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字幕書き起こし バカリズム脚本『黒い十人の女』「黒い十人のティーパーティ」 2016.11.17

(風睦の声)風睦。
レストランを経営しております。
夫はテレビ局のドラマプロデューサーで結婚して20年になります。
これがまた困った男でして私の他に愛人が9人もいるんです。
信じられないでしょ?大した男じゃないんですけどね。
別に許しているわけじゃないですけど言ったところで聞きませんから…半分諦めています。
だから私は私でこうやって好きなようにやらせてもらっています。
(睦)それにしても皆さん本当に好きですね〜こういう話。
自分がされるのは嫌だけど他人の不倫は…大好物ですもんね〜。

(久未)3人でお茶することほんと少なくなったよね。
(彩乃)穂花に彼氏できちゃったからね。
(穂花)一緒にいると安心すんの。
付き合うなら絶対マメな人がいいよねにしてもわかりやす過ぎじゃない?確かにあの子だけLINEの既読つくの翌日だったりするもんね。
まあ幸せなのはいいことだけどさ…。

 

 

 

 


あそうだ。
佳代さんから手紙来た?今日ポスト見たら入ってた。
これでしょ?それ!
(手紙:佳代の声)「街路樹の落葉が歩道や車道に舞い散る季節になりましたがお変わりなくお過ごしでしょうか。
さて来る11月24日に我々「風の会」の親睦を深めるべくささやかな夜のティーパーティーを開催したいと思います。
是非とも万障お繰り合わせの上ご参加下さいますようお願い申し上げます」。
うちら「風の会」なんだ。
何か公民館で俳句とかやりそうだよね。
どうする?行く?ん〜…ていうかみんな集まるのかな。
《そして今日見事に全員が揃った。
きっと怖いもの見たさもあると思う。
私たちと同じように》
(咳払い)え〜皆さん本日はお集まり頂きありがとうございます。
え〜もうお分かりだとは思いますがここにいる10人は風松吉の奥様と9人の愛人です。
(志乃)あの…風さんの奥さんもいるってことですか?そっか知らない人もいるんだもんね。
じゃあ改めてご紹介しましょう。
風松吉の奥様の睦さんで〜す。
こんばんは。
(一同)こんばんは…。
みんなそんなビビらなくても大丈夫。
睦さんは9人愛人がいることなんてとっくに知ってるから。
そうなんですか?当たり前じゃん。
そうじゃなきゃこんな場所に呼ばないよ。
(美羽)あんた呼んじゃう人じゃん。
確かに。
まあそういうミスもあったかもしれないけど今日は大丈夫なの。
ねえ睦さん?皆さんいつも風がお世話になっています。
今日はお店を貸切りにいたしましたのでどうかごゆっくりなさっていってくださいね。
(一同)はい…。
あ皆さん飲み物は本日フリードリンクになっています。
ご自由にあちらから取ってきて飲んでくださいね。
(一同)いただきます…。
あそうだこれ!よかったら皆さんで。
あ土佐日誌だ。
(夏希)土佐日誌?高知のお菓子。
地元帰ったんですか?そう3日前にちょっとだけね。
へぇ〜。
1人2個ずつぐらいあると思うからぜひ。
(一同)いただきます。
それじゃあ自己紹介しましょうかまずは私から。
如野佳代38歳こう見えて女優をやっています。
劇団「絞り汁」に所属していまして舞台を中心に活動しています。
それ以外にも…一旦待ちますね。
やっぱりオレンジジュースに。
あは〜い。
土佐日誌もよかったら食べてね。
(一同)いただきます。
はいそれじゃ改めて如野佳代38歳女優をやっています。
愛人歴は8年です。
特技は空手とダンス。
ちなみに1月6日からあすなろ劇場で劇団「絞り汁」第88回公演あらっこれミスプリント…。
「遥かなるサンフランシスコ」をやります。
今回はアメリカのサンフランシスコを舞台としたお話で私も脚本に参加しています。
ちなみに今回キャストが豪華です。
まあ1人だけ言っちゃうと劇団「小銭入れ」の銭屋ゲバ太郎さんが客演で入ります。
ゲバさんとは確か6年…。
あのすいません。
ん?あのその「遥かなるサンフランシスコ」なんですけど。
うん。
サンフランシスコが舞台なんですよね?あそうそうそうなの。
でもねセリフは全部日本語だよ。
あのそういうことじゃなくて。
