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字幕書き起こし クローズアップ現代+「“好調”コンビニに“異変”あり」 2016.11.17

1年間一日も休まず働き週に3日は徹夜勤務。
なのに年収は290万円。
これある人のケースですがどんな職業か分かりますか?いらっしゃいませ!答えはコンビニ店のオーナー。
ライバル店の増加やアルバイトの人件費高騰などで年々切り盛りが大変になっているといいます。
年間10兆円を売り上げ流通業界一人勝ちといわれるコンビニで何が起きているのか?小説「コンビニ人間」で芥川賞を受賞した村田沙耶香さんをゲストに迎えコンビニの深層に迫ります。
(拍手)ありがとうございました。

 

 

 


ありがとうございます。
今年芥川賞を受賞した村田さんの作品「コンビニ人間」朗読して頂きました。
1人の女性がコンビニで働く事に自分の存在価値を見つける物語は見事に現代を描ききったと高く評価されました。
今や10兆円産業へと成長し社会に欠かせない存在となっているコンビニ。
しかしその足元で異変が相次いでいます。
身近なコンビニで何が起きているんでしょうか?大手コンビニチェーンの店のオーナーになって13年という…加盟している大手チェーンの本部に最近異議を申し立てました。
契約内容の見直しなどを求め交渉を申し入れたのです。
本部が好調な陰で店の経営があまりに過酷だと感じたからだといいます。
酒井さんがコンビニ本部と結んでいるのはフランチャイズ契約。
経営のノウハウなどを提供してもらう代わりにロイヤリティーと呼ばれる料金を納めます。
契約上本部とオーナーは上下関係ではなく対等な事業者同士とされ共に相互発展を目指すとされていました。
契約時に本部から示されたガイドラインです。
年収の目安は2年目で700万円余り。
自分の裁量で年間52日の休日を取るという標準的なモデルが示されていました。
ところが実際は大きく違っていました。
当初の予測ほど客は集められておらず特に深夜など売り上げは想定より大きく落ち込んでいます。
なんとか利益を確保するためにできるだけ自分が店に出てアルバイト代を削っています。
夜9時から翌日昼まで徹夜の勤務が週に3日。
日中の勤務も合わせると週7日店に出ています。
この1年休みはゼロで本部が標準として示した休日年間52日とはかけ離れています。
これだけ働いてどれだけの年収を得ているのか。
まず1年間の売り上げから原価を引いた総利益4,000万円弱のうち契約に従い50%近くを本部にロイヤリティーとして支払います。
更にアルバイトの人件費や光熱費などを差し引くと酒井さんの年収にあたる営業利益は300万円足らず。
ガイドラインで示された700万円の半分以下です。
この大手チェーンで酒井さんと同じタイプの契約を結んでいる全国2,500店の経営状況が最近初めて明らかになりました。
4割近い店舗の営業利益が年間400万円を下回っていたのです。
酒井さんが本部に交渉を申し入れる事を決めたもう一つの理由があります。
現在の有期契約が満了した後本部に契約を更新してもらえず職を失うのではないかという不安です。
本部が用意した契約書では再契約するかどうかは本部の自由な判断によって決めると定められており実際3割の店が再契約されていない事が分かりました。
40代で大手メーカーを辞め退職金をつぎ込んで独立の夢を果たした酒井さん。
50代後半を迎えた今ほかに転職する事は難しく再契約の基準を明確にしてほしいと本部に要望しています。
オーナーの過酷さの一方で絶好調といわれてきたコンビニ業界。
しかしここ最近新たな局面を迎えたと見られています。
全国の店舗数はこの5年間で2割以上増え5万店を突破。
既に飽和状態ともいわれています。
既存店の来店客数は7か月連続で減少。
限られた客を奪い合う激しい競争の時代を迎えているのです。
激化する競争の一端を去年オーナーを辞めた男性が明かしてくれました。
開店当初業績は好調で手元に残る利益が1,000万円を超えた年もあったといいます。
ところが4年前から状況が一変。
ライバル他社のコンビニ3店が近所に次々オープンしました。
時を同じくして船引さんと同じ系列のコンビニが2店舗相次いで出店したのです。
船引さんの日々の売り上げはみるみる落ち込み4年でほぼ半減。
去年の秋やむなく経営から手を引きました。
こうした同じ地域に多くの店をオープンさせる本部の方針はドミナント集中出店戦略と呼ばれてきました。
他社との競争に打ち勝ってチェーンの認知度を上げたり商品配送の効率を上げたりする目的があり店舗数は増え続けています。
本部が用意した契約書です。
集中出店を進める際は既存店オーナーの「経営努力が著しく損なわれないよう配慮する」とあります。
