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書き起こし バカリズム脚本『黒い十人の女』「さよなら風松吉」 2016.11.24

(佳代)この薬を12時間以内に私たち10人が1錠ずつ飲ませる事ができれば死に至らしめることができるの。
私は皆さんに提案したい。
風松吉の殺害。
(風)《風松吉》おはよう!《東西テレビ編成制作局ドラマ制作センターでプロデューサーをやっています》《実は私つい最近まで妻の他に9人の愛人がいました》最低の男でしょ?自分でも良くないことなのは分かってるんですよ。
でもねタイプの子を見かけるとつい食事に誘っちゃうんです。
(風の声)食事に行くとその子のことをもっと知りたくなってもっと知ると今度は独占欲が湧いてきて気づいたら恋人が9人もいたというわけです。
要はただの女好きです。
でももう終わりにしました。
終わりって?不倫をだよ今までほんとにごめん。
別れましょう今さら別れたところでもちろん許されるわけではないんですが…。
(風の声)でもこのまま続けるよりはいいと思ったんです。
(風の声)幸いみんな優しくて心の広い女性ばかりでしたのでこれといって大きな揉め事もなく別れてからもいいお友達としてやっていけそうです。
残念ながら他人の不幸が大好きな皆さんが期待するような修羅場にはなりそうもありません。

(久未)《今日私は人を殺す》《数年前までは不倫なんて絶対にありえなかったはずの私が不倫の泥沼にはまり挙句相手を殺すことになるなんて人生ってわからない。
だけど今のところ後悔はない》《恐怖心もどこかに行ってしまった》今までほんとにごめん。
別れましょうさようなら《あの瞬間私の中の設定が切り替わった》《これから人を殺すのになんか意外と冷静》《多分もう普通の精神状態じゃないんだろうな》
(LINEの通知音)
(LINEの通知音)
(店員)いらっしゃいませ。
9時に予約してる風です。
(店員)いつもありがとうございます。
お待ちしておりました。
(真衣)いつもカバン左で持ってる?ん?えそうかなイタッ…あぁ〜。
そういえば今日までだったよね?撮影。
うん今日の…11時から…だよ。
大変だね。
いや今日はさ早く終わるんでね。
そっかそっか。
じゃあ今日はゆっくり眠れるね。
うんゆ〜っくり眠れる。
《永遠にね》
(真衣)風さん終わったよ。
あ…寝ちゃってたよ。
疲れてたんだね。
ふふん。
飲み物は?いつものでいい?うん。
おっと…ハーブティーね。
は〜い。
私と結婚してよ申し訳ないけど聞けないよあ〜美味しかったごちそうさま。
撮影頑張ってね。
うんありがとう。
じゃあ!風さん。
ん?さようなら。
またね。
《死ね》
(美羽)おつかれさまで〜す。
(火山)ついに最終日来ましたね。
(林)まあやるだけやったし仕方ないよな。
作品自体は悪くなかったと思いますよ。
ねえ?私は好きでしたよ。
まあ運が悪かったんですよ。
(美羽)《ドラマ『淡い三人の男』はゴールデンタイムではありえないほどの低視聴率を重ね八話で打ち切りが決定した。
そして今日はその最終話の撮影》風ちゃん飛ばされるかなあ?どうでしょうね。
ゴールデンで平均2.4なんてぶっちぎりでワースト記録だもんなあ。
いやでもまだ飛ばされるって決まったわけじゃないから。
ねっ。
《死ぬのは確実だけどね》おはようございます。
(林・火山・美羽)おはようございます。
さあブレずに最後までやりきりましょうね!すでにブレまくってるでしょ。
どこがですか?テコ入れしすぎて何の話かわかんなくなってるよ。
それがこのドラマの味でしょ。
(沙英)おはようございま〜す。
おはよ〜う!第一SNSは大炎上ですからね。
長谷川さんその飲み物何ですか?
(沙英)あこれグリーンスムージーです。
うわぁ〜美味しそう〜。
女の子ってそういうの好きだよね。
美味しいですよ。
体にもいいですし。
へえ〜。
風さんもこういうの飲んだ方がいいですよ。
僕が?食生活偏ってるでしょ?そら言えてんね。
病気になっちゃいますよ?やっぱそうかな?
(美羽・沙英)《ていうか死ぬけどね》これ飲みます?うん大丈夫。
さてと。
え…え?あ!?飲まないんですか?俺ね青臭いの苦手なんだよ。
え?全然青臭くないですよ。
そうなの?はい美味しいですよ。
《死ぬけどね》へえ〜。
飲みます?いや大丈夫。
え?なんでですか?だってそれ沙英ちゃんのでしょ?悪いよ。
私もう飲んだから大丈夫です。
いやいや…飲もうとしてたじゃない。
お腹いっぱいになっちゃって。
そうなの?

