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字幕書き起こし クローズアップ現代+「これって“過剰”? ニッポンのサービスが変わる」 2017.01.25

何度も再配達をしてくれる宅配便。
お客様まばらでも24時間営業しているファミリーレストラン。
そして買った商品を出口まで運んでくれる丁寧な販売員の方。
とっても便利でありがたいと思いつつもちょっと申し訳ないなって思うことってありますよね。
しかも、こうしたサービスを提供する皆さんは働き過ぎで負担が重くのしかかっているんです。

 

 

 


そもそも必要なの?と思うサービスだってあります。
そこで、これまでよりサービスの質は上げつつ従業員の方の負担を減らせないのかそんな過剰サービスの見直しを始めた最前線の現場を取材しました。
1月2日の東京都心。
街のあちこちに出来ていたのは長い行列。
新年早々、初売りの福袋を買いに来たお客さんたちです。
初売りが行われる元日や2日は一年で最も稼げる日。
この日だけで10億円以上を売り上げる店もあるほどです。
そんな大切な日にシャッターを下ろし営業を休んでいたデパートがありました。
売り上げ日本一を誇るこのデパート。
ライバルと違って元日、2日と2連休なんですって。
翌3日。
出勤してきた社員たちの様子は。
家族や友達と正月休みを満喫してすっかり元気。
ことしも一年頑張りましょう!
でも一体なんで稼ぎどきに休むことにしたんでしょうか?
デパート業界は低価格が売りの衣料品専門店や品ぞろえが豊富なネット通販などに押されています。
売上高はピーク時より4割近く減少しました。
ライバルに対抗しようとこれまで初売りを前倒ししたり夜遅くまで店を開けたり営業時間を延ばす戦略を取ってきましたが事態は改善しませんでした。
現場の従業員も疲弊していました。
なんとかしなくては。
トップが決断に踏み切ります。
正月を休み、営業時間も短くする。
社員が万全の状態でお客さんに向き合いサービスの質を上げることにしたのです。
そして迎えた他社より遅い初売りの日。
社員が考えだしたのは単にモノを売るだけでなく体験を通して季節を味わえる企画でした。
社員の柔軟な接客も評判となりました。
ウエディングドレスに憧れる5歳の女の子に本物のティアラを試着させてあげたのです。
ネット通販にはまねできないデパートならではの体験にお客さんが感動したとツイート。
1万件以上リツイートされ大反響を呼びました。
また販売員は朝晩の交代制でしたが営業時間を短くしたことで一日中、同じ販売員が常連客を迎えられる態勢が整いました。
こうして工夫を重ねた結果年明けからの売り上げは営業日が1日減ったにもかかわらず以前とほぼ同じ。
正月休んだ分を取り返しました。
従業員の負担を減らしつつサービスの質も高めるための工夫は日本を代表するホテルでも始まっています。
おはようございます。
24時間365日、常にこまやかなおもてなしを提供し国内外のお客さんから高い評価を受けてきたこの老舗ホテル。
最近は海外の高級ホテルの東京進出が相次ぎさらなるサービス改革を迫られています。
伝統あるサービスの何を変えどこに力を注ぐのか。
真剣な議論が重ねられています。
細部まで検討した末にようやく実現できたのがこちら。
交換やクリーニングに手間がかかっていたテーブルクロスを一部で廃止。
お客さんの待ち時間も短縮できました。
毎回、器に盛りつけていたジャムを瓶詰めに変更。
手間が省けたうえ持ち帰ってもらうことも可能になりました。
フロントで社員が行っていた外貨の両替も機械化しほかのフロント業務をより迅速に進められるようになりました。
こうした工夫を数多く重ねた結果従業員がお客さん一人一人のニーズにこまやかに対応する余裕が生まれました。
お客さんからの評価も高まっているといいます。
サービスの見直しが始まっているようですが、ジェイソンさん、やっぱり日本のサービスって、ちょっとやり過ぎですか?
やり過ぎるところもありますけどね、こうやって社員、その店員さんの負担を減らしながら、サービスの品質、クオリティーを上げることも、実は因果関係がちょっとあるところもあると思いますね。
ちゃんと両立できてましたもんね。
両立できてました。
というか、それだから、その品質も上がっていったと思います。
アメリカですと、クリスマス、正月じゃなくてクリスマスなんですけど、働かないのは当たり前で、もう365日間ずっと開いてる店でさえ、唯一、クリスマスは閉店するのは当たり前。
日本人は働き過ぎですよね。
本当に正月に出かけないといけないとか、そういうニーズがあるのかとかを確認しないまま、みんなそういうサービスを出しますというのはちょっとね、やり過ぎかなと。
伊藤さん、どうして日本のサービスはこうなってしまったんでしょう?
同質競争というんですか、日本ってもともとそういう社会ではあると思うんですけど。
同質競争?
同質。
人と違って、人がやってることを、自分はもっとよくありたいというのがどうも行き過ぎちゃってこういう形になってしまっていると。
もう一つは、この25年、もうけが停滞してて、やっぱり非常に人が余ってたもんですから、やっぱり安い労働力を使い捨てしたほうがうまくいくという、間違ったやっぱり考え方を持った経営者がたくさんいたということになると思いますね。
