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地上波テレビの字幕を全文書き起こします

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字幕書き起こし 金曜プレミアム・祝!中村屋ファミリー 独占密着!泣いて笑って稽古して・・・5… 2017.02.03

昨日2月2日歌舞伎座がお祝いムード一色に染まりました
小さな2人の歌舞伎俳優が初舞台に挑んだのです
(愛)おはようございます。
お願いいたします。
(七緒八)おはよう。
(男性たち)おはようございます。
(男性)あ〜ちゃんと…。
お願いいたします。
(七緒八)お願いいたします。
(男性)はい。
はい。
はいできた。
(哲之)これ誰?
(女性)染五郎…。
2人は4年前に亡くなった勘三郎さんの孫
(哲之)おはようございます。
(勘九郎)おはようございます。
お父さんは…
幼い2人に本番の時間がどんどん迫ってきます
お母さんの愛さん胸が張り裂けそう
(愛)3時になったら着替えますか?
午後4時開場
立ち見の出る盛況ぶりです
そのころ2人は支度の真っただ中
でも3歳の哲之君お化粧が苦手

 

 

 

 


(男性)もう少し…。
(男性)もうすぐ終わる。
(哲之)目もやんでしょ?
(男性)少しだけね。
そこで勘九郎さんの弟で2人の叔父七之助さんが
(七之助)いこういこう。
頑張って。
のり嫌かもしれないけど我慢。
お兄ちゃん5歳の七緒八君も
どれ?見せて顔。
(男性)まだまだ。
これから塗る…。
最近関西弁がお気に入り
弟のご機嫌を取りましたが
(男性)何だその顔は。
とにかく哲之君はマイペース
(哲之)あ〜…。
(男性)いいね。
ロビーでは勘三郎さんの妻好江さんと2人の母愛さんがお客さまを出迎えます
2人は最初の衣装を着けました
桃から生まれたばかりの桃太郎の姿です
中村屋は三代にわたって初舞台の演目に『桃太郎』を選んできました
勘三郎さんは4歳のとき『昔噺桃太郎』で初めて歌舞伎座の舞台に立ちました
(勘三郎)申しまする。
そして勘九郎さんと七之助さんはちょうど30年前に2人の桃太郎が活躍する新作『門出二人桃太郎』で揃って初舞台
(一同)えいえいおう!
この『門出二人桃太郎』を今回七緒八君と哲之君も演じるのです
(七緒八)はい。
(勘九郎)大きな声でね。
(七緒八・哲之)はい。
(勘九郎)頑張れるか?
(七緒八・哲之)はい!
(勘九郎)よし。
(七之助)パワー。
(哲之)び〜…。
(勘九郎・七之助)ん〜…。
(勘九郎)じゃあ…。
(七緒八)お願いいたします。
(勘九郎)座って座って。
(七緒八・哲之)お願いいたします!
(勘九郎)もっと大きい声でいけるでしょ?
(七之助)もっといける…。
(七緒八・哲之)お願いいたします!
(七之助)よしよし。
舞台裏
(哲之)えっ?ここ…。
(勘九郎)のり…のりなお…。
分かった?
(哲之)はい。
よし。
なっ?ねっ。
わ〜!
(七之助)あ〜そうそう。
3階に。
わ〜!
(七之助)3階の後ろまで。
わ〜!
(七之助)俺たち桃太郎だ〜!わ〜!
(勘九郎)弟の桃太郎〜!わ〜!
(七之助)何か…。
今アドレナリンを出してる…。
どう?出てる?アドレナリン。
出てない…。
ついに幕が開きます
新たなる旅立ちの時
月日がたつのは本当に早いものです
七緒八君すっかりお兄ちゃんに
中村勘太郎になります
弟の哲之君中村長三郎になります
幼い兄弟が挑む初舞台までの1年間に密着
みんなで走り抜けた家族の日々
笑いあり涙あり
何しろ2人は5歳と3歳
特に大暴れしたのが次男哲之君
(勘九郎)あっ出た。
(勘九郎)哲之哲之哲之。
ホントに間に合わないから。
ねっ?
まだおむつも取れない3歳児
前代未聞の大ピンチに見舞われてしまいます
本番中にも頭がかゆくなっちゃいました
まさかかつらを脱いじゃうの?
駄目駄目
そんな弟の姿を見てなのかずいぶんとしっかりしてきたのがお兄ちゃんの七緒八君
稽古中にも
難しい役にも果敢に挑戦
(好江)分かった?
(勘九郎)おてて上げてごらん。
上がる?あっいいね。
どう?大丈夫?上がる?
2人の父…
歌舞伎の未来を担う人気俳優として奮闘します
弟…
女形として次々と大役に挑戦
妖艶な美しさに磨きがかかり大きな話題を呼んでいます
幼い2人にとっては…
父勘三郎さんの熱い思いを受け継いで勘九郎さんと七之助さんはあっと驚く挑戦に打って出ました
(勘九郎)あっ…。
タモリさんと鶴瓶さんと共に新作歌舞伎を仕掛けたのです
父の背中を追い歌舞伎に新しい風を吹かせます
そして中村屋を支え続ける…
2人の孫に亡き…
2人の母であり中村屋の若女将でもある…
目の回るような忙しさです
時には厳しく時には優しく
2人の息子に愛情を注ぎます
大の仲良し兄弟腕白盛り
(愛)爆睡です。
起きてない。
許させられい許させられい。
勘太郎と長三郎を名乗る日を目指して
「おじいさんおばあさんこんにちは」
(哲之・七緒八)おじいさんおばあさんこんにちは。
小さな体で頑張り続けるその姿は…
(勘九郎)転ぶよ。
転ぶよなお。
あの日の光景と重なります
受け継がれていく…
中村屋の歴史に新たに加わる1ページ
中村勘太郎です。
中村長三郎です!
幼い2人が踏み出す最初の一歩
皆の期待を小さな肩に背負って
大きな大きな感動を生みだしました
8日前の…
自宅の稽古場に哲之君登場
ご機嫌斜めで稽古を嫌がります
でも大物俳優たちが勢揃いする顔寄せまであと3日
恥ずかしくない芝居に仕上げておかなければなりません
お兄ちゃんの七緒八君も来てまず大切な決まり事
稽古の前にはおじいちゃんひいおじいちゃんそのまたおじいちゃんたちに必ずご挨拶
皆2人の初舞台を見守っていてくれます
