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書き起こし 村山斉の宇宙をめぐる大冒険 2017.01.06

 

 

私たちはどこから来たのかこの世はどうやって始まったのか。
これは私たち人類が何千年も考えてきた大きな謎です。
宇宙最初の姿とは?
世界ではさまざまな物語がうたい継がれています
ここハワイでうたい継がれてきた神話「クムリポ」ではこの世は真っ暗な闇から始まりその闇から私たち命が生まれたというふうにうたわれています。
このように太古の人たちは宇宙が私たちの源であるとあたかも分かっていたかのようです。
そして最新の研究ではこの大きな宇宙実は本当に小さな原子よりも小さな大きさから始まったんだという驚くべき事が言われるようになりました。
私たちがどこから来たのかこの世がどうやって生まれたのか最新の研究に基づいて私村山斉がご紹介ご案内していこうと思います。

 

 

 


これから宇宙の始まりの謎を解きに行く旅に出るわけですけれども最初のストップはハワイの一番高い山マウナケアの山頂です。
うわ〜やっぱりすごいな。
もう手を伸ばすと星に手が届きそうだ。
こうやって星空を見ていると大きな天井に星が貼り付いているように見えます。
でも実はこの星は遠いもの近いもの実は奥行きがあるんです。
星からの光はもちろん光の速さでやって来ます。
光の速さはものすごく速くて秒速30万km。
1秒間に地球を7周半してしまうほどものすごく速いものです。
ですが宇宙はとても大きいので星からやって来る光は長い時間をかけてやって来ます。
何年間も何万年間も何億年もかけて私たちのところにやって来るのです。
例えばここにある星の集まりがすばる。
ここまでは光の速さでも440年かかります。
もしここにいる宇宙人が地球を見ていたらまだ織田信長が元気です。
これはアンドロメダ銀河。
何千億個という星がここに集まっています。
ここまで来ると光でも250万年。
今アンドロメダから眺めると石器を使っている私たちの祖先が見えます。
宇宙は誕生から138億年もの時を刻んでいます。
遠い宇宙から届く光を調べるとその壮大な過去を知る事ができるのです。
まさに星空はタイムマシンです
ところで皆さんはこうして見える星が宇宙の全ての星だと思いますか?いいえ違います。
遠くの星はあまりに暗くて私たち人間の目では見る事ができません。
実はこうやって見える星々の更にはるかにはるかに向こうまで宇宙はず〜っと広がっているのです。
私たちの住む地球は太陽系にあります
太陽系は1,000億個以上の星の集まりである天の川銀河の一部です
更にその先には天の川銀河と同じような銀河が数えきれないほどあるのです
遠い宇宙から届く光のメッセージを捉えるのがこのすばる望遠鏡です。
世界最高性能を誇る巨大望遠鏡の一つです

はくちょう座にある美しい星雲。
この光は2,000年かけて地球に届きました
こちらの銀河の光は2,250万年かかりました
そしてこの銀河の光はなんと3億5,000万年もかけて届いたのです。
でもこれはまだほんの序の口です
こちらにあるのはすばるが捉えた遠くの宇宙の姿です。
ここに写っているのはそれぞれたくさんの星を抱えた銀河たちが写っています。
この真ん中小さく暗く赤く写っているこの点これを拡大してみるとこうなります。
赤い染みのようですがこれも立派な銀河です。
実はこの銀河はあまりに遠いのでここから出た光が私たちに届くまでなんと131億年もかかったのです。
それではこの宇宙の始まりとは一体どんなものだったのでしょうか。
ちょっと場所を変えてお話ししましょう。
宇宙の謎を解くヒントは世界の至る所で見つける事ができます
これはタイの北部でよく食べられているケープムーというものです。
1つ食べてみましょう。
サクサクしてとてもおいしいです。
実はこれ豚の皮で出来ているんです。
その作り方はというと…。
こうして揚げ始めるとどんどん膨らんで大きくなっていきサクサクのケープムーが出来上がります。
この「膨らむ」という事は宇宙の始まりを考える時に一番大事なキーワードです。
というのは宇宙は始まってから今に至るまでどんどん膨らんで大きくなり続けてきたからなのです。
(読経)
実は宇宙が膨らむという事はある重大な事を意味しています
今日は年に一度のイーペン祭りの日。
毎年11月の満月の日に行われるお祭りですがここチェンマイではこうしてたくさんの人が集まりランタンを一斉に空に飛ばすという風習があります。
この1年間の悲しみや苦しみをランタンと一緒に空に飛ばし自らを清めるという意味を持つ行事です。
Ah,verygoodverygood.私のこのランタンも他の人たちのランタンも皆宇宙に散らばる銀河星の集まりだと思って見ていて下さい。
(歓声)宇宙が膨らむとは空間が広がる事です。
私とランタンの間の空間が広がるとランタンは高くあがっていく事になります。
とても美しくて幻想的な光景です。
速くあがったランタンは高くゆっくりあがったランタンは低く飛んでいます。
まさに膨らむ宇宙を表しています。
時間を逆転してみると…そうみんな一斉にランタンを放ったのです。
つまり膨らむ宇宙というのは宇宙に始まりがあった事を意味しているのです。

