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セリフ書き起こし 新春スペシャルドラマ 富士ファミリー2017 2017.01.03

 

 

富士山の麓の小さなコンビニ。
富士ファミリーのみんなが帰ってきた!長女の鷹子はめでたく雅男と結婚。
次女のナスミは8年前に亡くなって今は幽霊。
なぜか笑子ばあさんにだけ見える。
ナスミの元夫の日出男は愛子とできちゃった結婚。
三女の月美は何かと実家に帰ってくる。
新しく来たアルバイトのぷりおは何だか訳あり。
そんな富士ファミリーにまたまた事件が!?何が書いてあったんだい?何でもない。
生まれ変わろっかなぁと思ってさ。
今年も笑って笑ってちょっぴり泣いて大忙しの大家族。
「富士ファミリー2017」見てね!

 

 

 

 


(愛子)よしできたよ。
見て見て光。
いい感じでしょ?
(愛子)いらっしゃいませ〜。
「いらっしゃいませいらっしゃいませ〜」って。
(笑子)いらっしゃい。
(日出男)いらっしゃい。
あれどうすんだよ。
あれって?あの珍妙な格好いつまでさせておくんだよ。
(日出男)まあ本人の趣味だし。
そんな趣味があるって何で黙ってたんだよ。
俺だって知らなかったよ。
甘いねえ。
亭主だろ?もっとグッと締めなきゃグッと。
あれはあれでいいんじゃないの?ほらほら中学生にも受けてるし。
そうかねえ…。
私の友達は早くやめさせた方がいいって言ってたよ。
せ〜のはいチーズ。
よし行こう。
ちょっと待てよ。
友達って誰?えっ誰って…。
ばあちゃん友達いないもんな。
何言ってんだい!友達ぐらい…いるよ。
万助だろミッチーだろ。
たばこ屋の梅ちゃん。
あれ?生きてたかな?
(鷹子)友達って誰?
(雅男)う〜ん鷹ちゃんの知らない人。
ふ〜ん。
あっ女子じゃないよ。
何も言ってないけど。
ウソじゃないよ。
名前はねヤマダゴスケ。
ふ〜ん。
作ったみたいな名前だね。
えっそう?リアルに実在する人だよ。
ふ〜ん。
何見てんの?おでこ。
えっ?毛が生えてきたとか?じゃなくてすごい汗。
えっ?変だね冬なのに。
ハハハッ!つまり晩ごはん要らないって事?鋭い。
そういう事。
じゃあ私ばあちゃんち行ってくるね。
うん名案だね。
行っちゃって行っちゃって。
そろそろ福袋作んなきゃなんないし手伝ってくる。
あ〜福袋。
いいねえ。
これでめでたしめでたしと。
俺…地雷踏んだ?あるんだ地雷。
ある訳ないでしょ。
じゃあ俺行ってくるから。
行ってらっしゃい。
地雷っていうかさ大学の部活のやつらとの飲み会です。
女子も若干います。
でもみんな俺と同じぐらい薄毛のババァです。
以上。
初めから言えばいいじゃない。
何がヤマダゴスケよ。
きーちゃん?あっ!きーちゃんだよねこれ!大地君ゴウ君と仲いいんだ。
(月美)ああ最近そうみたい。
ゴウ君ってさみんなから嫌われてるらしいのよね。
えっ?まあ子どもの話だけどね。
よっちゃんそれ駄目!しまった!そっか…俺やめたんだった。
もしも〜し。
あ〜テストテスト。
あなたはこの店のバイトです。
早く起きて仕事をしましょう。
繰り返します。
あなたはこの店のスタッフです。
あどうも。
金剛力士様じゃ。
ありがたいのう。
ありがたいのう。
えっこの人おお姉ちゃんの友達なの?あんた覚えてないかなぁ。
中学の同級生。
行き帰り一緒だったの。
会った事なかったっけ?でその人が世界の予言者?昔っから占いとか得意でさ霊感とかも強かったわね。
へえ〜。
ほら!いつも一番いい福袋買う女の子!あ〜!もしかしてきーちゃん?そう!きーちゃん。
きーちゃんだよ。
あ〜!きーちゃんだよね。
おはようございます。
あっどうも。
朝ごはんは?あっいえいいです。
はい暇見つけて食べなさい。
新しいバイト?うん。
ばあちゃんはねぷりおって呼んでるの。
何で?でかいからじゃない?あ〜デカプリオ?ハハハッ。
(愛子)超筋金入りのコスプレイヤーじゃないっすか〜。
(稙道)ちょっと古い?いや全然全然全然。
今もこういうの好きな人いますよ。
そう?へえ〜。
うわっこれとか超クールっすね。
ああそれ仕事着。
えっモノホンっすか?はあ〜やっぱ作りが違うなぁ。
それよりさこの人の事どう思う?誰ですか?ん〜…見合い相手?えっ!ミッチー結婚してなかったの?そう俺独身。
えっ見えない見えない。
率直な意見聞きたいんだよね。
同じコスプレ仲間として助言してよ。
え〜そういう意味で言うとコスプレに理解のある人だと思う!ウソ!本当?何で分かるの?だってこういう写真で眼鏡をかけてるって事は強いこだわりのある人だと思う。
あ〜。
「私は人と違うのよ」っていうこう意志が醸し出されてる。
(稙道)おぉ〜。
だからミッチーみたいな特殊な仕事の奥さんに向いてるかも〜。
フフッ。
おぉ〜。
俺結婚しちゃおうかな。
(噴き出す音)汚いんだよぉ!
