全文書き起こしサイト

地上波テレビの字幕を全文書き起こします

スポンサードリンク

字幕書き起こし クローズアップ現代+「ネコに家が壊される〜広がるペット多頭飼育崩壊〜」 2016.11.15

マンションの一室で飼い主の意図を超え50匹近くにまで増えてしまったネコ。
ふすまを突き破り家を破壊しています。
今、生活が破たんするまでペットが増える多頭飼育崩壊と呼ばれるトラブルが相次いでいます。
ごく普通の4人家族の家。
子どもがもらってきた2匹のネコが、3年間で80匹にまで増えました。
家はネコに占拠され、家族の生活空間が奪われてしまいました。
鳴き声や臭いに苦情が殺到し動物保護団体が介入するケースも増えています。
核家族化・単身世帯の増加。
家族の形が変化する中で広がる新たなペットトラブル。
多頭飼育崩壊の衝撃です。
今や、1兆4000億円を超えたペット産業市場。
空前のブームが続いています。
その陰で起きている多頭飼育崩壊。
ペットが飼い主の意図を超えて増え、問題化することです。

 

 

 

 

 


最も近い調査では多頭飼育の苦情件数は全国で年間およそ1800件。
ここ数年、トラブルの報告は増加の一途をたどり対応が追いつかないまでになっているんです。
多頭飼育崩壊に陥った首都圏のある4人家族。
衝撃の実態です。
ペットの多頭飼育崩壊はあなたのすぐ隣で起きています。
首都圏のある一軒家。
取材班を出迎えたのはネコ、ネコ、ネコ。
中村真紀さんです。
夫と10代の2人の子どもそして80匹のネコと暮らしています。
最初に通されたのは、以前子どもたちが使っていた部屋です。
ネコを飼う前中村さん一家は、どこにでもあるごく普通の家庭でした。
共働きの中村さん夫婦が子どもが生まれたことをきっかけに買ったのがこのマイホームでした。
以前は、家族4人の団らんの場として使っていた日当たりのいいリビング。
ここも、ネコに占拠されています。
今、家族はネコが入らない空間を作り生活をなんとか維持しています。
会社員の夫が1部屋中村さんと長女が1部屋長男はリビングでネコを避けて寝起きしています。
なぜ、多頭飼育崩壊は起きたのか。
きっかけは6年前長女がもらってきた雄と雌の2匹のネコでした。
2匹は一家にすぐに溶け込み家族の会話も増えたといいます。
3年後、2匹の子ネコが生まれました。
愛くるしい雌の子ネコでした。
不妊・去勢手術をするのはかわいそうだとそのまま飼っていると1年もたたないうちにこのうちの1匹が5匹の子ネコを産みました。
これでネコは9匹。
それでもネコを誰かに譲ることは考えられなかったといいます。
ところが、さらにその1年後3匹が出産し一度に15匹増えました。
中村さんは不妊・去勢手術を検討しました。
しかし当時収入が減っていたため出費をためらったといいます。
このときネコは合わせて24匹。
80万円近くになる手術の費用を工面することができませんでした。
その後もネコは増え続けとうとう80匹にまで増えてしまったのです。
餌代だけで月8万円。
経済的にも大きな負担です。
しかし、どうしても手放すことができません。
最近では主に臭いに関する苦情が近所から寄せられるようになりましたが誰にも相談することができずにいます。
こんにちは。
よろしくお願いいたします。
ペットの多頭飼育崩壊はどこまで広がっているのか。
ネコの不妊・去勢手術をサポートする活動を行う佐上邦久さんです。
この団体には、ここ数年多頭飼育崩壊によるトラブルの相談が相次いでいます。
この半年だけで24件。
東京・青梅市では60代の女性が30匹のネコを飼育。
心配した知人からの連絡で不妊・去勢手術を行いました。
大阪・枚方市では妻を亡くした男性が拾ってきた6匹のネコが2年で60匹近くまで増加。
餌代で生活が立ち行かなくなったと相談が寄せられました。
ネコ80匹。
多頭飼育崩壊に陥った中村さんの家です。
近所の人の訴えなどから地域のボランティアが介入し衛生状態を改善することになりました。
不衛生な状態でのペットの飼育は動物愛護法で、虐待と見なされるケースもあります。
食器棚の下から衰弱し、身動きが取れなくなったネコが見つかりました。
この子、ちょっと具合悪いのかな。
さらに動物保護団体がネコの不妊・去勢手術を行うことになりました。
本来ならば200万円近くかかる手術を獣医師たちはボランティアで行います。
80匹にまで増えたネコ。
新たに4匹のネコが妊娠していることが分かりました。
ペットの繁殖力についての知識不足が招いた多頭飼育崩壊。
堕胎せざるをえませんでした。
これ以上増えることはなくなりましたが80匹の面倒は、これからも見なければなりません。
地域のボランティアが今後も定期的に状況を確認していくことにしています。
