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セリフ書き起こし 嫌われる勇気 #03【天才女子高生VS女刑事!競争が生んだ悲劇】 2017.01.26

はいもう一丁!
(青山)しゃっ!
(青山)よっしゃ!もう一丁!
(浦部)あいつ何か生き生きしてますね。
(小宮山)柔道3段だって。
(浦部)へえ〜あいつが。
しゃっ!ありがとうございました。
三宅さんも一本どうですか?

 

 

 


(三宅)あっ僕は結構です。
庵堂さんは?いくら怖いからって見てるだけじゃいざというとき誰も守れませんよ。
お願いします。
(蘭子)お願いします。
どこからでもどうぞ。
(大文字)庵堂君の弱点ですか。
(めい子)彼女先生の教え子なんですよね。
(大文字)なぜそんなことを知りたがるんですか。
リベンジするためです。
何か不愉快な思いでもさせられたんですか。
私の見立てに必ずケチつけるんです。
彼女が捜査一課でトップの検挙率を誇っていることは認めます。
けど私だって若手のホープといわれた監察医なんです。
残念ながら庵堂君に弱点なんかはありませんよ。
えっ…。
(めい子)嘘…。
弱点のない人間なんていません。
あなたの顔を気にしているのはあなただけです。
きっと庵堂君ならそう言うでしょう。
どういうことですか?人生とは他者との競争ではないということです。
嘘だろ…。
もう一本お願いします。
(蘭子)時間の無駄です。
柔道だけは自信があったのに。
(浦部)哀れな男だな。
(バイブレーターの音)はいもしもし小宮山です。
分かりました。
おいみんな殺しだ。
すいません。
通してください。
すいません。
ご苦労さまです。
ご苦労さまです。
(浦部)おい急げ!はい。
(小宮山)被害者は吉野沙織29歳。
慶徳女子高校の数学教師だ。
(梶)慶徳女子?
(小宮山)あれ梶さん知ってるの?
(梶)都内でも有数の進学率を誇る名門校ですよ。
嫁が娘を入れたがってて。
若い家庭教師まで雇っちゃって。
(由稀菜)それって男の人ですよね?
(梶)そうだけど。
(由稀菜)奥さんの家庭教師だったりして。
んっんっんっ?何を教えてもらってるんだ。
凶器見当たりませんね。
(小宮山)それにしてもずいぶん派手に荒らされてるな。
(浦部)財布に腕時計預金通帳にパソコン。
金目の物は全部持ち去られてます。
あっ…。
おい。
強盗殺人とみて間違いないでしょ。
第一発見者は被害者の教え子だそうです。
名前は仁科恵。
今下で保護されています。
(恵)夕方の5時に家を訪ねる約束をしてたんです。
それで先生の部屋の前に着いたら鍵が開いてて。
(恵)《えっ!》
(浦部)犯人の背格好は?
(恵)顔は見てないですけど黒いジャンパーを着てニット帽をかぶってました。
それで身長は170cmぐらい。
たぶん男の人。
ありがとう。
緊急手配だ。
(浦部)はい。
お前たちは現場周辺の聞き込みを続けろ。
はい。
あっ帰るなら送ってくよ。
あなた亡くなられた吉野先生とかなり親しくされていたようですね。
スマホに残っていた写真を見ました。
それが何か。
よくそこまで冷静でいられるなと思いまして。
ショックが強過ぎて実感が湧かないんです。
今日はどんな用件でこちらに?
(恵)どうしてそういうこと聞くんですか?事件と関係ありますか?関係あるかないかは私が判断することであなたが判断することではありません。
面白いこと言うね。
おばさんって。
「おばさん」あっ待って送ってくから。

(めい子)死亡推定時刻は昨日の午後2時から4時の間。
死因は鋭利な刃物で背中を刺されたことによる失血死。
防御創はなく犯人は一撃で仕留めてる。
おそらくこれはプロか力の強い男の仕業ね。
また妄想ですか。
私はただ監察医の見地から…。
他に気になる点は?右手の手のひらにかすかな赤みがあった。
湿疹かかぶれですかね。
早急に原因を調べてください。
(めい子)それが人にものを頼む態度…。
お願いします。

