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字幕書き起こし クローズアップ現代+「ホワイトハウスの一室で〜広がる“不寛容”の深層〜」 2017.02.20

ここ数日、ネット上で盛んに拡散されている画像です。
トランプ大統領の発言を子どもじみていると風刺したものです。
その中で、トランプ大統領を操る黒幕として描かれているのがスティーブン・バノン氏。
中東など7か国の人の入国を禁止する大統領令を主導したとされる側近中の側近です。
トランプ大統領誕生の立役者として政権中枢に入りその影響力から「大いなる操り主」「バノン大統領」と呼ばれるまでになっています。
公の発言がほとんどないバノン氏。
一体どのような人物なのか。
多様性や寛容さといったアメリカの価値観を揺るがす政策の転換。
世界にも衝撃が広がっています。
大統領就任から1か月。
トランプ政権で何が起きているのか。
シリーズでその深層に迫ります。
こんな過激な発言をしたとされるスティーブン・バノン氏。
バノン氏が去年8月まで代表を務めていたウェブサイトにその手がかりがありました。
保守系ニュースサイトブライトバート。
移民やイスラム教徒に対し極めて厳しい論調で知られています。
そこでバノン氏が繰り返していたのは特定の国や宗教に対する排他的な発言でした。
バノン氏は、どのようにしてこうした考えを持つに至ったのか。
バノン氏を古くから知る人物が取材に応じました。
ジョン・パドナーさん。
バノン氏と同じ町の出身でブライトバートで共に働いていたこともある人物です。
バノン氏は、電話工事の作業員をしていた父親のもとで育ちました。
その考え方は南部の労働者の家庭環境によって形作られたといいます。
海軍を経てハーバード大学のビジネススクールを卒業後大手投資銀行ゴールドマンサックスに入社したバノン氏。
ウォール街でエリートの道を歩んでいましたがある出来事をきっかけにグローバルな資本主義に対し懐疑的になっていきます。
2008年に起きたリーマンショック。
金融システムが混乱しアメリカ経済全体に大きなダメージを与えました。
衝撃を受けたバノン氏はその2年後あるドキュメンタリー映画を制作。
みずから脚本を手がけました。
映画の中でバノン氏は原因は、アメリカ経済がモラルを失ってしまったことにあると指摘しました。
その後、ブライトバートの運営に参加したバノン氏。
大統領選挙に出馬する前のトランプ氏と対談し「アメリカの労働者の職が奪われている」という危機感を共有しました。
移民がアメリカ経済に悪い影響を与えているという見方を共有した2人。
ところが、トランプ氏が一部の移民を認める姿勢を見せたのに対し、バノン氏はより強硬な意見を述べました。
労働者を守るために政治に関わるようになったバノン氏が、何をきっかけに排他的な反移民の価値観を持つようになったのか?バノン氏は詳しく語っていません。
しかし、パドナーさんはブライトバートで一緒に働いていた当時バノン氏がすでにそうした意識を持っていたと言います。
トランプ政権発足から1か月。
不寛容な思想を持つバノン氏が政権の中枢に入り影響を及ぼしていることに懸念も広がっています。

