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字幕書き起こし ダーウィンが来た!「大変身!北海道 雪になった虫」 2017.01.22

今日の舞台は北海道。
北の大地に雪が舞っています。
えっ?ちょっと待って!正体はこちら。
雪のようなモフモフの綿毛をまとったこの小さな虫。
「雪虫」といいます。
えっ知らない?北海道では誰もが知っているとっても有名な虫なんですよ。
なんと北海道では「雪虫が飛ぶと初雪が降る」と言われているんですそこで地元の子どもたちと一緒に雪虫と初雪の関係を徹底調査!さらに雪虫のふしぎな暮らしも明らかに。
季節ごとに到底同じ虫とは思えない全く違う姿に大変身するんです。
この大変身には厳しい北国を生き抜く雪虫の知恵が隠されていました。
今日の舞台は北海道のほぼ真ん中富良野です。
さまざまな種類の木が交じり合う手つかずの森が広がります。
10月初め。
例年このころになると大群で雪虫が現れるといいます。
早速地元の人に話を聞いてみましょう。
どうやら現れるのは風のない夕方のようです。
雪虫をよく見かけるという森で待つことにしました。

 

 

 


白っぽい虫を発見!雪虫でしょうか。
う〜ん飛び回っていてよく見えません。
あっ白いモフモフの体。
間違いありません。
雪虫です!時間がたつとともにだんだん数が増えてきました。
うわ〜!本当に雪みたい。
雪虫の大きさはわずか4ミリほど。
正式な名前はトドノネオオワタムシといいます。
植物の汁を吸うアブラムシの仲間です。
このモフモフの綿毛は体から出したロウで出来ています。
顕微鏡で見ると細い繊維が集まっているのがわかります。
1本の太さはなんと…人間の髪の毛と比べるとこ〜んなに細いんです。
体を覆う綿毛のおかげで風に乗ることができまるで雪のようにフワフワと飛び回れるんです。
この日は森だけじゃなく街にも畑にも大発生。
ということは本当にもうすぐ雪が降るんでしょうか?それから2週間後のこと。
雪です!富良野にこの年初めての本格的な雪が降ったんです。
番組では北海道各地の方にも雪虫を見た日と初雪が降った日を報告してもらいました。
最初の雪虫情報は一番北の利尻島から9月25日。
続いて帯広から10月1日。
その後も続々と報告を頂きました。
そして富良野で本格的な雪が降ったのと同じころ皆さんからも雪の便りが寄せられました。
ほとんどの場所で雪虫を見て2週間から4週間ほどあとに初雪が降っていたんです。
雪虫が飛ぶと初雪が降るといううわさはどうやら本当のようです。
でもなぜ雪虫が飛ぶと初雪が降るのでしょうか?それは雪虫の暮らしを詳しく見ていくとわかるといいます。
そこで…。
今回地元の子どもたちと一緒に秋に大発生した雪虫を追跡しました。
でも小さいから追いかけるのは大変。
みんながんばって!
(男性)小さいね。
今度こそ見失わないようにみんなで慎重に追いかけます。
おや1本の木にたどりつきましたよ。
うんどれどれ?うわ〜!たくさんいますね〜。
雪虫が集まっていたこの木の名前は…ヤチダモは北海道の代表的な広葉樹。
大きいものでは高さ30メートルにもなります。
雪虫のお尻から何か出てきました。
実はこれ雪虫の赤ちゃん。
オレンジ色がメス緑色がオスです。
1匹が5匹ほどの赤ちゃんを産みます。
秋に雪虫が一斉に飛ぶのはヤチダモで赤ちゃんを産むためだったんです。
木の根元には力尽きた雪虫の姿がありました。
この森に雪が降ったのはそれから2週間ほどあとのことでした。
富良野は間もなく長く厳しい冬を迎えます。
ちょっと待った!あれヒゲじいどうしたんですか。
おかしいじゃないですか。
なんでわざわざ冬の直前に赤ちゃんを産むんですか?北海道の冬っていったらとっても寒いでしょ。
