全文書き起こしサイト

地上波テレビの字幕を全文書き起こします

スポンサードリンク

書き起こし 綾小路きみまろの演芸図鑑「佐々木則夫、オール阪神・巨人、春風亭柳好」 2016.11.13

皆様おはようございます。
「演芸図鑑」ご案内役の綾小路きみまろでございます。
年を取りますとですねやっぱり忘れ物が多いんですね。
朝から捜し物です。
「おとうさんおとうさん」。
「何だよ」。
「私のタオル知らない?タオル」。
「タオル?首にかかってるじゃないか」。
さて今日の演芸でございます。
オール阪神・巨人さん。
この方々はですねもうしゃべくり漫才の第一人者でございまして関西の漫才が面白いのはパワフルで明るいこういう方がいらっしゃるからですね。
そしてもう一方は春風亭柳好さん。
本当に本格的で落語ファンの方にとってはたまらないほのぼのとした味のある落語をお聴かせ頂きます。
それではお楽しみ下さい。

 

 

 

(拍手)おはようございます。
会いたかったよ〜!元気でしょ?元気でしょ?嫁はん病気で寝てまんねん。
アホな事言いないな。
嫁はん病気したら喜んでる。
んな事ありませんよ。
でもこんな朝はよから皆さん起きてはるんですかね。
いやご年配とかお年寄りの方見てるんですこの番組ね。
おじいちゃんおばあちゃんって割と何かあったら目覚めるでしょ。
早い事目覚めますよね。
コトッと音したらハッと。
そうそうそう。
何でか分かります?あれ何でですか?「お迎えか?」って。
怒られるで!バカな事言いなさんな。
出てきた早々ほんまに。
おじいちゃんおばあちゃんね言うても僕も高齢者なんですよ。
そう65歳ですからね。
65やから前期高齢者やね。
ああなるほどね。
これはね。
あるんですよ。
前期高齢者後期高齢者ありますやんか。
国連で決まってるん知ってます?ほんまかいな。
漫才師言うたらみんなうそやと思うやろ?初めはほんまであとはうそ言いますけど。
60歳からが高齢者なっとるんですよ。
だから阪神ちゃんは来年から…。
私来年還暦でございますから。
だから高齢者のカッコ小ですよ。
待てや。
カッコ小ちゅうのは何やねん。
あのねおじいちゃんおばあちゃんになったらね何でも「る」をつけると表現できますね。
「る」で表現できますか?そうそうそうそう。
ほんまに?乳下がるケツ下がる。
ああ…。
血圧上がる年金下がるいうてね。
そらほんまや。
髪の毛抜ける歯抜けるいうてね。
よう出来てますな。
ほんまやで。
阪神ちゃんもあるよ。
私もありますか?個人的にね。
阪神ね試合に負ける。
阪神球団やそれは。
私漫才師の阪神。
ギャンブル好きなんですよ。
パチンコが。
パチンコ負ける。
借金出来る。
嫁はん逃げる。
待てい。
悪い事ばっかりやないか。
いやでもね健康が一番です。
まあこれは言えますよね。
寝込んだりしたら絶対あかんからね。
家族に迷惑かかる。
残った家族が大変でございますからね。
僕なんか体がでかいから余計迷惑かかると思うんですよ。
ごっついおじいちゃんでございますよこれ。
こないだ嫁はんに…。
あっ奥さんにね。
「俺寝込んだらどうする」。
「俺の事どないしてくれんねん」。
しっかりしてる芸人の嫁はんや。
奥さん優しいですからね。
「大丈夫やで。
次の旦那は考えてある」。
あかんがなそれ。
頭から放り出されとんやないか。
ここの息子さん。
うちの息子。
