南無阿弥陀仏!念仏!・ギリヤーク!・ギリヤーク!伝説の大道芸人。
大道芸人はね踊っただけじゃ半分なんですよ。
投げ銭を頂いて今日仕事した事になって大道芸人になるの。
・ギリヤーク最高!・ギリヤーク!まだ踊れます!・ギリヤーク!
(チャイム)
(取材者)おはようございます。
NHKの松原ですけど。
ああ!すいません。
いいですか?お邪魔しても。
はいはい。
ギリヤークさんこんにちは。
ああどうも。
どうも。
取って大丈夫なんですか?腰はやっぱり曲がっちゃうんですか?ほれ。
あぁ…。
あ〜なるほど。
だからね順天堂大学のね…。
(キャップの落ちる音)専門の…あっ。
あっ落ちました。
先生にも聞いてもらったけどね…うん。
ギリヤークさん復活できそうでしょうか?これ飲めないんだなあ。
ちょっと無理だろうなと思うんだけどね…。
ん。
「白鳥の湖」!「白鳥の湖」!街頭で踊って投げ銭もらって生活してきた。
「じょんがら」!「じょんがら」!
(歌と演奏)誰だい?あんた。
名刺を出すような者じゃないです。
5,000万の当たりくじです。
番号はほれここに載ってます。
つまり秩序の外にいる人だから。
ものすごくナイーブで人のよさそうな顔と…同時に何ていうのかなこちらの秩序の世界に属さない暗黒の外側からやって来たみたいな。
(叫び声)何かを讃えてますねあの人はね。
そういうものに惹かれるわけでしょうね我々は。
こんにちは。
こんにちは…。
ああ!ギリヤークさんおはようございます。
ああどうも。
ちょうど出かけるとこですか?あっそうなんですね。
自分でなるべく自分でやるようにさせてるんだけど。
はるさんのなんですか。
これがギリヤークでこれが僕でね。
残ってるの2人だけなんですよ。
あっこれ全員兄弟ですか。
全員誰もいないんですよ。
ハンカチ?よしよしよし。
よいしょ。
兄貴は昭和5年に生まれてさ。
俺はね末っ子で生まれたから昭和15年だから。
これが伸ばせないんだな力ないんだな。
あハンカチ持ってきたよな。
2枚も渡したじゃないか。
え?かばんとポケットに入れてあげたじゃん。
行っちゃったかな〜。
こんにちは。
どうもお世話になります。
・はいどうも。
大丈夫だって。
ああ…。
痛くなった。
大丈夫。
ごめんごめん。
(セミの鳴き声)こんにちは。
あっどうも!すみません今電話しようかと…。
いえいえ。
あっ買い物してきたんですか。
はい。
はい帰ってきたぞ。
ハァ…。
何歳になったんですか?今日は何を?今ギリヤークさんと住まれてどれぐらいなんでしたっけ?もうここでね…。
お仕事はずっと何をされてたんですか?今生活はその…。
細かく切られるんですね。
う〜んおいしそうだなあ。
僕の大好きな生ハムだ。
生ハム好きなんですね。
ふ〜ん。
はいよ〜し。
はい。
ちょっと熱いけどみそ汁ちょっと飲んでみな。
熱いぞ。
いいか?しょっぱい?うまい。
うまい?ああ…ハハハハハこっちだよこっち。
はい。
よし。
どこが違うんですか?…だそうですけど?ハハハハハハ!僕函館に生まれてうちお菓子屋でしょ。
そうすると映画館の売店からね「お菓子届けて下さい」とかって来るでしょ…お客さんに売る。
そうすると配達にね僕も行って映画見たりなんかしてるとね僕もああいうふうになりたいなって思う憧れはあってね。
東京へ行って俳優さんでもなりたいなとかね。
だけどね駄目だ駄目だってね言われてね。
僕はアルバイトにねビルの掃除夫をやったりなんかしてて自分の発表の場ないでしょ。
だから大道芸人になってそれで食べていこうと。
・どういう事から街頭で踊りを始められたんですか?え〜っと私は創作舞踊を長年やってきましたけど例えば舞台で発表するとしましても1人ですとなかなか大変なんですよ。
それでもっと自分の身近なところで多くの人に舞踊というのを見てもらいたいと。
で考えついたのはやっぱり街頭だったんです。
私はお客さんにただ楽しんでもらうだけでなく今の時代で特にみんな不安やいろいろあらゆる人間感情を内に込めて爆発できないでいるようなところで人と人との心のふれあいっていうかあるいは時には時代に対する抵抗っていうかいろんなものを含めて見る人と演ずる人との葛藤といいますかその中で自分を見つめていきたいっていう…。
(拍手)
(拍手)南無阿弥陀仏!南無阿弥陀仏!