 

 

 

 


(夢)おはようございま〜す。
おはよう!おはようございます。
風さんん?はい飲んでください。
《そして死んでください》わかったよ。
じゃあせっかくだから頂くね。
どうぞどうぞ。
うわっごめんやっぱ無理。
体のために飲んでください。
お薬だと思って。
《死ね》あ〜。
ごめん全然美味しく…。
OK!え?
(志乃)あのクッキー焼いてきたんで良かったら食べてください。
(スタッフ)ありがとうございます。
いただきま〜す。
クッキー良かったら。
(スタッフ)いいですか?ありがとうございま〜す!
(スタッフ)うわぁ〜作ったんですか?美味しそう。
クッキー焼いてきたんでよかったら。
(スタッフ)いただきます…。
あそんなに?
(スタッフ)あすいません。
あクッキーよかったら。
(スタッフ)ありがとうございま〜す。
おはよ〜う!あ!お〜志乃ちゃん。
《はい来た》あら?クッキー焼いてきたの?はい。
よかったら風さんも。
ありがとう!あ…。
なくなっちゃった。
残念。
食べたかったのに。
ンフう〜そ。
風さんの分取っときましたよ。
優しいね志乃ちゃんは。
《殺すけどね》じゃあ後でいただくね。
え?今食べないんですか?せっかくだからさ後でゆっくりいただくよ。
え今食べてくださいよ〜。
今?うん今。
食べてるとこ見たい。
《死ぬとこもね》そう?それじゃあいただくね。
ではいただきま〜す。
美味しい〜これ。
でしょ〜?志乃ちゃん絶対いいお嫁さんになれるね。
本当?《あなたは絶対死ぬけどね》あ風さんはいどうぞ。
ん気が利くねサンキュー!フフフ。
フフフ。
うはっ!この紅茶もめっちゃくちゃ美味しいね!でしょ?
(2人)《死ぬけどね》これごちそうさま。
じゃあ後でね。
(スタッフ)おつかれさまです。
ん?どうしたの?いや飲み終わったカップもらおうと思って。
大丈夫だよ。
飲み終わったらちゃんと捨てておくから。
いやいや…。
飲み干すとこ見たくて。
飲み干すとこ?あ〜…ってなんで?あ…男の人の喉仏動くの見るのが好きなの。
え?そんな趣味あったか?そうだから早く飲んで見せて。
《そして死んで》実はささっきスムージー一気飲みさせられちゃってさもうお腹いっぱいなんだよ。
