴られるぞ!
(角田六郎)テンモン!
(光田廣)きれいだ…。
(角田)テンモン早く!
(伊丹憲一)被害者は鈍器で殴られて倒れ直接の死因はここに…。
(益子桑栄)死亡推定時刻はゆうべ9時から11時ってとこか。
(芹沢慶二)なら雨が上がったあとですね。
(伊丹)被害者の遺留品は?
(益子)メモリーカードが抜き取られてる。
それと期限切れの免許証。
(芹沢)「光田廣」…。
(杉下右京)おやおや。
(角田)おいヒマか?おはようございます。

 

 

 

 


(冠城亘)あっ!ちょちょちょ…!粉こぼしたんなら拭いといてくださいよ!あああの…冠城くん君ねさっき青木が捜してたよ。
(青木年男)言ってませんけどそんな事。
えっ?あっひょっとしてハブられちゃいました?冠城さん意外と素直なんですね。
そういうところ僕嫌いじゃないですよ。
人をのけ者にして内緒話ってあの人たち中学生か!
(角田)光田廣。
中学の同級生だ。
産廃場の被害者は課長のお知り合いでしたか。
写真部で一緒だった。
あだ名はテンモン。
天文写真撮るのが好きでなあ。
あとぴんの娘と結婚した。
あとぴん?ああ顧問の先生のあだ名だ。
美術の先生でなあとぴんの撮る写真はなんだかいつもピントが後ろにずれてるんだよ。
それであとぴん。
カメラには時々そういう癖のあるものがあるようですねぇ。
まああの場合はあとぴん自身の癖だな。
でテンモンさんはなぜ産廃場に?
(青木)光田廣は処理作業員として働いていたんですよ。
ちなみに家出人リストにも名前がありました。
家出?20年前家族の元から姿を消してそのまま行方不明だったんですよ。
残された奥さんと娘はそれからずっとあとぴんと暮らしてきた。
そのあとぴんも今やホスピスでな…。
お加減はかなり?
(角田)だからさ早めに情報が欲しいんだよ。
テンモンの事をあとぴんはずっと気に病んでた。
ええ…。
この年になると誰か1人欠けるだけで驚くほどこたえてな…。
なんでテンモンは死んだんだ?
(芹沢)すいません。
警察なんですけれども。
この辺でね殺人事件がありまして…。
(伊丹)暴力?
(鈴木)死んだ人がね顔の怖い男にしょっちゅう。
ここに出入りしていた人ですか?
(鈴木)作業員を監督してた男よ。
その方の事なんですがね…。
あっちょっ…。
もう少し詳しくお聞かせ願えませんかねぇ?もうなんで…。
(佐々木)不法投棄させないためにね監視しようと思って撮ったんだけど…。
あっこいつこいつ!
(佐々木)ああそうそう。
なるほど。
この男が光田さんに暴力を?
(伊丹)警部殿何参加してるんですか?失礼。
(尾島司)そういや金を渡してるのも見た事あるな。
(芹沢)えっ!?被害者がこの男に金を?
(尾島)あれってやっぱ脅されてたのかね?この写真お借り出来ますか?
(佐々木)ああどうぞ。
しかし住民の方も大変ですねぇ。
反対運動のためにこれだけの写真を撮られるとは。
(鈴木)産廃場がいけないってわけじゃないの。
私たちは不法投棄を取り締まってほしいだけ。
(佐々木)ここだけの話ねここの業者時々やるのよ。
(尾島)逆にこっちを監視したり写真に撮ったりするからね。
(佐々木)その死んだ光田って奴もここひと月ぐらい朝から晩までバシャバシャ。
確かに彼はカメラをお持ちのようでしたねぇ。
(尾島)お待たせしました。
どうぞ。
こんな事言うのもなんだけど俺は乱暴してた男より光田のほうがなんとなく怖かったね。
こっちが作業の様子撮影するとさ誰よりキレてこっちにつかみかかってきたのもこの男だった。
(光田)よせよ!カメラよせよ!
