字幕書き起こし 連続テレビ小説 べっぴんさん（４４）「止まったままの時計」 2016.11.22

（麻田）はい。
（すみれ）ありがとう。
ああ…寂しくなりますなぁ。
（明美）大丈夫やって。
私はまだまだ住ませてもらうんやから。
うん…。
麻田さん。
ほんまにありがとうございました。
（良子）お世話になりました。
（君枝）ありがとうございました。
うう…。
おいあさやさん。
泣きないな。
今日からやな。
頑張ってね。
今日からやね頑張ってや。
頑張りや！
（はな）
今日から新しいお店の準備が始まります
いよいよやね。
いよいよですな。
おっちゃん…。
さっきの涙は何やったんや？隣の隣やからな。
（紀夫）この国は変わったなぁ…。
父さん母さん…。
ついに紀夫君が帰ってきました。
ですが…
簡単に人を信用したらあかん。
仕事を探すってどういう事？坂東営業部は潔さんに任せた方がええと思うてるのや。
ちょっと待って。
どうして？紀夫さんが坂東の家の後継者やないの。
みんな紀夫さんが帰ってくるのを待ってたのよ。
潔さんとゆりさんかて立派な後継者や。
僕の出る幕はない。
すみれちゃん。
どう？紀夫さん帰ってきて。
うん…そやねぇ。
・「『雨上がりの空に七色の虹が架かる』」・「ってそんなに単純じゃない」・「この夢想家でもそれくらい理解ってる」・「たとえば１００万回のうちたった一度ある奇跡」・「下を向いてばかりいたら見逃してしまうだろう」・「さぁ空に架かる虹を今日も信じ」・「歩き続けよう」・「優しすぎる嘘で涙を拭いたら」・「虹はもうそこにある」・「きっと虹はもうここにある」さくら。
（初老の男）ようもおめおめと生きて帰ってきたもんやなぁ。
この敗残兵野郎が！
職を探し歩いている紀夫君です
ですがそううまくはいかず…

（紀夫）僕が坂東営業部を復活させます。
（五十八）今は潔君とゆりが復活に向けて動いてくれてる。
（子どもたち）ギブミーチョコレート！ギブミーチョコレート！ギブミーチョコレート！
（潔）お帰り！
（栄輔）高い高〜い！
（ノック）紀夫さん。
お湯加減はどう？うん。
こないにゆっくり入ったのは何年ぶりやろなぁ…。
一方近江の本家に住む事になったゆりは…
奥さんもう終わりですか？まだあるんすか？
（ゆり）まだです！こっちも運んで下さい。
（男たち）へ〜い！
五十八さんの兄長太郎さんから紹介してもらった業者から麻布などを仕入れ大阪の潔君に送る作業を懸命に行っておりました
（節子）ええか。
今日のお客はうちが昔からお世話になっとる生地の製造と卸の業者たちや。
（静子）大事な大事なお客様や。
粗相のないようにな。
はい。
はい！失礼します。
（石鍋）何や！何ややないです。
触りましたよね？帰るわ！言いがかりつけられて気分悪いわ！
（長太郎）石鍋さん…。
言いがかりって何ですか！？ゆり！あっ石鍋さんすんまへん！
（石鍋）気ぃ悪いわほんま〜！石鍋さん！・すいませんでした！
（トク子）ゆり。
あ…おばあ様。
何やの？あの人…。
何を言うてんのや。
お客様に人前で恥かかすような事…。
ちょっと待って。
毒みたいなやつはぎょうさんおるねん。
泥水すすらんならん事もある。
水に流さんならん事もあるのや。
けど泥水は自分次第で湧き水に変える事もできんのや。
分からんかてええ。
けど分からんかったらあんた帰んなさい。
おい。
酒がのうなったぞ。
はい今すぐ参ります。
近江には少しずつ強くなろうとしているゆりの姿がありました
（昭一）あれ？紀夫さんやないですか。
こんばんは。
（勝二）こんばんは。
ここよろしいですか？僕はまるで浦島太郎ですわ。
そうですね。
わしも戦地から戻って日本は変わったとつくづく思いました。
そやけど現実に追いつかな。
何で女房たちのする事を笑いながら認める事ができるんです？変わらなあかんと思うからです。
女房たちが未来を見て動き出しとる姿を見て変わらなあかんと思うたからです。
すみれが働いてると聞いた時はほんまに驚いた。
そうね…。
きっと以前の私からは考えられないわよね。
つらい思いをさせたな。
あ…でも悪い事ばっかりやなかったのよ。
助けてくれる人もいたもの。
うん…。
麻田さん明美さんそれから商店街の皆さんも…。
すみれ。
もういっぺん言う。
他人を信じるな。
そんなさみしい事言わないでよ。
さみしい？何を言うてるんや。
人というのは状況一つでなぁころりと変わるもんや。
昨日まで隣で笑ってた人が今日は冷たい顔を見せたりする。
そういうもんやで。
疑う事を知らんお前たちは誰にとってもええカモや。
そんな…どうして？紀夫さん前はそんな人やなかったやない。
収容所であんな思いをして変わらん人間がいてたら知りたいぐらいや。
風呂に入るために仲間が必要やった。
寒い所にいると洋服の一枚が命のように大事で仲間がいなくて風呂に入ると服が盗まれる。
盗まれた者は凍え死ぬんや。
仲間やと思うてたやつに裏切られて服を盗まれ死んだ者もぎょうさんいた。
死んでいく仲間から服を剥ぎ靴を奪い取る者もいた。
自分の命が助かるためには他人なんかどうでもええ。
そういうもんやで人間て。
これからは僕がすみれとさくらを守る。
おやすみ。
おやすみなさい。
うん。

変わらずにいる事を望むのは酷な事なのでしょうか
2016/11/22(火) 12:45〜13:00
ＮＨＫ総合１・神戸
連続テレビ小説　べっぴんさん（４４）「止まったままの時計」[解][字][デ]

帰還した紀夫（永山絢斗）は、収容所での過酷な経験から「人を信じるな」とすみれ（芳根京子）に忠告。まるで別人のようになってしまった紀夫は、すみれを不安にさせる。

詳細情報
番組内容
いよいよあさや靴店から新店舗への引っ越しが始まった。しかしすみれ（芳根京子）の気持ちは晴れない。戦地での過酷な経験から人を信じられなくなってしまった紀夫（永山絢斗）のことが心配なのだ。紀夫は栄輔（松下優也）や商店街の友人たちのことを強く警戒し、一切信用するなとすみれに忠告する。さくらも懐こうとしない。収容所での経験をとうとうと話す紀夫の姿は、まるで別人のようで、すみれを不安にさせる。
出演者
【出演】芳根京子，生瀬勝久，菅野美穂，高良健吾，蓮佛美沙子，谷村美月，百田夏菜子，土村芳，市村正親，中村玉緒，永山絢斗，田中要次，平岡祐太，曽我廼家文童，宮田圭子，松下優也
原作・脚本
【作】渡辺千穂