全文書き起こしサイト

地上波テレビの字幕を全文書き起こします

スポンサードリンク

セリフ書き起こし 「超入門!落語 THE MOVIE(最終回)「粗忽の使者」「妾馬」 2017.02.10」

たった一人で全てを演じきる究極の話芸落語。
時代時代の落語家によって数多くの名作が語り継がれてまいりました。
聞き手の想像力で無限に広がる落語の世界
ふだん聞いて楽しむ落語の演目を…。
噺に合わせてあえて映像化致しました。
目の前に鮮やかに現れる笑いと人情の物語
見る落語どうぞ一席おつきあい下さい。
ではあちらの席でお願いします。
こんにちは。
あっこんにちは。
え〜濱田です。
濱田様…。
あちらの真ん中の椅子にお願いします。
はいありがとうございます。
あっすいませんすいませ〜ん。
あれ?あ〜お久しぶりです!えっ?え〜?こんな所で会うなんてすごい偶然ですね!あ〜あ〜そうっすね。
すごい偶然ですね。
え〜お久しぶりです〜。

 

 

 

 


ハハハ…。
あ〜あの以前お会いした時ってすごい寒い日でしたよね?えっ?あの日結構暑くなかったですか?ああそうだいやもうあの日は暑かったっすね。
あっそうだ。
あのお仕事関係でねあの…。
バカな事言わないで下さいよ。
えっ?俺人生で一度も働いた事ないじゃないですか。
ハハハ!もうそんな自慢げに。
とんでもない人だな…。
あっあのすいません。
ちょっとお手洗いに。
すいませ〜んすいません。
箸?箸…箸!あ〜はいはいはい。
忘れていた事もひょんな事から思い出すなんて事ありますよね。
それは江戸時代の人も同じ。
でも中にはそのきっかけがかなり変わった人もいたようで。
お久しぶりですハシモトさん!違います。