(万助)そっちこそ…。
あっ俺のMA−1。
結婚するって本当ですか?私たちを捨てて自分だけ幸せになろうってのかい。
そりゃないですよ先輩!今までどおり3人で楽しく過ごそうよ。
よくこの店で3人でしゃべくったりしていたけれど正直言って俺はあんまり楽しくなかった。
(2人)え〜っ!
(愛子)うん?パパリンがいいの?あ〜そうなのパパリンはいどうぞ。
さっき預けたばっかりじゃ〜ん。
なのにもう俺?少し休ませてよ〜。
着替えてくるからその間。
とか言ってゲームやるんじゃないの?自分だってビール飲むでしょ。
何でビールとゲーム一緒にするかなぁ。
(泣き声)
(日出男)よしよしよし。
ミッチー消えるとあとは万助だけかぁ。
本当に友達いないんだねえ私には。
(ナスミ)ばあちゃんも寂しい人生だねえ。
でで…出たぁ〜!何だよ人を幽霊みたいに。
幽霊なんだよ!言われなくても分かってんだよ!何で出てくるかなぁ。
もう頼まれ事は嫌だからね!じゃなくてお別れを言いに来た。
成仏?何かさみんな私の事なんか忘れちゃってるみたいだしさ。
そうなんだよ。
家族が増えてみんな忙しくなっちゃってさ。
(泣き声)パパリンはホッとしたいでしゅ。
私の話なんて誰も聞きやしない。
みんな目の前の事で必死でさ。
それが生きてるって事だよ。
お別れってどこ行くんだよ。
うんそろそろ生まれ変わろっかなぁと思ってさ。
えっもしかして私があんたを産むの?嫌だよ。
何が悲しくてばあちゃんから出てこなくちゃいけないのよ。
こっちだって嫌だよ!そうか。
こっち戻ってくんのか。
まあばあちゃんとは完全に入れ違いだと思うけどね。
あんたが生まれてくるっていうんなら意地でも生きるよ。
フフフ。
そうだ。
合言葉決めておこう。
会った時にナスミだって分かるように。
合言葉かぁ…。
おはぎちょうだい。
うん「おはぎちょうだい」うん。
書いとこう。
「おはぎちょうだい」。
いやもうちょっと短い…。
えっ?何?もう生まれ変わっちゃったの?気の早い子だねえ。
おはぎちょうだい。
はいはい。
ナスミ?えっ?ナスミじゃなくておはぎ。
ナスミなんだろ?だって今…。
違います。
「おはぎちょうだい」って。
違います。
ナスミ〜!あ〜!ヒデリン!ヒデリン!ナスミ〜!ちょっと…すいません!すいません。
ナスミだよ!何言ってんの?鷹子月美ほらナスミだよ。
ナスミが生まれ変わってきたんだよ!ばあちゃん。
ばあさんを…ばあさんをちょっと…。
あ〜あぁ〜。
私の来世いきなりそんなとこから始まる訳ないでしょ。
あんたまだ生まれ変わってなかったの?無理。
時間的にありえない。
間違えちゃった。
こっちだよこっち。
ナスビ〜!会いたかったよぉ!あぁ〜!ばあちゃん。
私の事分かる?長女の鷹子。
ずっと家にいるかと思ったらいい年してなぜかハゲと結婚。
子どもなし。
まぁそうだけど…。
私の事は?三女の月美。
はやばやと結婚してこの家を出てぱっとしない夫とちまちま暮らしている。
息子1人。
ちまちまで悪かったわね。
これは?次女のナスミ。
家を出たと思ったらぱっとしない男連れて帰ってきて子どもつくる間もなく病気で他界。
ナスミの旦那さんだった人はどの人?日出男!今年の春若いのと再婚。
それがこの愛子。
でこやつの趣味はコスプレ。
ちなみに今ハマっているキャラクターはゲームのキャラクターの眠り剣士熟野睡ノ介!そうなの〜ジュク様なの〜。
ヒデリンこんなところに理解者がいたよ〜!俺も知ってたよ。
ジュクノイノスケだろ?熟野睡ノ介。
(大地)僕は?大地!月美の息子。
ふじのうえ幼稚園星組!じゃあ僕は?ぷりお!
