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書き起こし アスリートの魂「田臥勇太 36歳の覚悟」 2016.11.28

JR宇都宮駅の帰宅ラッシュ。
えっ何の人だかり?バスケットボールの田臥勇太だ。
チラシを配って試合の呼びかけ。
有名選手がこんな事までするんだね。
はいお願いします。
頑張って下さい。
はいありがとう。
子どもにも優しいんだ。
うれしいです。
ありがたいですね。
こうやって応援して下さる方が…。
ちびっ子もたくさんいたし。
今年9月新しく誕生したプロバスケットボールBリーグ。
国内外から集まったトッププレーヤーがパワーとスピードでファンを魅了します。
(歓声)
(場内アナウンス)「ユウタ・タブセ!」。
そのBリーグで燦然と輝くスーパースターが田臥勇太選手です。
ずばぬけたスピード。
鋭いパス。
実力はナンバーワンです。
12年前バスケの最高峰NBAのコートに立った唯一の日本選手です。
今は36歳。
年齢と闘いながら新たな挑戦を始めました。
Bリーグを成長させる日本のバスケットをメジャーにするっていう思いをずっと持ち続けて努力し続ける事が大事だなっていうふうに今すごく思ってます。
Bリーグ開幕から2か月。
今日の「魂」はバスケの未来を切り開く田臥勇太の覚悟です。
田臥選手のチーム栃木ブレックスのホームタウンです。
(取材者)こんにちは。
こんにちは。
田臥選手がこのチームにやって来て9年がたちます。
(取材者)栃木ももう長くなりましたね。
長くなりましたね。
長くなったけどこんな混んでんの初めて。
ワンツースリー。
田臥選手はチームのキャプテン。
ポジションはポイントガード。
パスを出し攻撃の起点となる司令塔です。
田臥選手は身長173cm。
日本の選手の中でも小柄です。
しかし身長差を補って余りあるのがずばぬけたスピード。
素早いドリブルでディフェンスをすり抜けていきます。
そしてもう一つの武器はパスの技術。
中でも田臥選手の代名詞がノールックパス。
その名のとおり見てないはずの選手にパスを送ります。
相手はディフェンスのタイミングが遅れてしまいます。
9月24日栃木での開幕戦を迎えました。
歴史的な瞬間を見ようと3,800人余りが詰めかけ満員となりました。
ファンにとっても田臥選手の存在は別格です。
(場内アナウンス)「ナンバーオーユウタ・タブセ!」。
昨シーズン田臥選手の栃木ブレックスは2つあったリーグの一つNBLで2位。
Bリーグ初代王者を目指します。
一方相手の秋田ノーザンハピネッツはbjリーグで2位。
初めて実現したカードです。
試合開始。
田臥選手は徹底的にマークされます。
相手は得意のスリーポイントシュートを次々と繰り出します。
(歓声)ノーザンハピネッツのファンは熱狂的。
クレイジーピンクと呼ばれています。
司令塔の田臥選手に集まるボールをことごとくパスカットされます。
ファウルで止めるのが精いっぱい。
(ホイッスル)
(試合終了のブザー)開幕戦ブレックスはホームで敗れました。
よろしくお願いします。
Bリーグ!BリーグはB1とB2合わせて…これまで主なプロスポーツがなかった地方の町にもチームを置いています。
しかしBリーグが出来るまでの道のりは険しいものでした。
10年以上の間2つのリーグに分裂し対立していました。
企業チームが中心のNBL。
もう一つ地域密着のプロリーグbjリーグ。
2つに分裂している事が国際バスケットボール連盟から問題視され国際大会への出場ができない状況が続いていました。
Jリーグを作る時は4年5年かかって…。
危機的状況を打開するために動いたのがBリーグ初代チェアマン川淵三郎さんです。
2つのリーグを統一しBリーグ設立へと働きかけました。
時間がありません。
川淵さんがモデルにしたのは自らがチェアマンを務めたサッカーのJリーグです。
川淵さんは田臥選手にJリーグ発足当時のあるスター選手と同じ役割を担ってほしいと考えました。
ミスターJリーグ三浦知良!キング・カズ三浦知良選手です。
気持ちでねやってほしいと僕は心から願ってますよ。
川淵さんの思いを受け止めた田臥選手。
36歳。
自分の事だけでなくバスケの未来も切り開いていく覚悟を決めました。
田臥選手の名前が全国に知れ渡ったのは高校時代。
バスケの強豪秋田県能代工業で高校総体選抜国体の主要3大会を3年間にわたり全て優勝しました。
そして2004年。
日本選手初の偉業を成し遂げました。
24歳の時子どもの頃からの夢だったNBAプレーヤーになりました。
2mを超える選手と渡り合う姿に本場のファンも熱狂しました。
あれから12年。
田臥選手は練習開始の2時間前にやって来ます。
ストレッチやマッサージなどに人一倍時間をかけています。
足の指でタオルをつかむ足裏のストレッチ。
けがの予防です。
更にけがの予防のため田臥選手は靴ひもの結び方に細心の注意を払っています。
何度も締めたり緩めたり。
足の指の動きやかかとの締まり具合を確かめています。
本当に。
完成までに15分以上かかりました。
田臥選手には大切にしてきた言葉があります。
競技生活をまとめた本のタイトル。
「NeverTooLate『今からでも遅くない』」。
この言葉を胸に新たな道を切り開いてきました。
「NeverTooLate」っていう言葉をすごく大事にしてて。
まあ直訳するとね決して遅すぎる事はないっていう事なんですけど。
本当に試合だったり練習だったり日々悔しい思いだったりうまくいかなかったりする事があるんですけどでもそれでもまた明日やり返す気持ちだったり負けないようにやろうっていう。
自分の気持ち次第でそうやってまた次をどうにでも変えられるチャンスがやっぱあるっていうふうにもその言葉から僕は考えてるので。
それってこうやって年を重ねれば重ねるほどその言葉その意味っていうのがすごく大事で。
大切なものになってるなっていうのをすごく感じるので。
今もその言葉は大切に持ってやってます。
ありがとうございました。
新しく誕生したBリーグが大切にしている魂。
それは地域との絆です。
どのチームも試合前後にはファンとの交流を行っています。

