（紀夫）坂東営業部を辞める事にした。
（すみれ）えっ？
（昭一）あの〜辞めてこれからどないするんですか？キアリスの経理をしようと思うてます。
僕はすみれの仕事と家庭がうまくいくように間に立ちたいんや。
一番自分らしくいられる場所で輝くすみれを僕とさくらに見せてくれ。
この店をいつまでも育てて守って残していこう。
はい。
・「『雨上がりの空に七色の虹が架かる』」・「ってそんなに単純じゃない」・「この夢想家でもそれくらい理解ってる」・「大量の防腐剤心の中に忍ばせる」・「晴れた時ばっかじゃない」・「湿った日が続いても腐らぬように」・「たとえば１００万回のうちたった一度ある奇跡」・「下を向いてばかりいたら見逃してしまうだろう」・「さぁ空に架かる虹を今日も信じ」・「歩き続けよう」・「優しすぎる嘘で涙を拭いたら」・「虹はもうそこにある」・「きっと虹はもうここにある」
（大島）ほう〜これを無料で？はい。
随分思い切ったねぇ。
あ…私たちの考え方を知ってもらえたらそれだけでもうれしいんです。
ああ…。
で君は坂東営業部を辞めてキアリスに入ったんだって？はい。
経理を担当します。
ご婦人方は皆経理が苦手なようですのでこっちに任せてもろて彼女たちには好きな事をしてもらえればと思うております。
（小山）それはよろしいですねぇ。
ほんまに皆さん経理が苦手なようですから。
これを機にキアリスを法人化してはどうかな？法人化？うちとの取り引きも始まった事だし今後の事を考えても会社にした方がいいと思いますよ。
そうですね。
私もそう思います。
（勝二）ええと思うで。
わしもや。
（君枝）何で？何でってそりゃ信用が違う。
５年先１０年先続けたいなら人も雇わなあかんやろしな。
（良子）人を雇うのに何で会社にした方がいいの？この先新しい事をやりたくても資金が足らんいう時法人化しとって売り上げあげとったら銀行も資金を貸してくれる事がある。
（明美）へぇ〜。
それに働いてくれてる人たちを社員にできる。
つまりはみんな安定した生活ができるいう事や。
（時子）将来は自活せなあかんて考えてた。
子どものためにもね。
手に職をつけて女一人でもちゃんと生きていけるように頑張りたい。
働いてくれる人にとっていいなら…どうかな？ええねぇ。
（良子）ええ。
それやったらみんな安心して働けるね。
それで資金は？うちの銀行で融資を申し込みましょう。
おっ。
社長は誰が？すみれちゃんがいいんやない？えっ？えっ私？ええと思う。
すみれ社長…。
いえ…無理よ社長なんて！好きな事ができなくなるかもしれへんなぁ。
それは嫌やわぁ。
それやったらどうする？紀夫さん？いやいやいやいや。
僕は主に経理と総務関係を現場でやります。
うん実務に関わらんところにおる人がええんやないか？いた！ちょうどいい人がいてたわ。
（勝二）ん？誰？タケちゃん。
（足立）えっ？あ〜。
タケちゃんキアリスの社長やて。
わしが社長？
（君枝良子）社長。
社長！
（拍手）わしが社長？
（麻田）明美ちゃんちょっと…。
おった！おったでここに！
（君枝）麻田さんや。
（勝二）あっ確かに。
年から言うても麻田さんぐらいの方がよろしいやろな。
（紀夫）そうですね。
（昭一）貫禄もありますし見栄えもええですね。
麻田社長。
社長？麻田さん。
キアリスの社長になって下さい。
私がキアリスの社長？いえいえ！私はただの靴屋です。
そやけどすみれたちにとってはそれ以上の存在です。
そもそもあさやさんから始まったんやものねキアリスは。
麻田さんがいなかったらお店をやろうなんて思わなかった。
麻田さんしかいません。
おっちゃん頼むで。
お願いします。
（３人）お願いします。
（はな）
麻田さん娘たちをどうかよろしく
どうでしょう？
勝二さんと昭一さんにも監査役として名を連ねてもらい株式会社キアリス発足に向けての準備が始まりました
はぁ〜銀行の現地調査ですか。
はい。
創業計画書の売り上げ見込みが正しいかどうかを確認しに来てるんです。
あ〜なるほどねぇ。
（足立）お茶でも…。
（銀行員）ああどうも。
ただいま。
（足立）こちらこそ。
銀行さん来てますよ。
あっこんにちは。
お世話になります。
（銀行員）どうも。
え〜っと代表取締役の方は？おっちゃんおっちゃん。
あ…ああ。
「おっちゃん」て。
ハハ…私です。
はい…。
え〜取締役５名の方は？あっ紀夫さんと…。
すみれちゃんと君ちゃんと明美さんと私でいいのよね？うん。
