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字幕書き起こし 忠臣蔵の恋〜四十八人目の忠臣(6)急展開に遠くにいる人を想う。妻として。 2016.10.29

(瑶泉院)きよにはわらわの耳になってもらいたい。
(きよ)耳?
浅野内匠頭は刃傷事件を起こしたその日のうちに切腹となり遺体は泉岳寺へ運ばれ埋葬された。
泉岳寺に集まった家臣はおのおのの立場から対立
(弥兵衛)だからといって勝手にご埋葬などしてよいというのか!
(十郎左衛門)吉良様が生きているならば仇討ちも辞さぬ。
仇討ち…。
そして十郎左衛門は筆頭家老大石内蔵助に会うため赤穂へ旅立つ事となる
必ず帰ってきて下さい。
必ず。
そればかりは分からぬ。
十郎左様…。
十郎左様。
十郎左様!十郎左様〜!・
(読経)
まさかこのまま江戸にお戻りにならないなどという事が…
十郎左様…。

元禄14年3月19日早朝。
赤穂城に江戸からの急報第1便が届きようやく大石らは内匠頭の刃傷事件を知った。
そしてその夜
申し上げます。
ただいま江戸より原惣右衛門殿大石瀬左衛門殿の早駕籠が到着致しました。
分かった。
すぐに通せ。
はっ!
(原)ご家老。
(瀬左衛門)ご家老。
原殿瀬左衛門も大儀であった。
こちらを。
ご老中土屋相模守様からのお申し渡しと浅野家皆様からの書状。
そしてこれは…ご切腹の後の殿の…お亡骸引き取り書でござりまする。
(忠左衛門)ご切腹!?殿はご切腹あそばしたのか!ははあ。
(原)お亡骸は泉岳寺にご埋葬となり浅野家はお家断絶領地没収。
この赤穂の城も!原殿!
(大野)瀬左衛門!2人を休ませよ!
(家臣たち)はっ!しっかりせい!殿が…ご切腹
浅野家のお屋敷での暮らしははるかかなたの夢のよう。
お殿様奥方様の前で披露したお琴。
お幸せそうに寄り添っていらしたお二人
けれどお殿様はもうこの世におられないのです
母様。
これから私たちはそして浅野家の皆々様は…
(元哲)きよ。
お前に客人だ。
拙者はこれより赤穂へ参ります。
赤穂へ。
お一人で?父は既に出立し拙者は江戸へ残るよう申しつけられました。
されど家中の方々は次々赤穂へ向かわれているご様子。
いまだ部屋住みとはいえ村松家嫡男江戸で安穏としている訳にはまいりませぬ。
我が命浅野家にささげる覚悟。
赤穂で皆々様と命運を共にするつもりでござります。
村松様。
きよ殿。
後に残す母と弟政右衛門を何とぞよろしくお頼み申す。
拙者はそなたをいまだ許嫁と思うておりますゆえ。
村松様。
私…。
承知致しました。
母上様の事弟様の事しかと承りました。
きよ殿とこのように言葉を交わしたのは初めての事でしたな。
え?あ…ご無礼つかまつった。
ではこれにて。
縁談はなき事にと喉元まで出かかりました。
けれど己の命を懸け赤穂へ向かおうとしているお方にそれを口にする事はどうしてもできませんでした
村松様はお父上を追い赤穂へたたれました。
そうか。
父様。
何だ?村松様とのご縁談はなき事にしとうございます。
これより堀部様のお宅に出かけてまいります。
男手が足りないと駆り出されてな。
よし。
では堀部様も赤穂へ?
(ほり)江戸にいてもらちが明かぬと仰せられて。
高田様奥田様と共に。
さようでございますか。
(弥兵衛)それでこそ婿殿と申したのよ。
とにかく赤穂へ行かねば始まらん。
わしとていま少し若ければ真っ先に駆けつけたものを…。
(ほり)それぐらいにして條右衛門殿もこちらへ。
はい。
赤穂は今頃どのような事に。
既に急報は届いておるはず。
今頃は大騒ぎだろう。
(弥兵衛)程なく開城を迫られるはずじゃが大石様がそうやすやすと城を明け渡すとは思えぬ。
え?赤穂城は先々代様が御自ら築かれた城。
いわば浅野家の命とも申すべき城じゃ。
籠城抗戦。
城を枕に討ち死に。
戦か…。
(弥兵衛)あるいは追い腹切腹
おほり様はよろしいのですか?え?堀部様がもしも帰らぬ人と…。
そのつもりで送り出しました。
私とて武士の妻でございますゆえ覚悟は出来ております。
武士たるものお家と共に潔く散ろうと思われるのではありませんか?
(片岡)城の大手門前で切腹切腹と申されたのですか大石様は。
(忠左衛門)大石様は大学様がおられる限りご公儀へお家再興を第一に願うべきと考えておられる。
故に開城の折には我ら全ての家臣が城の門前で追い腹を切り死をもってお跡目を願い出ると。
(田中)それで皆様は何と?