(尾島の声)カメラ憎んでるっちゅうのかなあ…。
なんかただならない憎悪を感じるっちゅうか…。
つまり写真に対してですか?そのくせ自分がカメラ持つとさこう執拗にシャッターを切り続けたりしてね…。
ただならない憎悪ですか…。
(青木)ヒットです!34年前の帝都新聞西東京支局のデータに光田の名前がありました。
「青少年写真コンクール大賞」…。
(伊丹)おい仁藤。
お前が光田廣さんに暴力をふるってるところは大勢の人間に目撃されてるんだよ。
(仁藤景雄)あああいつらか…。
(芹沢)光田さんはひと月前マチ金から金を借りています。
30万。
(伊丹)「お前あちこちに随分借金がかさんでるようだな」
(伊丹)「光田さんからその金巻き上げてたんじゃねえのか?」助かりますねぇ。
このところ鑑識はどうも鬼門で。
鑑識の益子には貸しがあるんだよ。
釣りに行った時ミャク釣りのコツ教えてやった。
角田課長!これご存じですよね?新聞社の知り合いに34年前の写真コンクールの記録確かめてもらいました。
これ火事の写真のようですねぇ。
お前…調べたのかよ。
正直この年でハブられるのはしんどいんで。
34年前光田廣は近所の火事現場を撮ってこの写真で賞をもらった。
問題はこの男。
経営する工場が燃えていくのをなすすべなく眺めるしかない哀れな被災者。
と思いきや実は彼こそが保険金目当ての自演放火犯だった。
ひょっとしてこの写真がきっかけで捜査が?仁藤って名前聞いた時どっかで聞いた名字だと思った。
さっき顔見て確信したよ。
もしや仁藤景雄はこの放火犯の…。
息子だ。
同じ中学の先輩。
あとぴんの教え子だ。
この頃からやんちゃでな。
卒業したあともあとぴんなんだかんだで走り回ってたよ。
放火事件のあと親父は逮捕されておふくろは自殺。
仁藤は町を出た。
この写真が仁藤の家族を追い詰めたと…。
あとぴんにしてみりゃやりきれなかっただろ。
テンモンも。
自分の写真が偶然とはいえひとつの家族を崩壊させたんだ。
ショックだったんだろうな。
賞状も賞品も全て返上してそれきりテンモンはカメラを持つのをやめた。
写真への憎悪…。
(芹沢)おおっ…ごめんなさい。
先輩仁藤の車から出たカメラのメモリーカード指紋が出ました。
ガイシャと仁藤のもの両方確認されました。
中のデータは?一部消去されてますが修復に回してます。
よし…あとは動機だな。
動機ありますけど。
お前は自分の家族を破滅させた光田さんを憎んだ。
作業現場で再会した光田さんをいたぶり金をせびり抵抗したところに暴行を加えた。
違うか?
(ノック)課長…。
組対のヤマじゃないんで出ていってもらえますか?邪魔なんかしないよ。
独り言言うぐらいいいじゃないですか?
(伊丹)独り言?誰とも口を利かない。
何も尋ねない。
それならただの課長の独り言でしょう。
ねえ?ああ…!以後あんまり仲間外れにしないでくださいよ。
なんだよ?なんでもないよ。
ただちょっと昔話するだけだ。
あとぴんっていうじいさんのな。
あんたの事をあとぴんはずっと気にかけてた。
お前…?俺もあとぴんの教え子だ。
今はあとぴんも昏睡状態でな…。
誰が誰なのかもわかっちゃいないだろうけどな。
昏睡状態…。

(内村完爾)特命に捜査の協力を仰ぎあまつさえ捜査一課の取り調べに口を挟んだと聞いてるが本当か?捜査の依頼はしておりません。
このところ特命が組対五課にちょいちょい口を挟んできておりまして…。
(内村)あえて使いっ走りをさせ注意をそらしたとでも?
(中園照生)そんな言い訳が通用すると思ってるのか!?
