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字幕書き起こし 地球ドラマチック「中国 パンダ保育園」 2017.01.28

世界中の人々を夢中にさせるジャイアントパンダ。
絶滅が危惧されている貴重な動物です。
赤ちゃんは生まれて1週間ほどで白と黒の模様ができ始めます。
これから何を学びどのように育っていくのでしょうか?ジャイアントパンダが唯一生息する中国。
しかし現在野生のパンダは2,000頭もいません。
内陸部の四川省には3つのパンダ保護センターがあります。
センターでは日々パンダを絶滅の危機から救うための保護活動が行われています。
飼育員たちの取り組みを通して知られざるパンダの生態に迫ります。
3か所のパンダ保護センターではそれぞれ異なる活動が行われています。

 

 

 


碧峰峡のセンターではパンダの赤ちゃんが生まれています。
都江堰ではパンダの子供たちが仲間と社会性を築く様子がみられます。
そして臥龍ではパンダが野生に戻るための手助けをしています。
いずれのセンターでも目指すのはパンダの健やかな成長です。
ジャイアントパンダは他のどのクマ科動物とも違う独特の姿をしています。
体長はおよそ180センチ。
体重は85キロから150キロ程度。
主食は栄養価の低いタケです。
現在野生のパンダは2,000頭以下。
絶滅の危機にひんしています。
碧峰峡の保護センターにはパンダ専用の出産施設と人工保育施設があります。
このセンターにいるパンダは130頭以上。
全てここで生まれ順調に育っています。
野生での生息数が非常に少ない分一頭一頭が特別な役割を担っています。
この年はすでに22頭の赤ちゃんが生まれ過去最高となりました。
まもなく更に一頭が生まれようとしています。
ミンミンは7歳のメス。
もうすぐ母親になります。
この年に出産する最後のメスとして大切に扱われています。
パンダの繁殖が難しい理由の一つは妊娠しているかどうかが分かりにくいためです。
しかしミンミンには良い兆候があります。
食欲がふだんの2倍から3倍に増えているのです。
おなかにいるのは双子かもしれません。
赤ちゃんの父親はジンケーです。
しかしパンダのオスは交尾が済むとメスの近くに寄り付きません。
タケを食べながらのんびりと過ごし次の交尾まで力を蓄えています。
ミンミンがタケを集めて巣作りをしています。
赤ちゃんの誕生が近づいている明らかなしるしです。
パンダは平均5か月の妊娠期間を経て陣痛の時を迎えます。
出産まであと少しです。
センターには赤ちゃんのための人工保育室があります。
保育器は母親の毛にくるまれるのと同じ温度に保たれています。
保育器の中で赤ちゃんはゆったりとそれぞれの時間を過ごします。
赤ちゃんの中には母親に育児を拒まれ人の手で育てられる子もいます。
そうでなければここで検査を受けミルクをたっぷり飲んでから母親のもとに戻されます。
生後3か月になるまでは専門の訓練を積んだ飼育員が世話をします。
生後40日ごろには目が開き体重は生まれた時の5倍になっています。
だんだんパンダらしい姿になってきました。
1日に5回脂肪分の高いミルクが与えられます。
まだ口にするのはミルクだけですが生後6か月を過ぎると固形物も食べられるようになります。
タケです。
パンダの食べる植物は何種類もありますが実際には栄養の99%をタケからとっています。
パンダの手には第六の指と呼ばれる骨がありタケを持つのに役立ちます。
また口の中にはタケの茎をかみやすいように変形した歯があります。
一頭のパンダが毎日14キロから36キロものタケを食べるため食料集めはセンターの大仕事です。
インファは生後3か月のメス。
生まれて2〜3日目に母親に育児放棄され人の手で育てられています。
パンダはおよそ50%の確率で双子を産みます。
