(近田)海にハト?うわ危ない!ここは神奈川県の海岸。
今年放送した荒波に挑むアオバトです。
いや覚えておりますぞ。
ホントハラハラしましたな。
うわヒゲじいいきなり登場ですね。
そりゃ迫力満点でしたもんね。
今年も「ダーウィンが来た!」では日本の生きものをたくさん紹介してきましたよね。
はいはい。
今夜はその中から特に反響の大きかった3本を一挙放送しちゃいます。
ほうそりゃ楽しみ〜。
(和久田)こんな生きものもいましたよ。
おっイシガメですな。
水辺を飛び出して大移動!里山をフル活用していました。
おっトマトおいしそう!
(秋鹿)さらに腕を広げると4メートルにもなる世界最大のタコ。
(ヒゲじい)うわ大きい!
(秋鹿)知床の海の恵みで大きく成長することこそ命をつなぐ作戦だったんです。
今日はイチ押し映像満載!それでは…。
(3人)師走の夜に豪華3本立て!
(ヒゲじい)お見せしわす。
日本の生きものまずはじめは神奈川県の大磯町です。
太平洋に面した海岸にある鳥が集まってきます。
早速来ましたよ。
うわたくさんいますね!やってきたのはアオバト。
ふだんは森の中で暮らしていますが春から秋にかけて大群でこの海岸にやってくるんです。
磯に降りました。
大きさは30センチほど。
公園のハトと同じぐらいです。
それにしても一体何のために磯にやってきたんでしょう?海水に顔をつけました。
水を飲んでいるんです。
あちこちでアオバトが海の水を飲み始めました。
下を向いたままゴクゴクとのどを動かしています。
実はこれ普通の鳥にはできない飲み方です。
一般的に鳥が水を飲む時にはまずクチバシで水をすくうようにして含みます。
そして上を向いてのどに流し込むんです。
しかしアオバトは下向きのまま飲むことができます。
波が押し寄せる磯でも素早く飲めるんです。
でも夢中になりすぎると…。
おっと危ない!大きな波が来るとさらわれてしまうこともあります。
それでもアオバトは海にやってきます。
どうして危険を冒してまで海水を飲まなければいけないんでしょうか。
(鳴き声)アオバトが暮らすのは森の中。
大磯から20キロ以上離れた丹沢山地や東京の奥多摩などからやってきています。
実はアオバトが主食にしている果実にはある栄養素がほとんど含まれていません。
塩の成分ナトリウムです。
アオバトはナトリウムを補うため海水を飲むと考えられています。
さらに初夏アオバトは子育てをしています。
ヒナの分までたっぷりと栄養が必要なため遠く危険な海で海水を飲まなければならないんです。
8月真夏の大磯です。
この時期海岸に新しい仲間が加わります。
手前のアオバトクチバシがほんのりピンク色ですよね。
これは巣立ったばかりの若鳥。
海岸にデビューしたんです。
岩の上をヨチヨチと歩いています。
なんだかまだ危なっかしいですね。
あっ海水を飲み始めました。
ゴクゴクと飲む若鳥。
飲み方はもう一人前です。
しかしこの季節は若鳥にとって試練の時でもあります。
夏は台風が発生しやすくその影響で海は大荒れ。
特に海に来始めたばかりの若鳥にとっては大きな脅威です。
磯に降りますが…はじき飛ばされてしまいました。
若鳥にとってこんな大きな波は初めての経験です。
うわっ!海に引きずり込まれています。
大丈夫でしょうか?なんとか飛び立とうと必死にもがきますが…また飲み込まれてしまいます。
なすすべもありません。
そんな様子をじっと見つめるものがいます。
ハヤブサです。
最高時速は100キロ以上。
アオバトの最大の天敵です。
溺れたアオバトに襲いかかります。
ハヤブサの攻撃。
アオバトは頭を沈めて避けようとします。
でも…うわぁとうとう捕まってしまいました。
若鳥をはじめ1日で100羽近くのアオバトが波やハヤブサの犠牲になることもあります。
しかしアオバトには秘策があります。
ハヤブサが襲来。
うわっ!直撃です。
羽が飛び散っています。
あれ?でも捕まってはいないようです。
実はアオバトの羽はとても抜けやすくなっています。
ガッチリ体をつかまれてさえいなければスルッと逃げることができるんです。
羽を抜いて逃げきる。
これこそアオバトの生き残りの秘策でした。
生きるために海水を飲まなければならないアオバト。
多くの脅威にさらされそれでも海に挑む勇敢な森のハトなのです。
いやぁ何回見ても迫力満点ですな!アオバトを見てこんなイラストも送って頂きました。
生き生きと飛ぶアオバト。
ハヤブサとの攻防も描いてくれてますなぁ。
地元の方からは……なんてご感想も。
いやホント驚きですな。
続いての舞台は美しくどこか懐かしい日本の里山。
こうしたきれいな水辺を好む生きもの。