サンフランシスコが舞台なんだったらもうそこに居るわけだしだったら「遥か」ではないような気がするんですけど。
(真衣)それ私も思った。
すでにいるなら「遥かな」ではないですよね。
そうですよ…。
何言ってんだろうと思って。
まあそう…そうか。
だけどこれは何だろね?場所としてのサンフランシスコっていうよりももっとこう概念としてのサンフランシスコ…。
(夢)概念としてのサンフランシスコって何ですか?だから…サンフランシスコにいるんだけれどもまだ自分たちはサンフランシスコには到底たどり着いてない…。
たどり着いてるでしょ。
だからそういう物理的なサンフランシスコではなくてもっとこう精神的なサンフランシスコ…。
精神的なサンフランシスコって何ですか?だから内面から湧き出るようなサンフランシスコ感?を求めて旅をする…。
弥上美羽。
34歳。
テレビ局でドラマのAPをしています。
愛人歴は5年です。
じゃあ次真衣さん。
はい。
卯野真衣。
36歳。
マッサージ店で働いています。
愛人歴は4年。
一応バツイチです。
そうなんですか?不倫してるのこの人にバラされちゃって。
それはもう謝ったでしょ。
謝って済むことじゃないけど。
はぁ?はぁ?あ真空飛び膝蹴りの?はい。
私も仲良くしてた男の人にバラされたんですよ。
そうなの?そう。
その人に。
もうよくない?よくね〜よババア。
あ?誰に言ってんだガキ!あ?はいはいストップ…。
あ?終わり終わり。
座って!ほら。
今日喧嘩しに来たわけじゃないでしょ?あそうだ。
ロールケーキがあるんだけど皆さん召し上がる?ふわふわですね。
・ハハハ…・
(夢)おいしい。
(夏希)ん〜…。
土佐日誌も食べてね。
(一同)いただきま〜す…。
(夏希)ヤバイわこれ…。
・ほんと・
(風松吉)え〜?いつ。
(火山)先月。
なんでまた?
(火山)風Pとはどういう関係?まさか俺の仕事仲間とそんなことになってるとは思わなかったよまあきっかけは嫁の浮気なんですけど。
ああ。
正直いつ離婚してもおかしくはなかったんですよね。
へぇ〜。
まあ僕も…不倫してましたし。
そうだよ。
そのお姉ちゃんとはどうなった?いやそれが別れちゃったんですよ。
そうなの?ということは今はフリーだ。
一気に楽になりましたよ。
ハハ…。
何かこれパサパサじゃない?安いやつですからね。
失敗したな。
おいしかったぁ…。
(志乃)私今まで食べたロールケーキで一番!
(彩乃)私も〜!
(睦)よかった〜。
あそこのロールケーキおいしいよね〜。
(一同)ごちそうさまでした。
いいえ。
あまだ自己紹介途中だったね。
え〜と次が皐山夏希さん。
はい。
え〜愛人歴は3年半です。
はい。
そして水川夢さん。
(夢)あはい。
愛人歴は…。
3年です。
そして文坂彩乃さん。
はい愛人歴は1年半です。
相葉志乃ちゃん。
愛人歴1年です。
長谷川沙英さん。
(沙英)9ヶ月です。
そして最後に…。
神田久未です。
7ヶ月です。
はい。
というわけでそんな10人が今日初めてここに全員集合しました。
ここに至るまでには色んな揉め事もあったし今でも何かしら腹に抱えている人もいるかもしれない。
だけど1人の男に人生を狂わされたという点でこの10人は運命共同体であるし仲間だと思うの。
仲間ですか。
そう仲間だよ。
少なくとも私はそう思ってる。
だから私は皆さんにこれまでお互いを認識し認め合いそして仲良くすることを訴えてきたの。
それがうまくいったかどうかはわからない。
だけどとにかく今日こうしてここに全員が集まってくれた。
それだけでもすごいことだし私のやってきたことは無意味ではなかったんだと…。
佳代さん前置きはいいんで早く用件言ってもらえます?わかってるからちょっと焦らないで。
とにかく今日こうして皆さんが忙しい中集まってくれたことに私は心から感謝をしてそして改めてお礼を言いたい。
本当にありがとう。
え〜…それでは本題に入りたいと思います。
えまず皆さんにお聞きしたいのですが皆さんは風松吉という男をどう思いますか?どうって?私はね風松吉は最低で最悪な男だって思ってるの。
皆さんはどう?そりゃまあ確かに…。
そりゃあ…ね?最低だと思う人拍手。
(拍手)ありがとう。
風松吉は人間のクズだ!そう思う人拍手。
(拍手)ありがとう。
風松吉は腐れ外道だ!