小さな赤ちゃん生きていけないんじゃないですか?はい。
確かに赤ちゃんは冬を越すことができません。
でも大丈夫なんです。
えどういうこと?雪虫が赤ちゃんを産んでから10日後。
雪が降る前にヤチダモを見に行きました。
うん?何ですかこれ?これは雪虫の卵です。
えっ卵?はい。
さっきのメスの赤ちゃんが成長して卵を産んだんですよ。
はあ!これが赤ちゃんが大人になった姿。
親のような羽はありません。
これで大人?同じ雪虫とは思えませんなぁ。
ですよね。
この姿の雪虫は冬を越すことはできませんが卵は寒さに強く厳しい冬を乗り越えることができるんです。
そうなんだ。
でねヒゲじいもう一度皆さんからの報告を見て下さい。
雪虫が飛んでから初雪が降るまでに2週間から4週間くらい間がありましたよね。
あ〜はいはいそうでしたね。
どの場所でもちょうど雪虫が卵を産んだあとくらいに初雪が降っていたんです。
ほう!ということは雪虫は初雪が降る日を予測して飛んでいたというわけですか?いえいえ実際には雪虫は気温の変化を感じて飛ぶと言われています。
ただ気温が下がってから2〜3週間後くらいに初雪が降ることが多いため「雪虫が飛ぶと初雪が降る」と言われるようになったんです。
ほうほう。
でもたまたまとはいえ雪虫が初雪の前に飛ぶのは長く厳しい冬を卵で生き延びるための知恵なんです。
なるほど。
わが子がちゃ〜んと生き残れるように初雪の前に飛ぶ親の愛。
「雪」だけに大したもんで「スノー」…なんてね。
第2章では雪虫の1年に密着!またまた次から次へと大変身!さらにアリと雪虫のふしぎな関係を世界で初めて撮影することに成功しました!北海道に冬の訪れを告げる雪虫。
皆さんは季節を告げる生きものといえば何を思い浮かべますか?そんな生きものを科学的に記録しているのがこちら気象台です。
今は大事な観測の真っ最中。
すみませ〜ん何見てるんですか?気象台では紅葉など季節ごとの生きものの変化も観測しているんです。
植物はカエデやイチョウの紅葉をはじめサクラやタンポポの開花など34種を観測。
動物はウグイスやセミが初めて鳴いた日。
ホタルを初めて見た日など23種について全国58の気象台や測候所で記録しています。
ちなみに雪虫は全国で見られないため観測対象になっていません。
こうした観測は「生物季節観測」と呼ばれ気候の変化を生きものの営みから捉えるために昭和28年から行われてきました。
長年のデータを分析した結果カエデの紅葉はこの60年でおよそ17日も遅くなっているそうです。
地球温暖化の影響ではないかと考えられています。
…ことを心がけております。
貴重な観測これからもよろしくお願いします!雪のように飛んで北の大地に冬の訪れを告げる雪虫。
初雪の前に飛ぶのは卵で冬を越すためでした。
4月下旬。
長く厳しい冬が終わり北海道に遅い春が訪れました。
ヤチダモに産み付けられた雪虫の卵はどうなったでしょう。
幹の表面に小さな虫を発見。
わかりますか?卵から生まれたばかりの雪虫の赤ちゃんです。
大きさわずか1ミリほど。
秋の赤ちゃんとは大違い。
体全体が白い毛に覆われています。
上へ向かって歩きだしましたよ。
よいしょよいしょよいしょ。
1日以上かけて枝の先の新芽にたどりつきました。
新芽に突き刺している針のようなものは口。
柔らかい新芽から樹液を吸っているんです。
枝先まで来たのはこのためだったんです。
こうして赤ちゃんはぐんぐん成長。
2週間後には…あれ?また全然違う姿!今度はダンゴムシみたい。
これが春の大人。
そして…数日かけて150匹もの赤ちゃんを産むんです。
すごいですね〜!わ〜たくさんに増えました。
大きくなるにつれて体は長く白い綿毛に覆われます。
またまた変身です。
綿毛には水や細菌から体を守る役割もあるんです。
そこに現れた影。
テントウムシです。