(出囃子)
今からおよそ300年前の滑稽本を元に作られたという「粗忽の使者」。
伝言を忘れてしまった男が巻き起こすドタバタ劇
え〜毎度そそっかしい方のお噂でございますけども。
「何をゲラゲラ笑ってんだよ?」。
「ヘッヘッヘ!いや世の中にねこんなおかしい話ねえと思ってよ。
今日このお屋敷にさお使者って殿様の名代の。
俺は本物見た事ねえからねそばへ行っちゃいけねえって言われてたんだけど見てえと思って隣の部屋から。
ああ入ってきたんだよ。
こいつがそそっかしいったってなんたって。
ほら田中三太夫の旦那ここのお屋敷の。
そこへ出てきてちゃんと挨拶してんだよ」。
「本日はお使者のお役目ご苦労さまでございます。
拙者は当家の家臣田中三太夫と申す者でござる」。
「ってんで今度その野郎の番だよ。
かしこまった顔してね」。
「これはこれはご丁寧なるご挨拶痛み入ります。
拙者は当家の家臣田中三太夫と申す者でござる」。
「俺はおやおやっと思っちゃったよ。
そしたらその野郎気が付きやがってね。
『ではござらぬ』つったよ。
『手前は…』ってしばらくてめえの名前考えててね」。
「地武太治部右衛門と申す者でござる」。
「ってんで世間話を二つ三つ。
田中の旦那が…」。
「早速でございまするがお使者の口上をお聞かせ下さい」。
「つったらその野郎が何か様子がおかしいんだよ。
旦那心配して聞いてるよ。
具合が悪いんじゃねえかったらそうじゃねえってん」。
「どうなされましたか?」。
「っつったらお使者の口上を忘れたってんだよ。
なんとか思い出す手だてはねえのかと聞いたらガキの頃から物忘れが激しくて何かものを忘れると野郎の親父がケツをギュ〜ッとひねるんだって。
痛えだろ?痛えと思うと忘れた事が出てくるんだ」。
「ご貴殿まことに申し訳ござらぬが拙者の尻をおひねり下さらんか?」。
「って。
旦那は安心したよ。
いやそんな事でね思い出すんなら切腹にも及ばないしよかったよかったってんでね。
あの窮屈袋って袴ね。
あいつを外してねクルッとケツをまくったんだよ。
俺が見てるちょうどまともに侍のケツがド〜ン。
初めて見たよ侍のケツ。
田中の旦那がね指ポキポキ鳴らしながら」。
「痛かったら痛いと仰せ願いたい。
ではまいりましょう。
この辺でいかがでござる?地武太氏」。
「ってひねったんだよ。
そしたらその野郎涼しい顔しやがってよ」。
「もはやおひねりでござるか?」。
「って聞いてんだよ。
今度は両手で」。
「いかがでござる地武太氏」。
「もっと強く」。
「って。
旦那音ぇあげちゃったよ。
これ以上指先に力がねえってんだな。
したらその野郎の言いぐさがよかったよ」。
「ご当家にもっと指先に力量のある御仁がござらぬか?」。
「ってそら剣術の強いやつとかね柔の使い手はいるよ。
指先だけに力があるやつなんてそんなの分かんねえと。
でもまあ探していねえ事はねえだろうからしばらくお待ちをってんで今田中の旦那が指先に力量のあるのを探してるから俺が行ってこようと思ってね」。
「バカ野郎お前はどうしてそうお先走りなんだよ。
田中の旦那ってえのはねお屋敷の柔の指南役。
力は3人力。
お前が行って通じる訳がねえよ」。
「いやだからさ旦那みたいに素手でやらないんだよ。
俺はちょっと道具使おうと思ってね。
持ってきた。
これくぎ抜き。
えんまね。
これでこう」。
「おいそんな事したら危ないよ。
ケツの肉ちぎるよ?」。
「いいよちぎったって。
向こうはまかり間違や腹切ろうっつってんだから。
ケツの肉の1貫目や2貫目」。
「乱暴だな大丈夫かい?」。
「大丈夫大丈夫。
こっちに任してな」。
「こんちは!真っ平ごめんね。
真っ平ごめんね!」。
「誰じゃぴらぴら申しておるのは。
何じゃ?」。
「ええちょっと田中の旦那にお目にかかりてえんで」。
「田中氏に?うんしばらく待ちなさい。
ああ田中氏ご貴殿に用があるという職人が来ておりますが」。
「ほう?その方か?」。
「ああ旦那!さっきはどうもご苦労さまです」。
「人違いではないか?作事場なぞ見回っておらんぞ」。
「ええお使者の後ろへ行って『いかがでござる?地武太氏』。
どうなりました?」。
「これ!あれを見ておったか。
けしからんやつじゃ。
他言は無用じゃぞ」。
「ええおしゃべりはしませんけど。
いたんですか?指先に力量のある御仁」。
「さようなバカバカしいものは分からん困っておる」。
「はああっしが行ってひねってきましょうか?」。
「その方さように指先に力があるか?」。