(拍手)・拍手しました?
(チャイム)あっこんにちは。
ああどうぞどうぞ。
いいですか?あ〜寝てましたか!すいません。
うん。
何かあったんですか?ああ…そんなに震えるんですね。
うわ〜。
ねえ。
どう思ってるんですか?自分では。
下向いてたら伸びないよ。
つかまって上を向いてほらあのカメラ見てごらんカメラ。
あそこのカメラ見るの。
上向いて歩くの。
カメラなんか見えてなかったよ。
だからカメラ向いて歩くようにするとここ伸びてくるから。
ここ伸ばすんじゃなくて顔を上げると自然に伸びてくるから。
いやそれが頭からねつらい所から下がっていくの。
人間の体って楽したいから。
だから前を見るようにカメラを見るようにして歩いていけば自然にこっち伸びてくるから。
いや〜そうするとね動作が遅れてやっぱりねスイスイとはいかない。
ちょっとさ…。
そこのところをさ。
う〜ん…。
(鈴の音)
(鈴の音)改めてですけどお母さんの写真こうやって飾ってるのはなぜですか?自由にさせてくれましたよ。
僕が「ニューヨーク行きたいけどお金がない」って言ったらね自分の生命保険をおろしてね。
それでニューヨークへ行って踊れたの。
どこへ踊りに行くにもね「勝見ちゃん体だけは気を付けて頑張りなさいよ」って。
「頑張りなさいよ」って言葉だね。
この言葉が一番ね好きだったよ。
元気もらってたの。
やっぱりギリヤークさんにとってお母さんの死っていうのは大きいものでしたか?そうですね。
あのねいざ踊りのね最後の演目なってね頼りにするのは神様じゃないんですよ。
母さんの気持ち。
「母さんこれから最後の踊りやるよ。
これで投げ銭もらうんだよ。
頑張るからね」ってね。
「母さん応援して」っていうね。
必ずその祈りの気持ちが一瞬だけどねちゃんと気持ちの中にね入ってますよ。
それでやっていけたの。
南無阿弥陀仏!
(拍手)母さ〜ん!
(拍手)結局検査どうだったんですか?10月10日のはできそうな感じなのか…。
あの無理でしょ。
本人はさそのつもりでいるんだけどもうあちこち立てないんだから。
自分で…教えてるじゃないかここにちゃんとつかまってって。
こっちだって自分で体起こさなかったら起きれないじゃない。
あんまりかまわすな!ギリヤークさんこんにちは。
どうぞ。
あっこんにちは。
すいません。
腰の調子どうですか?え?腰の調子はどうですか?よくない。
あほんとに。
はい。
何ですか?それ。
うまいんですよ甘みがあって。
エナジードリンクみたいな?栄養剤みたいな。
(玄関のチャイム)はい!はいはい。
うまい。
こんにちは〜。
ギリヤークさ〜ん。
うまい。
こんにちは。
お疲れさまです。
はるさん練習はノータッチなんですね。
どうしたらいいのかしら。
よいしょ…いった!きのさんこれお手伝いした事あるんですか?左?せ〜の。
そうそう。
じゃまず左足から立ちますよ。
あっ痛い。
痛い?あぁ〜!お邪魔します。
おちゃっぴいさんこっち入って。
はじめましておちゃっぴいです。
よろしくお願いします。
震えちゃってるねえ。
止まんないんでしょ?治らないんだよ。
飛び出ちゃってるよ。
でしょ?それじゃ踊る以前の問題じゃない。
うん。
車椅子で入る?例えばその場にいる人たちでまあ俺も行くしみんなで入場でいいんじゃないですか?いやあんまりそういうふうにたくさん…しない方がいい。
うん?きのさんに出てもらうの?うん…それは分かるんですよ。
だから俺が言いたいのはみんなギリヤークさんを見に来るんできのさんを見に来るわけじゃねえから…。
だからそれ以外の事はきのさんには頼んでないの。
ただ…。
分かりました分かりました。
いいですよギリヤークさんのいいようにしてもらって。
