７０年前世界各地から１１人の判事が東京に集まり歴史的な裁判が開かれた。
日本の戦争指導者たちの責任を問う…いわゆる…しかしその舞台裏では激しい対立が起きていた。
議論となったのは侵略戦争を起こした事が犯罪だとし指導者たちの責任を問う平和に対する罪。
別名侵略の罪。
インドのパル判事はこの法は戦争が始まった時には存在しなかったとして被告全員の無罪を主張。
オランダのレーリンク判事も同調した。
一方今こそ戦争指導者の責任を問わねばならないと確信するイギリスのパトリック判事らはひそかに母国の政府に働きかける。
その結果議論をまとめられないウェッブ裁判長に帰国命令が発せられた。
ここ東京の判事たちの緊張は今や極限に達していた。
おはよう。
マッカーサー元帥からだ。
ウェッブの後任は私だと。
君を指名すべきなのに。
きっとあなたの国への配慮でしょう。
何が心配ですか？私の体調が悪化すれば裁判に遅れが出てしまう。
ウェッブが戻るかもしれないし早く進めないと。
いや〜ウェッブも簡単に戻れるほど甘くはないのでは？私が体調を理由に辞退すればウェッブの後任は当然君になる。
それなら私たちの立場も更に強まりますね。
そのとおりだ。
行こう。
ウィリンクどういう事です？ああ君を助けてるのさ。
「貴殿に対し東京裁判所憲章に従う事多数の意見に同調する事を求める」。
どうして判事室の会話の内容を知っているんです？この裁判所が秘密のクラブだと思ったら大間違いだレーリンク。
メンバーはどんな問題についても本国の上司に連絡できる事になってる。
一体どのメンバーが連絡したんですか？オランダがご機嫌をとりたいと思ってる人たちさ。
まあいい。
たとえ私に脅しをかけても考えを変える事などできませんからね。
よく考えるんだレーリンク。
オランダ政府は国の利益と君の将来の事を考えてそう言ってきてる。
君が考えを改める事を勧めるよ。
あなたはオランダの国益を代表してるかもしれませんが私の役目はそれ以上です。
（歓談する声）
（クレイマー）裁判の進行も速まるだろう。
そう願ってるよ。
やってみるよ。
こんばんは。
レーリンク判事。
どうしたね？オランダから突然あなた方の意見に合わせるよう圧力をかけられました。
何だって？もしかしてあなたが何かしたのですか？君が自分の国と何を話すかは我々には無関係だ。
この裁判には歴史的な意義がある。
我々の足並みが乱れたら何も成し遂げられない。
この裁判では判事全員の自主性がほかの何よりも優先されるべきです。
ん〜…。
我々は新しい裁判長を支えて正しい判決を出さなくてはいけない。
うん。
後任はノースクロフトか？ウェッブの後任なのだからそうなるだろう。
ん〜そうだな。
（ウェッブ）全員そろったようだな。
裁判所憲章に従ってマッカーサー元帥が代理の裁判長を選んだ。
私はノースクロフト判事を推薦した。
しかしマッカーサー元帥はクレイマー判事を私の代理とした。
私は軍人だ。
元帥の指示は拒めない。
私たちは全面的にあなたを支持するよ。
そうだろう？みんな。
もちろん。
ええ。
ありがとう。
実際のところ私はアメリカのどの法廷でも裁判長を務めた経験はない。
だから裁判の進行にご助力を頂きたい。
（ロシア語）ザリヤノフ将軍は同じ軍人としてクレイマー判事を歓迎し全面的に支持します。
（クレイマー）ありがとう。
よろしく。
（梅）歓迎しますよ。
（クレイマー）ありがとう。
（ベルナール）ご就任おめでとう。
（クレイマー）ありがとう。
これは予測できませんでした。
全くだ。
だが問題はないだろう。
クレイマーは軍人だ。
正しい方向が見えたらその道を着実に歩んでいく。
（バイオリンの音）
（バイオリンの音）
（ピアノ）失礼します。
レーリンクさん。
来て下さるなんてうれしいわ。
シュナイダーさん。
どうぞ。
ありがとう。
お掛けになって。
あらお疲れみたいね。
