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書き起こし NHKスペシャル「トランプのアメリカ 世界はどうなる?」 2017.01.01

 

 

明けまして…。
(2人)おめでとうございます。
いや〜大越さん「馬子にも衣装」でしょ?それからセットの方もNHKにしては頑張った華やかなステージになってますけれども。
でも何か不安が晴れない今年なんですよ。
その不安は多分…それをひもとくためにこの方の事を知る必要があると思うんです。
この方等身大なんですが人形なのにドナルド圧がすごいんですよね。
トランプ政権の誕生によってアメリカそして世界がどのように変わっていくのか年の初めだからこそ一生懸命考えたいと思います。
そうなんです!トランプ大統領の誕生は今年アメリカ日本そして世界の景色を大きく変えようとしています。
アメリカ経済を再び成長させるというトランプさん。

 

 

 


おかげで世界中景気がよくなる?いやいや世界の国々が分断されかえって暮らしが悪くなる?アメリカが世界の警察官ではなくなってあの国がリーダーに?そしてヨーロッパでは極右勢力が勢いづいてEU崩壊?そんな不安が広がる中でどうして株価が上がっていくの?そして…トランプさんが歓迎すべき大統領になるのかそれとも困った大統領になるのか。
2017年世界は私たちの暮らしはどうなるのか大胆に予測します。
さあトランプ大統領のアメリカで世界はどうなるのか?ゲストの皆さんです。
よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
さあアメリカ映画でも活躍の栗山千明さん。
そして日米を代表するトランプ・ウォッチャー芸人のお二人。
更に国際政治や経済安全保障に詳しい専門家の皆さんに来て頂いております。
まずこちらをご覧下さい。
トランプ次期大統領は世界をよくするキングか?それともトラブルを起こしかねないジョーカーか?大胆に予測してみたいと思います。
それでは栗山さん伊集院さんパックンせ〜のでどちらかあげて下さい。
せ〜の!どっちですか?どっちかって言われりゃ…こっち寄りかな。
皆さんジョーカー。
これちょっと理由聞いてみます。
栗山さんなぜジョーカー?私はあまり詳しく正直ないんですけどもトランプさんの過激な発言というのは結構耳にするんですね。
それだけを聞いてるとやはり不安な気持ちがありましてこれからどうなっちゃうのかっていう悪い方向にどうしても考えてしまいますね。
移民に対する怒りをあおってる。
女性を蔑視してる軽視してる。
いろんな面でアメリカの中の亀裂をグンと広げてるんですよ。
この時点で困ったジョーカーみたいな大統領です。
もちろんゆくゆくはキングになってほしいと思いますよ。
祈ってますよ。
まともな人になるように祈ってますけど変な話選挙前からず〜っと祈ってるけど全然聞いてくれないんですよね。
(笑い声)正直ね分からない。
何が分かんないかっていうとだってずっと僕の周りにいた専門家の人たちはみんなトランプ負けるって言ってたんだもん。
いざ今度トランプ大統領になってこれだって言う人たちはみんなまた希望的観測みたいな事言ってない?みたいな空気でもう誰も信用できない。
だから…どうなんですか?大越さん。
ジョーカーってこれゲームの種類によっては…どちらに転ぶか分からないっていう意味でのやっぱり皆さんジョーカーだと思うんですよね。
ここでね3人の専門家の方々にトランプ政権の誕生によって世界はどうなる?大胆に考えて紙に書いてもらいましたんでお出し下さい。
うん。
う〜ん。
「次世代のAI・宇宙・サイバー」って?三浦さん。
やっぱりね経済的な政策を大きく転換する可能性があるのでそうするとかつてインターネット産業が花開いた時みたいに新しいイノベーションが開いていく可能性があると。
なるほど。
そうするとジョーカーを出した小泉さん「ブロック化する世界」。
トランプさんの言ってる事というのはあんまり…世界の無駄なあんまりもうからないとこにアメリカが手出してもしょうがないだろうっていう孤立主義的な性格なんじゃないかと思うんですよ。
トランプ政権みたいなものが成立してくるとまさに中国とかロシアなんかはもう手出してくれるなと。
自分たちの勢力圏なり政治的な考え方があるから好きにやらしてくれって。
エコノミストの安井さんはいかにも悩ましい。
いい話としてはやはりアメリカの経済が活性化してくる中で新しいビジネス新しいサービス新しい事業革新が起こってくると。