大丈夫大丈夫ほらほら。
大丈夫じゃないの僕だから。
大丈夫美味しいから!
(夏希)おはようございま〜す。
お〜おはよう!おはようございます。
来たんだ。
ええ最後なんで。
そっか。
なにやってるんですか?夢ちゃん変な趣味があんだよ。
なんですか?喉仏動くのが見たいからね紅茶を一気に飲み干せっていうんだよね。
え〜見た〜い。
え〜?だって風さんの喉仏かっこいいもん。
ですよね!初めて言われたよそんなこと。
飲んで飲んで〜。
ほら早く。
え〜?そう?じゃあいくよ。
うん。
(2人)かっこいい〜。
(2人)《死ね》ブハッ。
おぉ〜!どこがいいのこれの?あらっ…おっ…。
アンコールアンコール。
いやいや…。
(夢・夏希)アンコールアンコール。
無理無理…無理だよ。
(夢・夏希)アンコールアンコール。
なんでそんなに見たいの?写真撮りたいの。
写真?だからほら飲んで。
え〜?
(夢・夏希)アンコール。
(夢・夏希)《死ね》
(夢・夏希)アンコール。
(夢・夏希)《死ね》なんて展開だよこれ…。
(夢・夏希)アンコール。
(夢・夏希)《死ね》
(夢・夏希)アンコール。
よ〜し。
行くぞ〜。
オッケー写真だ。
ホッ!うわぁかっこいい〜!ヤバ〜イ!うわかっこいい…。
(夏希)かっこいい!
(夢)うわっ!
(夢)きゃ〜!
(夏希)うわうわっ!やっばい!全部全部!全部いって!アハハハ!
(夢)すごい!
(夏希)素敵〜!うっ…うっ!あ〜もうお腹パンパンだよ。
ていうかなんかクラクラもするし。
ほんとに…えっ?お〜い!
(2人)《さようなら》こちらに置いてください。
(配達員)はいわかりました。
すいませんこちらへサインお願い致します。
は〜い。
ありがとうございました。
ご苦労さまで〜す。
(LINEの通知音)じゃあさ店員のタイミングちょっと遅らして。
はい。
うん。
じゃあそろそろ本番いきましょうか。
(ブザー)よ〜いスタート。
「じゃあ私は…アイスキャラメルラテ」「はい」「イズミさんは?」「じゃあ同じものを」「同じもので」「お腹空いてません?もしお昼まだだったら…」「あいえ…大丈夫です」「あ…」「じゃあ私は…カニラーメン」「カニラーメンですね?かしこまりました」
(咳払い)あ…。