しかし母親は2頭のうちより元気な1頭だけを育てます。
確実に生き残れる強い子供を育てるという自然界の厳しい決まりです。
インファはすでに新生児用の保育器から出ています。
赤ちゃんパンダは太っている方が健康的。
体重およそ5キロのインファは順調に育っているといえます。
人が哺乳動物の赤ん坊を育てる場合母親がすべき事を代わってしなければなりません。
赤ちゃんの排せつを促す事も同様です。
パンダの新生児は自力で排せつできないため母親が赤ちゃんのお尻をなめて排せつを助けます。
ここでは飼育員が下腹部を軽くたたき母親が舌でなめるのと似た刺激を赤ちゃんに与えるのです。
全ての赤ちゃんに毎回食後にこれをしてやらなくてはなりません。
大変な作業です。
一日の終わり。
そろそろ眠る時間です。
インファは他の赤ちゃんと一緒の部屋で眠ります。
しかし周りが気になるのかすぐには寝つけない様子です。
隣で別の子がごそごそしています。
インファがあくびを始めました。
つられるように他の子たちもあくびをします。
ようやく眠りの時を迎えました。
初めての出産に臨むミンミン。
ついに陣痛が始まりました。
飼育員たちが注意深く見守ります。
陣痛が強まっています。
ミンミンは手当たりしだいに周りを押して赤ちゃんを産もうとしています。
初めての出産はしばしば通常よりも時間がかかります。
24時間が過ぎたころ事態は急に悪化しました。
ミンミンはまだ出産できずもがき苦しんでいます。
パンダがストレスで苦しんでいる時に人が近づくのは非常に危険です。
更に2時間が経過。
ミンミンはとても苦しそうです。
あまり時間がかかるとミンミンか赤ちゃんあるいは両方とも命を落としかねません。
オスの双子クァンクァンとリンビンは生後3か月。
2頭とも母親から育児放棄されましたが育ての母となったメスのもとで穏やかな時を過ごしています。
パンダが双子を産んだ場合通常はより元気な一頭だけを育てます。
しかしクァンクァンとリンビンの母親は2頭とも育児放棄してしまいました。
このセンターでは育ての母がクァンクァンとリンビンに交互にお乳をたっぷり与えています。
この日までクァンクァンが育ての母と共に過ごしたので次はリンビンの番。
生後3か月になった双子は5日ごとに交代し母親を独占します。
飼育員がタケで母親の気を引きクァンクァンのそばを離れさせます。
母親が食事に夢中になっている間にクァンクァンを連れ出します。
クァンクァンを保育室に入れると急いでリンビンを育ての母のもとへと運びます。
人間が世話をした子供を受け入れる動物は多くありません。
まして子供がすり替えられても育てるというのはまれです。
パンダを育ての母に預けるというやり方は種の保存を図るうえで画期的といえるでしょう。
リンビンを部屋に入れ育ての母に引き合わせます。
メスはまっすぐにリンビンのもとへ行き体をなめ始めました。
母親として子供をしっかりと抱き締めます。
一方クァンクァンは保育室で健康診断を受けます。
これから歯の検査です。
そろそろ大臼歯と犬歯が生え始めるころ。
生後3か月のパンダには24本の乳歯がありますがそれらは次第に42本の大人の歯に生え替わります。
念入りに検査されるのは歯だけではありません。
人間と同じようにパンダの赤ちゃんも鼻風邪をひきます。
自分で鼻をかむ事ができないので飼育員に拭いてもらいます。
健康診断を終えたクァンクァンは自分より小さなパンダの赤ちゃんを熱心に眺めています。
ついこの間まで自分がいた保育器です。
出産に臨むミンミンは難産のためにますます危険な状態に陥りつつあります。
陣痛が始まって3日が過ぎとっくに生まれてもよいころです。
それでも生まれないのはおなかの赤ちゃんが死んでいる可能性も考えられます。
このセンターのパンダで陣痛が3日間も続いた例はありません。
それでもミンミンは頑張り続けます。