ものすごいええ子でねヘルパーさんなりたいいうて。
優しいんですよ気持ちがね。
ホームヘルパーってありますやん。
あれも大変なんですね。
いろんなとこ行きますやんか。
呼ばれて行きますわ。
いろんなおじいちゃんおばあちゃんいてるしやね。
何か臭いな思たら屁こいとったりするんですよ。
もう緩んでるからね。
まあ皆さん…あるでしょ?プップップップップッてこいてる時。
これこく気はないねんけどね。
大変なんですよ。
仕事がね。
なるほど。
ここやな中村さんは。
アーウー!うまいでしょ。
アーウー!チャイムチャイム。
アーウー!ものまねうまいんですよ本当に。
アーウー!漫才師では珍しいです。
アーウー!うまいねえ。
アーウー!留守やねえ。
やかましい!だんだんしんどそうな声分からんのか?アホお前は。
はいはいはいはい。
あっガラガラガラ。
すいませ〜ん。
こんな扉あんまりないやろ。
こうせえこうせえ。
ギィ〜ッ。
仏壇やアホ!仏壇やないねん。
すいません。
ホームヘルパーでございますけども。
えっ何?いやホームヘルパー。
が…外国人の方ですか?ホームヘルパーさん?あ〜日本語に直しますわ。
横文字分からんもん。
私ね介護でございます。
あ〜分かりますわ。
介護分かります?糸吐いてゴチョゴチョゴチョ。
それは蚕。
分かってますよ。
私電話した…。
そうお電話頂きました。
ありがとうございます。
電話した事も忘れまんねん。
あきませんであんた。
ほんまもんでっか?ほんまもんです。
何言うてまんの。
ようあるんですよ。
うまい事言うておじいちゃんおばあちゃんの家上がり込んで金品持って帰ったりして。
金品やったらええけどあんたひょっとしたら…。
何?私の体目当てちゃう?押さえ込まんといてよ。
おじいちゃん。
何?おじいちゃんやろ?私も男や。
男同士で何を変な事我々やりますねん。
あんた私おじいちゃんに見えますか?えっすいません。
年いっておじいちゃんかおばあちゃんか分かんない。
おばあちゃんでした?おばあちゃんに見えます?いやいや…おじいちゃん?おじいちゃん?おばあちゃんですか?ちょっと待ってな。
おじいちゃん。
触らな分からんのか!もうこの年になったら分からんへんねや。
よろしくお願いします。
ほんまもんですかいな?ほんまもんですよ。
よううそ言うから。
せやせやほなちゃんと証明書ね。
名刺ですか。
え〜田中耳鼻咽喉科。
ちゃうねん。
違いました。
ちょっと耳が…。
中村肛門科。
違いますよこれ。
ちょっとお尻がね。
ええちょっと…ハハハこれ。
吉本性病科。
ちゃんと読みなはれ!書いてまっしゃるがなあんた。
あ〜ホームヘルパー。
そうそうそう。
すごい。
1級?そう1級ですよ。
あんた一休さん?・「すきすきすきすきすきすき」頑張ってるけど笑い少ないね。
(笑い)高田さんいいますの?高田です。
背低いのに高田とはこれいかに。
ありがとう!プ〜。
いやプ〜って。
ちょっと緩いんです最近。
臭いなほんまに。
あの何からさして頂きましょう。
お掃除は?いや掃除はよろしい。
話し相手になってほしいんですよ。
そうですかいな。
何かね悩んだら寝られへんねん。
テレビ見とってもね悩んで寝られへんから不眠症なりますねん。
あのね年いってね寝不足一番あかん。
そんな時は病院行って頂いたらね軽い睡眠薬頂けますからそれのんで寝て下さい。
こないだもろうてきてん睡眠薬。
薬もうてきましたん?もろうてきてんけどねのむの忘れてん。