(内村)ではその使いっ走りが私的なものであったというのは?ガイシャが中学時代の同級生でありまして…。
にもかかわらず被疑者の取り調べに加わったというのは…。
これは極めて重大な規律違反だ。
すぐに外れろ。
外れろ!被疑者はすでに自供に至っております。
お前が落としたとでも?なんでそんな余計なまねを…!よくやった。
は?…よくやった!ですが…。
(内村)なんだ?あいつは犯人ではありません。
ええ僕もそう思います。
見てればわかる。
ですがその場合いろいろ疑問が残ります。
仁藤はなぜ自供をしたのか。
真犯人をかばってるとか?ならば最初から「自分がやった」そう言えばいいじゃありませんか。
まあ確かに。
散々取り調べを引き延ばした揚げ句突然供述を翻す。
そこには何か理由があるはずです。
そして何よりも…これ。
なんですか?これ。
犯行現場にあったはずのものの痕跡。
そこから持ち去られたものを示す証拠の品。
これ35ミリの箱じゃねえか?ええ昔のフィルムカメラ…銀塩カメラとも言いますがそれに使うフィルムの箱のふたの部分です。
懐かしいな!ここのところをさこうちぎるんだよ。
ち…ちぎる?ええ。
銀塩カメラを扱うカメラマンは装填したフィルムを把握しておくためにこのように紙箱のふたをちぎってカメラのファインダーの下に挟んでおくんです。
裏には絞りやシャッター速度などのデータを書き留めて。
これ…テンモンの字じゃねえか?おお間違いない。
あいつ数字の7をこう書くんだよ。
犯行当日天気は午後までずっと雨でした。
そのために犯行現場の段ボールはどれもふやけていた。
しかしその紙は乾いています。
つまり光田さんは雨が上がったのち殺害される直前にそのフィルムで撮影をしていたという事になります。
銀塩カメラで?でも現場にはそんなカメラは…。
ありませんでした。
恐らく犯人が持ち去ったのでしょう。
機材もフィルムも全部。
この事件にはまだ裏があります。
というわけでひとつご協力を願いたいのですが。
…俺?
(一同)おお…!写真部の仲間だ。
鉄道の流し撮り専門富永。
女子のポートレート命キシン。
(キシン)ヘヘヘ…。
記念写真のご用命はうちの写真館へ。
そしてこいつがこの店のあるじ橘だ。
(角田)こいつに暴かれた校内スキャンダルは数知れず。
(橘)ハハハ…!以上テンモンを加えて…。
写真部五人衆見参!メンバー濃いですね。
ちなみに角田課長はどのようなお写真を?こいつは動物専門。
こんな顔してかわいい猫とかかわいいパンダとか。
(富永)日曜は彼女お手製のカメラマンベストで動物園通い。
今のかみさんだ。
なるほど。
課長の定番のファッションのルーツってそこですね。
でカメラは?ああ…よいしょ。
(橘)このタイプのカメラだね。
1週間ぐらい前確かに1台売った。
三脚やレンズにも指定があったから取り寄せるのに時間がかかったけど。
(角田)テンモンか?テンモンに売ったのか?テンモンが来るわけねえだろ。
ひょっとして買いに来たのはこの人ではありませんか?
(橘)あっ!こいつ!こいつがさカメラの事なんざ何ひとつわかってないのよ。
(橘の声)メモ見て一生懸命注文するんだけど何言ってるかさっぱり。
だから最後はもうそれ貸せって。
えっと…ああ。
よいしょ。
これこれこれ。
(キシン)えっ?これテンモンの字じゃねえか?ええっ?あっこの7!
(キシン)うん。
(橘)あっ!ああこれ!
(橘)ああ…。
どういう事です?光田さんは銀塩カメラを手に入れるのに自分自身が姿を現すのはためらいがあったのでしょう。
そこで…。
仁藤に頼んだっていうんですか?自分の代わりにカメラを買ってきてくれと。
恐らく仁藤に渡していた金はそのためのものだったんじゃありませんかね…。
おっと失礼。
(芹沢)おおっ…。
どうも。
おやおやそのカメラ…。
えっ?これ光田さんの現場にあったものではありませんか?仁藤の愛人が返せって怒鳴り込んできたんですよ。
返す?
