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字幕書き起こし クローズアップ現代+「いまなぜ?官僚“天下り”問題ふたたび」 2017.01.23

文部科学省の天下り問題で新たなスクープです。
NHKが入手した文科省の内部資料。
違法な天下りを隠蔽するためうその筋書きまで作り想定問答にまとめていたことが明らかに。
早稲田大学への再就職について話を聞いたことはあるか。
ない。
国の調査では天下りが組織ぐるみで行われていた実態も判明。
違法、もしくはその疑いのある天下りは去年までの4年間で少なくとも38件に上ることが明らかになっています。
天下りを仲介したOBを直撃。
違法性はないと主張しました。
心よりおわびを申し上げます。
今なぜ、再び天下りが。
その手口と背景に迫ります。

 

 

 


国家公務員が利害関係のある企業や団体に、天下りをすることは、厳しく規制されています。
法律で禁じられているのは、例えば省庁が直接再就職をあっせんしたり、または本人が在職中に就職活動をすることなどですが、今回のケースでは、国のこの再就職等監視委員会は、両方に当てはまるとして、違法だと認定しました。
そもそも、天下りは監督権限を持つ省庁と企業などが癒着して、不正につながりかねません。
これまでにも防衛施設庁や国土交通省などで逮捕者が出るなど、大きな問題となってきました。
さらに今、再就職が難しい、特に高齢者の中高年の方々の再就職が難しい時代に、国家公務員という特権を利用しての天下りには、批判も集まっています。
さらに、今回、NHKが入手した資料からは、文部科学省が組織的に天下りを隠そうとしていた実態が見えてきました。
文部科学省の元高等教育局長吉田大輔氏です。
吉田元局長はおととし8月、文科省を退職。
2か月もたたないうちに早稲田大学に教授として再就職しました。
その期間の短さを不自然に感じた監視委員会。
文科省が吉田元局長の在職中に再就職のあっせんをしたのではないかと調査に乗り出しました。
今回、NHKは文科省の人事課が作成した想定問答を入手。
調査をかいくぐるために吉田元局長や早稲田大学にうその回答をするよう依頼していました。
まず分かったのは再就職のあっせんを文科省ではなくOBによるものと見せかけようとしていた実態です。
実際は、文科省が吉田元局長の再就職を早稲田大学に直接、依頼していました。
しかし、早稲田大学用の想定問答では事実とは全く異なることが書かれていました。
早稲田大学はどのような経緯で吉田氏を採用したのか?
早稲田大学の人事戦略上高等教育行政に詳しい人材を求めたいと考え以前、早稲田大学に在職していたA氏に平成27年4月ごろに依頼。
その後、早稲田大学の選考過程を経て吉田氏を採用することとなった。
文科省は法律に触れていないと見せかけるためかつて早稲田大学に在職していたOBのA氏を通して再就職の依頼があったように装ったのです。
監視委員会が疑念を持った短期間での再就職については大学の都合に見せかけようとしました。
実際は、吉田元局長の在職中から文科省があっせんを進めていたため退職から僅か2か月後の10月1日に再就職しました。
しかし…。
通常、早稲田大学の教員の採用にかかる手続きはどのくらいの期間がかかるか?
通常、教員の採用日は10月1日付が多いため今回、吉田氏については10月1日付採用に間に合うように手続きを進めた。
短期間で就職が決まったのは大学の人事制度に合わせて採用を急いだからだという理屈に仕立て上げました。
そして、うそがばれないよう徹底した口裏合わせを行っていたことも分かりました。
想定問答は大学や吉田元局長だけでなく実際には、再就職には関わっていなかったOB用にも作られうその証言を依頼していました。
こうした隠蔽工作を入念に行い、監視委員会の調査をくぐり抜けようとしたのです。
さらに取材を進めると文科省は監視委員会の調査の当日も隠蔽を確実なものにするため動いていたことが分かりました。
再就職した吉田元局長への調査が早稲田大学で行われたのは去年8月。
この日、文科省の人事課職員が大学に出向こうとしていたことが当時の記録に残っていました。
監視委員会の聞き取り内容を確認し、このあと聞き取りが予定されていたほかの関係者にその結果を伝え答えが食い違わないようにしたと見られます。
聞き取り後の吉田元局長と人事課職員のやり取りの記録も残っていました。
しかし、監視委員会は説明に矛盾を見つけ、調査を継続。
今回の発覚にいたりました。
今回の調査では、今のような明らかに違法なケースが、去年までの4年間で10件あったとしています。
さらに、違法の可能性があるケースが、28件あるとしています。
実はこれらのケースでは、文部科学省がある特定の省庁のOBを仲介役にして、再就職のあっせんを行っていました。
こうした行為が、実質的な違反行為に当たると、監視委員会は認定をしたのです。
OBによる天下り仲介の実態とはどのようなものか。
私たちはその当事者に直接問いました。
文科省の人事課に10年以上在籍していたこのOB。
みずから設立した団体の理事長を務めています。
