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書き起こし ETV特集「15歳 私たちが見つけたもの〜熊本地震 3年3組の半年〜」 2016.12.17

 

 

(雨音)
(ピアノ)
(ピアノ)益城町立木山中学校3年3組…私は益城町で生まれてそれからずっとこの町で暮らしてきました。
ピアノを習い始めたのは5歳くらいの時です。
あんまり覚えていませんがお母さんに「クラシックバレエとピアノどっちがいい?」と聞かれて私は「ピアノがいい」と言ったそうです。
ピアノは家の真ん中に置いてありました。
おじいちゃんの時からの古い家で音が響いて大変でした。
正直練習が嫌な時もあったけど横で聴いていたお母さんとかに「上手になったね」と言われるのがなんかうれしかったです。

 

 

 

 

(取材者)震災から何日後ぐらいに?11日目だったですかね。
地震が起きた時家が激しく揺れて電気が全部消えて私は怖くておばあちゃんにしがみつきました。
家族は全員無事でしたが10日間は車の中で寝ました。
ピアノはボランティアの人たちが家から出して横の小屋に運んでくれました。
将来音楽の道に進みたいと思い始めた頃だったのでほっとしました。
自分も弾いてたので。
もう習わんでもいいっていうか「もういいよ」って。
(一同)おはようございます。
おはようございます。
おはよう!おはよう。
イエーイ!
(笑い声)え?ピアノ?え〜とね〜う〜んとえ〜とね…。
そうなの!?
(生徒)気をつけ礼。
(一同)おはようございます。
はいおはようございます。
じゃあ健康観察しま〜す。
将くん。
(将)元気で〜す。
桃子さん。
(桃子)はい元気です。
もえさん。
(もえ)はい元気です。
明日華さん。
(明日華)元気です。
益城町立…地震の時は家で寝ていました。
自分の町に地震が来るなんて考えてなかったので怖かったです。
そのあと1週間車で過ごしてお母さんに「熊本市に避難する事になった」と言われました。
私は友達と別れたくなくて「転校は嫌だ」と何度も言いました。
駄目ばい駄目ばい。
え〜やだやだ。
そしたらあの…あれ…頑張る。
4。
イエーイ!勝ち!こんにちは。
お世話になります。
どうぞ。
ここが姉と私と母の寝る場所と着替えを置いて。
ここがテレビで父が寝る部屋です。
うん。
これとか。
大会のあととかに撮ったりするのが多い。
これが…私でユイとサキとユメと…。
(笑い声)あ〜!葵って!早くして!やだ〜!今からブルーシートが多くなるね。
瓦がすごいもん。
ただいま。
電気。
裏がほんとに見えて。
あんま入りたくないです。
地盤がすごいボコボコになって…。
ちっちゃい頃そこの家の人とほんとにまだちっちゃかった頃手振り合って…してたのに家崩れちゃったからちょっともうないなって…。
後ろ全部ぐちゃぐちゃだからあんま見たくない。
(ホイッスル)
(一同)お願いしま〜す!
(掛け声)私は最後の大会まで仲間全員でバレーができる事を当たり前だと思っていました。
でも地震が起きて私を入れて4人が避難で町を離れました。
みんな残りたかったと思いますが中学生の私たちにはどうしようもありませんでした。
そして私が清水中にいる間に避難していた一人がもう戻ってこない事になりました。
小学校からの友達で私は会ってさよならを言う事もできませんでした。
(ホイッスル)
(ホイッスル)
(ホイッスル)友達が戻ってこられないと聞いた時悲しかったけど「自分は木山中に戻る」という気持ちも強くなりました。
そんな気持ちを分かって清水中の葵は笑顔で送り出してくれました。
私は「地震なんてなければ」と家で何度も泣きました。
(歓声)
(ホイッスル)
(ホイッスル)泣くなよ。
(セミの鳴き声)
(講師)ほんとに不思議なくらいね口で言ったら絶対に弾けるから。
じゃあさっきさここも間違えた。
それも口で言ってごらん。
ミファソファミレ…。
できる。
もう一回。
ほら!ほらまたやった〜!同じ事3回ぐらい間違えよんね。
もう一回。
集中して。
こうやってるうちにさ覚えるよ。