(美由紀)失礼します。
急に呼び出してごめんね。
警視庁の青山です。
亡くなられた吉野先生はあなた方の担任だったそうですね。
(美由紀)はい。
どんな方でした?どんなって…。
とってもいい先生でした。
勉強の教え方も上手だったし。
すごく明るくてみんなから慕われてました。
仁科恵さんと特に親しくされていたようですが。
ああ…。
どうかした?恵って何か近寄りがたくて。
入学以来ずっと学年トップで。
でも私たちのこと敵視してるっていうか。
誰とも仲良くしようとしなくて。
(沙織)《あなた仁科さんよね?》《詩好きなんでしょ?これもしよかったら》
(美由紀)けど吉野先生はそんな恵にも優しく接していたんです。
恵も吉野先生にだけは心を開いてるみたいで。
(絵梨子)だってさ。
(葵)いってきな。
何かご用ですか?
(葵)早く。
(絵梨子)あの私たちちょっと気になることがあって。
気になること?1週間ぐらい前に見ちゃったんです。
(沙織)《ちょっと何やってんのよ!》
(葵)恵と吉野先生が激しく言い争ってるとこ。
(葵)何かさ険悪な感じで怖かったよね。
(絵梨子)うん。
仁科さんは今どちらに?さあ。
あっでも教室にはいませんでした。
えっ登校してるの?
(絵梨子)はい。
今日は休んでると思ったのに。
(裕子)もしかして屋上かも。
恵よく1人であそこにいるから。
(裕子)恵!?あっちょっと君!落ち着いて。
落ち着いて。
落ち着け!あっ…。
落ち着くのはあなたです。
(恵)犯人ってもう捕まったんですか?いやそれはまだ…。
結構ずさんな手口だったし素人の強盗なんじゃありませんか?盗みに入ったところを先生に見つかってとっさに殺しちゃったとか。
その推理明確に否定します。
部屋中の指紋は拭き取られた跡がありました。
それにパソコンのアダプターやACケーブルは手付かずのまま残っていました。
もし犯人が売却目的でパソコンを持ち去ったならそういった物も一緒に持ち去っているはずです。
わざと強盗の仕業に見せ掛けたってことですか?おそらく犯人は被害者の身近な人間です。
70点あげるその推理。
あなたは昨日の午後2時から4時の間どこで何をしていました?えっ庵堂さん?フッ。
もしかして私のこと疑ってます?忘れちゃった。
知りたければ勝手に調べてください。
(裕子)恵!彼女の自宅の住所教えてください。
(半田)えっ北野がセタガヤヒガシ署の署長に?おっそうか。
いやいやいやいや。
俺は現場が好きだし昇進なんて考えてないよ。
(半田)ああそうだな。
じゃあ近いうちに祝杯挙げよう。
うんそれじゃあ。
係長。
被害者の身辺洗ってみたところ怪しい女がいました。
被害者の元同僚で三島玲子という英語教師なんですが半年前彼女の婚約者が吉野沙織に手を出してひと悶着あったそうなんです。
(半田)それで?結局三島玲子は婚約者と別れて学校を去ったそうです。
しかし目撃証言によると犯人は男だったんだろ?犯人は実行犯を金で雇ったんですよ。
そんな簡単に雇えると本気で思ってんの?はい。
(半田)フッ。
はい。
いやそうだとしてじゃあどうして半年もたってから。
辞めた直後なら疑われますが半年たった今ならその心配もない。
それが犯人の狙いなんですよ。
よしじゃあその方向性で。
まずは三島玲子に話を聞きに行こう。
(浦部)はい。
いってきます。
(浦部)いってきます。
俺が出世できないのはあいつらのせい!!
(チャイム)・
(美子)あの。
(美子)うちに何か?数学オリンピック金メダルに国連英検特A級。
はあ〜すごい。
(美子)きっと夫に似たんだと思います。
私は無名の短大出身ですから。
どうぞ。
ありがとうございます。
ご主人お仕事は?商社勤めで10年前からカイロに。
あっじゃあその間ずっと娘さんと2人きりで?ええ。
この1年ほどは植物園で週に何度か働いてますけど。
いつもここで勉強させてるんですか?
(美子)はい。
娘は昔から1教えたら10覚える子でしてね。
どの先生からも望む大学へはどこへでも入れるって将来を期待されて。
亡くなられた吉野先生からも期待されてました?えっ?恵さんと仲が良かったんですよね?さあどうでしょうか。
恵さんが帰ってくるまでここで待たせていただいてもよろしいでしょうか。
実はこの1週間ほど帰ってこないんです。
家出ってことですか?いえ。
しばらくは友達の家に泊めてもらうからってちゃんとメールが来ましたから。
私は娘のために一生懸命頑張っています。
娘のためを思ってよかれと思うことは何だってしてきました。
これからだって同じです。
私ができなかったことは全て娘にしてあげたいんです。