見た目はかわいくてもどう猛な肉食の昆虫です。
アブラムシの仲間が大好物です。
どんどん近づいてきます。
あ〜捕まってしまいました。
肉食のハチもやってきました。
雪虫は葉の裏に隠れていますがあ〜捕まっちゃった。
ヤチダモで過ごすこの時期は食べられてしまうものも少なくありません。
1匹が葉っぱの上でじっとしています。
しばらくすると…。
今度は大変身。
羽を持った姿になりました。
雪虫は初夏にも秋と同じような姿になるんですね。
飛びました。
でも秋とは違いまとまって飛ぶことはないようです。
一体どこへ行くんでしょう?そこで今度は初夏の雪虫を大捜索!協力して頂いたのは北海道大学の秋元信一さん。
雪虫一筋40年の第一人者です。
秋元さんによると飛び立った雪虫はトドマツの木を目指すはずだというんですが…。
広い森の中で小さな雪虫を探し出すのは至難の業。
スタッフ総出で葉の裏側まで丹念に探します。
探すこと6時間。
あきらめかけたその時!1匹の雪虫を見つけました!トドマツの幹を下に向かって歩いています。
地面に着くほどです。
こんなところに一体何をしに来たんでしょう?根元に到着するとあれあれ?赤ちゃんを産み始めました。
長い脚。
白い毛の春の赤ちゃんとも脚の短い秋の赤ちゃんとも違います。
するとそこにアリが寄ってきました。
触角で触ってしきりに気にしています。
あっ赤ちゃんをくわえ上げました。
ちょっと待った!何ですかヒゲじい。
ひどいじゃないですか!こんな地面の近くに産んじゃって!これだとアリに食べられ放題になっちゃいますよ!いえ心配しなくても大丈夫。
食べられるわけではないんです。
逆に赤ちゃんにとってアリはなくてはならない存在なんです。
はあ?どどういうこと?作戦ってどういうことですか?まあまあそう慌てないで下さい。
このあとじっくり見ていきますからね。
あれヒゲじいどうしたんですか?その羽。
え?あら?いつの間にか私も変身しちゃいました。
地下に連れて行かれたあとの雪虫の暮らしは誰も見たことがありません。
そこで今回特殊な装置を作って撮影に挑戦しました。
協力してくれたのは秋元さんともう1人。
自宅で1万匹ものアリを飼育しアリのことを知り尽くしている専門家島田拓さんです。
まずは枠に壁を貼り付けます。
その中にトドマツを植えます。
幹に布を巻いて何かを染み込ませています。
それは何ですか?ホントだ!早速アリが来ました。
こうしてアリを呼んで箱の中に巣を作ってもらうところから始める気の長〜い計画です。
壁をそ〜っと開けてみると…。
期待どおり!断面にちゃ〜んとアリの巣が出来てバッチリ観察できます。
この状態で雪虫の赤ちゃんを入れてアリが運んでいく先を撮影しようという計画です。
入れるのは秋元さんが事前に集めておいた赤ちゃんです。
それをアリの巣のそばに置きます。
すぐにアリが集まってきました。
やっぱりここでもくわえていきます。
赤ちゃんをくわえたアリを追いかけます。
ここから先は秋元さんも見たことがない未知の世界です。
深さ20センチ。
まだくわえています。
あっ赤ちゃんを置いてそのまま行ってしまいました。
大丈夫でしょうか?赤ちゃんが動き始めました。
よかった〜!無事でした。
元気に歩いています。
よく見ると赤ちゃんはアリに運ばれている間脚を折り畳んでおとなしくしています。
アリに任せてるというか…そして巣穴に置かれると動きだすんです。
自分がアリに運ばれることをちゃんとわかっているのかもしれません。
しばらくすると赤ちゃんは自分で歩いてみんなトドマツの根に集まってきました。
あの長い口を突き刺しています。
今度は根から樹液を吸ってここで暮らすんです。
でも一体何のためにアリは雪虫を巣の中に運んできたんでしょう?赤ちゃんのそばにアリが来ました。
お尻から出る液体をなめています。
この液体樹液を吸って余った糖分。
