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書き起こし 情熱大陸【林家たい平/落語界の打ち上げ花火…岐路に立つ52歳の噺家に密着】 2016.12.25

 

 

猫は気まぐれというが時には恩返しをするらしい
(林家たい平)間の取り方がね…人と人とのね間の取り方がすごいやっぱり猫は上手そういうのがすごく…
猫の主落語家・林家たい平
「うっうわ〜!あぁぁぁぁぁ…うわ〜…」「おっお…あっあっあっ…誰だ!」「『誰だ』?聞いてきませんでした」
(笑い)「ちょっといいですか?すぐに分かりますんでちょっといいですか?驚いたままお待ちいただきますすいません」
世は落語ブーム
とりわけたい平は幅広い年齢層から支持を受けていた

 

 

 


これはいい記念になるね
熱烈なファンの中には幼い子供たちも多い
ホントありがとうわ〜嬉しいありがとう
この夏「24時間テレビ」のマラソンに挑んで人気に拍車がかかった
高座に足を運ぶ新たなお客が増えている
目下絶好調と言っていい
ありがとう
当然やっかみの声は聞こえてくる
根っから落語を愛する52歳
生真面目な男は今正念場にさしかかっていた
9月
福島で東西の名人が顔をそろえる落語会があった
落語の公演にあまり慣れていない会場
たい平は誰より早く現場に入り自ら照明の具合や高座の高さを調整した
1700人収容の大ホール
どこの席からも高座が見えるようにしなければ
(会場スタッフ)1枚にしといていただけると…
10cmにこだわるサービス精神も人気の秘密だろうか
開演直前
ウケやすいネタとやりたいネタにはずれがある
まだ演目を決めかねていた
どうやら上方のベテランはたい平の迷いを見透かしていたようだ
大先輩に教えられた
選んだのは確実に笑いの取れる滑稽噺
「私の仕事は紙くず屋『くず〜お祓〜い』ってんで方々を流して集めてきた紙くずの山これをね選り分ける選り子の仕事がお前さんの仕事なんだけどもねまぁこの紙くずん中には手紙が出てくる証文が出てくる恋文が出てくる本が出てくるってんでね読めるってぇといちいち読み始めてね先に進まねえんだ」
紙くずの山からはテレビでおなじみの得意技も出てくる
「真冬の花火もいいんだろうな」「夜空を彩る大スターマイン点火します」
(花火の音マネ)
(拍手)
お客は大喜びだった
なのでこれには…まぁでもそうだなっていうふうに思います
落語家としての日常は恐ろしく多忙
東京の寄席浅草演芸ホールでは10日間トリを務める大役を任された
「残しとくことないね全部こぼれちゃったんだからね」初日お疲れさまでした乾杯!
(一同)お疲れさまでした!
初日を終えて演者や裏方を誘った食事会
たい平はまめだった
率先して注文しせっせと肉を焼いては仲間たちに取り分ける
ないですよね?
面倒見のよさには定評があるそうだ
たい平は無類のモノマネ上手としても知られている
何ですか?何のモノマネですか?何でもいいよ・「北海道…」
本人を知らなくても不思議におかしい
・「石川木秋田竿灯」三味線がしゃべりま〜す似てる似てるめちゃめちゃ似てるまばたきしないんだよそうまばたきしないオッケー!こんな大きな声を出すこともないんですが…ごゆっくりどうぞごゆっくりどうぞ…
(木久蔵)寄席芸人が好きな人はたまらない最近俺モノマネ?最近じゃないけど…「えっ嬉しい!いや何がじゃないわよ林家ペーよもう本当に」「え〜っ!?」えっ!嬉しいね「嬉しい!」
10月
人気者のルーツに触れる機会があった
母校・武蔵野美術大学の学園祭
忙しいスケジュールをやりくりして顔を出した部屋がある
なぜか模造紙を手にしていた
在学中に所属していた落語研究会
こんにちは
(学生たち)こんにちは
早めに部屋を下見していたたい平は殺風景な高座を心配し緋毛氈の代わりを用意していた
なるほど面倒見のよさは半端ではない
(スタッフ)部長嬉しいですね?
たい平の卒業後部員が減って一度は消滅した落研
部長の神田恵さんはたい平を入り口にして落語ファンになり今年同好会を復活させた
どう?
(神田さん)わ〜!いいじゃない
落研時代は遊々亭迷々丸
初めはさほど熱心ではなかったという
落語なんて面白くないじゃ〜んっていうか俺がやったほうがもっと面白いよ…っていうぐらいの勢いでやっていましたけど
(ラジオ)「だからさっきから俺言ってるじゃねえかよ〜その半纏を脱ぎなってのその半纏を」「やだよ!」…
転機は偶然耳にした深夜のラジオ
名人たちの至芸を聞いてショックを受けた
人情の機微を人の世のいとおしさを言葉ひとつで表現する奥深さ
以来古今の名人芸を聴きあさった
これ…ないからどっかに入ってお正月の空気感とか高揚感とかもうぞくぞくするぐらいに伝わってくる志ん朝師匠の「御慶」
大学を卒業したら俺も落語家になろうと決めた
でも一体誰に弟子入りするべきか
悩んだ末に当時「笑点」のレギュラーだった林家こん平を師匠に選ぶ
好きなように落語をやらせてもらえるような気がした
自分がやりたい落語って何だろうと思った時にやっぱ求められる落語…お客さんがいて喜んでくれることが初めて落語になるのでそういう意味で言ったら俺だけが作るんじゃなくてやっぱりお客さんと一緒に作っていくって考えたら今の林家たい平の落語で間違えてはいないのかなっていうふうに思います喜んで帰ってくれる楽しかったよって言ってくださる
11月
思いがけず足元を救われてしまった
都内で開かれたチャリティー寄席でとんでもないことが起きたのだ
地方の高座が続き疲労困ぱいしていたのだろう
珍しく愚痴にも似た言葉が口をついた
(スタッフ)死ぬまでにですか?
前座に上がったのはたい平の弟子
林家たい平の弟子の林家あずみと申します私は三味線漫談でございます
袖で見ていたたい平の顔色が変わる
何を思ったのか突然走りだした
目指したのは舞台の上手
照明の当たり具合を修正する
(あずみ)それでは早速ですがまずは1曲…
いつもなら開演前に必ず自分でチェックするのを疲れていたのかつい弟子任せにしてしまった
なので…
災難は続いた
(拍手)
こうなると調子は一気に乱れてしまう
(笑い)よろしくお願いします
(拍手)
空気を変えようともういっぺん端からやり直してまずは笑いを誘った
(笑い)「このとおりうそをつきましたお許しくださいお願いいたします」
選んだのは珍しく人情噺
「清蔵!」「はっ…」
気を入れて演じてはいるのだが客席の反応ははかばかしくない
(アナウンス)10分間の休憩をいたします休憩後…客席…ちょっと聞いてきます
(あずみ)ホントですか?なのでちょっと…
(拍手)
二席目ではありえない失敗をしてしまった
また子供たちの前で落語をやる機会も増えましてねこの間もある所に行きまして…あずみちゃん…あずみちゃんいますかね?すいません…
(笑い)すいませんもう…本当にあの…頭のほうに少しこう…頭のほうにって言うとおかしいですけどマラソンの疲労が頭に…
まるで悪い夢でも見ているようだった
「ねぇ今言うけど本当はあれね頭と尻尾しかないんだよ隣の猫からもらったやつでさお余りなんだよ猫の」
高座の無念は高座で晴らすしかない
11月の末たい平は年に一度の大舞台に臨んだ
人情噺の名作「芝浜」を演じる「芝浜の会」
あまたの名人上手が年の瀬の高座に好んで掛けてきた噺をたい平は二つ目の時分から独演会でやってきた
回を重ねて今年で20年目
初めはその無鉄砲を笑われた
客もまばらな会場を振り出しに自らチケットを売りながら独演会を続けてきた
理由がある
それはすごく…
テレビでの人気も手伝ってチケットは発売と同時に売り切れたそうだ
今年自分がどこまで来たかを見極めなければ
(拍手)「行ってないよねぇお前さん芝浜行ってないよ」「行ったよ行ったじゃねえかよ四十二両拾ったじゃねえかよ」「拾ってないよ拾ったんだったら出してほしいよ喉から手が出るほど欲しいものお金がないんだもの欲しいよ欲しいけれどもさ…」「また一生懸命働く…一生懸命働くからよ勘弁してくれ!なっ?」
3年が過ぎた大晦日
「お前さんにちょっと聞いてもらいたいことと見てもらいたいものがあるんだけど」「あれ本当だったの!お前さん拾ってきたの!パ〜ッと目の前が明るくなったようなそんな気がしただけど…だけど怖かったの初めて見るような四十二両…怖かったの」「ありがとよおかあ…ありがとう」「お酒飲んでくれる?」「おめえが楽になるんだったら飲むよ」「よそうまた夢になるといけねえ」
(拍手)
落語家・林家たい平にとって間もなく終わろうとする2016年は特別な一年だった
この夜は同期の柳家一琴に頼んで新ネタの稽古
生真面目な男は貪欲に芸の幅を広げようとしている
「五十両!ハッハハハハハ」
兄からの借金をようやく返した弟が嬉しさに酔い潰れ火事で全てを失ってしまう
だがそれは悪い夢だった…という噺
ありがとうございました
(一琴)どうもありがとうございましたいやすごい
土蔵に心臓などの五臓を掛けたサゲ
落語は心理を突いている
人間疲れるとろくなことはない
…ネタだったんですだけど今回…
来年は一層体力をつけ新たなモノマネにも挑もうか
いやいやいやいやそうだよ先にやっちゃったほうがいいよ絶対そうだよな
日本に千年続く鮓があった
次回は里山で熟鮓に懸ける料理人
熟成1年これぞ鮓の原点
2016/12/25(日) 23:00〜23:30
MBS毎日放送
情熱大陸【林家たい平/落語界の打ち上げ花火…岐路に立つ52歳の噺家に密着】[字]