そしてついに決定的瞬間が訪れました。

(赤ちゃんの鳴き声)生まれたのは女の子でした。
生後すぐのパンダはとても小さく体はピンク色でまだ目は見えず体毛もほとんどありません。
カンガルーなどの有袋類を除くとジャイアントパンダほど母親の体格に比べて小さな赤ん坊を産む哺乳動物はまれです。
しかしミンミンの赤ちゃんの体重は210グラム。
通常の新生児に比べてほぼ2倍の大きさでした。
これほど大きな赤ちゃんの出産ですから難産だったのも無理はありません。
赤ちゃんは転がりながら脚を勢いよく伸ばしています。
元気な証拠です。
大きな試練を乗り越えましたが生まれて最初の10日間は最も危険が多い時期です。
赤ちゃんは早速人工保育室に運ばれました。
保育器に入れて体を温めます。
しかし長期間ここに置くわけにはいきません。
人間が干渉しすぎるとミンミンが子育てを放棄してしまうおそれがあるからです。
必要な検査を終えたら一刻も早く母親のもとに戻す必要があります。
生まれてから最初の1週間赤ちゃんは毎日8回ミルクをもらいます。
難産で生まれたにもかかわらず食欲は旺盛です。
センターでは多くの赤ちゃんを育てるため必要なミルクの量も相当なものになります。
そのためにはパンダの乳しぼりをしなくてはなりません。
パンダの母親からお乳をしぼり人工保育室にいる赤ちゃんに与えるのです。
しかし警戒心の強い母親は容易に人間を近づけようとはしません。
新鮮な母乳を手に入れるには工夫が必要です。
授乳中の母親に近づいてハチミツで気を引きその間に母乳をしぼり取ります。
赤ん坊のいるパンダに近づくのは極めて危険な行為です。
パンダは前足を1振りするだけで人間に大けがをさせるおそれがあります。
幸い今はハチミツに夢中です。
この隙にお乳をしぼります。
パンダの母乳には他の哺乳動物と同様新生児の免疫系を機能させたり病気から守ったりするために欠かせない重要な栄養素と抗体が含まれています。
飼育員たちの乳しぼりの作業は毎回危険と隣り合わせです。
ハチミツがなくなったらすぐに退散しなくてはなりません。
急いで母乳を保育室に運び粉末のミルクと調合します。
人工保育されるパンダの赤ちゃんは皆この特製ミルクを飲んで育ちます。
保育室にいるミンミンの赤ちゃんはとても元気でいつでも母親のもとに戻れる状態です。
しかし話は簡単ではありません。
ミンミンは我が子との時間をあまり過ごしていないうえ戻ってきた時には違うにおいがついています。
そのため育児を放棄するおそれがあるのです。
飼育員は赤ちゃんを前に置きミンミンが寄ってくるのを待ちます。
しかしミンミンはほとんど関心を示しません。
良くない兆候です。
このままずっと近づいてこなければミンミンの育児放棄というおそれが現実のものとなります。
(赤ちゃんの鳴き声)飼育員は赤ちゃんを更に近づけます。
母親に抱き上げてもらいたくて必死に鳴く赤ちゃん。
(赤ちゃんの鳴き声)ミンミンはずっと無視しています。
飼育員が中に入りました。
ミンミンの周りをより快適に整えてから再び赤ちゃんを近づけようというのです。
すると変化が起きました。
ミンミンの母性本能が目覚め赤ちゃんを優しくだっこしたのです。
ようやく親子の絆が回復し始めました。
ミンミン親子の暮らす碧峰峡から160キロ離れた都江堰の保護センター。
パンダは1歳になるとここに移され仲間と過ごし始めます。
子供たちはこのセンターで生きていくうえで極めて重要な社会性を身につける事を学ぶのです。
野生のジャイアントパンダは単独行動を好み仲間と会うのは繁殖の時だけです。
においづけは互いの存在を知らせ社会的なつながりを保つための行動です。
このセンターでは子供たちが仲間と一緒に過ごす事で人間の保護から離れ野生での生き方を身につけていきます。
成長して繁殖期を迎えるために必要な事なのです。
