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書き起こし ダーウィンが来た!「水面を跳ねる!かわいい忍者ガエル」 2016.12.11

今日の主人公は大きなお目々がかわいいこちらのカエル。
ナガレガエルといいます。
このカエルあっと驚くスゴ技の持ち主なんですよ。
後ろ足をピ〜ン。
これはオスの愛のダンス。
手旗信号ならぬ足旗信号のような奇妙なダンスでメスに愛を伝えます。
さらに!渓流の急な流れをピョンピョン跳びはねて渡っていきます。
名付けて…どうして水に沈むことなく水面を跳びはねることができるんでしょう?私たちは「水面ジャンプの術」をあらゆる角度から徹底的に撮影。
忍者もびっくりの離れ業の秘密を解明しました。
驚きいっぱいかわいい忍者ナガレガエルの奇妙な暮らしに迫ります。

 

 

 

 

 

 


今日の舞台はマレーシアボルネオ島。
ここは世界屈指のカエルの楽園。
夜になるとふしぎなカエルたちの姿を見ることができます。
森の奥にある巨大な洞窟。
夕方ここで夜が近いことを告げる独特の光景を見ることができます。
空に現れた黒い筋。
「ドラゴンフライ」「竜の飛翔」と呼ばれる光景です。
実はこれは…その数なんと300万匹にもなります。
夜に飛び回る昆虫を狙って大群で森へ繰り出すんです。
そして夜。
カエルたちが活発に動き回る時間です。
この森でカエルの調査を続けている日本人の研究者がいます。
あっ何か捕まえました。
いとも簡単にカエルを捕まえたこの方京都大学の西川完途博士です。
西川さんの所属する京都大学では40年近くこの森で調査を続けています。
西川さんの案内で早速珍しいカエルを探しに行きましょう。
何か見つけたようですが…うん?どこ?あっいた!5センチほどのカエルです。
とがった口先が特徴のチョボグチガエル。
口が小さく見えることからこう名付けられました。
このカエルすごい能力があると西川さんは言います。
こうやってちょっと触るとですね…この接着剤のような粘液は護身用。
粘液でヘビなどの天敵の動きを封じてしまう作戦なんです。
こちらにも珍しいカエルがいました。
一見普通のカエルですが特徴はその大きさ。
なんと一円玉より小さくわずか1センチほどしかありません。
こちらはトビガエル。
その名のとおり空を飛ぶことができるんです。
水かきを大きく広げて大滑空!そして後ろ足1本で枝をつかみました。
ものすごい身体能力です。
ボルネオの森でこれまでに確認されている両生類はおよそ200種。
日本の両生類は80種ほどですからその倍以上です。
奇妙なカエルが数多く暮らすこの森で西川さんが特に関心を持っているのが今日の主人公あの忍者ガエルです。
忍者ガエルは夜ではなく真っ昼間に活動する変わり者だといいます。
たどりついたのは小さな滝が流れる森の中の渓流。
この辺りでよく姿を見かけるといいますが…。
実はもうこの中にいるんです。
わかりますか?ほらここ。
忍者ガエルことナガレガエルです。
大きさは3センチほど。
コケの生えた岩にそっくりですねぇ。
さすがは忍者ガエル。
まずは…忍者ガエルのスゴ技はこんなものではありません。
さらに観察を続けましょう。
おやもう一匹来ましたよ。