しかし店舗同士の距離など既存店を守る具体的な制約がないため実効性は乏しかったと船引さんは言います。
「このままでは続けられない」。
沈黙を守ってきたコンビニオーナーたちが行動に出始めました。
契約更新の基準を知りたいと願っていた酒井さんもその一人です。
本部との団体交渉を求めて仲間と労働委員会に救済を申し立てました。
そしてついに労働委員会が動きました。
本部とオーナーは事業者同士とはいえ交渉力などに大きな格差があると判断。
オーナーは事実上労働者に当たると初めて認め大手2社に対し団体交渉に応じるよう命じたのです。
これを不服とした大手2社は中央労働委員会に申し立て再審査が行われています。
今回オーナーたちと争っているコンビニ大手2社に取材を申し込みましてファミリーマートからは次のような回答が寄せられました。
「加盟者は経営から生じるリスクを負担する独立した経営者であり労働者にはおよそ当たらないと考えている」という事です。
そして業界最大手のセブン−イレブン・ジャパンは中央労働委員会で審査中である事を理由に回答を差し控えるとしています。
オーナーの方々は本部との団体交渉が実現した場合どんな事を要望したいのかというと例えば具体的にこういった事があります。
「契約更新の基準を明確にしてほしい」ですとか「近隣への出店を規制」。
「ロイヤリティーなどの見直し」といった契約内容の見直しなんですね。
木村さんオーナーの方々が今労働委員会に救済を求めている背景どういった事情があるんでしょうか?それはフランチャイズ契約では本部とオーナーは対等な事業者同士だとされています。
ですが実際にはどうか。
本部の方は情報力資金力交渉力において全ての面で加盟店オーナーより優越していると。
これはまるで経営者と労働者で言うところの労働者に近い存在だといった事が労働委員会で認められつつあると思います。
労働者に近い。
そこで労働者という事で加盟店オーナーが団結して自分らの要求を本部に言っていい。
交渉していいといった事が認められたと考えております。
これ個人事業主でありながら労働者の側面もあるというのはどういう事なんでしょうか?それはプロ野球で言うところのプロ野球選手会と球団本部との関係だと思います。
プロ野球選手は個人事業主ですが選手が団結して球団本部と交渉する事が認められております。
選手会ってありますよね。
はいそうです。
それに近いという事だと思います。
コンビニといいますとここ数年ますます便利になってきていましていれたてのコーヒーですとか荷物の受取り代行などにとどまらず防犯や買い物弱者対策災害時の対応などまさに社会インフラとも言うべき重要な役割を果たしていますよね。
村田さんはこれまで数々のコンビニでアルバイトの経験がおありという事で受賞後の今もコンビニのアルバイトは継続されているんですよね?そうですねはい。
続けています。
村田さんにとってはコンビニってどんな場所ですか?客としても店員としても私にとっては欠かせない場所です。
お客様について言えば例えばお年寄りのお客様で遠くのスーパーに行くのがつらいというお客様がお野菜が売っていて近くにお店があって便利だとお声をかけて下さったりする事もあります。
24時間開いているので夜中にお店を見るとほっとするとお声をかけて頂く事もあります。
そうですよね。
そうしたコンビニで働いてきてオーナーたちも間近でご覧になった事あると思うんですがいかがでしたか?そうですねオーナーさんによっていろいろ違いがありましてコンビニを右も左も分からない状態で始めてるオーナーさんは私の目から見ても大変そうに見えました。
または今までいろんなコンビニで働いた経験があって3店舗くらいお店を持ってオーナーをやってらっしゃる方はむしろ人を育てて店長にしてというふうにとてもスムーズにオーナー業務をこなしてらっしゃるように見えました。
今オーナーたちが団体交渉を求めている訳なんですけれども今後オーナー側の要望が認められるとするとどういった影響が考えられますか?本部とオーナーとの力関係に劇的な変化をもたらすと思います。
劇的な変化。
団体交渉が実現する事によってこういったような要求が認められるという事になります。
確かに24時間営業の店が無くなるといったような消費者にとってのデメリットはあると思われますが現在は加盟店の犠牲の上でお店が成り立っているといったような面も私自身はあると考えております。
そういった事がなくなっていくと思います。
フランチャイズ産業現在こういったコンビニだけではなくて塾やホテルや介護福祉といったようなさまざまな分野に及んでおりますので今後日本経済に大きな影響を与える可能性は非常に高いと思われます。