1歳のオスファイファイ。
ここにいるパンダの子供たちの中で一番のガキ大将です。
仲間のワンジャも1歳。
常にファイファイにくっついています。
2頭そろって我が物顔でのし歩きます。
センターではパンダに与えるパンダだんごを毎日作っています。
主食のタケを補う健康的なおやつです。
繊維質やビタミンミネラルに富みパンダの健康状態が万全になるよう工夫されています。
子供たちはニンジンとともにパンダだんごを1日に5回もらいます。
ファイファイとワンジャが取っ組み合いを始めました。
何度も頭をぶつけながら自分の力を試し戦いの腕を磨きます。
一見のどかに見えますが勝利を懸けた真剣な戦いです。
ファイファイが体当たりしワンジャは岩から転げ落ちたもののすぐに復帰。
頭突きで逆襲に転じるワンジャですがファイファイは持ちこたえ逆にワンジャを押さえ込みました。
面白いショーに周りのパンダも注目しています。
ですがファイファイとワンジャはだんだん疲れてきたようです。
この勝負引き分けに終わりました。
ある日一頭の野生のメスが地元の人たちに発見されセンターに運ばれてきました。
非常に体が弱っています。
飼育員が病室に運び詳しく検査します。
脱水状態ですぐに水分を補給しなければなりません。
点滴をすればひとまず命は取り留めるでしょう。
このセンターには世界で最も優れたパンダのための医療施設が整っています。
状態が安定した後飼育員は問題がどこにあるのか調べ始めました。
ひどく痩せていて特に脚の筋肉は健康なパンダに比べてほんの僅かしかありません。
膨らんだおなかの中には水がたくさんたまっています。
人間の治療に用いるのと同じ超音波で体内の画像を撮った結果かなり深刻な状態だと分かりました。
これだけ水がたまっているのは心臓や肝臓などに深刻な機能不全が生じている印です。
血液サンプルを研究所に送って更に詳しい分析をする事になりました。
レントゲンで全身を検査したところ骨に問題はありませんでした。
しかし左目は完全に視力が失われています。
右目は白内障を患っているもののまだ希望があります。
治療すれば少しは視力を取り戻せるでしょう。
治療の施しようがないのは歯です。
普通のパンダの3分の1ほどの大きさしかありません。
目が見えないため適切な食べ物を見つけられず堅い木や石などをかんでいたためでしょう。
すっかり歯がすり減っています。
このパンダが生き延びられるかどうかは分かりません。
しかし飼育員たちは貴重な野生のパンダを救うため全力を尽くす覚悟です。
2頭の子供がひなたぼっこをしています。
シェンビンはとても内気な1歳の女の子。
一緒にいるのはオスのゴンズー。
気が優しくてシェンビンと同い年。
2頭は大の仲良しです。
飼育員の計らいでシェンビンとゴンズーはいつも一緒に過ごしています。
2頭とも食べ物のタケをおもちゃにして遊んでいます。
脚を使って食べるのが楽しいようです。
パンダは木登りが得意。
木に引っ掛けやすいとがった爪と柔軟な脚でするする登っていきます。
大人のパンダは一日の半分以上をタケを食べて過ごします。
食事中で母親の注意が行き届かない時木の上は子供たちの避難場所となります。
ゴンズーは木登りを覚え始めたばかり。
シェンビンはまだ木登りよりゴンズーとじゃれる方が楽しいようです。
子供用の木は筋肉を鍛えるのに役立ちます。
少しずつ登り上まで着いたゴンズーは満足げな様子。
しかし下りるとなると話は別。
恐る恐る全神経を集中して木を下りていきます。
やれやれ無事に下りられて一安心です。
センターの別の場所では1歳の双子メスのシーシーとオスのルールーが過ごしています。
双子の母親は12歳のシュシュ。
双子を産んでもどちらか一方しか育てない母親が多い中極めて珍しい事にシュシュは両方を育てています。
親子で体を動かして遊びながら子供は自然と活発になり運動能力が養われます。