向かい合う両者。
どうなるんでしょう?あっ奥のカエルが足を上げました。
後ろ足を横に伸ばして水かきをひらり!青白くなっている部分を相手に見せています。
これも忍者ガエルの技の1つ。
名付けて…後ろ足の水かきで手旗ならぬ「足旗信号」を出すんです。
足旗をするのは主にオス。
オスたちは渓流沿いの岩や木の上などよく目立つ場所を足旗合戦で取り合うんです。
水かきの大きさや足の色などが勝敗を分けるポイントだと考えられています。
でもお互いの向きがちょっと気になりませんか?背を向けて足旗をして見えてるんでしょうか?実はナガレガエルの目は大きく横に飛び出しています。
そのため真後ろのものでもよく見えるんです。
その証拠がこちら。
奥のカエルの足旗に…ほら手前のカエルが顔を上げて反応しました。
オスの足旗には場所取り以外にもう一つ大切な意味があります。
よく目立つ場所で足旗をすることでどこかにいるメスに自分の存在をアピールするんです。
でもカエルのメスへのアピール法として一般的なのは鳴くこと。
カエルは種ごとに鳴き声が違います。
メスはオスの鳴き声を聞き分けることで離れていても好みのオスに出会うことができるんです。
ところがそんなカエルの常識に反し足旗でアピールをするナガレガエル。
この一風変わったアピール法の理由はナガレガエルが生きる渓流ならではの「音」にあります。
試しに音量計で渓流の音を測ってみると…。
およそ85デシベル。
これは機械工場の中とほぼ同じ音量です。
つまり渓流では鳴き声は流れの音にかき消されてしまい遠くまで届きません。
だからナガレガエルは足旗信号という風変わりな技を身につけました。
そして足旗を目立たせることができるようほかのカエルとは違い明るい昼間に活動するようになったんです。
ナガレガエルはもう一つ渓流で生きるために欠かせない驚きの技を持っています。
その技はここぞという時にだけ繰り出されます。
岩陰から現れたのはクモ。
時にカエルを襲うこともある危険な相手です。
ナガレガエルに近づいてきました。
危ない!なんと水面を跳びはねて逃げていきます。
こちらでも。
これこそが忍者も顔負けのナガレガエルの奥義…クモやヘビなどの天敵に狙われるとこうして水面を跳びはねいちもくさんに対岸に渡り逃げきるんです。
まるで地面を跳びはねるように水面を跳び回るナガレガエル。
一体どうしてこんなことができるんでしょう?私たちはこの奥義の秘密に迫るため最新鋭の4Kハイスピードカメラで水面ジャンプの様子をあらゆる角度から撮影することにしました。
さああとはナガレガエルのジャンプを待つだけ。
あっ跳びました!岩を蹴って高く高く舞い上がります。
そして川へダ〜イブ!次の瞬間すぐに水面に飛び出しました。
空中では前足を伸ばしてバンザ〜イ!着水するとまたすぐにジャンプ!一体どうやれば不安定な水面からこうも高く飛び上がることができるんでしょうか?どうやら水の中に秘密があるようです。
そこで今度は水槽を用意。
その中にカメラを入れ水の中から水面ジャンプの瞬間を狙います。
さあ何が見えるのか?行った〜!ねらいどおり水の中での動きが見えました。
ピョンピョン跳ねてカメラの前に近づいてきます。
そしてついに水面ジャンプの瞬間をカメラは捉えました!それがこちら。