浅田さんは動物愛護活動に取り組んでいらっしゃいますけれども今のこの80匹のネコとの暮らし衝撃的でしたけれどもどうご覧になりましたか?
やっぱり不妊・去勢手術をしていないことが一番の原因だと思うんですね。
やっぱり雄ネコと雌ネコを飼ったら繁殖するっていうのは当然のことですしましてや外ネコではなくて家ネコですよね。
室内飼いをしてらっしゃる。
そうするとやっぱり奇形が生まれたりとか疾患がある子が多く生まれてると思うんですね。
でも、これだけ80匹もいたらその子たちの体調見ることもできないし結局かわいいからとかかわいそうだからでああいう不幸なネコたちを増やしてしまうっていうことだと思うんですね。
ですから、不妊・去勢手術は大事だと思います。
多頭飼育崩壊の背景には何があるのかということで会田さんに、事前にこちらに挙げていただきました。
崩壊の背景ということで簡単に3つ挙げましたけれども実は、それぞれ非常に奥深い背景が伴っていまして順を追って申し上げますと家族の形の変化というのが1点目、挙げられるかなと思っているんですね。
これはどういうことでしょう?
例えば、以前に比べますと非常に核家族化が進んで例えば首都圏に人口が集中してみんなが核家族になってかつての大家族のときのような近隣とのコミュニティーがなくなってきたんですね。
ですから一人一人が核家族を構成するのは大変結構なんですけれども合わせて、近隣との融和なり協調なり、そういう部分が必要だなと思うんですけれども往々にして多頭飼育の方たちっていうのは孤立化してまして。
なかなかコミュニティーが取れない。
さみしいからといって飼ったりする人が多いんですよね。
全くおっしゃるとおりですね。
2つ目に、ペットへの過度の依存っていうのがありますけどもこれは、どの方も皆さんそうなんですけどもケーススタディとしては最初は、動物が好きでイヌやネコを飼ってるんです。
100歩譲れば、その時点までは動物愛護家といえたのかもしれないんですけれども結果としては、依存するだけで先ほどのVTRにもありましたが手放すことができなくなったと。
自分の飼育が正しくなくて増やしてしまったものまで手放せないというような過度の依存が見えますね。
やっぱり里子に出してあげるとかしないと本当に病気の子とかが分からないですよねあんなにいっぱいいたら。
先ほどの子たちはきれいでしたけどもましてや、感染する皮膚病とか一匹がやったら、ばっとみんなにうつってしまうしそういうあれもありますよね。
棚の下で見えてない子もいましたしね。
そして、経済的困窮。
経済的困窮っていうのはこれはいささか問題もあるかもしれないんですけど表現としましてね。
ただ現実に動物を飼うっていうのは仮にイヌであれば大まかにいって1匹飼うのに1年間26万費用かかるといわれてます。
あらゆるもの含めましてね。
ネコの場合でも13万といわれてます。
要するに動物を飼うっていうのは非常に経済的な必要条件も伴うということなんですよね。
お金もかかることだと。
それが多頭飼育になったらとても負担しきれない。
それが分かっててずるずるずるずる困窮度増してっちゃうっていうのは非常にお気の毒な状況ですけどこれはイヌにとっても大変気の毒、ネコにとっても気の毒だと思います。
2012年に動物愛護法が改正されましたけれどもそれも影響しているという指摘もあると思うんですが。
確かに改正ですから正しいほう、いいほうに変わるわけなんですけれども特に現行法、その今おっしゃった2013年ですか施行された法律をキーワードとしてここにちょっと書きましたけど終生飼養といわれてます。
漢字で書くと四文字熟語みたいですけれども実はこれは法律にれっきとして記名されておりまして具体的に申し上げますと法律の第7条で動物の所有者および占有者はいったん自分が飼いだした動物に対しては、できるかぎり一生涯、面倒見なさいと。
これが今の法律のキーワードになってます。
このことがあるもんで後ほどもお話出るかもしれませんけれどもいろいろ複雑な要素が絡んできてしまってますね。
いずれにしましてもこの終生飼養っていうのは理念としては、私は大好きですばらしいことなんです。
ただ、誤解を恐れずに言えばこれに縛られちゃうのじゃ人と動物の共生の意味がなくなっちゃいますね。
こうしてさまざまな要因があって起きている多頭飼育崩壊なんですけれども特に問題となっているのが飼い主が高齢者のケースです。
大阪にある動物保護団体です。
1000坪の敷地に300匹を超えるペットが保護されています。
25年前から動物の保護活動を行っているNPOの代表エリザベス・オリバーさんです。
ここ数年、多頭飼育崩壊を起こした高齢者から引き取る動物が増えています。
1人暮らしの60代の男性が26匹にまで増えてしまったイヌの世話をできなくなったのだといいます。
