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書き起こし SONGSスペシャル「宇多田ヒカル〜人間・宇多田ヒカル 今“母”を歌う」 2016.12.31


今年宇多田ヒカルが6年ぶりに音楽活動を再開した。
私たちのもとに最初に届いたのがこの歌だった。
「花束を君に」。
私高畑充希がヒロインを務める「とと姉ちゃん」の主題歌だ。
宇多田さんが主題歌を歌うと知った時は夢じゃないかと思うくらいうれしかった。
「始めましょう!新しい雑誌作りを」。
この曲は撮影現場でもよく流れていた。
長丁場で起きたたくさんの出会いと別れ。
私はこの歌に背中を押してもらった。

 

 

 


ついに今夜宇多田ヒカルがこの歌を初めて披露する。
そして一番聞いてみたい事。
宇多田さん6年間のお休み中あなたは一体何をしていたんですか?3年前に亡くなった母親藤圭子さん。
今伝えたい事は何ですか?今夜宇多田ヒカルに迫るのはコピーライターの糸井重里さん。
今彼女に聞きたい6つのこと。
活動休止母親との別れそして出産。
テレビでは一切語ってこなかった事までたっぷりと語り合う。
更に井上陽水が宇多田ヒカルの歌詞の秘密をひもとく。
なぜ宇多田ヒカルは母親の死と向き合えるようになったのか?歌う事をやめて手にしたものとは一体何だったのか?6年の休止を経た人間・宇多田ヒカル。
今再び彼女の歌が私たちの心を震わせる。
いやいやいやどうも。
よろしくお願いします。
テレビのお仕事ですか?テレビテレビ。
そうなりますね。
それで明らかに僕が見てもどうも緊張なさってる気がしたんですよ。
それに比べたらかなりリラックスしてる。
そうなんですか。
宇多田ヒカルは1983年にアメリカで生まれた。
デビューアルバムがCD売り上げ日本記録を更新。
15歳の高校生が日本中から注目を集めた。
心を打つリアルな歌詞。
自らが手がけるジャンルを超えたサウンド。
彼女の登場は日本の音楽業界を変えた。
2007年には「FlavorOfLife」がダウンロードで世界一の売り上げを記録。
空前絶後の実績。
宇多田ヒカルは日本を代表するアーティストへと上り詰めた。
しかしデビューから12年後突然ある発表を行った。
誰もが驚いた活動休止宣言。
「『人間活動』に専念したい」という理由だった。
この時27歳。
その発表に反応したのが糸井さんだった。
「うちにスカウトしたいよ。
まちがって就職すればいいのになー」。
「茶汲みと言葉遊びなら出来ます!」。
宇多田ヒカルもすぐさまリアクション。
実現はしなかったが大きな話題になった。
「人間活動宣言」とは一体何だったのか?ここからは休止を決意した当時の思いについて語る。
宇多田さんが休みますっていう時に僕がそれを見て面白いな〜と思って…覚えてらっしゃると思いますけど。
はい覚えてます。
あの時に何回かやり取りをして僕は楽しかったんですけどどうだったですか?あの時。
今までずっと音楽ばっかりやってきたし若い時から。
ちょっとそこにいったん流れをいったん止めたいとか…ただそれを批評するでもやたら突っ込むでもなくただ「あっそうなの?じゃあこうしようか」とか…4割ぐらい僕本気でうちで働けばいいのにバイトすればいいのにって。
ほんとそういう事したかったんですよね……で働いたりとかしたくて本屋さんでお仕事何でもよかったんですけど…。
自分がみんなに望まれてる事をし続けていくっていうのはやっぱり望まれてる人になるだけの事だから。
そうなんですよね。
自分がいなくなりますよね。
どんどん空になってっちゃうんですよ。
本来の自分と自分のイメージだけがどんどん大きくなってかけ離れていってしまってしまいには…僕あれ大賛成だったんで。
ありがとうございます。
そんなふうに見てもらえると。
いったんほんとにやめて初めて…生きるすべですよね。
簡単に言っちゃうと。