今フランチャイズ産業とお話ありましたけれども今本当さまざまな業種ですとかサービスに拡大しているフランチャイズビジネスなんですが中には思わぬ事態に巻き込まれるケースも出てきています。
脱サラや早期退職後の独立を支援するイベントです。
コンビニを筆頭に外食学習塾介護などさまざまな分野に広がっているフランチャイズビジネス。
40〜50代を中心に人気が高まっているといいます。
雇用の流動化が進む中フランチャイズビジネスはその受け皿としても期待され市場規模は24兆円まで拡大しています。
一方で思わぬトラブルも起きています。
40代半ばでメーカーを退職しあるパソコン教室のフランチャイズ店オーナーとなった男性です。
「年収1,000万円取得可能」。
「経営難で閉鎖した店はゼロ」などと本部から説明を受け加盟金など270万円を支払いました。
ところが教室がオープンすると年収1,000万円どころか肝心の生徒が集まらずいきなり赤字に転落。
経営難による閉店がないという情報はうそで実際には閉鎖が相次いでいました。
ノウハウが詰まっているはずのオリジナルテキストの一部もほかの企業の盗用である事が発覚。
結局1年で教室は閉鎖し600万円以上の負債が残りました。
フランチャイズ関連の訴訟を数多く担当してきた弁護士は立場の弱いオーナーを守るために規制が必要だと訴えています。
村田さんご覧になっていかがですか?そうですね。
独立したいというふうに夢を見てフランチャイズ契約をした人がこういう詐欺のようなトラブルに遭ってしまう事はとてもショックな事だと思いました。
木村さんこうしたトラブルというのは多いんでしょうか?どれだけ悪質かはケースごとに違いますがこういったトラブルは相次いで起きております。
実際裁判に発展した事件もございましてその際本部の責任が認められたといったような事案もございます。
ただ加盟店オーナーは独立した経営者でありますので発生した損害額の全額が認められるという事はまずありません。
どうしたらこうしたトラブルは防げるんでしょうか?フランチャイズの法整備が必要だと考えます。
アメリカの一部の州ではこういったフランチャイズ法がございます。
ポイントとなるのは契約前と契約したあとになりますが契約前に情報を十分開示すると。
中には本部が隠したくなるような訴訟件数とか閉店数などが開示されます。
そのあと契約したあとも契約の更新の不当な拒絶を認めない。
正当な理由がなければ契約更新を拒絶できないよと。
あと契約解除できないといったような法規制がなされています。
今こうした日本は変わろうとしている時期になっているんでしょうか。
そうだと考えます。
フランチャイズ産業なんですが今後これからも発展させないといけないと。
社会的インフラとまでコンビニなんかはいわれています。
そのためにこういった法規制によって加盟店オーナーが利益を得られて本部加盟店そしてそこを利用する消費者が幸せになるようなシステムを作り出す事が必要だと考えます。
村田さんここまで聞いてみてこうした法律もなかったという事なんですがいかがですか?海外でこういう法律がある事は存じ上げなかったのでオーナーさんの立場を守るという意味で必要な事かもしれないなと思います。
一方でこういうふうに団結する事によってコンビニが例えば24時間ではないっていう運営をするオーナーさんがいらっしゃったりどんどんバラバラになってコンビニのコンビニらしさが失われたりする可能性があるのではないのかなというちょっと不安な気持ちもあるので。
でも先ほどのオーナーさんがコンビニエンスストアはチェ−ンは好きだとおっしゃって下さったのを聞いてだから何かいい道が見つかるといいなと思っています。
皆さんコンビニの事は好きで本当私たちにとって大事な場所なんですよね。
なのでこれから本当にいい方向にみんなで進んでいけたらいいですよね。
ここまで村田さんと木村さんにお話を伺いました。
どうもありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。
(拍手)人生という名のコント番組「LIFE!」です!2016/11/17(木) 22:00〜22:25
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代+「“好調”コンビニに“異変”あり」[字]

コンビニ業界に異変あり!一部店主が「休みなく働いても年間利益が300万円未満」などと声をあげ、本社に団体交渉を要求。身近なコンビニで何が起きているのか追跡する。

詳細情報
番組内容
【ゲスト】芥川賞作家…村田沙耶香,愛知大学法学部准教授…木村義和,【キャスター】小郷知子
出演者
【ゲスト】芥川賞作家…村田沙耶香,愛知大学法学部准教授…木村義和,【キャスター】小郷知子