「戦争と平和」前回は…。
アンドレイに婚約を解消され心を閉ざすナターシャ
ピエールは彼女に思いを寄せるが伝えられずにいた
再びフランス軍の侵攻を受けるロシア
ピエールは戦場へ向かいアンドレイと再会する
そして2人は…
(ピエール)死ぬときは死ぬんだ。
怖がって何になる?失うものもない。
(アンドレイ)僕も全く同じ気持ちでいる。
・
(砲撃音)ハッ…。
何だ?どうした!?始まったのか?
(当番兵)始まりました。
馬を用意してあります。
クトゥーゾフ将軍も1時間前にたたれました。
なんで起こさない?アンドレイ様のご指示で。
アッ…アッ。
アアッ…。
失礼。
申し訳ない。
失礼。
ちょっと通してくれ。
(砲撃音)
(クトゥーゾフ将軍)あれは?おい君!伯爵のベズーホフと申します。
どうか戦火の最も激しい所へお遣わしください。
お〜!本当か?よかろう。
案内してやれ。
神のご加護あれ。
(側近)こちらへ。
フン。
フーン…。
(砲撃音)
(兵士の叫び声)
(砲撃音)
(兵士)撃て!ハッハッハッ…。
(青年将校)そんな所に危なすぎます!邪魔にならないようにするから手伝える事があったら言ってくれ。
(悲鳴)怖くないんですか?いや〜別に。
君は?怖いですよ。
死ぬかもしれないんだから。
(砲撃音)アァ…。
(軍靴の音)
(砲撃音)
(兵士たち)ああ…。
ああ…。
ああ…。
(砲撃音)
(悲鳴)
(砲撃音)
(中佐)当たれば木っ端みじんだ!
(アンドレイ)今はこらえるのみ。
ひるむな〜!
(砲撃音)
(砲撃音)
(砲撃音)ああ…。
ウッ!
(青年将校)大佐!ご報告いたします!砲弾はあと8発!撃ち続けますか?
(大佐)ああもちろんだ。
お前予備の砲弾を持ってこい。
僕も行きます!伯爵様とんでもない。
いや運ぶのを手伝うよ。
(兵士たち)ああ!
(砲撃音)
(砲撃音)ハァ…ハッハッ…。
(砲撃音)あれがそうです。
(爆発音)
(砲撃音)弾薬は箱ごと吹っ飛ばされました!
(うめき声)
(兵士)助けて。
頼む!兄弟。
助けてくれ!うわ〜!ウゥウゥ…。
ウッウゥ…。
(砲撃音)
(一同)うわ〜!
(兵士たちの雄たけび)
(兵士)進め〜!
(兵士たちの雄たけび)
(将校)陛下。
ミュラー将軍から要請が。
至急援軍が欲しいと。
(ナポレオン)援軍だと?まだ耐えられる!もう一個師団あれば敵を粉砕できるとのことで。
(将校)陛下。
左翼からの攻撃が激しく防ぎきれません。
(側近)近衛師団を投入しては?駄目だ!こんな所で近衛師団を失うことはできぬ。
退却し再編成しよう。
その間砲撃を続けよ。
打開策はほかにある。
(犬の鳴き声)
(中佐)見ろよ。
犬だ!
(笑い声)
(中佐)こんな戦場になあ。
(砲撃音)危ない!伏せてください!伏せてください!伏せて!
(爆発音)
(うめき声)アアアアアアッ…。
アアッアアッ。
ああ…。
アッアアッ!アーッアアッ!ああ…。
(軍医)気をしっかり持って。
深手ですが最善を尽くします。
・
(あえぎ声)ウワッ…。
・
(脚を切断する音)アッ…アナトール?アナトール。
クラーギン。
(アナトール)ボルコンスキイ。
どうか俺を哀れんでくれ…。
脚がなくなっちまった…。
アッ…。
・
(泣き声)アッ…アッアッ。
(泣き声)
(クトゥーゾフ)諸君。
我々は敵の攻撃を耐え抜き撤退させた。
ナポレオンに立ち直れないほどの痛手を与えたはずだ。
フランス軍の士気は地に落ちた。
(ベニグセン)それでは…攻撃に転じるんですね?いや。
退却する。
ボロジノで軍の半分を失った。
残る半分を大事にせねば。
モスクワを捨てると?戦わずして我々の都を捨てるのですか?
