読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

全文書き起こしサイト

地上波テレビの字幕を全文書き起こします

スポンサードリンク

字幕書き起こし クローズアップ現代+▽19のいのち〜障害者殺傷事件・16万アクセスが語るもの〜 2017.02.27

柔らかな笑顔をたたえる70歳の女性。
理不尽に命を奪われました。
去年7月に起きた障害者殺傷事件。
重い障害があるという理由で19人が殺害されました。
警察は犠牲者を匿名で発表。
どのような人たちが亡くなったのか分からないままでした。
19人の生きた証しをたどりたい。
先月、NHKはウェブサイトを立ち上げました。
35歳の女性。
コーヒーや果物が大好き。
家族の愛情に包まれていました。
67歳の男性。
演歌が大好きで北島三郎さんの歌を聴いていました。
サイトを訪れた人は延べ16万人。
発達障害であることを公表している、モデルで俳優の栗原類さんもその一人です。
サイトには次々とメッセージが届けられています。
19のいのちとそこに心を寄せる人々を見つめました。
障害者は、不幸を作ることしかできない。
こう供述した元施設職員の男は、先週の金曜、19人を殺害した罪などで起訴されました。
この事件で亡くなった方々について、警察はその名前を公表していません。
そしてNHKも、これまで年齢と性別だけをお伝えしてきました。
しかし、このままでは、突然奪われた命の重み、そして、事件がもたらしたものの大きさは伝えられないのではないかと考え、先月、19のいのちというウェブサイトを開設しました。
これまでに16万件を超すアクセスがあり、一人一人が確かに生きていたというぬくもりを感じて、胸が熱くなりましたなど、多くの方から、メッセージが寄せられています。
人々の心を動かす19人の方の人生とは、どういうものだったのでしょうか。
今回、私たちは遺族の了解が得られた人については、イラストで在りし日の姿を描きました。
70歳の女性です。
兄に教えてもらった歌をよく口ずさんでいたといいます。
イラストのもとになった写真。
兄と2人、いつも仲よく手をつないでいました。
サイトでは、亡くなった方が好きだった物も描きました。
55歳の女性。