あら何でのむの忘れましたんや。
寝てしもうてん。
寝れてまんねや!寝れてまんねや!おじいちゃん。
要らんの!ほんまやね。
要りませんねん。
それより話し相手になってほしい。
話し相手ね。
テレビ見てたら不思議な事ようあるんですよ。
ありますな。
ペンギンさんペンギンさん。
かわいいね。
あいつ氷の上歩いとるでしょ。
歩いてますね。
スリッパもね何も草履も履いてませんやん。
霜焼けにならんの?知らんがなそんなん。
あれは寒いとこやから…。
海の中に昆布いる。
昆布ありますね。
昆布海の中でだし出しとんのですか?そんなんしたらあんた海の中だしだらけになるがな。
へそってありますやん。
へそありますな。
上半身下半身どっちなんですかね。
確かに真ん中ですからな。
トンネルありますでしょ。
トンネルありますね。
どっちが入り口でどっちが出口?知らんがなそんなもん!道路公団行ってこいやほんまに。
演芸場なんか行ったらね映画行ったらね肘掛けありますやんか。
あれは自分のもんなんですか?隣の人のもんなんですか?知らん!分けなはれ2人で。
今日は円い椅子やからええけどね。
まあそうやね。
切手や切手。
切手ね。
ちっちゃいですやん。
ええ。
小切手ってこんな大きいやん。
あれ大きいですな。
切手ちっちゃいのに小切手の方が大きいってどういう事?知らんがなそんなもんほんまに。
24時間のコンビニってありますやろ。
ありますな。
24時間営業やのによう見たらねシャッターついてんねん。
あれいつ使うの?あれ。
台風来たら使いまんねん。
最後に聞きます。
何でんねんな。
地下鉄ってどこから入れたんですか?あんた三球・照代さんか!何をバカな事言うてまんの。
今度調べときますから。
お願いしますよ。
何からさして頂きましょう?風呂入れて。
あっお風呂ね。
長い事風呂入ってない。
どれぐらい入ってませんの?もう2年半ぐらい。
汚いな。
汚いなほんまに。
ほなお風呂案内して下さい。
行きましょう。
連れていって。
連れていってって何で?膝悪いのよ。
すんませんがちょっと運んでくれる?ほんならあのお姫様だっこでね。
うれしいわ。
はいはいはい。
すいません。
ちょっと上あげて。
いや上って…。
力ないの?力ないって…。
そんな事よりマイク入ってるか心配やわ。
ちょっと降りて。
あんたごっつ重たいおじいちゃんやな。
どうでもええけど。
あんたヘルパーさんやのに力ないね。
いや力ないって…。
でけへんの?あ〜!できませんか?そんだけ力あんねやったら風呂まで歩けまっしゃろがな!下悪い。
下悪いの?上はええけど下悪い。
下が悪いの?市場みたい。
うまいねあんたほんまに。
おんぶ…おんぶにしましょう。
はいはいほんならおんぶね。
はいよいしょ。
ほんならあのお風呂どっちですか?あんたどうでもええけど権太さんやな。
きかん坊やわ。
じんじろ2つある。
ほっときなはれ!あんたほんでアホやわ。
何で?両方とも左巻いてる。
やかましいわい!風呂風呂風呂風呂どこや?風呂ねあのねその仏壇の横。
そんなあらへん。
仏壇の横に風呂あらへん。
2階やったかな?2階でっか?2階ちゃう。
うち2階ないねん。
なかったら言いなさんな!どこや?冷蔵庫の後ろ。
そんな狭いとこへ風呂作られへん。
ハハハ!いや何笑うて…。
すんませんヘルパーさん。
うち風呂なかったんです。
ええ加減にしな!