ただその一方でトランプさんが言っているようないろんな保護主義的な事であるとか分断していくような政治であるとかそういう事をやっていきますと世界的にもみんな自分の国の事で精いっぱい。
誰が味方で誰が敵かも分からない。
明日何があるかも分からない。
そういう疑心暗鬼の世界になってきちゃいますとやっぱり経済も安心してやれないですよね。
なるほど。
トランプ氏がキングかジョーカーか。
そんな事関係ない…と思っているあなた。
いえいえ私たちの暮らしや世界の在り方まで変えてしまうかもしれません。
これからどうなるか?手がかりは28の選挙公約。
そのいくつかは既に実現に向けて動き始めていますよ。
大統領に選ばれてすぐ。
トランプ氏は公約した雇用確保のため早速動き始めていました。
この工場は人件費が安いメキシコに移転を計画していました。
トランプ氏はメーカーに大幅な減税を約束し計画を撤回させました。
アメリカの工場のメキシコ進出は許さない。
トランプ氏のこの方針で今困っているのが既にメキシコで操業する日本の企業です。
3年前メキシコに工場を建てた佐賀鉄工所です。
今年現地にあるアメリカの自動車メーカーと取り引きを約束していました。
ところが…トランプ氏の働きかけでメーカーがメキシコでの事業規模を縮小。
もし取り引きが流れれば来年赤字に転落するおそれがあります。
選挙のあとトランプ氏が改めて約束したのがメキシコ国境での巨大な壁の建設です。
今は国境の1/3だけに続くフェンス。
トランプ氏はこの国境地帯に壁を建設してメキシコからの不法移民を防ぐと宣言しています。
国境を監視する民間団体の…大統領選後ここに異変が起きていました。
不法移民の痕跡が毎日のように見つかります。
仕掛けた監視カメラには…不法移民の姿が。
職を求めてひそかにアメリカに向かうメキシコ人です。
トランプ氏が壁を建設する前にアメリカへと続々と国境を越えていました。
トランプ氏は既にアメリカにいる不法移民も犯罪歴があれば強制送還すると宣言しました。
不法移民の間には強制送還されるのではないかと不安が広がっています。
18年前メキシコからビザを持たずに入国した…エラディオさんは高層ビルの建設現場で働いています。
人件費の安い移民はたとえ不法でも税金さえ納めれば働く事を黙認されてきました。
アメリカで暮らす不法移民は現在1,100万人。
社会の隅々で働きGDP国内総生産の3%近くを支えています。
大統領選の3週間後。
国境の面会ゲートを訪れたエラディオさん。
トランプ政権発足後はゲートが封鎖されるかもしれないと恐れ家族に会いに来ました。
フェンスの反対側にはメキシコに残してきた母と妹。
アメリカ経済を陰で支えてきた不法移民。
トランプ氏は就任後200万人以上の強制送還を始めると宣言しています。
大統領選を境にアメリカではこれまでタブーだった差別的な言動があらわになっています。
この大学で講演したのは白人至上主義グループを率いるスペンサー氏。
ハイル・ピープル!ハイル・ビクトリー!
(拍手と歓声)トランプ氏の勝利を祝ってナチス式の敬礼をささげる姿が全米に報じられ人々に大きなショックを与えた人物です。
選挙後報告された差別的な脅迫や嫌がらせは1,000件以上。
トランプ政権の発足を前にアメリカ社会は早くも変わり始めています。
栗山さん今のVTRご覧になって…。
はい。
いや白人優先みたいな事があそこまでこう掲げられてたんだっていうのを今知りました。
びっくりですね。
露骨にですもんね。
栗山さん高校の頃からアメリカ映画に出演されたりしてましたけど当時の働いてるアメリカのスタッフの方と今のアメリカの様子見て…。
私映画のお仕事で行ったのでそこで出会った方々しか知らないんですけどもやはり皆さんが一人一人自分の考えを持っていてそれを発言するエネルギーがあって私たち日本人もそうですけどもほかの国の人の発言もすごく尊重して下さるようなそんな風潮が私はあったと思ったので。
多様性の尊重というとね我々実は8年前のオバマ大統領の就任式当時同じアメリカ駐在であの就任式一緒に取材したんですよ。
あの時ねやっぱりこうあれぞユナイテッド・ステーツという事でみんなが一つになるっていう事をみんな口にしていて。
我々もその感動を一緒に味わったんですがあの時感じた感動っていうのは僕らは間違ってたんですか?いやあの時の感動は本物ですよ。
でもあのオバマさんになった時って本当他国から見ても羨ましい国だな立派な国だなって思ったんですけど今回は何かちょっとあのアメリカからするとねアメリカ人どうしちゃったんですかっていう気もしたんですよ。