私帰らせて頂きます。
どうもありがとうございました。
失礼します。
おいちょっときのさん…じゃない。
お邪魔しました!おちゃっぴいさん。
何とか踊る方向では本人がいるみたいだから。
それはそれで構わないんですけどね。
だけど踊れるのか踊れないのか…。
今日はそれをチェックしに来るわけだったんだけど。
歩けなくてもやるんだったらやれるように当日みんなで荷物持ってくよ。
椅子でも座れるようにあの…。
例えば歩いて行きたいんだったら両脇抱えてでもみんなで手伝っていくよって。
だけどステージの上っていうか観客の前に立ったらもう1人なんですよね。
今までずっと1人でやってきたわけだから。
人生には終わりがあるし終わりをきちっとするにはさ病気になったっていいじゃないかとかさ僕は思うんだけどね。
そうなんですよ。
だから結局今の状態の中で自分がどう生きてくかなんですよね。
そうそう。
こんにちは〜。
・は〜い。
あっどうも…お久しぶりです。
どうもどうも。
今ね公園に行ってるみたいよ。
あっそうなんですか。
うん?あっあそこにいた。
練習してるんですか?とぉ〜!いや今ね…。
すごい動いてるじゃないですか!何だったんですか?あのねパーキンソンだか何とかって病気だって。
パーキンソン病なんですか。
うん。
あんまりいい病気じゃないんだけど。
う〜ん。
(打ち鳴らす音)そうしてお客さんのところへ行って…。
(打ち鳴らす音)
(打ち鳴らす音)はぁ〜!・あっという間に来ますね今12時15分です。
三味線あります?
(拍手)・待ってましたギリヤーク!ゴホッちょっと…きついわ!
(笑い)これでいいですね。
・イェーイ!ギリヤーク!
(拍手)
(拍手)「念仏」!「念仏」!・ギリヤーク!「念仏じょんがら」だ〜!・待ってました!
(拍手)
(拍手)南無阿弥陀仏!南無阿弥陀仏!・ギリヤーク!・ギリヤーク!・頑張れギリヤーク!・ギリヤーク!頑張れ!・ギリヤーク最高!・ギリヤーク!母さん応援してね…母さん…。
(拍手と歓声)母さんまた踊るよ。
(拍手)
(拍手)不思議な兄貴ですか?まだやれる!
(拍手)ギリヤークさん。
やあ。
こんにちは。
こんにちは。
あの日だけはね帰ってきてから朝方までね全然疲れなかった。
あほんとに?それと皆さんからの励ましのご祝儀とかカンパとかあってうれしくて今ぽ〜っとしてるの。
お〜ちょうどいいわ。
筋子もあるでしょカボチャもあるでしょ塩引きもあるでしょ。
何といってもやっぱりどさんこだもんね。
よし!じゃあいただきます。
う〜ん。
うまい!それにしても病気はよくなったり悪くなったり…。
手が震えるね。
ちょっと待って。
いやいやそれでいいの。
はるさんしてる。
それは何のために踊るとかそういう事じゃなくただ一生懸命…。
そうそうそうそう。
2017/02/11(土) 23:00〜00:00
NHKEテレ1大阪
ETV特集「その名は、ギリヤーク尼ヶ崎 職業 大道芸人」[字]
伝説の大道芸人と呼ばれるギリヤーク尼ヶ崎、86歳。去年の夏、“人生最後の踊り”と向きあった。パーキンソン病を患い、満身そういの状態でなぜ踊るのか。その日々を追う
詳細情報
番組内容
全国の路上で踊り続けてきたギリヤークさん。長年続けてきた10月の新宿公演が人生最後の舞台になるかもしれない。共に暮らす弟と二人三脚の日々が始まった。腰は極度に曲がり、手の震えは止まらない。下された診断は身体が次第に動かなくなるパーキンソン病だった。誰もがいつか向きあう老いと病。捨てきれない芸への狂気。人生の総決算を突きつけられた時にどうするのか。ギリヤークさんが再び舞うまでの3か月の記録。
出演者
【出演】大道芸人…ギリヤーク尼ヶ崎