とても小さな宇宙
この時宇宙には形のあるものは何一つありませんでした。
全てが粉々の状態で狭い空間に閉じ込められていたのです
この宇宙が小さな小さな大きさから始まり爆発的に大きくなった。
この考え方の事をビッグバンといいます。
この事を最初に言いだしたのはロシア出身の物理学者ジョージ・ガモフです。
この考え方が正しければ宇宙の始まりはものすごい高い温度の熱い熱い火の玉だったという事になります。
例えば自転車のタイヤに空気を入れるとタイヤが少し温かくなるのを知っていますか?これはタイヤの狭い空間に空気をぎゅ〜っと押し込めるのが原因です。
それと同じように宇宙の始まりの頃も今の宇宙の星銀河私たちの身の回りのもの全てが粉々になって小さな空間に閉じ込められていたためにとても熱かったと考えられているのです。
でもこの考え方をみんながすぐに信じたわけではありませんでした。
というのはそんな小さく熱い宇宙で始まったという証拠がなかったからです。
でもガモフは大事な予言を一つしていました。
熱く始まった宇宙は光で満ち満ちていましたけれどもその光が今では電波に変わって今でも地球上に降り注いでいるというのです。
ビッグバンの光が電波に変わって地球に届くとはどういう事なのでしょうか?
私が離れたところにいる銀河で皆さんがこのスタート台だと思って下さい。
私がここを滑りだすと私と皆さんの間の空間がどんどん広がっていく。
これが宇宙の膨張です。
そうすると私から出た光が一体どうなるのか。
それではこれから宇宙が膨張を始めます。
宇宙が膨らむと私から放たれた光は色を変えていきます。
遠ざかりながら変化し最終的には赤くなりついには見えなくなってしまいます
それは私から出た光が空間が膨らむにつれて電波となって皆さんに届いたからです
光も電波も空間を波打って伝わる性質を持っています。
実はそもそもこの2つは同じものなのです
ではなぜ光は私たちの目に見えて電波は見えないのか?その違いはこの波の繰り返しの間隔にあります。
繰り返しの間隔によって見え方が違う。
それは実は私たちも日頃経験している事です。
例えばこれです。
虹です。
虹の中での色の違いは波の繰り返しの間隔で決まっています。
間隔が一番短いのが紫一番長いのが赤です。
それを更に長くすると目に見えなくなって赤外線。
そしてず〜っと長くすると電波になってしまうのです。
宇宙が始まった頃のメッセージが目には見えない赤外線や電波として星空の向こうから届いているのです
ビッグバンの証拠も電波としてラジオで捉える事ができます
(ノイズ)
このノイズの一部がそうです。
この電波は地球を取り囲むように全ての方向から降り注いでいます。
実際に確認されたのは1960年代半ば。
ノーベル賞を取るほどの大きな発見でした。
しかしそれは全くの偶然によるものでした
あああれだ!あれでビッグバンの証拠が見つかったんだ。
これがビッグバンの証拠を捉えたホーンアンテナです
発見者の一人を訪ねました
彼がロバート・ウィルソンさんです
同僚のペンジアスさんと共に通信衛星の研究に使っていたアンテナを天文学に使おうとしていました。
その時偶然にも不思議な電波を捉えたのです
するとあらゆる方向から絶え間ないノイズが入ってきました
この音が録音された実際のノイズです。
電波を音へと変換したものですがどの方向にアンテナを向けてもやむ事なく捉えられました
そもそも彼らが調べようと思っていたのは天の川銀河でした。
その観測の途中で邪魔なノイズを発見したので原因を追求し取り除こうとしました
最初は邪魔者だと思っていたノイズですがそれは138億年かかって届いたビッグバンの証拠だったのです
その後科学技術が進歩してビッグバンから来る電波をもっとずっと詳しく調べられるようになりました。
それは望遠鏡を人工衛星に乗せて宇宙に打ち上げる事ができるようになったからです。
そうした観測を何年間も続けた結果浮かび上がってきたのがこの地図です。
この地図に表れている色むら。
この色むらは一体何を表しているんでしょうか?今度はピザです。
オーブンで熱々に焼けるピザ楽しみです。
焼き上がったピザを工夫して見てみるとちょうどあの宇宙から来た地図のような模様が見えてきます。
そのために使う温度が見えるカメラがこれです。
ご覧のように宇宙から届いたあの地図とよく似てると思いませんか?
そう色むらは温度を表していたのです
先ほどの温度が見えるカメラと同じで赤い所は熱く青い所は冷たい所を表しています。
でもさっきのピザと違って温度の差はごくごく僅かです。
温度差はなんと…この僅かな温度の違いですがこれはものすごい大発見だったのです。