(店主)おい待て!お前ら!泥棒!待て!それを返せ!
(女)アッアン。
何すんのよ?
(店主)ウーッ…。
(暴徒)ウッ!ウゥ…。
(暴徒)アッ!
(店主)アァ…。
アァ…ハッハッ…。
(伯爵夫人)それもお願いね。
(ペーチャ)みんな逃げ出してる。
あちこちで略奪が起きてる。
僕らも逃げよう。
(ロストフ伯爵)焦るな。
時間はたっぷりある。
ウワサが飛び交ってるがモスクワ総督のラストプチンは…。
総督も逃げたって。
(ナターシャ)どうかしたの?パパ逃げなきゃ駄目だ。
なぜいつも手遅れになるまで何もしないの?フランス軍が来るんだよ!ああどうなるの?私たち。
(ロストフ伯爵)大丈夫。
何とかなる。
手伝おうか?何をすればいい。
(伯爵夫人)余計な手を出さないで。
ハァハッハハッ。
・
(中佐)どこか休息できる宿を見つけなければ。
ずっと馬車の中では体に障る…。
すみません。
どこからいらしたんですか?
(中佐)ボロジノです。
何かご入り用?もしあれば水と食べるものを。
喜んで。
あと…歩けない方々は屋敷へどうぞ。
部屋ならたくさんあります。
よろしければ。
ご親切に。
しかしお嬢様お父上のお許しを頂くべきでは?父はきっと許してくれます。
さあ中へどうぞ。
ありがたい。
馬を屋敷の中へ。
負傷兵を運べ!ハァ…何を持っていけばいいんだろう?お兄様のものも詰めなくちゃ。
何がいるものか分からないけど。
(ソーニャ)いるものなんてもう全部手に入れてるじゃない。
愛してるのはあなただけ。
そんなの何にもならない。
お兄様はあなただけを愛してる。
ウン。
一生独りでいるのはあなたより私。
ウン…。
ハァ…。
あんなことをしでかしたんだもの。
ハァ…。
まだ友達だと思っていい?あの時あなたにはひどいことを言っちゃったけど…。
もちろん友達よ。
決まってるでしょ!アァ…。
ハァ…なら私はいいわ。
あなたとピエールさえいれば。
ピエールはどうしてるだろう?また会えるのかしら?会えるに決まってる。
ええ。
そうよね。
ああソーニャ。
フランス軍が来たら負傷兵の皆さんはどうなるのかしら?野蛮人が来るわけじゃないわ。
アァ…私たちと一緒に避難できるように荷馬車を空けてってパパに頼んでくる!許しませんよ。
いいかげんにして!ただでさえ屋敷を捨てなきゃならないハメになっているのに子供たちに受け継がせるものまで諦めろって言うの?しかし負傷した兵隊さんを2人や3人乗せてやったって…。
負傷兵の世話は政府の仕事。
私たちじゃありません!だが政府はもう無い。
じゃあ我が家の宝物を1つ残らずここに置いていくの?で代わりに負傷兵を乗せるなんて。
いや!いつものバカさ加減を通り越して正気じゃないわ!ママお願い。
全部じゃないわ。
それほど価値はないものを置いていくだけだから…。
でも我が家の宝物よ!人として恥ずかしくないの!?ハッ…。
じゃあ好きになさい!うちは破滅!勝手にどうぞ!ハァ…。
ウーン…。
(ノック)アァ…。
ああ…。
(ロストフ伯爵)最後に屋敷を見ておけ。
戻るのはいつになるか…。
(伯爵夫人)2度と戻れないわよ。
(ロストフ伯爵)それはどうかな。
諦めたときに物事はうまく運ぶものだ。
あああなたって人はどうしてそう楽観的なの?ああ。
(ナポレオン)来たぞ。
モスクワだ。
あの美女を生かすも殺すも我々次第。
余が号令すればあの美しさは永遠に失われる。
だが助けよう。
それだけでなく正義をもたらそう。
真の文明というものを教えてやる。
今までの支配者たちにも慈悲を見せこう言うつもりだ。
余は争う気はない。
諸君の幸福は余には重要だ。
臣下の幸福同様。
ロシアの新しい夜明けだ。
(ロストフ伯爵)なんたることだ。
(伯爵夫人)ぞっとしますよ。
見ていられない。
待って!あれピエールじゃない?お願い!馬車を止めて!