ナガレガエルは着水してすぐに後ろ足の大きな水かきを広げています。
そしてそのまま素早く水をかいてジャ〜ンプ!水面ジャンプの鍵を握るのはこの立派な太もも。
圧倒的なパワーで不安定な水を瞬時に蹴ることで大きな水かきが抵抗となり体が沈む前に水面に飛び出せるんです。
ナガレガエルはこうした動作を素早く繰り返しわずか1秒の間に3回も水面を跳びはねていました。
これなら陸の天敵に狙われても安心です。
ナガレガエルは水面を跳ね回るという離れ業で渓流という特殊な環境を生き抜いてきたんです。
ちょっと待った!おやヒゲじいどうしました?いやなんでナガレガエルはわざわざピョンピョン水面を跳ぶんですかね?だってほら敵から逃げるだけならこのカエルみたいに泳げばいいじゃないですか。
スイ〜スイと。
ねこれで十分なんじゃないでしょうか?実はねそうもいかないんですよ。
えなんで?試しにスタッフが渓流の流れの中に入ってみました。
ほうほうほう。
えっ?いや結構流れが激しいんですな。
そうなんです。
こんな流れの速い川を泳げば流されてしまいますよね。
その間にせっかくの縄張りをほかのオスに取られてしまう可能性があるんです。
あ確かにね。
それにねヒゲじいそもそも水の中だって安心できないですよ。
うん?お〜魚だ!そう。
川の中には魚がいるんです。
魚にとってカエルは格好の獲物。
もしカエルが泳いで川を渡ろうとすると魚に襲われる危険があります。
でも水面を跳ねれば水の中の魚に襲われにくくなります。
あ確かに!危険な渓流で安全に暮らすためにナガレガエルが身につけた奥義こそが水面ジャンプなんです。
なるほどね。
そして危険が去ればオスはまた水面ジャンプで自分の縄張りに急いで戻ってメスを待つんです。
うん!カエルだけに文字どおり縄張りに「飛んでカエル」んですな。
あっぱれ!第2章ではオスの目の前に待望のメスが現れます。
するとオスはまかふしぎな足旗ダンスで猛アピール。
カエルの楽園ボルネオの森。
200種近いカエルが暮らしています。
西川さん何か見つけましたよ。
見つけたのはウデナガガエルの仲間。
その名のとおり長い前足が特徴です。
調査のたびにボルネオでは毎回こんな新種候補のカエルが見つかるんだそうです。
この森に暮らす珍しい両生類はカエルだけではありません。
とびきり奇妙な姿をしたものがいるといいます。
その生きものを探すのは至難の業。
「必ずここにいる」という場所がないまさに神出鬼没の生きものなんです。
土の中などを粘り強く探す西川さん。
おいたいたいた!なんと運良く見つけました!これこそが探し求めていた生きもの。
でも…うん?どう見てもミミズです。
いえいえよ〜く見ればミミズではない特徴がちゃんとあるんです。
ほら口をパクパクと開けています。
それに小さな目もあります。
これはアシナシイモリ。
土の中などで暮らす両生類です。
新種もたくさんいる仲間ですが残念ながら今回はすでに知られている種類でした。
調査を行うたびに次々に新たな発見があるボルネオの森。
西川さんたち研究グループの今後の調査に大注目です。
ある日のこと。
ナガレガエルが暮らす渓流で新たな動きがありました。
懸命に足旗を繰り返すオス。
そのすぐそばにひときわ大きなナガレガエルがいます。