(仁藤の愛人)だから何度も言わさないで!あれにはね私を撮った写真とかいっぱいあるの!ハハッ…存じておりますよ。
確かに何枚か写ってらっしゃるものありましたけど。
エッチ…。
エッチ?あれを見たっていうの?ああいやいや見たっていうか…。
刑事さんのエッチ!
(芹沢)ちょちょちょ…!落ち着いて落ち着いて!痛い痛い!エッチじゃない!エッチじゃないよ!仁藤は光田さんのためにデジタルカメラを借り光田さんのために銀塩カメラを手に入れてやった。
おかしいじゃないですか。
これじゃまるで仁藤とテンモンは…。
憎み合ってなどいない。
むしろ2人の間には信頼関係があったと見るべきでしょうねぇ。
信頼?
(仁藤)光田。
お前光田だろ?ぐずぐずするなよ。
早く仕事しろ。
(仁藤)帰れ帰れ!何写真なんか撮ってんだよ!撮るんじゃねえよ!
(光田)カメラよせよ!カメラよせ!おい!カメラよせって言ってんだろ!光田さん…光田さん!しっかりしろよ光田さん。
写真が撮りたい。
力を貸してください!合宿でさみんなで夜抜け出して写真撮ったんだよ。
1982年。
スーパームーンと皆既月食が重なった年。
(月本幸子)スーパームーン?月が地球に最も近づいた時に見る事が出来る大きな満月ですねぇ。
ああ…。
日本じゃ見られないけど空は繋がってるんだよなあなんつって。
確か去年同じ現象が見られたはずですね。
ああ33年ぶり。
だもんでキシンの写真館で同窓会やった。
(角田の声)昔撮ったフィルム33年ぶりに引っ張り出したり騒いだり。
フフッ…。
テンモンだけいなくて…。
お前前こんなだったよ。
角田さんのためにも犯人見つけなきゃなりませんね。
ええ。
そのためには会わなくてはならない人がいます。
この事件には欠かせないとても重要な人物に。
あとぴんですね?
(光田天子)祖父はもうお目にかかれる状態ではありません。
(天子)母もずっとつきっきりで…。
大変なところをすみませんね。
父の事ですよね?家を出られた時の事覚えていらっしゃいますか?あの日…父が家を出た日…。
(天子の声)学校から帰ったら父が…。
(杉下の声)おじい様に刃物を?あっ…!
(天子)お父さん!2人の間に何があったのか私にはわかりません。
でも時々考えるんです。
あの時私があの部屋に入らなかったら…。
今頃は2人とも笑い話にしてたかもしれない。
そして来月の私の結婚式に父は出てくれてたのかもしれない。
そう考えると…。
おじいちゃんはお前のせいじゃないよと何度も慰めてくれました。
でもおじいちゃんの言う事って時々すごくピントがずれてて…。
あとでそれがちゃんと正解だったってわかるんですけど。
人の分まで迷ったり悩んだり…。
答えまで遠回りしちゃうんですきっと。

(芹沢)修復されたデータから殺される直前の写真の時刻が判明しました。
光田さんが殺害された時間も特定されました。
(伊丹)お前その頃駅前の店でスロットを打ってたろ?店のカメラにはっきり映ってたぞ。
犯人は俺だ。
俺がやったんだ。
(伊丹)ああ安心しろ。
お前が誰をかばってるかこれからゆっくり聞いてやるからな。
光田さんが再びカメラを手にする決心をしたのは娘さんの結婚が動機ですか?恐らく。
それとあとぴん先生が余命いくばくもないという事も心を動かした原因かもしれません。
でも彼はそれをどうやって知ったんです?さあ。
いずれにしてもそれを聞いた光田さんは久しぶりに写真を撮ろうと仁藤からデジタルカメラを借り中古の銀塩カメラも手に入れた。