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トランプ政権の動向を分析している専門家はバノン氏がどれほどの影響力を持つかがアメリカの今後を左右すると見ています。
バノン氏の手法というのは、経済や安全に対して、アメリカ国民が抱えている不安を、移民問題に転嫁して、結果的にそれが社会の分断を深めている、そういうふうにも見えるわけなんですが。
さあ、改めてバノン氏、一体どういう経歴の持ち主なのか、こちら、ご覧いただきましょうか。
実は本人は、ハーバード大学のビジネススクールを卒業していて、ゴールドマンサックスに勤務していたこともあるような、言ってみれば輝かしいエリートのような、そんなキャリアを持っているんですよね。
一方で、その発言はといいますと、私はレーニン主義者だ、エスタブリッシュメントを破壊したいというような発言を以前、していたと、メディアでも伝えられているんですよ。
その趣旨というのは、既存の社会を根底から作り変えたい、そういう意思を持っている人物だとも見られているわけなんですが、藤原さん、こういう人が今、政権の中枢にいる。
それ、どういう?
大変独特で、珍しいことだと思います。
選挙戦のさなかに、中心に入ってきた人なんですよね。
トランプさんの大統領選挙のときに中心に入ってきて、そのあと、トランプに重用されているというところ、考え方が大変明確な人です。
一種、イデオロギー性が高いというんでしょうか、政府との戦いなんですね。
これまでの政府の在り方を全部変えなくちゃいけない。
アメリカ第一という視点、経済的にはナショナリストであり、ポピュリストという性格もある人だと思います。
その点では、それからキリスト教とイスラム教の対抗、大変独特な存在が今、政権で大きな影響力を振るっていると言っていいでしょうね。
言ってみれば、トランプ氏よりも思想性、明確だっていうことなんですか?
トランプ氏はいくつかのコミットした公約ありますけれども、政策ではっきりしないところ、また当時、メディアに対するせいさくを言ったりすることもあるんですが、その点、バノンの場合には、明確性が大変高い、だからイデオロギー的ともおっしゃられたんですけどね。
横江さん、なぜトランプ氏は、こういった思想の持ち主であるバノン氏を、これほどまで重用しているんだと思われますか?
2人のね、生い立ちを見てみますと、非常にね、育った環境は違うんですけど、非常によく似てるんですよ。
どういうところが?
と言いますのは、バノンさんのほうは、ハーバードに行ったりとかね、一見、エリートにも見えますけど、アイリッシュカソリックといいまして、白人なんだけれども、マイノリティーなんですね。
ケネディ大統領が出てくるまでは、かなり白人なんだけども、結構、少数派という差別に遭った弱い白人というイメージなんですね。
ですから、ハーバードに行ったり、エリートの所に行けば行くほど、自分はその輪の中に入れないというイメージがあるわけです。
本人も、見た感じですぐ分かるんですけど、彼は共和党的な洋服じゃなくてね、リベラルの思想を持った人の服装をしてるんですよ。
白いシャツなんですね、普通、エリートっていうのは。
青色とか、ボタンダウンっていうのは、非常にリベラルな人の、マイノリティーの人たちのほうが多い服装なんです。
そういうところにも、自分の意思が出てるんですね。
トランプ大統領っていうのも、いいとこの子に見えるし、お金持ちに育ってはいるんですけど、でも、お父様は結構、苦労しているわけですね。
戦争中にお金もうけをして、奥さんも移民なわけですね。
だからトランプ大統領は、やはりアメリカのエスタブリッシュメントの人とも結婚してないし、そのそばにいるんだけども、エスタブリッシュメントになれなかった。
そういう、言ってみれば、背景、バックグラウンドが。
非常に似ているんですよ。
もう一つ、やっぱりバノン氏について、議論したいのは、じゃあ、実際この方が政権内でどれぐらい影響力があるのかということなんですけれども、こちら、ご覧いただきましょう。
トランプ氏を支えるのは、副大統領や閣僚以外にも、ホワイトハウス内にはこういった側近グループがいるわけなんですよね。
じゃあ、バノン氏、今、どれぐらいのパワーがあるのか、一つ、これ衝撃を持って伝えられているのがですね、バノン氏がこちら、これ、何かといいますと、国の安全保障政策の根幹を担う国家安全保障会議の常任メンバーになったこと、これ、衝撃的だと伝えられていますけれども、藤原さん、そのことが何を意味するのか。
例えば、こちらの閣僚の国防長官、国務長官、どっちが今、トランプ氏に対して、影響力を持っているのか。
影響力ということでいえば、バノン氏に勝る影響力を持った人は今、ホワイトハウスではいないという言い方になるだろうと思います。
マティス、あるいはティーラーソン、ペンスとバノンはけんかしてるかどうか、これちょっと、別の問題。
ただいま、外交がどうなっているかといえば、マティスさんが東アジアに行ったり、あるいはヨーロッパに行ったり、ペンスさんもそうですけれども、大丈夫だよ、これまでの政策をあまり変えないよということを言う。
安心して回るような。
安心しているんだけれども、この人たちの発言がトランプ大統領、連絡しようと思いますけれども、トランプに一番近いかといえば、必ずしもそうじゃないところがよく分からない。
しかも、バノンはメディアの人で、トランプも自分の支持基盤に向かって訴えるという活動をするんですよね。
ですから、まあ、どっちが力があるかということでいえば、バノンを無視できない。
少なくとも無視はできないという。
今後もそういう流れがあるんではないかと。
さあ、そのバノン氏が主導したと見られているのが、改めてこちらですね。
7か国からの入国を一時的に禁止する大統領令です。
現在は、裁判所の判断で執行が停止されているんですけれども、政権側は今週にも、新たな大統領令を出すことを検討しているといわれています。
その波紋、アメリカの国内外に広がっています。