(拍手)
(拍手)どうもばく大な拍手でお迎え頂きましてありがたい限りで。
しばらくおつきあい願うんでございますが。
「与太郎や与太郎」。
「何だい」。
「何だいじゃねえや。
いいからこっち来て座れ」。
「座ったよ」。
「座ったらなはなかみな」。
「はなねさっきかんだばっかなの」。
「かんだばっかでもまた出てるからかみなってんだよ」。
「そんなにはなばっかかんでたら紙がもったいねえや」。
「生意気な事言うんじゃねえや。
こないだお父っつぁん教えてやったろ?一度かんだらすぐに捨てねえで日当たりのいいとこへ干して乾いたら便所で使えって教えてやったじゃねえか」。
「それこないだねやってみた」。
「やったんならいいだろう」。
「でもね順番間違えちゃったんだよ」。
「何だぁ?しょうがねえな。
そんな事ばっかりしてるから親戚の者はいつもお前の事ばかり心配してるんだ。
中でも一番心配してくれてんのが神田の伯父さんだな」。
「神田の伯父さんてえとあの佐兵衛か?」。
「呼び捨てするやつがあるか伯父さんの事。
こないだもな伯父さんがうちを新築してお父っつぁんお祝いに呼ばれて行ってきたんだけどもそん時にも『与太郎はどうしてる与太郎はどうしてる』って大層心配してた。
これからお前早速伯父さんのとこ行ってな新しいうちをほめてこい」。
「行ってくるけど何てほめたらいいんだ?」。
「そこへ気が付きゃ感心だな。
まずお前はなよそ様へ行って挨拶をした事がねえ。
これが一番いけねえんだ。
男は二十歳を過ぎりゃ一人前だ。
『ごめんくださいまし。
こんにちは』と挨拶をして『こないだお父っつぁんが上がりましてご馳走さまになりありがとうございました』と言ってみろ」。
「へっ?」「『こないだお父っつぁんが上がりましてご馳走さまになりありがとうございました』」。
「こないだお父っつぁんが上がりまして下りてきません」。
「『ご馳走さまになりありがとうございました』」。
「ご馳走さまになりありがとうございました」。
「そうだそうだ」。
「そうだそうだ」。
「余計な事まねしなくていい。
『今日はおうちを拝見に参りました』。
言ってみろ」。
「今日はおうちを拝見に参りました」。
「『うちは総体檜造りでございましょう』」。
「うちは総体檜造りでございましょう」。
「『天井は薩摩の鶉木でございます』」。
「天井は薩摩の鶉木でございます」。
「『左右の壁は砂摺りですね』」。
「左右の壁は砂摺りですね」。
「『畳は備後の五分縁でございます』」。
「畳は備後の五分縁でございます」。
「『お庭は総体御影造りでございましょう』」。
「お庭は総体御影造りでございましょう」。
「『床の間に何やら掛け物が出ておりますが』」。
「床の間に何やら掛け物が出ておりますが」。
「『あの掛け物は隠元禅師唐画茄子の掛け物でございましょう』」。
「あの掛け物はいん…茄子の掛け物でございましょう」。
「しっかりやらなくちゃいけねえな。
『上に誰やら賛がしてございます』」。
「上に誰やら賛がしてございます」。
「『売る人もまだ味知らぬ初茄子』」。
「売る人もまだ味知らぬ初茄子」。
「『これは確か去来の句でございます』と」。
「これは確か去来の句でございます」。
「どうだ分かったか?」。
「分からねえ」。
「あ〜分かった分かった。
難しかったからな。
じゃあお父っつぁん紙に書いといてやるから。
な?分からなくなったら懐か何かにしまっといて伯父さんに見つからねえように読みながらでもほめてきな」。
「あのこれでいいのか?」。
「そうだそうだ。
それからお前な台所へ行ってみろ。
立派な柱があるんだけどなどういう訳だかここに大きな節穴が開いてる。
伯父さん普請道楽だそれを大層気にしてた。
お前そこ行って聞いてやんな。
『伯父さんこの節穴気にしてますか?』。