地図に描かれた微妙な温度差。
読み解いていくと宇宙の始まりに何があったのかが分かります。
つまりあの地図は「宇宙の始まりを探る暗号」と言っても大げさではないのです
今ブラジルの北部レンソイス・マラニェンセス国立公園の上空に来ています。
真っ白な砂の上に雨季に降った雨がたまった池がたくさん見えています。
この景色はあの宇宙の始まりを探る暗号に似ていると思いませんか?これを見ながら星や銀河の成り立ちについて暗号を一緒に解読していこうと思います。

暗号に描かれた温度差を例えるなら砂丘の凸凹と水のようなものです
まず凸凹のない平らな所では…。
水がたまりません。
でも凸凹のある所では…。
こうやって水がたまります。
同じように宇宙でも凸凹がなければものが集まる事はできません。
その様子が実はこの宇宙の始まりを探る暗号に表れています。
この色むらこれがその凸凹を表しています。
宇宙の始まりにあった物質は水素とかヘリウムとかいう原子ですけれどもそれが集まり始めている様子。
それがこの暗号に描かれているのです。
そして…私たち自身もこうした水たまりから生まれたのです。
宇宙のはじめにできた水素とヘリウムの水たまり。
いずれその水たまりの中で星や銀河が生まれます。
宇宙の空間にできた凸凹のおかげで星の材料が集まり星は生まれやがて生命が誕生したのです

しかし凸凹ができるには何らかの力が必要です。
砂丘では風で砂が飛ばされくぼみが作られる事で水たまりができます。
宇宙にもこの風と同じようにものを集める働きを担った大切な存在があると考えられています。
それが…
実はまだ未知の正体不明の物質ダークマターです。

一体ダークマターはどんな働きをしているのでしょうか。
今度はスイス名物チョコレートです
ボンジュール!すっごくいい香りがしますね。
しかもすごいたくさんの種類のチョコレートがあって形も違うし色も違うし見てるだけで楽しくなります。
古くから人々を引き付けてきたチョコレート。
今もチョコレートの甘い誘惑に誘われてたくさんの人がこのお店を訪れます。
実はダークマターも周りのものを引き寄せる力を持っているんです。
ダークマターはこのように見る事も触る事も…おいしい味を味わう事もいい香りを嗅ぐ事もできません。
ですが実は私たちの身の回りのある物質の一つでここにもたくさんあるんです。
ダークマターには地球と同じように重力でものを引き寄せる力があります
チョコレートがナッツなどをくっつけるように宇宙の始まりではダークマターが水素やヘリウムなどを引き寄せまとめる役割を果たしていたのです
こんなシミュレーションがあります
ダークマターがなかった場合はいつまでたっても星や銀河が誕生しませんがあった場合は水素やヘリウムなどのガスが集まり星や銀河が誕生しています

形あるものが何もなかった宇宙。
ここにダークマターが大量にあったおかげで強い引力が働き光り輝く星が生まれたのです
私たちはどこから来てどこへ行くのか?最近の宇宙の研究でその答えが少しずつ見えてきました。
宇宙はビッグバンで始まり138億年後に私たちが生まれました。
それではこの宇宙はこれからどうなっていくのでしょうか?
(歓声)空に放たれ天にのぼるランタン。
それと同じように宇宙も広がり続けています。
そして一つ一つの銀河は今も互いに遠ざかり続けているのです。
このランタンは火が弱くなってくると上にあがるスピードがゆっくりになりいずれ火が消えてまた地上に戻ってきます。
宇宙も同じように膨らむスピードが遅くなってきていずれは止まりまた戻って潰れてくる。
そういうふうに考えられてきました。
ところが1998年宇宙の膨張を詳しく調べていた研究者たちはとても意外な事を発見したのです。
だんだんゆっくりになって勢いを失うと思っていた宇宙の膨張が実はスピードを上げて加速している。
そんな驚いた発見をしたのです。