(玲子)確かに吉野先生とトラブルになったのは事実です。
(玲子)彼女のせいで私は婚約者を失ったんですから。
でも吉野さんを最初に誘ったのはあなたの婚約者の方だったんですよね?
(浦部)あなたはどっちを信じたんですか?悔しいけど吉野先生は魅力的だったしわざわざ彼女の方から彼を誘ったとは思えませんでした。
でも学校を辞めた日ようやく気付いたんですどっちが嘘をついていたか。
(半田)しかしなぜ吉野沙織がそんなことを?三島玲子に何か恨みでもあったのか?
(小宮山)それについては三島玲子もまるで身に覚えがないと。
おおかた女同士のいがみ合いってとこでしょ。
(小宮山)取りあえず明日婚約者だった男に話を聞きに行ってきます。
(半田)よろしく頼む。
で凶器の方は?梶さんが調査中ですがまだ見つかってません。
(半田)そうか。
(三宅)あの…。
被害者の携帯の通話履歴を入手しました。
えっ?
(小宮山)いつの間に。
ちょっ…。
(三宅)あとこれ吉野沙織のSNSの記録です。
三宅君素晴らしい。
しかしよくアカウントが分かったね。
(三宅)被害者の個人情報から推測しました。
デートにグルメに海外旅行。
まさにリア充ですね。
あれ?庵堂さん?
(半田)よし青年。
この捜査資料を大文字教授に届けてくれ。
何か手掛かりがつかめるかもしれん。
はい。
一通り目を通しました。
それで先生のご意見は。
庵堂君は相馬君とはうまくいっていますか?えっ?あ〜いやあんまり。
それが何か?相馬君は庵堂君のことを同じ働く女性としてライバル視しているようです。
はい。
競争や勝ち負けを意識すると必然的に生まれてくるのが劣等感です。
劣等感を抱くのはいけないってことですか?
(大文字)いえ劣等感それ自体を否定しているわけではありません。
それじゃあ…。
健全な劣等感とは他者との比較から生まれてくるものではなくて理想の自分との比較から生まれてくるもんなんです。
「理想の自分」人は誰もが違ってます。
性別年齢知識経験。
まったく同じ人間なんてどこにもいない。
ですがわれわれは同じではないけれど対等なんです。
そんなの勝ち組の論理ですよ。
明らかに人より劣っていてコンプレックスの固まりのような人だっていますよね。
アドラーが唱える問題はそこです。
競争には勝ち負けが付きまといます。
常に他者を意識し敗者にならないために勝ち続けなければいけません。
競争の中に身を置く人の心は休まることがないんです。
確かにそうかもしれませんが。
(大文字)ですが実際のところ他者はそれほどあなたのことを気にはしていません。
だから私は相馬君にこう言ったんです。
あなたの顔を気にしているのはあなただけだと。
(道子)先生。
講義のお時間です。
(大文字)話は以上です。
あっ待ってください。
まだ犯人像を聞いてません。
今話しましたよ。
競争の中に事件をひもとくヒントがあると。
「競争の中に」
(台をつつく音)
(土方)いけいけ!ゴーゴー!いけ!いけほら!
(台をつつく音)何してるんですか?いや見て分かるでしょ。
競争ですよ。
おっと亀が一歩リード。
逃げ切るか?もしかして話聞いてました?こうして仕切りを作ればね他者を意識せず自分との勝負になるんですよ。
なるほど。
(土方)おっとここで亀が転んでウサギが…あっ。
ゴール!
(道子)今月の領収書早く提出してください。
(土方)はい。
(裕子)恵。
(恵)何?最近様子がおかしかったから気になっちゃって。
何言ってんの?友達でもないくせに。
でも小学校からずっと一緒…。
(恵)うざいから消えてよ。
