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書き起こし ハートネットTV▽癒えない傷を抱きしめて〜自死遺族支える“母ちゃん”弁護士 2016.12.13

豆の甘みとチーズの酸味がベストマッチなかぜ予防にうれしいスイーツです。
食物繊維と発酵食品。
上手に取り入れてみて下さいね。
広島県廿日市市にある小さな法律事務所。
おはようございま〜す!おはようございま〜す!弁護士の佃祐世さんです。
4年前40歳にして司法試験に合格。
今年独立して事務所を立ち上げました。
そんな祐世さんのもとには全国からある事情を抱えた人たちの相談が舞い込みます。
自殺で家族を失った自死遺族です。
「宙ぶらりんの気持ちでずっと生きていかないといけないのか。
本当にどうしていいのか分からない」。
祐世さんは「自殺した原因が知りたい」「職場や学校の責任を問いたい」といった遺族の相談に答えています。

 

 


自死遺族の相談は全て無料。
連日深夜にまで及びます。
こんだけ穴開いたら。
どうしよう。
弁護士になる前は専業主婦だった祐世さん。
4人の子どもを育てながら仕事をする毎日です。
自死遺族を支える弁護士祐世さんの日々を見つめます。
この日祐世さんは九州に住む遺族のもとへ向かっていました。
去年20代の娘を自殺で失った両親の法律相談のためです。
こんにちは。
こんにちは。
こんにちは。
どうぞ。
いいですか?すみません失礼します。
こんにちは。
どうぞ。
一人娘を亡くした森下さん夫婦です。
社会人になったばかりだった娘の佳奈さんは職場の人間関係に悩んだ事でうつ病になり自ら命を絶ちました。
佳奈さんが友人や母親に送ったメールが残されていました。
祐世さんは労災の申請をしたいという夫婦の相談に乗ってきました。
今回で3度目の相談。
毎回両親の口からは遺族としての苦しみがあふれ出てきます。
夫婦はなぜ佳奈さんの自殺を防ぐ事ができなかったのか自分たちを責め続けていました。
ありがとうございました。
いいえ。
遠い所。
この日の面談は5時間にも及びました。
また来ますよ。
また来ます。
また来ますよ。
また…。
あ〜よかった。
うれしい!また来よう。
まずは遺族の気持ちを受け止め決して先を急がせない。
祐世さんが大切にしている事です。
弁護士になって4年目の今年祐世さんは独立し地元に事務所を構えました。
事務スタッフは祐世さんが信頼を置く10年来のママ友です。
はいはつかいち法律事務所でございます。
じいちゃんそっくりのね。
だんごも出した。
あそうなん。
ありがとう。
明るく気さくな祐世さん。
弁護士のバッジもふだんはつけていません。
借金の返済や離婚調停…。
事務所には法律相談や弁護の依頼がひっきりなしに寄せられます。
直接話を聞いたり裁判所に出かけたり。
息をつく暇もありません。
ありがとうございました。
失礼致します。
通常業務を終えた午後8時過ぎ。
ここからの時間は全て無料で自死遺族のために充てています。
自死遺族が気軽に法律相談できる場所は全国的にもそう多くはありません。
・祐世さんの活動を知った全国の遺族から電話やメールが寄せられます。
ある遺族からの相談。
娘を飛び降り自殺で亡くした父親は賃貸マンションの持ち主から損害賠償を求められました。
自殺によって建物の価値が下がったとして1,400万円もの請求をされたのです。
家族を失った衝撃に加え予想もしなかった事態に直面する遺族は少なくありません。
遺族だけでは到底太刀打ちできない状況を祐世さんは弁護士として支えます。
気が付けばこの日も深夜0時を過ぎていました。
育ち盛りの4人の子どもの母でもある祐世さん。
仕事から帰ると翌日のお弁当の準備に追われます。
専業主婦だった祐世さんが弁護士を目指したのには理由がありました。
9年前裁判官だった夫浩介さんが自殺したのです。
結婚して8年目浩介さんが脳腫瘍に襲われました。
治療のかいなく病は進行。
次第にふさぎ込むようになり闘病が始まって半年後自ら命を絶ちました。
大学の法学部で出会った2人。
祐世さんの一目ぼれで2年間の交際の末結婚しました。
あ〜結構ねどれもどれも好きなんですよ。
めっちゃ優しいんですよね。
いつかよくなると励まし続けた祐世さん。
しかし最愛の人は遺書を残さず自殺しました。
あまりのショックで当時の記憶はほとんどないという祐世さん。
浩介さんの自殺を周囲に隠し自分を責め続けました。