今では、そういうわけにはいかないというわけですもんね。
今回はテレビをご覧の皆さんにも、ちょっとこれはっていうサービスを事前にお聞きしましたら、来ました、たくさん。
このような、ちょっとこれはいらないんじゃないの?っていうようなサービスもありますが、ジェイソンさんは実際日本で体感した過剰サービス。
例えば、この中だと、居酒屋での元気すぎる掛け声。
いいじゃないですか、お店入ったら。
いやいやいや、驚きます。
いらっしゃいませ!と、なんの攻撃ですか?
もう攻撃と思っちゃう?
普通に、入ってますから、そこまで声をかけてもいいんじゃないですかと。
もう入ってるんだから。
ちょっとアメリカでは有名な話で、日本に、レストラン入ると、攻撃される。
怖いと。
よかれと思って、やってるんですけれどもね。
じゃあどうやれば企業側は、お客さんが本当に求めているものを把握できるのか。
どうやら企業側もなかなか苦労をしているようなんです。
さあ、こちらのトレーニングジム。
以前はお客さんに熱心に声をかけていました。
答えるのがかなりつらそうですよね。
サービスのコンサルタントによると、こうした接客は。
そこで、集中して体を鍛えたい人には、声かけなどはせず、見守ることに。
逆に、ゆっくり体を動かしたい人には、タイムなどの目標を設定することを控えるようにしました。
ジェイソンさん、やっぱり一人一人が何を求めてるかっていうのをちゃんと把握しないとだめみたいですね。
僕だったら、頑張って走ってたら、声をかけないでほしいですね。
でもそれはお客さんのことを思ってるんですよ。
お客さんは思ってるんですよ。
なんかたぶん、ルールブックに頼り過ぎてると思いますね。
ルールが全部決まってて、お客さんがいれば声をかけること。
常識で一人一人は別で考えてないと思います。
それをちょっと考えてほしいですね。
考える必要があります。
ルールのほうがちょっと上回ってしまっている感じが。
上回りますね。
しかもそれでコストも考えてないですね。
こういうようなことを全部やると、すごいコストがかかるんですけど、本当に必要なのかということですよね。
そうですよね、伊藤さん、これからサービスをもちろんいいものにしていくことと、さっき出たコストを考えながら、生産性も上げていく、どうすれば?
1つはやっぱり、このサービスの分野ってどんどん変わっていくんですよ。
スポーツジムで声かけた方は、5年前にあれ、やってたじゃないと思うわけですね。
常に状況に合わせていいものにしていくと、…大事だと思いますよね。
それからもう一つはやっぱり、マニュアルの問題なんでしょうね、だから結局マニュアルというのは、短期間でいろいろなことができるんだけど、結果的には変化についていけないと。
有名な話であるハンバーガーチェーンで、100個くれというようなお客さんが来て。
100個?
当然、どっかに持って帰るんだと思うんですけれどもね、店員さんはなんて聞いたかというと、店員さんはね、ここでお食べになるか、お待ちになるかと。
だから考えてないですよね。
マニュアルどおりにしてしまったということですよね。
でも、そうせざるをえない店側の事情というのも、マニュアルがあると便利だとか、そういった事情もなきにしもあらずですけれども、そうしてると生き残れない?
やっぱり、現場がどれだけお客さんのことを考えてね、自分で行動するかと。
まさに、ジェイソンさん、おっしゃったね、頭を使うってことですね。
考えましょう。
そうですね。
もう一つ、ヒントとなりそうなのが、そうしたお客さんと、サービスを提供する側の関係性を表していることばの一つがこちら。
お客様は神様ということばがあります。
じゃあ神様であるお客様の求めなら、なんでも応えればそれでいいのでしょうか。
サービスの質を高めるためにお客さんとの関係を思い切って見直したという人がいます。
京都でレストランを営むシェフの前田元さんです。
以前勤めていた店ではお客さんの要望にはすべて応えるようにと命じられていました。
たばこや胃薬を買ってきて。
店の前まで車を回してといった食事と直接関係ないリクエストを受けた場合も断ることはできませんでした。
前田さんがとらわれていたお客様は神様、ということば。
実はもともと全く違う意味でした。
歌手の三波春夫さんがステージ上で無の境地になるために使ったのが最初だったそうです。
その後、独立したシェフの前田さんはたとえお客さんからのお願いでも食事に関するもの以外は丁重に断ることにしました。
従業員は最高の空間で最高の料理を提供することに専念できるようになったと喜び常連客との関係も良好なんだそうです。
この客との関係を巡って揺れているのが異物混入問題に悩まされてきた食品業界です。
1匹の虫の混入で数十万個の商品を回収し経営を揺るがす事態に陥ることもあります。
発端となるのはネット上での消費者からの指摘。
情報が拡散し企業イメージが悪化するのを恐れて虫などが混入していない商品まで大量に回収してきたのです。
そうした中、お客さんとの対話を深めることで過剰な回収を防ごうとしている企業があります。
弁当用のミートボールを製造している千葉県のメーカーです。
異物が混入しているのではないかという声が年間200件ほど届きます。