仁藤はテンモン光田さんのためになぜそこまで?自分の人生をめちゃくちゃにした男ですよ?仁藤は一体誰をかばってるんでしょうかね?そろそろでしょうかねぇ。
えっ?どこへ行くんですか?この事件のあらゆる謎の中心にはあとぴん先生がいます。
あとぴんとテンモンの全てを知る人物それは1人しかいないじゃありませんか。
やっとお会い出来ました。
きっかけは仁藤景雄の自供です。
犯行を否認していた仁藤があなたのお父様が昏睡状態である事を知らされた途端犯行を認めた。
なぜでしょう?この先捜査が進みたとえ真犯人が現れたとしても問題はない。
そう判断したからです。
つまりあとぴんの耳にだけは絶対にその名前を入れたくなかった。
犯人である事を知ったらあとぴんが苦しむ人物。
それはあなたしかいません。
仁藤と会ったんですね?光田さんが殺される前に。
(光田窓夏)あり得ないわ。
なぜ今さらあの人を許さなくちゃいけないの?違う。
あの…違います。
あ…許してほしいとかあいつは一言もそんな事言ってないんですよ。
そんなムシのいい事は…。
会ってやってくれっていうのはそういう事でしょう。
お帰りください。
あいつの中で何かが変わってる。
もう一度やり直そうとしてんだよ。
この20年父との暮らしを守り娘を育ててきたのは私です。
何があの人を変えようとそんな事は私たちの生活となんの関係もない。
お帰りください。
晴れた夜はいっつもカメラ持ってるよ。
光田がカメラを?産廃場で。
それを見てやってくれれば…。
35ミリのフィルムの箱。
行きましたね?あの夜あの現場へ。
そのつもりはありませんでした。
でもどうしても許せなくて…。
気がついたら…。
始めから話して頂けますか?あなたがかばっていたのは光田窓夏さん。
そうですね?パチスロの店を出ると雨が上がっていた。
(仁藤の声)光田がいるかもしれないと思って産廃場へ行った。
あなたは会った時の口調の激しさを思い出しやったのは彼女だと確信した。
なぜ光田窓夏をかばったんだ?いやこいつがかばったのは窓夏じゃねえよ。
あんたがかばったのはあとぴんだな。
あとぴんにだけは事件を絶対知られまいとした。
そうだろ?知らせたくなかったんだよ。
彼女が犯人だなんて…。
窓夏さんはあの夜ご主人の光田さんに会っていないそうですよ。
産廃場へは確かに行かれたようですが…。
(小林晴彦)ちゃんと北極星真ん中に入ってるか?
(窓夏)お待たせ!
(部員たち)おっしゃー!
(部員たち)いただきます。
ありがとう。
美味しい。
うまっ!うまい!あ〜美味しい。
その時確信したそうです。
光田さんは遠からず自分からきっと姿を見せてくれる。
そう思いそっとその場をあとにしたと。
じゃあ彼女は…。
犯人ではありません。
彼女はあなたにとても感謝していました。
光田さんのためにカメラを手に入れ家族との再会も取り持とうとした。
そして誤解とはいえ窓夏さんに殺人の疑いがかかるのを案じあなたは自ら容疑者になる事まで買って出た。
しかし疑問は残ります。
あなたはどうしてそこまでしたのでしょう?あとぴんも光田さんもあなたの人生にとって決して思い出したくない方のはずじゃありませんか?火をつけたのは俺だ。
あの放火は俺がやったんだ。
34年前のあの火事?家族が生き残るにはあれしかなかった。
でも親父は火を手にしたまんま動けなかった。
だから俺が代わりに…。
親父はやったのは自分だって俺をかばってくれた。
だから親父を追い詰めたのもおふくろを殺したのも俺だ。
光田の写真のせいじゃねえ!