(月美)すごい!完璧じゃない!よかったついに来たかと思った。
全然大丈夫。
ジュクノスイゾウだもん。
熟野睡ノ介。
どっちでもいいじゃん。
駄目だよ。
だって名前だよ。
失礼でしょ。
(日出男)失礼って架空の人物じゃん。
いや失礼だと思います。
ほら。
じゃあやっちゃおっか。
福袋。
あの〜ちょっといいですか?今俺の事「ぷりお」って言いませんでした?俺黒松平蔵なんですけど。
(日出男)あ〜それはねそれでいいの。
いやいやおかしいですよ。
ぷりおですよ。
ごめんね。
みんな陰ではぷりおって呼んでんの。
え〜何で?でかいからだよ。
デカプリオ。
(愛子)小さい時は何て呼ばれてたの?「おい黒松」。
いやあだ名よ。
クロちゃんとか?なかったですねあだ名。
あんた嫌われてたんだよそれ。
ばあちゃん。
あっ!誰?こんなの入れたの。
それ私もう要らないから入れといた。
ばあちゃんやめてよこんな垢だらけのやつ。
何でこんなの入れるかなぁ。
これどっかで見た事あるコップ。
ああそれも要らないの。
縁が欠けたから。
ゴミ袋じゃないんだからさあ!こんなもんでももらえれば下々の者は喜ぶんだって。
(月美)喜ぶ訳ないでしょ。
ちょっとちょっとばあちゃんが作ったの中確認して。
(月美)そうねそれがいいわ。
ハハハハ!ぷりおも要らなくなったもん入れておきな。
要らないものですか?この際だから全部ぶち込んでおきな。
俺の今までの人生全部…かな。
あいや何でもないです。
これだと思うよ。
あっこれ?あった!何調べるんだよ。
え?きーちゃんの事書いてなかったかなと思って。
あの子有名になったんだってね。
そうよ。
何でもズバズバ当てんだから。
外した事ないのかい?百発百中。
へえ〜。
あった。
きーちゃんの事書いてる!えっと…12月18日。
「きーちゃんと喫茶マウンテンでピザトーストを半分っこする」。
フッ中学生が喫茶店かい。
不良だね。
「きーちゃんに私の将来を見てもらう。
きーちゃんは言いたくないと言う。
無理やり聞き出す。
2016年12月31日大変なことが起こるらしい」。
今年じゃないか!「小国鷹子は…」。
何?何が書いてあったんだい?何でもない。
えっ…今年の大みそか小国鷹子はどうなるんだよ?な…何か大した事書いてなかった。
えっでも世界を変える予言者の言葉なんだよ。
つまんない事だった。
気にしないで。
小国鷹子が…小国鷹子が…。
今年の大みそか何が起こる?その時笑子は何か不吉な予感に包まれるのであった。
何じゃこりゃあ!何だケチャップか。
人生そんな劇的な事は起こらないのであった。
はぁ…大丈夫。
うん大丈夫…。
どこが大丈夫なのよ。
死ぬって聞いて気持ち悪くなって吐きそうになってるくせに。
あ…大みそか…。
ん?私が死ぬ前にちゃんと段取りしておかなきゃね。
ん?何?段取りって?ちょっと…ちょっと何考えてんのよもう〜。
もう〜いつだってそう!そうやって一人で抱え込んでさ。
ねえみんなに言おう。
シェアしようぜシェア!そっか。
いい事もあるか。
な〜に?ナスミ。
もうすぐ会えるからね。
いやいやいやいや私生まれ変わるんだって!
(小声で)ヒデリン!ヒデリンヒデリン!ねえねえねえねえ鷹子さんおかしくない?何が?こういうところをナデナデしてた。
ナデナデ?うん。
こうやって優しくナデナデ。
ナデナデ。
そうナデナデ。
ほら見て見て。
本当だ。
センチメンタルだね。
フフッ。
俺が結婚できなかったの先輩のせいですからね。
何で俺なんだよ。
先輩俺の彼女にブスって言ったじゃないですか。
それが今になって自分だけ結婚なんてね。
ヘヘ…何か向こうも乗り気らしいんだよね。
言っちゃおうかな〜。
じじいのくせにコスプレしてるって。
お前そんな事したら絶交だからな。
まあどうせ振られて戻ってくるに決まってますけどね。
戻るってどこに?だから俺と笑子ばあさんのもとに。
俺と笑子ばあさんのもとに?俺と笑子ばあさんのもとにって何だ?だから…。
人生が終わるって?言われたの。
百発百中の世界の予言者に。
でもだからって…。
それでも行くの?海外出張。
いやだってしょうがないじゃない。
前から決まってた事だし。
大みそか元旦いなくてごめんねって話したよねこの前。
そうなの。
分かってる。
でも最後の日なのに私一人っていうのはさ…。
俺だって一緒にいたいよ。
でも上司に何て説明するの?「占い師に妻が亡くなると言われましたので出張を断ります」って言える?分かってる。
そうよね。
そうなの。
でも…。
嫌だなあもう大丈夫だって!どう考えても飛行機に乗る俺の方がリスク大きいでしょ?地べたの鷹ちゃんに何が起こるというの?絶対安全だって。
分かった?うんそうなんだけど…。
お願いだからそのナデナデするのやめてくれる?だって…もう触れなくなっちゃうかもしれないし。
触れるよ!俺がじじいになって水分無くなってカサカサになるまで触れるって!やっぱり行くんだ…。
ごめん…行きます。
で…生涯後悔するんだね。
はぁ〜。
鷹ちゃん。
何で俺じゃなくて世間っていうかこんな雑誌に書いてある方を信じる訳?だって世界の100人だよ!そんな100人顔も見た事ないやつが決めたんだろ?そうだけど。
そんなやつらの事は信じるな!でも世界中の人が認めてるのよ。
俺はたとえ世間を敵にしても信じたいものを信じていくよ。
マー君。
かっこいい。
だからそのナデナデやめてくれる?何で?ゴウ君お母さん来たよ〜。
はい。
ゴウ君バイバイ。
うんバイバイ。
すみません。
失礼します。
(月美)いいえとんでもないです。
お気を付けて。
はいどうも失礼しま〜す。
よし片づけようか。
えっ…。
これ大地がやったの?これこぼしたんじゃないよね!わざと投げつけたんだよね!もうこんなにしちゃったら取れないんだからね!お母さんゴウ君の事嫌いだな。
あんまり一緒に遊ばない方がいいんじゃないかな。
えっ?