ニホンイシガメです。
日本各地の里山で昔から暮らしてきました。
うわっ!鋭い爪。
恐竜のようです。
寿命は40年以上。
大きいものでは20センチを超えます。
身近なイシガメですが実はその生態は謎だらけ。
そこで!カメに負担をかけない超小型発信機を使い調査が始まりました。
これから半年イシガメの里山暮らしに密着します。
発信機の電波を追っていくとイシガメは田植え後の田んぼにいました。
川から移ってきていたんです。
イネの上には巻き貝。
食べました。
田んぼに落ちた昆虫も…パクリ!そして初夏。
イシガメが向かったのは雑木林です。
お目当ては甘〜く熟したクワの実。
落ちてきた実にすかさずかぶりつきます。
イシガメはいつどこに何があるのか里山を知り尽くしているようです。
さらに8月になると意外な場所で見つかりました。
なんと農家の裏手の野菜畑です。
さてここでのお目当ては…。
えっトマト!?真っ赤な実にかみつきます。
赤く色づいたトマトを夢中でほおばります。
あっ畑の持ち主に見つかっちゃいましたよ。
それでもイシガメはお構いなし。
もう顔なじみのため温かく見守られているようです。
イシガメは川から出ると田んぼで虫など雑木林でクワの実さらに畑ではトマト。
季節に合わせた里山の恵みを利用していたんです。
里山をフル活用するイシガメ。
でも…危ない!車道に出てくると車が行く手を阻みます。
さらにコンクリートの水路もイシガメの移動の妨げになっています。
あ〜っ落ちてしまいました。
爪を引っ掛けなんとか上がろうとしています。
う〜んがんばれ!あ〜惜しい。
こうした人工物が増えることで里山といえどもイシガメにとって住みづらくなってきているんです。
追跡のさなか事件が起きました。
イシガメが何者かに食べられてしまったんです。
犯人はアライグマ。
北米からペットとして輸入されたものが野生化しました。
もともと里山にはいない生きもののためイシガメは身を守るすべを持ちません。
さらに野生化した外国産のカメもイシガメの生息場所を奪っています。
環境の変化や外来種の影響で数を減らしたイシガメ。
将来絶滅の危険がある種に指定されてしまいました。
そんな中でもイシガメは必死に命をつなごうとしています。
農業用のハウスの中にイシガメがいます。
何をしているんでしょう?穴を掘っています。
あっ!白いものが見えました。
卵です。
なんとハウスの中を産卵場所として利用していたんです。
ここなら温度が安定している上に卵を狙う動物も近づけません。
変わりゆく里山でイシガメの意外なたくましさを発見しました。
そして1か月半後。
赤ちゃんが産まれました。
大きさは4センチほど。
ピンポン玉くらいです。
里山での長い一生が始まります。
昔から私たちのすぐそばで暮らしてきたイシガメ。
これからもずっと生き続けてほしいですね。
イシガメけなげでしたなぁ。
頂いたイラストにも「絶滅しないでね」というコメントがついておりましたぞ。
イシガメがんばれよ!最後の舞台は世界遺産北海道知床半島。
この海の中に巨大生物が暮らしています。
現れました。
ミズダコです。
海の底をのそのそと歩いて移動しています。
ホントに大きいですね。
ミズダコは世界最大のタコ。
腕を広げると…その腕の間には膜が広がっています。
なんとカメラが包み込まれてしまいました。
こうして獲物に襲いかかるんです。
膜の中には大きな吸盤がビッシリ。
吸着力は半端ではありません。
好物はカニ。
脚を広げると50センチもあるズワイガニもうわっ!一瞬で包み込みます。
次から次へと襲いかかります。
こうして知床の豊かな恵みをたらふく食べて世界一の巨体を手に入れるんです。
ミズダコの子育てが始まります。
メスがなにやら大きな石を動かしています。
1つ10キロはありそうな重たい石。
3個も同時に引き寄せています。
産卵のため身を隠せる巣穴を作っているんです。
しばらくすると…。
巣の中に卵が産み付けられていました。
その数最大7万個。
ふ化までの間お母さんは食事もできません。
巣穴から1歩も離れず卵を守り続けるんです。
知床の海は流氷に閉ざされます。
産卵から半年。
お母さんはずっと卵に付きっきりです。
水温が低いため卵の成長が遅くふ化まで10か月もかかるんです。
その間お母さんは飲まず食わずで卵の世話。
新鮮な水を吹きかけたり腕でゴミを払いのけたり。
大きな体に蓄えた栄養だけで乗り切るんです。
おや巣の周りに魚が集まってきました。
肉食の魚です。
ミズダコの卵を狙っているようです。
するとお母さんは太い腕で魚をブロック。
大切な卵を必死に守ります。
ところがある日卵の一部が巣穴から落ちてしまっていました。