移動手段とか食べ物の調達とかこう社会的に…活動休止発表後宇多田ヒカルは日本を離れた。
デビューしてから初めて得た何もしなくていい時間。
一体何をしていたんだろう?せいぜい家で弾き語りの練習とかして好きな曲ちょっと歌ったりですとか。
人の曲を?自分の曲は歌ってないですけど人の曲とか…。
まあ言うなれば…そういう二十歳前後みたいな遊び方っていうんですか?ノリみたいなものをほとんど体験していなかったんで…楽しかったですね。
それは楽しいと思うな。
誰も私を…。
知らないからね。
そうなんですよ。
ただの人っていうふうに。
「何してるの?」って聞かれても「ちょっとレコード会社で働いてる」とか言っちゃったりとか。
ミュージシャンのメチャクチャな生活ですよもう。
朝のワイドショーとか始まるような時間まで起きてて何かやったり何か作ったりしててもう完全に…特に子供できるともう毎日朝早く起きて規則正しく生活しないと自分がもうもたないし面倒も見れないし私もほんと久しぶりです。
朝早く毎日起きて同じ時間に寝て同じ時間に食べてっていうふうにしてるのが。
初めて手に入れた青春と日常。
しかし大きな悲しみが彼女を襲う。
3年前母藤圭子さんが亡くなった。
母であると同時に偉大な歌手である藤圭子の存在。
宇多田ヒカルにとってそれはとてつもなく巨大なものだった。
お母さんの存在って…例えばステージで母見ててわ〜すごいなって思う事はずっとありましたけど。
それまで全然キャッキャッとか言ったりしてる小柄な女性なのにステージへ上がって歌いだすとわっ急に…!戦闘系の漫画で出てくるキャラクターが急にうわって力入れると体が大きくなったりとか…うわって出るみたいなのあるじゃないですか。
ああいう感じに見えましたけどね。
聞いていいのかどうか分からないですけどお母さんが亡くなったっていうのは僕らはでかいんだろうなと思って。
まあでかいです。
でかかったです。
関係ない事象でも。
それって何なんだろうと思ってわ〜何かつらい。
やだなって最初思ってたんですけど結局誰しもその原点があって…私の世界あらゆるもの現象に彼女が何かしら含まれてるのはまあ当然じゃんと。
存在自体がね。
そう。
私の体の…だって結局親からね来てるものですからまあ当然かと思えるようになってそれまで悲しいって思ってたのが急にそれでああすばらしい事だなと。
それを感じられるようになったんだからすばらしい事じゃないかって思ったんですよね。
今年4月活動再開。
最初に発表した歌は「花束を君に」。
それは原点である母への思いが素直につづられた歌だった。
まあ率直な。
そうですね〜。
これ聴いてて気持ちいいのは言葉が足りないから逆に花束に持っていくんですよね。
花束を贈るだけでいいの?っていうような事が普通の社会で言われる事だけど逆に言葉じゃなくて花束っていう。
日本の家族ってあんまりお互いに愛してるとか言わないし私はその感覚もすごく分かるんですよね日本人として。
例えば愛してるって英語の「ILoveYou」をどう和訳する?って聞かれて夏目漱石が「今日は月がきれいですね」みたいな事も美しいしじんわりくるし好きなんですけど本当はすごく言葉でとか何か形でできるかぎり伝えないと結局後悔するのは自分で…。
じゃ言葉でって思ったところで……が存在したんですよ。
言葉にならないほどの思いは歌になってあふれ出た。
今夜宇多田ヒカルが初めて届ける。
「花束を君に」。
一世を風靡した宇多田ヒカルの歌は多くのアーティストを刺激してきた。
あの井上陽水も「SAKURAドロップス」をカバー。
私たちの心を震わせた宇多田ヒカルの名曲たち。
ここからは彼女の音楽をリスペクトする井上陽水がその歌詞の魅力に迫っていく。
陽水さんも衝撃を受けた15歳のデビュー曲「Automatic」。
陽水さんが注目した歌詞がこちら。
みんなもそうだったでしょうけど…15歳の子が何してきたらこう書くんだろう…あっそうなんですか。