(ドアが閉まる音)
(和己)気にし過ぎじゃないの?絶対ゴウ君のせいだと思う。
大地あんな事しない子だもの。
あっねえもしこのまま放っておいたら大地まで悪口言われるようになっちゃうのかな。
…って言われてもなあ。
はあ〜あ。
はい。
おっただいま。
大地まだ起きてたの?早く寝なさい。
おやすみ。
大地おやすみは?おいもう明かり消してよ。
あともう少しだけ。

(ぷりお)手伝いましょうか?えっ?早く寝ないとまた朝起きられないよ。
俺夜型なんですよ。
あそっか。
大学で研究してた人だもんね。
本とかめちゃくちゃ読まなきゃなんないし論文も何十枚も書かなきゃなんないし…。
それ俺やります。
そう?何もしなくていい夜なんて今までなかったから。
うまいじゃん。
今までっていつから?小学生の頃から夜は勉強。
勝ち組コースだね。
それが完敗しちゃって。
いやいやいや。
少なくともヒデリンよりは勝ってるから。
だって地頭が違うもん。
あと顔とか体力とか家事能力とか人間力とか?お〜い。
うっ…。
お姉ちゃんの事心配だけどさ私やっぱ次行くわ。
後頼んだよ。
ぐっ…。
いいよね?そっちだって私の事忘れてるんだからさ。
じゃあね。
ナスミ。
違うんだって…。
ナスミ。
まだ私の夢見てくれているんですか。

(テッシン)すいません。
ちょっとこれ…。
どうしたいの?あのこれこっちの手に持たしてもらっていいですか?えっ。
ちょっと待って。
あっすいません。
これをこっちの手に?これで大丈夫?ありがとうございます。
あっ。
あ〜。
何でそんなにいっぱい持ってんの?っていうか何でそんな身軽なんですか?私?私は死んでから随分たつからね。
面倒くさいから捨てちゃったの。
死んじゃうとね大抵のものは要らなくなるのよ。
分かってます。
全部捨てないと生まれ変われないんですよね。
あんた生まれ変わりたいの?そうなんですけどなかなか捨てらんなくて。
ふ〜ん。
あっ。
いやいや手伝ってあげようかなと思って。
自分でやるからいいです。
いいからいいから。
いいです。
こっち寄らないで下さい。
遠慮しなくていいから。
いいですいいです。
自分で捨てるのって苦しいんだよ。
そうなんですか?うん。
一番苦しいのはね…。
はい。
朝だ。
こういうのなんだよねぇ。
おはよう。
あれ?ばあちゃんは?老人会の麻雀に行ってくるって。
そんなのやった事ないじゃない。
何か突然友達つくりたいって言いだしてさ。
・今更?えっ!?ばあちゃんがじいさん殴ってるって。
(2人)えっ!?ばあちゃん!やめろって!こいつ白飯食ったって言うんだよ!
(徳三)ああ食ったさ。
うまかったなぁ。
ちょちょちょ…ちょっと待って!白い飯ぐらいで何言ってんの!今の白い飯じゃないよ。
戦時中だよ!戦時中にこいつ白い飯食ってたって言うんだよ!戦時中?それって第2次世界大戦の事?そうだよ。
こっちは食い盛りの小学生だったのに芋ばっかり食わされてよ!どんだけ白い飯食いたかったか!それをこいつはたらふく食いやがって!あ〜!ばあちゃん!ばあちゃん!
(愛子)ちょっと待ってばあちゃん!ばあちゃん!76って言ってなかったっけ?ん?戦争のさなかに生まれたって言ってなかったっけ?ん?ああ…。
でも食い盛りの小学生だったって…。
計算合わないよね。
(日出男)ばあちゃん!?
(愛子)本当はいくつなんですか?83!83?知ってた?俺が会った時からあんなだったからなぁ。
年あったんだ…。
何だよチクショー!俺には69だって。
ばあちゃ〜ん。
おやつ要らないんですか〜?ばあちゃ〜ん。
どこ行ったんだよ〜。
怒ってないから出ておいで〜。
ばあちゃん外かなぁ。
おなかすいたら出てくるんじゃない?うおっ!あっ…。
し〜っ!7つもサバ読んでたんだよ。
恥ずかしくって今更出ていけないよ。
笑子さんにも恥ずかしいって気持ちあるんですか?あるよ。
あっ。
ええっ?あ…。
血が出てますよ。
大した事ないよ。
そういう顔するとちょっとは楽になるんですか?ん…まあね。
男前だねえ。
なのに今までの人生全部いらないってどういう事だよ。
今までやってきた事が全部無駄になっちゃったっていうか。
ふ〜ん。
何やってきたんだい?…っていうのをやってました。
は?大学でそういう事研究してたんですけど。
あんた賢い子だったんだね。
いや雇われの助手です。
その助手やめたのかい?ついていた教授がデータを改ざんしたのがばれて。
そのインチキ教授はどうなったんだよ。
辞めさせられました。
で下についてた俺もやる事なくなってクビ。
はぁ〜そりゃ災難だったねえ。
これって災難なんだ…。
あんた一発ぐらい殴ってやったのかい?いや不思議なんですけど怒るというか悔しいというかそういう気持ち全然湧いてこなくて…。
バカ野郎も言ってないのかい?だからよく分からないんです。
自分の気持ちが。
あんたひどい目に遭ったんだよ。
認めろ。
そっか。
まだ認めたくないか。
認めると自分が惨めになるもんな。
でもあんたはひどい目に遭ったんだよ。
握り拳あげていいんだよ。
あげたってどうにもならないし。
か〜っ…。
頭がいいってのは面倒くさいね。
笑子さん。
俺今ドキッとしました。
えっ…。
笑子さんの言うとおりです。
自分が惨めになるの認めたくないんですね俺。
ぷりおさん。
その顔はこの地方に伝わる痛み止めの民間療法か何かですか。
怪しいなあ。
怪しいぞ。
でもうまそうだなあ。
まあいっか。
あっ!人生三割寝て暮らす。
二度寝三度寝不健康。
墜落睡眠お手のもの。
眠り剣熟野睡ノ介。
見事生け捕ったり〜!うっううう…。
何でごまかすかなぁばあちゃん。
誰にだって秘密くらいあるだろう。
ないわよ。
ウソだね。
じゃあ日記に何て書いてあったんだよ。
何でもないわよ。
ほら隠してる。
日記って何?大みそかに鷹子の身に大変な事が起こるんだよ。
(愛子)大変な事って?大した事じゃないわよ。
あの有名な予言者がさ…。
誰誰?きーちゃん。
あっ世界を変える100人に選ばれた人だ。
へえ〜。
その子が予言したんだよ。
えっえっ何が起こるの?何って…。
気になるじゃない!教えてよ。
そうだ教えろよ!はぁ…。
大みそかに終わっちゃうんだって。
(愛子)終わっちゃうって何が?私の人生。
(日出男)それって…え〜っ!どうすんだよ!一番忙しい時なのにさぁ。
それは絶対になんとかするから。
ナスミだけじゃなくて鷹子までなんてさ…。
ばあちゃん大げさだって。
みんなも気にしないで。
ねっ。
でもそれ言ったの世界的に有名な人なんでしょう?