ですよね。
僕しばらく海外旅行する時はアメリカの旗を背負ってましたけどこれからまたカナダに戻しますよ。
カナダ…。
そんなに?もうアメリカが唯一尊敬できるしここだけはすげえなと思うのはアメリカの思う平等とか自由とか正義っていうとこの建て前だけは歯食いしばって揺るがさないんだってとこのみアメリカを尊敬してくと思ってたのに…僕の中ではなってますね。
何か国内の人々の怒りだとかやるせなさみたいなものもあるだろうしだから問題解決を先送り先送りしてきた結果としてこの必然性の何て言うんですかね爆弾がトランプ爆弾がやって来た訳ですよね。
トランプ次期大統領。
アメリカ経済の再生に向け早速強引にも見える手を次々打ち出してきました。
メキシコとの関係でそれがよ〜く分かります。
鍵は…この人たちを支えようというんです。
アメリカはもともとねやっぱり自動車産業などものづくりは盛んだった国ですよね。
ですからこうした労働者たちがいわゆる中間層となってアメリカの消費社会を支えてきた訳ですよね。
だけれどもメキシコとの経済的なボーダーをなくそうという努力によって工場が賃金の安いメキシコの方にどんどん移転していってしまう。
そうするとこの人たちは残されてしまう。
仕事を変わろうにも例えばサービス業はもう移民の人たちがすっかりたくさんいるので行こうにも行けないじゃないか。
となるとこの人たちはどういう気持ちになるか。
(パックン)じわじわじわじわと。
そうそうそう。
こら〜。
怒ったで〜って。
という事になりますね。
トランプさんはこうした怒りに寄り添う政策をどんどん打ち出した。
で例えばですねもう出ていったそうした企業からもう一回輸入で戻そうとしてもいいですよもう関税かけちゃうから。
35%っていうほとんど脅しに近いような数字まで出しました。
そうする事によってじゃあしょうがないアメリカへ戻ろうかという動きを出そうとしている。
現実にさっきVTRにもありましたけれどももう既にトランプさん自ら関わってメキシコへ移転しようとした企業がやっぱりそれをやめたという動きがありましたよね。
そういうこうした人たちに寄り添う形を見せながらでもさすがトランプさんというかいわゆるウォール街の大金持ちたち。
この方々が実はトランプさんの政権の内部に閣僚として入っていく事がだんだん明らかになっていく。
トランプ政権の閣僚候補はビジネスで成功した富豪ぞろい。
億万長者こそ経済の立て直しにふさわしいとトランプ氏は言っているんです。
これだけ見ると一体トランプさんってどうなんでしょう。
この怒れる人たちを静める役割なのかそれとも実はこっちのただのお友達なのかまあどうもそこら辺がはっきりしないという事で…。
両方がうまくいくって事あるんですか?この人たちも大満足お金持ちも大満足っていう。
うまくいくんですか?安井さんどうでしょう。
そうですね。
両方が満足するような形にならないと困る訳です。
そのためにはアメリカ経済が今以上に成長する。
その果実がこういった人たちにも分けられていくっていう形が一番望ましい訳です。
ただトランプさんが言ってる政策の中でそういった壁を作っていくような政策をしていきますとこれは実際には困ってる人たちはもっと困ってしまうような事になるかもしれない。
何でかって言いますとメキシコからここに物を持ってくる時に余計にお金がかかるようになる訳ですね。
関税がかかります。
高くなりますから。
そうするとこの人たちが物を買おうと思っても値段が上がっちゃってる訳です。
お給料が同じだったら物が買えなくなっちゃうんです。
メキシコ国境に壁を作るこういう…アメリカの事もすごく気にはなるんですけどまずは日本がどうなってしまうかっていう物価が上がってしまったり景気悪くなったりしてしまうんじゃないかなっていうのが知りたいですね。
という事で実はですねトランプ政権の誕生が日本の経済にとっていい切り札なのか悪い切り札なのかそれぞれのケースを経済に詳しいお二人に聞きました。
サントリーの新浪社長はトランプ政権は停滞する世界経済にとってビジネスチャンスを生むカンフル剤になると見ています。
トランプさんが大統領になられてもう特にビジネスをやってきた人たちがですね閣僚になっていくという事でありますから経済をより活性化するこういう方向に間違いなく行くなと。
例えばインフラに投資をしますと。
是非とも例えば新幹線とかですねこういった具合に…一方経済評論家の荻原博子さんはトランプ当選後の円安がこのまま続き企業に利益をもたらしたとしても家計にはマイナスだと言います。