初舞台とは歌舞伎俳優としての名前を名乗って初めて演じること
七緒八君は今まで本名で何度か舞台に上がってきましたが今回の『桃太郎』が初舞台
父勘九郎さんは多忙な身のため自宅での稽古は好江さんが受け持ちます
好江さんの父は名優…
生前勘三郎さんはこんなことを言っていました
(勘三郎)あいつはね俺といつもライバル。
だから役者をやりたいからさ悔しがるんだよ。
好江さんはライバル
それほど芝居に対する確かな目を持っていると信頼していたのです
亡き夫の思いを孫たちに伝えます
(好江)なおちゃん。
ねえ踏み出したらさボンってやったらバタバタバタバタ…って大きくやんないと。
よ〜。
うん!ちゃんと開いてきちっと!バン!お胸お胸お胸…。
大きく回さなきゃ。
それで…。
全員が揃う稽古で足を引っ張るようなことは許されません
体にたたき込みます
(好江)先先先…。
やりなさいよ。
今は厳しさが必要なとき
でも好江さんには心に決めていることがありました
あ〜!
(哲之)あ〜!
頑張ったら笑顔で応えるのです
そして自ら附け打ちまでする熱の入れよう
いずれも勝ちどき!
(哲之・七緒八)いずれも勝ちどき!
好江さんの気迫は幼い2人にも乗り移っていきました
翌…
一生懸命頑張りますが七緒八君に弟の哲之君がついていけずせりふが揃いません
やあやあ鬼ども!われらこそ…!
(哲之)やあやあ鬼ども!日本一の…。
時間は容赦なく過ぎていきます
お母さんため息
それでも七緒八君は集中して稽古に励みます
まだ5才ですが自分はお兄ちゃん
弟の分まで頑張らなければならないと必死なのです
(愛)心配している感じ。
一方の哲之君は事の重大さがまったく分かっていないようですぐに飽きちゃいます
3歳だから無理もありませんが性格も実はお兄ちゃんとは正反対
(愛)すごい…。
(愛)私…。
ホント…。
心当たりがあるかもっていうこともあるので何も言えないんですけど。
(七緒八)中村勘太郎でございます!どうぞよろしくお願いいたします!中村長三郎でございます!どうぞよろしくお願いいたします。
門出となるその日のために一丸となって頑張ってきた中村屋の人々
この1年は汗と涙と笑いがあふれる掛け替えのない日々となったのです
(勘九郎)なめないなめない。
(哲之)あ〜。
あ〜。
(勘九郎)やめなさい。
(愛)駄目駄目駄目。
ホントに駄目のりちゃん。
(七之助)のり!ほら泣いた顔で出たくないでしょ?
小さな2人にとって大きな勝負の1年が始まりました
この日勘太郎長三郎と名乗ることを発表
特別に仕立てた帯を締めます
子供たちが…。
祖父勘三郎さんが締めていた帯
これ以上ないお守りを身に着けていざ記者会見です
ねっ?
大勢の報道陣が集まりました
好江さん愛さん心配です
でも哲之君大物役者の風格
(勘九郎)たぶん何も言わないんじゃないですか?はい。
うん。
あと…。
(勘九郎)あの…僕たちが子供のころからうちの父の口癖がねいい役者になっておくれよ…。
さらに
(勘九郎)右っ側に落ちる…。
七之助さんのマイクだったんですね
そういえば次男のマイク好きは中村屋の伝統でした
(七之助)ウルトラマン。
七之助さん3歳のときの映像
歴史は繰り返すとはまさにこのこと
まだ幼くともわが子を舞台に立たせる
歌舞伎役者の宿命です
さらに勘九郎さんは中村屋を背負っていかなければならない立場
こちらも闘いの日々です
(勘九郎)七左衛門だよ。
(哲之)七左衛門。
4月には大切な演目に挑戦
井上ひさしさんの原作を基に父勘三郎さんがつくり上げた喜劇『浮かれ心中』です
宙乗りに場内が湧きました
七之助さんも奮闘します
世界的な演出家であり勘三郎さんの盟友でもあったデヴィッド・ルヴォーの舞台『ETERNALCHIKAMATSU』に出演
勘三郎さんが生前ルヴォーと交わした「一緒に舞台をつくろう」という約束を果たすことができました
父の切り開いた畑を2人の息子は必死で耕し守り続けています
終演後七緒八君がクッキーの差し入れ
(七之助)あっありがとう。
うれしい。
ありがとうございます。
そして七緒八君にも勝負の時が訪れました
この日は稽古
好江さんの姉で舞踊家の中村梅彌さんが主催する公演が2週間後に行われるのです
この会は5年前に亡くなった好江さんと梅彌さんの父七代目中村芝翫をしのぶもの
八代目中村芝翫襲名を控えた好江さんの弟橋之助さんも出演する大きな公演なのですが何とこの舞台で七緒八君が10分もの長い間1人で舞う場面があるのです
国立劇場といえば1,500席を超える大劇場
その上『カチカチ山』の兎と狸2役を演じ分けなければなりません
5歳の七緒八君には荷が重いようにも思えますが10カ月後には中村勘太郎を名乗る初舞台が待っています
経験を積ませてあげたいというのが皆の思い
今日の稽古に向けて踊りはばっちり覚えてきたはずだったのですが
えっ?
間違っちゃいました
そっちじゃなくて…そうそうこっちこっち
稽古終了後
期待を一身に受ける七緒八君
さすがに混乱してるようでした
するとお母さんが
なおは。
ねっ?
七緒八君は好江さんのことをノンナと呼んでいます
イタリア語で「祖母」という意味です
ホントに…。
そしてノンナに連れられ七緒八君は自宅に帰りますが6時間後再び劇場に戻ってきました
いったい何が起きたのでしょう
小さな歌舞伎俳優七緒八君
稽古が終わって自宅に帰ったと思ったらなぜか6時間後に再び登場
好江さんが全体の稽古が終わった後もう一度七緒八君に稽古をつけてほしいと姉の梅彌さんにお願いしたのです
納得のいくまで
その思いに応えるかのように七緒八君も必死に舞います
ねっ?
2人の孫を一人前の歌舞伎俳優に育て上げる
それは亡き夫勘三郎さんとの約束です
そして七緒八君が着ているこのはんてんは