(ぷりお)あの…。
それってそこまでショックな事なんでしょうか。
ものすご〜く当てる人なんだよ。
ちゃんとしたデータは誰も取ってないんじゃないですか?まあそうだろうね。
何百年も信じられていた事が新しい発見で全部ひっくり返ってしまう事もあるんです。
その占いを信じる必要はないと思うんですけど。
そもそも正しいって何ですか?物事は見方によってはころころ変わる訳だし人が何と言おうと…。
どうした?そっか笑子さん。
何だよ。
俺気付きました。
うん?俺好きなんだなあって。
えっ?いやいや何言ってんの。
駄目だよこんなところで…。
世間が何と言おうと好きなんですよ俺!ぷ…ぷりおさん?まだまだ尊敬し続けていたいんです。
えっ…。
不正で追われたって関係ない。
俺は死ぬまでずっと先生を尊敬し続けたいんです。
これってモラルに反する事なんでしょうか?えっと誰の事言ってんのかな?あ…一緒に研究していた教授です。
データを改ざんしたインチキ教授だよ。
(日出男)何だ。
ばあちゃんの事かと思ったよ。
えっ!ばあちゃんもその気になってたよな?なる訳ねえだろ。
こんな青二才に。
何でそうなるんですか?だってそういう流れだったじゃん。
流れ?場の流れ。
はぁ…。
インテリは面倒くせえんだよ。
ぷりお君。
はい。
今日はありがとう。
ぷりお君の言うとおりだよ。
この世に確かなものなんてないよね。
だったら私は信じたい人の言葉を信じる事にする。
じゃあお先に。
お疲れさまです。
ごちそうさまでした。
ねえ今日梅干し食べないの?ん?それはねおまじない。
おまじない?F1レーサーの人は無事帰ってこられるようにごはんを少〜し残すんだって。
家に帰って食べられますようにって。
へえ〜そうなんだ。
それ出張から帰ってきたら食うから。
うん分かった。
はぁ〜。
じゃあ…俺出るわ。
うん。
ナデナデはなしね。
分かってる。
フフフフ。
家って呼吸してるみたいだよね。
えっ?扉が開いて行ってきます。
また扉が開いてただいまって。
息してるみたいにさ。
フッ…本当だ。
それが当たり前みたいに思ってるもんな俺たちは。
私絶対死なないからマー君もちゃんと帰ってきてね。
オ〜!オ〜。
ハハハハッ!じゃあ行ってきます。
行ってらっしゃい。
ただいま〜。
お帰りなさい。
今のは深呼吸でした。
じゃあ本当に行ってきます。
行ってらっしゃい。
お断りしますって…。
私に何かいけないところが?
(京子)すみません。
いやその…理由は何です?あっ。
あっ…!