(中村)ほかの皆々様は何とお考えですか?考えはさまざまだ。
大野様は真っ向から異を唱えられておられる。
大野様は「この城で幕府のお目付にお跡目を願い出るなどふらちにすぎる。
まずは開城しご公儀からの沙汰を待つべき」と言うて今も真っ二つに割れ話し合いの最中。
(内蔵助)よう参ったのう。
ご苦労であった。
(4人)はっ。
殿のお亡骸お引き取りご埋葬についてはそなたらの格段の働きがあったと聞いておる。
礼を申すぞ。
ご家老様。
ご家老様はまことにそのようなお考えでござりますか?うん?大手門前で追い腹と。
お言葉ながらそのような事で殿のお恨み晴らせるとお思いでござりましょうか。
こちらの口上書きは殿が片岡様と私に託されたご遺言でござります。
ご遺言。
聞かせてくれい。
「この段かねて知らせ申すべく候えども今日やむをえざる事に候ゆえ知らせ申さず候。
不審に存ずべく候」。
殿のご無念いかばかりかと。
(片岡)吉良様の生き死にはいまだ明らかではござりませぬ。
我らは恐らく吉良様は生きていると…。
なぜそのように考える?吉良様の生死がいまだに分からぬというのはあまりに妙なお話。
ご公儀が故意に伏せてるとしか思えぬのです。
もし生きているならその吉良様に何のおとがめもないのはおかしいではありませぬか!我らは死を恐れている訳ではござらぬ。
殿と共に死ぬるとあれば本望。
それゆえこの髻を…。
ご家老様。
吉良様がもし生きているならば我らが取るべき道は一つ。
ご家老様!
(中村)ご家老様!
このお屋敷の中に吉良様は…
何をしておる。
あ…あの…いえ。
どこの誰だ?屋敷内をのぞき込むなど不届き千万。
せんだっての騒ぎよりこの方よからぬ者が増え迷惑をしておるのだ。
名を名乗れ。
怪しい者ではございませぬ。
名を名乗れと言うておるのだ。
あの…。
(孫三郎)きよ殿。
木屋のおじ様。
手前は両国で材木商を営む木屋孫三郎と申す者。
この者の遠縁にあたる者でございます。
親戚?本日はこちらの奥方様付女中ちさ様へお里からお届け物を頼まれまして。
木屋様!何故このような所まで。
そなたのお里から奥方様へお見舞いの品じゃ。
まあ。
ありがとう存じます。
吉良様が生きておられる。
そはまことか?はい。
確かな事にございます。
木屋孫三郎殿が吉良家の奥向きに奉公しているちさという娘にじかに確かめたのです。
その娘によりますと吉良様はあの日江戸城内にて額と背にお殿様から刀傷を受けお屋敷に戻られた後はしばらくはご養生されていたようですが今はすっかり傷も癒えお元気になられていると。
木屋孫三郎は確か…扶持奉行村松喜兵衛の…。
弟でございます。
そして仙桂尼様とはいとこ同士。
では仙桂尼様が木屋を動かしたのか。
はい。
木屋殿も浅野家の行く末を案じ何としてもお家のお役に立ちたいと申されております。
きよ。
よう知らせてくれた。
いえ。
すぐに仙桂尼に文を。
そなた届けてくれるな?かしこまりました。
そうか…。
やはり吉良様は生きておられたか。
だがなぜご公儀は吉良様を生かしたのか。
なぜけんか両成敗とされなかったのか。
なぜお殿様だけがご切腹となり吉良様がのうのうと生きておられるのか。
奥方様…。
三次浅野家では悪口は刀で斬りかかるより卑怯な振る舞いとの教えがある。
斬りかかるより卑怯。
吉良様は公の場にて殿にどれだけの悪口を浴びせたのか。
殿はどれだけの恥辱を味わわれたのか。
きよ。
殿はご自身のお立場も家臣の事も忘れ斬りかかられたのであるぞ!殿のお胸にどれだけの…。
どれだけの…。
奥方様…。
私はすぐに奥方様の文を仙桂尼様へ届けに参りました。
仙桂尼様はお家再興の嘆願に出かけその帰りに泉岳寺に立ち寄っていらっしゃいました
(仙桂尼)吉良様ご存命のうわさはほかからも聞こえてきていたが…。
やはり生きておられたか。
おうわさがあったのでございますか?ああ。
奥方様は今吉良様への怒りであふれておられる。
すぐにもこれを赤穂へお知らせになられよう。
赤穂はどうなるのでしょう。
赤穂と江戸は離れ過ぎている。
え?次々と新たな知らせが入り追い打ちをかけるように続々とご家来衆が江戸から赤穂へ。
混乱は免れぬであろう。
大石様がこれをどう采配されるか。
されどきよ。
はい。
我ら女にできる事はいや我らがなすべき事は無駄な血を流さず女同士のつてを頼りお家の再興をお願いする事。
男たちは命を投げ出す事ばかりを考えておる。
命を…。
あらぬ方へ事が進まぬよう祈るばかりじゃ。