(仁藤)なのにあいつはあの火事が原因でカメラはやめてもらった賞も返したって聞いて俺は…。
贖罪ですか?光田さんの力になろうと思ったのは。
写真が撮りたい。
力を貸してください!あいつ決心したんだよ。
(仁藤の声)許してもらおうとか家族の元に戻りたいとかそんなんじゃねえ!たった1枚でいい自分が立ち直ったところを最後にあとぴんに見せてやりたいって。
守ってやろうと思った。
今度は俺がこいつを…。
「今度は」とおっしゃいました。
あなたも同じ事をされた記憶がおありですか?同じように誰かに守ってもらった事が。
例えば…あとぴん。
あなたのした事をあとぴんは知っていた。
誰にも言うな。
一生背負え。
生き直そうと思ったのですね。
光田さんと一緒に。
(仁藤の泣き声)
(チャイム)いらっしゃいませ。
ああ刑事さん。
お忙しいところすみませんねぇ。
もう一度だけ犯行のあった日の事を伺いたいと思いまして。
(尾島)犯人捕まったんじゃないんですか?あの夜あの産廃場で誰か怪しい人物を見たような事はありませんでしたか?あんなとこ夜行った事ないからわかんないよ。
そうですか。
行かれた事はない。
どうします?なんか飲まれますか?あっではもうひとつだけよろしいでしょうか?あなたから光田さんや仁藤さんの話を伺った時にあなたは光田さんが執拗に写真を撮っていたというような話をされていました。
その時に光田さんの様子をまねてファインダーをのぞくポーズをされていました。
こんなふうに。
そうだったかな?現場に落ちていたデジタルカメラでは普通そういう撮り方はしません。
あのカメラの場合はこうですよね。
あなたは光田さんが銀塩カメラを使っているのをどうしてご存じだったのでしょう?それはあの…ただのまねだよ。
ほらそのほうがわかりやすいと思ってさ。
でも今時そっちのほうがわかりにくいんじゃないですか。
見たんだよ!あの光田って男があのレトロなカメラ持ってるところを。
なんかこうレンズが変わってるなと思って。
それで覚えてたんだよ。
光田さんはあのカメラを夜しか使っていません。
それも一度だけ。
光田さんにカメラを売った店に控えがありました。
それによると光田さんがあのカメラを手に出来たのは犯行のあった日の夜だけなんですよ。
夜産廃所に行きましたね?
(チャイム)
(伊丹)銀座の古物商から現場から持ち去られたと思われるフィルムカメラが見つかった。
それから三脚からは血液反応が確認された。
(橘)テンモンが最後に撮影したフィルムか…。
古物商で見つかったバッグの底に1本残ってたそうだ。
俺たちの供養だ。
始めるぞ。
(伊丹)店の経営や不動産投資に失敗して金に困ってたんだな。
そこで産廃業者のトップと裏で繋がり不法投棄に反対してるメンバーの個人情報を売り渡そうとした。
まあ…。
(芹沢)運動を骨抜きにしようとしてその取引を光田さんに目撃された。

(カメラのシャッター音)
(尾島)おい!何撮ってんだよ!コラッ!
(光田)ちょっと待って!何するんだ!返せ!返せっつってんだろ!あっ!
(頭を打つ音)
(尾島の声)「だから油断ならねえと思ってたんだあいつ」「あんな夜中までカメラ振り回しやがってよ」犯人確定。
一件落着ですね。
ええ犯人は見つかりました。
ですが事件はまだ解決していません。
はい?「調べてほしい」角田課長はそう言った時課長は「犯人を見つけてくれ」とは言いませんでした。
ただ「テンモンはなぜ死んだのか」と。
テンモンはなぜ…。
テンモンさんはこの20年何を思ってきたのか。
どうして殺されなければならなかったのか。
真実を知るというのは犯人捜しではない。
出来事の裏に潜んでいる何かを探り上げる事にあるんですよ。
(富永)テンモン最後の1枚か…。
(キシン)あいつ昔から撮りたいって言ってたよな。
こんな写真をずっと…。
(橘)おい!おい角田!どこ行くんだ!