気にしてると言ったら『この穴でしたら別に心配する事はございません。
ここへ秋葉様のお札を貼んなさい。
秋葉様は火伏の神様だ。
場所が台所だけに穴が隠れて火の用心になります』こう言ってみろ。
伯父さん驚いてビックリしてなそればかりじゃねえ。
お小遣いの少しぐらいくれるから」。
「お小遣いもうかっちゃうの?これ。
ありがたい。
いくらぐらいくれる?」。
「そらまあもらってみねえと分からねえな」。
「じゃくんなきゃお父っつぁんが立て替えろ」。
「誰も立て替えやしねえ。
それからお前な物はついでって事もあるからなついでに伯父さんが飼ってる牛もほめてこい。
まあ牛のほめ方ってのは難しいな。
天角地眼一黒陸頭耳小歯違うなんて事いうんだけど何お前の事だ。
『大きな牛だ立派な牛だ掃除が行き届いていてきれいですね』ぐらい言ってくりゃいいや。
分かったか。
じゃあ早速行ってこい」。
「行ってくらぁ。
ハハありがたくなっちゃったな。
お小遣いもうかっちゃったからな。
え〜っとねうちうちうち…。
あったあったここだな。
新しいからすぐ分かっちゃったよ。
こんちは!ごめんくださいまし。
こんちは。
ごめんくださいまし。
こんちは…。
誰も出てこねえなこりゃ。
このうちは死に絶えたか?」。
「誰だ表で変な事言ってるやつは。
何だこれ誰かと思ったら与太郎じゃねえか。
どうした?」。
「こんにちは」。
「おっ偉えな。
おい聞いたか?ばあさん。
あの与太がお前ちゃんと挨拶できるようになったぞ」。
「伯父さんこんちは」。
「おっ感心感心。
こんにちは」。
「伯父さんこんちは」。
「いつも愛想がいいね。
こんにちは」。
「伯父さんこんちは」。
「やっぱりバカだよこりゃ。
何だよ?」。
「こないだお父っつぁんが上がりましてご馳走致しました」。
「ご馳走したのはこっちだよ。
それを言うなら『ご馳走さまになりありがとうございました』」。
「どういたしまして」。
「しょうがねえなお前。
何だよ?」。
「今日はおうちを拝見に参りました」。
「それを早く言うがいいじゃねえか。
いいから上がっといで上がっといで。
大した事ねんだけどもなこんなもんでも始めてみると面倒だ。
何だかんだでみつきもかかってな」。
「えっ伯父さんこのうち建てるのみつきかかったの?でも心配する事ありませんよ。
火事で焼ける時は30分だ」。
「お〜っ嫌な事言うなよ」。
「これからほめちゃうんだね。
ゴホンえ〜うちは総体檜造りでございましょう」。
「お〜?これうまい事を言ってくれるな。
与太お前なかなかお世辞がうまくなったじゃねえか。
うんありがとありがと。
まだほめてくれんのか?」。
「天井はサツマイモにうずら豆でございましょう」。
「後がよくなかったな。
薩摩の鶉木だ」。
「その木」。
「その木ってやつがあるか」。
「佐兵衛のかかあは引きずりだ」。
「おぉ〜。
よせお前つまらねえ事言うな。
ばあさんに聞こえたら腹立てるぜお前。
『左右の壁は砂摺りだ』」。
「左右の壁は砂摺りでございます。
畳は貧乏のボロボロで」。
「備後の五分縁!」。
「備後の五分縁でございます。
お庭は総体見かけ倒しでございましょう」。
「しょうがねえな。
御影造りだ」。
「御影造りでございます。
床の間に何やら化け物が出かかって…」。
「あれは掛け物!」。
「あっ掛け物。
上で誰やらお産をしてます」。
「賛がしてあるんだな」。
「あっ賛がしてある。
悪いんだけどね伯父さんここでもってちょっと後ろ向いててもらえる?後ろ。
こっち見んじゃねえぞ。
こっち見るとね目ん玉へ指突っ込むからな。
『ううう…売る人もまだ味知らぬ初茄子。
これは確か去来の句でございます…まる』」。
「お前何か読んでんな?」。
「めっかった」。
「めっかったじゃねえや。
まあお前が何か読んだにしてもなこれだけほめてくれたんだ。
うんありがとありがと」。