(御者)無理ですよお嬢さん。
ピエール!ピエール!ハァ…何してるの?なんでそんな格好を?あなたじゃないみたい。
私たちと避難しましょ。
僕はモスクワにとどまる。
なぜ?することがあるんだ。
恐ろしいことだけど。
何なの?ナポレオンを殺す。
ピエール!ピエール!ピエール!何を急いでる?
(老人)フランス軍が来た。
モスクワに来た。
(フランス語の歌声)
(歌声)君は一体誰だ?
(ランバル大尉)そういうあなたは?ムッシュー。
ピエール・ベズーホフ伯爵。
この屋敷の主だ。
ああ。
第4猟騎兵連隊のランバル大尉です。
どうぞお見知りおきを。
この屋敷はフランス陸軍の名のもとに徴発されました。
一方的だね。
あなたも私も紳士でしょう。
戦争なんかもううんざりだし文明人らしい会話に飢えていましてね。
さあ座って。
一緒にワインを飲みましょう。
ハァ…まったく…。
ランバル大尉に乾杯!ナポレオンはもうモスクワに入ったんですか?ええ。
明日の夜クレムリンの正面階段から演説をなさるのでもう宮殿のはず。
ところでご婦人方は?もう避難してしまったのですか?でしょうね。
ああ。
避難できる人はみんな。
残念!ハハッ…。
私は女好きで。
女は私の人生そのもの。
あなたもご同類でしょ?分かるんですよ。
アッ?ハハハハッ。
ついひとつき前ポーランド人の軽騎兵の命を助けた。
するとなんとその兵が妻を差し出してきた。
ハハハハッ。
とても愛情深い女でね。
私と駆け落ちしたがった。
でも味見したあと私は彼女を夫に返しこう言ってやりましたよ。
「命の次は君の名誉を救ってやろう」ってね。
フフフッ。
私はねロマンチックなんです。
あなたも私と同じタイプでしょ?分かりますよ。
アァ…いや同じじゃありませんね。
ん〜。
愛に対する考え方や経験はあなたとは違う。
女は大勢知っていますよ。
恥ずかしいことですが…。
でも心から愛した女性は1人しかいない。
フン…一緒にはなれないけど。
アァ…何ていう所?ムイティシって言うんですって。
(ロストフ伯爵)そうムイティシだ。
もっと先まで行きたかったんだが出発が遅かったから…。
ソーニャ一緒に来て。
大丈夫か?
(伯爵夫人)ああ…アッ…。
大丈夫?私につかまって。
お困りですか?中の方は重傷なの?ええ。
個室を用意したいのです。
もし出来ればですが。
地位のある方なので。
そう…。
まあ!すぐに奥様に申し伝えます。
できるかぎりお世話します。
(御者)旦那様ご覧ください!ほら後ろ!火の手が…。
モスクワが燃えてる。
ああ…。
モスクワが…。
(御者)火なら消し止められますから大丈夫です。
ご安心を。
(マーヴラ)でも誰が消すっていうの?哀れなモスクワ…。
我らの母よ。
(いびき)ハァ…。
・
(いびき)・
(いびき)
(いびき)・
(母親)お願い!そこを通して!・お願い!中に入れて!・お願い!お願い!お願い!・
(フランス兵)おい下がれ。
下がれ!
(母親)娘がいるの!入れて〜!