省庁による再就職のあっせんが厳しく規制された直後から再就職の仲介をしてきたといいます。
監視委員会が問題視したのはOBを介して実質的に文科省が天下りのあっせんを行っていた点です。
文科省はOBに対して退職予定者の情報を提供。
OBはその情報を天下りを受け入れる意向を示す大学や企業などに紹介していました。
これに対しOBは仲介はあくまでもボランティアで違法性はないと主張しました。
しかし文科省の幹部の中でもこの構図に対して懸念の声が上がっていました。
えたいの知れない組織。
これが表に出たら相当やばいなと思ったことがある。
かつて公務員制度改革に関わった元官僚の原英史さんです。
今回の件を受け天下りの規制をさらに強化する必要があると考えています。
取材に当たった大河内さん、この想定問答集、本当に周到に準備されていましたね。
文科省の人事課が作成したこの想定問答ですけれども、国の監視委員会の調査に対して、どうすればその目をごまかすことができるのか、早稲田大学などとのやり取りを重ねて、何度も書き直した、非常に手の込んだものだったんです。
架空の筋書きを作って、それに沿った形で、あたかも元局長が正規の手続きを経て採用されたかのように記されていまして、取材した私たちも、ここまで用意するのかと、正直驚きました。
文部科学省、OBを仲介したあっせん、再就職のあっせんに対しては、これは大丈夫かなって罪の意識というのはなかったんでしょうか?
まさにその点が、今後の焦点の一つになると思います。
このOBを使った再就職をあっせんする仕組みなんですけれども、これは文科省の中でも、一部の限られた人しか知らなかったものなんです。
しかし、取材した職員の中には、これが表に出るとまずいことになると答えた人もいました。
そう感じてた人もいたんでしょうね。
この問題を受けて、文科省は省内に調査チームを設置して、この組織的な天下りが、一体どれぐらい行われていたのか、また、OBを使った天下りを、どのように捉えていたのか、3月いっぱいをメドに調査をして、明らかにすることにしています。
そしてもう一方、中野さんは、ずっと天下りの問題について取り組んでいらっしゃいますけれども、平成20年に改正された国家公務員法が施行されまして、天下りをあっせんすることというのは、厳しく規制されましたが、また繰り返された。
これはなぜだと思いますか?
平成20年度以降、やっぱり官僚バッシングというのが、非常に厳しい官僚に対する空気がありました。
相当、役所も萎縮してまして、その当時、やっぱり天下りに対して、規制を強くしようという、そういう気持ちがあったんですけど、最近、景気がよくなって、その当時、長期不況の真っただ中でしたから、それが全く雰囲気が変わって、世間の関心も、どちらかというと、当時は内政ですね、行政改革とか、そういうところに興味があって、最近、外交とかに移ってきてますんで、世間の関心も移ってきてる中で、気が緩んできた、そういうのがあると思いますね。
ただ、気の緩みだけでは、決して許されるものでは。
決して許されるものではないですけど、そういうたがの緩み方が、今回の文部科学省は相当露骨ですけれども、そういうのはあると思いますね、やはり。
10年前に厳しく規制されたはずの天下りの問題というのがどうしてなかなかなくならないのか。
今回、NHKでは省庁に聞き取り調査を行ったんです。
そうしますと、その背景というものが見えてきました。
NHKによる聞き取り調査。
違法な天下りを行っていると答えた省庁はありませんでしたが再就職の規制を巡ってはさまざまな指摘が寄せられました。
さらに、元省庁幹部への取材から、中央省庁ならではの問題も見えてきました。
事務次官を頂点とする官僚組織。
年次が上がると徐々にポストが少なくなるため、次官以外の人が定年より前に退職するケースが出てきます。
さらに、行政改革で退職後に働ける関連団体の数も減っているといいます。
退職した人が優秀ならどこでも行き先があるので普通に再就職先を探せばいい。
問題は優秀ではなく行き場がない人であり定年まで勤めるのが難しい今の役所のピラミッド構造ではどこかで面倒を見てあげないといけない。
文科省の元幹部の寺脇研さんです。
再就職に不安を抱く公務員は少なくないといいます。
さらに、天下りを受け入れる側にも事情があります。
ある私立大学の関係者は大学側に省庁との関係を強めたいという思惑が年々強まっているといいます。
公務員制度に詳しい同志社大学教授の太田肇さんです。
天下りを受け入れる側への規制も必要だと提言しています。
今回、NHKが独自に行った聞き取り調査では、ほかにもこんな回答もありまして、再就職への規制が始まり、定年ぎりぎりまで勤める職員が増えたので、人事が詰まり、停滞している部分があるという回答もあったんですが、中野さん、こうした回答、率直にどうご覧になりました?
こういうこと、確かにあると思います。
ただまあ、辞めるほうにしても、なかなか、さっきおっしゃったように、自力で転職できるかというと、なかなか難しいと思うんですね、これは公務員、民間限らず。
やっぱり日本の労働市場って、全体的に流動性が低くて、転職が一般的ではないので、役所から民間といわれても、なかなか行けない。