シーシーもルールーもすでに体重は40キロ以上。
母親と遊ぶのが大好きです。
ルールーが母親の一瞬の隙を突きます。
母親も負けてはいません。
体当たりで応戦します。
体格では断然母親が優位です。
シーシーもすぐにつかまります。
しかしこちらも母親をひっくり返しました。
子供たちは愛情深い母親のおかげで精神的にも肉体的にも日々成長しています。
内気で引っ込み思案の子供たちシェンビンとゴンズーが移動用のケージで運ばれていきます。
これから知らない仲間に会いに行くのです。
性格や個性の異なるパンダ同士が幼いうちに共に過ごす事は他者について学ぶ良い機会となります。
シェンビンとゴンズーはわんぱくなファイファイとワンジャのコンビと初めて顔を合わせます。
パンダ同士の出会いはいつも順調とはかぎらず急に険悪になる事もあります。
内気なメスのシェンビンにとっては少々酷な体験かもしれません。
もし嫌な事が起きれば立ち直るまでに時間がかかるでしょう。
シェンビンが全く初めての場所を探検し始めました。
わんぱくコンビのファイファイとワンジャが外に出てきました。
最初に行動を起こしたのはシェンビンです。
初めて会う男の子たちに近寄っていきます。
ゴンズーは戸惑っています。
木登りの腕を生かして高みの見物を決め込むつもりでしょうか。
シェンビンが更に近づきます。
わんぱくな男の子たちは女の子の大胆な行動に意表を突かれたようです。
シェンビンは脅かしているのではありません。
挨拶をしにきただけです。
ファイファイはどうやらシェンビンを気に入った様子。
そしてワンジャも。
内気なはずのシェンビンが初対面の男の子たちとあっという間に仲良くなり一日中一緒に過ごしました。
今後は一緒にいる時間が増えていきます。
新しい友達を作る事はパンダの成長の一環であり3頭にとって大きな前進でした。
ゴンズーも勇気を出して木から下り始めました。
しかしやはり眺めているだけです。
オス同士なのでうかつに近寄るのは危険なのかもしれません。
次に期待しましょう。
恐れるものなど何もない大人のオスがいます。
パンダ界きってのプレイボーイパンパン。
メスが放っておかないモテ男で長年我が世の春をおう歌してきました。
パンパンは子だくさんでその数はおよそ130頭。
この日はパンパンの誕生日。
野生ではパンダの寿命はせいぜい20年ですがパンパンは30歳の大台に乗りました。
年をとってもかっこ良く常にたくさんのファンに囲まれているパンパンはパンダ界随一のトップスターです。
もともと野生のパンダだったパンパンの遺伝子は多様性を保つうえでも大変貴重です。
パンパンの遺伝子は世界各地の施設で生まれたパンダのおよそ3分の1に受け継がれています。
難産に苦しんだミンミンもパンパンの孫娘です。
パンダ界のレジェンドパンパン。
これまで数多くの健康的な子孫を残し充実した一生を過ごしてきました。
パンパンはこれからも多くの人に愛され続けていく事でしょう。
深い山奥の地臥龍にある3つ目のパンダ保護センター。
パンダの未来を切り開く特別な場所で20万ヘクタールに及ぶ広大な自然保護区の中にあります。
センターにはさまざまな生物が暮らしています。
道路を横切るカエル。
巣を張る巨大なクモ。
うん?Eメールを打つパンダ?ここではパンダが人間の手を離れ大自然の中で生きていくためのすべを学んでいます。
飼育員たちは一風変わった格好をしています。
なんとパンダの着ぐるみを着ているのです。
これには重要な意味があります。
パンダの赤ちゃんに人間の姿を一切見せないようにしているのです。
その方が野生に戻ったあと人間に近づかなくなるからです。
妊娠したメスが他のセンターから運び込まれここで出産します。
生まれた赤ちゃんたちは将来野生に戻る候補生です。
子供たちは野生に近い環境で生きるすべを学びます。