働き過ぎなんじゃなくて？ええそうだと思います本当に。
ホテルから抜け出したかったのです。
ずっと落ち着けなくて。
でも行く当てがなかったので…ここしか。
そうだったの。
いつでも歓迎よ。
ありがとう。
でも本当に大丈夫？ドイツ人と会っていて問題にならないかしら？フフッ…あなたはアーティストだと思ってます。
んん〜じゃあまずは飲みましょうか。
これすごくおいしいのよ。
乾杯。
乾杯。
あ〜…ふ〜。
（笑い声）この話はすべきじゃないのは分かっています。
でも…どうぞ。
東京へ来た時は判事が一丸となって何かを成し遂げられると確信していました。
しかし今は法律家としてとても悩んでいます。
どうしてそんな事に？それは…。
ある問題で判事の意見が割れているのです。
複雑なお話のようね。
そうです。
とても複雑ですがその上オランダ政府から事を荒だてるなと圧力をかけられたのです。
でもあなたはそうしたくないようね。
そんな干渉はされたくない。
ええ。
被告たちは知る由もないけれど。
（パトリック）君たちアメリカ人がこの公園を爆撃せずにおいてくれてよかった。
（クレイマー）そう計画した事にしましょう。
パルをどう思ってる？危険人物のように見えますね。
ええそのとおり。
ベルナールとレーリンクの事も気になる。
義務感は強いようだが残念ながら勘違いしている。
野っ原にいてもらわなくてはいけない。
うん？狩りを例えに使ったんです。
開けた場所であれば監視できる。
フフフッ。
一つ率直に聞きたいのですが裁判はどうなると思います？う〜ん…我々は憲章を尊重しながら証拠と証言を重視しなくてはいけない。
そうする事で我々は迅速に判決にたどりつける。
憲章に背くような判事に好き勝手にさせてはいけない。
全く同意見です。
クレイマーは裁判長としてどうでしょう？いい選択だ。
きっと裁判が迅速に進む。
被告が公正に扱われるならそうでしょう。
もちろん公正である事は大事だが彼らは強引に東洋を支配しようとしたんだ。
結論を急がない方がよくないですか？戦争の前多くの国が政治的な駆け引きをしていた事を考えればなおさらですよ。
それはいつの時代でも同じ。
国々は富や資源を巡って争う。
日本は外交手段を捨てて侵略戦争を仕掛けたんだ。
日本には植民地化を進めるのに正当な意図があったのかもしれない。
いかなる国にも文化や考え方を他国に押しつける権利などない。
失礼だがあなたは誤解しています。
誤解？私はナチスに対して最初に抵抗した一人です。
１９４０年にド・ゴール将軍が結成した自由フランス政府に加わりました。
ナチスは私に死刑を宣告した。
だから憎んでいます。
でも私は植民地主義については異なった考えを持っています。
植民地主義は場所によってよいものだと。
国民が文明的な政府を持てずまともな生活もできないような地域では…。
お言葉だが植民地にふさわしい地域などない。
それに歴史上誰ひとり理想主義に基づいて植民地化を行った者などいない。
君はナチスがフランス人はナチスに支配された方が幸福になると考えお国を征服したとでも言いたいのか？いいえ。
ナチスはただ異常な権力欲を満たそうとしただけです。
私が言いたいのはそれだ。
（竹山）私が聞いたところでは今は被告への尋問が行われているようですね。
（レーリンク）ええ。
でも先は長いです。
次は重光そして東郷が証言してそのあとで東條が証言します。
（竹山）東條の証言には国民が大きな関心を寄せています。
教師として戦争末期に多くの教え子たちが動員された事が悲しい。
うん。
何人もが悲惨な死に方を…。
東條や軍の高官たちはその責めを負うべきです。
しかしある意味国民にも罪があります。
どういう意味です？私たちは軍国主義者の偏った考えを教え込まれていました。
真実が分かったのは日本が焦土と化したあとでした。
ですから情状酌量はしてほしいと思います。