(スタッフ)あっ芝翫さんのなんですか。
何と好江さんの父芝翫さんが子供のころに着ていた物なんだそうです
(好江)だから80…80年ぐらいだ。
(スタッフ)そうなんですか。
ずっと取ってあったんですね。
(好江)うん。
七緒八君はというと
(好江)爆睡です。
余裕のお昼寝
まったく目を覚まさず抱えられて劇場へ
お化粧もまだ慣れません
(男性)怖くないよ全然。
お父さんと七之助おじじが楽屋へ
分かった?
さあ間もなく本番
すると
(勘九郎)こいつ…。
あらあら
幕が上がります
まずは月で餅を突く兎
七緒八君元気に踊り始めました
稽古のとき方向を間違えた場面もきちんとできました
すると好江さん大きくうなずきます
10分間見事に踊りきりました
(好江)お疲れさまでした。
七緒八君立派でした
五月晴れとなった…
七緒八君と哲之君が田んぼへ
(男性)かかと上げて。
中村屋が家族揃って田植えなんて見たことありませんが実はこれ2人の初舞台を記念して行われた田んぼアートなんです
色が違う様々な品種の稲を植え田んぼに壮大な地上絵を描く田んぼアート
題材は勘三郎さんが大切にしていた『鏡獅子』と七緒八君と哲之君が挑む2人の桃太郎です
綿密に測量して設計図どおりの下絵を描き準備万端
するとこの日の朝
(男性)あっすごい。
(男性)すごいよこれ。
(男性)何これ。
空に珍しい虹が
(男性)こんなの初めて見た。
松本の町が田んぼアートの舞台となった理由は勘三郎さんとの深い縁
何度も公演が行われ2011年には病気療養から復帰した舞台にもなりました
田んぼアートを鑑賞する特設展望台も完成
(哲之)おーわ〜ん!
(七緒八)あっあっ…。
(男性)あなたたち2人だよ。
実る日が待ち遠しいですね
楽屋では哲之君がお昼寝
この後起こる大騒動の主役です
(哲之のせき)
(愛)起きた。
(哲之の泣き声)
この日から幕を開けた中村屋の大ピンチ
ついには
勘三郎さんの孫…
1カ月後の8月公演で歌舞伎座の舞台に初めて出演します
しかし正式に初舞台と呼ぶのは半年後の歌舞伎座公演
そのとき初めて中村長三郎という歌舞伎俳優の名前となって舞台に立つからです
今回の8月公演は本名である波野哲之で出演
長三郎として初舞台に立つ前に歌舞伎座を経験しておくことはとても重要でした
ところが
今日は頭合わせといってかつらの土台となる台金を作る日なんですが
(勘九郎)哲之できる?できる?
(哲之)う〜…。
(愛)取っちゃ駄目取っちゃ駄目。
(愛)何で嫌なの分かるの?
(勘九郎)一生使われちゃうよ。
こちらが台金と呼ばれるかつらの土台となる金具
頭にぴったり合うように調整します
きつければ痛くなり緩過ぎるとずれてしまう
とても大事な作業なんです
(哲之)うん。
何とか合わせ終えたはずだったんですがこれがあとあと大騒動の火種に
いよいよ歌舞伎座で稽古
お兄ちゃんも付き添いに来ました
不敵な笑み
(愛)戻ってきちゃった…。
(哲之)パ〜ンチ!
(女性)あっあと1個。
(七緒八)ねえねえ。
ねえ…。
(愛)ちょっと…。
ねえのりちゃんホントに駄目。
のりちゃん。
稽古が始まりました
哲之君自分の出番を待ちますがじっとしていられません
するとお兄ちゃんが
演目は舞踊劇の名作…
源頼光の妖怪退治伝説をベースにした物語です
出演は八代目中村芝翫襲名を2カ月後に控えた橋之助さん市川猿之助さん中村扇雀さんら豪華な面々
哲之君の役は皆を驚かせようと面をかぶり石神の像のふりをする武家の子供
まずは石神の像だと思い込んでいる2人に運ばれます
やおら弓矢を取り出し脅かして
面が外れると決めぜりふです
(勘九郎)憎いわっぱめ。
このくらいは朝飯前
ところが順調だったのは稽古初日だけ
2日目になると面をかぶるのを急に嫌がり始めました
無理やり着けられましたがもう気になって気になって
どうやらかゆいみたい
そして…
今日は衣装を着けて稽古をするんですがぐずぐずして着ようとしません
そろそろ落ちますよ雷が
(勘九郎)哲之さん駄目!
(男性)今日お衣装着るんですよ。
(児太郎)のり。
そして出来たてのかつらを初めてかぶります
先日入念にサイズを合わせましたが
(児太郎)どう?のり。
大丈夫?
(児太郎)痛い?どこが痛い?
(哲之)ここ。
ちょっときついようです
そこでさらに細かく調整
(男性)よしよし。
(児太郎)あ〜いったいった…。
大丈夫大丈夫。
カッコイイ。
痛くないでしょ?
(愛)全然違う。
(児太郎)分かった。
のり…じゃあのりのりのりこれかぶんないとできないんだお面。
(愛)見てごらん。
のりちゃん鏡見てごらん。
(児太郎)分かった分かった…分かった。
(児太郎)そうだよのり。
(児太郎)のりのり…。
(愛)駄目。
まだ3歳
無理もありません
(愛)哲之さんねえ。
(哲之)はい。
終わり…。
(愛)終わらないよ。
(哲之)終わり〜!
(愛)終わりません。
(勘九郎)えっ何?
時間が来てしまいました
(愛)さあ行こう。
ねっ?終わり…あ〜!
(勘九郎)のり行こう。
(愛)さあ行こう。
ねっ?
(哲之)終わり…あ〜!
泣きわめく哲之君をお父さんが抱きかかえて稽古場に連れていきますが
泣きやみません
すると橋之助さんが涙を拭いてくれました
七之助おじじも心配そう
お面を着けて何とか出番を迎えましたが
そ〜…。
(猿之助)いや神と見えしは小姓の四郎め。
せりふはちゃんと言えました
やはり最大の課題はかつらのようです
この稽古の最中8月5日中村屋にとって節目となる出来事がありました
おじいちゃん勘三郎さんに線香を上げます
(哲之)5日?
(勘九郎)うん。
5。
5の日は何の日?
5日は勘三郎さんの月命日
今からおーわんが渡す物は…ちゃんと座んなさい。
(哲之)はい。
(勘九郎)書抜。
(哲之)書抜。
(勘九郎)書抜。