(咳払い)あ…。
(美羽)やばいやばい…。
(沙英)はっ!大丈夫ですか?よし。
濁ってません?そう?いろんなの混じってますよね。
まあ体に入っちゃえば同じでしょ。
バイキンとか大丈夫かな。
大丈夫。
どうせ死ぬんだから。
まそうですけど。
見張ってて見張ってて。
「うん!美味しい」「へ〜」「魚介系のスープが麺によく絡んで口の中に入れた瞬間香りが広がるの」「そうなんですね」「これならいっくらでもいける」はっは〜!うまそうだねぇ。
大丈夫かな?何が?なんかラーメンのドラマみたいになってるけど。
ラーメンのドラマでしょ?不倫ドラマだよ。
はいカット!オッケー!えっオッケー?大丈夫ですか?大丈夫大丈夫ほら。
あ〜。
あの人唐揚げ好きだから絶対食べるでしょ。
まあそうですね。
(スタッフ)これより昼食休憩に入りま〜す。
再開は13時30分になりま〜す。
お願いします。
(沙英・美羽)は〜い。
はぁ〜。
あっ風さんお弁当!あ〜俺いいや。
え?向かいでラーメン食ってくる。
撮影見てたら無性に食べたくなっちゃってさ。
うそ…。
いっただきま〜す!あっ!あのそれ…。
ご飯ご飯ご飯!あっはい。
あっ…。
ちょちょちょっと…。
火山さん。
火山さ〜ん。
あれ?弥上さん食べないの?あ…はい。
(火山)んっ?んっ…んっ?きますから…。
ヤバイじゃない…。
な…なんかこの唐揚げジャリジャリしません?え〜?いやジャリジャリすんなぁ。
(林)ジャリジャリするもんだろ唐揚げは。
食っちゃってんじゃん…あれでしょ?あれ気付いてないですよ。
(火山)なんかちょっとおかしいなぁ。
言ってんじゃん思いっきり。
食っちゃってんじゃん。
いや大丈夫…。
はいこちらになります。
どうもありがとうございました。
お疲れ様です。
お疲れ様でした〜。
「ねえ沖田君奥さんがいるなんて私聞いてないよ」「かたじけない」「かたじけないで済むと思ってんの?」「切腹でしょ」「えっ!?」「そうよ死んで詫びなさいよ」「しかし近藤殿が…」「近藤!?」「近藤って誰だよ?」「腹切れっつってんの!」こんな雑な幕末のぶっ込み方ある?斬新じゃない。
はいカット!オッケー!チェック。
(夏希)これ私仕事減るわ…。
なに言ってんの逆だよ。
だって今こんな斬新なドラマ他にないでしょ。
あっ!熱っ。
あっ!大丈夫か?おい。
はい。
ごめんごめん…ごめんな。
おい…おいっ。
ありやっした!
(夏希)《えっ直で行くの?大丈夫!?》かっ!かはっ!かはっ!かはっ!あっあれ!大丈夫ですか?かはっ!かっかっ!お茶お茶お茶…。
かはっ!かはっ!
(美羽)はいはい…これ飲んでください。
飲んでください飲んでください。
かはっ!かっ!大丈夫ですか?はぁはぁ…もう大丈夫。
はぁ…虫が飛び込んできたんだよ。
あ〜死ぬかと思った。
ゴホッゴホッ!お疲れ様でした〜。
・ありがとうございました・ありがとうございました。
お疲れ様でした。
お疲れ様でした。
お疲れ様でした。
ここだけ見たら何のドラマかわかんないですよね。
全部見てもわかんないよ。
確かに。
書いててもわかんなかったもん。
お疲れ様でした。
残り4人。
まあ報告を待ちましょ。
ちゃんと時間通り来るかな。
(彩乃)来るよ。
あの人意外と時間は守るじゃん。
そうだね。
じゃないと愛人9人も作れないよ。
確かに。
ねえ久未はさ風さんとの一番楽しかった思い出って何?ん〜なんかさ一緒に旅行したこととかも楽しかったんだけど結局一番幸せだったのって普通にうちに泊まりに来て私が作ったご飯一緒に食べてる時とかかな。
そうなんだ。
翌朝玄関で見送ったりしてさ。
なるほどね〜。
彩乃は?私も。
そっか。
なんでだろうね〜。
夫婦みたいだからかな。
そうかもね。
絶対に手に入らないしね。
久未はさ今でも好き?風さんのこと。
ん〜…好きだね。
そっか。