でも私たちは誤った考えを受け入れてしまったんです。
ありがとうございます。
この東京裁判では日本国民は裁かれてはいません。
一方戦争を止められた立場にいたのにそうしなかった指導者たちがいました。
そして戦争を望んだ人間もいた。
彼らが戦争を支持する事で多くの人が苦しみそして死んでいったのです。
私たちは見抜けなかったしそれに抵抗する勇気も持っていなかった。
私の経験から言えばそうできるのが理想ですが暴力に囲まれた状況では難しい事です。
たとえそうでも私は自らに抵抗する勇気を持てなかったのかと問いかけたいのです。
（ロシア語）
（ノック）どうぞ。
（レーリンク）ザリヤノフ将軍。
どうぞ中へ。
ようこそ。
（ロシア語）日本が行った満州とシベリア占領の共同謀議についてまとめた文書です。
重光は大使としてソ連駐在中に深く関与していました。
この事を今扱うべきだとお考えなのですか？
（通訳）将軍も助手たちも用意周到なので皆さんが議論に入る前に立場を明確にしておきたいのです。
（レーリンク）なるほど。
それは用意周到ですね。
（ロシア語）なぜナポレオンの本を読んでいらっしゃるのですか？彼は侵略戦争を起こした人物の例として興味深いからです。
（ロシア語）ロシアのすさまじい軍事作戦によって打ち砕かれましたけどね。
ええしかしヨーロッパ列強は彼を処刑せず代わりにエルバ島へと追放した。
（ロシア語）
（ロシア語）処分が甘かったから復権を許しワーテルローで多くの死者が出ました。
その時もまた流刑で済んだのは侵略戦争に対する法がなかったからです。
（ロシア語）ヨーロッパの王や皇帝たちが彼を助けたのは戦争に負ける度に自分の首がはねられるのを避けたかったからです。
将軍は興味深い歴史観をお持ちだ。
そのとおり。
おやすみなさい。
おやすみなさい。
（ロシア語）
（梅）ゆうべ頂いた文書を拝見しましたが非常に興味深かったです。
（通訳）ご理解頂けてよかったです。
パル判事がいないようだが？彼は何日も法廷に出ずに自分の部屋に閉じこもったままだ。
職務を放棄しているな。
（ロシア語）皆さんにお知らせします。
今日で５７５日間ずっと座りっ放しです。
（ロシア語）冗談をおっしゃいました。
お尻が痛くなったと。
（ドアが開く音）諸君いい一日にしよう。
（ノック）どうぞ。
どうも。
どうしたんですか？レーリンク判事。
実は…何と言うか…。
あなたがもう何日も法廷にいらっしゃらないものですからどうしてかと思いまして。
判決文を書く時間がいるんだ。
しかしまだ全ての証言を聞いていないのにどうして判決が下せるんです？証言の多くは聞いたしその記録も読んだ。
時間をかけて国際法の文献も調べたし太平洋での出来事も整理したし日本の歴史も調べた。
例えば江戸時代に日本は封建国家で世界から孤立する鎖国という道を選んだ。
ええ。
それが１９世紀の半ばに終わると西洋諸国のまねをする事に執着するようになっていった。
手本となった国は利益を求めてほとんどが植民地主義を実践していた。
ええ。
日本は西洋のやり方をまねした。
だがうまくいきませんでしたよね？もちろんだ。
ええ。
しかし強い経済を作るという欲望のために当初から西洋諸国との間に軋轢を生んでいた。
だが日本軍がアジアで求めていたのは経済的な支配以上のものです。
だからアメリカは東京を空襲し広島と長崎に原爆を落とした。
罪なき人々の上に。
問われなくてはいけない事は侵略戦争を始めたのは誰かという事です。
この戦争を始めたのは誰かだって？そんな見方は単純化し過ぎだ。
本当に問うべき事はどの法的根拠によって罪に問うのかだ。
我々は恣意的に新しい国際法を適用する事はしてはいけない。
我々が止めないと紛争は続きます。
あなたは意見書を書いたじゃないか。
法律家として客観的であるべきだと。
（レーリンク）ええ。