(拍手)そうだ!そうだ!風松吉はうんこ野郎だ!そうだ!うんこだ!うんこ!
(拍手)風松吉は便所虫だ!異議なし!
(拍手)その通り!
(拍手)あごめんなさい。
すいませんすいません…。
あの〜…うんこ野郎ってうんこにたとえた悪口ですよね?え?まあうん。
便所虫って便器に群がる虫ですよね?何かそれぞれ便所まわりなんですけどうんこそのものにたとえてたりそれに群がる虫にたとえてたりで何かちょっと目線がバラバラ…。
細かい細かい細かい。
すいません何かちょっと気になったもんで。
とにかくあの男が最低で最悪の男だというのはここにいるみんなの総意だということ。
それは合ってるでしょ?
(一同)はい…。
にもかかわらず悔しいけど私を含めここにいる10人はあの男を忘れることができない。
それは認めざるを得ない。
そうでしょ?
(一同)はい…。
だけどやっぱりこのままじゃいけないと思うの!ねえ久未ちゃん。
それはもうずっと思ってます。
そうでしょ。
志乃ちゃんは?やめられるならやめたいです。
沙英さんは?何かもう全部リセットしたいです。
他のみんなもそうでしょ?
(一同)はい。
このままだと私たちは絶対に幸せにはなれない。
1人の男に振り回されたままただただ歳だけを重ね気づいたときにはもう後戻りができない悲惨な状態。
そんなの絶対に嫌でしょ?《確かに》
(女性たち)《ああはなりたくない》それにこのままだとまた私たちはいつお互いに妬み合い憎しみ合いそして陥れ合うことになるかもわからない。
ね?美羽ちゃん。
そうですね。
私たちは1日でも早くこの地獄から抜け出さなくてはならない。
そのための解決策を私は皆さんに提案したい。
提案?そう。
私たちがこの地獄を抜け出すための唯一の方法。
なんですか?それは…。
風松吉の殺害。
(美羽)佳代さんそれ本気で言ってんの?うん本気だよ。
今日その話をするために集めたの?そう。
あの…。
何?もしかしてですけど今まで佳代さんがやたら愛人同士で仲良くさせようとしてたのって…。
みんなで風を殺そうと思って。
や〜もうここ数年ず〜っと殺したいとは思ってたんだけどやっぱり女1人じゃ難しいじゃない?だけどここにいる10人が力を合わせれば絶対にうまくいくって思って。
じゃなきゃ私だってわざわざ愛人同士で繋がろうなんて思わないよ。
いちいちお誕生日調べたりしてさぁ。
じゃあ私の誕生日を祝ってくれたのって…。
そう!このため。
私のも。
もちろん。
(真衣)私のも…。
一緒に風を殺す仲間だから。
私てっきりただ仲良しグループ作ってみんなで定期的に温泉行ったりとかそういう平和的なこと考えてるのかと。
私もそんくらいのもんだと思ってた。
そんなわけないじゃん。
愛人同士なのに。
私どんだけバカなの。
いや…だからちょっとバカなんだろうなぁって。
私もいい人だけどバカだなぁって。
確かにバカだけど頼りになるなぁって。
こいつバカだなぁって。
いい加減にしてよ。
お前だけちょっと違うからな。
その…殺すっていうのは社会的に抹殺するとかっていうたとえ話ではなく…。
本当に殺…。
本当に殺すってこと。
「命を奪う」ってこと。
どう?皆さん。
一緒に風を殺さない?ね?夢ちゃん。
いや…「殺さない?」って言われても。
彩乃ちゃんは?え…。
いや…私は。
殺したくない?美羽ちゃんは賛成だよね?私?そうだって美羽ちゃんよく私と一緒に「あいつ死んでくんねえかな」とか「誰か殺してくんないかなぁ」とか言ってたじゃん。
もういっそのこと死んでくれれば諦めもつくんだけどねほんとそれいや言ったけど別に本気とは思ってないから。
そうなの?私はずっと本気だよ。
あの…。
何?志乃ちゃん。
そもそもこれって奥さん的にはどうなんですか?え?どうって?