「Automatic」。
つまりこういうふうに例えば仮に「ドキドキする私」って書いたとしたらそれは自動的にそうなっちゃうっていう他人がさせたんだよっていうその捉え方は僕聞いた事ないの。
それをこの子はどうしてそんな事を思いついた?このコンセプトって結構驚いたんですよ。
当時は何か映像的にも…写真とかで最初。
何か妙に…歌唱法がさ何で歌ってるんだろうこの人はって思った。
歌いたくてしょうがないにしては…何かそうですね苦しそうな歌い方してましたね。
あれは何?何でか分かんないです。
休んでる間に一番変わったのはそこで…意識的に過去のを聴いて…声とか音を出してる人間には何か理由があるんだけど響いてくる楽器としては…この人はこの寂しさを伝えたくて世に生まれてきたんじゃないかというぐらいに他の歌もそうですけどねこの若い時のはね。
続いて陽水さんが選んだのが「traveling」。
注目したのは歌いだし。
ユーモア…そうですね。
歌詞で普通それ使わないでしょというフレーズを使ってるとことかそれがみんなにとってどういう意味かっていうのを踏まえたうえで違うふうに使ったりとかしてるところにユーモアを感じたんじゃないですかね。
すごくほんと私はそういうつもりで使ってるので。
…みたいなとこあるじゃないですか。
これ何も変えられないけどユーモアで何とか自分のものにしちゃおうとかそれでOKにしようとかいうのもあるんですごく私は…総合的にユーモア好きですよね。
うんはい。
とにかく今の状況を突破しなきゃっていう時にユーモアが…。
大事ですよね。
効きますよね。
助けてくれますよね。
ほんと救い。
そう。
ユーモアの背後には切実な叫びがある。
…と思わせるような数少ないアーティストの一人ですよね。
すごいうれしいですね。
私も外見は日本人ですけど…「日本人なの?どこからなの?」って…家族の在り方も周りとは何かうちの家庭ちょっと違う。
他の友達の家見ても……というふうには自分で思いました。
…という自信はあります。
切なさの奥にあったのは宇多田ヒカルが歩んできた人生だった。
ちなみに私高畑充希の好きな歌はこの「PrisonerOfLove」。
聴く度に胸をギリギリと締めつけられるような感じがします。
6年ぶりに復活した宇多田ヒカルの新しい歌。
これまでになかったチャレンジがコラボレーションだ。
同期デビューの椎名林檎とまさかのデュエット。
新しい音楽に6年の人間活動はどんな影響を与えたんだろう?周りの制作のスタッフもずっと同じチームでやってるんですけどすっごく言われました。
今回頂いた感想の中で最近の新曲ですとか一番うれしかったのが…すごく受け入れられた気がして私が勇気を出して全裸でこうわ〜って行ったからなんですけど。
開いたから。
開いて何かこうそれをちゃんと受け止めてもらえたっていう。
それはでも私がリアルな生活をして宇多田ヒカルっていうイメージとか求められてるものとかからかけ離れて距離を置いてただほんと普通に水道代払う事にストレスを感じたりゴミ出したりとかそういう事にあっ何食べよう?今日とかそういう普通の事をしていたっていうのも一つの理由だと思うんですけど空想じゃなくて…以前は……みたいなものを通して発していて…ちょっと謎が解けたような気がする。
休止を経て進化した宇多田ヒカルの歌詞。
今夜初めて披露する「ともだち」も孤独や切なさを意外な切り口で描いた歌だ。
…というふうに自分の中でふわって出てきてそれは一つの象徴であって何か秘められた思いを抱えた人の気持ちっていう…隠れた恋とその話は同じになるんだね。
恋でなくてもいいんですよねだから。
タイトルはすごく率直だけど背景はすごい描かれてますね。
どんなに心許してる相手に対しても全て思った事何でもうわって言えるのかって言ったらまた違うじゃないですか。
一種の距離感が。
ちょうどいい距離感というものを測り合ったりとかもしますしどうしても。