「それから伯父さんねこれからちょっと台所行こう台所」。
「うん?台所なんざ行ってどうする?」。
「台所行くとねもうかる穴があるの」。
「何だいそのもうかる穴って」。
「来りゃ分かるんだね。
え〜と柱柱…あったあったこれだな。
伯父さんこんなとこ随分大きな節穴開いてるな。
目立つな伯父さん」。
「お前の目にも入ったか。
大工がヘマしやがってなそんなとこへ大きな節穴持ってきちまって何か今穴が隠れるいい方法はねえかと思って考えてるとこだ」。
「この穴でしたらね別に心配する事ありませんよ」。
「そうか?」「ここへね秋葉様のお札を貼んなさい。
穴が隠れて火の用心になります」。
「なるほど!秋葉様は火伏の神様だ。
場所が台所だけに穴が隠れて火の用心か。
なるほどこりゃいい事教わったな。
与太お前バカだバカだと思ってたらまんざらバカでもねんだな」。
「バカじゃないでしょ?」。
「バカじゃない」「利口でしょ?」「ああ利口だ」。
「驚いた?」「驚いた」。
「ビックリした?」「ああビックリしたな」。
「参った?」「参った」「じゃあ早く出すもん出せ」。
「小遣いの催促分かった分かった帰りに持たしてやらあ」。
「それから伯父さんねついでに牛もほめちゃう」。
「お〜牛もほめてくれんのか?」。
「さっきから探してんだけどね牛どこにもいねえな」。
「座敷ん中に牛がいるかお前。
庭だ」。
「庭ね。
え〜牛牛牛…あらいたよ。
え〜これかい?こらまた随分小さな牛だなこれ。
角も何にも生えてねえな」。
「それ犬だよ!」。
「どうりで片足上げて小便してるからおかしいと。
あっいたいた。
これかい?よだれダラダラダラダラ垂らして着物着て杖ついた」。
「それうちのばあさんだよ!」。
「牛どこだ?」。
「牛お前の横にいるだろ!」。
「これかよ。
え〜いたよ。
これかい?こらまた随分大きな牛だな。
立派な牛だな」。
「そうか?」「伯父さんね俺早速ね牛もほめちゃう」。
「ああほめとくれほめとくれ」。
「牛は総体檜造りでございましょう」。
「何を言ってんの。
バカが牛まで檜造りにしやがったな」。
「伯父さん何か尻尾の付け根に穴開いてるね。
これ何の穴?」。
「お前しっかりしろよおい。
それ牛の尻の穴だよ」。
「尻の穴かよ。
これ何か?大工がヘマしたのか?」。
「もともとそこへ開いてんだよ」。
「へえ〜随分汚え穴だな。
目立つな伯父さん。
伯父さんこの穴気にしてる?」。
「バカな事言うなお前。
誰もそんなもの気にしちゃいねえ」。
「いやこの穴でしたらね別に心配する事ありません」。
「誰も心配なんざしちゃいねえ」。
「ここへね秋葉様のお札を…」。
「そんな事したら罰が当たるぞ」。
「ううん穴が隠れて屁の用心だ」。
(拍手)あの夜の出来事は忘れる事ができません。
2011年の7月18日私はもうテレビにかじりついておりました。
徹夜しておりました。
そうです。
サッカー女子ワールドカップドイツ大会は熱戦の末なんと延長のPK戦に。
澤穂希さんのあの同点ゴールそして熊谷選手のあのPKが決まった瞬間選手が1か所に集まって「やった〜!世界一だ!」と叫んで集まりました。
そうあの時のドラマを生んでくれたのが今日ご紹介致しますなでしこJAPAN前監督佐々木則夫さんでございます。
よろしくお願い致します。
佐々木さん。
どうも。
おはようございます。
おはようございます。
お久しぶりです。
さすがやっぱり大きいんですね。
いやそんな事ないですよ。
座られてるから僕が高く見えるかもしれませんけど。
そうですかね。
佐々木さんと何でこうやってご縁があるかという事を皆様方にちょっと知って頂くために説明致します。
ちょっとこう話長くなるんですけれどもね。