(志乃)目の前でこうやって旦那さんを殺すっていう話をされるのってどうなのかなぁって。
私は…。
賛成。
え!?…と言っても方法次第だけどね。
(志乃)うそ…。
狂ってる…。
狂ってる?誰が?佳代さんも奥さんも。
あ私も?ふっ…。
ふふ。
そりゃ狂ってるでしょうね〜。
だけどそれはみんなも同じじゃない?
(沙英)私たちもですか?ええみ〜んな。
だってよく考えてみてよ。
私たち…10股されてるんだよ?それでも別れずに平気な顔でこうやって集まれるんだよ?もうとっくに狂ってるでしょ。
そう!全員狂ってるよ。
狂わせたのはあの男だけどね。
そう。
ぜ〜んぶあの男が悪い。
だからみんなで殺さない?あんな男。
どうしたの?みんな〜。
そんなびっくりするようなこと言ってる?よしわかった。
じゃあ質問を変えます!殺す殺さないは一旦置いといて例えばあいつがこの世からいなくなるとしたらどう?いなくなるというのは…?ある日突然あいつが死んじゃうの。
病気か事故かはわからないけどとにかくこの世からいなくなるの。
そうだとしたら…どう?私は…。
おっ私は?もういなくなってほしい。
そっか志乃ちゃんも色々あったもんね。
私も死んでほしい。
私も死ねばいいと思う。
だよね。
じゃあそれも嫌だって人いる?殺す殺さないじゃなくて風さんがこの世からいなくなること自体反対だ〜って人。
じゃあ自分の手で殺すってことに抵抗があるってことだね。
何でだろ。
みんなこの世からいなくなって欲しいって思ってるのに何で殺したくはないんだろ?犯罪だからでしょ。
そう。
人を殺した者は死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
…と刑法199条にもあるように人を殺すと重い罰が課せられるよね。
だからみんな殺したくない。
そりゃそうでしょ。
要するに罰への恐怖だよね。
じゃあさ仮に完全犯罪ができるとしたらどう?できるんですか?いや仮によ。
仮に殺しても絶対にバレない方法があるとして。
どう?もしそんな方法があるのなら賛成って人。
おそれなら賛成?じゃあ睦さんと美羽さん真衣さん夏希さんはちょっとこっち側に移動してもらえる?
(夏希)え?反対と賛成がわかりやすいように。
はい!移動しま〜す!あの…別にうちら賛成してないですよ?え違うの?絶対に捕まらない方法があるならの話ですよ。
あるよ。
え?じゃあまずそれから話すね。
じゃあまずそれから話すね。
薬?そう。
これ鎮痛剤の一種なの。
だけど用量を間違えると意外と危険な薬で短時間に一定の量を摂取しちゃうと死に至るのよ。
しかもその量がちょうど10錠だったの!
(夏希)10錠…。
この薬を12時間以内に私たち10人が1錠ずつ飲ませる事ができれば死に至らしめることができるの。
12時間以内…。
しかももし司法解剖されたとしてもドラマに出てくるような天才探偵でもない限り誰も他殺だとは疑わないと思う。
そんな薬どうやって手に入れたんですか?実家から持ってきたの。
実家?そう。
あっ言ってなかったっけ?うち実家病院なの。
あだから…土佐日誌を。
そう。
3日前に高知の実家に帰って薬をこっそりくすねてきたの。
なるほど。
(美羽)佳代さん実家病院なんだ。
あっだから佳代さんバイトしてないのにあのクソみたいな劇団だけであんないいマンションに住んでんだ。
あれは父親に買ってもらったマンションで私未だに仕送りもらってるの。
え!?そうなんですか。
佳代さんって今何歳でしたっけ。
38歳。
え…何?引いてんの?