この書抜っていうのは…。
はい。
来年の2月にあなたたちは初舞台をやります。
(勘九郎)はい。
(勘九郎)になりますね。
それの…。
(勘九郎)はい…。
は〜い。
(勘九郎)はい勘太郎さん。
ちゃんと「ありがとうございます」は?ありがとうございます。
(勘九郎)はい。
(哲之)はい。
ありがとうございます。
(勘九郎)どういたしまして。
これが書抜という物です。
ではこれを開けてみましょう。
大事な物ですから大事に大事に開けてください。
見てください。
ここに何て書いてあります?ここには『門出二人桃太郎』って書いてあります。
ねっ?兄の桃太郎勘太郎さん。
ねっ?弟の桃太郎長三郎さんって書いてあります。
自分のせりふだけが手書きで記された書抜
印刷が普及する前に始まった慣習でせりふのある歌舞伎俳優は今でも皆渡されます
勘太郎長三郎を名乗る初舞台の『桃太郎』にはたくさんのせりふがありました
(勘九郎)分かりましたか?
(哲之)はい。
(勘九郎)分かりました?これからお稽古です。
頑張って覚えないと。
(勘九郎)じゃあこれ…。
(勘九郎)はい。
じゃあお兄ちゃまからいくよ。
1つせりふ言ってみましょう。
これ2人でだ。
2人で。
いい?「おじいさんおばあさんこんにちは」はい。
せ〜の。
(哲之・七緒八)おじいさん…。
(勘九郎)全然ちっちゃい声。
(哲之)おばあ…。
(勘九郎)もう一回ね。
おじい…。
(哲之)おじい!
(勘九郎)待って。
「おじいさんおばあさんこんにちは」はい。
大きい声で。
(哲之・七緒八)おじいさんおばあさんこんにちは。
(勘九郎)はい。
そうです。
「兄の桃太郎」
(七緒八)兄の桃太郎。
弟の桃太郎!
(勘九郎)覚えてるね。
であなたが「日本一の」って言って。
日本一の。
(勘九郎)2人で「桃太郎です」
(哲之)桃太郎…。
(七緒八)桃太郎です。
(勘九郎)「ももた〜ろ〜」じゃない。
「桃太郎です」桃太郎です。
(勘九郎)そう。
じゃあこれを…。
(勘九郎)じじちゃま見守ってくださいって。
(勘九郎)そうそうそう。
(勘九郎)お願いいたします。
はい。
ご飯食べますか?
(七緒八)このまま?
(勘九郎)いいよ。
着替えても。
(七緒八)着替える。
(哲之)このまま食べる。
(勘九郎)大きい声でな。
言えなかったんだぜ今日は。
なっ?
(七緒八)えっ…なっ何?どのぐらい?すっごいちっちゃい声。
(七緒八)ここ?一番いいのはこれね。
昨日がこれぐらいだったが今日のこれぐらい。
(愛)は〜。
ショックでしょう?
(哲之)このぐらいがいい。
(勘九郎)そのぐらいがよかったら…。
(愛)駄目駄目。
駄目。
(愛)駄目。
ホントに駄目。
「はい」は1回。
(哲之)「はい」は1回。
(愛)そう。
はい。
いいからはい。
はい。
(愛)そう。
うわ〜。
(男性)あ〜痛い痛い。
痛過ぎ。
や〜。
(男性)危ない…。
大丈夫?あ〜痛い。
(哲之)あ〜!あ〜!
哲之君初めてのおしろい
(七緒八)口閉じておめめつぶって。
これがまた大変なことになりました
(愛)お口閉じないと入っちゃうよ。
(哲之)う〜…。
うっ…。
(男性)大丈夫大丈夫。
大丈夫。
もう終わるから。
(七緒八)食べちゃ駄目だよ。
はい。
とんとん。
(七緒八)あっ!
(愛)とんとんしなきゃとんとんしなきゃ。
自分でやるんでしょ?早くしないとぼろぼろになっちゃうよ。
そうそうそうそう…。
とんとんとんとん。
うまいうまい。
自分でやんなきゃ。
(七緒八)なおも手伝います。
よく頑張りました
何だか今日はとってもお利口
と思ったら
(男性)あ〜っと。
(男性)頭だけね。
かゆい所。
皆が弟ばかり構うので今度は七緒八君が駄々っ子に
(好江)お顔してること忘れちゃ駄目。
(七緒八)嫌だ。
(勘九郎)なお。
さあ問題のかつら
いつもここでつまずいてきましたが
(男性)あ〜カッコイイ。
(好江)すご〜い。
(男性)鏡見る?
自ら鏡でチェック
満足したようです
しかし
やんない。
下持って。
ここ?
早速かゆい問題勃発
さらに舞台稽古では
そ〜…。
せりふはまだ
(猿之助)さては神と見えしは小姓の四郎め。
タイミングを間違え声も小さめ
まだおむつも取れない3歳
舞台に出る方も出す方も大変です
しかもこの8月公演には勘九郎さんにとって特別な演目がありました
それは七之助さんと共に初めて自分たちが中心となって挑む新作歌舞伎
それもただの新作ではありません
父勘三郎さんの盟友でもあった…
実はこの鶴瓶さんの新作落語の誕生に大きく関わっていたのがタモリさん
ある番組のロケで吉原を訪ねたときに江戸時代から伝わる遊女の話を耳にし感動
その話をぜひ落語にと『笑っていいとも!』の楽屋で鶴瓶さんに伝えると鶴瓶さんも面白がり1年前新作落語をつくり上げたのです
その高座を聞いたのが勘九郎さんと七之助さん
歌舞伎にしたいと思い立ちます
計画はとんとん拍子に進みわずか1年で上演にこぎ着けました
父勘三郎さんといえば野田秀樹さんや宮藤官九郎さんなど現代劇の作家とタッグを組んで数々の新作歌舞伎を発表
旋風を巻き起こしてきました
その父が亡くなってから4年
父が耕した畑を守るだけでなくいよいよ自ら新しい土地を切り開き始めたのです
いやでもねこんなにも早く実現するとは思わなかったです。
落語はただ聞いてるんじゃなくて観客の方が想像して聞いてく演劇というか。
自分たちで仕掛けた新作歌舞伎
大きなプレッシャーがかかります
そして予期せぬ結末が待っていたのです
おはようございます。
着到板に初めて波野哲之の名前
(愛)どこだっけ?あった。
それ駄目。
それ取っちゃ駄目。
それ鶴松君のだもん。
大希兄のだよ。
ここここ。
のりちゃんこの上。
(愛)入った?入った?OKです。
(勘九郎)はい。
おめでとう。