なんか…よくわかんないけど最初の頃より今の方が好きかも。
え…好きなのに殺すの?好きだから殺すんじゃん。
そっか…私も。
ねえ落ち着いたらまた合コンやろ。
いいよ。
あっ私新規のつながり出来たよ。
ほんと?大丈夫?独身?うん今度は大丈夫。
お待たせ〜。
あお疲れ様〜。
お疲れ様。
待った?ううん大丈夫。
なんかさこうやって3人でお茶するのって初めてだよね?そうだね。
普通ありえないからね。
愛人同士だもんね。
今は元だけど。
これからはお茶友達?お茶友。
うん。
うん。
ははははっ!あっコーヒー1つ。
(夏美)はいかしこまりました。
はぁ…。
大丈夫?なんか顔色悪いけど。
いやそうなんだよ。
なんかさ昼過ぎからちょっと調子が良くないんだよね。
大丈夫?疲れかな?それあるね。
(久未・彩乃)《薬だよ》ドラマ大変だったんでしょ?まあね。
あお薬あるけど飲む?ほんと?どんなどんな?疲労回復のお薬。
いいね〜ちょうだいちょうだい。
そのバッグあれだよね?ありがとう〜。
はい。
あっお水。
おうサンキュー。
う〜。
風さん私たちと付き合ってて一番楽しかったことって何?え〜楽しかったこと?私も聞きたい。
ん〜…そうね〜。
久未ちゃんとはやっぱ温泉かな。
あ〜行ったね。
確かに楽しかった。
うん。
私は?彩乃ちゃん…海に行ったとき。
私も楽しかった〜。
フフ…。
ね。
どっちも本当に楽しかった〜。
そっか。
ねえ風さん。
ん?私たちのこと好き?うん〜。
あもちろんお友達としてね。
そっか。
そうだよね。
お茶友だから。
エヘヘ。
お待たせしました。
は〜いどうも。
ホットコーヒーになります。
は〜い。
ありがとう。
(夏美)失礼いたします。
よしじゃあ私たちそろそろ行くね。
もう帰っちゃうの?うん。
風さんも疲れてると思うし。
いやいや…。
おっあらら。
あホントだ。
じゃあね。
ふう。
風さん?ん?何?うちらは今でも好きだよ。
大好き。
死ぬまでね。
え?じゃあね風さん。
バイバーイ。
あっまたね!♪〜ハッピーバースデートゥーユー♪〜ハッピーバースデートゥーユー
(風・店員)♪〜ハッピーバースデーディア佳代ちゃん
(風・店員)♪〜ハッピーバースデートゥーユーお誕生日おめでとう。
ほら消して。
なんで…やめてよ…。
いいから。
消して消して。
ハッピーバースデー!ありがとうございます。
(拍手)これからも優しくて素敵な佳代ちゃんでいてね。
なんでこんなことするの〜。
もうどうしたどうした〜。
さご飯食べよう。
その前に花預けてくるからね。
はい。
うう…。
はあ〜…。
じゃあ次はシャルドネでいこうかな。
かしこまりました。
ありがとう。
ねえ風さんはさ。
うん。
私の何が良くて付き合ってくれてたの?ん〜?ん〜そりゃ好きなところはいっぱいあるけどさでも一番は一緒にいて楽しいとこかな。
へ〜…意外と普通だね。
え?ダメ?ダメじゃないけど9人も愛人作れちゃうようなモテ男だからもっと意外な答えが返ってくるのかと思ってた。
そっか。
だから逆に意外だった。
じゃあさ佳代ちゃんは僕のどんなとこが良かったの?9人も愛人作れちゃうようなところ。
え…?それこそ意外だよ。
最初はね優しいからとかそういうところだったと思うの。
うん。
でも今思えば他に愛人がいなかったらわりと早く別れてたかも。
そうなの?だって不倫なんて絶対幸せになれないってわかってたし。
じゃあどうして別れなかったんだ?最初に美羽ちゃんのことを知ったときはねすごく頭にきたんだけどなぜか別れようとは全く思わなかったの。
へ〜。
それよりも風さんを自分のものにしたいっていう気持ちが強くなって。
そんなもんなんだ。
それなのに自分のものどころか愛人はどんどん増えていくでしょ?ごめんなさい。
でねその度に風さんは自分のものから離れていっちゃうんだけど気持ちは強くなる一方だから大変で。

