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字幕書き起こし クローズアップ現代+▽潜入ルポ “不法滞在ネットワーク”〜次々に消える外国人〜 2017.01.18

インターネット上で仕事などをあっせんする闇のサイト。
対象は、不法滞在の外国人です。
偽造された身分証など不法滞在に必要なあらゆるものがネット上で手に入るようになっています。
今、外国人労働者の失踪が相次ぎ摘発が強化されています。
失踪した外国人を追跡する特別チームが潜伏先と見られるアパートを見つけました。
不法滞在者が摘発されたあとそのまま残されていたアパートの一室。
失踪した外国人が、実習生に住まいや仕事をあっせんし新たな失踪者を生む不法滞在ネットワークがかつてないほどに広がっています。
増え続ける外国人労働者はまもなく100万人を突破。
その陰で見えてきた不法滞在ネットワークの実態に迫ります。
今、失踪する外国人労働者が増えています。

 

 


中でも目立って増えているのが、日本の技術を学ぶために来日した、外国人技能実習生です。
失踪した人は、この5年余りで2万1492人に上ります。
実習生の滞在期間は、現在は最長でも3年。
期限を過ぎても日本で稼ぎたいと、失踪して不法滞在する人が相次いでいるんです。
不法滞在者を不足する労働力の穴埋めとして雇う日本企業は後を絶たず、去年、延べ300人近くの失踪した外国人実習生を集め、食品加工会社などに派遣し、仲介料として6000万円余りを受け取っていた会社役員が逮捕されました。
不法滞在の知られざる現場に密着しました。
こんにちは!こんにちは!
年間およそ2000人の技能実習生の受け入れ窓口となっている団体です。
失踪者が相次ぐ事態に危機感を強めています。
礼!
よろしくお願いします!
不法滞在の摘発を強化する国の方針に沿って失踪者を防ぐための研修に力を入れています。
さらに、失踪した実習生の居場所を突き止めるため特別チームを設けています。
チームを率いるのは板垣憲千代部長。
入国管理局の元幹部です。
板垣部長は失踪者の情報を求めてある人物への接触を試みました。
待ち合わせ場所に現れた男性。
不法滞在者の情報を板垣部長のチームにたびたび提供している情報源です。
この日情報が得られたのはインドネシア人のアクロム元実習生。
おととし、実習先の建設会社から突然、姿を消していました。
男性は元実習生の住まいについて心当たりがあるといいます。
案内されたのは、住宅街の外れにある古いアパートでした。
この3階の向こう側の。
ちょっと行ってみます。
状況を確認した板垣部長はこのアパートには複数の失踪者が住んでいる可能性が高いと感じました。
その数日後。
アクロム元実習生が実際に住んでいるのか、アパートの前で張り込んでいたときのことでした。
見覚えのある顔が。
不法滞在であれば入国管理局に通報しなければなりません。
アクロム元実習生は不法滞在の疑いで摘発され直ちに強制送還されました。
失踪後、短期の農家の仕事を転々としていたといいます。
板垣部長の聞き取りに対して友達に誘われて逃げたが収入はむしろ減ってしまい後悔していると話したということです。
この実習生の受け入れ団体では失踪を防ぐため派遣先の企業へ定期的な見回りも行っています。
日常的に相談に乗ることで実習生たちの変化を見逃さないようにしています。
今夜は、外国人労働者の問題を研究している、井口泰さん、そしてフィリピン出身で女優のルビー・モレノさんにお越しいただきました。
よろしくお願いします。
まずこの外国人技能実習制度なんですけれども、あくまで技術を学ぶための制度なので、滞在期間が現在は最長3年、そして実習は、一度限り。
帰国すると、実習生としては戻ってこられない。
そして、日本企業にとっては、育成した人材を残せない、残ってもらえないという問題点があると思うんですけれども、こうしたことが井口さん、失踪を助長してしまうんでしょうか?
おっしゃったように技能実習制度というのは、技能の国際移転による国際貢献を目指していますね。
そのために、多くの方々に日本に来日していただくということもありますし、それから、家族の滞在が認められておりません。
そういうことで、この3年という比較的短い時間で、しかも技術の移転が終わったら帰るということで、一回しか来られない。