(男性たち)おめでとうございます。
初日は無事に幕が開いたことを祝い「おめでとうございます」と挨拶するのが慣習です
(勘九郎)よろしくお願いいたします。
バン。
(三田)バン。
うお〜。
楽しみにしてるからね。
頑張れ。
たくさんの人が楽屋を訪れます
(勘九郎)ちょっとだけ。
(中車)ねえ。
一度ぜひ。
バン。
(染五郎)うわ〜。
(勘九郎)何でだよ。
(勘九郎)楽しくてしょうがないと。
愛さんは…
歌舞伎俳優の妻の大事な仕事です
ママにもちょうだい。
くれちゃげる?くれちゃうとあれだからさこれで2倍だね。
お願いします。
(勘九郎)はい。
お願いいたします。
すみません。
お願いします。
じゃあね。
(好江)おめでとうございます。
(2人)おめでとうございます。
今日はどうやってできる?ちゃんとできる?うん。
はい。
じゃあ元気が出るあめあげる。
幾つですか?
(哲之)3個。
3個でいいんですか?やった〜。
やった〜。
(女性)「音が聞こえるぞ」
(女性)「ザザザザザザ」
そしていよいよ支度の時間
するとやっぱり
嫌だ。
嫌だ〜。
じゃあ何したいの?のりちゃん。
(男性)かゆいのしないよ今日はかゆいの。
かゆいの今日しないって。
開演時間が刻々と迫ってきます
のり。
(哲之)ここやだ。
のり。
のり!
(哲之)やだ。
ここやだ。
(勘九郎)哲之哲之哲之。
ホントに間に合わないから。
ねっ?頑張ろう?
(哲之)お顔…。
頑張ってのり。
今日は稽古じゃありません
本番です
(男性)いくよ。
(女性)はい。
(哲之)や〜!
(女性)もうすぐとんとん…。
(男性)もうとんとんするから。
(哲之)や〜…。
のり昨日できたでしょ?ねえのり。
(女性)はい。
そう。
(哲之の泣き声)
(哲之の泣き声)
(男性)もう終わるよ。
(泣き声)
でも塗り終わってしまえば
(女性)んっ?どう?
うっとり
何度も鏡で見詰めます
(勘九郎)神と見たるは小姓の四郎吾か?
(哲之)それ…。
(勘九郎)ちっちゃいちっちゃい。
(哲之)知られたら100年目!憎いわっぱめ。
イェイ。
(勘九郎)OK。
せりふもばっちり
残すは最大の難関かつら
すると
本番中にかゆくならなければいいのですが
さあ幕が上がりました
お父さんと猿之助さんに抱えられ舞台中央へ
哲之君頑張れ
面を外しせりふを言うまであとちょっと
なんですがあれ?やっぱりかゆいの?
かゆいと思っちゃったら最後どんどんどんどんかゆくなっていきます
あ〜ついにかつらを脱ごうとし始めました
まずい
ほとんど脱げそう
大ピンチ
とそのとき
出番が来ました
ぎりぎりセーフ
そして
何事もなかったかのように軽やかに舞います
せりふも
(勘九郎)憎いわっぱめ!
満員の歌舞伎座で見事に演じきりました
はらはらさせておいてその実めっぽう本番に強い
じじちゃま勘三郎さん譲りの才能です
(勘九郎)はい。
ありがとうございました。
(男性)はい。
おーわんにありがとうございましたって…。
(哲之)ありがとうございました。
(勘九郎)はい。
よかったんじゃないでしょうか。
お父さんに褒められました
でもお返事がありません
(勘九郎)あっそう。
何と自分の芝居に納得がいかなかったようですが何はともあれかゆい所を存分にかいてすっきり
さあ今度はお父さん
鶴瓶さんの落語を歌舞伎に仕立てたあの新作です
(勘九郎)パワー。
パワーちょうだい。
刀…。
ありがとう。
じゃあいってくるね。
(哲之)おじじ頑張って。
(七之助)はいはい。
分かりました。
鶴瓶さんの新作落語を勘九郎さんと七之助さんが新作歌舞伎に仕立てた『廓噺山名屋浦里』
美しいがお高くとまらない吉原一の人気おいらん浦里と真面目で不器用な田舎侍の人情話
田舎出身の浦里が自らの人生をお国言葉で語る場面が見どころです
オラが生まれた在所というのは貧しい山の村でごぜえやす。
笑いもあり最後はほろりとさせる新作歌舞伎
七之助さんの美しさとも相まって評判を呼んでいきました
駄目よ。
(哲之)眠いよ!のり。
(哲之)眠い…。
それ知られたら100年目。
全部やだ!全部やだ!
(哲之)やだ!うわ〜。
(哲之)許させられい許させられい。
キ〜ン。
(勘九郎)そうそうそうそう…。
そうそうそう。
(勘九郎)もうお風呂入りました。
(男性)あ痛っ。
てんてん。
(哲之)てっ…。
(勘九郎)手を手を手を…。
(男性)お疲れさま。
(七之助)お疲れさまでした。
公演が折り返し地点を過ぎた…
この方たちが現れました
(勘九郎)あっもう…。
すいませんありがとう…。
どうもありがとうございます。
ホントに。
(タモリ)どうもどうも。
(勘九郎)ご無沙汰のしっぱなしで申し訳ない。
(タモリ)こちらこそ。
(勘九郎)ありがとうございます。
いや〜面白いね。
(鶴瓶)今日またよかった。
(勘九郎)あっホントですか?
(鶴瓶)うん。
(勘九郎)ありがとうございます。
大丈夫でした?えっ?
(勘九郎)大丈夫でした?
(勘九郎)あ〜ホントですか?よかった。
いや〜あの…。
(鶴瓶)そうそう。
あのあれに書いてあったけど。
ねっ。
だから…。
(勘九郎)いえいえそんなことは…。
だいたい…。
(勘九郎)ないです。
ねえ。
(勘九郎)そう。
だから…。
俺メール来たよ。
あっそう。
(勘九郎)そりゃあね。
(渡辺)何か泣けちゃってさ。
(渡辺)いつもの…。
(勘九郎)そうでしょ?全然違うでしょ?
(勘九郎)ほら。
これはねこれは絶対大丈夫だって。
今日来てるっていうからこの芝居は…。
隆行のとこ行ってあげて。
嘘。
来るんやて?
(タモリ)えっ?
(勘九郎)そうです。
途中でしゃべってるときに「あっ今これタモリさんがどういう気持ちで見てるんだろう」と思ったらせりふ出てこなかった1個。
あっそう。
(勘九郎)ホントに。
「心中へ追い込まれ」
(鶴瓶)あ〜はいはい。
(勘九郎)「追い込まれ」っていうの一言が出てこなくて。
ちょっと後で行ってあげてください。
(七之助)すみません。
お久しぶりでございます。
(タモリ)お久しぶりです。
(七之助)ありがとうございます。
わざわざ…。
(タモリ)いやいや…。
(七之助)ありがとうございます。
(七之助)えっ?
(七之助)上がりましたよ。
せりふ…。
いやでもよかったよ。
すんごいよかった。
(タモリ)よかった。
(七之助)ホントですか?
(七之助)まあ…。
(七之助)これが…。
(七之助)ハハハ。
ねえホントですよ。
そしてこの日の哲之君
あれだけ嫌がっていたおしろい自分でできるようになっていました
(女性)舞う舞う。
千秋楽
それ知られたら100年目。
(勘九郎)憎いわっぱめ。
(哲之)許させられい許させられい。
(七緒八・哲之)はい。
(勘九郎)よし。
哲之君やり遂げました
(七緒八)召し上がれ。
(女性)召し上がれ。
どうですか?
(女性)おいしい。
そして日に日に評判を呼んでいった勘九郎さんと七之助さんの新作歌舞伎
割れんばかりのスタンディングオベーション
予想以上の大成功を収めたのです
おはようございます。
ありがとうございます。
5月に苗を植えた田んぼアートが稲刈りの日を迎えました
この3カ月前色の違う稲は見事に成長し巨大な絵がくっきりと浮かび上がっていました
2人の桃太郎と…
勘九郎さん一家も舞台の合間を縫って見学に来ていました
(七緒八)あの『連獅子』はじじちゃま。
素晴らしいね。
(愛)すごいね。
あの植えたのがこうなるんですね。
鮮やかな色彩は実りの秋を迎え黄金色に
(七緒八)切れた!