ビニールかもしれないと問い合わせがあったこの物質を調べてみると…。
実は指摘の半数はこうした心配のないもの。
さらに実際に虫などが混入していた場合でも回収の判断は慎重に行います。
回収する判断の目安を示した業界団体の手引書です。
体に危害を与える病原菌などが混入した場合はリスクのある商品すべてを回収しなければならないとしています。
一方、虫などは通常危害発生の可能性がないため回収の必要はなく当事者と問題を解決すればいいとされているのです。
このメーカーでは必要のない回収を行えば最終的にはコストに跳ね返りお客さんにも迷惑をかけてしまうと考えています。
このメーカーではお客さんの不安を拭うためあらゆる手を尽くしています。
まず製造過程で異物が混入していないことをX線などの検査機器で何度もチェックします。
さらに万一混入が発生した場合は生産過程をたどっていつ、どの工場の、どのロットで製造されたのかを特定。
ほかの商品にも混入があるどうかを確認しお客さんに速やかに回答できる体制を整えました。
丁寧な説明で不安が解消されたお客さんからはよりファンになったなどと励ましの声が届くまでになっています。
ジェイソンさん、日本ではお客様は神様だった。
その表現、よく聞きますけども、結局、誤解だったんですね、それは。
間違えてたっていう。
間違いの意味で使われてたんですけれどもね。
なんか、なんでもやってあげるという気持ちは、逆に、その会社や、そのサービスを出してるところの専門性のあるところ以外に、時間を使ってしまうということで、サービスからちょっと悪化してしまうことにつながると、逆効果があると思いますね。
本当はつながってないことを断って、自分の強みのあるところだけ力を入れるのが一番いいと思いますね。
その価値をその分売れるという。
伊藤さん、ちょっとここまで見てみると、私たち消費者側の意識も、ちょっと考え直さなきゃいけない部分もありそうですね。
消費者は神様って、本当に神様になっちゃってですね、よく店で大声でどなったり、こういうのが許されるような雰囲気っていうのは、やっぱりよくないですよね。
ですからそこはやっぱり消費者のほうが考えなきゃ行けないと思いますし、やっぱり売る側も、考えなきゃいけないと。
これはやっぱり人間と人間の関係なんですよ。
特にサービスっていうことになると、人間のふれあいが非常に重要でね、マーケティングで非常に有名なことばがあるんですけど、マーケティングというのは自分の売ってるもののサービスをもっと売るための手練手管じゃない?と。
自分が売る側が何が大事かという価値をしっかり認識して、それをまあ、お客さんに伝えると、人間なら、逆に伝えると。
残念ながら今、お客様が神様になっちゃって、売るほうもお客様を人間として見ていない。
マニュアルの対象になっちゃってるわけですね。
でも本当にお客様が人間として何を求めているかということが分かれば、そこからいろんなやっぱり、新しい、もとより意味のあるサービスが出てくると思いますけどね。
お客様はお客様であるというね、シェフのことばもありましたけれども、お客様を人間に戻さなきゃいけないということがありますよね。
これから日本のサービスがよりよい本当のサービスに近づくためには、消費者側として、結局どうすればいいんでしょうか?
私一つやっぱり期待していることがあって、高齢化もあるんですけど、人手不足で、やっぱりこういうむだなサービスっていうことをやっているとやっぱり企業としても成り立たなくなってるんですね。
成長しなくなってしまう。
だからまあ、そういうところでみんな考えると思うんです、立ち止まってね。
ですからそういう中で、さっきジェイソンさんおっしゃったように、本当に違うところは何かということを、みんな考え始めると、そこから意味のあるサービスが生まれてくると。
一生懸命、サービスをやろうとすること自身は、日本の私はいい伝統だと思いますから、それを本当の方向に向けてほしいですよね。
本当に必要なサービスを探すことって、でも難しいですよね。
難しいですね。
そのお客さんも、本当に何が必要なのかを、自分でも分からない場合が多いんですね。
だから僕だったら、企業として実際にお客さんが何をやっているのかをデータとして集めて、それを分析する必要があると思いますね。
何を求めてるかちゃんと見えるような形に?
見えるような。
例えば、こういうことを言ってますけど、実際に、店に入るときはこういうような所に行きます、こういうようなものを使います、こういうような使い方を、サービスを使ってますということですよね。
実際にやってることを見えたら、それをやることに力を入れると。
2017/01/25(水) 22:00〜22:25
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代+「これって“過剰”? ニッポンのサービスが変わる」[字]

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詳細情報
番組内容
【ゲスト】IT企業役員・米出身タレント…厚切りジェイソン,学習院大学教授…伊藤元重,【キャスター】伊東敏恵
出演者
【ゲスト】IT企業役員・米出身タレント…厚切りジェイソン,学習院大学教授…伊藤元重,【キャスター】伊東敏恵