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字幕書き起こし ハートネットTV 障害者殺傷事件から半年「次郎は“次郎という仕事”をしている」 2017.01.26

「ハートネットTV」キャスターの山田賢治です。
去年7月に起きた相模原市の障害者殺傷事件。
あの日から半年がたちました
こんばんは「ハートネットTV」です。
神奈川県相模原市の障害者施設で多くの入所者が襲われた痛ましい事件。
障害のある当事者の皆さんや…。
私たちは事件直後から障害のある人たちや家族の声を募集し伝えてきました

 

 

 


これまでに届いた声はおよそ500。
多くが事件に対する怒りや悲しみやりきれない思いをつづったものでした。
その中に気になる一通のカキコミがありました
「次郎は『次郎という仕事』をしている」。
知的障害のある息子と暮らす女性からでした
「現在専攻科のある学校に通いながらひとり親の私と暮らしている」。
事件のあと外に出るのが怖くなったという障害者の声を耳にしました。
そんな中寄せられた「人を信頼することが地域で生きる力になる」というカキコミ。
私は次郎さん親子を訪ねる事にしました
住宅街だな。
ここか。

(叫ぶ声)声聞こえたな。
・はい。
こんにちは。
・うか〜。
・あ〜。
はい失礼します。
おはようございます。
おはようございま〜す。
こんにちは山田といいます。
よろしくお願いします。
カキコミをくれたマーマさんこと白岩佳子さんと息子の次郎さんです
あ〜住宅街ですねこの辺りはね。
そうなんですよはい。
会うの楽しみにしてましたよ。
うん。
僕も楽しみにしてました。
アハハハハッ。
よろしくお願いします。
お願いします。
じゃあお邪魔しま〜す。
失礼しま〜す。
次郎教えて。
次郎教えてね。
「こっちです」って言って。
え?ママ。
失礼しま〜す。
失礼しま〜す。
どこに座ったらいいか…。
お〜お〜お〜大丈夫?
(次郎)うん。
どこに座ったらいいか…。
どこ?ここ?うん。
ここ座るの?うん。
教えてね。
お母さんどこ座ったらいい?ここでいい?うん。
次郎どこに座ったらいいのかな?次郎君いつもどこに座ってんの?ここに座ってる…。
うん。
あっそこ。
そこ擦りむいてるじゃん。
ハハハッ痛いな。
じっくり話を聞きたいとか会いに行きたいなっていう気持ちがあって…。
ありがとうございます。
どうもわざわざ来て頂いてうれしいです。
いえいえこちらこそ本当にお会いできるのを楽しみにしてました。
ありがとうございます。
(佳子)うん?11時に?ああ11時には…。
こうするとね時間なんですよ。
あの数の表現はちょっとね独特なんですけど12345までは普通でよく使うのはこういうねお金っていうジェスチャーをするんですよね。
これがお金の事で出かける時は大概予算をね「今日はいくらぐらい使ってもいい?」とか言って。
あと20分?時計で?あっ今10時45分だからもう11時にはもう家を出る。
あ〜そっか。
じゃあ行きましょう。
はい行ってらっしゃ〜い。
よろしくお願いしますね。
はい。
私は次郎さんと2人きりでコミュニケーションがとれるのか正直不安でした
こっち?うん。
おう!おはよう。
うか〜。
はい。
ハハハハハッ。
うか〜。
おはようございます。
おはようございます。
よくこうやって会うんですか?1回か2回か…。
おっ追いかけていく。
うん。
ばば。
うか〜。
あ〜よくこうやって声かけてくれるんですか?かけますよ。
ねっへえ〜。
結構ね。
うんうん。
どこ行くのよ。
こんにちは。
うか〜。
そうですか。
「ばあばあ」と言われて。
ハハハハッ。
ばあばあや。
アハハハハッ。
な?あのスーパーで買い物をする。
うん。
あうあう。
うん。
あっそのあと…。
うん。
違うお店に。
うん。
うん。
ああ3時までに行くっていう。
うん。
オーケー分かった。
約束したのね。
あ〜このお店ですね。
うか〜。
こんにちは〜。
こんにちは〜。
カゴは持ってくる?ぶぶ。
いらない?うんチーズ。
はい376円ね。
あっちゃんと細かいの出して…。
よく来ます?そう結構来ますよね。
お母さんの買い物とかにしてくれて。
はいありがとう。
言葉があんまりこう…ねっ通じないかなと思ったり…。
ああ通じないけどねあのこれこれって欲しいって言うと私らもちょっと分かってくるもんでで指さしてくれて。
ねっ。
はいありがとね。
はい。
気を付けてね。
はい。
バイバ〜イ。
はいバイバイ。
どうもありがとう。
うか〜。
は〜い。
じゃあねバイバイ。
手あげてるよ。
うい。
あい。
おはようございます。
おはようございます。
おっ!日本語…。
大丈夫。