はい多分。
（銀行員）はっ？「多分」やない！「すみれちゃんと君ちゃんと」って社会人やろが！そんな言い方しなくても…。
（銀行員）ハハハハ…。
何でああなんやろなぁ。
ええ年した大人が。
紀夫さんもうちょいピシッとさせて下さいよ。
麻田さんが社長とはいえ現場の頭は紀夫さんやからな。
どうすればええやろ…。
まず朝礼やな。
あっ…。
よろしいですね。
朝から気合い入れな。
もうねなれ合いやめさせましょ。
大体会社で君ちゃんやのすみれちゃんやのおかしいやろ。
ほんまそうですよね。
社会人の何たるかを教えたって下さい！楽しゅうしちょるこつがそげ悪いこっちゃろか。
何や？不服そうやな。
いや…。
君は男会やないのか？女会か？いやそういう…。
男か女かどっちなんや！男です。
そうやろ？はい。
うん。
でもよう考えたら男会て…。
もっとええ名前ないやろか？
（勝二）何や？キアリスのような。
（昭一）はい。
君枝さんの「キ」明美さんの「ア」良子さんの「リ」すみれさんの「ス」でキアリスじゃから…。
紀夫さんの「ノ」昭一さんの「シ」。
勝二さんの「カ」君はタケちゃんやろ？はい。
タケちゃんの「タ」で…。
いまいちやな…。
あっちゃうな。
タノシカ〜。
ええないですかぁ。
前向きやないか。
今夜はタノシカ〜っち。
（紀夫）ええなぁ！はい。
よし今日からわしらタノシカや！タノシカ結成！乾杯！
（３人）乾杯！
昭和２４年４月の朝を迎えました
あ…。
紀夫さん…もう？株式会社になって初日の出勤やからな。
行ってまいります。
あ…行ってらっしゃい。
おはようございます。
おはようございます。
おはよう。
おはよう。
おはようございます。
すみれちゃん明美さんおはよう。
おはよう良子ちゃん。
（君枝）おはよう。
おはよう君ちゃん。
おはよう。
タケちゃんもおはよう。
おはようございます。
え…もう仕事してる。
新聞かち思うたら紀夫さんでした。
はいでは朝礼を始めましょう。
え？朝礼？今日からキアリスは株式会社キアリスになりました。
これからは何となく集まっておしゃべりしながら何となく仕事をするんやなくきっちり気持ちを切り替えた方が仕事もはかどると思います。
並びましょう。
さあ早う。
そしたら荷物置いて。
早う！君も。
あっはい。
おはようございます。
（一同）おはようございます。
いやいやそうやないでしょ。
挨拶は声をそろえてピシッと一斉にするんです。
別にええやないか。
よくありません。
もういっぺんいきます。
おはようございます！
（一同）おはようございます。
そうです。
その方が気持ちええやないですかお互い。
え〜これからの発展を踏まえていろいろな事を変えるいい機会やと思います。
まずは呼び名を変えましょう。
呼び名？はい。
いい年をした大人が社会人がいつまでも女学生のように「ちゃん」づけで呼ぶのはおかしいです。
ましてやここは会社です。
ちゃんと名字に「さん」をつけて呼んで下さい。
小澤さん。
はい。
（紀夫）村田さん。
はい。
小野さん。
（ため息）足立君。
はい！坂東さん。
はい。
はい。
皆さんちゃんと名字で呼びましょう。
（足立）はい！
（拍手）
こうして少しずつキアリスの空気が変わり始めました
2016/12/26(月) 12:45〜13:00
ＮＨＫ総合１・神戸
連続テレビ小説 べっぴんさん（７３）「いつものように」[解][字][デ][再]
正式にキアリスに入った紀夫（永山絢斗）は、キアリスで毎日朝礼を実施することやお互いを名字で呼び合うことを独断で決め、すみれ（芳根京子）たちは戸惑いを隠せず…
詳細情報
番組内容
すみれ（芳根京子）たちは、大急の社長・大島（伊武雅刀）からの提案を受け、将来を見据えてキアリスを株式会社にすることを決める。融資の話をするため銀行員が店を訪れるが、すみれたちは女学生のような振る舞いが抜けず、夫たちは心配を募らせる。そこで、経理として正式にキアリスに入った紀夫（永山絢斗）は、毎日朝礼を実施することやお互いを名字で呼び合うことを独断で決め、キアリスの雰囲気を変えようと意気込む。
出演者
【出演】芳根京子，谷村美月，菅野美穂，百田夏菜子，土村芳，市村正親，永山絢斗，田中要次，平岡祐太，宮田圭子，伊武雅刀
原作・脚本
【作】渡辺千穂
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