(愛)いや素晴らしいです。
季節が巡り初舞台が近づいてきます
すごいじゃん。
できた?のりもできた。
そんな中2人の大叔父さまが歴史的な瞬間を迎えました
橋之助さんが八代目中村芝翫を襲名
そして3人の息子もそれぞれ由緒ある名前を同時に襲名しました
橋之助さんの父であり勘九郎さん七之助さんにとっては祖父に当たる七代目芝翫さんは歌舞伎界を代表する名優でした
(観客たちの拍手)
(観客たちの拍手)
(芝翫)中村芝翫の名跡を八代目として襲名いたす運びと相なりましてござりまする。
11月中旬浅草…
2人が勘太郎長三郎を名乗り初舞台を踏む日まで3カ月を切りました
やらなければならないことがどんどん増えていきます
この日は…
日頃からお世話になっている方々に勘太郎長三郎を名乗ることを報告
歌舞伎役者にとっては決しておろそかにできない大事なしきたりです
(勘九郎)え〜…。
(勘九郎)どうぞよろしくお願いいたします。
ご挨拶のためにあつらえた記念の品
勘太郎長三郎が演じる桃太郎と勘九郎さんの赤鬼が描かれた九谷焼
家紋であるイチョウをあしらった扇子
そして手ぬぐいです
歌舞伎の世界では夫が舞台に専念できるようにごひいき筋の応対をはじめお客さまのことは妻が責任を持ちます
女将さんの腕の見せどころなんです
(好江)じゃあカワムラさまございます。
サトウさまございます。
お二人カワムラさま?
(男性)そうですね。
愛さんのお手本は好江さん
指導を受けながら奮闘します
2人の息子の初舞台に向けごひいき筋への挨拶回り
歌舞伎俳優の妻の腕の見せどころです
この日は浅草を中心に回りました
雷門近くの老舗そば屋
(堀田)このたびはどうも…。
(愛)お世話になります。
どうぞよろしくお願いいたします。
27日もどうぞよろしく…。
(堀田)ええ。
わざわざご丁寧にすいません。
恐れ入ります。
どうもこのたびはホントおめでとうございます。
創業明治20年
今も行列が絶えない人気の天ぷら屋
(丸山)ありがとうございます。
こちらは浅草ならではのどじょう鍋のお店
(一同)おめでとうございます。
(飯田)あ〜ご襲名で。
(愛)ご挨拶させていただきます。
(飯田)ありがとうございます。
お越しいただきましてどうも…。
愛さんまさに大奮闘
この日一日だけで11軒を回りました
粗相があってはいけません
体力だけでなく神経も使います
(愛・好江)こんにちは。
(杉林)どうも。
どうもおめでとうございます。
(好江)あのまたどうぞよろしくお願いいたします。
(杉林)申し訳ありません。
この方は建設会社の社長さん
江戸時代子分が3,000人いたという伝説の町火消し新門辰五郎の末裔だそうです
(好江)よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
(杉林)おめでとうございます。
(好江)すいません。
1万5,000人もの人たちが見守る中勘太郎長三郎の初舞台を記念したお練りが行われました
目に浮かぶ30年前の光景
中村屋のお弟子さんたちも勢揃い
皆で小さな2人の門出をもり立てていきます
その2日後…
勘九郎さんと七之助さんは玉三郎さんと共に12月公演の稽古をしていました
これが歌舞伎ファンも驚く特別な演目だったんです
普段1人で舞う舞踊劇の名作を何と5人で踊るという『京鹿子娘五人道成寺』
玉三郎さんを中心にずらりと5人の女形が登場
まさに歌舞伎だけが表現し得る幻想的な美しさに観客は酔いしれました
そしてこの公演の最中も勘太郎長三郎を名乗る初舞台の準備が着々と進んでいました
この日は初めて桃太郎の衣装を着る日
哲之君すっかりお利口にできています
何と居眠りまで
3カ月前は泣きじゃくっていたのに
実はこの衣装…
写真撮影を買って出てくれたのは勘三郎さんと親交のあった篠山紀信さん
ポーズの参考にしたのは30年前のお父さんたちの写真です
(女性)はい。
(勘三郎)何だっけ?
(女性)中村…何だっけ?何だっけ?七…。
(女性)ねえ。
(女性)疲れた…。
本音ですね。
これ幼児虐待みたいに思われてもねあれですけどもこうやってみんな育っていくんですね僕らね。
ただやっていくうちに好きになるっていうかまあ終わったらまたやりたがりますよ。
うん。
(女性)もう早く脱ぎたい?
(女性)僕脱ぎたくない?
(勘三郎)これだもんね。
(女性)お〜。
おいおいおいおい…。
そこは「はい」じゃなくていいんだよ。
(勘九郎)すいません。
ありがとうございます。
無事に終わってよかったです。
あっそれはもうすごい…。
楽屋で七緒八君が稽古に稽古を重ねたある芸を披露してくれることになりました
(勘九郎)なお…。
(七緒八)えっ?
(七緒八)何の?
(愛)今タオル欲しいよね?
(一同の笑い声)
(男性)ノリツッコミできるじゃないですか。
そして…
初舞台の日まで泣いても笑ってもあと5日
だんだん近づいてくるね。
初日。
今日はお父さんに今までの成果を見てもらいます
あしたからは大物俳優たちが勢揃いする歌舞伎座での稽古
もう仕上がってなければいけないのですが
哲之ぐにゃぐにゃしない!哲之ぐにゃぐにゃしない!あなたちょっと集中切れ過ぎ。
分かった?
(哲之)はい。
哲之君どうにもやる気が出ない様子
さらに七緒八君も
(勘九郎)ねっ?
本番が近づくにつれ自信が持てなくなっていました
ついお父さんの顔色をうかがってしまうんです
(勘九郎)「で?」じゃないでしょ?きょろきょろしない。
ねっ?「何だっけ?」っていうのなくしてください。
分かりましたか?
(七緒八)分かりました。
あなたどうなの?
(勘九郎)ねっ?
(哲之)はい。
おーわんは何て注意しましたか?あなたに。
「はい」じゃないでしょ?おーわんは「お声が小さいですよ」って言ったんです。
(哲之)はい。
ちゃんと覚えといてください。
(哲之)はい。
分かりましたか?
いよいよこの日がやって来ました
歌舞伎座での稽古
その前に行われる儀式で2人は正式に中村勘太郎中村長三郎となるのです
緊張してがちがちかと思いきや
(七緒八)あ〜あ〜。
これ何?
(スタッフ)マイク。
(七緒八)それホントにマイクなの?それホントにマイク?
兄弟揃って余裕しゃくしゃく
でも中村屋の家紋角切銀杏の羽織に袖を通すと気が引き締まった様子
いよいよ歴史的な瞬間を迎えます
(男性)二月大歌舞伎狂言名題をご披露いたします。
2月公演に出演する歌舞伎俳優たちが初めて勢揃いし演目を読み上げる顔寄せです
そしてそのときがやって来ました
私の…。
(勘九郎)どうぞよろしくお願いいたします。
中村勘太郎です。
どうぞよろしくお願いいたします。
中村長三郎です!どうぞよろしくお願いいたします。
ここに三代目中村勘太郎二代目中村長三郎が誕生しました
(男性)よ〜。
さらに中村屋独自の由緒ある儀式
現代ではほとんど廃れていましたがおととし94歳で亡くなった中村屋の生き字引中村小山三さんが覚えていて勘九郎襲名のときに復活させたんです
(小山三)おめでとうございます。
父と子で祝いの杯を交わします
これで勘太郎さんと長三郎さんになりました。
(勘九郎)お願いいたします。
(七緒八)お願いいたします。
(勘九郎)あっホントに。
勘太郎という名前は父勘九郎さんが名乗っていたもの
そして長三郎は江戸時代初代勘三郎の三男が名乗った名前です
稽古が始まりました
勘太郎君長三郎君の門出を祝うために大物歌舞伎俳優たちが顔を揃えました
その中で2人は物おじせず懸命に芝居をします
すると大物たちの顔にも笑みが