私自身、実は公募で大学教員になったんですけど、何度も書類を送って、やっとなったぐらいですから、やっぱりそれはみんな同じだと思うんですね。
ただ公務員の難しいところは、だからといって、組織の力でいくと、やっぱりこれはやっぱり天下りにつながっていくと。
やっぱり税金のむだづかいにつながる。
ここをどうしゅん別するかですね。
能力本意なのはいいんだけれども、やはり組織が関わりだすと、まずいということだと思いますね。
そこの線引きというか、何がどうかということを決めることが。
難しいですよね。
決めるところが難しい部分だというところですよね。
大河内さん、国は今後、ほかの省庁についても、調査をするとしていますが、今後の見通しというのは、具体的にどうでしょうか?
政府はすでにすべての省庁に対して、同様の事例がないか、調査するよう指示しました。
そして、疑わしい事例があった場合はですけれども、監視委員会が重ねて調査するとしているんですね。
官僚の天下りの問題なんですけれども、やはり民間の人たちの再就職というのが、今、これだけ厳しい状況にありますので、やはり厳しく指摘されてしかるべきことだと思います。
国民に疑念を持たれることがないように、省庁は速やかにかつ徹底した調査を行って、その結果をしっかりと公表する必要があると思います。
多くのご意見も届いております。
中には、30代の男性からは、公務員人事制度自体変えないと、天下りはなくならないという声も届いているんですが、中野さん、今後、どうすればいいのか。
さっきもおっしゃったように、なかなかやっぱり人事システムを変えるのは難しいですね。
早期退職勧奨システムがあって、60歳前に辞めてしまうという事例が非常に多い。
それは変えていく必要があるんですけれども、最近、役所もちょっと変わってきてまして、やっぱり人事も変わってきていまして、例えば、昔は同期横並びで昇進したんです、それがだんだん崩れてきたりとか、辞める年齢もだんだん高くなってきてます。
そこは変わっています。
能力で再就職する人も出てきてますんで、そこらへんの変化を見たほうがいいと思います。
変化を見ながら、片一方で、やっぱり天下りのような、今回の組織が介在したような税金のむだづかいとか、経済に…、こういうものをどう止めていくか。
で、天下りは構造問題という問題を持ちながら、片一方で、能力本位のものは認めていくと。
そういう2つのバランスいい視点が必要だと思いますね。
今後、再発防止に何が必要か、2つ提言を書いていただきましたけれども、先ほど、大河内デスクも言っていましたが、まずは全省庁調査ということですね。
今回、全省庁調査を早くやるということで、これはすごくよかったと思うんですね。
問題は項目だと思うんですね。
どういう項目を調査するか。
これまでも情報公開というのは、そうとうしてきてまして、役所も改善措置は取ってますんで、それはいいと思います。
問題は、どういう項目、これまでにないような項目を、どれだけ挙げていくかと。
例えばあっせんといっても、実態はなかなか分からないですね、これ今回も調査やりましたけど、なかなかそこは把握できないところがあるので、限りなくあっせんしたような形に近いんじゃないかと。
例えば特定のポストに特定の人が何代も続けて行っているとかですね、こういう事例がどれぐらいあるのかとかですね、特定の官庁と特定の企業とか、こういう特定のものをどんだけ暴き出せるか。
これは調査項目だと思うんです。
またこれまでにないような調査項目をしっかり出してほしい。
これが1点目の求めるところですね。
2つ目が、監視委員会の機能強化。
さらなる強化が必要だと。
そういうことですね。
やっぱり今回のこの天下りシステムは、事前規制というのを全部取っ払って、基本的能力本位であれば、天下ってもいいと、再就職はしてもいいというシステムなんですね。
ただ、そのシステムを機能するためには、やっぱりしっかりとした監視システムがいるわけですね。
なんか悪いことをやれば一罰百戒でばしっと取り締まると。
このシステムはこの中心がやっぱり監視委員会だと思います。
この監視委員会がどれだけ立件しているか。
これを見ると、やっぱり過去、非常に少ないですね。
この前あったのは、去年の消費者庁。
さらにたどると国土交通省になるんですけれども、件数が非常に少ない。
特に必要がある以外は、やっぱりなかなか調査をしない。
情報提供に頼っている部分がありますから、やっぱりこの組織をなんとか強化して、やっぱり天下りの防止に努めていかないと。
2017/01/23(月) 22:00〜22:25
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代+「いまなぜ?官僚“天下り”問題ふたたび」[字]

今月明らかになった文部科学省の“天下り”問題。“天下り”に厳しい監視の目が注がれていた中、なぜこうした事態が起きたのか。関係者や専門家を徹底取材。深層に迫る

詳細情報
番組内容
【ゲスト】神戸学院大学教授…中野雅至,【キャスター】伊東敏恵
出演者
【ゲスト】神戸学院大学教授…中野雅至,【キャスター】伊東敏恵