大丈夫?日本語上手。
日本語上手。
う〜んと…うん?あっここ?あっここか。
ああここですね。
うか〜。
いらっしゃいませ。
おはようございます。
それは今日はカキフライだよ。
うん。
いい?今日もお魚にする?あい。
はいありがと。
あい。
はいありがとうございま〜す。
はいお待たせしました。
梅干し抜きましたからね。
イエ〜イ。
ありがとうございます。
いつも来るんですね?はいいつも来て頂いてます。
あの世間でいわれているいわゆる障害のある人っていうイメージって…。
あ〜最初私は見えた時に「わっどうしよう」ってどう…どう対応していいのか分からなかったんですけど自分でこうやって持ってきてちゃんとお金のやり取りもできますし言葉は出なくてもこういうふうにできる子もいるんやなっていう。
最初はやっぱり知らないとやっぱりどう扱っていいのか…どう扱ってっていうのはあれですけどどう接していいのか分からないのでちょっと戸惑いましたけどちゃんと自分の意思もはっきり示されますね伝わってきますのでねはい。
あ〜い。
「ありがとう」って言ってんだね。
うか〜。
わ〜ハハハハハッ。
イエイ。
いや〜よかったね。
こんにちは〜。
うか〜。
私はいつの間にか次郎さんとコミュニケーションがとれてきた事に驚きを感じていました
魚屋さんに来ましたね。
あっ。
おおサバ。
2切れ…。
あっ切ってもらいたいんだ。
あ〜あ。
あ〜あ。
いない?うん。
あ〜いないね。
すいませ〜ん。
あ〜。
あい!すいませ〜ん。
あ?いないね。
今お休みかな?お昼の時間で。
うん?あっここの人に聞いてみる?お肉屋さんにお魚切ってもらえるかな?うん。
これを切ってもらいたい。
あっ自分で言う?うん。
いないな。
あ。
(ベル)あ〜。
はい。
はい。
切る?うん。
切る。
うん。
う〜ん切りたい?うん。
これをちっちゃくする?あ〜切れ目を入れてほしいっていう事?うん。
少々お待ち下さい。
ちょっと聞いてきますんで。
すいませんお肉屋さん…。
今いないから…。
ああそういう事ですね。
はい。
今見えましたんで。
あそこのお魚。
すいませ〜ん。
お待たせ…。
切れ目を入れてほしいんだって。
ちっちゃく切る?あい。
き…切り身バツで。
あい。
はいちょっとお待ち下さ〜い。
イエ〜イ。
よかったよかったね。
うん。
いつもあの人にやってもらってんの?うん。
ふ〜ん。
あか〜。
あい。
あい。
うん。
はい。
今ので分かったんですか?あこれ。
こうやって指さす。
ハハハッ。
すごいね。
(笑い声)分かんないでしょ。
自然にやり取りをする次郎さんと地域の人たち。
それは次郎さんが外に出続けているからこそ生まれたものではないかと感じました
切り身入れておきました。
はい。
はい大丈夫ですか?はいおおきに。
ありがとうございま〜す。
すいませんありがとうございます。
これでよかった?うん。
切らなくて大丈夫?うん。
イエイ。
うん。
「次郎は『次郎という仕事』をしている」。
その世界に触れた私は会って話をしてみたい人がいました
失礼しま〜す。
あ〜こんにちは。
事件直後の緊急生放送で番組に届いた声に共に向き合った海老原宏美さんです
事件のあとですね障害のある方たちからの声で人をなかなか信じられなくなってきたっていうような声もあって何かそういうこう何か嫌な空気が結構まん延をしている中で今回私が行ってみて「あっ何か違うな」って。
う〜ん。
なかなか地域の中で障害をもった人と触れ合う機会って少ないと思うんですよ。
私も町を歩いていてじろじろ見られるし子どもが「お母さんあの人何?」って言うしですごく珍しい存在なんですよね。
で私から声をかけると固まっちゃったりだとかみんなビックリしてどうしたらいいか分からなくて戸惑っちゃうとかっていう人がたくさんいる中でやっぱり障害をもった人と関わって「あっ意外と普通だな」とか「こうやって対応すればいいんだ」とかっていう事が分かっていく。
それが大きな仕事だっていうふうには思いますね。
私も初めて彼と出会って最初は何言っているか全く分かんなかったんですよ。
それでも彼が言おうとしている事伝えようとしている事っていうのが何となくやっぱり分かってきたんですよね。
自然と。
「あ〜そうなんだ」と思って。
こういう事って大事だなっていうのを身をもって感じたんですよね。
う〜ん。
どうしてもその生産性で測られてしまう事がすごく多くて仕事ができる障害者は偉い障害者だとかコミュニケーション能力が長けてる障害者はいいとかっていうふうにそういう基準で測られてしまうんですよね。
でもどんな人にもやっぱりその人らしさその人のよさとか面白さっていうのがあるのでそこを見つけていけるかどうかとか引き出していけるかとかっていうのはやっぱりその人自身と周りの人との相互関係とか信頼関係とかの中から生まれてくるんですよね。
