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セリフ書き起こし おんな城主 直虎(3)「おとわ危機一髪」 2017.01.22

時は戦国ところは井伊谷。
井伊家当主の一人娘おとわには亀之丞といういいなずけがおった。
じゃが亀之丞は父の企てた謀反の廉で大国今川に命を狙われる身に。
更に今川は今川寄りの家老小野和泉守の嫡男鶴丸をおとわの婿に迎えるよう命じたのでござったが…。
(鼓の音)・
(たけの悲鳴)
(直盛)どうしたのじゃ?たけ。
(たけ)だ…旦那様。
おとおとおと…とわおとわ。
お…お…。

 

 

 


(おとわ)父上聞いて下され!あっ…あああああ…!
(千賀)何事です?ああ〜!お…とわそ…。
出家するのです!出家をすれば誰の嫁にならずとも済むではないですか!じゃが…。
(政直)井伊のお答えはどちらと考えればよろしいのですかな。
先ほどは夫婦約束をご承知下さるとお聞き致しましたが。
せぬ!和泉。
これは断じて井伊の意志ではない。
井伊は鶴丸を婿に迎える。
なぜかような事ばかりなさるのじゃ!鶴はそなたのした事でつらい思いをしておる。
そなたのした事を恥じておった!和泉これは子どもの言うた事。
あの…どうか。
これでは夫婦約束は無理ですな。
(直盛)和泉!おい待て!和泉!和泉!待て!和泉!井伊を潰さぬにはお下知に従うしかないと言うたはずです。
どうしてその事がお前には分からんのですか!お…和尚様が。
和尚様が答えは一つでは…。
それはもう聞きました!
(囃子)おとわの出家騒動は小野和泉守によって直ちに今川の知るところとなったのじゃ。

(囃子)「度重なる井伊家の振る舞い言語道断。
この上は忠義の証しとして息女とわを人質として遣わす事」。
(一同)ん!?
(直盛)「この儀に背く事あらば成敗もやむなし」…。
(朝利)何!?この書状は。
(左馬助)今川より殿の方へ直接使者が参り。
(直由)小野は。
(左馬助)駿府から戻っておらぬようじゃ。
(直平)戦しかあるまい。
もはや戦しかあるまい!戦…?
(直平)左馬助!今川に人質を渡すくらいなら井伊は戦に及ぶとそう伝えてこい!ご隠居様はご乱心じゃ。
お前はとわが一人娘が人質に取られても平気なのか!どこの世にどこの世に娘を人質にやりたい親がございますかあ!しかし人質にやらねば「井伊を滅ぼす成敗致す」とここに書いてあるのですよ!おとわを差し出さねば井伊は潰されるのです!
(直平)お前はおとわが佐名のようになってもよいと言うのか!佐名と同じ目におとわが遭ってもよいと!それは…。
腰抜けどもが!これでは井伊が潰れるのは当たり前じゃ!ああ〜!潰れてしまえ〜!こんな家!和尚様〜。
我は…我はどうすればよいのじゃあ。
(南渓)どうしたのじゃ。
(泣き声)う〜んおとわが人質に行かねば井伊はお取り潰し。
行けばおおじじ様が兵を挙げこれまたお取り潰し。
はあ…どちらにしろ井伊は潰れるというわけか…。
こんな事になったのは和尚様のせいじゃ!わ…わしの?和尚様が答えは答えは一つではないと言うたから…。
それはおとわの出した答えがお粗末だったからでは。
(泣き声)泣くな泣くでない。
悪かった悪かった。
おとわ。
おとわ。
(泣き声)いっその事おとわの出家を今川に認めてもらってはどうかと思うのじゃ。
出家をしようとしたからかようなお下知が飛んできたわけですが。
思うに今川が怒っておるのは出家をするからではなく井伊が言う事を聞かぬからじゃ。
はあ…。
その怒りの中で恐らく今川は見落としておるのじゃ。
おとわが出家をするという意味を。
意味?
(南渓)おとわが出家をすれば井伊は家督を継ぐものを失う。
次の当主選びは今川の思うがまま。
そう思わせれば出家でもよいと言うてくれるのではないか。
出家…出家ですか?まあまあ…それはほとぼりが冷めた頃に還俗をさせればよい話かと。
出家する事で人質を逃れるという奇策。
表向きはおとなしく駿府に行きその裏で内々に南渓の作戦を進める手はずとなった。
(南渓)駿府の寺での雪斎禅師に会える事になってな。
雪斎禅師。
同じ宗門の先達でな。
太守様の学問の師で今川の軍師でもあられるお方じゃ。
それは何やら力がありそうなお方でございますな。
雪斎様を口説き落とせればもう勝ったも同然じゃ。
はい!ところで関口の佐名様とはどのようなお方で。
左馬助伯父様は駿府へ行くなら佐名様にご挨拶をしておいた方がよいと。
そうか。
佐名様というのは和尚様の妹御でございましょう。
今川に人質に出されたという。
我は今まで全くその事を知らなかったのですが。
皆なぜあまり口にしなかったのですか?皆頭が上がらんからじゃないのか。
まあ会うたらよろしく言っておいてくれ。
はい…。
して一足先に出た南渓の後を追いおとわは駿府へと出立したのじゃった。
和尚様の力ですぐに井伊谷に帰れるそう思っての。
じゃが…。
(鶴丸)うっ…ああっ…。
喉を通りませぬか。