よくここが分かりましたね。
吉野先生のスマホの中にここであなたとお茶をしている写真がありました。
それで?あなた頻繁に吉野先生に電話をかけてましたよね。
それがここ1週間ぴたりと止まっています。
しかも同じころ家も飛び出しています。
これは偶然でしょうか。
1人チェスって意外と面白いんですよね。
自分が何考えてんのかもう一人の自分が客観的に観察してるんです。
でそれを繰り返しているとだんだん見えてくるんですよ。
自分が本当はどんな人間なのか。
話をそらさないでください。
私が吉野先生を殺したと思ってんでしょ?だったら証拠持ってきてよ。
恵。
もしかして裏アカ見たんですか?裏アカ?恵のこと嫌ってる子たちがSNSにつぶやいてるんです。
恵が怪しいって。
みんなそうやって人には言えない悪口や本音を書き込んで楽しんでるだけなんです。
でも恵はいつも私は誰に嫌われても構わないって。
相馬先生。
例のかぶれの原因分かりました?庵堂蘭子に頼まれたの?いやそうじゃないですけど。
ねえ青山君ってさ悔しいって思ったりしないの?えっ?いっつも庵堂蘭子に振り回されて。
ああ…。
確かに庵堂さんは身勝手だし手がかかります。
一緒にいて腹が立つこともしょっちゅうです。
だったらもっと自分の我を通せば…。
でも僕は庵堂さんに勝ちたいって思ったことはありません。
だって一緒に事件を解決していく仲間ですから。
なるべく早くお願いします。
何なのよ。
(三宅)これですね。
吉野沙織の裏アカ。
パスワードも解けました。
(半田)三宅君。
さすがです。
それプリントアウトしてください。
「生徒たちの理想を演じるのも疲れる」「誰も私の正体に気付いてないんだもん」「あいつらみんなバカ」「ガリ勉ばっかでくそつまんない」何だよこれ。
吉野沙織がひそかに吐き出していた毒です。
(小宮山)係長。
三島玲子の元婚約者に話を聞いてきました。
最初に誘惑してきたのはやっぱり吉野沙織だったようです。
カリスマ教師の裏の顔ってやつか。
分からんもんだな。
んっ?相手からのレスにこんなつぶやきが。
「そのJKまだ家にいるの?」「そろそろ追い返したらいいのに」このJKってまさか。
(梶)例のさ娘の家庭教師の件。
思い切って嫁に聞いちゃったんだよ。
ホントはお前の家庭教師なんじゃないかって。
(由稀菜)奥さんは何て?殴られたよグーで。
それから口利いてくれないんだ。
(由稀菜)あっ!見つけちゃいました。
(梶)お〜。
また来たの?吉野沙織のSNSの裏アカを見つけました。
半年前同僚だった三島先生の婚約者を最初に誘惑したのは吉野先生だったようです。
何でそんなこと。
三島先生に対する劣等感です。
吉野先生の経歴を調べました。
彼女は高校受験であなたの学校を受けましたが失敗しています。
その後死に物狂いで勉強し一流の私大に入りました。
一方三島先生はあなたの学校に合格しハーバード大学を卒業して母校の英語教師になった才女です。
(恵)《三島先生結婚するんだ?》《そう。
やっとプロポーズしてくれてね》学歴結婚あなたからの信頼。
全てを手にしている三島先生の前で吉野先生は競争に敗れた敗者でした。
三島先生の婚約者を略奪し退職に追い込んだのは彼女の愚かな復讐だったんでしょう。
これは吉野先生の裏アカです。
ここにはあなたへの羨望嫉妬そして悪意がつぶやかれています。
あの学校をトップの成績で合格したあなたは彼女にとって理想的なかつての自分でした。
吉野先生は自分を落とした高校で理想の教師を演じあなたを理想の自分に見立て育てることで生き直しを図ろうとしていたんです。