(戸の開閉音)
それから幾日たっても赤穂がどうなっているのかその様子を知る事はできませんでした。
赤穂へ駆けつけた男たちは誰ひとり江戸へは戻らなかったのです。
無論十郎左様も
何の用だ?
(善左衛門)父上に用ではありませぬ。
きよはおりませぬか?どこぞへ出かけた。
いつ戻ります?さあな。
よくもずうずうしく顔を出せたものだな。
どこで何をしておる。
(元哲)待て!きよの事でお前に聞きたい事がある。
遅くなりました。
すぐに夕げの支度を。
(元哲)来い。
え?よいから来い。
今日兄じゃがお前を訪ねてきた。
兄様が?何の用かと聞いても答えようとせぬ。
ただお前に話があると。
きよ。
お前は何をしようとしている?礒貝殿かお前の待つ相手は。
父様。
礒貝殿は殿のために死ぬる覚悟であろう。
それほど大切なお人か。
これほど誰かの事を一筋に思ったのは初めての事。
これほど離れているのがつらく生きてお会いしたいと心が苦しゅうなったのも初めての事。
父様と母様は互いの家がありながら全てを捨てこの寺へ逃げ込まれました。
母様はどのような気持ちでこの寺へ来られたのか。
ここへ戻ってからというものその事ばかりを考えておりました。
きよ。
母じゃが…さえがあの若さで命をなくしたのは病のせいだけではない。
捨ててきた身内への慙愧の思いがあったのだろう。
母じゃには…子もあったのだ。
その母じゃを連れ逃げた事が正しかったのか私には今でも分からぬ。
きよ。
己の思いを貫くという事はきれい事だけでは済まぬ。
己のした事は全て己に返る。
まして赤穂のご家来衆はこれから何をしでかすのか…。
お前にそれほどの覚悟があるのか?されど父様と母様の恋があったからこそ私はこの命を授かったのです。
その恋がなければ私はこの世にいなかった。
それでも父様は母様との恋を悔やんでいるとおっしゃるのですか。
お前はやはりさえの娘。
小石川へ行け。
え?礒貝殿が江戸へ戻られたそうだ。
十郎左様!十郎左様。
お会いしとうございました。
ご無事でお帰りに。
ああ。
きよ殿。
伝えねばならぬ事がある。
我らは赤穂には頼らぬ。
我らは我らだけで仇討ちをすると決めた。
お家再興も大事。
だが吉良様が生きてる限り殿のご無念を晴らさずにいられようか。
吉良様の存命確かめてくれたそうだな。
はい。
きよ殿。
私は必ず吉良様を討つ。
たとえ一人になろうともこの命に代えても必ず…。
一緒にいさせて下さい。
おそばにいさせて下さい。
きよ殿…。
明日をも知れぬ命なら最後まで一緒にいとうございます。
きよを妻と思って下さいませ。
2016/10/29(土) 18:10〜18:45
NHK総合1・神戸
忠臣蔵の恋〜四十八人目の忠臣(6)急展開に遠くにいる人を想う。妻として。[解][字]

大石内蔵助と重臣らは赤穂城開城をめぐり対立。あだ討ちを願う十郎左衛門は業を煮やす。きよはそんな十郎左衛門の覚悟に、ならば死ぬまで妻としてそい遂げたいと決心する。

詳細情報
番組内容
赤穂にも事件を知らせる早駕籠が着き、赤穂城を開城するか、抗議の切腹か籠城かと、大石内蔵助石丸幹二)と重臣らが対立する。あだ討ちを談判しようと赤穂へ出かけた十郎左衛門(福士誠治)は業を煮やす。一方きよ(武井咲)は、十郎左衛門はもう生きて戻ることはないのではと、命を懸けた忠義を思い知る。それならば死の直前まで添い遂げたいというきよの覚悟を知った父は、言わないつもりだったある事をきよに告げる。きよは…
出演者
【出演】武井咲福士誠治田中麗奈佐藤隆太皆川猿時笹野高史三田佳子大東駿介平田満中尾明慶石丸幹二
原作・脚本
【原作】諸田玲子,【脚本】吉田紀子