(弥吉)殿!一大事にございます!
(千賀)おとわたちに何か。
(弥吉)小野の息子が何者かに連れ去られたもようでございます。
何者かとは。
(弥吉)それが…。
川名のご隠居様かと。
(千賀)その事が駿府に知れたら…とわは…。
川名へ参る。
井伊谷を出て2日。
何も知らないおとわは第2の都とうたわれた駿府に到着した。
にぎやかな所じゃな。
駿府というのは。
(左馬助)はい。
駿河のくには日和が穏やかで諸国との商いも盛んでございますから人や物も集まってまいります。
京の公家なども荒れた都を嫌い太守様を頼ってやって来たり。
ふ〜ん。
何やらすごい所なのじゃな。
あっ!
(囃子)あ〜!ほれ。
福じゃ〜福じゃ。
立派なお屋敷じゃの。
井伊の屋敷より立派かもしれませぬね。
お名前は?
(笑い声)とわと申します。
姫のお名前は。
瀬名です。
瀬名姫は女だてらに蹴鞠をなさるのか。
蹴鞠がうまくなれば龍王丸様の妻になれるのです。
へえ今川にはさような習わしがあるのか。
瀬名は龍王丸様の妻となり今川を手に入れるのです。

(佐名)そなたがとわか。
はい!
(たけ)佐名様でございます。
あ!
(たけ)こたびとわ様が太守様より人質となる事を命ぜられました。
佐名様と同じお身の上となる姫でございます。
今後ともどうぞよしなに。
(佐名)あとはこの者に。
・お上手でございます。
さあさあもう一度。
ああさすがでございます。
佐名様というのは井伊のお味方ではないのか?まだお分かりにならぬとは思いますが。
佐名様は今川に人質として送られそこで太守様のお手つきとなったのです。
お手つき…。
逃げろ〜!こっちだ。
捕まえたぞ。
おとわ捕まえた!そのお手つきというのはきつくか?痛くされたのか?
(せきばらい)そこまでは存じ上げませんが何度も何度もそれはもう数え切れぬほどでございましょう。
数え切れぬほど!おとわ捕まえた!捕まえた!おとわ捕まえた!捕まえた!捕まえた!捕まえた!おとわ捕まえた!捕まえた!
(たけ)そのあげく…飽きたら雑巾のように捨て置かれたのでございます。
そうなる事を半ば分かっていながら井伊は佐名様を差し出した。
佐名様に井伊を恨むなというのは難しうございましょう。
当たり前じゃ!お手つきなど一度でよい!鬼はそれで交代じゃ!姫様…。
たけは姫様をお守りしますぞ。
決して佐名様のような目には遭わせませぬ!
(太原雪斎)そのとわ姫とやらを人質ではなく出家させるという事で免じてほしい。
出家しても人質になっても井伊の家督が消滅するのは同じであるのだからという事じゃな。
今川は東に北条。
西に三河という火種を抱えておられます。
たとえ小国とはいえ三河に程近い井伊にこれ以上の恨みを抱かせるのはまあ…あまり得策ではないのではないかと。
しかしとわ姫はかわいい一人娘であり唯一の家督を有するもの。
その姫の命を危うくしてまで刃向かうほどの気概は今の井伊にはあるまい。
ですがすぐにも兵を挙げるといきまく者もおりまして。
たかが人質によこせと言うだけで。
井伊には人質を殊更忌み嫌う向きがございます。
佐名の事が今もって尾を引いており。
まあ太守様にお伝えしておくが。
やはり人質として取って置けとお考えになるであろうと思うがの。
和尚様はまだか。
和尚様いかがでした。
雪斎禅師とのお話し合いは。
あっ…ああうんうんうんまあまあまあまあ。
その前にこれをな。
これを佐名おば様に渡してほしいのじゃ。
この文を?今川には寿桂尼様という方がおられる。
太守様のご生母様でなこのお方も大変力のあるお方じゃ。
そのお方に太守様に進言してもらいたいと思うての。
はあ…。
お前から佐名おば様に頼んでほしいのじゃ。
我から!?おば様。
とわでございます。
よろしいでしょうか。