(荒い息)美しい写真ですね。
(角田)テンモンは冬の星空が好きでな。
冬はほれ他の季節に比べて一等星が多いから。
一番好きな景色をあとぴんに見せたかったのですね。
そしてそこから生き直そうとした。
生き直しか…。
50にもなって何言ってんだあいつは。
馬鹿か…。
34年前。
あのコンクールの賞品は赤道儀だった。
あいつはそれが欲しかったんだ。
天体写真には絶対必要な道具だが中学生には手が出る値段じゃなかった。
でも…。
どうしても…。
どうしても欲しかったんだよあいつは。
だから…。
おいヒマか?ほれ。
これ。
これが噂のお手製カメラマンベスト。
高校時代かみさんが作ってくれた。
なかなかよく出来てるだろ?ヘヘッ警部殿どうよ?テンモンにあとぴんの事を教えたのはあなたですね?あとぴんが病に倒れ余命いくばくもない事一人娘のお嬢さんが結婚される事。
これは窓夏さんが保存されていた光田さんの中学時代のフィルムです。
新聞社のコンクールで賞をもらった時のものだそうです。
去年写真部の同窓会が開かれた時古い写真を現像するからと奥様は角田さんに貸し出したとおっしゃっていました。
これわかりづらいのですが…ああここ。
コマとコマの間が他のコマの間よりも狭くなっています。
銀塩カメラを扱った人に聞いた事があるのですが次のコマへとフィルムを送らずに重ねてシャッターを押すとこのようになるのだと。
現像された写真ではわかりませんがフィルムではそれがわかるそうです。
という事はこの写真合成という事ですかね?恐らく迫力のある火事の写真に見せたくてほんの出来心でやったのでしょうねぇ。
それが放火事件を摘発する一枚になるなどとは夢にも思わずに。
フィルムには合成の痕跡があった。
あとぴんもその事に気づいていたのだと思います。
だから光田さんに賞を返上させた。
自分の写真がひとつの家族を崩壊させただけではなくそれが不正によって作られたものだという事。
光田さんの疚しさ自責の思いは図らずも窓夏さんと結婚する事でさらに増し苦悩は深まった。
あとぴんにいつも見張られているような心持ちになった事があったのかもしれませんねぇ。
良心の呵責に耐え切れずあとぴんを責めてしまった事があったかもしれない。
去年あなた方昔のお仲間は同窓会で光田さんの昔のフィルムを見て初めて彼の不正を知った。
テンモンがなぜあとぴんの元を去ったのか本当の理由を知った。
しかしそれはいまだに夫や父を愛する窓夏さんたちには一生伏せておくべき事実だとも思った。
だから密かに光田さんを捜し出し心の重荷を解いてやる一方で彼が自ら家族に会いたいと言い出すまでご家族には光田さんと連絡を取っている事を黙っている事にした。
いかがでしょう?警部殿…。
買いかぶりすぎだ!俺にそんな頭があるかよ。
ついそんな深読みをしてしまうんですよ。
僕の悪い癖。
あんたも相当ピントがずれてるな。
あとぴんと同じだ。
あの先生もしょっちゅういろんな事深読みして写真を撮ったら後ろのほうにピントが合って…。
(角田の声)教室の真ん中で光ってる連中じゃない。
俺たちみたいな奥で固まってる駄目な奴にばっかり目をかけてた。
(小林)おいお前たち!
(角田の声)迷ったり悩んでばっかり…。
ダセェ先生だった。
あなたもあとぴんが好きだったのですね。
買いかぶりでしょうかねぇ…。
この町で何かが起こっている…。
嫌な予感がします。
これはかつてない狡猾な事件
僕とした事が…!どうです?似合います?2016/12/07(水) 21:00〜21:54
ABCテレビ1
相棒 season 15 #9[解][字]

『あとぴん〜角田課長の告白』水谷豊×反町隆史
殺人事件の被害者は角田課長の同級生…!!特命係は、34年の時を越えた悲劇の真相を解明できるのか!?
【ゲスト】相島一之

詳細情報
◇番組内容
第9話『あとぴん〜角田課長の告白』
産廃場で発見された撲殺死体は、組対五課長・角田(山西惇)の中学時代の同級生だった。病床に伏して昏睡状態である恩師のために、一刻も早く情報がほしいという角田の思いを汲んで、捜査に乗り出す右京(水谷豊)。一方、除け者扱いされていた亘(反町隆史)も、独自の調査を開始。そんな中、被害者の上司である仁藤(相島一之)が自供をし始め…。
◇出演者
水谷豊、反町隆史
鈴木杏樹、川原和久、山中崇史、山西惇、浅利陽介、片桐竜次、小野了
【ゲスト】相島一之
◇スタッフ
【脚本】宮村優子
【監督】橋本一
◇音楽
池頼広