(喉が鳴る音)なんかね最後はもう殺さないと無理っていうぐらい好きだったよ風さんのこと。
そっか…え?今までありがとうね。
ただいまぁ。
ただいまぁ。

(風睦)お帰りなさい。
あ〜ただいま。
ごめんね遅くなっちゃって。
ううん。
お疲れ様。
お食事は?済ましてきた。
うう…。
顔色悪いけど大丈夫?うんちょっと心臓が痛くてさ。
あら…大丈夫?横になる?ああもうここでいい。
ああ…うう…。
ああ…。
大丈夫かしら。
ああなんかね…動悸がすごいの。
お薬飲む?あるの?一応動悸にきくお薬が。
ああいいね。
ちょうだい。
そう。

(喉が鳴る音)ふう。
これで少しは落ち着くかと思うけど。
ありがとね。

(LINEの通知音)《風さんが死んだ》《あれから2週間が経ち私はすっかり普通の生活に戻った》《風さんの訃報は受付嬢の私のところまでは届くことはなかったので本当に突然いなくなっただけのような感覚だった》《ちなみに風の会のLINEグループはあの日のうちに削除された》
(麗子)あれ?今日早番だっけ?うん。
二日酔い?昨日も合コン?うん。
繋げといたよ。
ありがとう。
《きっともうあんな恋愛をすることはないと思う》
(浦上)楽屋で聞かせる…あったじゃんあれまた新しいのやったんだ。
(志乃の声)あの後私は番組の収録をきっかけに浦上さんとも仲直りすることができた。
だけどまだ付き合ってはいない。
今はまだお仕事の方が大事なのでしばらくはいいお友達でいいかも。
(美羽の声)彼が死んだ翌日睦さんから制作に風さんが体調不良でしばらく休暇するとの連絡が入ったらしい。
おそらくまだ編集や放送が終わっていない現場の混乱を防ぐための配慮だと思われる。
彼がいなくなったことで肩の荷が下りたのか私は以前よりも性格が穏やかになった気がする。
・お昼・お昼に。
(演出家)全然ダメだよ。
それだと入ってこない。
もう1回同じところ。
ちょっと動きとか…。
(佳代の声)風の死後私は今まで以上に芝居に打ち込んだ。
(演出家)はいよ〜い。
はい!「そんなことでサンフランシスコにたどり着けると思ってるの?」「たどり着いてやるさ!サンフランシスコへ!」「あんたには無理よ!」「何が無理なんだ!」「あなたの心のパスポートは期限切れだからよ!」「なに!?」「さあ心の申請窓口に申請していらっしゃい!」「心の戸籍謄本などの書類を持ってね!」「はっはっは…。
は〜っはっは…」
(演出家)はいOK。
うんいいね。
じゃあそれでいこう。

(演出家)一旦休憩〜。

(佳代の声)あれ以来みんなと連絡は取っていないけどきっとそれぞれ幸せにやっていると思う。
もう10人で集まることはないだろうけどもしまた集まることがあるなら今度はみんなで温泉にでも行きたい。
よしっ。
ちょっと将来不安だよね。
ハハハ…それだけは勘弁だね。
あその件ですね。
あえ〜っとあっ大丈夫そうです。
はい佳代さん。
ありがとう。
(佳代の声)ちなみにこちらは新しい恋が芽生え始めている。
もちろん独身。
もうちょっと上かもね。
サンフランシスコの下ってどこだっけ?サンフランシスコの下は…マイアミ?
(LINEの通知音)え?は?うそ。
マジで?なにそれ。
なんで?どういうこと?2016/11/24(木) 23:59〜00:54
読売テレビ1
バカリズム脚本『黒い十人の女』「さよなら風松吉」[字][デ]

主演・船越英一郎、脚本・バカリズムでお送りする、史上最大の不倫劇!豪華女優陣が本気でぶつかり合う!衝撃の「不倫コメディ」!10股不倫男が迎える最期の時とは?

詳細情報
出演者
船越英一郎
成海璃子
トリンドル玲奈
佐藤仁美
  
佐野ひなこ
MEGUMI
平山あや
白羽ゆり
水上剣星
ちすん
新田祐里子

若村麻由美(特別出演)

水野美紀
番組内容
風(船越英一郎)の妻・睦(若村麻由美)と9人の愛人たちが計画したのは、“風松吉の殺害”。12時間以内に10錠飲めば死ぬという薬を1人1錠ずつ風に飲ませようとする10人の女たち。風を殺すことはできるのか…1人の男に人生を狂わされた女たちの復讐劇が今、幕を開ける!そして、ラストに待ち受ける驚きの展開とは—!?
原作・脚本
【原作】
和田夏十(映画『黒い十人の女』市川崑監督)
【脚本】
バカリズム
監督・演出
山本大輔
音楽
兼松衆
【主題歌】
「愛/憎」CIVILIAN