まさかお国の政府や多数派の圧力に従う事にしたなんて言わないだろうね？もちろん。
言いません。
だがもうあまり確信がない。
私は毎日法廷に出ている。
そして証言に耳を傾けている。
この目で生き残った犠牲者を見てそしてこの耳で何が起きていたのか知っていた人や知らなかった人の話を聞いている。
日本が戦争を始めた時に侵略戦争というものが犯罪ではなかったからという理由だけで彼らを無罪にするようでは国際法は進歩しません。
国際法の進歩は急いで成し遂げられるべきものではないんだよ。
あなたの正義の定義づけでは将来の大きな紛争を防ぐ事はできません。
物事を拙速に進めては正義がなされる事はない。
（アナウンサー）「札幌の町は例年より２５日早く大雪」。
（アナウンサー）「徳島では奴凧の製造元が今書き入れ時です」。
（アナウンサー）「東京の町にはクリスマス用品が出始めました」。
（アナウンサー）「暖かそうな毛皮の外套」。
（アナウンサー）「だが師走を迎えて東京にはまだ土管の中に住んでいるような人もあります」。
ありがとう。
ウェッブ裁判長。
ベルナール判事。
正式に職務に復帰するんですか？もちろんだ。
すごい。
これは奇跡だ。
ハハハッ何度か神に祈ったよ。
そしたら神とマッカーサー元帥が助けてくれた。
待っていてくれすぐに戻ってくる。
ええもちろん。
皆さん食事中にお邪魔して悪いね。
このとおり私は戻った。
月曜日の朝にまた判事室で会おう。
ああそれからクレイマー判事裁判長の小づちは私がもらうよ。
じゃあ楽しい夜を。
この事を知ってたのか？いや知らなかった。
マッカーサーは復帰させるしかなかったんだろう。
マスコミが騒ぐのを恐れたんだ。
（マクドゥガル）う〜ん。
ウェッブは思ったより骨のある男だ。
うむ。
（ため息）
（レーリンク）「親愛なるリーセへ東京での２回目のクリスマスが近づき今まで以上に君と子どもたちが恋しいです。
裁判がいつ終わるか君に教えられればいいのですがやるべき仕事がたくさん残っています。
法廷では各被告人の証人尋問が進んでいます。
これは多くの日本国民から注目を集めています」。
その券では入れません。
繰り返しますが本日の日付となっていない傍聴券では入室はできません。
以前にもいらっしゃってます？いいえ。
そうですか。
重要な日らしいですね。
ヤーもちろん。
ドイツの方ですか？ええ。
エタ・ハーリッヒ＝シュナイダーよ。
エディよ。
存じ上げてます。
以前私…演奏を聴きました。
いせ。
私の娘です。
あの方判事の一人じゃありませんか？ええ。
お知り合いですか？１９４７年１２月被告の証人尋問が進んでいた。
１９４１年に東條内閣の外務大臣となった東郷茂徳被告。
アメリカとの戦争に反対し続けたが最後は開戦を決定する閣議で賛成していた。
東郷は苦しい立場だったんでしょうね。
日本は真珠湾攻撃当日ぎりぎりまで我々アメリカと交渉をしていた。
何が言いたいんだ？作戦を練る時間を稼いでいたのかもしれない。
それは当然でしょう。
フッ。
外務大臣としてアメリカと交渉しながら自国が戦争を計画していると知っていたのだから。
フッ。
東郷は共同謀議に参加していた事になる。
東郷は戦争に反対だったと思います。
フフッ。
ならば堂々と反対して辞めればよかった。
内閣の意見が一致していなければ内閣は総辞職していた。
新しい総理大臣を指名していたら歴史は違う道をたどっていたかもしれない。
東郷自身はこう言ってます。
戦争を支持するほかの誰かが後任になるだけだったと。
まあそれは推測にすぎません。
我々は推測するのではなく事実だけを見るべきだ。
（拍手）お会いできてよかった。
こちらこそ。
それでは。
（せきばらい）すばらしかった。
ではまた。
今日はいらして頂いて本当にありがとう。
失礼。
お帰りになるの？
（レーリンク）ああ。
今夜の演奏はすばらしかったわ。