でもしょせん他人は他人。
結局は自分よりも優秀なあなたに対しても劣等感を抱くようになった。
お読みします。
「例の生徒またうちに来るって。
マジうざい…」もうやめて。
教員室に行ったとき偶然見ちゃったの。
(通知音)《何これ…》《ちょっと何やってんのよ!》《先生…それどういうこと?何かの冗談だよね?》《あんたってホントバカ》《私があんたみたいな社交性ゼロな人間と仲良くするわけないでしょ》《先生…》《みんなあんたのこと嫌いって知らないの?》人生最悪の瞬間だった。
あんな女にだまされていた自分にうんざりした。
それで彼女を殺したんですか?だから証拠は?どうせないんでしょ?チェックメート。
今日の推理はゼロ点。
私の勝ち。
(浦部)凶器のナイフに付着した指紋と君の指紋が一致した。
少し話を聞かせてもらってもいいかな?
(小宮山)君は被害者に成り済ますことを思い付いた。
だがわれわれの目はごまかせないよ。
(浦部)君が吉野先生を殺した。
違うかな?私じゃありません。
(小宮山)じゃあ凶器の指紋はどう説明するのかな?きっと私が気絶している間に犯人が握らせて指紋をつけたんです。
他者を常に意識し敗者にならないため勝ち続けなければならない。
大文字先生がそう言ったんです。
彼女は僕ら警察にも勝負を挑んだつもりだったのかもしれませんね。
じゃあもう一度聞くけど。
(恵)あっおばあちゃん。
えっ?
(恵)1月23日の午後2時から午後4時は渋谷のアステルっていうネットカフェにいました。
(恵)その店に入るときおばあちゃんが買い物袋を落として一緒に拾ってあげたんです。
どうして今まで黙ってたんだい?
(恵)急に思い出したんです。
嘘だと思うなら調べてください。
(三宅)1月23日の午後2時から4時。
完全なアリバイですね。
いったいどうなってんだよくそ!何かトリックを使ったのかもしれない。
(半田)とにかくもう一度ゼロから…。
ゼロから立て直しだ。
(一同)はい。
恵!?疲れた。
もう寝る。
待って。
勉強はちゃんとしてたのよね?今週末は全国模試でしょ?また1位取らないと。
久々に帰ってきて言うことがそれ?お母さんはあなたを縛り付けようなんて思わない。
ただね勉強だけはしっかりしないとね。
これは恵のためを思って言ってるの。
これからやるから。
ちょっと恵。
いったい何がどうなってるんでしょうか。
競争の中に事件をひもとくヒントがあるって言ってましたよね?だから僕はてっきり常に周りと学力を競い合ってる彼女が犯人なんじゃないかって。
競争に関して一つ勘違いしないでいただきたいことがあります。
何でしょうか。
アドラーはより優れた存在であろうとする優越性の追求については人間の普遍的な欲求だとして認めています。
待ってください。
それって他人を押しのけて上にいこうってする欲求のことなんじゃ。
違います。
優越性の欲求とは自ら足を一歩前に踏みだす意思のことであって他人よりも上を目指そうとする競争の意思のことではありません。
つまり誰とも比較せず競争することもなくただ前を向いて歩いていけばいいんです。
今回の事件はそれができなかったことによって生まれた悲劇です。
まあ庵堂君ならすでにそのことについて気付いているはずですが。
(めい子)例のかぶれの原因特定できた。
待っていました。
勘違いしないで。
帰るついでに持ってきてあげただけだから。
ありがとうございます。
(めい子)私の顔を気にしてるのは私だけか…。
(めい子)何でもない。
独り言。