 

 

 

 


すごいうれしい!選手の方からも出向きます。
頂きます。
(一同)頂きます!各地の学校を回りバスケに興味を持ってもらおうという取り組みです。
(笑い声)一本決めたら勝ちやぞ。
被災地では避難所の子どもたちを対象にバスケ交流会が行われています。
お〜し。
おら!しゃ〜っ!やった〜!勝った勝った!シュートシュート!ナイス!うっす!お疲れっす。
イエ〜イ。
またな。
またしようぜ。
またな。

(歌声)試合前にみんなで歌うのはチームの応援歌ではなく「秋田県民歌」。
選手とファンが一体となって地域を盛り上げようとしています。
Bリーグの開幕をどこよりも待ち望んでいた街があります。
田臥勇太選手が高校時代を過ごした秋田県能代市。
林業が主な産業です。
もう一つ能代は知る人ぞ知るバスケの街。
駅の構内にはバスケットゴールがあります。
あっ!
(笑い声)残念!バス停にもバスケ。
街じゅうにバスケがあふれています。
そんなバスケの街の象徴が田臥選手です。
(場内アナウンス)「田臥勇太君」。
(拍手)能代工業時代の田臥選手です。
入学直後から大活躍。
全国大会では3年間負け知らずでした。
能代に田臥あり。
田臥選手が能代の名を全国にとどろかせました。
田臥選手の試合を能代で見たいと動いた人がいます。
能代市の方で観光PRとして…。
能代市の職員でバスケミュージアムの責任者小野弘樹さんです。
能代工業バスケ部で田臥選手の2つ下の後輩でした。
田臥選手の栃木ブレックスと秋田県をホームにしているノーザンハピネッツとの試合。
小野さんの働きかけで能代で実現する事になりました。
昨シーズンまで2つのリーグに分かれていたため能代の人が地元で田臥選手の試合を見る事はできませんでした。
小野さんは一軒一軒を回り試合に来てほしいと呼びかけています。
こんにちは。
どうもいつもお世話になってます。
すいませんちょっとお願いがありましてすいません。
すいませんご存じかもしれませんがハピネッツと栃木で栃木の田臥勇太選手も来ますので久々に17年ぶりに能代に帰ってきますんで是非このポスターをお店に貼ってもらえればなと。
はい分かりました。
是非貼って。
ちょっと下かな。
勇太〜!行けよ!田臥選手の試合を心待ちにしている女性がいます。
街の人いわく…田臥選手の高校時代には毎日のように練習を見に行っていた大和さん。
今回の試合には手作りグッズ持参で応援に行くつもりです。
田臥選手をきっかけにバスケにのめり込んだ大和さん。
今では秋田ノーザンハピネッツにも夢中です。
13年前脳梗塞で倒れてからもバスケ愛は変わりませんでした。
ノーザンハピネッツの試合を見に全国各地に出向いています。
試合会場は能代市総合体育館。
準備に大忙しでした。
チケットの売れ行きを心配していた小野さん。
前売り券は1週間前に売り切れました。
チケットが買えなかった人のために急きょ席を増やす事にしました。
夕方栃木ブレックスが試合会場にやって来ました。
田臥選手が公式試合で能代を訪れるのは高校卒業以来18年ぶりです。
練習中は笑顔を見せない事にしている田臥選手。
この日だけは例外でした。
街自体がそんなに変わってないっていう…。
う〜ん高校の時よりはねまあ高校の時は懐かしいなんてやっぱ思わない…もちろん住んでたんで。
今こうして帰ってみると本当懐かしいなあっていう思いとまあこれが能代のよさでもあるんですよね。
何もないというかそれがここのよさで本当バスケットに集中できる環境だったので。
僕はそれがすごく合ってて楽しみはさすがにねやっぱり…ありますけど本当始まったら試合に集中して勝つ事だけですねはい。
能代で行われる田臥選手の試合。
朝から多くの人が詰めかけました。
しかし秋田県は対戦相手ノーザンハピネッツのホームです。
能代の人たちはどちらを応援するのでしょうか。
それ以上に…大和さんは試合の2時間前にやって来ました。