ありがとうございます。
先生が優秀ですから。
すごく厳しかったりもしますが…フフッ。
今話していた女性たちは？裁判所でもご一緒でしたね。
私を無視なさった日ね。
裁判所は社交の場ではありませんから。
ええ真剣な仕事の場よね。
エディとは裁判所で出会った。
同じドイツ人なの。
そうでしたか。
それで裁判にどんな関心をお持ちなんです？後で分かったんだけど…東郷元外務大臣の奥様なの。
いせは娘さんよ。
エディは心配してる。
ご主人は政治家の責務を果たしていただけよ。
失礼します。
ちょっと待って！もしかしたら音楽のレッスンもこのコンサートも私に影響を及ぼすためですか？誤解よ。
あなたをエディに紹介しようとでもした？私の立場が危険になる。
人の命が懸かっているのよ。
被告には善良で立派な人もいる。
この国を立て直すために必要になる人たちよ。
私は独立した判事として自分の能力に基づいて判断しなくてはいけない。
そんな時に被告の身内と同席するような事があれば私の立場が立ち行かなくなる。
お願いです。
こんな事ではもうこの家には来られなくなる。
（ドアの開閉音）
（エンジン音）東京中の人たちが東條を見たがっています。
血の臭いがするんだろう。
うわさでは傍聴券のために大枚をはたく人もいるようですからね。
フッ。
闇市でね。
（ドアが開く音）
（ウェッブ）パル判事出席してくれるとはうれしいよ。
東條の証言だけあって注目度が高い。
諸君。
証言も終わりに近づいてきている。
今日はその中でも極めて重要な日だ。
東條が証人台に立つ。
私も彼が何を話すのかとても興味があるよ。
裁判が終結に近づく中東條英機被告が証人台に上がる。
日本がアメリカと戦争を始めた時に首相兼陸軍大臣だった彼は参謀総長も務めた。
巣鴨プリズンの独房に収監された東條は自分自身の弁護のために長大な文書を作成した。
日本人は誰も天皇に逆らって何かをなす事はないという証言。
それは戦争を始めた事も天皇の意思に従ったものだったのかという疑問を引き起こした。
おい来た。
ウェッブ裁判長天皇が戦争を承認したという事でしょうか？裁判長ひと言ありませんか？裁判の速記録です。
（せきばらい）ここだ！真珠湾攻撃の８日前に天皇は海軍大臣と軍令部総長と話している。
つまり天皇は拒否権を行使できた。
ああそのとおりだ。
だが行使しなかった。
ああ。
天皇の責任を明確に否定した東條被告の証言。
以後この問題が法廷で取り上げられる事はなかった。
東條は質問の内容を全て知っていてキーナンもその答えを完全に分かっていたんですよ。
そうに違いない。
レーリンク判事。
呼び立ててすまない。
裁判も終わりに近づいてるし本国が君の立場を知りたがってる。
ウィリンクさん裁判についてなら私は自分の立場を変える事にしました。
というとどんなふうに？私は平和に対する罪を認める事にしました。
つまり侵略の罪で被告たちを裁く事にしたんです。
ではパトリックや彼のグループを支持するという事だな？ええ被告に対して判決を下し社会から排除し他者への抑止力とする点ではです。
そうかそれはすばらしい知らせだ。
ただし一つ言っておきます。
私の結論は多数派と同じですがその根拠は違う。
それに私にはまだ判事たちとの間で話し合っておかなくてはいけない問題がいくつか残っています。
今日本国へ連絡しよう。
だがその前に母国の酒で乾杯しないか？君の決断を祝して。
ウェッブに任せていては妥当な最終判断にはたどりつかない。
我々が多数派を結成して主導していくんだ。
今の情勢を確認しておこう。
パルは難しい。
レーリンクもだ。
うん…。
ベルナールの見解も予測できない。
ああ日本には中国を支配する権利があったと思ってる。
ザリヤノフはどうだ？スターリンの祝福がなければ何も決められない。
ただしもし重光の件で彼に主導権を与えれば仲間に入れられる。
ハラニーリャは加わる。