(恵)《1人チェスって意外と面白いんですよね》《自分が何考えてんのかもう一人の自分が客観的に観察してるんです》
(美子)《娘は昔から1教えたら10覚える子でしてね》
(恵)《だったら証拠持ってきてよ。
人生最悪の瞬間だった》
(美子)《私ができなかったことは全て娘にしてあげたいんです》チェックメート。
見つけた。
恵。
どこに行くの?どこに行こうと私の勝手でしょ。
ちょっと待って。
お母さんの何がいけないの?あなたのためを思って心配してるだけなのに。
そうでしょ?恵。
待ちなさい恵!恵!
(美子)刑事さん…。
真相は全て分かりました。
少しお時間よろしいでしょうか。
あの日犯人は吉野先生の部屋を訪れ彼女を殺害した。
おそらく最初から殺すつもりはなかったんでしょう。
犯人はそのまま逃げるように立ち去りました。
そして数時間後もう一人の訪問者が吉野先生の遺体を見つけました。
その人物は犯人の正体に気付きとっさに現場を工作して物取りの仕業に見せ掛けた。
そしてもう一つ保険をかけたんです。
万が一のときには自分に容疑の目が向けられるように。
吉野先生の遺体の手のひらにはわずかにかぶれがありました。
アレルギー体質だったんです。
彼女のスマホに事件当日の午前中に撮影されたネイルの写真がありました。
しかしそこにはまだかぶれはありませんでした。
つまり彼女の手がかぶれたのは殺される直前だったということ。
吉野先生のアレルギーはカトレアという植物が原因となって引き起こされる症状でした。
おそらく犯人に襲われた際カトレアの花粉が付着した犯人の衣服に手が触れてしまったに違いありません。
お母さんの働いている植物園ではカトレアを栽培していますよね。
あなたが吉野先生を殺した犯人です。
そして偽装工作を行ったのはあなた。
恵さんです。
あなたは凶器のナイフに自分の指紋をつけわざとマンションの敷地内に捨てた。
見つかっても警察の追及から逃れる自信があった。
なぜならあなたには完璧なアリバイがあったから。
仁科美子さん。
もう言い逃れはできませんよ。
私はただ恵のために。
なのにあの女がいけないんですよ。
私から恵を引き離そうとして。
(美子)《ここにいることは分かってるの》《あなたが家出するよう唆したんでしょ》《私は知りませんよ》《嘘つかないで》《あの子は家出をするような子なんかじゃありません》《全国模試だって控えてるの》《どこにいるのよ!早く教えなさいよ!》《どこにいるのよ!》《いいかげんにしてくださいよ》《低学歴の親が教育に口出すとろくなことないんですよ》《自分は出来が悪かったくせに子供に過剰な期待寄せちゃって》《いったぁ》《違います》《私は恵のために》《そういうの子供からしたら重いんじゃないんですか?》《だからあんな生意気な子供に育つんですよ》《クラス中から嫌われてるって知りませんでした?》《あなたの娘が》《ここにいませんから帰ってください》
(美子)この17年私は恵がどうすれば幸せになれるかそれだけを考えて生きてきました。
恵のためだけに頑張って生きてきたんです。
あの女の所にいたら恵は不幸せになる。
だから私はあの女…。
その考え明確に否定します。
あなたは恵さんのために吉野先生を殺したんじゃありません。
あなたは自分の劣等感を消すため恵さんを通して人生の生き直しを図ろうとしてきた。
その邪魔になるものをあまりに安易なやり方で取り除いただけです。
吉野先生もまた自分の劣等感を消すため恵さんを利用した。
恵さんはあなたたち身勝手な大人の犠牲者です。
高校に入るまでは何の疑いもなくお母さんに言われるがままに生きてきた。
でも勉強なんて大っ嫌いだった。
ホントは友達と遊びたかった。
だからそのことをお母さんに言ったらあなたのために頑張ってるのに何でそんなこと言うのって。
そのとき気付いた。
私のためなんかじゃない。
自分の価値観を私に押し付けてるだけなんだって。
だから吉野先生に引かれたんだね。
自分を理解してくれると思って。
事件があった夜吉野先生の家に行ったのは何で?携帯の留守電にお母さんからメッセージが入ってた。
あの女の所にいるんでしょ?今から連れ戻しに行くって。
それであの部屋に行ったら…。
どうしてお母さん助けちゃったんだろ。
それはあなたの弱さです。
結局はお母さんと離れる勇気がなかったんです。
お母さんに反抗していたのもお母さんに認めてほしかったから。
本当に自立していれば反抗などしません。
あの人はちょっと言葉足らずなところがあってね。
えっ?あなたはこれから誰のものでもない自分の道を選んで真っすぐ前を向いて歩いていけばいい。
きっとそう言いたかったんだと思うよ。
はい。
そうですか。
無事解決しましたか。
でも何だか昨日一晩中寝ないで考え込んじゃって。
何を考えたんですか?確かに僕は今回の事件で競争から抜け出し理想の自分を追求することの大切さを学びました。
でも先生。
競争するな劣等感を捨てろって言われてもそんなことを実際に実践できるのは庵堂さんぐらいですよ。
僕みたいな凡人にとってはもっと頑張れよって肩をたたかれてるようなもんです。
精神論のアドバイスですよ。
要するにあなたは具体策を提示してほしいわけですね。
そうです。
そのとおりです。
分かりました。
では次は自由についての議論です。
自由について?
(大文字)ええ。
自由とは何かについて考えてみましょう。
2017/01/26(木) 22:00〜22:54
関西テレビ1
<木曜劇場>嫌われる勇気 #03[字][デ]【天才女子高生VS女刑事!競争が生んだ悲劇】