(万助)拡散。
えっ?カクサン?あっ助さんと格さん?あ〜っ…。
あの私はいいんです。
でも人からいろいろ言われると思うんですよね。
ほらそういう仕事だし。
ごめんなさい。
僕の方はとても気に入ってたんだけど。
ほら一緒にそば食べに行った時京子さん一生懸命食べてたじゃないですか。
眼鏡がちょっと横にずれててでもおいしいですねって汗かきながら夢中で食べてたじゃないですか。
やだ恥ずかしい。
正直言うとあれ参りました。
特に眼鏡が横にずれてるのが何か久々にキュンって。
人を好きになるきっかけなんてそんなもんじゃないですか?とても…残念です。
・「地球も小っちゃな星だけど」・「幸福いっぱい空いっぱいチャカチャン」・「だってだって私は」・「恋しているんだもん」・「スチャラカチャンチャカスチャラカチャンチャカ」あっ取りましょうか。
はい。
あ〜!えっ?駄目だった?えっ?あぁ〜。
よう。
何?あん時の傷まだ痛むのか?あ…。
まあね。
あ〜。
俺のせいで本当の年ばれたんだって?フン。
まあ俺もウソついてたんだけども。
戦時中に白い飯食ったってのはあれはウソ。
ハハハハ…。
うちはもう絵に描いたような貧乏でちょっと見栄張っただけ。
んな事だと思ったよ。
フフッ食い物の事でけんかしたの久しぶりだったなぁ。
私も白い飯って言葉聞いたらか〜っとなっちゃったよ。
あのころはただただ食いたかったよなぁ。
ああ食いたかったねえ。
まさかこうやって24時間食える時代が来るとは思わなかった。
白い飯食えりゃ死んでもいいと思ってたけどそれから随分生きてしまったねえ。
食えずに死んでったやつもいたな。
いたね。
恋の一つもせずに死んでった人もいたよね。
いたな。
私たちは幸せなのかね。
空の下富士山眺めながら2人並んで白い握り飯食ってんだぜ。
幸せに決まってんじゃないかよ。
だな。
はぁ…。
どうかした?いや…炊きたてのごはんってきれいだなと思って。
えっそう?あっちょうどよかった。
今炊き上がったところ。
ごはん食べていくでしょ?うん。
どうしたの?いらっしゃ〜い!何かあった?大地がしゃべんなくなっちゃった。
えっ?どうしよう…。
はい。
大地は大地の人生転がり始めたんだよ。
親の思うようにはならないって。
でもまだ子どもなのよ。
昔と違って今怖いんだから。
うわさとかたてられたらもうそれだけで仲間外れにされちゃうの。
でも大地にはそんな事理解できないでしょ?だから先回りしてちゃんと見ててあげないと大変な事になるんだって。
おお姉ちゃんには分かんないよ。
子どもだって産んでないし。
あぁ…ごめん。
ん…。
うちのお母さんきーちゃんの事嫌いでさ。
きーちゃんってあの世界的予言者になっちゃった?私お母さんにきーちゃんと遊んじゃいけないって言われたの。
えっ?私どうしてもその事きーちゃんに言えなくてさ。
でもお母さんに黙ってきーちゃんと遊ぶのも苦しくてさ。
どうしようどうしようってず〜っと悩んでて。
どうしたの?私とあんたが遊んでた時きーちゃんが自転車に乗ってやって来て…。
アハハハ!危ない。
鷹子ちゃん今日一緒に遊ぼう。
あ…うんそうだね。
あのねお母さんがきーちゃんと遊んじゃ駄目って言ったの。
つーちゃん!そうなんだ…。
その時きーちゃんの顔全然怒ってなくてさ「あ〜よかった」って私思ったの。
私そんな事言ったの〜?あんたは悪くないわよ。
言わないで「あ〜よかった」って思った私の方が何倍も悪い。
でもねきーちゃん本当は怒ってたんだよね。
悲しくて悔しくてつらくて…。
日記帳見て私その事に気付いた。
あれは予言じゃないの。
私に呪いかけたの。
2016年大みそか私が死ぬって呪いかけられちゃったの。
まさか…。
最初はチクッとした小さなものがおできみたいにどんどん大きくなって自分でも手に負えないものになるんだね。
とても仲がよかったのに死ねばいいのにって思うようになっていく。
あんたの中にもない?チクッとした小さなトゲみたいなの。
ヒデリン!ん〜?ん〜!これ何?何って…ゴミ?んっ!それ捨てようと思って…。
これ全部ナスミさんの服じゃない?だってもう誰も着ないし…。
だからってさこうやってゴミ袋にギュッて押し込んで捨てちゃうかな?だってタンスいっぱいじゃん。
整理しろって言ったのそっちだろ?そうだけどさもし私の服がこうやって捨てられてたら悲しいよ!じゃあどうやって捨てたらいいの?私は捨ててほしくない。
でも無理じゃん!光だって大きくなっていくんだぜ。
服増える一方だし…。
愛ちゃんのコスプレの服だってあるし。
分かった。
やめる。
やめるって?コスプレやめる。
やめる事ないんじゃないの?だって不公平じゃん!な…何が?私もナスミさんもヒデリンの奥さんなのにさ何でナスミさんの服だけ捨てられなきゃいけないの?そんなの不公平だよ。
捨てるんだったら両方捨てる。
何してるの?やめろよ。
せっかく作ったのに…。
せっかく作ってもずっと置いておけるもんじゃないんだよね。
いつかは捨てられてしまうんだよね。
うんそりゃまあいずれはね。
今ここでヒデリンとか光とかばあちゃんとかぷりおとか一生懸命やってきてる事もさ何十年かしたらナスミさんの服みたいにゴミ袋にギュッと押し込まれて捨てられてしまうの?私は嫌だな。
そんなの嫌。
あ〜。
何で逃げんのよ。
いえ。
私の事天敵だと思ってるでしょ?いやそんな事ないです。
じゃあ何だと思ってんのよ。
透明感のある女性だなって。
あのねそれこっちじゃ褒め言葉になんないから。
そうなんですか?だって幽霊に透明感ってさ…。
ああなるほど。
あぁ〜!汗ダラダラ流しながら焼き肉食いてえ〜!先輩はまだ生まれ変わらないんですか?もう荷物全部捨てたんでしょ?それがね実はまだ捨てきれないものがあってさ。
これだけが捨てられないんだよね。
はい。
私の名前。
「おぐになすみ」っていうんですね。
あっ。
あ〜!何すんのよ〜!わざとじゃないですよ。
先輩だってやったじゃないですか。
何が先輩よ。
私のはあんたのと違って最後のとっておきのやつだったんだからね!ウェ〜イ!ウェ〜イ!お前なんて早く生まれてしまえ!「死んでしまえ」じゃないんですね。
そうだよ。
生まれてしまえ〜!これはあんたのお母さんのお姉さんだよ。
死んじゃったんだよ。
大丈夫。
じき生まれ変わってくるから。
人は何回もやり直せるんだよ。
(鈴の音)新品の人間になれる魔法の言葉教えてやろうか。
おはぎちょうだい。
あっ信じてないだろう。
どうせ誰も私の言う事なんか信じちゃくれないんだよ。
信じるよ!どうしたんです?ん?今大地が魔法の言葉くれた。
えっ何です?それ。
あんたの事信じるよ。
すげえ…。
今来ましたよ。
ここんとこに。
だろ?うん。
あ〜もう帰るのかい?うん。
あっそうだおはぎ。
ばあちゃんおはぎちょうだい。
あいよ。
お母さん。
生まれ変わったの?大地…。
今しゃべった?しゃべったよね?うん!お母さん生まれ変わったんだよね。
うん…。
生まれ変わったかもしれない。
ばあちゃんお母さん生まれ変わったって。
ほうそうかい。
それで店出るの?そうだよ。
ばあちゃんに怒られるよ。
だってしょうがないだろ。
愛ちゃん捨てるって言うんだから。
だったら俺がもらう。
ん〜気持ち悪い!そんなに似合わない?じゃなくて…。
ここはこうでここはもうちょっとこう!でここはこうなの!本当にやめれんの?