「あるかどころじゃねえんだよ。
じゃあ旦那うたぐるんならケツをお出しなよ。
今肉ちぎるから」。
「乱暴だな。
しばらく待ちなさい」。
「あっではこれを当家の若侍に仕立て上げて。
そうすればお使者に対して失礼もあるまい。
その方これに着替えてもらってな。
襟元をよう合わしてな。
袴を着けて刷毛先をひとつきれいに整えて。
うん。
お使者の前へ出たら言葉遣いは丁寧に。
何事も言葉の頭には『お』の字をつけて下には『ござる』あるいは『奉る』とこう言う」。
「ああそうですか」。
「でその方の名前は?」。
「ええ留っこってんです」。
「何?」。
「留っこ」。
「留っこ?留次郎とか留三郎とか?」。
「いや〜何だか知りませんよ。
ガキの頃から留っこで通ってっからね。
向こうの方からね『おう留っこ!』ってえと『ア〜ウ』ってんで駆け出すんだ」。
「犬だなまるで。
侍に留っこなどという名前はおかしいからああ…拙者は田中三太夫。
田中を返して中田。
中田留太夫というのがその方の名前じゃ。
さあこちらへ参れ。
ここへ控えておれ。
拙者がその方の名前を呼んだらこちらへ入ってくるようにな。
よいな?はあ。
長らくお待たせを致しました。
さぞお待ち遠の事でござりましょう」。
「どなたでござったか?」。
(笑い)「もはやお忘れでござるか。
最前お目通りを致しました田中三太夫めにござります」。
「おお田中氏!ああそういえば以前どこぞでお目にかかったような気も致す。
して何の御用じゃな?」。
「もはやそれもお忘れで…。
いや〜ご貴殿の居敷きをひねりまする指先に力量のある者を」。
「それでござった!してその指先に力量のある御仁は?」。
「はっ。
今隣に控えさしております。
すぐにこれへ呼び入れますのでしばらく。
ああ…お次に控えし中田留太夫殿これへ」。
「中田留太夫殿これへ!あれ?ううん留太夫殿!これ!留っこ?」。
「ア〜ウ!」。
「ア〜ウじゃない!太夫殿!」。
「ヘッヘッヘヘッヘッヘヘッヘッヘ…。
あっしじゃねえと思ったんですよ。
ホッホッホ」。
「早速仕事にかかりなさい」。
「かかりなさいって。
旦那がそこにいたんじゃやりにくいよ。
ちょっと仕事する間さ旦那次の間にお出でござるよ」。
「粗相があってはならん」。
「いや粗相なんかないって…いたらやんねえよあっしは。
大丈夫大丈夫。
うんそっち行ってねうん。
お唐紙はおピシャリとお閉めでござるよ」。
「おじさん」。
「おじさん?異な言葉遣いの御仁じゃ」。
「ゴジンもニンジンもないよ。
お使者に来て口上を忘れるなんてそんなとぼけたやつねえ。
俺はこんな格好してるけどさ侍じゃねえんだよ職人なんだ。
お前さんがねかわいそうだから出てやったんだから。
なっ?ケツひねるから。
早くまくっちゃえ」。
「では。
お願い申す」。
「うん。
あら〜!またそばで見たら汚えケツだねこりゃあ。
こんなに毛を生やしてどうしろってんだ。
コオロギでも飼おうってんじゃねえだろうな。
俺は並みのやつより力があるから痛えなんて後ろを向くなよ?いいかい?よいしょ。
どうだい?ええ?どうだ?」。
「う〜んご貴殿大変冷てえお手をしてござるな。
とてものついでもう少々手荒く」。
「ええ?いいかい?そんな事言って。
よし今度はつかんどいて半分ひねるから。
いくよ!よいしょ!ギュ〜ッと!どうだ?」。
「たぁ!いや〜これはまた大変な力量でござる。
痛み耐え難し」。
「そうこなくっちゃ面白かねえや。
思い出せよ!えんまのこ〜!」。
「ううっ!ハッハッハ!いや思い出した!思い出してござる!」。
三太夫が間の襖をさらり。
「してお使者の口上は?」。
「テヘヘ!屋敷を出る折聞かずに参った」。
(拍手と笑い)すいません全然思い出せなくて。
どなたでしたっけ?何だよもっと早く言って下さいよ。
すいません…。
ほら前そば屋で隣になったじゃないですか。
そば屋?回想かけそば下さい。
かしこまりました。
いやいやいや覚えてないでしょそれは!いやごめんなさい。
あのすいませんここ俺の席なんすけど。
すいません。
皆さ〜んお待たせしました。
今日はイタリア・フィレンツェの伝統的なお菓子ズコットを作りたいと思います。
ズコット?だっさい名前っすね。
名前からコケちゃってんじゃないですか。
本当においしいんすか?それ。
まず見本を試食してみましょうか。
濱田さんいかがですか?ええ!?とっても大人の味ですね。
竹山さんはどうですか?いやこれココアかけ過ぎでしょう。