でそれを見つけ出そうとするかどうかなんじゃないかなと思いますね。
確かにそうですね。
そのやまゆり園の事件でも重度のコミュニケーションがとれないような重度の障害者を狙ったというふうにいわれますけどでも一人一人その人のやり方で表現はしてるはずなんですよ。
周りの人にとって重度に見えてしまうだけでご本人一人一人はもう自由に発信してキャッチして生きていたはずなんですよね。
それを読み取れないのはやっぱりセンスが足りなかったんじゃないかなっていうふうには思います。
でそのセンスを磨いていく町全体が磨いていけるかどうかっていうのもその次郎君がやってる仕事の一つだと思うんですよね。
やっぱりどんどん出ていって人目について関わっていく中で「あっこうなんだ」って「こういうふうにすればいいんだ」って町の人は知っていく。
それでもうどんどんセンスが高まっていくんですよね。
それってすごく大きな仕事だと思います。
それによって町を少しでもね変えるような事をしているんだなっていうのがね。
そうですね。
私はそのできないっていう事が社会にとってはすごく大切だと思っているんですね。
できないという事が大切…。
そうですそうです。
私も重度な障害があって自分でできない事がたくさんあってこう何でも手伝ってもらう生活をしてますけれどもいつもそれをすごく負い目に感じてしまう障害者もいる一方で私は何かを手伝ってもらって「手伝ってもらってありがとう。
すごい助かりました」って言う事で相手もすごくいい気分になる。
でそういう事を考えるとお互いさまかなって思うところがあって。
ただ一人の人にばっかりいつもお願いしてると負担になってしまう。
だから町の中に出ていろんな人にちょっとずつ頼む。
その人にできる事をちょっとずつ頼む。
っていう事でみんながハッピーになる。
で1回誰かを助けて手助けをする…手伝いをして「あっこういうふうにすればよかったの」「こんなもんでいいんだ」っていう経験を積むと困っている人がいた時に声かけやすくなるんですよ。
もしかしたらこういうふうにすればいいのかな「何かお手伝いしましょうか?」っていうふうに声をかけやすくなる。
でその人のセンスがまた上がっていくっていうふうな相互作用が継続していってどんどん広がっていくっていう作用があると思います。
次郎君と接して分かった事がほかの人にもまた影響していくっていうそれがどんどん広がっていくという事ですね。
そうなんですよ。
だと思いますね。
それがず〜っと長年継続していく事でだんだん町が変わっていくって大きな仕事ですよね。
人の価値観を変えるっていう事が大きな仕事なのかなっていうふうに思いますね。
うう。
あい。
お〜いす。
おはようございま〜す。
(佳子)そのうちの食費がいくらっていうのを使っていいお金がいくらぐらいあって…。
ニンニク?2つ?すっごいニンニク臭いと思うけど。
うん?1個でいい?まあいいや。
めっちゃニンニク臭いと思うけど。
切れば?うん。
切ってスライスするの?じゃあニンニクはスライス。
・こんばんはは〜い。
ばば。
お願いしま〜す。
あっこんばんはよろしくお願いしま〜す。
こんばんは。
次郎さんこんばんは。
あ〜。
目入んないようにね目つぶっとって。
オーケー。
オーケー?うん。
もういいの?うん。
駄目。
ハハハハハッ。
あ〜あ本当に食べちゃった。
ひど〜い。
何だ?何甘えたいの?うん。
あ〜そうなんだ。
こんばんは。
それからこれが証明書になるんですね。
234。
234…。
じゃあ失礼します。
ありがとうございました。
お疲れさんでした。
あい。
あ〜うか〜。
2017/01/26(木) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV 障害者殺傷事件から半年「次郎は“次郎という仕事”をしている」[字]

障害者殺傷事件から半年、番組に届いた一通のカキコミ。重度知的障害のある「次郎」さんの日常を通し、事件で問われた“社会に障害者が存在することの意味”を考える。

詳細情報
番組内容
障害者殺傷事件から半年。事件で問われた“社会の中に障害者が存在する事の意味”について、番組に届いた一通のカキコミを元に考える。ある女性が重度知的障害のある息子「次郎」さんについてつづったものだ。経済効率や生産性が重視され障害者は“お荷物”だという風潮が不気味に広がる中「健常者との間にある重い扉を開けること」が息子の「仕事」だと胸を張る。番組キャスターの山田賢治アナウンサ—が親子の日常に密着する。
出演者
【出演】社会福祉士…海老原宏美,障害当事者の親…白岩佳子,【キャスター】山田賢治