日本の支配を受けた経験上間違いない。
（マクドゥガル）うん。
梅については分からない。
う〜ん私が話してみよう。
過半数までもう一息だ諸君。
正義に。
正義に。
正義に。
正義に。
１１人の判事たちのドラマ。
次回いよいよクライマックスを迎えます。
パトリック！誰か早く来てくれ！検討すべき証拠書類は４万９，０００ページもあるんです。
迅速に進めたまえ。
被告たちの生と死を分ける瞬間に向け最後の激論を繰り広げる判事たち。
全く話にならない。
死刑は絶対に必要です。
死刑には反対です。
死刑があってしかるべきだ。
私は被告全員について有罪にしてはいけないと思います。
そして世界が注目する中裁判は審判の時を迎えます。
ここに被告たちが収監されていた巣鴨プリズンがありました。
終戦後連合国軍によって日本の軍や政府の高官たちが次々と逮捕されました。
彼ら指導者たちはＡ級戦犯容疑者と呼ばれました。
ここでは将棋や読書日記執筆で気を紛らわす日々だったといいます。
裁判２年目の１９４７年９月。
被告たちの証言個人段階が始まりました。
アルファベット順に証人台に上がる被告たち。
中でも元首相東條被告の証言は海外からも大きな注目を集めました。
その被告たち全員の無罪を主張したインドのパル判事。
東京裁判における重要人物です。
パル判事の出身地であるベンガル地方。
その中心都市コルカタ。
図書館にパル判事が書き残した反対意見書の原本が保管されています。
指導者個人を裁く平和に対する罪は行為のあとに作った法。
すなわち事後法だとして認めないと記しています。
パル判事はイギリスの植民地下にあった当時のインドでも貧しいベンガル地方の奥地の村の出身でした。
親戚の仕事や子守を手伝いながら勉強を重ねたといいます。
そうした中植民地支配の矛盾を追及する気持ちを育てていきました。
１９４７年８月東京裁判のさなか母国インドはイギリスからの独立を果たしました。
パル判事の全員無罪の主張には植民地主義への批判など歴史の激動の中育んださまざまな思想が投影されています。
日本の戦争を単純に肯定したものではありませんでした。
ドイツ人音楽家の…その住まいは東京・赤坂の霊南坂近くにありました。
ハーリッヒ＝シュナイダーは戦後日本のクラシック音楽の母として知られています。
一方日本の現代史の裏側にも関係していた人物です。
ソビエトのスパイとして逮捕されたゾルゲと恋愛関係だった事もあります。
２人にはナチスに反対するドイツ人という共通点がありました。
母国で書き残した自伝。
そこにはオランダのレーリンク判事としばしば会っていたと記されています。
東京裁判の知られざるエピソードの一つです。
2016/12/14(水) 22:25〜23:20
ＮＨＫ総合１・神戸
ＮＨＫスペシャル ドラマ 東京裁判「第３話」[字]
７０年前、世界から集まった１１人の判事が「戦争は犯罪なのか」という根源的な問いに取り組んだ東京裁判。１１人が繰り広げる、緊迫感あふれるヒューマンドラマの第３回。
詳細情報
番組内容
７０年前、世界から集まった１１人の判事が「戦争は犯罪なのか」という根源的な問いに取り組んだ「東京裁判」（極東国際軍事裁判）。ＮＨＫは世界各地で取材を行い、判事たちの公的・私的両面にわたる文書や手記、証言を入手した。そこから浮かび上がったのは、多様な背景をもつ判事たちが、激しい議論の末にようやく判決へ達したという、舞台裏の姿だった。１１人が繰り広げる、緊迫感あふれるヒューマン・ドラマ全４話の第３回。
出演者
【出演】塚本晋也，ジョナサン・ハイド，ポール・フリーマン，マルセル・ヘンセマ，イルファン・カーン，マイケル・アイアンサイド，【司会】三宅民夫，【語り】草笛光子，伊東敏恵
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