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字幕書き起こし クローズアップ現代+▽14億の熱狂を生み出せ〜中国 膨張するサッカー“バブル” 2017.01.30

中国のサッカー爆買いが止まりません。
ワールドカップに出場したトップ選手もターゲットに。
元アルゼンチン代表ヨーロッパなどの名門クラブで活躍してきたテベス選手。
今月、中国のクラブチームへ電撃移籍しました。
年俸は世界最高といわれる推定46億円。
中国の別のクラブは推定30億円でブラジルのスター選手を。
ターゲットはあのスーパースターにも。
中国で急速に進められるサッカーへの巨額投資。
その裏には政府みずからが旗を振りサッカーを減速する経済の起爆剤にしようという戦略があるのです。
14億人を巻き込み膨張する中国サッカーバブル。
その舞台裏に迫ります。

 

 

 


今月半ば、世界が注目する中テベス選手が中国・上海に姿を見せました。
推定年俸はクリスチアーノロナウド選手をも上回ると伝えられる46億円。
破格の待遇でテベス選手を迎えたこのチームは不動産会社も所有。
これまでもヨーロッパから億単位の資金で選手を次々と獲得してきました。
それにしてもなぜ巨額の資金を使ってテベス選手を獲得する必要があったのでしょうか。
クラブ幹部が舞台裏を初めて語りました。
去年11月、アルゼンチンのテベス選手の自宅を訪問。
親会社の資金力を後ろ盾に交渉を行い10日ほどで本人と合意。
ねらいの一つは広告効果だと明かしました。
さらに私たちは中国のマネーが世界ナンバー1の選手に及ぼうとしているとの情報を得ました。
この携帯メーカーでは、去年からクリスチアーノロナウド選手を広告に起用しています。
名門レアルマドリードのエースクリスチアーノロナウド選手。
プレーからファッションまで中国でも絶大な人気です。
メーカーのねらいは広告の契約をきっかけに関係を深め中国のクラブに呼ぶことです。
この日、ロナウド選手のマネジメント会社との会合を行えることになりました。
メーカーは信頼を得られていると手応えを感じていました。
クリスチアーノロナウド選手の名前も出てきましたけれども、ご覧いただいたテベスやオスカルだけじゃないんです。
近年、中国のプロリーグに移籍した主な選手や監督です。
フッキ、ラベッシ、サッカー強豪国の現役代表選手や元代表、それにワールドカップの優勝経験がある名監督も、中国のリーグに渡っています。
日本でもおなじみのストイコビッチさんも、中国にいるんですよね。
5700試合も世界のサッカーを見てきた、サッカージャーナリストの後藤健生さん、この状況、どのようにご覧になっていますか?
テベスなんかね、ヨーロッパのキャリアを得て、故郷のアルゼンチンに帰ってた選手なんで、引退前にひと稼ぎというのは分かるけれども、オスカルとかね、まだ現役ばりばりのような選手も、本当はやっぱり、選手としてはレベルの高いヨーロッパでやりたいとイタリアへ飛ぶんですけどね。
あれだけのお金、目の前に出されたら、どうしても行ってしまうんでしょうね。
サッカーの本場、ヨーロッパにも、その点では衝撃を与えていて、NHKが取材したところ、サッカーの母国、イングランドの専門記者で、ヨーロッパのどのチームも中国の出す額の半分も出せないと答えている人もいます。
そしてプレミアリーグの名門、アーセナルのベンゲル監督は、選手は最高の舞台でプレーしたいはず。
プレミアを去る理由は理解できないと、こういう発言を残してるんですね。
この反応はどうご覧になりますか?
当然ですよね。
お金でどんどん引き抜かれたら、ヨーロッパのサッカー自体も成り立っていかないし、要するに荒らされてるという、そういう気持ちを持ってんじゃないですかね。
ただ一方で、ヨーロッパのクラブも最近、インテルとかミランが、中国の企業に身売りするという話があったんで、どうしても中国マネーがないと、クラブ経営が成り立たないような部分もあるんで、痛しかゆしというか、両面あると思いますけどね。
過熱する中国のサッカーへの投資、背景には国を挙げての戦略があるんです。
中国のクラブチームナンバー1を決める大一番。
スタジアムを埋め尽くした6万人のサポーターが熱狂的な声援を送りました。
中国のプロリーグは3部からなり全国で52チームが活動しています。
外国人選手の活躍などで人気が上昇。
サッカーファンは1億人を超えるといわれます。
このサッカーの熱狂を経済成長の起爆剤にできないか。
国が旗を振り始めています。
去年、政府が打ち出した戦略です。
サッカーを重要産業と位置づけ国内の消費を拡大するとしています。
サッカーを成長産業として育成するため投資を企業に求めたのです。
政府の方針に沿ってサッカーで収益を上げようという戦略にかじを切った企業があります。
家電販売大手の蘇寧グループはこれまで国内に1000以上の販売店を展開してきました。
しかし白物家電を中心に売り上げは伸び悩み経営戦略の見直しを迫られました。
おととし1部リーグのチームを買収。