(佐名)用なら侍女に申せ。
実はひとつお願いがございまして。
文を寿桂尼様にお取り次ぎ願いたいのです。

(佐名)では差し入れよ。
おば様。
よう我にかような事が頼めたものじゃ。
ナマグサに恥を知れと申し伝えよ!
(南渓)あ…まずまずじゃの。
はあ!?怒るという事は心が揺れておるという事じゃ。
きっと思い直して寿桂尼様にとりなしてくれる。
佐名はそういう性分じゃ。
まことですか?あ…恐らく。
和尚様。
雪斎様にも断られたのではないですか。
おとわ。
答えは一つとは限らぬ。
道も一本とは限らぬ。
こっちの道が行き止まりならあちらを行けばよい。
あちらも行き止まりならどうするのですか。
昔あるところにの。
我は明日の話をしておるのじゃ!諸行無常じゃ!明日は何が起こるか分からぬ。
太守様がお倒れになるかもしれぬし今川館が燃えて落ちるかもしれぬ!諸行無常じゃ。
南渓の策はことごとく失敗したのじゃった。
(直盛)鶴丸を人質に取るなどお考えがないにもほどがあります!
(直平)何を言うか!わしほど考えておる者はおらん!この先とわの人質をよい事に小野はやりたい放題じゃ。
小野を抑えるにはこの方法しかない。
ならば弟もさらった方がようございましょう。
鶴?
(鶴丸)私一人ならば父は見捨てるだけでございます。
道理じゃ。
じじ様!ご勘弁下さい!お座り下さいませ!皆も!して打つ手なくおとわが人質に行く朝がやって来たのじゃった。
焼け落ちんかったの。
和尚様。
太守様に直訴してみようと思うての。
姫様。
お待ち申し上げておりました。
これはこれは南渓様も。
(南渓)とわの門出ゆえ駆けつけてまいった。
あいすみませぬがここから先はおとわ様とそこの者だけで。
え!何故わしが付き添えぬ。
太守様のお言葉でございます。
わしとて目付であろう!姫様参りましょうか。
え!
(寿桂尼)「とわを出家せしむれは…」。
しばしここでお待ちを。
小野様!和泉守様!何か?ただいま国元より早馬が参りまして川名のご隠居様なるお方にご嫡男が奪われたそうにございます!鶴丸が…!おとわ様。
我々はどうなるのでございましょうか。
川名のご隠居様の事が太守様のお耳に入ったら…。
なんとかせねばな。
え?元はと言えば我のせいなのじゃから。
(ふすまが開く音)
(囃子)太守様は能のお稽古の最中でいらっしゃるゆえしばし待たれよとの仰せじゃ。
かたじけのう存じます。
(雪斎)どれわしでよければ話を伺うが。
(政直)これは雪斎様。
(尼侍女)大方様にあらせられる。
太守様のご生母様にございますぞ。
寿桂尼様。
よい。
面を上げよ。
人質に来た井伊のとわとはそちか。
はい!太守様はお取り込み中のようじゃ。
どれ待つ間蹴鞠でも見ぬか?蹴鞠?瀬名様。
おや瀬名を知っておるのか?はい!あれはいつも子どもらの蹴鞠に入りたがる。
勝てば褒美に龍王丸の妻にしてもらうのじゃと。
ご褒美?龍王丸に勝てば何でも褒美がもらえるのじゃ。
何でも…!龍王丸様というのはあの子ですか?あの子に勝てば何でも褒美がもらえるのですか?そうじゃ。
鞠を長く蹴り続ければそれでよい。