スポンサーリンク
  散歩の途中で草や葉を手に取りくるくる回しながらうれしそうに眺めていました。
パンが大好きだったという26歳の女性。
母親が私たちに短いメッセージを寄せてくれました。
みずから描いた亡き娘の姿です。
事件から7か月。
複雑な胸の内をことばにできない遺族も少なくありません。
そうした中、元職員が取材に応じてくれました。
担当していたのは55歳の男性です。
感情表現が豊かでしぐさや表情で気持ちを伝えたといいます。
中川尚也さんは足が不自由だった男性のために特別な靴をプレゼントしていました。
その靴を履いた男性と一緒によく散歩に出かけました。
いつも行っていたのは甘い缶コーヒーを買える自動販売機。
自動販売機はもうありませんでした。
あくまでも亡くなった19人のうち、一部ですが、ご紹介させていただきました。
森さん、本当にお一人お一人が、立ち上がってくる様子が、少しずつ見えてくるような感じがいたしましたよね。
…にあらがうというのは報道にとってとても大事なことですよね。
ましてやこの事件、きっとね、皆さんもその分、同じだと思うんですけど、非常に早く店じまいしちゃったんですね。
店じまいというと。
つまり事件が発生してから、あっという間に報道が収束してしまった。
これ一つ理由があって、リオのオリンピックなんですよ。
10日後にオリンピック始まってますから、あっという間にメディアはその体制に変わっちゃったんですよね。
これはメディアの責任、問題ですね。
やっぱりもう一つは名前が出なかった、写真も出なかった。
でも考えたら、名前、写真だって、やっぱり記号でしかないんですよ。
だからどういう方々か分かりません。
でもこういう形でね、これが伝わることで、いろいろこちらも考えられるわけですけれど、逆にいえば、なぜ今、これほど、僕たちがここにこれほどに強い視線を向けてるのか、興味を持っているのか、反響が強いのか、実はここに、この事件の本質が、あとで少し話しますけれど、見え隠れしてるんじゃないかなという気はします。
松井記者は、ずっと今回の事件を取材してきました。
その中には、どう伝えるべきか、どう伝えなければいけないのかという葛藤があったと思います。
本当に私たちも、悩みながら、議論しながら、取材をしてきたという形です。
ご遺族の思いというのは、本当にそれぞれさまざまで、あのような形で大切な家族を、障害があるという理由だけで、奪われたと。
そういう状況の中で、とても語れないという方もおられますし、これまで家族に障害があることを、特に周りに伝えてこなかったがゆえに、伝えることができないという方、そもそもこうしたマスコミの取材に、もうとにかくそっとしておいてほしいと、いろんな思いがあると感じています。
取材を重ねれば重ねるほど、19人それぞれに豊かな個性と、掛けがえのない日常があったことが、本当に見えてきて、被告が言ったような不幸しか作らないという存在では、決してなかったと、強く感じています。
遺族の思いもある中で、どうすれば亡くなった方たちの姿と、この事件の実像というものを伝えることができるのか、今も悩みながら取材しているという状況です。
この事件を受け止める側にも本当にいろいろな思いがあるというのは、今回のサイトを通じてもよく分かるんですね。
こうした声もあります。
文章を読み、涙が止まりませんでした。
大切な19の命。
犯人は許せないなどの声。
一方で、20代の女性の声なんですが、私は、障害者を差別していないけれど、区別しています。
できれば、あまり関わりたくない。
なんの役にも立たない人という考えは拭えません。
私以外にも、こういう考えの人はいるのではないか。
実際にこうした、とても率直な意見というのが、サイトに届いているんです。
こうしたことを、私たちはどう受け止めたらよいのか、東京大学の准教授で、ご自身も実際に障害のある熊谷晋一郎さんに今回、聞きました。
森さん、このサイトで、まさに双方の意見、それぞれの意見が出ていることの意味というのをどう捉えますか?
結局ね、僕たち、矛盾してるんですよ。
差別心は誰もがあるし、例えば、それこそ障害者が身内にいたとしたら、もしかしたら楽になったほうがいいかなと思った瞬間、きっと誰にでもあると思う。
誰もそれ、責められないですよ。
でも、それを押し殺して、ずっとこの社会の中で生きてきたわけで、そうした矛盾がこの事件によって、わりと一気に噴出したかなという感じがしますね。
書き込みの中でも、あるいは世間一般の意見でも、加害者は、犯人はようするに役に立たない、障害者は社会の役に立たないからこそ、価値がないというね、論理使ったわけで、それに対抗して、いや、障害者は役に立つと、こんなにも自分にとって意味があるんだと。
よく分かります、よく分かるけど、でも同時に役に立たなくてもいいんです。
だからもう、役に立つかどうかで、その段階でもうそれは加害者の掲げた論理にはまってしまうわけで、僕だって役に立ってないですよ、全然。
でもこうやって生きてるわけでね、いろんな人がいます。
だからまずはそうした障害者だろうが、健常者だろうが、外国人だろうがね、みんないろんな人がいる、それが社会なんだという、そこには別に、役に立つかどうかの価値など、どうでもいいんだっていうね、その意識をまず、持ったほうがいいと思う。
このサイトには、立ち上げて1か月なんですが、本当に多くの意見が今も届いていまして、その中には、まさに自分の在り方や生き方を見つめ直すきっかけになったという人たちもいます。
福岡県に住む40代の女性のメッセージです。