2人とも人から注目されると逆に力を発揮するタイプなんでしょうか
これまでの不安が吹き飛びました
(哲之・七緒八)これから皆さま鬼ヶ島へ行ってまいりまする。
桃太郎のお供も豪華な配役です
まあこれはなかなかやろうと思ってもできることじゃないかもしれないですし。
(菊之助)初舞台というのは歌舞伎界全体も一致団結して応援するっていうのがやっぱりその代々続いてまいりました。
みんなで盛り上げる1カ月になっていけばいいなというふうに思ってます。
平成中村座のメンバー彌十郎さんと亀蔵さんもしっかりと脇を固めてくれます
そりゃうれしいですよ。
お兄さんにホント見せたかったですよ。
それとね…。
そしてこの日勘太郎君がそんな大物たちの度肝を抜いたのです
(七緒八)これは見事な宝物…。
大物歌舞伎俳優勢揃いの稽古で勘太郎君が驚くべき行動を見せました
お父さんこの後せりふを忘れてしまいます
すると
あっ降参の印に鬼の…。
何とお父さんに勘太郎君が助け舟を出します
これには見ていた七之助さんたちもびっくり
勘太郎君日に日に頼もしくなってきました
(七之助)あっカワイイね。
何者なんだお前は。
今日から衣装を着ての稽古
芝居の前半はこの着肉と呼ばれる衣装にふんどしを着けて演じます
あった。
はい。
そして途中で衣装替え
鬼退治のために勇壮なよろい姿となるのですがここで大きな問題が
これまともにやるの?
衣装を着替えるだけでなくお化粧も直しかつらも変えます
そのための時間がわずか5分
お弟子さんたち頭を抱えます
想像するのも怖いのですがもし本番のとき半年前のあのときみたいになったら
全部やだ!全部やだ!
ところが
長三郎君とってもお利口
我慢できています
(男性)頑張れ頑張れ。
あとちょっとあとちょっと…。
もう終わりにするから大丈夫。
頑張って。
そこで今度は時間内に衣装替えができるのか実際に試してみます
舞台セットの裏に入るとすぐそこに着替えのスペース
狭くて身動きがとれません
化粧をして急いでよろい姿に
でもかつらを着けるはるか手前で
(男性)もう?もう?
(男性)もうですね。
これもう駄目。
タイムアップ
間に合いませんでした
そこで部屋をもう少し広げて段取りを再検討
果たして本番は間に合うのでしょうか
あしたはもう全体稽古なので2人が自由に舞台で稽古できるのは今日だけ
練習を繰り返します
これで立つときさおじじが立たせるから…。
長三郎君はもうへとへと
何しろ『桃太郎』は40分もあるお芝居です
ようやく稽古終了
すると
もう体力の限界だ…。
かわいそうに。
暑いのにな。
あっ寝ちゃった。
もう疲れちゃった。
そりゃそうだよこんな…。
(男性)そりゃそうだ。
(七之助)そりゃそうだ…。
頑張ったね。
(男性)偉い。
(七之助)偉い偉い。
もうすぐ脱げるから。
(男性)危ない危ない…。
(七緒八)まだまだ。
(男性)まだまだ?熱い?
(七緒八)ううん。
長三郎君今日の自己採点は?
なおも50点…。
最後の舞台稽古
いよいよあした初舞台の幕が上がります
2人は歌舞伎俳優として長い長い道を歩き始めるのです
(男性)そうそういいね。
でも勘太郎君はまだ5歳
長三郎君に至っては3歳
何も分からないうちに生きる道を決められてしまったようにも思えます
しかし
うちのリビングで。
急に。
言われましたね。
勘九郎さんと七之助さんが中学生のとき突然父勘三郎さんがこのまま歌舞伎俳優を続けていく気持ちがあるのかどうか2人に確かめたというのです
「やめろ」って言われてるような気がしてですね「やらせてください」っていうふうに言ったんですけども。
(スタッフ)「やらない」って言ったら違う道だったってことなんですか?じゃないでしょうか。
(愛)したくないっていう判断をするんだったらそれはそれで…。
判断は自分自身に任せる
でも歌舞伎俳優として生きていく選択肢は残してやりたい
だから今は伝えるべきことをひたすら伝えるのです
そして昨日…
勘太郎長三郎の初舞台が初日を迎えました
好江さんも愛さんも待ちに待った日です
(愛)よろしくお願いいたします。
2人も元気に楽屋で支度ができました
(七緒八)はい。
(勘九郎)大きな声でね。
(七緒八・哲之)はい。
(勘九郎)頑張れるか?
(七緒八・哲之)はい!
(勘九郎)よし。
(七之助)パワー。
(哲之)び〜…。
(勘九郎・七之助)ん〜…。
(勘九郎)じゃあ…。
(七緒八)お願いいたします。
(勘九郎)座って座って。
(七緒八・哲之)お願いいたします!
(勘九郎)もっと大きい声でいけるでしょ?
(七之助)もっといける…。
(七緒八・哲之)お願いいたします!
(七之助)よしよし。
舞台の裏にスタンバイ
(哲之)えっ?ここ…。
(勘九郎)のり…のりなお…。
分かった?
(哲之)はい。
よし。
なっ?ねっ。
わ〜!
(七之助)あ〜そうそう。
3階に。
わ〜!
(七之助)3階の後ろまで。
わ〜!
(七之助)俺たち桃太郎だ〜って。
わ〜!
(勘九郎)弟の桃太郎〜。
わ〜!
さあ幕が開きます
最初の演目は勘九郎さんと七之助さんの…
華やかな舞踊で幕を開けます
そして中村勘太郎5歳中村長三郎3歳初舞台…
昔昔その昔山に芝刈りに出掛けたお爺さんと川で洗濯をしていたお婆さんの元に大きな桃が流れてきました
お爺さんとお婆さんは家に持ち帰り息子夫婦の前で桃を割ります
すると
中から出てきたのはカワイイ2人の桃太郎
場内は割れんばかりの大きな拍手に包まれます
(観客たちの拍手)
(七緒八)お爺さんお婆さん…。
(哲之・七緒八)こんにちは!
(哲之・七緒八)日本一の桃太郎です!鬼ヶ島へ鬼を退治に行きます!2人で鬼をやっつけます!
2人は初めてのせりふを大きな声でしっかり言えました
鬼退治のお供をするのは…
さらに吉備津神社の神主たちが登場
この間に例の衣装替えです
果たして
見事な武者姿となって登場
間に合いました
ここで初舞台の口上です
勘太郎長三郎を名乗り初舞台をさせていただきますること叔父の私にとりましてこのようなありがたく幸せなことはございません。
偉大なる先輩方からお教えを受けまた兄弟仲良く切磋琢磨し努力精進を重ねゆくゆくはこの場に一番いたかったであろう父勘三郎のように皆から愛される立派な役者になられまするよういずれもさまもご指導ごべんたつのほどをひとえにお願いを…。
(観客たちの拍手)中村勘太郎でございます!どうぞよろしくお願い…。
(観客たちの拍手)中村長三郎でございます!どうぞよろしく…。
(観客たちの拍手)
(男性)中村屋!
そしていよいよ鬼ヶ島へ
クライマックスは父勘九郎が演じる鬼の総大将との立ち回り
伸び伸びと生き生きと2人は演じきりました
そして宝物を手にして…
(観客たちの拍手)
初日が終わりました
(愛)おかえりなさい。
(七緒八)お疲れさまでした。
(勘九郎)はいお疲れさまでした。
ありがとうございました。
よく頑張りました。
初めての…
(男性)お疲れさま。
長三郎君も
(男性)よし…。
力を一つにしました
(好江)お願いいたします。
よろしく。
すいません。
(愛)お願いいたします。
公演は25日間
闘いは始まったばかりです
中村勘太郎と中村長三郎
兄と弟は手を携え長い長い道のりを歩み始めました
歌舞伎の伝統を中村屋の魂を受け継いでいきます
全てはあしたの感動のために
未来へとたすきをつなぐために
2017/02/03(金) 19:57〜21:49
関西テレビ1
金曜プレミアム・祝!中村屋ファミリー 独占密着!泣いて笑って稽古して・・・5…[字]