(ざわめき)
(ざわめき)一旦一旦置いとく…。
(ざわめき)一旦いったん〜!!置いとこうよ!とにかく!12時間以内に全員がこの薬を飲ませることができれば風は死ぬ。
12時間…意外と短いね。
ただこの方法の利点としては仮に誰かが12時間以内に飲ませ損ねて殺せなかった場合ただ死なないだけだから本人にも気づかれない。
なるほど。
しかもそれぞれが飲ませるのはたった1錠の薬。
これだけでは特に体に害のない薬なわけ。
10人全員にそれぞれ1錠ずつ飲まされて初めてあいつは死に至るの。
8錠でも9錠でもなく…10錠。
久未ちゃんこれがどういうことかわかる?え?これを10錠にしたのは風自身なの。
どういうことですか?だってそうでしょ。
9股なら9錠なんだもん。
しかもあいつが死ぬのはあくまで結果論であって私たち1人1人は人殺しをするわけじゃない。
死なない薬を1錠飲ませただけ。
確かにそうだね。
だけど法的にはそんな屁理屈通用しませんよね?もちろんそう。
だからバレないようにやるわけ。
法律なんてバレて初めて機能するものでしょ?だからバレなきゃ私たちは別に人殺しにはならない。
確かに…。
どう?納得した?はい…!うん。
これならやれます。
私も。
睦さんは?ええ。
よしじゃあ4人は賛成ってことね。
問題は残りの人たちだね。
佳代さんそっちの方たちを誘うのは無理なんじゃない?どうして?彼女たちは私たちみたいに捕まりたくないから反対なんじゃなくて「殺す」という行為そのものに反対なんだから。
ねえ久未さん?はい…。
私はやっぱり捕まる捕まらない以前に自分が人を殺すこと自体怖いです。
なるほど。
「罰」に対しての恐怖ではなくて「罪」そのものに対する恐怖だ。
私もさすがに殺すのはちょっと…。
そっか他の人たちも?
(夢・彩乃・志乃)はい。
自分の手は汚したくないってことだ。
手を汚すっていうか人殺しをしたくないんです。
え…え…でも死んで欲しいんでしょ?沙英さんさっきそう言ってましたよね?言いましたけど…。
ああでも自分で殺すのはいやなんだ。
それはそれでずるいんじゃない?は?何が。
いやいやだってそうでしょ。
仮にうちらが殺そうとしても止めるわけじゃないんでしょ?死んで欲しいと思ってるんだし。
いや自分がやらなくても殺すことには反対ですよ。
いなくなって欲しいんでしょ?そう言ってたじゃん。
いや…それは。
じゃあ同じじゃん。
ずりっ。
(美羽)結果殺人が嫌なんじゃなくて殺人が嫌な自分でありたいんでしょ。
自分が可愛いんですよ。
(志乃)はあ!?なんでそんな言い方されなきゃいけないの?ていうか人殺しよりかはマシだと思いますけど。
まだ殺してないでしょ。
殺そうとしてんじゃん。
ああ!?そっちは見殺しにしようとしてっからな。
してね〜よバーカ。
はあ?4流ヘアメイクが。
てめえコットン掴めねえ体にしてやろうかぁ!?上等だよ!ションベン作家。
てめえドラマより先に最終回迎えて〜かぁ!?殺す度胸もねぇくせにいきがってんじゃねぇぞ!この虫けらが!うるせぇんだよ!
(言い争う声)ストーップ!自分の価値観と違うからって攻撃するのはよくないよ〜。
お互いの価値観は尊重した上で議論しましょ。
そうしないと話が進まないでしょ。
ね?
(女性たち)すいません…。
あそうだ。
頂き物のプリンがあるんだけど召し上がる?土佐日誌も食べてね〜。
(9人)いただきま〜す。
・おいしい〜・・おいしいよ〜プリンちゃ〜ん・え?9人も居るんですか?うん。
よくバレませんね。
バレてるよ。
隠してないもん。
別に。
え?そうなんですか?いや…本当のこと言うとさ俺も良くないのはわかってんだよ。
でもね可愛い子を見るとさつい誘いたくなっちゃうんだよね。
へ〜。
何かおいしいものを食べさせてあげたいなあとかさ喜ぶ顔が見たいなあって思っちゃうんだよね。
いやある意味優しいんでしょうね。
そうかなぁ。
まあでも誰にでも優しいって事は誰にも優しくないってことですからね。
え?あれ?俺今ちょっと名言っぽい事言っちゃいました?