企業としては、こういう人材をもっと抱えておきたいと思っているんですけれども、先ほど申しました、いわゆるローテーション方式というもので、ローテーション方式のいわば宿命というものだと思います。
入れ代わって、実習生がたくさんやって来られるようにしている、その制度の仕組みだと。
そのことがどうしても、不法滞在の誘発する背景になっているということは否定できないですね。
そしてその失踪が相次ぐ一方で、意外な調査結果もあるんですね。
外国人実習生に賃金の支払い状況を尋ねましたら、契約どおり、または契約より多く支払われたという回答がこちら、94%を占めているんです。
賃金が適切に支払われていても、失踪してしまうっていうのは、なぜなんでしょうか?
技能実習制度の中で、受け入れ団体が不正行為を行ったケースについては、かなり多くの賃金不払いがあったことも事実です。
それから今、受け入れの増えております農業、水産加工業、こういった分野につきましては、最低賃金ぎりぎりで払ってる場合が多いんですね。
そうしますと、いろんな住居費や食費などを引いていきますと、どうしても手取りが5万円とか7万円くらいしかない。
5万円。
非常に少なくなってしまうということがありますので、満額払われているからといって決して安泰な状況ではなく、そういう中から母国に送金している方が多いんですね。
仕送りをしている方が。
そうするとやっぱり、お金が足りなくなってしまうと。
そう思いますね。
やはりこれは非常に厳しい仕事をしているわりには、賃金が少ないと思ってる技能実習生が少なくないんではないでしょうか。
なるほど。
そしてルビーさんは、フィリピンから来日して、映画やドラマで活躍されました。
代表作がこちらです。
もうかりまっかってあいさつしたら、ぼちぼちでんなやろ。
うちら、ただの出稼ぎやさかい。
ルビーさんは主演した映画で、クラブのホステスとして働く外国人を演じました。
実はご自身も、母国の家族に仕送りをするため、ホステスとして働いた経験をお持ちです。
最初、日本に来たときには、ダンサーとして来ましたので、そのときは半年間だけ、シックスマンスだけ日本にいられるんで、で、いったん自分の国に帰って、やっぱりずっと向こうにいると仕送りとかはできないじゃないですか。
家族、支えてるので、やっぱりそういう、なんとなく気持ちが分かるんですよね、今の。
やっぱり短い期間で?
短い期間で働くんですよね。
これから先を考えると、やっぱりみんなそうやってしまうんですよね。
なるべく日本にいて、働きたいと?
働きたいという気持ちで。
失踪してしまう実習生たちの気持ちも、まあ分からないでもないというところですかね。
その実習生たちの不法滞在の相次ぐ背景に何があるのか、取材を進めますと、外国人の失踪を助長する、不法滞在ネットワークの存在も明らかになってきました。
先月、偽造在留カードを使っていたなどとして有罪判決を受けたインドネシア人のスプリヤント元被告です。
実習期間が終わる直前働いていた静岡の工場から失踪しました。
取材を進めると失踪後に住んでいたアパートが分かりました。
アパートの管理会社に案内してもらうと。
すごいですね。
部屋は、摘発された当時のままの状況でした。
ここで、インドネシア人の仲間6人と不法滞在を続けていました。
それに悪用されたのが、精巧に偽造された在留カードでした。
管理会社に提出されていた在留カードのコピーです。
本来は技能実習と書かれているはずの在留資格の欄が、定住者となっています。
さらに、就労制限もないと記載されていました。
管理会社は、偽造カードだと疑うことはなかったといいます。
カードの偽造には、さらに手の込んだ手口が使われていました。
スプリヤント元被告の行方を追っていた実習生の受け入れ団体。
ここで入手した偽造在留カードのコピーを見てもらいました。
在留カードが有効なものか調べるため法務省が設けたシステムです。
在留カードには、個人ごとに番号が割り当てられています。
その番号を入力することでカードが有効かどうかチェックすることができます。
このカードは偽造のため、当然無効という結果が出るはずでした。
このシステムでは、カードの番号だけで有効性を確かめます。
そのため、カードの番号に該当する人物の氏名や顔写真は表示されません。