スポンサーリンク
  重度の知的障害・自閉症の18歳の息子がいます。
息子との毎日は産み育てる母としての私の存在意義を問い続ける日々でした。
中本由美子さんです。
息子の大智さん。
料理の手伝いもしてくれる優しい性格です。
しかし、気持ちがうまく伝えられないと激しい行動を取ってしまいます。
由美子さんは大智さんが落ち着かなくなると車に乗せ、外に連れ出しました。
向かうのはひと気のない山の中の公園。
ほかの人に迷惑をかけないためです。
自宅で大智さんと暮らしたいと努力を続けてきた由美子さん。
しかし、ある出来事が起きました。
大智さんが隣の家に向かって食器を投げてしまったのです。
このままでは、ほかの人にけがをさせてしまいかねない。
由美子さんは大智さんを医療施設へ入所させるしかないと考えました。
由美子さんは月に2回大智さんのもとを訪れます。
ちょっと訓練みたいに…。
今、意思を伝えるための訓練に一緒に取り組んでいます。
大智さんの懸命な姿が由美子さんの支えです。
19人のエピソードが生きる励みになっているそんなメッセージも届きました。
兵庫県に住む石川圭太さんです。
学習塾の講師として休日や深夜も仕事に打ち込んでいた石川さん。
しかし2年前不慮の出来事が襲います。
33歳のとき、出勤途中の駅で突然、倒れたのです。
急性の脳出血で右半身にまひが残っています。
買い物をするにも以前の倍以上の時間がかかるようになりました。
以前のような生き方はもう取り戻せないのか。
もどかしさにさいなまれる中で出会ったのが19人の掛けがえのない日常でした。
「19のいのち」を見てある覚悟を決めたというメッセージを寄せた人もいます。
大竹恵子さんと徹郎さんです。
ピアノが得意な息子の康介さん。
自閉症と知的障害があります。
障害について周囲に理解してもらおうと恵子さんは努力を重ねてきました。
康介さんは毎日、障害者の支援施設に通っています。
以前はバスの中で大きな音を出したり運賃を払えなかったりするなど周囲が理解しにくい行動もありました。
そこで恵子さんは康介さんの障害の特性や接し方を文書にまとめました。
バス会社の運転手の間に理解が広がったといいます。
おはようございます。
地域の人と関わりも積極的に増やしています。
恵子さんが図書館に掛け合い康介さんは、本の整理をするボランティアとして働いています。
恵子さんがサイトに寄せたメッセージです。
障害のある方と社会との関わり方というのは、本当に考えさせられますよね。
あのね、電車の中なんかで、よく、独り言言ってる人、いるじゃないですか。
大体それを見ると、あっ、ちょっと危ないから向こうに行こうとか、車両移ったりするけれども、ああいう方ってね、普通に話しかけると、普通に答えてくれる場合がほとんどなんですよ。
もちろん個人差ありますけど。
だからそんな線引きじゃないです。
いろんな人がいます。
もちろん、無理やり同じとは思わないこと、違います。
でも、違って当たり前なんです。
みんな違うんだから。
そういう意識をもっと社会が持てばね、ずいぶん変わるんじゃないですかね。
そして、松井さん、私たち伝える側も、本当に問われることが、本当にたくさんありますよね。
私自身、障害のある人を取り巻く環境というのは、時代とともに少しずつ改善してきたと思っていました。
しかしそれが、いかに表面的なところしか捉えてなかったかということを気付かされました。
私たちの中にもあるかもしれない、多少、区別したり排除したりする意識。
これまできちんと目を向けてこなかったことを悔やんでいます。
私たちはこれからも、多くの意見に耳を傾け、考え、そして伝え続けていきたいなと思っていますね。
今回のことは、もしかすると、事件が起きて、半年以上たった今だからこそ、何かじっくりと一人一人の心が考えるときなのかもしれないとも思いますよね。
逆にやっぱり、あれだけ急速に終わってしまったからこそ、これでいいんだろうかというね、えぐられたからこそ、だからこういう意識がより強く立ち上がってきたから、とてもいい試みじゃないかなと思います。
そのためにもまずは、知るということから、始めていく。
大前提です。
もっともっと身近に知るべきです。
身の回りにいなければ、メディアがどんどん報道すべきですね。
そのことのいろんな本質をできるだけ私たちも近づいていく努力をしていくということですね。
さあ、最後に、私たちが本当にはっとさせられた、30代の女性の方の声をご紹介します。
障害がある人とない人、見守る人と目を背ける人、犯人と私、その違いとは、一体なんなのか。
2017/02/27(月) 22:00〜22:25
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代+▽19のいのち〜障害者殺傷事件・16万アクセスが語るもの〜[字]

障害者施設で19人が殺害された事件から7か月。NHKが犠牲者の人となりを伝えるサイトを開設したところ多くの反響があった。本音の言葉から我々の社会のあり方を考える

詳細情報
番組内容
【ゲスト】映画監督…森達也,【キャスター】伊東敏恵
出演者
【ゲスト】映画監督…森達也,【キャスター】伊東敏恵