(ピアノ)
(加代子)左手同じとこ間違えてるもんもえ。
そこだけ練習した方がいい。
手を開くところと指をかえるところと。
そこ何回も。
左手。
私は家族に感謝しています。
お母さんは夜遅くまで働いていておばあちゃんもパートに出ています。
おかげで私はピアノを思う存分弾く事ができます。
でも時々「自分の好きなようにしてほんとにいいのかな」とちょっと考えたりします。

(加代子)さんはいっ!ちょ…歌わんでいい。
(笑い声)
(加代子)さんはいっ!・「ハッピーバースデートゥーユー」・「ハッピーバースデートゥーユー」・「ハッピーバースデーディアもえちゃん」・「ハッピーバースデートゥーユー」あんなに小さかったのにね。
あんなに小さくてコロコロしとったのにね。
コロコロとか言われた。
ハイハイもできなかったんですよ。
ハイハイも寝返りも。
大きすぎて。
寝返りもしてないんですよこの人自分で。
ハイハイも高ばいもできなくて。
ちょっと。
シッ!ね?
(加代子)自分の事だけんね。
ね?
(セミの鳴き声)ダンスリーダーはちょうど定員2名だったけど団リーダーが全部で5人ね。
団長を含めて5人だから団長を男子か女子どっちか1人出てあとは2人ずつ。
2人ずつね。
団長をしたい。
長をしたい。
じゃあこれもどっちか…みんなに聞かせるのか自分たちで話し合いをするのかというのはそこで考えたいと思います。
4月からね言ってたもんね。
うん。
気持ちが変わったんだろうね。
え〜昇ちゃ〜ん…。
(セミの鳴き声)はいじゃあ皆さん…。
シーッ。
いいですか?いいですか?
(先生)拍手!
(拍手)
(拍手)
(チャイム)益城町立木山中学校3年3組吉山昇汰。
この前お母さんが僕の事を「小さい時から素直で逆に言いたい事を我慢していないか心配」とNHKの人に話していました。
自分で言うのも何ですが運動神経はいい方で小学校からバスケをしています。
でもプレッシャーに弱くて自分から行動するタイプではありません。
どちらかと言うといつも助けてもらう方です。
(取材者)団長に立候補したじゃない?どういう思いで盛り上げてやろうと思ったの?え〜…。
う〜んと…地震の時は家にいました。
かなり焦りましたがとりあえず風呂にいた妹を助けに行って外に出ました。
そのあと近所の人たちと自然に集まりました。
それから2週間ぐらいみんなで一緒に御飯を食べました。
僕がすごいなと思ったのはみんな地震で大変なのに他の人のために行動していた事です。
食べ物を持ってきてくれたり火をおこしてあったかくしてくれたり。
更に僕を心配してよく声をかけてくれました。
はい。
(一同)いただきま〜す!
(伊藤)3年3組〜!
(伊藤)3年3組集まれ〜!
(伊藤)3年3組〜!集まれ〜!
(伊藤)カズヤー!帰りました。
帰りましたもう。
(伊藤)12!これちゃんとやろう。
だって分からんくなるから。
3!はい!123?そこ並んどって。
そこそこ。
4!はい!じゃあそこおってそこ。
5!5誰?・ナナミナナミ!ナナミは?
(伊藤)6!なんか…そっから…そこをなんか…なんか…なんか…あ〜朝はね。
じゃあ朝は1人来れない。
あとの時間は全員そろう?15歩覚えとる?ゴー!ああいい!いい!違うよ。
それは合わせればいい。
(ホイッスル)
(ホイッスル)
(スターターピストル音)
(アナウンス)「スタートしました」。
(声援)
(一同)よいしょ〜どっこいしょ!
(一同)そ〜ら!そ〜ら!僕には忘れられない思い出があります。
地震の数日後友達からボランティアの足りない避難所があると聞きました。
僕はそこに行って5日間くらい友達と水やお弁当を配りました。
みんな笑顔で「ありがとう」と言ってくれてとてもやりがいを感じました。
(アナウンス)「諦めずに最後まで頑張って下さい。
皆さんも応援よろしくお願いします」。
(歓声)
(アナウンス)「みんな応援しましょう!」。
(歓声)
(スターターピストル音)
(声援)逃げろ逃げろ!逃げろ!・未来ちゃん…あっやばい!未来逃げろ〜!・やばい!ちょ…待てよ!後ろ来とるよ〜!
(声援)
(アナウンス)「ゴール!ゴール!」。
(歓声)マジきた。
・「栄光ある歴史築きつつ」・「ああ友どちよ手をとりて」・「清く明るく伸びゆかむ」・「集えよ来たれ肩組みて」・「大地を踏めばわく力」・「高き理想を仰ぎつつ」・「ああ友どちよ」・「とこしえに」・「強く正しく生き抜かむ」
(拍手)
(家が倒壊する音)こんにちは。
お疲れさまです。
向こうがトイレがあったとこよね。
一番奥の部屋が向こうよね。
なんかこう壊れるのが一瞬でやっぱむなしいですね。
(美智子)なんかその…こんなにやっぱこう簡単に崩れていくもんかなって。