進学校カリスマ女教師殺害事件発生!天才女子高生がアドラー刑事・庵堂蘭子に闘いを挑む!女VS女の緊迫の頭脳戦の行方は!?他者との競争が生んだ悲劇。

詳細情報
番組内容
名門女子高の数学教師・吉野沙織(上野なつひ)が自宅マンションで殺害された。部屋は荒らされ、財布、パソコン、携帯電話などが持ち去られていることから、浦部(丸山智己)は強盗殺人だろうと推測。沙織の教え子で、遺体の第一発見者の仁科恵(高月彩良)は、犯人らしき男を見たと証言した。蘭子(香里奈)は、小宮山(戸次重幸)と浦部からの事情聴取を終えた恵に声をかけた。なぜ沙織のマンションを訪ねたのか、と聞く蘭子に
番組内容2
恵は、事件とは関係ないと言い放つ。
沙織を司法解剖しためい子(相楽樹)は、右の手のひらに赤いかぶれのようなものがあると報告。早急に原因を調べてくれとそっけなく返す蘭子に、それが人に物を頼む態度かと、いら立ちをあらわにする。めい子は、蘭子に不満を募らせていて、それを大文字(椎名桔平)に相談していた。
蘭子は青山(加藤シゲアキ)と、沙織が勤めた高校へ行き、恵の同級生に話を聞いた。沙織が優秀な教師で
番組内容3
生徒からも信頼されていたこと、特に恵と親しかったことなどを確認。一方、恵は入学以来学年トップの成績だが、同級生の誰とも交流をしていないことがわかった。
その後、蘭子と青山は恵の自宅を訪問。母親の美子(霧島れいか)は、恵が学業でとった数々の賞状に驚く青山に、恵が優秀なのは自分ではなく夫に似たせいだろうと話した。娘のため、自分にできることは何でもしてきたと話す美子に、蘭子はある違和感を抱く。
出演者
香里奈 
加藤シゲアキ(NEWS) 
相楽樹 
戸次重幸 
丸山智己 
桜田通 
飯豊まりえ 
岡崎紗絵 
寿大聡
 ・ 
正名僕蔵 
升毅 
椎名桔平
スタッフ
【原案】
岸見一郎 
古賀史健 「嫌われる勇気」(ダイヤモンド社) 

【脚本】
徳永友一 
大石哲也 
ひかわかよ 

【企画】
渡辺恒也 
橋爪駿輝 

【プロデュース】
目黒正之 
井元隆佑 

【演出】
池澤辰也 
及川拓郎 
星野和成 

【音楽】
得田真裕 

【主題歌】
大塚愛 「私」 

【オープニングテーマ】
NEWS 「EMMA」 

【制作】
フジテレビ 
東映