その発見で大きな役割を果たしたのが彼。
私の同僚でもあるサウル・パールムッターさんです。
ハワイの巨大望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡を使って超新星の正確な明るさを測定していた時当時の常識を覆す観測結果が出ました
宇宙の膨張が加速している。
それはつまり宇宙が膨らむ速度がどんどん速くなっているという事です
その鍵を握るのがダークエネルギーというまか不思議なエネルギーです。
宇宙を加速させているダークエネルギーとはどんなものなのか。
ここで体験してみます。
地球上ではリンゴが木から落ちるようにどんなものでも下に落ちます。
これはニュートンの万有引力といってどんなものの間にも引き合う重力があるという事です。
ところが宇宙には重力とは反対の力を持つダークエネルギーが働いています
この室内スカイダイビングで例えれば下からの風のような力です
ボールを離しても…ご覧のとおり。
落ちません
地球上では重力の方が強いのでダークエネルギーを感じる事はありません。
しかし宇宙には重力に反発する不思議な力ダークエネルギーが満ちているのです

しかもダークエネルギーには考えられないような性質があります
この水槽が宇宙。
その中の魚がダークエネルギーだと考えてみて下さい。
宇宙はダークエネルギーで満ちています。
そこでこの宇宙が膨れて大きくなるとどうなるのか。
普通ならダークエネルギーは薄まってしまうと考えますよね。
でもそうではないんです。
ダークエネルギーはとっても不思議なもの。
宇宙が大きくなるにつれてダークエネルギーはどこからか湧いてきたかのように増えていくのです。
宇宙が大きくなればなるほどどんどんと増えていく。
全く不思議な話ですがダークエネルギーとはこういうものだという事がさまざまな観測から分かってきているのです。
どこからともなく現れ次から次へと空間に広がってその勢力を増すえたいの知れないダークエネルギー。
この力が満ちた宇宙の未来はどうなるのでしょうか?
こんな不思議なダークエネルギーが見つかったために宇宙の未来についての私たちの考え方は全く変わってしまいました。
宇宙の結末には2つの可能性が予測されています。
それはダークエネルギーが宇宙の膨張をどのように加速させていくかによるのです。
まずはダークエネルギーが宇宙の膨張を加速させる力が今と同じで続いていった場合をやってみましょう。
このランタンを一つの銀河だと思って下さい。
宇宙の膨張が加速するにつれ銀河はどんどん遠くへ離れていきます。
地球から見ていても今夜空で観測できる銀河は遠いものから順番に見えなくなりいずれは何一つ見えなくなってしまいます。
その後銀河を形成する星も燃え尽き宇宙は永遠の闇に包まれます
熱を発する星がなくなった宇宙。
全ては冷たく凍りつきます。
これが「ビッグフリーズ」という宇宙の結末です
一方ダークエネルギーの力の強さがこれから強くなっていくという事も考えられます。
それがもう一つの結末です。
ここにある花が銀河だと思って説明してみましょう。
宇宙にはたくさんの銀河がありますがそれぞれはまたたくさんの星の集まりです。
現在のダークエネルギーの力では銀河と銀河の間はどんどんと広がっていきますがそれぞれの銀河には何も変化がありません。
というのは銀河の中の星と星が引き合う引力がダークエネルギーの力に勝っているからです。
ですがダークエネルギーの力が強くなっていくと銀河の星の間の引力に打ち勝って銀河の星がばらばらに引きちぎられていきます。
そしていずれは星の中にもダークエネルギーの力が働き星自身もばらばらになっていくそういう事が起こるのです。
ダークエネルギーの力が強まれば銀河の星々はちりぢりになります。
そして最終的には素粒子という小さな粒々になり宇宙は終わりを迎えます。
これがもう一つの宇宙の未来「ビッグリップ」です
一体どちらの運命が待ち受けているのか。
それを知るためにはダークエネルギーが一体どんなものでその力がこれから強くなるのかそうでないのかそれを明らかにする必要があります。
このようにダークエネルギーはある事は間違いないと思われていますがまだ分かっている事はほんの少しだけなのです。
これからの研究に期待が集まっています。
宇宙の未来を左右するダークエネルギー。
更なる不思議があります
このダークエネルギー実は調べれば調べるほど謎が深まってきました。
観測で発見された量に比べると今の物理法則で期待される量はなんと120桁も大きい。
120桁というのはとてつもなく大きな答えです。
つまりこの宇宙にあるダークエネルギーは考えられないくらい小さいのです
これは今や宇宙最大のミステリーです。
最近の考えではこのミステリーを解く鍵はマルチバースにあると言われるようになりました。

