暗闇にきらめく無数の光。
北アルプスの山あいに秋の一瞬だけ現れるテント村。
満天の星の下人が集い時を過ごす。
どうぞ。
天空に流れるいつもと少し違う時間。
行き交う人の心模様を3日間見つめてみた。
長野県上高地から北アルプスへと続く登山道。
険しい道を登る事6時間。
標高2,300メートルにあるこの場所が今回の舞台。
随分ごつごつした岩場だけど周りが見渡せるのでテントにぴったりなんだとか。
あっリュックを背負った人。
(取材者)こんにちは。
はいこんにちは。
うわ〜。
こんなちっちゃいの?地元長野の会社員。
年に数回ここで過ごすのが楽しみなんだそう。
へえ〜。
へえ。
ふ〜ん。
あんまり無理はせずテントでゆっくり過ごすのが最近の人気らしい。
こちらにはカメラを担ぐ女の人。
こんにちは。
えっ?こんにちは。
あっいい。
やめてよ。
ダメ。
実はここ知る人ぞ知る紅葉の名所。
カメラ片手に頑張って登ってきたんだって。
うんそうね。
美しい紅葉を目当てに1,000人近くがやって来るこの場所。
岩場の横には豪華なテラスつきの山小屋も。
なんと生ビールまで。
おいしそう。
撮ってますか?お疲れさまでした。
今日はいい天気でした。
お昼過ぎ続々と人が到着し始めた。
突然声をかけてきたおじさんがいた。
見たい?どうぞ。
もう5日間ここを拠点に周りの山に登っているらしい。
自慢のテントを見せてくれるという。
登山歴20年のベテラン。
でも2日前思わぬ事態に遭遇したんだって。
台風が直撃。
身の危険を感じ家族にメッセージを残したという。
こんな感じ。
誰にも邪魔されない自分だけの時間。
テント村の暮らしは奥が深そう。
こんにちは。
何だかいい匂いがしてきた。
おいしそうですね。
ジャーマンポテト。
は〜。
シチュー。
おいしそうですね。
(笑い声)眺めのいい所で。
大手電機メーカーの飲み仲間。
いつもは都会の居酒屋で飲んでるけど今日はちょっと遠征してきたんだって。
ぐい飲み。
皆さん一緒に作られた…?あっそうなんですか。
は〜。
は〜。
はいはい。
へえ〜。
(笑い声)夕方大きな板を運ぶカップルに出会った。
えっ?最近つきあい始めたという2人。
山でテント泊するのは初めてなんだって。
おっ。
オッケー?ばっちりですか?あっ練習してきたんですね。
(笑い声)予行演習は完璧だったはずだけど…。
いつもはスマホで調べてるけどここは圏外。
(笑い声)
(笑い声)ここでしか味わえない時間の流れ。
2人の距離も少し近づいたかな?日が落ちたテント村は幻想的な空間に。
こんばんは。
お昼に出会ったぐい飲みのおじさんたち。
ええ。
中にはこんなテントも。
すいません。
(笑い声)あ〜。
早朝天候が急変。
雨が降りだした。
この先は険しい山道。
登るのを諦め下山するという。
一方天気を全く気にしない人たちも。
東京から来た男女6人組。
いろんな遊びに誘われるけど週末になるとなぜか山に来てしまうんだって。
(笑い声)上から来る。
上から目線。
自然の気配を感じながら何もせず過ごす一日。
昼前になると雨の中続々と登ってくる人が。
こんにちは。
こんにちは。
(笑い声)みんな地元の役所の職員。
予定を合わせられる日が今日しかなかったらしい。
レジャー用の小さなテントを必死で組み立てる。
そうだね。
山小屋に小さな女の子。
どうしたんだろう?こんにちは。
パパ?あっテント張りに行ったの?えっ?5歳?すごいいっぱい歩いた?は〜。
あっお父さんみたい。
そうなんですか。
すごいですね。
(笑い声)はいはいはい。
学生時代から全国を旅してきたお父さん。
大好きなキャンプを娘さんと楽しむのが夢だったそう。
(笑い声)親子2人きりで過ごすテント。
吹き飛ばされないよう念入りに固定する。
食べる?食べようか。
頑張ったお父さんに娘さんからプレゼント。
じゃあすいません失礼します。
バイバ〜イ。
バイバ〜イ。
一体どんな夜になるんだろう?バイバ〜イ。
(風の音)雨があがった3日目の朝。
そう。
よかったね。
テントは大丈夫だったのかな?おはようございます。
あっ。
あ〜。
うわ〜。
さすがにお父さんも反省気味。
でも娘さんの新しい一面を見られたんだとか。
ちょっと怖い思いもしたけど…。
大人になって思い出す日も来るのかな?秋晴れの山を前に写真を撮る人がいた。
こんにちは。
一生懸命写真撮られて…。
はい。
新聞社で働く女性。
最近大きなケガをしてリハビリがてらここに来たらしい。
これからどう生きればいいか考えながらの旅。
でもそれぞれのテントで過ごす人たちを見てなぜか気が楽になったという。
大丈夫です。
テントから一人じっと山を見る男性がいた。
あっそうなんですね。
実は1週間後に定年退職する予定。
そんな時ふと昔来た紅葉のテント村が頭に浮かんだという。
がむしゃらに山頂を目指していた学生時代。
今は下から眺めるだけ。
(笑い声)時がたっても変わらず自分を迎えてくれたこの景色。
男性はいつまでもいとおしそうに見つめていた。
こんにちは。
こんにちは〜。
どうも。
(笑い声)失礼ですけど…あっそうなんですか。
2016/11/11(金) 22:50〜23:15
NHK総合1・神戸
ドキュメント72時間「北アルプス 天空のテント村」[字]
暗闇にきらめく色とりどりの無数の光ー。長野・北アルプスの山あいに、紅葉の時期だけ出現する巨大テント村。天空に流れる“いつもとは違う時間”にひたる3日間。
詳細情報
番組内容
暗闇にきらめく色とりどりの無数の光ー。長野・北アルプスの山あいに、紅葉の時期だけ出現する巨大テント村の風景だ。山頂を目指さず、ただ景色を眺める人。「幼いわが子とテントに泊まるのが夢だった」と話す男性。標高2300メートルの岩場に張られたテント一つ一つには、それぞれの物語が詰まっていた…。天空に流れる“いつもとは違う時間”にひたる3日間。
出演者
【語り】川栄李奈