(フランス兵)駄目だ。
お願い助けてください!一番下の娘が焼け死んでしまう!どこにいます?家の中です!
(フランス兵)おいおいこら入るな!でも子供が…。
下がれ!
(アニースカ)こっちに来て!横から中に入れるの!お願いです。
早く!待ってて。
アァ…。
おい!女の子を見なかったか?・
(少女の泣き声)こっちか。
大丈夫。
もう大丈夫だよ。
さあ。
さあおいで。
大丈夫だよ。
アァ…さあ行こう。
アァ…。
(せきこみ)ああ…お母さんはどこ?
(女)兵隊に連れてかれたの。
あっちへ!・
(悲鳴)彼女を放せ!頼む。
彼女を放せ!エイ!
(フランス兵)アァ…。
何する?やる気か?アーッ!ああ…。
こらやめろ。
よせ!・
(子供)逃げろ!
(悲鳴)アアアーッ!アッウゥ…ウッアァ…。
かかってこい!相手してやる!
(フランス将校)観念しろ!ウーッ!人殺し。
しかも放火犯だ。
連れてけ。
違〜う!ウウーッ!ウーッ!きっとモスクワは全部燃えてしまうわね。
あんなに空が真っ赤だもの。
ナターシャ。
奥様からあなたには言うなって言われたけどやっぱり言っておく。
何のこと?アンドレイ様がいる。
アッ…ここに?この家に?ええ。
奥の部屋に。
戦場で重傷を負ったから面会は許可できないって言われた。
・
(うめき声)今のがそう?いえ別の人。
アンドレイ様は静かに寝てらっしゃる。
(伯爵夫人)ナターシャ体が冷えるわよ。
こっちに入りなさい。
いいえ。
私は平気よ。
こっちの床の上で寝る。
・
(伯爵夫人のいびき)フフッ…。
フッ…。
ハァ…。
(扉を閉める音)
(当番兵)お嬢さん困ります。
いやいいんだ。
本当に君なのか?
(嗚咽)ごめんなさい。
どうか私を許して。
なぜ?私ひどいことを…。
ナターシャ…愛してる。
そんなはずない。
アァ…愛している。
前よりずっと。
僕が間違ってた。
僕のほうこそ許してほしい。
(苦しそうな息遣い)
(嗚咽)
(ノック)
(ニコライ)こんにちは。
(マリア)出立なさったとばかり…。
兄上はちゃんと生きておいでです。
僕の家族がお世話を。
今はモスクワからヤロスラヴリへ避難の途中だとか。
ハァ…ああよかった!ニコーレンカを連れてすぐに会いに行かなくっちゃ。
(ニコライ)申し訳ない。
部隊に戻らねばならずお連れできなくて。
いえとんでもない。
ハァ…。
なかなか思うようにいかず歯がゆいです。
(マリア)お察しします。
じゃあ行ってらっしゃい。
お気をつけて。
さよならして。
(ロストフ伯爵)ああ。
ナターシャは?またアンドレイ様の所?ずっとおそばに。
まったく。
戻ってきて出発の用意をするよう言って。
アンドレイ様は旅ができる状態ではないそうで。
あああなた。
どうします?出発すべき?1日2日遅らせても大丈夫?ああ…。
何とも言えんな。
お前に任せる。
私は新鮮な空気を吸ってヤギでも見てくるよ。
(伯爵夫人)ああ神様。
どうすればいいの…?主人が…壊れてしまった。
うちはもう終わりよ。
知ってるでしょ?何も残ってない。
一文無し。
今後のことは…ニコライに託すしか…。
それしかない。
分かってるでしょ?ええもちろんよく分かってます。
アァ…。
(ヤギの鳴き声)
(太鼓の音)
(フランス兵)1人ずつですか?
(フランス将校)2人のほうがてっとり早い。
さあとっとと執行するぞ。
(囚人)ウーッ!
(囚人)ウゥアーアッ!
(男)神よどうか勇気を。
どうか勇気をお与えください。
ハッ…。
(フランス将校)銃殺隊構え!狙え!撃て!