気が付くと手首に包丁を当てていた事もあったと言います。
転機が訪れたのは浩介さんが亡くなって2か月近くたったある日。
生前の言葉を突然思い出しました。
「司法試験を受けてみない?」。
子育てをしながら大学院に通い更に一日5時間の猛勉強。
40歳の時3度目にして司法試験に見事合格。
弁護士の仕事をする中で多くの自死遺族が苦しんでいる事を改めて知りました。
自死遺族の法律相談のほとんどは何年にも及びます。
こんにちは。
ご無沙汰してます。
3年前高校2年生だった息子を亡くした夫婦。
自殺の原因を知りたいと祐世さんに依頼して2年がたちました。
自殺する2日前泣きながら学校での勉強の悩みを漏らしていた息子。
息子に何があったのか考え続け夫婦の自責の念は更に深まっていました。
祐世さんはさまざまな方法で自殺の原因を明らかにしようとしてきました。
クラスメートへのアンケートなどが行われましたが詳細は明かされず原因も分かりませんでした。
祐世さんは次の一手を考えてきていました。
学校での出来事が原因でケガや死亡した事が認められると給付金が支給される制度です。
この申請が通れば自殺の原因が学校にあった事になります。
更にアンケートなど学校側が行った調査の情報開示請求も行いました。
あれ?会議録は?ないんですよね。
存在しないって?会議録。
開示された情報はほんの僅か。
当時の状況が分かる文書は見当たりませんでした。
これはじゃあまだ闘いですね。
息子の事を知るために動き続ける事で両親の気持ちの整理につながればと祐世さんは考えています。
お願いします。
じゃ明日よろしくお願いします。
失礼しま〜す。
失礼しま〜す。
はいありがとうございます。
何が本当に遺族のためになるのか祐世さんは今も模索しています。
仕事で迷った時浩介さんのもとを訪ねます。
弁護士として自死遺族の悩みに答えていく事が浩介さんとの約束を果たす事。
やがて自分を責める気持ちに変化が現れてきたと言います。
自死遺族のために全国を飛び回る祐世さん。
その合間に訪れる場所があります。
(チャイム)あ〜こんにちは!こんにちは!ご無沙汰です。
いらっしゃ〜い。
お願いしま〜す。
自宅でアロマテラピーのサロンをしています。
いらっしゃ〜い。
わ〜うれしい〜。
祐世さんにとって居木さんと過ごすひとときがつかの間の休息です。
そうなんだ〜。
すっごい落ち着くんだけど。
(2人)う〜ん。
居木さんも13年前に夫を亡くした自死遺族です。
祐世さんに出会うまで周囲の視線を恐れ自死遺族である事を隠してきました。
もう一度人と関わる勇気をもらったという居木さん。
これまでの13年間に区切りをつけ自死遺族である事を周囲に打ち明ける決心をしました。
そしてつらい頃心を癒やしてくれたアロマテラピーを仕事として始めたのです。
祐世さんお疲れさまでした。
は〜いありがとうございます。
終わりです。
癒えない傷を抱えながらそれぞれの道を歩む自死遺族。
今日はありがとうございました。
ありがとうございました。
また来ますね。
待ってるね〜。
頑張って。
うん。
じゃ絶対また来るから。
待ってます。
じゃまた〜。
お気を付けて〜。
は〜い。
ありがとうございました。
ありがとうございます。
(取材者)元気になりましたね。
はいめっちゃ元気になりました。
すごいスッキリもしたんですけど。
(取材者)これからどこに…?あっこれからはちょっとまた自死遺族の相談があるので行ってきます。
祐世さんはまた次の相談者のもとへ向かいます。
2016/12/13(火) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV▽癒えない傷を抱きしめて〜自死遺族支える“母ちゃん”弁護士[解][字]

広島県・廿日市市にある法律事務所には自殺で家族を失った“自死遺族”からの法律相談が全国から寄せられます。遺族の声に応え続ける弁護士・佃祐世さんの日々に密着。

詳細情報
番組内容
ハートネットTVは様々な「生きづらさ」を抱える人たちのための番組です。テーマは、貧困・虐待・自殺・うつ・依存症・発達障害・認知症・がん・難病・介護・リハビリ・障害・LGBTなど様々。ホームページも情報満載!みなさんがつながりあえるよう情報交換の場も設けています。◆ハートネットHP http://www.nhk.or.jp/heart−net ◆ツイッター・フェイスブックでの情報発信もしています。
出演者
【出演】弁護士…佃祐世,【語り】河野多紀