中村屋初舞台に密着▼緊張の初日楽屋…独占映像▼初おしろいに哲之3歳号泣!本番ではカツラが大ピンチに▼七緒八5歳の爆笑ギャグ▼タモリ&鶴瓶と挑む新作歌舞伎の行方

詳細情報
正式タイトル
金曜プレミアム・祝!中村屋ファミリー 独占密着!泣いて笑って稽古して・・・5歳と3歳兄弟の初舞台SP
番組内容
 中村屋ファミリーの1年間の軌跡を丁寧に追いかける『中村屋スペシャル』最新作。
 2月2日は「中村屋」にとって大きな節目の日。勘九郎の5歳の長男・七緒八と3歳の次男・哲之の2人が兄弟そろって初舞台を迎え、それぞれ「三代目中村勘太郎」「二代目中村長三郎」を名乗る。亡き勘三郎の愛した孫たちが、いよいよ歌舞伎俳優へのスタートを切る。
 七緒八が名乗る“勘太郎”は父・勘九郎の前名、弟の哲之の“長三郎”は
番組内容2
中村屋の由緒ある名跡。歌舞伎界にとっても一大イベントとなっているが、ちょうど30年前の1987年に5歳と3歳でデビューを飾った勘九郎と七之助の初舞台と同じ形で、演目も同じ「門出二人桃太郎」ということで、まさに運命の写し絵ともいえる。
 2月2日(木)が初舞台公演の初日。その翌日に放送される当番組は、その大舞台に臨む子供たちの舞台裏を1年にわたり取材した感動ドキュメント。最大のみどころは、日本中の
番組内容3
注目が集まる初舞台の初日に向けた稽古のラストスパートから、緊張の本番までのハラハラのドキュメント。勘太郎と長三郎の初舞台「門出二人桃太郎」の稽古では、父であり師匠でもある勘九郎はもちろん、母の前田愛、そして亡き勘三郎の妻・好江さんも厳しく指導にあたる。ついに迎える歌舞伎座の大舞台初日!父・勘九郎、母・愛の胸中は…?果たして、一生に一度の大事な舞台を2人の子供たちは無事に務めあげることができるのか?
出演者
中村勘九郎 
中村七之助 
中村勘太郎 
中村長三郎 
前田愛 
中村芝翫 

他 

【語り】
武田祐子(フジテレビアナウンサー)
スタッフ
【監修】
塚田圭一 

【構成】
武田浩 

【撮影監督】
白石利彦 

【撮影】
渡部薫梨 

【協力】
ファーンウッド 
田中亨 

【監修協力】
吉崎典子 

【編成】
橋本英司 

【広報】
佐藤未郷 

【AP】
後藤朋子 

【ディレクター】
後藤博 
花枝祐樹 
幸田理一郎 

【演出】
松木創 

【プロデューサー】
坂口和之進 

【チーフプロデューサー】
西村朗
スタッフ2
【制作協力】
共同テレビジョン 

【制作著作】
フジテレビジョン