もしかしてこの円安が止まらずにどんどん進んじゃったりすると…じゃあ一方そのころに給料も上がっていればそれは問題ないんですが…ですから…どっちになるねんっていう感じがしますが栗山さんはどうご覧になりました?家計を直撃するっていうのはやっぱり不安ですよね。
物の値段は上がるのにお給料は上がらないっていう事ですから家計にとっては本当にダブルパンチのようなものでどうしたらいいのかって困ってしまいますね。
あと誰がもうかるもうかんないの話で言うとそういう中で理屈が通らないって事ってでかくないですか?何かそのアメリカのいいようにしてくれという時にじゃあこっち側は日本のいいようにっていう理屈が通らないと日本国内の人たちのしかも直接的に打撃を受ける人たちの不満って猛烈なものになる。
安井さん少し日本への影響を中心にちょっと分析して頂けますか?はい。
トランプさんの政策を一回整理してみたいと思います。
どういう事かっていいますと日本の企業の皆さんはアメリカの市場に物を売っている訳ですね。
輸出している。
それでもうかって企業が皆さんに給料を払ってるっていう事です。
それからアメリカに進出していってそこで物を作って売っている人たちもたくさんいる訳ですのでアメリカの経済が強くなる事が日本にとってもいい事。
トランプ氏の公約には日本経済にとって良いものと悪いものがあると安井さんは指摘します。
良いものは1兆ドル規模の公共投資や大幅な減税それに産業の規制緩和。
実現すれば日本もアメリカへの輸出が増え好景気に。
こうした経済政策への期待感でアメリカの株価は選挙のあと上がっているんです。
一方ちょっと困った公約がこちら。
自由貿易に国が介入して物の値段が上がったり移民を制限して労働力が減ったりすればアメリカ企業にもマイナスで景気は悪化。
そんな状況が長引けばその先には…。
このですね保護主義。
日本に対してすごく高い関税をかける。
これになってしまうと日本にとってもすごく困った事になってしまうと。
そういうふうになってきますと日本からもっと輸出しにくくなっちゃうという事ですので。
…でどっち側に行きそうなんですか?今年は。
知りたいです。
ええ。
そうですね。
本当に今言っている厳しい事をやってしまうとアメリカ経済にとってもよくないという事ですのでこれは強くは言ってるけれどもそんなにひどくやらないんじゃないかっていう期待をマーケットなんかはすごくしてるという事ですね。
ですんで株価も上がってますし経済見通しももっと成長するんじゃないかっていうふうにはなっているという事ではあります。
ただ本当に信じられるのか。
これはもう蓋を開けてみないと分からない。
先に何をやるかっていうのが分からない不透明だというのは非常にビジネスにとっては困る訳ですよね。
いい事をするかもしれない悪い事もするかもしれないだと投資をしようと思ってもできなくなってしまう。
すごくマイナスな事だと思います。
どうぞお掛け下さい。
今よく分からない状態なんでしょうが期待だけ先行しているのがちょっと不気味なんですよね。
この左の方の政策は多分やるんですよ。
共和党の皆さんも大好きですしやりたいと企業側も後押ししてくれるんですよね。
しばらくは浮き上がるから今投資家も前向きに株買って株価が上がってると思うんです。
2年後3年後はもしかしたらこの右の方に本格的に取り入れるようなってガン!と来るかもしれない。
三浦さん何か言いたそう。
(三浦)私そう思ってなくて。
実は選挙の時に言っている事の中で何が人気取りのためにもしくは重要な改革を実現するために出しているカードなのかって事考えなきゃいけなくて。
私はその2〜3年後に景気がいいのに例えば不法移民排除にいくとは思ってなくて現に犯罪歴のある人だけにとどめようと。
例えば強制送還するのはっていうのを打ち出してきてるのもその表れ。
(パックン)それはトランプ大統領はスローガンが分かりやすいんですよ。
アメリカ・ファーストって言って「そうだそうだ!」とアメリカ人も聞いて思います。
「アメリカ一番に決まってんじゃん」って言われても「じゃあ俺たちも一番目指すわ」の方に多分…。
こういう心情的な事だと俺は思うよ。
逆に。
世の中動かす力はね。
あくまでもスローガンで動くのかそれとも複雑なかつ冷静な国家運営ができるのか。
これが一番の疑問だと思います。
グローバル化っていうものに取り残されて危機感を抱く。
そういうその不満のマグマみたいなものがやはりトランプ政権を生み出した大きな要因の一つであった事はやっぱり間違いない。