甘さ抑えるどころか苦くなっちゃってますよ。
ああ言っちゃうんだ…。
あと先生エプロンに値札ついてますよ。
えっ?やだ!江戸時代でも本音と建て前使い分ける処世術が大変重要だったそうです。
でも意外に気を遣い過ぎない方が相手の懐に飛び込めるなんて事もあったようで…。
竹山さん教えてくれてありがとうございました。
いえいえ。
細かいところ見てるんですね。
そういう人結構好きかも。
ええ?何この展開!
(出囃子)
噺家の大看板がさまざまに演じてきた「妾馬」。
殿様の側室となった妹が子どもを授かり兄の八五郎は屋敷に招かれる
ええご来場で厚く御礼を申し上げます。
昔から「女氏なくして玉の輿に乗る」なんてね言いますよ。
あべこべに男というのは情けないですね。
「男意気地なくして玉の汗をかいてる」なんてね。
随分違いがあるんでございますが。
「何だ何だハチ公!遅かったじゃないかよ」。
「どうもすいません大家さん。
あの〜店賃だったらもう少し待ってもらいたいんすが」。
「私が呼びにやると店賃の小言だと思ってくれるだけまだありがたいな。
今日はな店賃の催促じゃないんだよ」。
「はあ諦めた?」。
「諦めやしないよ。
お屋敷に奉公に上がっているお前の妹のお鶴なお世取りを産んだんだよ」。
「あっそうですか。
ニワトリ産むこたあねえじゃ…」。
「ニワトリじゃないよ。
男の子の事をお世取りってんだ。
お殿様も大層なお喜びようでな『兄の八五郎目通り許す』ってんだよ。
お屋敷に行ってきな」。
「よそうよそんな。
いいよ侍とつきあうのはやだ」。
「つきあえないよお前には。
行ってきなよ。
行けば損はないぞ。
お目録を頂けるんだよ。
金子を頂けるんだ」。
「金を?へえ〜!もらえなかったら立て替える?」。
「いや立て替えやしないけどな。
いいかい?言葉を丁寧にな。
ものの頭に『お』の字をつけて。
なっ?しまいには『ござり奉る』とこう言うんだぞ」。
「はい分かりました。
おっ奉ってくりゃあいい訳だ」。
「何だいその『おっ奉る』ってえのは。
紋付きやなそれから袴やなんか俺のを貸してやるから」。
「ああ借りてやるから」。
「えばってんねおい」なんてんで。
これからはっつぁんまあ「馬子にも衣装」でございましてお屋敷へやって参りまして。
「八五郎苦しゅうない。
面を上げい」。
面を上げい!」。
「何を致しておるのじゃ!面を上げんか!」。
「表上がらねえよ。
土台がしっかりして」。
「そうではない!頭を上げるのじゃ」。
「ああ頭?何だ頭だったらすぐに上がるんだこっちはね。
え〜どうもお殿さん!ヘヘヘ…ちは!ええどうもちは!」。
「うんこの度鶴が世取りを産んで余は満足に思うぞ。
その方はどうじゃ?苦しゅうない即答をぶて。
即答をぶて。
これ三太夫。
八五郎いかが致した?」。
「何をしておるのじゃ!即答をぶたんか!」。
「ええ?」。
「即答をぶて!」。
「ぶっていいの?」。
「構わんからぶて!」。
「あっそう。
こらありがてえやこらなあ。
ブッ!」。
(たたく音)「痛い!何をするのじゃ!」。
「これその方らそこで何を致しておるのじゃ?『即答をぶて』を『そっぽをぶて』と間違えた?これこれ三太夫控えておれ」。
「痛いではないか」。
「分からねえよこっちはさ。
『そっぽをぶてそっぽをぶて』って頭がヌウッと前出てくりゃはり倒したくなるじゃねえかよ。
ああ何か言えってえの?ああそうええ。
え〜あっ!おお…初めましてござり奉る。
お…おわたくしことは八五郎殿でござり奉る。
今日大家殿がお呼び奉ってお屋敷に行き奉れ。
行けば何でもご損はないなどと申し奉る」。
「これ三太夫この者の申す事余には一向に分からんぞ」。
「何をしておるのじゃ!殿はお分かりがないではないか」。
「そらそうだろう。
言ってる俺が分からねえんだ」。
「いや分からんやつがあるか!」。
「余の前じゃによって無理に言葉を改めておる。
朋友に物申すようでよいと申し伝えよ」。
「ありがたいお言葉じゃ。
ふだんの言葉でいいそうだ」。
「ふだんの言葉でいいの?はあそうくりゃこっちゃ占め子のうさぎよ。
え〜お殿さんねつまりあの大家のでこぼこが」。
「でこぼこと言うやつがあるか!」。
「三太夫控えておれ。
これ八五郎その方はササを食べるか?」。
「バカにしてんね〜貧乏人だと思ってさ。
まだ笹っ葉は食った事ありませんが」。
「そうではない。
酒を飲むか?」。
「あっ酒ですか?酒だったらこっちは飲むってんじゃねえ。
浴びる方でござんすが。