一体どうしたんでしょうか?こちらはほかの場所で撮影された映像です。
母親のいる巣穴に別のミズダコが腕を伸ばし巣穴を奪おうとしています。
しかし母親の抵抗に遭い慌てて腕を引っ込めます。
こんな時卵がちぎれ飛び出してしまうんです。
落ちてしまった卵はもう守ることができません。
ウニの餌食になってしまいました。
常に危険にさらされている卵。
お母さんは片ときも離れることができないんです。
子育てが始まり10か月がたちました。
巣穴に白く色あせたお母さんの腕が見えます。
もう力はほとんど残っていません。
あっ赤ちゃんが出てきました。
大きさは1センチほど。
お母さんは力を振り絞り卵に水を吹きかけふ化を促します。
それに応えるように次々と飛び出してくる赤ちゃん。
世界一大きなタコの一生はこんな小さな姿から始まるんですね。
ふ化からしばらくたったある日。
海の底に真っ白なミズダコが横たわっていました。
子どもたちを育て上げたお母さんのなきがらです。
実はミズダコの繁殖は一生で一度きり。
世界一の巨体に蓄えた栄養を使い果たし長い長い子育てを全うするのです。
海に旅立った子どもは3〜4年かけて大人になります。
体が小さいうちは恐ろしい天敵がたくさんいます。
海底を横切る不気味な影。
全長3メートルにもなるトド。
子どもたちが最も恐れるどう猛な海のハンターです。
身を隠そうと必死な子ども。
岩陰に逃げ込もうとしますがおっと!中に大きな魚がいます。
オオカミウオです。
鋭い歯でミズダコの腕を食いちぎることもあります。
あ〜危なかった。
墨を吐きながらほうほうの体で逃げていきます。
天敵から逃れても子どもたちには別の試練があります。
狩りの苦労です。
狙いを定めて…。
あ〜逃げられた。
まだ大人のようにうまく獲物を包み込むことはできません。
今度こそ。
やった!腕を絡め吸盤の力でなんとか捕まえました。
たくさん食べて大きくなることこそミズダコの生きる道なのです。
いや〜我が身をささげるお母さんの子育てグッときましたなぁ。
「大きなタコは怖いという印象がガラリと変わりました」なんてご感想も頂きましたぞ。
日本にはまだまだ知らない生きものたちの物語がたくさんありそうですな。
お便りやイラストをお寄せ頂いた皆さんありがとうございました。
突然ですがここで「ダーウィンNEWS」です。
来年の主役といえばニワトリ!
(鳴き声)最近この鳴き声に関する大発見がありました。
えっ驚きのオキテ?実験で3羽のオスABCの朝鳴く順番を調べてみます。
(鳴き声)最初に鳴いたのはC。
その少しあと。
(鳴き声)今度はAが鳴きました。
この日どれだけ待ってもBは鳴きませんでした。
また別の日。
(鳴き声)C。
(鳴き声)A。
Bはこの日も鳴きません。
1週間の観察中3羽はほとんど同じ順番で鳴いていたんです。
でもどうやって順番が決まるんでしょうか?観察初日のこと。
3羽が初めて出会うといきなりケンカが勃発。
CがBに飛びかかります。
Bはやられる一方です。
戦いの結果は強い順にCABでした。
実はオスの鳴く順番この力関係で決まっていたんです。
鳴かなかったBはCからしつこく攻撃され鳴くことすらできなくなったんです。
(鳴き声)いや〜ニワトリ社会もケッコー厳しいんですね。
新年1月1日は83分の拡大版。
ニワトリのご先祖七色に輝く幻の鳥を女優の秋元才加さんが大捜索。
さらに取材班は世紀の大スクープを求め世界各地へ。
絶滅したはずの珍獣が生きていた!?あのダイオウイカを超える次なる大スクープとは!2017年もお正月からよろしくお願いします!2016/12/18(日) 19:30〜20:00
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!▽荒波に挑むハト!里山のカメ!世界最大のタコ!日本の生きもの[字]
荒波に挑む森のハト、畑でトマトをガブリ!里山をフル活用するカメ、世界最大のタコの感動子育て。スクープ映像満載。日本の生きものを豪華3本立てで紹介する年末SP!
詳細情報
番組内容
神奈川県の海岸になぜか森のハトが大群でやってくる。荒波にのまれたりハヤブサに襲われたりしながらも集まる理由とは?里山で命をつないできたイシガメ。環境の変化で絶滅が心配されるなか、母親が見つけた意外な産卵場所とは?世界最大のタコ、ミズダコは母親が10か月間も絶食して子育てする。巨体に秘められた壮絶な運命とは?スクープ映像満載。日本の生きものたちの感動物語を豪華3本立てで紹介する年末SP!歌:平原綾香
出演者
【語り】近田雄一,和久田麻由子,秋鹿真人,龍田直樹,豊嶋真千子