でもこれってヨーロッパで実はかなり重なり合うところがある。
ヨーロッパの28か国が国境を越えた人や物の自由な往来を進めているEU。
この地域でも各国で人々の不満が高まっています。
ハンガリー南部の国境沿いの町です。
ここでは市が結成した警備隊が許可なく入国する難民がいないか監視していました。
ヨーロッパには中東シリアの混乱をきっかけに3年間で200万人を超える難民がやって来ました。
その多くが戦争や迫害などからやむなく逃れてきた人々です。
ハンガリー政府は難民の流入を防ぐため国境沿いに520キロに及ぶフェンスを設置。
新たに建設を始めた鉄柵には高圧電流が流れています。
警備隊を指揮するのは…極右政党の幹部でもあります。
市長は難民によって社会が混乱するとして警備隊を増強しPR動画まで作りました。
差別意識をあおっているとネット上で大きな議論を呼び全世界で170万回再生されました。
この動画を見て意外な人物がやって来ました。
トランプ氏の当選を支えた選挙対策チームのメンバーです。
各国での不満の矛先はEUそのものにも向かっています。
過去の戦争の反省から国境を越え互いのつながりを深める事で平和と繁栄を目指してきたEU。
しかし今各国でEUの在り方に反発する勢力が次々と台頭しています。
去年EUの主要国イギリスが国民投票で離脱を決定。
世界に衝撃を与えました。
更に今年議会選挙が行われるオランダそしてドイツでもEU離脱を掲げる政党が勢いを増しています。
そしてトランプ氏の当選を追い風にするのがフランスの政党。
今年の大統領選で有力候補に躍り出た…かつては人種差別的な主張を繰り返す極右政党として知られました。
移民の受け入れ制限を公約にしています。
去年制作されたフランスの風刺番組。
トランプ氏とルペン氏の2人がそろって大統領になる世界を架空のものとして描きました。
(笑い声)
かつては過激な極右政党だった国民戦線が政権に近づくまでに躍進した背景には地方の不満があります
経済のグローバル化で衰退した農村を回って集会を開き支持を広げているのです
(拍手)
酪農が基幹産業のこの地方では農家の廃業が相次いでいます。
フランスの農村部では2日に1人が自ら命を絶つ事態となっています
酪農家のニコラさんは収入が減り続け今や月収は4万円。
国境を越えほかの国で生産される安い乳製品との厳しい価格競争にさらされた事が原因だと考えています
人々の不満を取り込みトランプ氏の当選も追い風にルペン氏の最新の支持率はトップと僅差にまで迫っています
EUの創設に深く関わったフランスの思想家…
EUは今かつてない危機を迎えていると指摘します
いかがですか?栗山さん今。
ヨーロッパって平和なイメージを私持ってたんですけどこんな事になってたんだなっていうのがまず驚きですね。
まさかこうトランプさんが大統領になってこんなふうに影響してるんだっていうのがちょっとドミノ倒しみたいですよね。
何かまさに今栗山さんが言うドミノ倒し誰かが分かりやすいスローガンで「そうは言ったって腹が減ってんだ」ってね。
「あいつがいなくなりゃ俺たちの天下だ」って言ってると次の人は「おいおいあいつだけ行かしてなるもんか」ってなるじゃないですか。
それはもうまん延してくのはまん延してくでしょうしその先にはそら戦争があるんだろうなってちょっと思ってしまいました。
EUってね壮大な戦争の経験から生まれた壮大な社会実験っていわれていますけれどもかなり厳しい。
あの大戦から70年以上たってます。
国家主義ポピュリズムの恐ろしさをみんな忘れかけてるんじゃないかなと思うんですよ。
それは要はナチスドイツもう一回台頭するかもしれないぞってパックンは思ってるって事ですか?僕はそこまで言ってないですよ。
ナチスドイツを持ち出すと僕がすごい極端な事言ってるように聞こえるからうまい体なんですけど違います。
要はヒトラーが悪いとかナチスが悪いっていうのはそうなんだけど中産階級が支持したっていう中産階級が…人数の多いこの人たちすごい不満を抱いてあと恐怖を抱いた時にこういったナチスドイツが興隆すると思うんですね。
不満はもう出てきてると思うんです。
あと足りないのは恐怖なんですけど恐怖っていうのは一部は例えばISによるテロとかISにシンパシーを持った人たちのテロっていうのありますね。
でも条件がそろえばそれだって当然ありうると。
ナチスドイツが興隆するような事だって当然ありうるんだっていうそのぐらいの危機感を持っておくべきだなと。
そうですね。
やはりアメリカよりもヨーロッパの方が厳しいというのはそのとおりだと思うんですね。