(銃声)
(フランス将校)次の2人を!
(囚人)イヤだ〜!
(囚人)やめろ〜!死にたくない!やめろ〜!
(悲鳴)
(囚人)助けて!助けて〜!・
(フランス将校)狙え!・撃て!
(銃声)
(嗚咽)
(フランス将校)そっちの男はいい。
5番のやつだけだ。
(囚人)ああ!アーッ!アーアッアッ!
(フランス兵)5番だけ?
(フランス兵)そうらしい。
ああ哀れだな。
・
(囚人)ああ!・
(フランス将校)狙え!・撃て!
(銃声)・
(フランス将校)残りは連れて行け。
全ては単純明快だ。
世界は愛されたがっている。
何も難しいことはない。
ささやく声が聞こえた。
かすかな音楽のような…。
それは部屋の中を飛んでいるハエだった。
ハエは僕に愛されたがっていた。
だから僕は愛した。
それで人は全てを愛せることを知った。
疲れちゃうからあまりしゃべらないで。
バカみたいかな?もうろうとしているしね。
だけど君には知っておいてほしい。
ハァ…僕は幸せだ。
彼に会った。
病院で。
誰と会ったの?アナトール・クラーギン。
僕の敵だ。
彼は負傷してて僕が担ぎ込まれて目が合ったとき彼をとてもいとおしく思った。
彼は悪いやつじゃない。
ただ自分でもどうしようもないんだ。
責められるべきは僕だ。
君を1年も1人にしたり別れを告げたりなんて残酷なことを…。
いいえ。
そんなふうに言わないで。
私は子供じゃない。
自分のしたことには自分で責任を持つ。
私は愚かで間違っていた。
あなたを傷つけてる自覚もなくて勝手だった。
それはもう起きたことだしやり直せるわけもない。
でも互いに許し合うことはできるはず。
また愛し合うことも。
今更もう遅い。
そんなことない。
まだ間に合うわ。
本当に不思議だ。
ちょうど思ってた。
君に会えたらこの気持ちを伝えるのにって。
そしたら君が現れた。
ずっとそばにいるわ。
2度と離れない。
フーン…フフッ。
(ニコライの手紙)「愛するソーニャ」。
参ったな…。
(扉を開ける音)邪魔するなと言わなかったか?
(従僕)申し訳ありません。
でも手紙が…。
さっさとよこせ。
(ソーニャの手紙)「最愛のニコライ。
もうあなたは私との婚約には縛られません」。
神よ感謝します。
ハァ…。
(ソーニャの手紙)「なぜならあなたとボルコンスキイ公爵令嬢との結婚に家の行く末がかかっているから。
ですからあなたを自由にします。
でもあなたのソーニャほどあなたを愛している者はこの世にいない。
忘れないでね」。
ハァ…ハァ…。
・
(伯爵夫人)ソーニャ?ソーニャ!もう出発しますよ!
(ベニグセン)フランス軍はモスクワのあちこちに分散しており治安維持に手を焼いている。
兵士の風紀も乱れている。
今こそ攻めるべきだ。
モスクワを取り戻し歴史に残る勝利を挙げよう!駄目だ。
何もせず時が過ぎるのを待つ。
ナポレオンにモスクワの冬は越せまい。
しばらくすればやつはモスクワを捨てる。
食料も何も手に入らないからだ。
退却を始めたら攻撃する。
しかし自国で戦う我々のほうが有利です!諸君。
会議はこれで終わりだ。
フーン…。
(ナポレオン)全く理解できん。
戦おうともせず降伏も和睦もしないとは。
全くロシア人は余の寛大な申し出より首都が焼け落ちることを選ぶのか!?野蛮人めが。
暗黒の中世に戻りたいのか?何という国民だ。
失望した!