(火山)ていうかこのプリンボソボソっすよね。
安いやつだからね〜。
風がこれまでやってきたことは10人の女の人生を狂わせる行為。
しかもあいつは1人で10人分の人生を狂わせてきた。
それは間違いない。
これって殺されるようなものじゃない?命は奪われてないけど人生は奪われてるんだから。
ねえ久未ちゃん。
まあある意味そうですね。
言ってみれば向こうは10人分の殺人を犯しているの。
それに対して私たちは0.1の殺人。
しかも私たちは別に恨みを晴らすために殺すわけじゃないからね。
殺さないと私たちの人生が今後も狂わされ続けるから。
そうですね。
私たちは殺人が目的なんじゃなくてあくまで自分たちの人生を守るための手段にすぎないって事。
それって…ある意味正当防衛だと思うの。
正当防衛…。
確かにそうですね。
もちろん正当防衛っていったって人ひとり死ぬわけだからそこに対する恐怖は当然あると思う。
私だってあるし。
そうなんですか?もちろん。
だけどさっきも言ったとおり私たちが奪う命は10分の1なの。
だから感じる恐怖心も10分の1でいいんじゃないかな。
なるほど。
反対意見がある人。
では私の計画に賛成の人はこの薬を一錠ずつ取ってください。
では私の計画に賛成の人はこの薬を一錠ずつ取ってください。
久未…?あの…。
何?ごめんなさい。
やっぱりやめませんか?どうしたの?いやあの人はクズだし最低だしこのままだと絶対幸せになれないのはわかってるし何度も死ねばいいのにとか誰か殺してくれないかなあって思ったりもしたけど…。
だけどやっぱり私…あの人のことが好きだし優しいところもあるしまた会いたいって思うし…。
それに相手がどれだけクズでもどんな理由があってもどんな方法でもやっぱり人を殺すのはよくないと思う…。
ごめんなさい。
よしやめよう。
いいの?佳代さん。
やりましょうよ。
別に久未ちゃんがやらなくても誰かが二錠飲ませればいいだけだし。
うん。
私はもう覚悟決めましたよ。
いや…やめよう。
(ため息)私はねこの計画を考えた時全員が乗ってくれる自信があったの。
もちろんどんな理由があっても正当化できない行為だってことは私もわかってる。
だけどそれでもあの男を殺さなきゃいけないくらいの状況に私たち10人は追い込まれてるって思ったの。
じゃあ…。
その代わり1人でも参加できない人がいたらやめようって思ってた。
そもそもそれが正常な感覚なわけだしその正常な感覚を全員が失ってるからこそ実行できる計画だって思ったから。
ごめんなさい。
ううん。
久未ちゃんは悪くないよ。
きっとこの状況で1人だけ反対するのつらかったと思う。
でも勇気を出して言ってくれてありがとう。
みんなも久未ちゃんのことは責めないで。
間違っているのは私たちなんだから。
別に責めはしないですけど。
まあ…こればっかりはしょうがないですよ。
むしろ私たちが人殺しになるのを止めてくれたことに感謝しよう。
うん…正直私もホッとしたところあるし。
じゃあまた全員が殺したくなった時にやりましょ?そうですね。
チーム「淡男」だしね。
あのそれやめません?え?なんで?ダサいから。
え?ダサくないでしょ!ダサいです。
超ダサい。
くそダサい。
鬼ダサい。
ゲロきも〜。
ちょっと!ひどくない?お前だけ何か違うからな。
ゲロ…ゲロ…。
・それよりちゃんと働く…・
(夏希)体がバキバキ…。
はっ!!