トランプさんを生んだような状況っていうのが若い人たちの失業率がすごく高い。
中東の難民の方たちも急速に入ってきて対立もすごく強い。
問題はじゃあどうやってなかなか豊かになれない中間層それから少し下ぐらいの人たちにどうやって豊かな暮らしをしてもらえるのか。
これにいい政策の対応がなかなかどこも見つかってないっていうのが世界中の今悩みですよね。
ヨーロッパ全体が今非常に揺らいでるっていう中でやっぱり世界のパワーバランスってかなり変わってきてると思うんですよね。
アメリカもやはり内向き傾向が強い。
そうなんです。
世界のこれからを見る上で重要なのがトランプ氏のこの発言。
世界の警察官をひく。
そうすると相対的にねやっぱり存在感を増してくるのが有働さん。
ロシアと中国。
はい。
その鍵を握る2国について見ていきたいと思います。
トランプ氏が大統領に選ばれた夜。
ロシアはトランプ氏の勝利に沸きました。
それからひとつき。
大越キャスターがモスクワを訪ねました。
土産物屋さんちょっと入ってみましょうか。
市内の店にはさまざまなトランプ氏の土産物が並び人気を集めていました。
もう堂々たるもんですね。
もうちょっと既に過去の存在になってるみたいな。
今は何と言ってもこの人。
トランプ氏は選挙中からロシアと協調していく姿勢を見せてきました。
プーチン大統領もトランプ氏率いるアメリカと協力する用意があると表明しました。
トランプ氏への期待がさぞや高まっているのではないか。
そう思って話を聞くと意外にも若者たちは冷静に見ていました。
ロシアの市民が抱くアメリカへの不信感。
その背景には両国の激しい対立がありました。
亀裂が深まったのは3年前ロシアがウクライナのクリミア半島を併合した時でした。
欧米の経済制裁によって市民の生活が苦境に陥る中でロシアの国民の間にアメリカへの不信感が募っていったのです。
そのアメリカを率いる事になったのが「世界の警察官を降りる」と明言するトランプ氏。
プーチン大統領はかねてからの軍事戦略を着々と進めました。
新たな展開があったのはロシアの海軍基地がある中東のシリア。
アメリカ大統領選の1週間後ロシアは初めて空母からの空爆作戦を実行。
ロシアの軍事力をアメリカに誇示しました。
バルト海方面でも動きがありました。
ヨーロッパの国々に囲まれたロシアの飛び地カリーニングラード。
ロシア軍はここに核弾頭も搭載できる短距離弾道ミサイルを配備しました。
トランプ氏によって変わる世界でプーチン大統領はどう動くのか。
ロシアの国際政治学者ドミトリー・トレーニン氏です。
トレーニン氏はロシアには勢力圏という考え方があると言います。
かつてロシアの周囲には東ヨーロッパや旧ソビエトといった影響力が及ぶ国々がありました。
しかしその後これらの国はNATOに加盟しアメリカの軍事同盟に加わりました。
一連の軍事行動は大国ロシアの復活を視野に入れ勢力圏を守るのがねらいだといいます。
ロシアと国境を接するアメリカの同盟国リトアニア。
今後ロシアの脅威が更に強まるのではないかと危機感を強めていました。
リトアニア軍の兵士が入ったこの建物。
小学生から高校生まで800人の子どもたちが通う学校です。
この日高校の教室では本物の武器を使った授業の真っ最中でした。
国の防衛力を強化するためリトアニアでは徴兵制を復活しました。
この生徒たちも数年後には軍に入隊し戦いに従事する可能性があるのです。
かつてソビエトに併合されたリトアニア。
トランプ政権発足後のロシアの動きを警戒し有事への備えを強化していました。
我々から見ると…そしてアジアの大国中国も独自の国家戦略を進めようとしています。
アメリカ大統領選の直後に開かれた国際会議。
習近平国家主席が各国の要人を前に行ったこの演説が世界の注目を集めました。
アメリカの国際政治学者イアン・ブレマー氏はこの発言こそがトランプ大統領の時代の世界秩序を象徴すると指摘します。
中国から中央アジアを抜けヨーロッパまで大陸を横断する国際貨物列車。
中国の国家戦略一帯一路のシンボルです。
一帯一路は陸と海でアジアとヨーロッパをつなぐ広大な経済圏構想です。
その中国と手を組もうとしているのがロシアのプーチン大統領。
両国が連携してユーラシア大陸全体に広がる巨大市場を築こうとしています。
パックンいかがでした?僕の知り合いで中国人もロシア人もみんなトランプ応援してるんですよね。
これが自分の国にとっての大チャンスだと。
ですから僕はジョーカーと見てるんですけどロシア人と中国人の友達はキングだと言ってるんですよ。