たまたま2008年の北京オリンピックの時にスポーツ紙の記者の方がね「何か気分転換になるものをお持ちなんですか?監督」って言った時に「きみまろさんのDVDとアナウンスした中でのねヘッドホンで聴いてリラックスしてます」って言ったらきみまろさんにつないで頂いて。
あっその時私知らないんですよね。
はい。
で何か取材行かれてで僕にメッセージをですね。
「今度ドイツとやる時はどいつもこいつもどついたれ」と言ってやれという事でですね。
私がね。
記者から聞きまして。
きみまろさんが言ってたよと。
そこでですねドイツと3位決定戦やった訳ですよ。
3位決定戦。
決定戦を。
で僕はミーティングで「どいつもどついたれ」って言ったんですよ。
選手にね。
いい試合やったんですけども後半ドイツにどつかれまして。
負けたんですか。
ええ銅メダル取れなかったという。
はぁ〜。
そんな中で帰ってきてですね河口湖でリラックスしてたらですねお店にちょっと寄ってみたらまさかいないだろうなと思った時にきみまろさんがいらっしゃってて。
そこからですね。
私とそこで知り合う前は既にもう河口湖にねいらしてたんですよね。
河口湖に行って僕最初知らなかったんですよ。
きみまろさんが七福神を設定されてたっていうの知らなくて。
河口湖畔に私はねもちろん7体ね寄付したんですよ。
で1体が布袋尊が私の敷地の中にあるものですからそこをいつも手を合わせてうまくいきますようにっていつもお願いに来られてたんでしょ?そうです。
世界大会行く時にはですね妻と愛犬と3人でですね…2人と1匹とですねいつも七福神を回って世界大会出るという願掛けに行ってた訳ですよね。
それは私は知らないんですよ。
それでたまたま会うんですよね。
その間でね。
そうですねはい。
知り合ってもう約10年ぐらいで。
そうですね。
綾小路のりまろと自分で自称しながらですね。
そうそうそうそう!その話がありましたよね。
「あの…悪いけどちょっと今度テレビに出るんだけど綾小路のりまろって名前を頂いていいですか?」って。
「ああいいですよ。
どうぞ使って下さい」って言って。
あっもうあれから10年ぐらいたちますか。
はぁ〜。
一番ヒットしたのはですね選手もいた時にまあ祝賀会やってる時ですよね。
「もうこの優勝できたのは本当にね何を隠そう皆さんのいる前で立っている私の力です」って言った時にし〜んとしましたね。
アハハハハ!せっかくきみまろさんのあのシーンは絶対いいだろうなと思ったんですけどね。
なるほどやっぱり駄目でしたか?中高年のスタッフは笑ってましたけどもね。
え〜ところで佐々木さんはなでしこと出会う前はね男性のチームにいらしたんですよね?ええええ。
もちろん選手でもありコーチでもあった訳でしょ。
女子のチームのコーチとして招かれた時にはどんな思いだったのか。
迷ったんじゃないですか?そうですねあの…まあでもうちの娘も女子サッカーやってたんですね。
でちょうど高校ぐらいだったんですけどもその時キャンプに行った時に意外にね僕の指導が高校生に人気だったというか受け入れがよかったらしいんですね。
まあそんな時ですねオファーがあった中で僕もサラリーマンやりながらサッカーの指導者やってましたので。
24年間ですかね。
まあ一歩プロとなれば勇気もいりますし家族の支援も必要だと。
そんな中で家族がですね言ったら意外にね「パパやれば?」っていうですね妻が。
お世話になってる淳子に言われましてね。
あのきれいな美人の淳子さんに。
そうそれで勧めて頂いて。
家族がやっぱりね背中を押してくれたっていうのは大きいですね。
そうなんですか。
それでまあ入ってみていかがだったんですか?やっぱり最初の頃っていうのは。
2007…2006年ですか。
2006年からですね。
2006年コーチでUー19下のカテゴリーの監督を務めながらやったんですけども。