団体は実在する他人のカード番号が、なんらかの形で偽造に使われたと見ています。
巧妙に偽造された在留カード。
スプリヤント元被告が暮らしていたアパートはそうした偽造カードの受け渡し場所にもなっていたと見られています。
その現場には、ほかにも不法滞在を助長するさまざまなものが残されていました。
通信手段として欠かせない携帯電話。
病院から処方されたと見られる薬もありました。
不法滞在に必要なものをスプリヤント元被告はどうやって入手していたのか。
先月末、インドネシアに強制送還される直前入国管理局で本人に直接話を聞くことができました。
さらに取材を進めると偽造在留カードの入手ルートから不法滞在ネットワークとでもいうべき存在が浮かび上がってきました。
スプリヤント元被告は先に失踪した先輩にカードの調達を依頼。
その際、偽造在留カードに使う顔写真は、インターネット上のフェイスブックを通じてやり取りされていました。
そうした依頼は、何人かの仲介者を経て、最後にある中国人にたどりついたことが関係者への取材で分かりました。
この中国人は、少なくとも30人分の在留カードの偽造を中国にいるグループに取り次いでいたということです。
出来上がった偽造カードは国際郵便で中国人に届けられ金銭と引き換えに依頼者のもとに届く仕組みです。
ルビーさん、偽造の在留カードが8万円で手に入ってしまうというの、どう感じましたか?
在留カード、本当にすごく大事なものですから、私だって今ももう、結構、コンビニ行くだけで、持っていかないと、もう怖くて、必ずそれ体から離れられないんですよ。
ずっと持ってる。
だったら、8万円はもう安いもんですよね。
やっぱり、買ってしまうんですよね、どうしても、そういう不法滞在になっている人たちは。
そんなふうにこの偽造の在留カード1枚あれば、そのほかのものが全部手に入ってしまう。
こうした不法滞在ネットワークというのが、井口さん、どこまで広がっているんでしょうか。
在留カードというのは、外国人の方にとって、日本で生きていくうえで、最も大事なものの一つなんですね。
これがありませんと、アパートも借りられない、スマートフォンも購入できない、仕事も就けない、健康保険にも入れない、いろんなことが起きてしまいます。
ですから、この在留カードっていうものが、しっかり管理されていて、これが偽造されることなく、使われていればいいんですけれども、これを偽造することによって、生活できるネットワークが作られてしまったということですね。
そういった情報がネット上でもやり取りされているということですよね。
こういう情報が一人一人のスマートフォンに直接入ってきているもので、外から極めて見にくい、見分けにくい状況になってるのが非常に問題なんだろうと思います。
しかも、そこでいろんな誘惑が発生してしまって、現在の境遇と比べて、不法滞在しても大丈夫なんじゃないかというふうに思ってしまう技能実習生が出てくることを懸念しているわけです。
視聴者の方からのご意見ですと、岩手県の水産加工の男性からです。
彼らなしでは仕事が回らないんだという意見がある一方で、実習生制度は百害あって一利なし。
治安が悪くなっているのも、このせいじゃないかというご意見もあります。
今回、見えてきたのは、不法滞在というリスクを冒してまで、日本で働きたい外国人がいるということですよね。
労働力不足の中で、私たちは今後、どう外国人労働者を受け入れていったらいいんでしょうか。
グローバルな経済の中で、今、地方ではやはり地場産業を維持するのが難しくなってきていますね。
そこで若い方々もなかなか来ない中で、やはり、こういう分野で働いてくれる方は非常に貴重になっているわけです。
お待たせ致しました!2017/01/18(水) 22:00〜22:25
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代+▽潜入ルポ “不法滞在ネットワーク”〜次々に消える外国人〜[字]

日本で働く外国人技能実習生の中で、途中で失踪し、不法滞在となる人が急増している。取材を進めると、偽造在留カードの発行など“犯罪インフラ”の実態が浮かび上がった。

詳細情報
番組内容
【ゲスト】関西学院大学教授…井口泰,女優…ルビー・モレノ,【キャスター】松村正代
出演者
【ゲスト】関西学院大学教授…井口泰,女優…ルビー・モレノ,【キャスター】松村正代