今日呼べばよかったね。
(笑い声)取材した実感としてそういう人も確かにいらっしゃるんだけどでもね基本的にアメリカ信じてないからっていう声がやっぱり多くてそこら辺どうですか?我々から見ると結局ソ連の政治体制というのは悪い政治体制で経済体制もあんまりよくない経済体制だったからそういうものが潰れてだんだん西側的なものが広がっていくのは当たり前じゃないかっていうふうに我々から見てた訳ですよね。
ところがロシアは全然そういうふうに思ってなくてどんどん我々の勢力圏が侵されていく怖いって思ってる訳ですね。
アメリカがやっぱり世界の警察官をひくっていう事が具体的にちょっと思いがけないような転がり方をするんじゃないか…。
その地域のロジックでやってよと。
基本は力が強い人の意見が通ると。
俺らそれについていこうとかどちらかに影響されると怖くないですか?外の人たちが見捨てられるっていうのは十分あると思うんですよ。
現にシリアの人たち。
ただ見捨てられる人たち…多分ヨーロッパの中じゃないですよね。
経済成長できてない政治的自由も勝ち得てないイスラムの文明の中の一番恵まれない人たちが犠牲になるっていうのが今後の一番ありうる戦争の形だと思います。
ちょっと待って下さい。
これかなり深刻な話になってきてると思うのでこれそのロシアも中国もアメリカもご近所づきあいしなきゃならないのは日本ですよね。
ちょっと日本に座標軸を置いて議論してみましょうか。
日本の周辺アジアのこれからを予測するにはアメリカロシア中国との関係が鍵を握りそうです。
じゃあ模型で見ていきましょうか。
三浦さんね日米同盟ですよね。
やっぱり基軸の関係でずっと日本アメリカともに大事にしてきた。
日本にとってもアメリカにとっても大事ですよっていう。
トランプさんが一応大統領になると。
総理…安倍総理としてはこう両方とももう一枚岩となって実は中国と対峙したい訳ですよね。
そうした時にロシアと北方領土問題があるのでどちらかというとじゃあトランプさんが許してくれるなら少〜しロシアにも近づきますよという事をしたいと。
それが中国に対するけん制にもなるんじゃないかと思ってるんですけど。
(小泉)中国の拡大台頭というものがすごく日本にとって大きな課題になってると思うんですよね。
その時に今お話にあったようになるべく少しロシアの方ともある程度距離を縮めて中国に対してけん制したいという事はある訳です。
ただやっぱりロシアから見て中国の存在感って大きすぎるんですよね。
このお二人ですね。
まずやっぱり軍事的にいうとここで4,000キロの国境を接してる訳ですから軍事対立をするのは絶対ロシアとしては避けなければいけない。
そうするともし日本か中国両てんびんにかけないとってなってしまった場合には多分ロシアは中国側につくんですよね。
今目下の関心は北朝鮮の核開発ですよね。
じゃあ中国が北朝鮮の兄貴分みたいな事をやってる訳じゃないですか。
そうするとじゃあ日本としてはもうここで北朝鮮の核開発をやめさせるためにはアメリカにくっついていくしかないねと。
ここで実はトランプさんが北朝鮮の核開発にどういう態度をとるのか関心があるのかっていうのがすごく不明なんですね。
トランプ氏選挙中は「日本や韓国の米軍を撤退させるかも」と口にしたり選挙後は中国に強気の姿勢を見せたりアジアにどう関わるのかまだはっきりとは分かりません。
大統領選の最中は「日本や韓国なんて全部守れないんだよ」って発言もしているけれどもひょっとしたらトランプさんが出てきて北朝鮮と話し合いをし中国とも話し合いをしプーチンさんはそれを認め日本は「う〜んちょっとその話し合いあんまり好きじゃないんだけど」っていうふうに蚊帳の外になる可能性もあるんですよね。
北朝鮮の核開発がある時にトランプさんがちゃんと関心を持ってじゃあ融和するなら融和するで本当に安全な状況に東アジアを導いてくれるのかっていうところをやっぱり情報ですね。
トランプさんの後ろに…耳に情報をいろいろささやく。
「東アジアってこうなってるんだよ」。
それが結構必要なんじゃないかな。
このホットなところで「トランプさんそこはねあなたの考え…」場合によっちゃ「間違ってますよ」っていう事をいかにちゃんと意思疎通ができるか。
もう一つ専門家の皆さんが忘れてはいけないと強調するのがアジアの経済圏。
これまで日本やアメリカ太平洋に面する12か国はTPPという自由貿易の枠組みを作ろうと交渉して発効を目指していました。
でもトランプ氏はTPPから離脱を表明。
一方中国はロシアとの連携や一帯一路の国家戦略でヨーロッパまで続く広大な経済圏を構想しています。