(泣き声)やめるって言ったでしょ。
(泣き声)ごめんね。
よしよしよし。
大丈夫大丈夫大丈夫。
大丈夫大丈夫。
ねっ。
あれ?ん?ちょっと…ねえヒデリンねえ。
熱い。
えっ?どうしよう。
熱い…。
あ〜そこの芹沢先生!うん!芹沢先生〜!どこだ?どこだ?芹沢先生〜!右〜!うん!ヒデリンが走ってるの映画のワンシーンみたいだったよ。
え〜そう?俺はただただ恥ずかしかった。
ヒジカタさんヒジカタトシゾウさんいますか?ヒジカタさん?あ〜私もジュク様着てくればよかった。
それじゃあバカップルだよ。
え〜!ん?何あれ?捨て猫かな。
ゴミ袋だった。
何だ…。
でも…やっぱり息してるみたいだよな。
ん?うん。
本当は…ナスミの服捨てたくないんだよね。
でもそんな事言うと愛ちゃんに嫌われそうでさ。
そんな事ないよ。
だって私は捨てたくないって…。
本当に?俺が捨てたくないって言ったら嫌な気持ちにならなかった?愛ちゃんに嫌われるのが嫌でナスミの事…捨てようとしたんだよ俺は。
ナスミの事だけは絶対に忘れないって思ってたのにさ。
人って簡単だよなぁ。
私も簡単に変わっちゃうのかなぁ。
ヒデリンとずっと一緒にこう年を取っていきたいって思ってる今のこの気持ちとか…。
変わっていくんだろうなぁ。
俺が今思ってる事も。
何思ってるの?年取ってもう誰も若い愛ちゃんの事思い出せなくなったとしても俺は…俺だけは絶対に忘れない。
南十次郎様〜!だ…誰?誰それ?このコスプレの人の名前!何だよそれ〜!
(泣き声)あ〜ごめんごめんごめんね。
か…かもめ。
めめ…めぢから。
らら…。
ら。
らっかさん。
「ん」がついた!らいおん…でもなくてらりったおまわりさん。
うわ〜こりゃ相当すさんでますよ。
らららら…。
はい。
あぁ〜はい!はいはい…は〜い。
はい。
今すぐ行きます。
はい。
じゃあ後ほど。
京子さん。
参ったなぁ〜。
やっぱりまだ俺に気があるみたいなんだよね。
先輩俺たちを置いてくんですか?しりとりは?えっああ…ら?・「らんらんららんらんらららら」・「これが最後のチャンスだよ」・「これが最後のチャンスだよ」そうなのよ。
もうぷりおったらやだぁ。
フフッ。
じゃあ…あとで。
ばあさんそれ羊羹だから。
ふりぐらいさせてくれたっていいじゃないか!黒松君。
教授…。
いいよいいよ。
すぐ帰るから。
黒松君。
はい。
君のところが一番最後になってしまった。
本当にすまん。
あ…何か飲みますか?温かいものでも。
俺決めたんですよね。
教授の事ずっとこの先も尊敬し続けていこうって。
それは…まずいだろ。
俺にはもうそんな価値は…。
世間的にはそうかもしんないですけど俺的にはやっぱり教授はすごいです。
そうなのかなぁ…。
もう一生そんなふうには思えないなぁ。
今でもやっぱりすごい人です。
ずっとそばにいたから誰より知ってます。
君をどこかに紹介する事すらできなかったのにか?それでもやっぱり俺にとってはすごい人です。
俺行くわ。
あっちょっと待って下さい。
これ福袋です。
俺に福袋?フッ…中見ていい?はい。
ハハッ。
当たった!あっ教授これ一番いいやつです!またまた〜。
いやいや本当ですって。
50袋中1枚しか入ってないんですから。
え〜?おはぎ百年分…。
百年分もくれんの?ハハッ。
笑子ばあさん書き間違えた。
これ一年分です。
だよね。
百年って…。
すいません。
いいよいいよ。
誰にでも間違いはある。
そうですね。
誰にでも間違いはありますよね。
黒松!はい。
俺生きるわ。
でまたここに来る。
何年かかるかは分からんけど今世紀中に。
そん時はもうちょっとマシな俺になっていて…。
この券持ってくる。
おはぎ下さいって。
そのために生きるわ。
はい。
きれいな夜だなぁ。
洗いたてのコップみたいだなぁ。

(テッシン)洗いたてのコップみたいな夜かぁ。
生まれ変わろうかな。
え〜!それが最後の?生まれて初めて買ったカメラ。
先輩の言ったとおりでした。
捨てるのってなかなか苦しいもんですね。
これがなかなか捨てられないのよね。
写真家だったんです。
何も成し遂げずに中途半端なまま死んでしまって本当にいいのかなあと。
別にいいんじゃない?いいんですか?どこで死んだってきっとその人にとっては中途半端なのよ。
だからどんな人生も全て正解よ。
なるほど。
うぉ!捨てた!誰かに自分の人生は正解だったって言ってもらいたかったんです。
じゃあ行ってきます。