(せきばらい)
(側近)陛下。
ああ何だ?火事と混乱が広がっておりもうじき食料が底をついてしまいますが…。
そんなことは分かっておる。
正午までに解決策を考えて余に報告せよ!フフフン…フーン…。
(伯爵夫人)ペーチャが「陸軍での生活は楽しい。
早く本当の戦いを見てみたい」って言ってきたわ。
アァ…。
一体どういうことだ?ペーチャからの手紙!どこから?ああ…。
ああそこか。
(ソーニャ)誰か来ます。
あれはマリア様だわ。
アンドレイ様の坊ちゃんも一緒です。
(いななき)あなた。
ああ。
(伯爵夫人)ああよく来たわね。
ああこの子がお兄様の子?ああ…。
よくいらっしゃった。
歓迎しますよ。
ええ。
悲しい…。
失礼ですが兄はこちらに?会えますか?でもあなた。
その前にお座りなさいな。
いいえ。
お構いなく。
すぐ兄に会いたいのです。
いや。
でもまずお茶を持ってこさせよう。
急ぐ事はない。
(伯爵夫人)そうよ。
ハァ…。
(嗚咽)
(嗚咽)ご案内します。
いらして。
ハァ…。
容体は?会えば分かります。
きっとよくなるって信じていたんですけど…。
2日前から様子が…。
(嗚咽)ご自分の目で…。
ああ…マリア。
ニコーレンカも…。
具合はどう?体のことだけど。
それは医者に聞いてみてくれ。
会えてうれしい。
ハァ…。
しかしこうしてみんなそろうとは思ってもみなかった。
ナターシャまで…。
ハァ…。
よせマリア。
泣かないでくれ。
ニコーレンカにキスをさせたら連れて行け。
少し疲れた。
ん〜。
お母さんそっくりだ。
幸せにな。
ん?立派になれよ。
お前ならなれる。
(せきばらい)おいで。
マリア。
お前がくれたお守りを僕の形見に…。
形見だなんて言わないで。
いいからお守りを…。
ハァ…。
ハァ…ハーッ。
ハァ…。
ハッ…。
ありがとう。
行きましょう。
(嗚咽)マリア。
もうすぐお迎えが…。
(司祭のロシア語)
(マリア)逝ってしまった…?
(嗚咽)
(嗚咽)もう…冷たくなってる。
どこへ行ったの?今はどこにいるの?苦しみは不幸なことだとされている。
(プラトン)怖いものを見た顔だね。
そうなんだ。
ああでも引きずるな。
悩むのは一時でいい。
人生は長いんだ。
ほら。
分けてくれるの?もちろんだ。
さあ食べな。
プラトン・カラターエフだ。
人生が軌道から外れるともう何もかも終わりだという気持ちになる。
(叫び声)あなたと一緒に苦しめて最高に幸せだった。
いなくなる必要なんてなかったのに。
人生を無駄にしてきた僕だけど君の答えを聞きたい。
君は僕のことを愛せる?
サックサクの甘〜いミルフィーユ。
2016/11/06(日) 23:00〜23:45
NHK総合1・神戸
戦争と平和(7)[二][字]
若者たちの愛と葛藤を描く大型歴史ドラマ。野戦病院で憎き恋敵と再会したアンドレイ。ナターシャはモスクワから避難する。ピエールはナポレオン暗殺を決意する。
詳細情報
番組内容
ピエールはナポレオン率いるフランス軍とのすさまじい戦いを初めて目の当たりにする。負傷したアンドレイは野戦病院に運ばれ、そこで、婚約解消の元になった憎き男アナトールと思わぬ再会をすることに。ナポレオンはモスクワに進軍。ピエールはナポレオンの暗殺を決意するが…。一方、ナターシャは家族と共にモスクワから避難を開始。その途中である人と運命の再会をする。
出演者
【出演】ジェームズ・ノートン…間宮祥太朗,ポール・ダノ…加瀬康之,リリー・ジェームズ…坂本真綾,ジャック・ロウデン…小松史法,アシュリング・ロフタス…園崎未恵,ジェシー・バックレイ…渋谷はるかほか
原作・脚本
【原作】レフ・トルストイ,【脚本】アンドリュー・デイビス
監督・演出
【演出】トム・ハーパー
制作
〜イギリス BBCウェールズ制作〜