さまざまな植物のにおいを覚え木登りで筋肉を鍛えます。
母親と一緒に暮らすのは2歳まで。
自分で生活できるようになるとセンターに隣接する自然保護区に放されます。
野生に戻ったあとも成長を観察するため電波を発信する首輪が取り付けられます。
パンダの子供たちを野生に戻す試みは2006年に始まりました。
最初は失敗に終わりましたが徐々に成果が表れ今では完全に野生に戻るパンダも出てきています。
パンダを保護し数を増やすためのさまざまな取り組み。
碧峰峡の保護センターではミンミンが出産して1か月がたちました。
3日間も陣痛に苦しみ一時は死産のおそれもありましたが母子ともに無事でした。
赤ちゃんの生育状態は体重で分かります。
赤ちゃんは日に日に変化します。
徐々に姿が母親に似ていき鳴き声もしっかりしてきます。
(鳴き声)今の体重は1.3キロ。
理想的です。
飼育員はなるべく手を触れないようにします。
変わったにおいがつくと赤ちゃんを戻した時に母親が拒否するおそれがあるからです。
全ての作業をできるだけ手早く行います。
ジンバオバオは1歳のメス。
7歳になる母親ツァンメイと共に碧峰峡のセンターで過ごしています。
ジンバオバオは束縛される事が嫌いです。
ひとりでいる事を好み母親が室内にいる時は必ず外に出ています。
ジンバオバオは木の上が大好き。
お気に入りの木の上で多くの時間を過ごします。
昼も夜もそして雨の日も。
母親は上がってこないので木の上はジンバオバオの天下です。
毎日より高い所を目指します。
高い所の樹皮の方が味がいいようです。
理想的な居場所に思えましたがあいにく木の上には先客がいました。
ハチです。
ハチは無断で侵入してきたジンバオバオを追い払おうと攻撃を仕掛けます。
これにはジンバオバオもたまりません。
慌てて低い方へ避難します。
とはいえこのまま引き下がるわけにはいきません。
再びよじ登りハチとの戦いに挑みます。
とうとう降参のようです。
こうなれば他の木を探すしかありません。
ジンバオバオには何とも不本意な一日となりました。
嫌な事はまだ続きます。
飼育員が室内のジンバオバオのもとへやってきました。
パンダの子供は1歳を過ぎるまで定期的に体重を量ります。
麻酔をかけずに健康状態をチェックするにはこれが最善の方法なのです。
しかし気難しいジンバオバオは素直には飼育員に従いません。
体重計に乗るのを嫌がり何度も逃げてしまいます。
今度はじっとしていてくれるでしょうか。
別の日に改めるしかなさそうです。
ジンバオバオが母親のそばに戻されました。
久しぶりでうれしそうです。
ハチや飼育員との戦いに疲れたので母親と遊ぶのが楽しいのかもしれません。
長い時間離れて過ごしてから再び絆を確かめ合うのがこの親子のやり方です。
まもなくジンバオバオは自立の時を迎え親子は離れ離れになりますが今はまだ甘えたい盛りです。
そしてまたもジンバオバオはひとり気ままに木の上で過ごします。
ジャイアントパンダは他のクマ科動物と違って冬眠しません2017/01/28(土) 19:00〜19:45
NHKEテレ1大阪
地球ドラマチック「中国 パンダ保育園」[二][字]

世界中で愛されているパンダ。野生のパンダは2千頭以下と言われる中、繁殖に成果を上げている保護センターの活動に密着。人々の心をつかんで離さないパンダの魅力に迫る。

詳細情報
番組内容
中国にある3つの保護センターでは、パンダの赤ちゃんを育て、野生に戻す活動を行っている。パンダは双子を産んでも、多くの場合、1頭しか育てない。新米ママのサポートを行うだけでなく、育児放棄にあった赤ちゃんを人間の手で育てたり、ときには別の母親に育ててもらったり。野生に戻すために他の子どもと遊ばせ、社会性を身につけさせることも。献身的な取り組みと赤ちゃんパンダの愛くるしい姿が満載!(2015年イギリス)
出演者
【語り】渡辺徹