100億円以上といわれる資金を投じ海外のスター選手を次々と獲得しました。
スター選手を使って人気を高め関連グッズや動画配信などの販売を拡大し収益を得ようという戦略です。
海外の選手をきっかけにチームのファンとなった会社員の史道萍さん、27歳。
キーホルダーからマフラーまで次々とグッズを購入。
年収の4分の1に当たる100万円も、サッカーに費やしているといいます。
サッカーを使って新たな消費を生み出すビジネス。
企業は中国の膨大な中間層に期待を寄せています。
サッカーへの投資が熱を帯びる背景にはほかのメリットもあることが分かってきました。
サッカーに資金を投じた企業が政府に優遇されるケースがあるのです。
おととし、多額の資金を使って3部のリーグに新たなチームを設立した照明機器メーカーです。
会長の李さんが掲げているのは習近平国家主席の3つの夢。
ワールドカップの出場、開催、優勝です。
リーグのスポンサーとして多額の資金を提供してきたことが評価され、政府からの仕事が舞い込んできたといいます。
中国の重要会議を行う人民大会堂。
その照明設備を受注できたのです。
さらに政府にアピールするため、今シーズン去年を超える5億円の資金を準備。
優秀な選手を獲得することで国のサッカー政策に貢献しようと検討を進めています。
国を挙げたサッカー熱。
経済の停滞にあえぐ地方都市にも波及しています。
北京から東に300キロ。
河北省秦皇島市です。
石炭の輸出基地として経済成長を続けていましたがこのところ輸出が減少しています。
政府はサッカー産業を通して経済の構造改革に取り組むよう促しています。
この方針を受けて市ではプロチームを誘致するなどサッカーの街をアピール。
成長を目指すことにしたのです。
市の小学校も、様変わりしました。
去年から小学校の体育の授業はほぼすべてサッカーに。
市がボールやゴールを提供。
土の地面を人工芝に張り替えたといいます。
国が進めているサッカーの普及で重点学校に認定されれば政府から資金面などで支援を受けられるからです。
この日、共産党の幹部が小学校を視察に訪れました。
披露したのはこの日のために子どもたちが準備してきたサッカー体操です。
サッカーに熱心な市をアピールすることで都市開発などの政策を支援してもらうねらいです。
サッカーを起爆剤にしようという国の政策が14億人を巻き込んで加速しています。
ワールドカップの出場、開催、優勝という、習近平国家主席の夢ですけれども、政府はサッカー場を7万か所以上を作り、2020年までにサッカーを柱としたスポーツ産業を、およそ50兆円規模にする戦略を立てているんですね。
中国社会に詳しい興梠さん、ここまで、ある意味、ちょっと偏っても見えるぐらい、サッカーに力を入れるのはなぜなんでしょうか。
やっぱり最高指導者の習近平主席が熱烈なファンというのがまずあって。
サッカーのファンであると?
繰り返し繰り返しワールドカップの話をしている。
党中央が認めた総合プランでも、習総書記の指示ってはっきり書いてある。
これを地方とか各省庁に通達で出しているわけなんですね。
だからもう、完全に官主導で、サッカー改革主導グループというのを作って、そのトップが副首相なんですね。
ですから、完全にトップダウンで、地方政府とか官長にやりなさいよと。
企業の立場からすれば、経済が低迷している輸出も伸びてない、内需も非常に弱いと。
ですから、新たな成長ポイントということで、実はこれも、中央政府もちゃんと文書に書いてある。
これを成長ポイントにしなさいと、お墨付きが。
サッカーを成長ポイントに?
そうですね、これをやったほうが勝ちというのがあるんです。
なんでもかんでもサッカーって持っていけば、学校も予算が出るしということになっていると。
ですからこれはもう、完全に習主席の個人的な思いと、国策、官主導の経済対策、そんなものが一緒になって、一種の熱狂的なブームを人工的につくり上げられてるという感じがするんですね。
少しいびつな気もしますけど、視聴者の方からも、中国人の選手が目立たなくなってしまうのではという声も上がっていますが、そうした中、今月、中国サッカー協会は、1試合に出場できる外国人選手を制限する通達を出しました。
これはワールドカップに向け、中国の選手を育てていく、なんか動きがあるなという気がするんですけど。
当然そういう狙いですね。
これは例えばヨーロッパなんか、今で見ると外国人選手だらけですけれども、昔は例えば、イタリアの外国人選手を禁止していた時代もありますしね、自分のところを強化するためには、こういう制限は必要だと思いますよね。
やっぱり、外国人の優秀な選手がたくさんいるのももちろんいいことなんだろうけれども、自分の所の選手が強くなるかどうかって、これやはり、成功するかどうか、大きな鍵ですよね。
例えばJリーグが出来た90年代初め、あのころって、日本選手のレベルがずっと上がっていた時代だったんで、ブラジルの代表クラスの選手がたくさん来て、そこでうまくチームとして機能しましたからね。
そういう可能性も、中国にこれからあるということなんでしょうか?