 これがナガレガエルのメス。ついにオスにチャンスが巡ってきたんです。オスにとっては待ちに待った瞬間。

背後からそ〜っとメスに近づいていきます。
そして…。
もう一度見てみましょう。
オスが後ろ足を上にまっすぐに伸ばしメスに水かきを見せつけています。
こちらはオス同士の縄張り争いの時の足旗。
短い時間横に伸ばしているだけです。
どうやら足を上にピ〜ンと伸ばす足旗は近くにやってきたメスに求愛する特別な足旗のようです。
メスはというと…おおっ反応しています。
脈はありそうですよ。
さあオスはどうするんですか?小刻みに後ろ足を動かし始めました。
「恋の足旗ダンス」です。
あれ?一体何が起きたんでしょう?1匹が落ち葉を抱き締めていますもう一度見てみましょう。
まずはオスの足旗ダンス。
あよいしょ。
あそれ。
ピ〜ン。
ピ〜ンと。
あよいしょ。
あピ〜ン。
あそれ。
上下左右短い時間に7回もの足旗を繰り出しメスに猛烈アピールしています。
そして恋の足旗ダンスが終わるとメスに向かって飛びかかりました。
ところがメスはオスをはねのけ行ってしまいます。
気が動転した様子のオスつい枯れ葉をメスと間違えて抱き締めてしまったようです。
諦めきれないオス。
必死にメスを追いかけます。
ほかのオスまで加わって追いかけてゆきます。
もう一度恋のダンス。
そしてジャンプ。
しかし今回もダメ。
メスのお気に召さなかったのかオスは川にたたきつけられてしまいました。
結局この日メスは水面ジャンプで川を渡り対岸に姿を消してしまいました。
踏んだり蹴ったりのオス。
また足旗合戦を続け次のチャンスを待つしかありません。
ある晴れた日のことでした。
滝のそばで見つけたのはナガレガエルのカップルです。
メスの背中に乗っているのは一回り小さなオス。
よかった。
ついに恋が実りました。
メスはオスを乗せたまま移動を始めました。
卵を産む場所に向かっているんです。
急な岩を登っていきます。
どうやら滝の上を目指しているようです。
ところがそこに危険が迫っていました。
忍び寄ってきたのは…ヘビです。
ナガレガエルをひと飲みにする一番の天敵です。
迫るヘビ。
危ない!ヘビが迫る寸前でジャンプ。
なんとか逃げることができました。
難を逃れたカップル。
しばらくたつと再び滝の上を目指し始めました。
上へ上へと登っていきます。
動きを止めたカップル。
突然滝のほうを向きました。
一体どうするつもりなんでしょう?あっ飛び込みました!なんと激しく流れ落ちる滝の中にダイブ。
一瞬で姿が見えなくなってしまいました。
カップルは一体何をしていたのか?西川さんは滝の周辺を詳しく調べましたが確かなことはわかりませんでした。
恐らく滝のどこか流れの弱い場所で産卵しているに違いないといいます。
…と思うんですけど。
こうした行動が観察されたのは初めて。
ナガレガエルの生態にはまだまだわかっていないことが多いんです。
ナガレガエルのオタマジャクシの暮らしもこれまでよくわかっていませんでした。
しかし今回初めて川底にたまった落ち葉の中から見つかったんです。
ほらこれがナガレガエルのオタマジャクシ。
青白い独特の姿をしていますね。
目も小さくほとんど目立ちません。
こうした姿は暗闇に適応した証拠だといいます。
天敵の魚から身を守るため落ち葉に隠れて暮らしていた事が初めてわかったんです。
さらにうれしい出会いがありました。
ナガレガエルの子ども。
オタマジャクシからカエルの姿になったばかりで大きさはまだ1センチほどしかありません。
体の模様は岩そっくり。
早くも隠れ身の術ですね。
あ跳びました。
そして水の上を跳びはねています。
こんなに小さくても水面ジャンプの術だってお手のもの。
ナガレガエルは子どものうちからもう立派な忍者ガエルなんです。
カエルの楽園マレーシアボルネオ島に暮らすナガレガエル。
渓流という独特の環境に自分の生きる道を見いだした小さな忍者です。
2016/12/11(日) 19:30〜20:00
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!「水面を跳ねる!かわいい忍者ガエル」[字]

マレーシアに暮らす忍者のようなカエル、ナガレガエルが主人公。川の上を飛び跳ねる「水面ジャンプの術」や足を伸ばし水かきを広げる「足旗の術」など、奇妙な技を大公開!

詳細情報
番組内容
マレーシア・ボルネオの森はカエルの楽園。体から接着剤のような粘液を出すカエルや、空を飛ぶカエルなど奇妙なカエルたちが暮らす。極めつきは渓流に暮らすナガレガエル。川面を飛び跳ねて対岸へ渡る「水面ジャンプの術」や、足の水かきを広げて手旗信号ならぬ“足旗信号”でメスにアピールする「足旗の術」など、忍者さながらのスゴ技を繰り出す。京都大学のカエル調査に密着し、かわいい忍者ガエルの暮らしに迫る。歌:平原綾香
出演者
【出演】京都大学准教授…西川完途,【語り】龍田直樹,豊嶋真千子,秋鹿真人