田臥選手に直接声をかけるためです。
脳梗塞の影響で左半身には今もまひが残っています。
それでもバスケの応援が生きがいになっています。
(取材者)いよいよですね。
はいそう…。
田臥がやって来る。
能代にやって来る。
いや〜待ってました。
ついに来ました!待望の田臥がやって来た。
GOGOだ!大和さん手作りのボードを持って待つ事30分。
やって来たね!勇太分かる?分かる?あ〜!分かるって!
(取材者)えっ?分かるって!勇太って言ったら分かるって!
(取材者)どんな気持ちでした?温かかった。
ハートが伝わった!こっち出したらいいでしょうか。
やっぱりこっち。
田臥選手の登場に会場は歓迎ムード。
(場内アナウンス)「花束の贈呈を執り行います」。
(拍手)田臥選手のためのセレモニーが行われました。
Bリーグ初代王者に向けて開幕ダッシュに成功しました。
対する秋田ノーザンハピネッツは開幕戦でブレックスを破っています。
試合が近づくにつれ会場の空気が変わり始めました。
田臥選手完全アウェー状態。
GOGOハピネッツ!ハピネッツコール大合唱の中試合が始まりました。
序盤田臥選手に集まるボールを徹底的に狙われます。
ノーザンハピネッツは得意のスリーポイントシュートで点を重ねます。
(歓声)田臥選手への厳しいマーク。
相手のファウルでフリースロー。
(ブーイング)思い出の地能代からの容赦ないブーイングです。
誰よりもバスケを愛する人たちの前で全力プレーを見せる事が恩返しと田臥選手。
いつも以上にがむしゃらにボールを追いかけます。
その姿を見た大和さんは思わず…。
今でも健在な姿を見せつけます。
互いに譲らない緊迫したゲーム。
試合終了まで残り1分。
3点差のリード。
「次の一本が大事集中していこう」と鼓舞します。
この場面でボールを抱え「落ち着いていこう」と叫びます。
試合を決定づける得点を演出したのです。
持ち前のスピードで相手を置き去りに。
ステップで左に行くと見せかけて右にすり抜ける。
シュートに行くと見せかけゴール下への絶妙なパス。
自分を育ててくれた能代で最高のパフォーマンスを見せる事ができました。
接戦の末に7点差でブレックスの勝利。
(場内アナウンス)「両チームに大きな拍手をお送り下さい!」。
会場からは死力を尽くした両チームに惜しみない拍手が送られました。
(拍手)あ〜。
いつもより…本当に涙が出るくらいの本当にうれしい形ですね。
能代で拍手もブーイングも浴びた田臥選手。
18年間で育まれていたバスケ愛に触れ気持ちを新たにしていました。
これからもっと頑張らないといけないなと思いましたね。
はい。
ありがとうございます。
どうもありがとうございました。
失礼します。
Bリーグ開幕2か月。
世界に通用するバスケを目指すプロスポーツです。
(拍手と歓声)努力し続ける事が大事だなっていうふうに今すごく思ってます。
バスケの未来を変える日まで現役として先頭に立ち続ける。
36歳田臥勇太の覚悟です。
2016/11/28(月) 00:10〜00:57
NHK総合1・神戸
アスリートの魂「田臥勇太 36歳の覚悟」[字]

Bリーグ開幕2か月。首位の栃木ブレックス、田臥勇太選手に密着。日本選手初のNBA経験者としてBリーグをけん引。高校時代を過ごした能代での凱旋試合までを追った。

詳細情報
番組内容
バスケットボールの「Bリーグ」が開幕して2か月。現在首位の栃木ブレックス、田臥勇太選手に密着。日本選手初のNBA経験者として「Bリーグ」をけん引。36歳、徹底した体のケアで全力プレーを維持。田臥選手が高校時代を過ごした秋田県能代市で初の凱旋試合までを追った。「バスケの街」で18年ぶりのプレーに仲間や恩師が特別な思いをよせる。バスケットボールが地域と強く結びついている姿を描いたドキュメンタリー番組。
出演者
【出演】バスケットボール選手…田臥勇太,【語り】時任三郎