甘い液体はアリの大好物です。
これを目当てにアリは赤ちゃんを巣穴に運んできたんです。
天敵がいないアリの巣の中は雪虫にとって安全な住みか。
ここで再び大増殖。
赤ちゃんが大人になって子どもを産む。
それを繰り返し世代を重ねて増えていくんです。
甘い液体と引き換えに安全な巣穴に居候させてもらうアリを利用した見事な作戦です!ちょっと待った!どうです?ヒゲじい。
雪虫の巧みな作戦。
いやちょっと納得できませんな。
そんなにアリの巣がいいならずっとここにいればいいじゃないですか。
なにも天敵の多いヤチダモに住む必要ないんじゃないの?いいえヤチダモで暮らすことにはメリットがあるんです。
はあ?第一にヤチダモは北海道ではとても数が多い木です。
その上春のヤチダモの若葉からは栄養たっぷりの樹液が出ます。
それに合わせて雪虫はどんどん子どもを産むので天敵に食べられる以上に増えることができるんです。
ほう!そういうことか。
ところがこれは夏のヤチダモです。
あらら枯れちゃってる。
ヤチダモは夏が近づくと急激に樹液の栄養が悪くなってしまうんです。
そこで今度はヤチダモを離れてトドマツの根に引っ越すんです。
でもトドマツの根は夏でも樹液が出るんですか?はい。
春のヤチダモほどではありませんが安定して樹液が出ますし天敵が少ないのでその分増えることができます。
なるほど〜。
季節によって2つの木を使い分けてるっていうことですな。
はい。
春はヤチダモで誕生して若葉の樹液を飲んで増え初夏ヤチダモの樹液が少なくなる前にトドマツに引っ越します。
ふんふん。
そして夏の間トドマツの根で増えて秋雪が降る前に再びヤチダモに戻って卵で冬を越えるんです。
はあ〜ふしぎな虫ですなぁ。
ところでヒゲじいこうやって見ると何だか雪虫に似てますね。
えっ私がですか?じゃあ寒〜い冬の間はどこか南の島にでも飛んでいこうかな〜。
来週までに帰ってきて下さいね!富良野の森に再び秋が来ました。
エゾリスです。
丈夫な歯でかたいクルミを食べています。
今度は地面に埋めています。
冬の間掘り起こして食べるためです。
この姿を見かけたら冬ももうすぐ。
トドマツの根元。
アリの巣穴の雪虫はどうしているでしょう?風のないある日のこと。
あっ出てきました。
純白のドレスを着ているみたい。
アリの巣の中で最後の大変身を遂げたんです。
次から次へと出てきました。
一斉に飛び立っていきます。
目指すのはそうヤチダモです。
でもそれは簡単な道のりではありません。
森には危険がいっぱい。
多くの雪虫が途中で食べられてしまいます。
無事に目的地にたどりつけるのはごくわずか。
それでもひたすら命をつなぐために雪虫は飛び続けます。
その命懸けの姿が毎年人々に冬が近いことを教えてくれていたのです。
ゆきむし!飛んじゃった〜!時は戦国ところは井伊谷。
2017/01/22(日) 19:30〜20:00
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!「大変身!北海道 雪になった虫」[字]

北海道を舞台にモフモフの白い綿毛をまとった“雪虫”に迫る「雪虫が飛ぶと初雪が降る」といううわさを徹底検証!季節ごとに全く違う姿に変身する奇妙な暮らしが明らかに!

詳細情報
番組内容
北海道を舞台にモフモフの白い綿毛をまとった“雪虫”に迫る。秋の終わりに大発生して雪のように空を舞う雪虫。番組では“雪虫が飛ぶと初雪が降る”といううわさを子どもたちとともに徹底検証!すると雪虫の不思議な暮らしにビックリ仰天。なんと、雪虫は季節ごとに同じ虫とは思えない全く違う姿に大変身するのだ。さらに雪虫とアリとの“絆”とも言える絶妙な関係も明らかに!北国で懸命に命をつなぐ小さな虫の物語!歌:平原綾香
出演者
【語り】和久田麻由子,龍田直樹,豊嶋真千子