じゃあ日本はどうすればいいの?こんな時こそ日本独自の経済圏を構想するなどしてそこにほかの国やトランプ氏まで引き込んでしまうべきだと三浦さんは考えます。
私日本ができるのはそういう経済的な仕組み作りとかじゃあ引き続きこの地域は重要だよねとトランプさんに思わせる。
トランプさんビジネスマンです。
経済に一番強い関心を持っています。
トランプさんに対して日本は日本の利益を言っていく必要がありますからそこはもうちょっと頑張ってみんなで耐えていきたいですね。
あるいはそのほかの分野もそうでやはりそんな日本は強力なハードパワーを発揮できる国ではない訳ですからやはりその外交…対話面での影響力をどれだけ大きく発揮するか。
そこが鍵になるんじゃないかと。
日本というのは世界経済の中で活躍して成長してきた国な訳ですからその大事さを言っていける国があるとすればそれは日本なのでこれをやれば私が勝つあなたが負けるじゃなくて「トランプさんにもいいんですよ」。
それが言える国が日本だと思いますからそこは日本はやはり前向きに考えて働きかけていくチャンスだというふうに捉えた方がいいと思います。
さあトランプさんの時代に世界がどうなるのか大胆に予測してきたんですけれどもこの議論を受けて伊集院さん今どう考えてますか?世界的にはもうみんなぶっちゃけてくる訳じゃないですか。
どんどんぶっちゃけていく。
だから申し訳ないんですけど専門家の人がびっくりするような結果が起こらないようにもっと予測とかをしてほしいっていうのを…。
ちょっと他人任せで申し訳ないんですけど。
我々メディアの責任も…そうですね。
栗山さんいかがですか?改めて日本っていうのは大国…3つの大国に挟まれて大変な場所にあるんだなという事も実感したんですけども皆さんのお話を聞いて世界のために日本もできる事がある…あるんじゃないかっていう希望が見えたような気がしました。
パックンは?2017年という想定外に入ってきた世界の変換期だと感じますよね。
予測不可能な事も次から次へと起きてるから今まで当然と思ってたような事をやっぱりもう一回議論してもう一回考え直した方がいいかなと思います。
よければこの番組もレギュラー化しませんか。
ここで教訓を学び取るとしたら私たちは常に変わる事を考えて前もって変化をしておかないと。
準備をして先に変わる。
三浦さんおっしゃった。
僕これ大事だと思いますね。
先に日本が変わった姿を見せていく。
もしねトランプさんの今後が不安であれば…不安であれば「安倍さん言ってよ」じゃなくて「経済人が言ってよ」ではなくてやっぱり僕ら直接言いませんか。
直接どうやって言うんですか?手紙書いてもいいじゃないですか。
ツイッターでフェイスブックで発信してもいいじゃないですか。
私たちが本当に正しいと思う事せっかく我々は平和国家として70年余りずっと歩んできた誇るべき私たちの国なんですから。
有働さん手紙書いたらどうですか。
トランプさんの住所はトランプタワーですかね?多分それでいいと思いますけど。
今のところはね。
20日までは…。
そのトランプタワーがそびえるニューヨーク。
トランプ氏の大統領就任を前に地下鉄の駅にはアメリカがアメリカであり続ける事を願う市民の声があふれていました。
過激な言動が不安と期待を生んできたトランプ氏。
アメリカ大統領に就任後世界をどう変えていくのでしょうか。
2017年皆さんよい年でありますように。
2017年今…2017/01/01(日) 21:00〜22:00
NHK総合1・神戸
NHKスペシャル「トランプのアメリカ 世界はどうなる?」[字]

トランプ次期大統領の就任で、世界はどう変わるのか。アメリカや世界の景気は?ロシアや中国とのバランスは?日本の株価は?給料は?世界の行方を豪華ゲストと大胆予測!

詳細情報
番組内容
「アメリカの利益が最優先」と唱えるトランプ次期大統領の誕生で、これから世界はどうなるのか。アメリカや世界の景気は?国境の壁で分断が進む?ロシア・プーチン大統領の次の一手は?ヨーロッパで高まる反移民、EUはどうなる?中国とアメリカ、緊張高まるのか?そして日本の物価、株価、給料はどうなる?世界の行方を、大越健介キャスターと有働アナ、豪華ゲストが大胆予測!出演:栗山千明、伊集院光、三浦瑠璃、パックンほか
出演者
【ゲスト】栗山千明,伊集院光,パトリック・ハーラン,国際政治学者/青山学院大学兼任講師…三浦瑠麗,みずほ総合研究所ニューヨーク…安井明彦,未来工学研究所研究員…小泉悠,【キャスター】大越健介ほか