80代の夫婦が飼い始めた2匹のウサギ。
ウサギの繁殖力はネコよりも強いため1年で19匹に増えました。
夫婦が老人ホームに入ることになったため引き取られました。
高齢者による多頭飼育崩壊をどう防ぐのか。
ネコの保護活動に取り組んできたボランティアグループはリスクのあるお年寄りたちの見守り活動に今、力を入れています。
こんにちは。
この日訪ねたのは、11匹のネコと暮らす70代の女性。
1人暮らしのさみしさから野良ネコを見ると拾いたくなってしまうといいます。
ボランティアグループでは不妊・去勢手術をサポートするなど、ネコが増え過ぎないよう見守っています。
このグループに所属するボランティアは700人。
定期的に集まり、担当する地域の情報を共有しています。
地域の中で埋もれがちな高齢者による多頭飼育崩壊。
片づけはネコにはできにゃい。
少子高齢化・単身世帯の増加が進むこの社会の新たなリスクです。
高齢者がホームとかに入るのに行き場のなくなったイヌやネコが今、すごく多いんですね。
高齢者の方ももちろんペットを飼っちゃいけないなんて言わないけれどもやっぱり自分の年齢とイヌやネコの寿命を考えて例えば、保護犬とか保護猫の5、6歳とか7、8歳の子を例えば飼うということではなくて預かりさん、というボランティアがありますから預かってあげるとか協力していただけたらいいなとは思うんですけどね。
そして、こんなケースもあったんですね。
ことし7月に北海道のマンションで、60代の男性が孤独死したあと49匹のネコが放置されているのが見つかったんですね。
こうした多頭飼育崩壊を未然に防ぐには、どういうことが必要なんでしょうか、会田さん。
今、VTRを拝見してもね結果として対処療法はもう追いつかないですよね。
そういう意味では未然というのは予防措置かと思いますし非常に大事だと思います。
今ちょっとここに2点簡単に挙げましたけれども防ぐにはということでまず50%ずつフィフティー・フィフティーの考えで言いますと最初はやっぱり公的権力すなわち法律とか条例を強化する必要があります。
今現在、全国の自治体の中では10頭以上のイヌ、ネコを飼う場合には届け出が必要だよという多頭飼育条例を持っている所がいくつかあります。
だけども、まだこれは足並みがそろってません。
先ほどのVTRにあるように全国的に広がっていのであればいち早く全国の自治体にも対応してもらいたいなと。
合わせてそれは、届け出に限らず登録制にしたり、罰則規定をもう少し増やしたり必要かもしれません。
要するに、そういう公的措置があることによって抑止力が生かせるんじゃないかなと思います。
それが、なかなか動いてくれないんですよね。
苦情が来てもね。
だからもっと、どんどん動いてほしいなと思いますね。
あと2つ目は、動物観の向上。
ちょっと、しかめつらしい表現で恐縮ですけれどもいわゆる動物観というのは動物に対する考え方と平たくいうとご理解いただいていいんですけれどもじゃあ、どういう正しい飼い方をしたらいいのかについて先ほど来の飼い主さんを見ましてもいつの間にかだとか知らないうちにだとかそういう増え方が大変多いですね。
そういう意味ではあえてこの動物観の向上に3つの条件付記させていただきたいと思うんですけども、1つはイヌ、ネコを購入する段ペットショップにおいてはペットショップの責任者は18の項目を説明しなきゃいけないことになっているんです。
要するに、それで動物を正しく飼いなさいということにつながっているわけです。
今は売るだけですからね。
とにかく売りたいっていうことだけで。
一応それでも法律的にはね売るのは目的なんですけど18の説明をして了承を得てはんこをついて売るっていう必要があるんですけれどもそれをもっともっと徹底すると。
そして実際、イヌ、ネコを飼い始めたら、生き物ですから健康を阻害することもあります。
それで獣医さんに連れていったらまた獣医さんが、イヌ、ネコの健康について正しい飼養を教えるということですね。
とにかく飼い主さんのモラルがもっと向上しないと。
ありがとうございました。
今日は優しい顔して力持ち。
2016/11/15(火) 22:00〜22:25
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代+「ネコに家が壊される〜広がるペット多頭飼育崩壊〜」[字]

ペットをかわいがりすぎるがゆえに繁殖を放置し、飼い主が対処しきれなくなる「多頭飼育崩壊」が相次いでいる。“衝撃的な映像”から、ペットと人のつきあい方を考える。

詳細情報
番組内容
【ゲスト】女優…浅田美代子,ヤマザキ学園大学教授…会田保彦,【キャスター】小郷知子
出演者
【ゲスト】女優…浅田美代子,ヤマザキ学園大学教授…会田保彦,【キャスター】小郷知子