なので別にほんと性別とか恋愛なのかとかも関係なく…今宇多田ヒカルが歌う切なさは性を超えて人を求める気持ち。
「ともだち」で共演するのは…水曜日のカンパネラに楽曲提供するなど平成世代を代表するクリエーターだ。
そういう人が一人入る事で自分の歌唱も楽になりますよねきっと。
一人で全部あらゆる感情とかあらゆる面を自分で収めないとみたいなプレッシャーがなかったのですごい面白かったです。
すごい糸井さんらしいですね劇団…。
母藤圭子さんの死から2年がたった去年の夏。
宇多田ヒカルは母親になった。
生まれてきた子供の存在は母の死を乗り越える大きなきっかけになったという。
もし母が亡くなったあとに妊娠していなかったら…特に自分が親になると面白いなって思ったのが自分の子供見てて生まれて最初の体験ですとか経験で一番人格の基礎となるものとか世界観とかが形づくられていく形成されていくわけじゃないですか。
なのにその時期の事自分完全に忘れてるってすごくないですか。
それをみんな抱えて生きてて…なぜ私はこうなんだ何でこんな事をしてしまうんだとか。
それって結局…ずっと苦しんでいた理由みたいな闇の分からないっていう苦しみ何でこうなんだっていう苦しみがふわっとなくなった気がしてそれこそいろんなものが腑に落ちるというか。
自らが親となった事で見つけた新しい自分。
そして宇多田ヒカルは母の死を乗り越えていく。
新しい自分が亡き母に語りかける歌が「道」。
何を自分が今回のアルバムで言いたいのかというのをじゃあコンセプトは何なんだ何がメインのメッセージなんだという事も考えてその時期に書いてた書き出した歌詞で後半だったんで…言い切らなきゃいけない事は何なんだというふうな考えになっていくんでその考えた末出てきたのがこの曲でほんと何かテーマソングみたいになりましたね。
足んないところ何なんだって探してたら本命の。
そうなんですよね。
うん。
そういうのありますよね。
もう責任持って率直にとにかくそこを目指して頑張りました。
自分に対して率直であるという事が難しかったですね。
やっぱり誰にももっと率直になれとかもっと自分と向き合えなんて誰にも言われないじゃないですか。
別に私歌詞の事も誰にも言われないし自分と自分のやり取りでしかないんですけど。
まあ作詞すると何かしらそうですねこういうテーマになってきてるって思うと…「なぜだ?」みたいな事をどんどん「どうしたいんだ?」「何が言いたいんだ?」というのをどんどん自分で突っ込んでかなきゃいけないんですけどそれが今までで一番本当突き抜けるくらいそれを自分で求めて難しかったですけどとても自分で応えられたなって思ってます。
巨大な母の存在と死。
悩み突き抜けた先にあった母へのまっすぐな思い。
「私の全ては母から始まった」。
歌手宇多田ヒカルは一人の人間として新たな一歩を踏み出す。
最後にお聴き下さい。
「道」。
2016/12/31(土) 15:05〜15:55
NHK総合1・神戸
SONGSスペシャル「宇多田ヒカル〜人間・宇多田ヒカル 今“母”を歌う」[字][再]

6年ぶりに活動を再開した宇多田ヒカル。活動休止中の思いや現在の音楽活動など糸井重里と率直に語り合った。井上陽水による「宇多田評」も。歌唱曲は「花束を君に」ほか

詳細情報
番組内容
今年6年ぶりに本格的な活動を再開した宇多田ヒカル。活動休止中の思いや現在の音楽活動など糸井重里と語り合った。母、藤圭子が自分に与えた影響の大きさも率直に話している。また彼女の代表曲を振り返るコーナーもあり、そこでは井上陽水が宇多田の魅力を語っている。歌唱曲は連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の主題歌「花束を君に」のほか、最新曲である「ともだち」「道」。ナレーションは『とと姉ちゃん』主演の高畑充希。
出演者
【出演】宇多田ヒカル,糸井重里,井上陽水,【語り】高畑充希