ウソでしょ…ウソでしょ?あっ僕ここにこういうアザつけときますんで向こうで見つけたら声かけて下さい。
じゃっ。
じゃって…。
本当に?何だよ〜。
自分だけちゃっかり…。
ちょっと大きすぎじゃないそれ。
でっかくなっちゃうんだよ。
何年もやってんだ。
鷹子さん。
お客さんです。
お客さん?遠山さん?遠山さん…。
遠山?えっ…えっ…。
えっ…。
きーちゃん?うん。
鷹子。
あ…座ろう。
ねっ座ろう。
今日来たのはね…。
35年前の予言の事?そう。
あれ…ウソだから。
意地悪で本当に意地悪だけであんな事言っちゃった。
ごめんね。
私の方こそ…ごめん。
分かってる。
鷹子の心の声が聞こえてた。
聞こえてたのにあまりにもつらくてあんな呪いかけちゃったんだよね。
でも…私が来る前にもうとけてたんだね。
うん。
きーちゃんにかかってた呪いもうとけた?とけたよ。
必要だと思ってくれる人ができるとどんな呪いもとけるんだね。
そうだよね。
でも子どもの時は分かんなかったよねそんな事。
もうどこ見ても懐かしい。
こんなところもう戻るかと思って出ていったのに。
あ…ねえおはぎ。
おはぎ持ってって。

(月美)えっ?何で1個だけ?なあ。
きーちゃん!きーちゃん!一人で泣いたりしてない?誰かにひどい事を言われたりしていない?大丈夫!もう大人だから!一人でこっそり泣いてるのお姉ちゃんじゃん。
ねえ。
私行っちゃっても大丈夫?ずっとずっと幸せでいてくれる?
(愛子)鷹子さ〜ん!これ入れるやつどこですか〜?今行きま〜す!本当だ。
自分を必要だと思ってくれる人がいるとどんな呪いもとけるよね。
行ってきま〜す。
はい。
(雅男)鷹ちゃ〜ん!鷹ちゃん!あっおにいさんどうも。
(雅男)鷹ちゃん…。
どうしたの?帰ってくるのお正月でしょ?心配だから早く帰ってきた。
安心して。
今日は万難を排して俺が鷹ちゃんを守るから。
あ…。
ごめんね。
あれ間違いだったみたい。
えっ…繰り上げて帰ってきたのに。
ちょうどよかった。
あんたは作ってあんたは売る。
今帰ったばかりで話もしてないのに?いいから。
俺飛行機の中でいろいろ考えちゃったよ!私もいっぱい考えた。
帰ってきたらマー君に聞いてもらおうと思ってた。
俺もそう!聞いてね。
俺も聞くから。
ねっ!はいいらっしゃい!いらっしゃい!富士ファミリー名物おはぎはこちらです!・「AHappyNewYear!今日の日は」・「ああどこから来るの」・「陽気な人ごみに」・「まぎれて消えるの」・「こうしてもうひとつ年をとり」・「あなたを愛したい」・「ずっとずっと」おはぎ下さい。
かしこまりました。
お一つでよろしいですか?はい。
・「今年も沢山いいことが」・「あなたにあるように」あのね「おはぎちょうだい」って言う人はみんな生まれ変わった人なんだよ。
おはぎちょうだい。
あっうん。
これで最後ね。
はい。
(月美)ばあちゃん何それ?こっち食べりゃいいじゃない。
ナスミよ。
もう生まれ変わったかい?寒くないかい?みんなに助けてもらえそうか?強い体で生まれたか?何でも食える丈夫な歯か?意地悪なやつはいないか?ばあちゃん冷えるから中入んな。
うん。
ありがたい事だなぁ。
何が?生まれてきた事だよ。
新しいレンズはどう?さらっぴんの風景はきれいですか?私はねもうちょっとこっちにいる事にしたよ。
フフッ駄目な先輩でしゅね〜。
2017/01/03(火) 21:00〜22:30
NHK総合1・神戸
新春スペシャルドラマ 富士ファミリー2017[解][字]

メンバーが増えた「富士ファミリー」。結婚、仕事、子育て。それぞれの人生には微妙な波風が。そして迎えたあわただしい年末に、鷹子(薬師丸ひろ子)の身に一大事が!

詳細情報
番組内容
富士山のふもとにある、時代遅れの小さなコンビニ「富士ファミリー」。そこには、近所でも評判の美人三姉妹が。しっかり者の長女・鷹子(薬師丸ひろ子)、奔放な次女・ナスミ(小泉今日子)、要領がいい三女・月美(ミムラ)。そして彼女らをとりまく、変わった大家族が騒動を巻き起こし…2016年お正月に大好評を博したあのドラマ。おなじみの面々が、新たな顔ぶれをまじえて、お茶の間に帰ってきます!
出演者
【出演】薬師丸ひろ子,小泉今日子,ミムラ,吉岡秀隆,片桐はいり,仲里依紗,高橋克実,鹿賀丈史,東出昌大,羽田圭介,YOU,萩原聖人,小倉一郎,マキタスポーツ,筒井真理子
原作・脚本
【作】木皿泉