(睦)あなた?あれ?うわ…どうしたの?皆さん何かお揃いで。
夜の…ティーパーティー!ティーパーティーか。
ウフフフ…。
あれ?これ土佐日誌じゃない?ちょっと1つ食べちゃお。
(睦)あなたこそどうしたの?ん?打ち合わせが終わってさちょっと寄ってみただけ。
そう。
あ〜ごめんねお邪魔しちゃって。
どうぞ…ごゆっくりしてって。
それじゃあね。
そうだ。
今みんながいるんだったら…ここで言っちゃおうかな。
何?いや実はね…。
これからそれぞれに連絡しようと思ってたんだよ。
でも…せっかく揃ってるからここで言わせてもらうね。
むっちゃんちょっと座っててくれる?はい。
え〜…。
皆さん。
今まで…いろいろとご迷惑をおかけしました。
終わりにしましょう。
終わりって?不倫をだよ。
佳代ちゃん美羽ちゃん真衣ちゃん夏希ちゃん夢ちゃん彩乃ちゃん志乃ちゃん沙英ちゃん久未ちゃん。
今までほんとにごめん。
別れましょう。
どういうこと?だから不倫をやめようってことだよ。
あの…。
いや僕はね…純粋にみんなの事が大好きで気がついたらこんな人数になってたっていうほんとにそれだけなんだよ。
そんな僕のことが嫌だったら僕から離れていくだろうし嫌じゃなかったら一緒にいてくれるだろうし。
だから僕も僕を好きでいてくれる人のことは心から大切にしたいと思って付き合ってきたんだ。
でもやっぱりそれって間違ってんだよね。
アハ。
当たり前のことなんだけどさ。
ハハハハ…。
みんな僕には言わないでいてくれたけどそれぞれ…ほんとにつらい思いをしてきたと思うんだ。
でもこんな男のことはとっとと忘れてみんな1日も早く幸せになってほしい。
もちろん恋愛関係は終わっちゃうけどさでもこれからはお友達として良き仕事仲間としてまあそういう関係は続けていきたいと思ってるんだ。
撮影もほらまだ残ってるしね。
いや本当に…こんな身勝手な男で申し訳ない。
むっちゃん。
え?今までごめん。
俺どうしようもないダメな夫だよ。
でもさ金輪際もう不倫はしないから。
だから…。
許して。
ね?…というわけで僕からは以上です。
みんな…。
さよなら。
さよなら…。
今言ってたこと…理解できた?いやさっぱり。
あれ何の理屈?急すぎて何が何やら。
意味がわからなかった。
狂ってる。
怖〜い。
とりあえず私たちはフラれたってことですか?そうみたいだね…。
久未ちゃん?やりましょう。
あの腐れ外道。
うん殺そう。
ね!殺そう!殺そう…殺そう!いや…でもさっき…正当防衛って言いましたよね?うん。
私たちの人生がこれから先狂わされることを避けるために風さんを殺すって言ったじゃないですか。
うん。
でも別れたってことは一応地獄からは抜け出したことになるんだし…。
正当防衛ではない…。
関係ないっしょ。
え?むかつくからぶっ殺すでよくないですか?ねえ佳代さん。
そうだねうんぶっ殺そう。
あ〜!何?睦さんは…?何?いや睦さんだけ事情が違うから…。
確かに睦さんは殺す理由ないですよね…。
いやぶっ殺すでしょ。
いいの?もちろん。
今更許さないよ。
そうだよね?そうだよね!・よ〜しやるよ!・・やるぞ〜!・《こうして佳代さんが提案した「風松吉殺害計画」は誰ひとり欠けることなく実行される運びとなった》あそうだ!どら焼き召し上がる?
(一同)召し上がる〜!土佐日誌も召し上がってね。
・は〜い・・いただきま〜す・・よっしゃ〜ぶっ殺すか〜・2016/11/17(木) 23:59〜00:54
読売テレビ1
バカリズム脚本『黒い十人の女』「黒い十人のティーパーティ」[字][デ]

主演・船越英一郎、脚本・バカリズムでお送りする、史上最大の不倫劇!豪華女優陣が本気でぶつかり合う!衝撃の「不倫コメディ」!愛人と妻、十人の夜のティーパーティ!

詳細情報
出演者
船越英一郎
成海璃子
トリンドル玲奈
佐藤仁美

佐野ひなこ
MEGUMI
平山あや
白羽ゆり
水上剣星
ちすん
新田祐里子

若村麻由美(特別出演)

水野美紀
番組内容
身の回りにいる様々な女性を愛人にしていた風(船越英一郎)。最も古株の愛人である佳代(水野美紀)の呼びかけで、妻と愛人9人…10人の女がついに全員集結した!そこで、佳代は驚きの提案をする…その驚愕の内容とは—!?そして、10人の女たちのもとに突然現れた風。妻と愛人たちの前で、風がとんでもない発言を…その発言をきっかけに、10人の女たちがついに動き出す!!10股男・風松吉の運命は—!?
原作・脚本
【原作】
和田夏十(映画『黒い十人の女』市川崑監督)
【脚本】
バカリズム
監督・演出
【演出】
豊島圭介
音楽
兼松衆
【主題歌】
「愛/憎」CIVILIAN