落語家/林家たい平▽落語を知らない人に、魅力を伝えるのが使命…それ故求められる「元気なキャラクター」が時に芸の邪魔に…客との真剣勝負“本当のたい平”お魅せします

詳細情報
番組内容
落語会を開けば全国どこでも即満席となり、サイン会には長蛇の列…人気演芸番組の大喜利メンバーとしても活躍し、夏には24時間マラソンに挑戦した間違いなく“今、ノリに乗っている落語家”林家たい平。彼の主戦場「古典落語」は人情噺で人生の悲喜交々をいかに情緒豊かに演じきれるかが腕の見せ所。客が期待する「明るく元気なキャラクター」との葛藤を抱えながら挑んだ大舞台。830人の客との1時間、真剣勝負の幕が上がるー
プロフィール
【落語家/林家たい平】
1964年埼玉県生まれ。大学卒業後、林家こん平に入門。92年に二つ目、2000年35歳で真打昇進。林家伝統のサービス精神あふれる芸風を受け継ぎ、楽しさ満点「たい平ワールド」の高座で高い評価を獲得。親子向け落語会や、寄席の臨場感を味わえる映画館落語プロデュースするなど、落語ファンのすそ野を広げることに尽力。2010年から母校の武蔵野美術大学にて客員教授としても活躍する52歳。
制作
【製作著作】MBS(毎日放送)
【制作協力】コンパス