(ピアノ)
(合唱)え…。
(先生)2番のところ2番の前だよ。
頑張れ〜。
ごめんそこコンセント抜いて。
当たり前だったものが一瞬で壊れるのを見るとただぼう然としてしまいます。
私には不器用なところがあっていろんな事が一気にやって来るとどうしていいか分からなくなります。
(鳥のさえずり)
(ピアノと合唱)ピアノにも打ち込めない時期がありました。
「自分は何のためにピアノを弾くのか」と考えてみた事もありますが答えは見つかりません。
え?どこから?大きく…手下ろしたら…。
1234ジャーン…。
もうちょっと遅い方がいい?タンタンタンタンタンタンタンタン…。
お〜!うんいいいい。

(歌とピアノ)これ?結構高くない?・高い。

(歌とピアノ)
(犬のほえ声)
(犬のほえ声)
(雨音とピアノ)おはよう〜。
あっ先生おはようございます。
おはようございま〜す。
(拍手)・「青いこの空の下」・「めぐる想いをだいて」私の町で地震が起きて半年がたちました。
最近は友達とも地震の話はほとんどしません。
・「この広い世界の」みんないろいろな事で悩んでいるようです。
・「ふりかえると微笑みながら」私も将来どうするのかは分かりません。
でもピアノも勉強もただ悔いのないようにしていきたいと思います。
・「WithYouSmile」
(拍手)・「いつもやさしくしてくれてありがとう」・「心配ばかりかけてごめんねごめんね」・「どれだけその一言で頑張れたか」
(ピアノ)
(取材者)こんばんは。
こんばんは〜。
いや〜こ…こ…最初聞いた時はびっくりしました。
いやまあ恥ずかしいっちゃ恥ずかしい。
でもまあうれしいかな。
2016/12/17(土) 00:00〜01:00
NHKEテレ1大阪
ETV特集「15歳 私たちが見つけたもの〜熊本地震 3年3組の半年〜」[字][再]

多感な15歳の子どもたちは、大地震で何を感じ、どう生きていくのか。震度7の大地震が2度襲った熊本県益城町立木山中学校3年3組の半年を見つめた。

詳細情報
番組内容
震源のまちにある木山中学校268人の生徒に犠牲者は出なかったが、半数以上の子どもの自宅が破壊された。不自由な車中泊、避難所暮らし、壊滅したまち。先が見えない日々が続いた。しかしそんな情況にあっても、子どもたちは部活動を続け、体育大会を開き、合唱コンクールに励む。死に直面した体験を抱えながら互いに支え合い、たくましく生きていた。災害をバネに自らを問い直しながら歩む、さまざまな15歳の青春を記録した。