難しい、もちろん可能性はあるけれども、難しいですよね。
やっぱりトップダウン方式っていうのは、なかなかサッカーの場合、うまくいかないと思うんですけどね。
やっぱりサッカーの場合、自分の頭で考えるということが必要なんでね、あれやれ、これやれっていうんじゃ、強くならないと思いますよ。
そのサッカーへの熱、中国にとって、もう一つ大きな意味があるんです。
格差が広がる中国の中で、人々にとって、サッカーでの成功が新たな夢になっています。
中国南部、広東省の巨大な敷地に姿を現した50面ものサッカー専用グラウンド。
中国当局の支援を受けプロチームが総工費250億円以上をかけて作ったサッカー学校です。
その目的はずばりワールドカップで活躍する中国の代表選手を育てること。
代表選手を夢みて中国全土から集まった3000人の生徒。
およそ4分の1は、収入の少ない家庭の子どもたちです。
郭梓承さん、13歳。
貴州省の貧しい農村で生まれました。
将来を期待される選手の一人です。
親元を離れての1人暮らし。
国から年間60万円の学費を補助してもらっています。
郭さんの父親、遠江さん。
故郷を離れ、農民工として内装工事の仕事を請け負っています。
いつかは豊かになれると信じて働いてきましたが生活に十分な賃金を得られず将来に不安を感じています。
プロ選手につながるサッカー学校に入学できた息子。
いつかは中国代表に。
両親の期待は膨らむばかりです。
とはいえ、夢の実現は容易ではありません。
卒業生でプロになれたのは1割以下。
国と家族の期待を背負い夢を追う日々が続いています。
サッカーに夢を託す人々の思いをご覧いただきましたけれども、興梠さん、いかがでしたか?
やっぱりこれは中国の都市と農村の格差って、前からある問題で、農民工っていう人たち、この人たちが出世をするルートというのが非常に限られているわけですね。
ですからこれはサッカーで非常に有名になって、高収入が得られるようになれば、非常に親孝行ですから、親のためにもなるということなんですけれども、都会の親たちというのは、実はあまり子どもにやらせたくないというのがあって、中国政府も頭を痛めている。
だから学校で強制的にって話になってる。
やっぱり受験システムが組み込まれてますから、ホワイトカラーで官僚とか、大企業にとか。
ですから、こういう農民工の人たちというのが、ちゃんと一流の選手になれるシステムを作ってあげれば、一つ、チャイナドリームの実現ということになると思います。
今、VTR見ていると、どこか中国の格差が広がっていく現状も見えた気がするんですけど。
それはもう構造的にそうなってます。
ますますなってきてますよね。
やっぱり戸籍の問題、しっかりありますし、流動できない階層間の流動が非常に難しくなる。
その中でサッカーっていうのは、どういう意味をもたらすんですか?
スポーツで、全く違うシステムの中で、名を上げるってことができると思いますよ。
ただそこに、今、外国人選手が大半で、コストがそこにほとんど取っていかれるということになると、やはりこういう人を育てるチャンスが奪われていくという懸念はあると思います。
今月FIFAは、2026年のワールドカップから出場国を48チームに増やすことを決めました。
これは中国にとってチャンスが増えたと取れますけれども、この先、中国でサッカーが発展するためには、どうしたらいいんでしょう。
やっぱりね、本当に習近平さんの夢をかなえるためにも、まず強くならないとね、日本や韓国に負け続けていたんでは、やはり成功しないと思いますから、そのためにもやっぱり、いい選手を自前で育てる。
今のサッカー学校、ああいうところでうまく育ててくれれば、可能性広がると思うんですけどね。
なかなか難しいですよ。
一方で、興梠さん、ある意味、政府がスポーツを使っているというようにも捉えられますよね。
非常に正直に、政府の文章、一連の文章の中にはっきり書いてあって、体育強国になれとか、中華民族の偉大なる復興のためだとか、愛国主義、団体主義、国家の団結、正直に書いてあるんですよ。
これはやっぱり、国家が非常に共産主義体制というものにほころびが出てきて、統合するイデオロギーというものが、サッカーというのは国民が一体となる、そういった面があるので、その辺に非常に注目しているところだと思います。
紙一重ですね。
2017/01/30(月) 22:00〜22:25
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代+▽14億の熱狂を生み出せ〜中国 膨張するサッカー“バブル”[字]

中国のサッカークラブによる海外スター選手の爆買いが進む。政府の大号令のもとサッカービジネスが急拡大する中国で、マネーにうごめく企業やクラブの舞台裏に密着。

詳細情報
番組内容
【ゲスト】神田外語大教授…興梠一郎,サッカージャーナリスト…後藤建生,【キャスター】杉浦友紀
出演者
【ゲスト】神田外語大教授…興梠一郎,サッカージャーナリスト…後藤建生,【キャスター】杉浦友紀