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アメリカのIT業界がトランプ大統領の政策に批判の声を高めています。
7か国の人の入国を一時禁止するとした大統領令に対し100社以上が憲法や移民法に違反すると裁判所に意見書を出したのです。
そのうちの一社カリフォルニア州に本社があるBOX社です。
およそ1400人の従業員の中には大統領令の対象とされた7か国を含む外国出身者も数多く働いています。
この企業の成長を支えてきたのは能力があればどの国の人も受け入れるというアメリカの寛容さでした。
トランプ政権の移民政策はこの土台を根本から崩してしまうと危惧しています。
入国規制を受けた7か国の一つ、イラン出身のマズ・ナージムさんです。
IT関連のベンチャー企業を経営し、イギリスを拠点にアメリカと頻繁に行き来しています。
ナージムさんは大統領令が出された直後アメリカへ出張しました。
入国審査のとき本当に入国できるのか初めて不安を覚えたといいます。
トランプ政権に対して入国を禁止された7か国以外のイスラム諸国でも大きな波紋が広がっています。
これまでアメリカは過激派組織IS・イスラミックステートの壊滅を目指し中東諸国などと有志連合を結成し軍事作戦を進めてきました。
そうした信頼関係を揺るがしかねないという不安が広がっているのです。
さらに、不寛容な姿勢によってテロとの戦いそのものに影響が出るのではないかという見方も出ています。
これまで過激な思想を封じ込めるためにイスラム教の正しい解釈を説き融和を唱えてきた穏健派の聖職者たち。
イスラム教徒を敵視するかのようなトランプ政権の姿勢はむしろテロの口実になってしまうのではないかと危惧しています。
中東諸国の反応を見ますと、藤原さん、これ、むしろ逆効果を生むんじゃないかと。
この入国禁止令ですよね、どう見ますか?
逆効果だと思います。
これはイスラム急進派はトランプだろうと、誰が大統領だろうと、急進派だろうと思いますが、急進派の支持者がどれだけ増えるかということなんですよね。
その点でいえば、急進派の支持者を増やすような政策だし、またアメリカ国内で見ても、7か国以外の、アメリカの中にも、アメリカ国籍を取ってる人と、いろんな人がいるわけで、彼らが急進化する規格を作っていく、だから、これだけで言えば、テロ対策というよりは、テロを拡大する機会を作ることになりかねない。
ただ一歩腕ですよ、横江さん、アメリカ国内の各社の世論調査を見ますと、実はこの入国禁止令、賛否が割れている状況なんですよね。
ちょっとそのデータ、出るでしょうか。
そのじゃあ、社会的な背景、理由はどう分析されますか?
この混乱っていいますのはね、賛成している人たちっていうのは、国土安全保障を大事として考える人たちなわけですよ。
反対している人たちは、国土安全保障はこれで十分かっていうと、そうではなくて、要するに寛容ですね、多様性にする社会を目指しているということで。
要するにアメリカの理念?
だから、同じ質問なのに、答える理由が違うんですよね。
それが分断ということになるんですけど、今現在は、ほとんどの世論調査で、過半数を超えてるものと超えてないものがありますけれども、実はトランプ大統領はほとんどの政策で、勝っちゃってるんですよ。
つまりその理念だとか、そういうものよりも、横江さんおっしゃるように、安全っていうもののほうが、アメリカの半数の人にとっては、抜き差しならない問題だと、そういう時代なんだと。

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トランプの支持率よりも、入国禁止の支持のほうが高いんですよ。
それは基盤があるということですよね。
そういう声があるということを、私たちはそれ、軽視できないってことも分からなきゃいけないんですよね。
トランプ政権の誕生で、世界に広がりつつある不寛容な流れに、さらに拍車をかける事態となっています。
トランプ大統領の登場に先立ち世界に衝撃を与えたのがイギリスのEU離脱の決定でした。
背景には、EUの域内から移民が押し寄せている現実もありました。
イギリス中部の町・ボストン。
投票した住民のうち国内で最も高い75%もの人がEUからの離脱を支持しました。
多くの住民の間に移民への不満が高まっています。
この女性は移民の規制を即座に打ち出したトランプ大統領を、イギリスも見習うべきだと考えています。
一方で、トランプ大統領の差別的とも受け取れる主張に対しては反発の声も高まっています。
トランプ大統領を国賓として招待することに対しては180万人以上が反対する署名を行いました。
国民の意見が二分する中トランプ政権とどう向き合うのか。
メイ首相は難しい立場に立たされています。
トランプ大統領が就任するとどの国よりも早く首脳会談に臨みました。
アメリカとの緊密な関係を強くアピールしたのです。
ところが、その直後7か国の人の入国を禁ずる大統領令が出されます。
当初、静観する姿勢を見せていたメイ首相。
しかし、イギリス国内でも非難が高まり、一転して大統領令を批判せざるをえなくなったのです。
移民との向き合い方を巡り国を挙げた議論が続くイギリス。
専門家は、不寛容な考えがさらに広がるのではないかと指摘しています。
藤原さん、この超大国、アメリカの、これほどまでに不寛容な政策、明確に出していることに対して、アメリカの国民の半数は支持を示している。
その現状も忘れてはいけませんし、各国でこういった不寛容な考えも広がってきている、そういう状況の中で、日本はではトランプ氏のアメリカと、どう今後、向き合っていくのか。
日本とすれば、2017/02/20(月) 22:00〜22:25
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代+「ホワイトハウスの一室で〜広がる“不寛容”の深層〜」[字]

トランプ政権の発足から1か月。入国を制限する大統領令に代表される、“不寛容”な価値観に世界中が戸惑っている。その源とされる、最側近・バノン氏とは一体何者なのか。

詳細情報
番組内容
【ゲスト】東京大学大学院教授…藤原帰一,政策アナリスト…横江公美,【キャスター】鎌倉千秋
出演者
【ゲスト】東京大学大学院教授…藤原帰一,政策アナリスト…横江公美,【キャスター】鎌倉千秋