(龍王丸)今日の相手は。
はい!龍王丸様!
(瀬名)おとわ様!?我と一番勝負をお願い申しまする。
誰じゃこいつは。
お願い申し上げ奉りまする!始め!うわっあ…。
何だ口ほどにもない。
(笑い声)あっ!何じゃあ!あの頭は!
(笑い声)もう一度。
もう一度お手合わせ願います!ほう。
あれ。
あれがとわ姫にございます。
お願いします!お願いします!何故蹴鞠を。
褒美が欲しいようですよ。
褒美。
始め!あっ!もう一戦!うわっ…。
もう一戦!もう一戦!もう一戦!もう一戦!もう一戦!もう一戦!
(寿桂尼)何が欲しいのだか知りませんがまあしつこい事です。
やめさせます。
面白いではないですか。
(龍王丸)ああっ!勝った。
褒美を。
褒美を下さいませ。
こんなもの勝ったとは言わぬ!そんな事をおっしゃらず。
お願いします。
どうか褒美を。
厚かましいにもほどがあろう!
(たけ)姫様。
うわあああああああ!あっ!うわっ!龍王丸様!何をする!龍王丸様褒美を下され!龍王丸様!我はその褒美がないと困るのじゃ。
井伊が井伊が潰れてしまうのじゃ!姫様!おやめ下さいませ。
頼む!褒美を!龍王丸様褒美を下され!龍王丸様!太守様にございます。
あっ!
(政直)井伊より人質に参りましたとわ姫にございます。
面を上げよ。
井伊直盛が娘とわと申します。
龍王丸様に勝ちました。
ご褒美を頂きたくおとりなしを願いまする!父上!こんなものは勝ちと申しませぬ!何度も何度も勝つまでやめず!こいつはひきょう者にござりまする!蹴鞠をやっておったのです。
何を所望じゃ。
井伊に井伊にお返し頂きたく存じます。
(政直)姫そのような無体な望みを。
お忘れ下さいませ。
(雪斎)恐れながらひと言申し上げたき儀がございます。
その者は粘り腰の実によい闘いを致しました。
よい闘いをした者には褒美をとらせるのが武門の習い。
とわ姫には褒美をつかわすのが筋かと存じます。
龍王にも見本を示さねばなりませぬしね。
ありがたきお心遣いなれど。
褒美をつかわす。
去ってよいとの仰せじゃ。

(政直)お待ち下さいませ。

(扉が開く音)おとわ様!和尚様!左馬助伯父様!ご無事だったのですな!ご無事で!うむ。
このお姿は?まさか逃げてこられて!?褒美をもろうたのです。
褒美…?「一女とわの出家をもって本領安堵とす」…!雪斎禅師と寿桂尼様がおとりなし下さりこういう次第に。
うむ。
そうか…。
まこと明日は何が起こるか分かりませぬ。
諸行無常でございますな。
和尚様。
でかしたぞおとわ。
ようやった。
途方もない大手柄じゃ。
はい!
(雪斎)私も人質などそれほどの事かと思うたのですが井伊はとわ姫を人質に取られるならばと小野の息子を人質に捕らえたそうで。
仕置きが過ぎ謀反となるのはご本意ではございますまいかとあのようなまねを致しました。
(今川義元)まあ井伊には三河攻めで働いてもらわねばならんしの。
お分かり頂きかたじけのう存じます。
しかしあれもうまく使わねばの。

(物音)何用でございますか?寿桂尼様におとりなしをしてくれたのはそなたか?何の事でございますやら。
そなたはいつも井伊を救ってくれるの。
かたじけない。
二度とおいでにならないで下さいませ。
兄上。
こうして無事井伊への帰還となったのでござる。
おとわ〜!父上!おとわ!父上!おとわ!父上!おとわ!父上〜!おとわ!
(直盛)ああおとわ。
ハハハハハッ!続く。
とわは立派な次郎法師になります。
もう嫌じゃ!小野によいようにされるつもりか!ふがいないにもほどがあります!
(直盛)もう容赦はせぬ。
覚悟!形こそ女子であれあれは次郎。
静岡県静岡市は今川義元が支配していた地です
この駿府城は後年徳川家康が築城したものです
かつてはこの辺りに今川氏の館があったといわれています
今川氏の勢力が拡大していった背景に一人の軍師の存在がありました。
太原雪斎です
義元は館の近くに建立した臨済寺に雪斎を招きました
義元が幼い頃から養育係として仕えていた雪斎。
次第に彼は軍師としての頭角を現していきます
軍師雪斎の存在が今川の力を盤石なものにしていったのです
2017/01/22(日) 20:00〜20:45
NHK総合1・神戸
おんな城主 直虎(3)「おとわ危機一髪」[解][字][デ]

出家をしようとしたおとわ(新井美羽)の捨て身の策は今川義元(春風亭昇太)の怒りを買う。義元は忠義の証として、おとわを人質に差し出すよう直盛(杉本哲太)に命じる。

詳細情報
番組内容
鶴丸(小林颯)と夫婦になることを拒み、出家をしようとしたおとわ(新井美羽)の捨て身の策は、主家である今川義元(春風亭昇太)の怒りを買うことになる。義元は忠義の証として、おとわを人質に差し出すよう直盛(杉本哲太)に命じる。井伊家存続のため苦渋の選択を強いられる直盛に南渓和尚(小林薫)は、今川の怒りをしずめ、おとわの出家を認めさせて人質を免れることを約束し、おとわとともに駿府の今川館へ向かう。
出演者
【出演】杉本哲太,財前直見,新井美羽,吹越満,苅谷俊介,でんでん,筧利夫,花總まり,梅沢昌代,蔵本康文,小林颯,春風亭昇太,佐野史郎,浅丘ルリ子,前田吟,小林薫
原作・脚本
【作】森下佳子
音楽
【音楽】菅野よう子