まあ家族もねあまりこう何て言うんですかね「鎧着ずにパパらしくやりなよ」っていうのがいいアドバイスでまあそれをやり続けてきたという事と僕自身アマチュアの監督をやってた時にですね非常にこう何て言うんですかねあまりフィジカルの高い身体能力の高いチームじゃなかったので連係連動するというのを常にやってたのでそれがすごくなでしこにもマッチした感はありますね。
監督になられて3年後には世界の檜舞台で大活躍をするという事だったんですけど何がこのあれですかなでしこJAPANをそんなにね強くしていったんですかね。
私それがね是非今日はね一番聞きたいとこなんですよ。
いやもういいタイミングであの選手たちと出会ったという出会いというのが大きいと思いますね。
日本の女性っていうか日本のチームのサッカーの女子の要素をやはりいいところ悪いところを分析しながらですね攻守にアクションするというサッカーこれが本当にマッチしたという事。
はぁ〜。
じゃあ佐々木さんの言う事をみんなチームの人たちが一生懸命聞いてくれてその指導に従ったという事ですよね。
そうですね。
そういう意味では最初は本当にこういうようなサッカーがねやはり私たちに合うんだという事と可能性があるという事それをやっぱり最初に植え付けて自信を持たせたというのは大きかったと思いますね。
初めての大会が東アジア競技大会で見事それで優勝したんですよね。
それもいいきっかけになったと思いますし。
いよいよまあワールドカップ目指してね突き進むんですけども私が大興奮したのPK戦ですよね。
すごい試合だったと思うんですけどもあの時はアメリカとの戦いというのは最初はどうなんですか?やっぱりこれは勝ち目があるのかないのかとか監督としては決勝戦でどうなのかなっていうその辺の心の問題精神的な問題は監督としてはね何分ぐらいなのかね。
もうあの我々指導者が「いややばい」なんていうものを選手に気付かれたらまず駄目でしょうね。
あっなるほど。
選手だってその時は分が悪いかもしれないけどなんとかなるさっていう思いは全部みんな意識を高めてきてますから。
あの最後の決勝戦を私見てて何かこう全体が明るいんですよね。
ベンチからね選手からみんな笑顔が多いんですよね。
負けてる途中でもね行こうみたいなね。
まあ本当に選手はあの試合というかね初めてですからね。
ワールドカップで決勝の舞台に立つ自体が。
やはり感謝の気持ちだったり…。
超満員なんでしょ?超満員ですね。
ものすごい歓声なんでしょ?サッカーどころのねドイツでの大会ですから本質的なサポーターですよね。
それでもうすばらしい試合やってるっていうの自分たちでも感じてる訳ですよね。
そうすると監督も気持ちが乗ってくる。
選手も同じリズムになる呼吸が合うみたいな。
あのどうなんですか。
私ね素人でいつも疑問に思ってたんだけど「下がれ〜!」とかね「上がれ〜!」とかすごい大きな声で。
まあこっちには聞こえませんけど。
すごいどなってらっしゃるじゃないですか。
あれは選手に届いてるもんなんですか。
届いてないですね。
もうマスターベーションです。
俺も一生懸命戦ってるみたいな空気感だけですよ。
だって何万人と入ってるでしょ?はい。
でも何か言ってますよね。
「則夫何かやってんな」みたいなのしか見えないですよ多分。
2016/11/13(日) 05:15〜05:45
NHK総合1・神戸
綾小路きみまろの演芸図鑑「佐々木則夫、オール阪神・巨人、春風亭柳好」[字]

落語家・綾小路きみまろが、演芸界のえりすぐりの至芸をナビゲートする。演芸は、オール阪神・巨人の漫才、春風亭柳好の落語、対談のゲストは佐々木則夫

詳細情報
番組内容
落語家・綾小路きみまろが、演芸界のえりすぐりの至芸をナビゲートする。演芸は、オール阪神・巨人の漫才、春風亭柳好の落語、対談のゲストは佐々木則夫
出演者
【出演】佐々木則夫,オール阪神・巨人,春風亭柳好,【ナビゲーター】綾小路きみまろ