(拍手)
マルチバースとは宇宙は1つだけでなく数えきれないくらいあるという考えの事です。
このシャボン玉アートで例えてみます

(拍手)まず宇宙が生まれた時は小さな宇宙にエネルギーがたくさん満ち満ちていました。
この中に白く見えているものが宇宙の中にあるたくさんのエネルギーを表しています。
この宇宙の中はもちろん濃い熱いスープで満ちているわけです。
そしてその宇宙がこれから急激に大きくなっていくとその宇宙が少しずつ枝分かれしてこういう小さな宇宙が1つずつポコッポコッと出てくる。
こういう宇宙がたくさん生まれる事をマルチバースというふうに言っているわけです。
そしてマルチバースで生まれるたくさんの宇宙その一つ一つはそれぞれ全く違うタイプの宇宙なんだという事をこれからメロディーさんに示してもらいます。
小さな宇宙が中にたくさんできていきます。
そして見て頂くと分かりますけれども一個一個の宇宙の中に入っているエネルギーの量が違っている。
あるものはほとんど空っぽ他のものはエネルギーがいっぱい詰まっています。
そしてこれが大事なポイントです。
マルチバースで生まれる宇宙の数は想像もできないほどのたくさんの数。
ある計算では1のあとにゼロが500個も並んだ数が生まれたというのです。
そしてその宇宙のほとんどはダークエネルギーが大きすぎて生まれてすぐぶわ〜っと引きちぎられてしまい星や銀河が生まれる時間がありません。
このたくさんの宇宙の中でごくまれな宇宙だけが星ができ銀河ができその中に私たちが生まれた。
こうやって考えると私たちの宇宙がよく説明できるというわけなんです。
このように無数に誕生した宇宙。
それぞれダークエネルギーの量が異なっています。
ほとんどの宇宙はダークエネルギーがとてつもなく大きいため生まれてすぐに急膨張し星の材料は集まる事ができませんでした。
星や銀河が生まれない宇宙がほとんどだったのです

138億年の時を経て私たちがここにいる理由
それはこの宇宙のダークエネルギーがたまたまものすごく小さかったためゆっくり膨張したからなのです
宇宙の始まりと終わりについてお話ししてきました。
最後にこの宇宙を象徴するあるものをお見せしましょう。
この宇宙をとてもよく象徴していると私が思うのがこの岩バランスロックです。
倒れそうで倒れない。
この微妙なバランスで何千年間も立ち続けてきました。
実は私たちの宇宙もダークマターとダークエネルギーの絶妙なバランスで成り立っているんです。
もしダークエネルギーが大きすぎると宇宙は生まれてすぐ急激な膨張で引き裂かれてしまい物質が集まる時間がなくとても私たちは生まれる事ができません。
一方ダークマターの方が多すぎるとダークマターの重力でものが集まりすぎ塊がたくさんできてブラックホールになってしまいそういう宇宙にもやはり私たちは生まれる事ができないのです。
私たち人間はたかだか100年しか生きる事ができません。
それでも私たちは宇宙138億年の歴史を観測と理論を組み合わせる事で徐々に明らかにしてきました。
私たちはどこから来てどこへ行くのか?この人類何千年来の謎に答えが見つかる日もそう遠くはないかもしれません。

(焼ける音)2017/01/06(金) 22:00〜23:00
NHK総合1・神戸
村山斉の宇宙をめぐる大冒険[字]

私たちはどこから来たのか、この世はどうやって始まったのか…。私たち人類が何千年も考えてきた大きな謎を、最新の研究に基づいて素粒子物理学者・村山斉が案内する。

詳細情報
番組内容
私たちはどこから来たのか、この世はどうやって始まったのか…。これは私たち人類が何千年も考えてきた大きな謎だ。最新の研究によると、この大きな宇宙は小さな原子よりも小さな大きさから始まったという驚くべき事がいわれるようになった。世界も注目する素粒子物理学者・村山斉が、ハワイ、タイ、アメリカ、スイスへと飛び、最新の研究に基づいて、宇宙の最先端を探る研究者とともに謎解きの大冒険へと出発する。
出演者
【出演】東京大学数物連携宇宙研究機構機構長…村山斉