あらあらあらあら。
まあこらお膳が出てきてごちそうだねこらね。
ああすいませんねお酌して下さるんですか?どうもありがとうござんす。
おばあさん」。
「あばあさんではない!当家のご老女だ!」。
「ああそう。
すいませんねご老女さん。
へいへいへいへいへいへい…ええどうもどうもどうも。
じゃあひとつ頂きますんで。
うんうんうんうんうんうん…」。
「ああ〜!体の真ん中をねえばって通ってますよ。
ああどうもすいません。
またお酌をして下さるんですかありがとうござんす。
ご老女のおばあさん。
ええええどうもどうどうどうええ。
あれ?おい何だよ。
そこでもってニコニコ笑ってこっち見てんのはお鶴じゃねえかよ。
おいお鶴!」。
「これこれこれこれ!無礼者!」。
「何が無礼だよ。
兄貴が妹を呼んで何が無礼だ!控えておれ三太夫!本当にまあ。
お鶴よう。
赤ん坊産んだんだって?よかったなおめでとう。
お前脅かすなよお前はさ。
ニワトリ産んだんだと思ってさ俺はね。
したらそうじゃねえんだってな。
男の子の事をお世取りってんだってな。
あんちゃんお前のおかげでもってどんどん利口にならあ。
おおかた女の子の事は雌鳥とか何とか言うんだろうな。
だけどいいか?おう。
男の子産んだからって高慢になってちゃ駄目だよ。
如才なく皆さんにかわいがってもらうんだよ。
なっ?ヘッ…。
お鶴の事よろしく頼みますよ。
三ちゃん。
ヘヘヘ!いやさ出かけにおふくろが泣いてやんだよな。
『どうしたんだい?』と聞くってえと『身分の違いは情けない』ってさ。
初孫の顔も見る事もできない。
身分の違うものは情けないってさ。
親父が死んだ時に涙一つこぼさねえあの気丈なおふくろがポロポロ泣いてやんだよ。
だから俺そう言ってやったの。
『こんなめでてえ日に泣くんじゃねえ』って。
『泣く暇があったらお前俺の酒代のために針仕事の一つもしたらどうだこのクソババア』とそう言ってよ。
出てきたのうん。
だからさ今度いっぺんおふくろ呼んでやってくれや。
あんちゃんもういいからよ。
おふくろに赤ん坊抱かしてやってくれや。
なっ?」。
「お殿さんもこのとおりでござんす。
ヘッ…すいませんね何だか座が陰気になっちゃって。
ここらでお殿さんひとつ陽気に歌でも歌いましょうか?」。
「おお!何か珍歌はあるか?」。
「侍の言う事はよく分からねえねおい。
珍歌ってんじゃねえがまあ都々逸ってんですがね。
こういうのはどうです?『明けの鐘ゴンと鳴る頃三日月形のくしが落ちてる四畳半』なんてのはいかがでござんす?」。
「おお〜さようか」。
「帰ろうかな俺もう…。
都々逸の合いの手に『さようか』ってのはねえ。
『ようよう』か何か言ってもらいてえや。
なっ?『別れがつらいと小声で言えば締める博多の帯が泣く』なんてのはいかがですな?」。
「よ〜およ〜お!」。
「調子が出ねえねおい…。
『土手の芝〜人に踏まれて一度は寝るが露の情けでよみがえる』ってんだいわ〜っとくらあ!どっか行こうか殿公!」。
「これこれこれ!殿公と言うやつがあるか!」。
「面白い男である。
士分に取り立てい!」。
…とこれからこの八五郎が出世を致しますおめでたいお話でございます。
(拍手)「落語THEMOVIE」いかがでしたでしょうか?落語に興味を持たれた方は是非寄席に足を運んでみて下さい。
あなたの想像力で無限に広がるエンターテインメント。
それが落語です。
「超入門!落語THEMOVIE」。
今回で一旦お別れまたお会いしましょう!
2017/02/10(金) 01:25〜01:52
NHK総合1・神戸
超入門!落語 THE MOVIE[終]「粗忽の使者」「妾馬」[字][再]

ふだん、想像で楽しむ落語の演目を、落語家の語るはなしに合わせてあえて映像化。完璧なアテブリ芝居をかぶせてみたら…初心者でも楽しめる新たなエンタメが誕生しました!

詳細情報
番組内容
(1)「粗忽の使者」…そそっかしくて物忘れのひどい侍(今野浩喜)、大事な使者の口上を忘れてしまったので思い出そうと…(2)「妾馬」…八五郎(カンニング竹山)は、殿様に嫁いだ妹が世継ぎを産んだためお屋敷に招かれる。しかし、生来のがさつ者なので、家臣の三太夫(神保悟志)は四苦八苦…▽案内人・濱田岳による「現代版マクラ」も必見です▽落語THE MOVIE、いったんお別れです。またお会いしましょう!
出演者
【案内人】濱田岳,【出演】今野浩喜,カンニング竹山,神保悟志,柳亭市馬,古今亭菊志ん,【語り】落合隼亮